説明

電話装置、電話装置の設定変更方法及びプログラム

【課題】電話装置の大型化及びコストアップを解消し、電話装置における設定を変更できる電話装置、電話装置の設定変更方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】フックスイッチを備えた電話装置であって、フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、検出したフック操作の回数の数値を、電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急時や非常時に使用され、予め定められた宛先に対して発呼を行う電話装置、電話装置の設定変更方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば銀行のATM(Automatic Tellers Machine:現金預払機)コーナーや病院の病室等に設置され、緊急時や非常時に使用される電話装置(ガイドホン)が知られている。このような電話装置では、内線か外線かを問わず、予め定められた宛先(例えばATMの管理者側や看護師待機室)に発呼を行うようになっている。また、このような電話装置には、ユーザがハンドセット(受話部及び送話部)を本体から持ち上げる(フックアップする)だけで、ダイヤル操作を行わずに発呼できるようになっているものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−289374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電話装置において予め定められた設定(例えば宛先の番号)が変更される場合、本体に備えられたテンキーが使用されたり、あるいは、本体に外部装置(例えば他の電話機やパソコン)等が接続され、その外部装置が使用されたりする。そのため電話装置には、例えば図6に示すように、本体20の表面において、テンキー30や外部装置と接続するためのインターフェース32、33等を備える必要がある。また、図示していないが、テンキー30やインターフェース32、33からの入力を処理するための回路等を、本体20の内部に備える必要もある。このようなことから、上述した電話装置では、装置が大型化し、コストもかかるという問題があった。なお、特許文献1の電話機も、テンキーやモード切替スイッチなどを備える構成となっており、装置の大型化及びコストアップの問題は解消されていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電話装置の大型化及びコストアップを解消し、電話装置における設定を変更できる電話装置、電話装置の設定変更方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の態様は、フックスイッチを備えた電話装置であって、フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、検出したフック操作の回数の数値を、電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様は、フックスイッチを備えた電話装置が所定の設定の変更を行う電話装置の設定変更方法であって、フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、検出したフック操作の回数の数値を、電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様は、フックスイッチを備えた電話装置に実行させるためのプログラムであって、フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出する処理と、検出したフック操作の回数の数値を、電話装置の所定の設定を変更するために用いる処理と、を電話装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電話装置の大型化及びコストアップを解消し、電話装置における設定を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る電話装置の外観の一例を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電話装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電話装置の設定モード移行前の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る電話装置の設定モードへ移行した後の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る電話装置の設定モードへ移行した後の動作の別例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に関連する電話装置の外観の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本発明の電話装置の一実施形態として、以下では、例えば銀行のATMコーナーや病院の病室等に設置され、緊急時や非常時に使用されるガイドホンを例に説明するが、本発明の電話装置は、フックスイッチを備えていれば、ガイドホン以外の電話機にも適用可能である。図1に、本実施形態の電話装置の外観を示す。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の電話装置は、本体20とハンドセット21を有する。ハンドセット21は、受話機能(レシーバ)と送話機能(マイク)を備えており、本体20に有線(又は無線であってもよい)で接続されている。ハンドセット21は、未使用時には本体20の収納部分に収納され、使用時には本体20から持ち上げられる。
【0014】
本体20の表面には、電源ボタン22、第1ランプ23、第2ランプ24、フックスイッチ25、スピーカ26が備えられている。電源ボタン22は、電話装置の電源のオン、オフを切り替えるときに押下されるボタンである。第1ランプ23は、電源のオン、オフ状態をユーザに知らせるためのものであり、電話装置の電源がオンのときに点灯し、電源がオフのときに消灯する。第2ランプ24は、電話装置における設定を変更するモード(以下設定モードという)に移行可能な状態であるかをユーザに知らせるためのものであり、設定モードへ移行可能なときに点灯し、設定モードへ移行不可能なときに消灯する。第1ランプ23及び第2ランプ24の例としては、LED(Light Emitting Diode)等が挙げられる。フックスイッチ25は、ハンドセット21の収納部分に設けられており、ハンドセット21の収納時にはハンドセット21の押下によりオン状態となり、ハンドセット21の未収納時にはハンドセット21の持ち上げによりオフ状態となる。また、フックスイッチ25は、ハンドセット21が持ち上げられてオフ状態にあるときに、ユーザの指などによって押下可能となっている。すなわち、フックスイッチ25は、ユーザが指で押下するとオン状態となり、ユーザが指を離すとオフ状態となる。スピーカ26は、ユーザに対して、ガイド音声や通話相手の音声が出力される放音部である。
【0015】
次に、本実施形態の電話装置の内部構成について図2を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の電話装置は、図2に示すように、フック操作検出回路1、直流シンク回路2、ハンドセット回路3、着信検出回路4、制御手段5、タイマ回路6、フック操作カウント回路7、電源回路9、記憶手段10、メッセージ送出回路11、スピーカ回路12、ランプ表示回路13を有する。
【0017】
フック操作検出回路1は、ユーザにより行われるフック操作(フックスイッチ25に対する操作)を検出する回路である。なお、フック操作とは、一般的に、フックスイッチ25をオン又はオフにする操作を言うが、本実施形態では、フックスイッチ25がオフ状態のときに、フックスイッチ25が連続的にオン、オフする操作を、フック操作と言う。つまり、フックスイッチ25がオフ状態のときにフックスイッチ25が押下されてオン状態になり、すぐにその押下が解除されて再びオフ状態になることで、フック操作が1回行われたと数える。フック操作検出回路1は、フック操作によって起こる電圧の変化を基に、1回のフック操作を認識する。そして、フック操作検出回路1は、フック操作が1回行われたことを認識すると、その旨を示す信号をフック操作カウント回路7へ送出する。
【0018】
直流シンク回路2は、一般加入回線(公衆電話網)と接続される回路である。直流シンク回路2は、制御手段5からの命令を受けて、予め定められた宛先に対して発呼を行う。また、所定の発信元から着信を受けたときに、直流シンク回路2は、制御手段5からの命令を受けて、ハンドセット3を介しての通話を可能にする。なお、本実施形態では、外線である一般加入回線を例に説明するが、内線に対しても以下に説明する本実施形態の特徴を同様に適用することができる。
【0019】
ハンドセット回路3は、直流シンク回路2を介してハンドセット21のレシーバ及びマイクと接続され、ハンドセット21における受話及び送話を可能とする回路である。
【0020】
着信検出回路4は、例えば一般加入回線の所定の発信元からの着信を検出する回路である。着信検出回路4は、着信によって起こる電圧の変化を基に、着信の有無を認識する。そして、着信検出回路4は、着信の有無を認識すると、その旨を示す信号を制御手段5へ送出する。
【0021】
タイマ回路6は、予め定められた時間を計測する回路である。タイマ回路6は、制御手段5からの命令を受けて、時間の計測を開始(タイマスタート)したり、時間の計測を終了して、計測した時間をクリア(タイマクリア)したりする。また、タイマ回路6は、時間の計測を開始、終了した旨を示す信号をフック操作カウント回路7へ送出する。
【0022】
フック操作カウント回路7は、フック操作検出回路1から送出された信号と、タイマ回路6から送出された信号とを基に、予め定められた時間内にフック操作が何回行われたかをカウントする回路である。フック操作カウント回路7は、カウントしたフック操作の回数を示す信号を制御手段5へ送出する。
【0023】
電源回路9は、電源ボタン22と接続され、電源ボタン22のオン、オフ操作を認識することで、電話装置の電源の供給を制御する回路である。電源回路9は、電源ボタン22の操作により電源がオンされると、制御手段5に対し、電話装置の動作に必要な電流を供給する。また、電源回路9は、電源ボタン22の操作により電源がオフされると、制御手段5に対して供給中の電流を停止する。
【0024】
記憶手段10は、各種データを記憶するメモリ(例えば不揮発性メモリ)である。記憶手段10に対するデータの読み出し及び書き込みは、制御手段5によって行われる。記憶手段10に記憶されるデータの例としては、システムデータが挙げられる。システムデータとは、電話装置における各種設定の内容を示すデータであり、例えば、宛先の電話番号、宛先への呼び出し回数、動作モードなどが挙げられる。本実施形態の電話装置では、上記システムデータの変更を行うことにより、電話装置における各種設定を変更するものである。
【0025】
メッセージ送出回路11は、制御手段5からの命令を受けて、所定のメッセージ(音声ガイド)や鳴動音を示すデータをスピーカ回路12へ送出する。なお、所定のメッセージや鳴動音を示すデータは、メッセージ送出回路11又は記憶手段10に予め記憶されている。
【0026】
スピーカ回路12は、メッセージ送出回路11からのデータを音声として、スピーカ26に送出する。これにより、スピーカ26からメッセージや鳴動音が出力される。
【0027】
ランプ表示回路13は、制御手段5からの命令を受けて、第1ランプ23及び第2ランプ24の点灯、消灯を行う回路である。
【0028】
制御手段5は、上述したように、各種回路や手段に対して制御信号(命令)を送出し、電話装置全体の動作を制御する。また、制御手段5は、一時的にデータを保存(キャッシュ)することもできる。制御手段5の例としては、例えばCPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)が挙げられる。
【0029】
次に、上記のように構成された本実施形態の電話装置の動作例について説明する。
【0030】
まず、通常モードの動作について説明する。通常モードとは、本実施形態の電話装置が備える動作モードの一例であり、電話装置の電源がオンされた状態で、着信の待ち受けと予め定められた宛先への発呼(発信)を可能とするモードである。
【0031】
電話装置が待ち受け状態にあるときに、電話をかけたいユーザが、本体20に収納されているハンドセット21を持ち上げると、フック操作検出回路1は、フックスイッチ25がオフ状態となったことを検出し、制御手段5へ通知する。通知とは、「信号の送出」を意味する(以下同じ)。
【0032】
その通知を受けた制御手段5は、記憶手段10から予め定められた宛先の電話番号を読み出し、直流シンク回路2のダイヤル送出回路を使って、宛先へのダイヤル発信を行う。このように、本実施形態の電話装置は、ユーザがハンドセット21を本体20から持ち上げるだけで、ダイヤル操作を行わずに発呼できる。
【0033】
その後、宛先の相手が応答すると、ユーザは、直流シンク回路2と接続されたハンドセット回路3及びハンドセット21を通じて、相手と通話することが可能になる。
【0034】
また、電話装置が待ち受け状態にあるときに、所定の発信元からの着信があると、着信検出回路4は、その着信を検出し、制御手段5へ通知する。
【0035】
その通知を受けた制御手段5は、メッセージ送出回路11及びスピーカ回路12を使って、スピーカ26から鳴動音「ジリリリリン」を出力する。この鳴動音がなっている間にハンドセット21が持ち上げられたことをフック操作検出回路1により検出されると、制御手段5は、直流シンク回路2をオンにする。これにより、ユーザは、ハンドセット回路3及びハンドセット21を介して、発信元の相手と通話ができるようになる。
【0036】
以上のように、通常モードにおける発信及び着信の動作は、一般的なガイドホン等で採用されているモードである。なお、本実施形態では、ユーザがハンドセット21を本体20から持ち上げたことをトリガとして発呼を行う構成としているが、ユーザがハンドセット21を本体20から持ち上げた後で、本体20又はハンドセット21に設けられた図示しない発呼用ボタンを押下することをトリガとして発呼を行う構成であってもよい。すなわち、本実施形態の電話装置は、ユーザがダイヤル操作を行わずに予め指定された宛先へ発呼できるものであればよい。
【0037】
次に、設定モードへ移行するための準備段階の動作について、図3を参照して説明する。設定モードとは、本実施形態の電話装置が備える動作モードの一例であり、電話装置の電源がオンされた状態で、電話装置の各種設定の変更を可能とするモードである。設定モードは、基本的に電話装置の管理者によって行われる。よって、以下に説明する図3の動作も、電話装置の管理者によって行われる。
【0038】
管理者はまず、電源がオンされて通常モードである電話装置に対して、設定モードへ移行できる状態(設定モード移行可能状態)にするための操作を行う。この操作の例は2つある。1つは、管理者が、電源ボタン22を押下して電源をオフにした後すぐに、再度電源ボタン22を押下して電源をオンにする操作(操作例1)である。もう1つは、管理者が、携帯電話等を用いて電話装置に電話をかけ、すぐに切る操作(操作例2)である。操作例2は、電話装置の番号が予め判明している場合のみ有効となる。電話装置は、管理者によって行われる上記いずれかの操作を受け付ける(S1)。すなわち、上記いずれかの操作が行われると、電源回路9(操作例1の場合)又は着信検出回路4(操作例2の場合)から、行われた操作に応じた信号が制御手段5へ送出される。制御手段5は、受け取った信号を基に、設定モード移行可能状態にする操作が行われたことを認識し、電話装置を設定モード移行可能状態にする。この状態のとき、通常モードではあるが、制御手段5が、一時的に着信及び発信を受け付けないように制御してもよい。
【0039】
S1の後、制御手段5は、タイマ回路6に対して時間の計測を開始するように命令し、また、ランプ表示回路13に対して第2ランプ23を点灯するように命令する。これにより、タイマ回路6は予め定められた時間(例えば7秒間)の計測を開始し、ランプ表示回路13は第2ランプ23を点灯させる(S2)。第2ランプ23の点灯により、管理者は、設定モード移行可能状態になったことを認識できる。第2ランプ23は7秒間点灯し、この間が設定モード移行可能状態となる。
【0040】
設定モードへ移行させるには、7秒間において(S3/NO〜S5/NO)、フックスイッチ25をオフにする操作が必要となる。7秒以内に管理者が本体20に収納中のハンドセット21を持ち上げると、フック操作検出回路1は、フックスイッチ25のオフ状態を検出し、制御手段5へその旨を通知する(S3/YES)。その通知を受けた制御手段5は、通常モードから設定モードへ移行させる(S4)。設定モード移行後の動作例については、図4を用いて後述する。
【0041】
一方、管理者がハンドセット21を持ち上げず(フック操作検出回路1にてフックスイッチ25のオフ状態が検出されず)に7秒が経過すると(S5/YES)、タイマ回路6は時間の計測を終了し、その旨を制御手段5へ通知する。その通知を受けた制御手段5は、タイマ回路6に対し、計測した時間をクリア(0にリセット)するように命令し、また、ランプ表示回路13に対し、第2ランプ23を消灯するように命令する。これにより、タイマ回路6は計測した時間をクリアして新たな計測を開始できる状態となり、ランプ表示回路13は第2ランプ23を消灯させる(S6)。第2ランプ23の消灯により、管理者は、設定モード移行可能状態ではなくなったことを認識できる。
【0042】
その後、制御手段5は、設定モード移行可能状態を解除し、通常モードを維持する(S7)。なお、設定モード移行可能状態になったときに、一時的に着信及び発信を受け付けないように制限されていた場合は、設定モード移行可能状態の解除により、再び着信及び発信が行える状態になる。
【0043】
次に、設定モードへ移行した後の動作(本発明の電話装置の設定変更方法の一実施形態)について、図4を参照して説明する。ここでは、設定モードで変更されるシステムデータの設定内容の例として、予め定められた宛先の電話番号(10桁)とする。
【0044】
設定モードへ移行すると(S4)、制御手段5は、7秒を計測中のタイマ回路6に対し、計測を終了して、これまでに計測した時間をクリア(0にリセット)するとともに、新たに予め定められた時間(例えば3秒)の計測を開始するように命令する。これにより、タイマ回路6は、今度は3秒間の計測を開始する(S11)。これと同時に、制御手段5は、メッセージ送出回路11に対し、「ピッ」という開始音を出力するよう命令する。これにより、メッセージ送出回路11は、スピーカ回路12を介して、上記開始音をスピーカ26から出力させる(S11)。
【0045】
上記開始音は、管理者に対し、3秒の開始を合図するためのものである。管理者は、この開始音が鳴ってから3秒以内に、入力したい数値と同じ数だけフック操作を行う。例えば、入力したい数値が「1」の場合、管理者は3秒以内にフック操作を1回行うようにする。入力したい数値が「0」の場合、管理者は3秒以内に、フック操作を行わないようにする、あるいは、フック操作を10回行うようにする。なお、上記フック操作が行われるとき、ハンドセット21は本体20から外された状態である。よって、管理者は、指でフックスイッチ25を押下することにより、上記フック操作を行う。
【0046】
開始音の出力後、管理者によりフックスイッチ25対してフック操作が1回行われると、フック操作検出回路1はそれを検出し、フック操作1回分を示す信号をフック操作カウント回路7に送出する(S12/YES)。
【0047】
フック操作カウント回路7は、フック操作検出回路1から上記信号を受けると、+1としてカウントする(S13)。
【0048】
このようにして、3秒以内においてフック操作が行われる度に、フック操作カウント回路7はカウント値(フック操作の実行回数)を積算していく(S14/NO〜S12/YES〜S13)。このカウント値は、最終的に、制御手段5により設定操作(所定の設定を変更するための値)として受け付けられることになる。
【0049】
その後、タイマ回路6は、3秒間の計測を終えると、その旨をフック操作カウント回路7及び制御手段5へ通知する(S14/YES)。
【0050】
タイマ回路6から通知を受けた制御手段5は、メッセージ送出回路11に対し、「ピピッ」という終了音を出力するよう命令する。これにより、メッセージ送出回路11は、スピーカ回路12を介して、上記終了音をスピーカ26から出力させる(S15)。この終了音は、管理者に対し、3秒の終了を合図するためのものである。これと同時に、制御手段5は、タイマ回路6に対し、計測した時間をクリアするとともに、新たに予め定められた時間(例えば5秒)の計測を開始するように命令する。これにより、タイマ回路6は、今度は5秒間の計測を開始する(S15)。よって、上記終了音は、3秒の終了の合図であるとともに、5秒の開始を合図するものでもある。管理者は、上記終了音を認識した後で、設定変更(数値の入力)を続けたい場合には、5秒以内に1回のフック操作を行うことになる。このときの1回分のフック操作は、数値の入力とは関係ない(カウント値として積算されない)ものとしてもよいし、又は、数値の入力と関係ある(カウント値として積算する)ものとしてもよい。一方、タイマ回路6から通知を受けたフック操作カウント回路7は、3秒間で積算したカウント値を示す信号を制御手段5へ送出する。この送出後、カウント値はクリア(0にリセット)される。制御手段5は、フック操作カウント回路7からの信号を基に、そのカウント値を一時的に保存する(S15)。
【0051】
設定変更を続けたい管理者により5秒以内に1回のフック操作が行われると、フック操作検出回路1はそれを検出し、制御手段5へ通知する(S16/YES)。その通知を受けた制御手段5は、5秒を計測中のタイマ回路6に対して、計測を終了して、これまでに計測した時間をクリアするとともに、予め定められた時間(例えば3秒)の計測を開始するように命令する。これにより、タイマ回路6は、今度は3秒間の計測を開始する(S11)。これと同時に、制御手段5は、メッセージ送出回路11に対し、「ピッ」という開始音を出力するよう命令する。これにより、メッセージ送出回路11は、スピーカ回路12を介して、上記開始音をスピーカ26から出力させる(S11)。このようにして、管理者のフック操作による2回目の設定変更(数値の入力)が開始される。
【0052】
管理者は、以上の動作を、変更したい電話番号の桁数分繰り返す。例えば10桁の電話番号の全ての桁の数字を変更する場合、上記動作が10回行われる。これにより、制御手段5には、10個のカウント値(数字)が一時的に保存される。
【0053】
管理者は、設定変更を終了したい場合、設定変更を続けるための1回分のフック操作を行わずに(S16/NO)、終了音から5秒間待機すればよい(S17/YES)。この場合、タイマ回路6は、5秒の計測が終わると、その旨を制御手段5へ通知する。その通知を受けた制御手段5は、一時的に保存したカウント値を、予めなされている設定を変更するための値として受け付ける(S18)。例えば、10個のカウント値が保存された場合、制御手段5は、記憶手段10にシステムデータとして予め定められた宛先の電話番号(10桁)を、10個のカウント値に置き換える。この置き換えは、例えば一時保存した順となる(最初に一時保存されたカウント値が電話番号の1桁目となる)。これにより、宛先の電話番号の変更が完了する。その後、設定モードから通常モードへ移行する。
【0054】
なお、上記説明では、管理者が設定変更を終了したい場合、フック操作を行わずに5秒待機するようにしたが、設定変更を終了させる方法はこれに限定されない。例えば、S12において予め定められた回数のフック操作が行われたことをトリガとし、そのカウント値を制御手段5が認識することで、設定変更を終了するようにしてもよい。この場合、管理者が、設定変更を終了させるために必要なフック操作の回数を予め知っておく必要がある。
【0055】
また、上記図4の説明では、管理者が変更したい電話番号の各数字を入力し、入力された数値(カウント値)がそのまま予め定められた宛記の電話番号に置き換えられる例としたが、管理者により入力される数値は、上記のようにシステムデータの変更に直接用いられなくてもよい。その場合の例について、図5を参照して以下に説明する。図5は、管理者により入力された数値(カウント値)を用いて、動作モードを選択する例である。なお、図5の例では、電話装置が備える動作モードとして、上記設定モードの他に、確認モードがあるとする。確認モードとは、現在の設定内容を、音声により管理者に知らせるモードである。ここでは、確認モードにおいて現在設定中の電話番号(予め定められた宛先の電話番号)を知らせる例とする。
【0056】
上記図4の動作により、所定のカウント値が制御手段5に受け付けられたとする(S18)。このときは設定モードである。
【0057】
ここで、制御手段5は、記憶手段10を参照し、受け付けたカウント値が、予め定められた規定値であるかどうかを判断する(S21)。規定値は、予め記憶手段10に記憶されており、動作モードを選択するための値である。ここでは、例として、確認モードを選択するための値(第1規定値)として「11」が、また、設定モードを選択するための値(第2規定値)として「12」が、それぞれ記憶されているとする。
【0058】
S21の判断の結果、受け付けたカウント値が第1規定値「11」及び第2規定値「12」のいずれでもない場合(S21/NO)、制御手段5は、受け付けたカウント値に該当する動作モードが無い旨のメッセージを例えば記憶手段10から読み出し、そのメッセージを、メッセージ送出回路11、スピーカ回路12及びスピーカ26を介して送出させる(S22)。その後、制御手段5は、設定モードから通常モードへ移行させる(S26)。
【0059】
S21の判断の結果、受け付けたカウント値が第1規定値「11」である場合(S21/第1規定値)、制御手段5は、設定モードから確認モードへ移行させ、現在設定中の電話番号を知らせるためのメッセージを例えば記憶手段10から読み出し、そのメッセージを、メッセージ送出回路11、スピーカ回路12及びスピーカ26を介して送出させる(S23)。このメッセージは、例えば「現在設定されている宛先の電話番号は03−○○○○−○○○○です」という音声である。これにより、管理者は、現在設定されている宛先を知ることができる。その後、制御手段5は、設定モードから通常モードへ移行させる(S26)。
【0060】
S21の判断の結果、受け付けたカウント値が第2規定値「12」である場合(S21/第2規定値)、制御手段5は、現在設定中の電話番号の変更をこれから開始する旨のメッセージを例えば記憶手段10から読み出し、そのメッセージを、メッセージ送出回路11、スピーカ回路12及びスピーカ26を介して送出させる(S23)。このメッセージは、例えば「現在設定されている宛先の電話番号を変更します。変更したい電話番号の入力を開始して下さい」という音声である。これにより、管理者は、現在設定されている宛先の変更の開始を認識できる。そして、制御手段5は、設定モードを維持したまま、図4のS11の動作に移る(S25)。その後は、図4で説明したように、管理者は、所望の電話番号に変更するために、フック操作による数値入力を行う。入力された数値(カウント値)は、図4のS18で受け付けられた後、上述したように、現在設定中の電話番号に代わって、宛先の電話番号となる。
【0061】
なお、上記図5の説明では、規定値毎に動作モードを対応付けておき、制御手段5が、受け付けたカウント値とその対応付けとを照合し、動作モードを選択する例としたが、動作モードの選択方法はこれに限定されない。例えば、受け付けた複数のカウント値に予め定められた規則性がある場合、制御手段5がその規則性を認識することで、動作モードの選択を行うようにしてもよい。上記図5の場合において、例えば、カウント値を3つ受け付けた場合、最初のカウント値が「1」か「2」かにより、確認モードへの変更か設定モードの維持かを、制御手段5が判断するようにする。また、制御手段5は、受け付けたカウント値の残りの2つの数字を、記憶手段10におけるアドレスを示すものとして認識するようにする。このようにすることで、例えば3つのカウント値として「1」、「9」、「0」の順に受け付けた場合、制御手段5は、確認モードに変更するとともに、記憶手段10のアドレス90に記憶されているシステムデータの設定内容を示すメッセージをスピーカ26より出力させる。また、例えば3つのカウント値として「2」、「9」、「0」の順に受け付けた場合、制御手段5は、設定モードを維持するとともに、記憶手段10のアドレス90に記憶されているシステムデータの設定内容の変更を開始するメッセージをスピーカ26より出力させる(その後、図4のS11へ移行)。
【0062】
次に、本実施形態の電話装置におけるその他の例について説明する。本例の電話装置の基本的構成は上記実施形態で説明した通りである。本例では、上記設定モードにて予め定められた数分のカウント値を受け付けたときに、すぐにそれらのカウント値を使って、電話装置からダイヤル発信を行えるようにする。すなわち、制御手段5は、図4で説明したようにフック操作による所定数(例えば10個)のカウント値を受け付けた場合に、それらのカウント値を10桁の電話番号として認識してそのままダイヤル発信を行うようにする。この場合、制御手段5は、最初に入力された数値(カウント値)が「0」であれば、その後に入力される数値を電話番号と認識し、例えば10個(予め定められた数)の数値を受け付けた時点で、直流シンク回路2のダイヤル送出回路を使ってダイヤル発信する。このように、本例によれば、管理者が、携帯電話などを持っておらず、電話装置の動作確認などのために、設定された宛先と違う宛先に対して一時的に電話したい場合などに、有効となる。
【0063】
また、上記説明では、本実施形態の電話装置についてアナログ電話の構成を例に説明したが、それ以外の電話装置の構成にも適用可能である。例えば、電話装置において携帯通信モジュールを搭載する場合、図2に示す直流シンク回路2及び着信検出回路4をそれぞれ、上記携帯通信モジュールにおける発信機能及び着信検出機能に置き換えることで実現可能である。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の電話装置では、電話装置に必ず搭載されるハンドセットの持ち上げを検出するためのフックスイッチを利用して、設定変更のためのコマンド(数値)を入力することを特徴としている。よって、本実施形態の電話装置によれば、電話装置の設定を変更するためだけに使用される余計なデバイス(図6で説明したキー、インターフェース、回路等)を備えないようにできる。すなわち、本実施形態の電話装置によれば、電話装置の大型化及びコストアップを解消し、電話装置における設定を変更することができる。また、従来は、電話装置の設定を変更する際に、管理者は、上記インターフェースに接続するための設定機器(パソコンや電話機)を持参して、電話装置の設置場所に赴く必要があったが、本実施形態の電話装置では、上記特徴により、設定変更時に上記設定機器を持参する必要も無くなる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0066】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0067】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0068】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0069】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0070】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0071】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0072】
(付記1)フックスイッチを備えた電話装置であって、前記フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、検出した前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする。
【0073】
(付記2)前記フック操作の回数の数値を、予め定められた前記電話装置の所定の設定の内容を示すシステムデータの変更に用いることを特徴とする付記1記載の電話装置。
【0074】
(付記3)前記フック操作の回数の数値を、前記システムデータの値に直接置き換えることで、当該システムデータを変更することを特徴とする付記2記載の電話装置。
【0075】
(付記4)前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置が備える動作モードの変更に用いることを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の電話装置。
【0076】
(付記5)前記フック操作の回数の数値を、予め定められた数分検出したことをトリガとして、当該数値を電話番号として認識し、当該電話番号に発呼を行うことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の電話装置。
【0077】
(付記6)フックスイッチを備えた電話装置が所定の設定の変更を行う電話装置の設定変更方法であって、前記フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、検出した前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする電話装置の設定変更方法。
【0078】
(付記7)フックスイッチを備えた電話装置に実行させるためのプログラムであって、前記フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出する処理と、検出した前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置の所定の設定を変更するために用いる処理と、を前記電話装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0079】
1 フック操作検出回路
2 直流シンク回路
3 ハンドセット回路
4 着信検出回路
5 制御手段
6 タイマ回路
7 フック操作カウント回路
9 電源回路
10 記憶手段
11 メッセージ送出回路
12 スピーカ回路
13 ランプ表示回路
20 本体
21 ハンドセット
22 電源ボタン
23 第1ランプ
24 第2ランプ
25 フックスイッチ
26 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックスイッチを備えた電話装置であって、
前記フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、
検出した前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記フック操作の回数の数値を、予め定められた前記電話装置の所定の設定の内容を示すシステムデータの変更に用いることを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項3】
前記フック操作の回数の数値を、前記システムデータの値に直接置き換えることで、当該システムデータを変更することを特徴とする請求項2記載の電話装置。
【請求項4】
前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置が備える動作モードの変更に用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電話装置。
【請求項5】
前記フック操作の回数の数値を、予め定められた数分検出したことをトリガとして、当該数値を電話番号として認識し、当該電話番号に発呼を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電話装置。
【請求項6】
フックスイッチを備えた電話装置が所定の設定の変更を行う電話装置の設定変更方法であって、
前記フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出し、
検出した前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置の所定の設定を変更するために用いることを特徴とする電話装置の設定変更方法。
【請求項7】
フックスイッチを備えた電話装置に実行させるためのプログラムであって、
前記フックスイッチがオフのときに当該フックスイッチが連続してオンされてオフされるフック操作の回数を、予め定められた時間内で検出する処理と、
検出した前記フック操作の回数の数値を、前記電話装置の所定の設定を変更するために用いる処理と、
を前記電話装置に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−250017(P2011−250017A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119510(P2010−119510)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】