説明

電話装置

【課題】親機、または、子機の外線通話中に、通話相手側から送出されてきたDTMF信号に対応したダイヤルキーを一定時間点灯することができる電話装置を提供する。
【解決手段】 本実施例にかかる電話装置10においては、親機20あるいは子機30で通話中に、通話相手側から送出されてきたDTMF信号を制御部21が検出した場合に、制御部が検出したDTMF信号に対応する数字データを算出し、当該算出した数字データに対応したダイヤルキーを一定時間点灯する。また、制御部21は、通話中に回線から受信したDTMF信号をメモリ部26に格納されている別形式データ(QRコード、バーコード等)に変換して表示部24の液晶パネルに表示する切り換えモード設定キーを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の電話装置では、電話装置のダイヤルキー(0〜9までの数字と#や*が割り振られたキーパッド)で入力された数字(番号)はダイヤルパルス或いはDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号で回線へ送出される。このようなDTMF信号を用いた技術として、例えば、下記、特許文献1には、通話中に通話相手から送られてきたDTMF信号を、受信側のDTMF受信部によりその音声化情報の組み合わせが逐次検知され、その組み合わせに対応するアルファベット等の文字に変換されて表示部に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−134192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、表示部に文字を表示し続けるため、ユーザが近くにいる第三者に容易に受信側で受け取った情報を覗きみられてしまうというセキュリティ上の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る電話装置の発明は、通話中に回線から受信したDTMF信号を検出するDTMF検出部と、ダイヤルキーを有する操作部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記DTMF検出部より検出されたDTMF信号に対応する数字データを算出し、当該算出した数字データに対応した前記ダイヤルキーを一定時間点灯することを特徴とする。
【0006】
また、本願の請求項2に係る発明は、通話中に回線から受信したDTMF信号を検出するDTMF検出部と、DTMF信号に対応する別形式データに変換するコード変換部と、表示部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記DTMF検出部より検出されたDTMF信号に対応する数字データを算出し、算出された数字データを前記コード変換部で別形式データへ変換させ、当該変換された別形式データを前記表示部へ表示させることを特徴とする。
【0007】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の電話装置において、前記別形式データとは、QRコードやバーコードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1にかかる発明においては、通話中に回線からDTMF信号を受信すると、受信したDTMF信号に対応する数字(番号)のダイヤルキーを点灯して、通話相手が、どの数字を送信してきたかが分かる。
【0009】
また、通話相手が電話番号や暗証番号等の個人情報を発話することなく、通話の相手先に伝えたい個人情報を、ダイヤルキーの点灯のみで伝達することが可能となる。
【0010】
また、ダイヤルキーの点灯時間も限られているため、ユーザの近くにいる第三者に不意に覗き見られても個人情報を知られるといった心配もない。
【0011】
請求項2及び3にかかる発明においては、通話中に電話回線から受信したDTMF信号に対応する数字データを別形式データに変換して、電話装置の表示部へ表示することが出来るので、ユーザの近くにいる第三者に容易に暗証番号等の個人情報を知られるといった問題を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置の全体図である。
【図2】本発明を適用してなる実施例装置の親機のブロック図である。
【図3】本発明を適用してなる実施例装置の子機のブロック図である。
【図4】本実施例装置の通話中親機の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体例について、電話装置を用いて説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するための電話装置を例示しているが、本発明をこの電話装置に特定するものではなく、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって定められるものである。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例にかかる電話装置10の全体構成を示す図である。本実施例の電話装置10は、電話回線に接続された親機20と、無線通信機能を介してこの親機20と接続される子機30とを有してなる。更に、子機30は、親機20を介在して無線接続される。尚、この電話装置10の通信方式はコードレス電話の通信方式である。
【0015】
次に、本発明の実施例にかかる電話装置10の回路構成を説明する。図2は、本発明の実施例にかかる親機20の構成を示すブロック図である。親機20は、制御部21、着信検出部22、回線接続部23、表示部24、操作部25、メモリ部26、ACアダプタ27、電源部28、送信部30、受信部31、周波数シンセサイザー32、送受信アンテナ33、受話器34、DTMF検出部35、コード変換部36などを備えて構成されている。
【0016】
制御部21は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にROM、フラッシュメモリなどのメモリ機能を備えており、このメモリに格納されている各種制御プログラムを読み出して処理を担う。又、後述するDTMF検出部35で検出されたDTMF信号に対応する数字データを算出する機能も有している。
【0017】
着信検出部22は、回路接続部23からの着信信号を受けて着信を検出すると共に、当該着信信号をパルス信号に波形整形して制御部21に出力する。
【0018】
回線接続部23は、電話回線(以下、回線)と接続されて回線の開放・閉結を行う。又、回線接続部23は、回線の極性反転を検出する機能と、回線からの音声信号を検出する機能と、回線からのRBT(Ring Back Tone)を検出する機能を有している。
【0019】
表示部24は、液晶パネル等から構成される表示ユニットであり、制御部21からの制御信号に応じて、電話帳データである電話番号、通話時間や、通話料金、QRコード、バーコード等の表示を行う。
【0020】
操作部25は、数字や文字の入力などを行うためのダイヤルキー(0〜9までの数字と#や*が割り振られたキーパッド)、発呼および通話の開始などを操作するための通話キー、通話の終了などを操作するための終話キー、電話帳の検索・登録を行うための電話帳キー、検出されたDTMF信号を別形式データへ変換するモード、又は、検出されたDTMF信号に対応するダイヤルキーを点灯させるモードに設定するための切り換えモード設定キー、キーの点灯時間を変更するための設定キー等から構成される。また、操作部25の各キーには、キーのバックライトとして機能するキーLED(Light Emitting Diode)(図示せず)を裏側に設けており、制御部からの指示に基づいて、LEDを発光(点灯)制御することによって、キーの点灯を行う。
【0021】
メモリ部26は、例えばフラッシュメモリによって構成され、氏名と電話番号とを対で複数格納可能な電話帳や、バーコードやQRコードを格納する機能等を有している。また、メモリ部26は、DTMF信号を受信するとDTMF信号に対応するテンキーを点灯させるモード、又は、受信したDTMF信号に対応する数字データをQRコード等のデータに変換し表示するモードであることを示す切り換えモードフラグを格納する。
【0022】
電源部28は、ACアダプタ27から所定の直流電圧を受けて、各回路構成要素に電源を供給する。
【0023】
送信部30と受信部31は、送受信アンテナ33を介して子機30との間に無線通信による通話リンクを確立させて、信号の送受信を行う。
【0024】
周波数シンセサイザー32は、当該子機との無線通信のための信号発振を担い、制御部21からの制御信号によって、送信部30と受信部31の送受信周波数を適宜切り換える。
【0025】
受話器34は、通話用のスピーカ(SP)とマイク(MIC)とで構成される。スピーカ(SP)は、図示しない制御部21内の音声信号処理部で生成された電気信号を増幅して音声として出力する。マイク(MIC)は、音声を電気信号に増幅変換して制御部21内の音声信号処理部に出力する。
【0026】
DTMF検出部35は、回線から受信したDTMF信号を検出して、その検出結果を制御部21へ通知する。
【0027】
コード変換部36は、制御部21にて算出されたDTMF信号に対応する数字データをQRコード、バーコード等の別形式データに変換する。
【0028】
次に、図3を参照しつつ、本発明の実施例にかかる子機30の構成を説明する。電話装置10の子機30は、制御部41、表示部42、操作部43、メモリ部44、電源部45、充電部46、充電台47、ACアダプタ48、送信部48、受信部49、周波数シンセサイザー50、送受信アンテナ51、レシーバ52などを備えて構成されている。これらの構成は基本的な機能は親機と変わらず、親機20と異なる構成のみ以下に説明する。
【0029】
電源部45は、充電式のバッテリーを内蔵し、子機30の各回路構成要素に電源を供給する。充電部46は、子機30が充電台47に載置されている間、ACアダプタ48から与えられる直流電圧により電源部45のバッテリーの充電を行う。
【0030】
送信部48と受信部49は、送受信アンテナ51を介して親機20との間に無線通信による通話リンクを確立させて、信号の送受信を行うと同時に、親機20が受信した表示部24へ表示する各種データ等を子機30への送受信も行う。
【0031】
周波数シンセサイザー50は、当該親機20との無線通信のための信号発振を担い、制御部41からの制御信号によって、送信部48と受信部49の送受信周波数を切り換える。
【0032】
子機30は、充電台47から取り上げられると、親機30に対して自動的に発呼接続を要求するクイック通話機能を備えたものであってもよく、また、子機30が充電台47に載置されている時には子機の表示部42を消灯状態にし、充電台47から取り上げられると表示部42を点灯状態にする省電力制御を行う構成であってもよい。
【0033】
本実施例にかかる電話装置10は、ユーザが親機20で通話中に、回線からDTMF信号を検出すると、検出したDTMF信号に対応したダイヤルキーを点灯する。又、受信したDTMF信号の数字データを別形式のデータ(バーコード、QRコード等)に変換して表示部24(あるいは子機の表示部42)の液晶パネルに表示することも可能である。
【0034】
本実施例装置では、電話装置10が待機状態の際に、ユーザが切り換えモード設定キー(図示せず)を押下することにより、受信したDTMF信号に対応する数字キーを一定時間点灯させるモード(切り換えモードフラグがオンである状態)或いは、受信したDTMF信号に対応する数字データをQRコード等のデータに変換するモード(切り換えモードフラグがオフである状態)に設定する必要がある。このような設定が終了したことを前提として、以下に本実施例装置の動作について説明する。
【0035】
まず、本発明を適用してなる実施例装置の動作について説明する。図4は、親機20の動作を示すローチャートである。
【0036】
先ず、親機20の制御部21は、親機20が通話中であるか否かを判別する(ステップS1)。制御部21は、親機20が通話中であると判断すれば(ステップS1のYES)ステップS2へ処理を進め、通話中でないと判断すれば(ステップS1のNO)処理を終了する。
【0037】
DTMF検出部35が、回線からDTMF信号を検出したかどうかを判別する(ステップS2)。DTMF検出部35が、回線からDTMF信号を検出していないと判断すれば、通常の通話処理を繰り返し(ステップS2のNO)、DTMF信号を検出したと判断すれば、検出結果を制御部21へ通知する(ステップS2のYES)。
【0038】
制御部21は、DTMF検出部35からの検出結果に基づいて、DTMF信号に対応する数字データを算出する(ステップS3)。
【0039】
続いて、制御部21は、メモリ部26に格納されている切り換えモードフラグがオンであると判定すると(ステップS4のYES)、ステップS3で算出した数字データに対応するダイヤルキーを一定時間点灯するように、ダイヤルキーのバックライトとして機能するLEDを点灯制御する(ステップS5)。例えば、DTMF検出部35より数字データの「7」が算出される場合は、ダイヤルキー「7」のキーLEDを点灯するように制御する。尚、ダイヤルキーの点灯時間は、2秒程度が望ましいが、1秒〜5秒の間でユーザがキーの点灯時間を設定することで、点灯時間の変更をすることが可能である。
【0040】
一方、制御部21は、メモリ部26に格納されている切り換えモードフラグがオフであると判定すると(ステップS4のNO)、制御部21は、ステップ3で算出した数字データを別形式データ(例えば、QRコードやバーコード等)へ変換するようにコード変換部36を制御し、制御部21は、このコード変換部36で変換された別形式データを液晶パネル等の表示部24へ表示する(ステップS6)。
【0041】
この後、本電話装置の利用者は、通話中の状態でも、表示部に表示された別形式データに専用の読み取り機(例えば、QRコード読取り機やバーコードスキャナ等)をかざすことで、通話相手が送出してきたDTMF信号を数字に変換して読み取ることが可能となる。
【0042】
以上、説明したように、本発明の電話装置では、通話中に回線からDTMF信号を受信すると、受信したDTMF信号に対応するダイヤルキーを一定時間点灯するので、通話相手が、どの数字を送信してきたかが分かる。
【0043】
尚、本実施例では、通話中にDTMF信号を受信すると、受信したDTMF信号に対応するダイヤルキーを点灯する構成としたが、DTMF検出部35が回線からDTMF信号を受信すると、制御部21がDTMF信号に対応する数字データに変換し、変換した数字データをメモリ部に格納しておき、通話終了後に、数字データに対応するダイヤルキーを点灯する構成としても良い。このような構成とすることにより、通話の終了後に、ユーザは、どのようなDTMF信号(番号)が送信されたかを確認することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10・・・・電話装置
20・・・・親機
21・・・・制御部
24・・・・表示部
25・・・・操作部
30・・・・子機
41・・・・制御部
42・・・・表示部
43・・・・操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話中に回線から受信したDTMF信号を検出するDTMF検出部と、ダイヤルキーを有する操作部と、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記DTMF検出部より検出されたDTMF信号に対応する数字データを算出し、当該算出した数字データに対応した前記ダイヤルキーを一定時間点灯することを特徴とする電話装置。
【請求項2】
通話中に回線から受信したDTMF信号を検出するDTMF検出部と、DTMF信号に対応する別形式データに変換するコード変換部と、表示部と、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記DTMF検出部より検出されたDTMF信号に対応する数字データを算出し、算出された数字データを前記コード変換部で別形式データへ変換させ、当該変換された別形式データを前記表示部へ表示させることを特徴とする電話装置。
【請求項3】
前記別形式データとは、QRコードやバーコードであることを特徴とする請求項2に記載の電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−178801(P2012−178801A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41901(P2011−41901)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】