説明

霧状圧縮空気供給装置

【課題】密閉された空間内に閉じこめられたような状態で仰臥していても、使用者がリラックスした状態で快適に疲労の低減や疲労の回復等に専念でき、爽快感を覚える高気圧式酸素供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】使用者を収容するチャンバと微細ミストの噴霧を制御する霧状圧縮空気供給機構を備え、加圧源から圧縮空気が流路を介して該チャンバに供給される霧状圧縮空気供給装置であって、前記流路が途中で2分岐されており、一方の流路が圧縮空気を供給し、他方の流路が水を供給し、この両流路の各々が前記チャンバに設けられたスプレーノズルに接続され、該スプレーノズルが前記チャンバの中央部に取り付けられ、微細ミストを噴霧することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮された空気を使用者に提供することにより疲労の低減や疲労の回復を促進することができる霧状圧縮空気供給装置に関する。詳細には、前記圧縮された空気でスプレーノズルを用いて水を霧状に噴霧する霧状圧縮空気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から圧縮した空気を生成して供給する多数の健康器具が知られている。例えば、可撓性で非通気性の合成樹脂シートのエアーチャンバからなる健康器具が知られている。エアーチャンバ本体は頭部配置側が大径となし、側部配置側を小径とした略円錐台形状とするとともに、頭部配置側の正面から側部にかけて透明素材による大きな窓部が形成されているので、圧迫感がなく快適な治療等の対応ができる。この健康器具は圧力センサー、気圧計、エアー供給口等を頭頂部側にまとめて設けて折り畳み作業の迅速化を図るものである(特許文献1)。
【0003】
同様に、可撓性で非通気性の合成樹脂シートのエアーチャンバからなる健康器具として、エアーチャンバが患者の頭部側から脚部側へ向かって断面積が小さくなる略円錐形状をしているものも知られている。このエアーチャンバの上面には、エアーチャンバ内に仰向けに収容された患者の頭部位置に対応して透明スクリーンが設けられ、この透明スクリーンはエアーチャンバ内に収容された患者が感じる圧迫感を少なくすることができる。そして、加圧源からチャンバ内に供給する気体流量を制御することにより、エアーチャンバの内圧を第1圧力(1.2気圧)と、第1圧力とは異なる第2圧力(1.4気圧)に交互に切り替える圧力切替え機構を備えている。第1気圧を圧力切替え機構により第2気圧に切り替えた後に、約10分間ごとに第1圧力と第2圧力を交互に切り替えることにより、エアーチャンバ内に収容された患者に、もみ効果を与えることができ、疲労回復、血流促進などの効果を向上させることができるものである(特許文献2)。
【0004】
一方、高濃度の酸素含有液を噴霧できる健康器具として、高圧酸素を封入した酸素ボンベと、酸素ボンベに接続した圧力・流量調整手段をガス流路の途中に設け、酸素ガスの中に液体を供給して霧化する噴霧手段と、噴霧手段の出口端側に上記ガス流路と連通するように接続したマスクから構成される酸素含有液噴霧装置が知られている(特許文献3)。
【0005】
更に、酸素富化空気を発生させる酸素富化手段及び酸素富化空気を吐出する吐出部からなる酸素富化機本体と、液体を収納する容器を過熱して蒸気にする加熱手段、蒸気を外部に吐出する蒸気吐出部とを有する美顔器本体からなる酸素富化器が知られており、蒸気と酸素富化空気の両者を皮膚に吹き付けて蒸気と酸素を相乗的に顔の皮膚に作用させて皮膚の手入れをすることが示されている(特許文献4)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−319077号公報
【特許文献2】特許第3720032号公報
【特許文献3】実願昭61−124921号(実開昭63−32545号公報)のマイクロフィルム
【特許文献4】特開2006−174896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記可撓性及び非通気性の合成樹脂製シートのエアーチャンバからなる健康器具は、通常の気圧から目標とする気圧に高めることで、体内に十分な酸素を隅々にまで供給することにより、速やかな疲労回復、血行促進等の効果を向上させるものであるが、この従来の健康器具は以下に述べる3つの問題が必然的に生じる状況にある。
【0008】
一つめは、これらの健康器具は、密閉されたエアーチャンバ内に使用者が仰臥していなくとも、圧縮された空気が導入されるに従って、エアーチャンバ内の温度が3〜4度程度上昇するという必然的に生じる問題がある。使用者が仰臥した状態であれば、人間の体温も相伴ってエアーチャンバ内の温度が更に上昇するため、暑苦しい状況が発生し、高圧空気を導入している40〜50分間の間、我慢を強いられているのが現状である。
【0009】
二つめは、前記健康器具は、通常の気圧から目標とする気圧、例えば1.2気圧に高めるのに、急速に高められないのでゆっくりと上昇させるが、その時間は約5分間程度かかる。この約5分間の間、体内に多くの酸素を取り込めない状況が必然的に生じる問題がある。
三つ目は、前記健康器具は、密閉された空間内に使用者が閉じこめられた状態で仰臥しているので、透明であるとはいえ顔面上にあるエアーチャンバの壁面から、精神的に密閉されているという圧迫感が生じ、リラックスした状態で快適に疲労回復等に専念できるものではない。
【0010】
このように、従来の健康器具は、圧縮された空気の導入に伴って、エアーチャンバ内の温度が3〜4度程度上昇する暑苦しい状況、エアーチャンバの空気の高気圧化開始から約5分間の酸素を取り込めない状況、エアーチャンバの壁面から精神的に密閉されているという圧迫感が生じる状況、これらの状況が相伴って、使用者がエアーチャンバ室内で十分にリラックスした状態で快適に疲労回復等に専念できるものではない。
【0011】
そこで、本発明者は、液体と酸素富化空気の両者を顔の皮膚に吹き付ける上記健康器具をエアーチャンバ内に設置することで、上記問題を解決することが可能かどうか試みた。その結果、これらの健康器具は、前記両者を噴出口から近距離にある顔にほぼ垂直に吹き付けるので、大きな粒子が噴霧されることとなり顔の皮膚を濡らしてしまい、その後に吹き付けられる酸素を溶解した霧を直接皮膚に吹き付けられなくなるし、また、近距離から大きな粒子が噴霧されるので、爽快感に欠けるという問題があることが分かった。また、前記健康器具は顔の皮膚を濡らすだけで、使用者の体温を下げることもできなかった。
【0012】
そこで、上記問題を解決するために、本発明は、密閉された空間内に閉じこめられたような状態で仰臥していても、使用者がリラックスした状態で快適に疲労の低減や疲労の回復等に専念でき、爽快感を覚える高気圧式酸素供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の高気圧式酸素供給装置は、使用者を収容するチャンバと微細ミストの噴霧を制御する霧状圧縮空気供給機構を備え、加圧源から圧縮空気が流路を介して該チャンバに供給される霧状圧縮空気供給装置であって、前記流路が途中で2分岐されており、一方の流路が圧縮空気を供給し、他方の流路が貯水容器を介して水を供給し、この両流路の各々が前記チャンバの中央部に取り付けられたスプレーノズルに接続され、該スプレーノズルが微細ミストを噴霧することを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の高気圧式酸素供給装置は、前記スプレーノズルの向きが前記チャンバの頭部の方向に向いていることを特徴とする。
請求項3に係る発明の高気圧式酸素供給装置は、前記チャンバが不可撓性で耐圧性の合成樹脂板又は可撓性で非通気性の合成樹脂製シートからなることを特徴とする。
請求項4に係る発明の高気圧式酸素供給装置は、前記貯水容器がアロマオイル混合容器と交換可能であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の高気圧式酸素供給装置は、前記霧状圧縮空気供給機構の制御部の信号により、アロマオイル容器の流路に接続された電磁弁を操作することを特徴とする。
請求項6に係る発明の高気圧式酸素供給装置は、前記霧状圧縮空気供給機構の制御部の信号により、前記加圧源からの圧縮空気の流路に接続された酸素発生器を稼働させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の霧状圧縮空気供給装置は、空中を浮遊する微細ミストを生成する機能を奏するので、この機能により従来の健康器具が抱えていた上述した三つの問題が解決され、微細ミストにより圧迫感等の気分を全く感じないでリラックスして爽快な気分に浸れる。
また、顔に当たってまた空中を浮遊する際には、微細ミストが気化熱により顔から体温を奪っていくので、涼しく感じられる。
更に、アロマオイルを混合して微細ミストとして噴霧する機能を奏するので、リラックスの効果や効能を生じさせることができる。
そして、本発明の霧状圧縮空気供給装置は、酸素富化空気を圧縮空気に混合させる機能を奏するので、過疲労に陥っている使用者は疲労回復を早めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は霧状圧縮空気供給装置の側面図である。図2は霧状圧縮空気供給装置の平面図である。
図1及び図2に基づいて、一つの実施形態である霧状圧縮空気供給装置の構造を以下に説明する。
図1及び図2に示すように、霧状圧縮空気供給装置の形状は、上から見た形状が楕円形状で、側面から見た形状が下方部は長方形状で上方部は楕円形状からなっている。
【0016】
図1に示すように、霧状圧縮空気供給装置1の構造は、該装置を支持すると共に使用者が仰臥する場所を形成する本体ベース2と、仰臥する使用者を外部の大気圧から隔離する本体カバー3及び透明カバー4のカバー3′から成り、これらの本体ベース2及びカバー3′は、不可撓性で耐圧性の合成樹脂板から構成されている。なお、本体ベース2は前記構成樹脂板より強度の強い金属を用いても良い。
使用者は図1及び図2に示すカバー3′の右側に頭部が、左側に足部が向くように仰臥する。
【0017】
本体ベース2の左上端部及びカバー3′左下端部には蝶番7が設けられており、その蝶番7を中心にしてカバー3′を開閉することができ、その開閉は本体ベース2とカバー3′との間に、図1に示す位置に設けられたカバー開閉用シリンダー6により開閉動させることができる。
前記カバー開閉用シリンダー6の閉動作により本体ベース2に当接して形成される空間であり、使用者が仰臥するための空間であるその空間をカバーする部材をチャンバ5と称する。従って、チャンバ5は本体ベース2とカバー3′から構成されている。
【0018】
本体ベース2の右上端部にはカバー3′を本体ベース2に固定する蓋固定ハンドル8が設けられており、カバー3′が降下して本体ベース2に当接した後に、蓋固定ハンドル8を回動することにより両者が固定される。なお、図示していないが、本体ベース2とカバー3′とが当接する部位にはシールが設けられていて、前記チャンバ5の内圧が高くなったとしても完全にその内圧が漏れないようにシールすることができる。
【0019】
前記カバーの中央部の内部側には、スプレーノズル10が設けられており、該スプレーノズル10の向きが前記チャンバの頭部の方向を向いて取り付けられている。スプレーノズル10の吐出孔からは粒径が10μ程度の極微細な霧(以下、「微細ミスト」という。)が仰臥している使用者の顔の方向に噴霧される。
【0020】
前記スプレーノズル10の右隣の位置で、カバー3′の外部側には排気用バルブ12が設けられており、使用者が霧状圧縮空気供給装置の使用を終了する際に、該排気用バルブ12を開いてチャンバ5の圧縮空気を排出する。チャンバ5の内圧が大気圧と同じになるまで開いている。
本体ベース2の左中段部には僅かな口径の置換用排気口11が設けられており、該置換用排気口11は使用者に新鮮な空気を供給すためのものである。置換用排気口11からチャンバ5内の空気が少量ずつ排気され、新鮮な外部の空気が導入されるようになっている。
【0021】
本体ベース2の左上端部には安全弁13が設けられており、この安全弁13はチャンバ5内の内圧が所定値よりも大きくなったときに、チャンバ5の内圧を自動的に降下させる。
上記したスプレーノズル10、排気用バルブ12は、霧状圧縮空気供給装置1の外部に設けられた霧状圧縮空気供給機構により制御されている。
【0022】
図3は加圧ポンプ21の圧縮空気でチャンバ5内への微細ミストの噴霧を制御する霧状圧縮空気供給機構50のシステムの概念図である。
チャンバ5の中央部に取り付けられたスプレーノズル10から微細ミストの噴霧を制御する霧状圧縮空気供給機構50が接続されている。霧状圧縮空気供給機構50には加圧ポンプ21が設けられており、加圧ポンプ21から送られる空気の流路に粉塵を除去するフィルタ28が設けられている。
【0023】
粉塵を除去された空気は圧縮空気流路41を通って調圧弁26に接続されている。その圧縮空気流路41の途中に酸素発生器24、圧力計25が接続されている。酸素発生器24は、圧縮空気流路41を流れる空気の酸素濃度を所定の濃度に調整するものである。圧力計25は圧縮空気流路41を流れる空気の圧力を測定する機器であり、制御部20は、その測定された圧力に応じて加圧ポンプ21,調圧弁26及び流量調整弁27を監視して制御している。
【0024】
前記圧縮空気流路41は調圧弁26の手前で分岐されていて、その圧縮空気分岐流路42は電磁弁31に接続され、次に貯水容器22に接続されている。貯水容器22は密閉された容器であって、その容器に水が貯留されていて、圧縮空気により水が押圧されて水を流す水分岐流路42に流出される。そして、次にその水分岐流路42は電磁弁29に接続され、更に流量調整弁27に接続されている。流量調整弁27は水分岐流路42を流れる水の流量を調節する弁であり、制御部20と電気的に接続されており、その制御部20を介して流量を調節できる。
【0025】
水分岐流路42は流量調整弁27の手前で更に分岐され、電磁弁30に接続され、次にアロマオイル容器23に接続されている。アロマオイル容器23にはアロマオイルが貯留されている。アロマオイルは植物の香り成分を抽出したオイルで、リラックスの効果や効能があるといわれていて、アロマオイル容器23から分岐流路を流れる水にアロマオイルを混合することにより、微細ミストとして噴霧することでリラックスの効果や効能を生じさせることができる。
上記電磁弁29、30、31は制御部20からの指令により弁の開閉により、水、空気の流路を開閉するものである。
【0026】
なお、貯水容器22と別にアロマオイル容器23を設けて、流路43を介して分岐流路を流れる水にアロマオイルを混合する前記実施形態を説明したが、該アロマオイル容器23を用いないで、貯水容器22に使用者の好みに合わせた濃度でアロマオイルを混合した容器22を準備しておき、使用者の好みに応じて貯水容器22をアロマオイル混合容器22に交換できるように、取り付けても良い。
【0027】
次に、霧状圧縮空気供給装置の利用形態について図1及び図3を参照しながら説明する。
例えば、チャンバ5内の内圧を1.2気圧に加圧して、加圧ポンプ21が始動してから約30分間だけ、スプレーノズル10から微細ミストを噴霧するケースについて説明する。
【0028】
開いたチャンバ5に使用者が仰臥し、カバー3′がゆっくりと降下して閉鎖され、蓋固定ハンドルが回動されて本体ベース2とカバー3′が完全に密封される。制御部20に設けられている加圧ポンプ21のスタートボタン(図示せず)を始動すると、加圧ポンプ21は外部から吸引された空気を加圧して、その圧縮空気(以下、「空気」という。)を圧縮空気流路41及び圧縮空気分岐流路42に流す。急激に空気圧を高めると使用者の身体がその環境に対応できないので、加圧ポンプ21の始動から約5分間の間は徐々に加圧していき、約5分間の時間をかけて目標である1.2気圧に高めていく。
圧縮空気流路41を流れた空気はスプレーノズル10の側部に設けられた流入孔からスプレーノズル10の中に入る
【0029】
一方、水分岐流路42を流れた空気は、制御弁20からの指令により電磁弁31、29が開かれているので、貯水容器22の上部から流入することにより、貯留されている水が押圧されて電磁弁29及び流量調整弁27を通り、スプレーノズル10の後端部に設けられた流入孔からスプレーノズル10の中に入る。スプレーノズル10は2流体ノズルで構成されており、スプレーノズル10内に流入した水と空気は、スプレーノズル10の吐出孔から粒径が10μ程度の極微細な霧である微細ミストとして噴射される。2流体ノズルの構造は公知であるので説明は省略する。
【0030】
チャンバの中央部に取り付けられたスプレーノズル10は、任意の方向に移動可能に取り付けられているので、スプレーノズル10の向きの調節が容易に行える。スプレーノズル10の向きは、チャンバ5に仰臥している使用者の頭部の方向に向いており、使用者の好みに応じて、顔の方向に向かせて直接顔に噴霧するか、又は、直接顔に噴霧するのではなく顔の上を微細ミストが通過する方向を向かせても良い。このスプレーノズル10の向きを、「チャンバの頭部の方向」と称する。
「チャンバの頭部の方向」と記載した場合には、この意味で用いている。
【0031】
上述したようにスプレーノズル10はチャンバ5の中央部に取り付けられている。ここで「チャンバ5の中央部」は、図2に示すカバー3′の頭部から足部を通る中心線Cの中央を含んだその周辺の領域を意味している。スプレーノズル10の向きを、チャンバの頭部の方向を向けて噴霧した場合、微細ミストが噴霧後にすぐにカバー3′の壁部に衝突せずに、使用者の顔に直接、又は、空中を浮遊して使用者の顔の上からあたかも滝の微細な霧が降り注ぐように噴霧できる領域を意味している。例えば、頭部側の近傍にスプレーノズル10を取り付けたとすると、噴霧された霧が透明カバー4の頭部側の曲面に直接衝突して水滴になってしまうので、スプレーノズル10の取り付け位置は、この水滴を生じさせない領域に取り付ける必要があり、また、例えば、足部側の近傍にスプレーノズル10を取り付けたとすると、噴霧された霧が顔の手前で微細な霧が降り注ぐようになってしまうので、スプレーノズル10の取り付け位置は、霧が顔の上からあたかも滝の微細な霧が降り注ぐ領域に取り付ける必要がある。
【0032】
上記の領域にスプレーノズル10を取り付ければ、スプレーノズル10から噴霧された微細ミストは、使用者の顔の上から空中を浮遊して滝の微細な霧が降り注ぐような状態で顔に触れるので、リラックスして爽快な気分になれる。
また、スプレーノズル10から微細ミストが噴霧されるとき、微細ミストは正に帯電し周りの空気は負に帯電する。この現象がレナード効果と呼ばれており、使用者の仰臥した顔の周辺にはこの負イオンが豊富に存在し、体に大変良いとされている。
【0033】
その微細ミストの噴霧量は、加圧ポンプ21のスタートから約5分間の空気圧が増え続けていく間は、それに伴って徐々に増え続けていくので、顔に降り注ぐ微細ミストの量が徐々に増えていくこととなり、更に負イオンの量も徐々に増えていくこととなり、なお一層リラックスして爽快な気分に浸れる状況に使用者は置かれている。
【0034】
上記したように、従来の健康器具は、従来の健康器具が抱える約5分間の間は酸素を取り込めない、エアーチャンバからの圧迫感という問題のために、リラックスした状態で快適に疲労回復等に専念できなかった。しかし、本実施形態の霧状圧縮空気供給装置を利用する使用者は、上記した顔の上からあたかも滝の微細な霧が降り注ぐような状況に置かれているので、圧迫感等の気分を全く感じないでリラックスして爽快な気分に浸れる。
【0035】
加圧ポンプ21のスタートから約5分後に、空気圧が1.2気圧に達した状態になると、スプレーノズル10から噴霧された微細ミストの噴霧量は、約30分間の間、目標とされた量を維持し続ける。しかしながら、上記したように、本体ベース2には置換用排気口11が設けられており、使用者に新鮮な空気を供給すために、チャンバ5内の空気が少量ずつ排気され、新鮮な外部の空気が導入されるので、チャンバ5内の湿度により蒸し暑く感じることはない。
【0036】
反対に、噴霧された微細ミストは、噴霧後すぐに落下せず空中を浮遊しており、顔に当たっても顔に付着しないでまた空中を浮遊するので、顔に付着して顔が濡れることはない。顔に当たってまた空中を浮遊する際には、微細ミストが気化熱により顔から体温を奪っていくので、涼しく感じられる。
チャンバ5の内圧が1.2気圧で、チャンバ5の内圧は外部の大気圧より大きいのでチャンバ5に仰臥している使用者はより多くの酸素を体内に取り込める。
【0037】
ところで、上記したように、従来の健康器具は、圧縮された空気の導入がエアーチャンバ内の温度を3〜4度程度上昇させて、暑苦しい状況を起こしていたが、本実施形態のスプレーノズル10から噴霧される微細ミストが、気化熱により顔から体温を奪っていくので、暑苦しく感じることはなく涼しく感じられる。
【0038】
加圧ポンプ21のスタートから約35分間の間に、制御部20の指令により電磁弁30を操作して、アロマオイル容器23から分岐流路を流れる水にアロマオイルを混合させ、微細ミストとして噴霧することで使用者にリラックスの効果や効能を生じさせることができる。
また、前記約35分間の間に、制御部20の指令により酸素発生器24を稼働させて、酸素富化空気を吐出させて圧縮空気流路41を流れる空気に混合させることもできるので、過疲労に陥っている使用者は疲労回復が早くなる。
【0039】
加圧ポンプ21のスタートから約35分間、スプレーノズル10から微細ミストを噴霧した後は、電磁弁29、31を閉じてスプレーノズル10に水を流さないようにして、空気だけをスプレーノズル10に送り、空吹きを行う。約20分の間、この空吹きを継続してその後加圧ポンプ21を停止する。停止と同時に排気用バルブ12をチャンバ5内の内圧が大気圧と同じになるまで開いている。
【0040】
次に、調圧弁26及び流量調整弁27の機能を説明する。空気が1.2気圧に設定されているときに、その気圧を上限として気圧を下げたいときに、制御部20からの指令により調圧弁26を調整して、加圧ポンプ21から送られてくる気圧を所望の気圧に下げることができる。
一方、流量調整弁27は、スプレーノズル10から噴霧する微細ミストの噴霧量を調節する弁である。制御部20からの指令により流量調整弁27を調整して、スプレーノズル10から噴霧する噴霧量を所望の量に調整することができる。
【0041】
図4は手動用の調圧弁26′及び流量調整弁27′の機能を説明する説明図である。
手動用調圧弁26′はチャンバ5内又はチャンバ5外に設けることができる。手動用調圧弁26′はダイヤルの操作により任意の圧力に調節することができ、また、流量調整弁27′はスライドレバーの操作により任意の流用に調節することができる。
本実施形態の霧状圧縮空気供給装置の利用形態は上記した利用形態に限定されるものではない。制御部20のプログラムにより様々な利用形態を実施することが可能である。
【0042】
なお、上記の実施形態では、チャンバ5が本体ベース2とカバー3′の2部材からなり、その材質が不可撓性で耐圧性の合成樹脂板として説明したが、本発明の霧状圧縮空気供給装置は、これに制限されるものではなく、背景技術の欄で説明したような、チャンバがエアーチャンバからなり、その材質が可撓性で非通気性の合成樹脂製シートのものも含む。
【0043】
なお、エアーチャンバにスプレーノズルを取り付ける位置は、上記実施形態と同様に、エアーチャンバの頭部から足部を通る中心線の中央を含んだその周辺の領域に設ければよく、スプレーノズルの向きを、エアーチャンバの頭部の方向を向けて噴霧した場合、微細ミストが噴霧後にすぐにエアーチャンバの壁部に衝突せずに、空中を浮遊して使用者の顔の上からあたかも滝の微細な霧が降り注ぐように噴霧できる領域に設ければよい。
【0044】
従来の健康器具が必然的に抱えていた問題、即ち、エアーチャンバ内の温度が2〜4度程度上昇する問題、エアーチャンバの空気の高気圧化開始から約5分間の酸素を取り込めない問題、エアーチャンバの壁面から精神的に密閉されているという圧迫感が生じる問題、これらの問題を上記した本実施形態の霧状圧縮空気供給装置1は、微細ミストを噴霧するスプレーノズル10がチャンバ5の中央部に取り付けることにより、これらの全ての問題を解決することが可能となった。
【0045】
チャンバ5の中央部に取り付けられ、微細ミストを噴霧するスプレーノズル10は、空中を浮遊する微細ミストを生成する機能を奏するので、この微細ミストにより圧迫感等の気分を全く感じないでリラックスして爽快な気分に浸れるし、また、顔に当たってまた空中を浮遊する際には、微細ミストが気化熱により顔から体温を奪っていくので、涼しく感じられるし、更に、アロマオイルを混合して微細ミストとして噴霧する機能を奏するので、リラックスの効果や効能を生じさせることができる。
そして、霧状圧縮空気供給機構50の酸素発生器24は、酸素富化空気を空気に混合させる機能を奏するので、過疲労に陥っている使用者は疲労回復を早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】霧状圧縮空気供給装置の側面図である。
【図2】霧状圧縮空気供給装置の平面図である。
【図3】加圧ポンプ1からスプレーノズル間の空気の調圧と水の流量を制御する霧状圧縮空気供給機構のシステムの概念図である。
【図4】手動用調圧弁及び手動用流量調整弁の機能を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 霧状圧縮空気供給装置
2 本体ベース
3 本体カバー
4 透明カバー
5 チャンバ
6 カバー開閉用シリンダー
7 蝶番
8 蓋固定ハンドル
10 スプレーノズル
11 置換用排気口
12 排気用バルブ
13 安全弁
20 制御部
21 加圧ポンプ
22 貯水容器、アロマオイル混合容器
23 アロマオイル容器
24 酸素発生器
25 圧力計
26 調圧弁
27 流量調整弁
28 フィルタ
29 電磁弁
30 電磁弁
31 電磁弁
41 圧縮空気流路
42 圧縮空気分岐流路
43 水分岐流路
50 霧状圧縮空気供給機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者を収容するチャンバと微細ミストの噴霧を制御する霧状圧縮空気供給機構を備え、加圧源から圧縮空気が流路を介して該チャンバに供給される霧状圧縮空気供給装置であって、
前記流路が途中で2分岐されており、一方の流路が圧縮空気を供給し、他方の流路が貯水容器を介して水を供給し、この両流路の各々が前記チャンバの中央部に取り付けられたスプレーノズルに接続され、該スプレーノズルが微細ミストを噴霧することを特徴とする霧状圧縮空気供給装置。
【請求項2】
前記スプレーノズルの向きが前記チャンバの頭部の方向に向いていることを特徴とする請求項1に記載の霧状圧縮空気供給装置。
【請求項3】
前記チャンバが不可撓性で耐圧性の合成樹脂板又は可撓性で非通気性の合成樹脂製シートからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の霧状圧縮空気供給装置。
【請求項4】
前記貯水容器がアロマオイル混合容器と交換可能であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の霧状圧縮空気供給装置。
【請求項5】
前記霧状圧縮空気供給機構の制御部の信号により、アロマオイル容器の流路に接続された電磁弁を操作することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の霧状圧縮空気供給装置。
【請求項6】
前記霧状圧縮空気供給機構の制御部の信号により、前記加圧源からの圧縮空気の流路に接続された酸素発生器を稼働させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の霧状圧縮空気供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−269(P2009−269A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163558(P2007−163558)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(593022906)ファイルド株式会社 (10)
【Fターム(参考)】