説明

静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法

【課題】白点の発生が抑制される静電荷像現像用キャリアの提供。
【解決手段】磁性芯材粒子と、ニオブをドープされた二酸化チタン粒子を含み前記磁性芯材粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電荷像を経て画像情報を可視化する電子写真法は、現在さまざまな分野で利用されている。従来電子写真法においては、潜像保持体(感光体)や静電記録体上に種々の手段を用いて静電荷像を形成し、この静電荷像にトナーと呼ばれる検電性粒子を付着させて静電荷像を現像・可視化する方法が一般的に使用されている。ここで用いる現像剤は、キャリアと呼ばれる粒子とトナー粒子の両者を相互に摩擦帯電させてトナーに適当量の正又は負の電荷を付与する二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いる一成分現像剤に大別される。特に二成分現像剤は、キャリア自身に攪拌、搬送、帯電付与などの機能を持たせ、現像剤に要求される機能の分離を図れるため、設計が容易であることなどの理由で現在広く用いられている。
【0003】
近年、電子写真法による画像形成装置により形成される画像の高画質化、プロセスの高速度化、長期安定性が求められ、高画質化に対応するために、トナーの小粒子化や帯電量の均一化や帯電量の安定化がますます検討されるようになった。トナーの小粒子化に伴いキャリアにおいても小粒子化、狭分布化が検討され、帯電量均一化や安定化に対しても、芯材組成や被覆樹脂組成などさまざまな検討がなされ高機能化が進行している。
【0004】
キャリアに要求される特性としては、トナーを所望の帯電量へ出来るだけ均一に帯電させることである。この特性を得るためにはキャリアとトナーとの混合性をより均一に保ち尚且つキャリア表面の特性をより均一にする必要がある。混合が不十分だったり、キャリア表面が不均一だと帯電量が不均一となりやすい。また、トナーの帯電量を所望の値に調整したり、長期使用による帯電量の安定を得るにはキャリアの電気抵抗を調整してやる必要がある。この方法として、キャリア表面を樹脂でコーティングし、この樹脂層中にカーボンブラックなどの導電粉を分散し、電気抵抗を調整する方法が古くから用いられてきた。
【0005】
樹脂被覆層中において、芯材付近から表面付近へカーボンブラックの濃度勾配をつけ表層のカーボンブラックを減少させたり(例えば、特許文献1参照)、樹脂被覆層を2層構造として内層にカーボンブラック、外層に白色導電粉を使用する(例えば、特許文献2参照)発明が開示されている。
【0006】
また、カーボンブラックの替わりに白色や透明または着色力の弱い導電粉の添加が検討されている。白色導電粉としては二酸化チタン、アルミナ、シリカなどの酸化物が報告されている。
【0007】
また、比較的電気抵抗が低い酸化亜鉛、酸化錫などの酸化金属やさらに電気抵抗を低下させるために金属をドープした酸化金属、例えばアンチモンをドープした酸化錫(例えば、特許文献3参照)や錫をドープした酸化インジウム、アルミをドープした酸化亜鉛などが報告されている。
【0008】
さらに、酸化金属の中で比較的比重が小さい酸化チタンに金属をドープしたものが電荷調整剤として提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−179570号公報
【特許文献2】特開平8−286429号公報
【特許文献3】特開2007−248614号公報
【特許文献4】特開平8−272148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、白点の発生が抑制される静電荷像現像用キャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、請求項1に係る発明は、磁性芯材粒子と、ニオブをドープされた二酸化チタン粒子を含み前記磁性芯材粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリアである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記ニオブをドープされた二酸化チタン粒子に含まれるニオブとチタンとのモル比率が1:200乃至1:5である請求項1に記載の静電荷像現像用キャリアである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記ニオブをドープされた二酸化チタン粒子の体積平均粒子径が5nm以上1000nm以下である請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用キャリアである。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用キャリアと、静電荷像現像用トナーと、を含有する静電荷像現像剤である。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0016】
請求項6に係る発明は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
【0017】
請求項7に係る発明は、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、白点の発生が抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、ニオブをドープされた二酸化チタン粒子の抵抗が望ましい範囲に調整される。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、ニオブをドープされた二酸化チタン粒子の体積平均粒子径が5nm以上1000nm以下の範囲外である場合に比較して、白点の発生がさらに抑制される。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、白点の発生が抑制される静電荷像現像剤が提供される。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、白点の発生が抑制される静電荷像現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高められる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、白点の発生が抑制される静電荷像現像剤を用いた画像形成装置が提供される。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、白点の発生が抑制される静電荷像現像剤を用いた画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】第二実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
<静電荷像現像用キャリア>
本実施形態に係る静電荷像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」と称することがある)は、磁性芯材粒子と、ニオブをドープされた二酸化チタン粒子(以下、特定の二酸化チタン粒子と称することがある)を含み前記磁性芯材粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有するキャリアである。
【0028】
電子写真法による形成画像のカラー化に伴い、キャリアの樹脂被覆層にカーボンブラックを添加したキャリアを含む現像剤を使用した場合に、長期間の現像剤使用により樹脂被覆層が削れてカーボンブラックを含んだ樹脂がトナーに混入し現像されることがある。これにより、印字画像の色汚れや色再現性の低下が発生してしまうことがある。
そのため、白色や透明または着色力の弱い導電粉の使用が検討されているが、カーボンブラックと比較してこれらの導電粉はその粉体抵抗が高く、キャリア抵抗を望ましい値に調整し、カーボンブラックと同等の効果を得るには多くの添加量が必要となる。そのため、樹脂被覆層の強度を保持することができず、長期使用において膜剥がれや削れが発生してしまうことがある。
また、カーボンブラックよりも大きな比重を示す導電粉を用いた場合、樹脂被覆層中にカーボンブラック同等の導電ルートを確保するにはカーボンブラックよりも多くの添加量が必要となる。また被覆樹脂と導電粉との比重差が大きい為、キャリアを生産する際の樹脂被覆工程において、導電粉を溶剤中に分散したり、被覆樹脂中に分散する際に、導電粉の沈降や凝集が発生しやすく、樹脂被覆層中に導電粉の塊などができてしまうことがある。すると、現像剤として長期使用した際に、高温高湿下において現像電圧などが導電粉の塊よりリークしてしまい、画像が白点状に抜ける画像欠損(白点という場合がある)を発生させてしまうことがある。
【0029】
本発明者は、鋭意研究した結果、磁性芯材粒子とこの磁性芯材粒子を被覆する樹脂被覆層を有する静電荷像現像用キャリアにおいて、樹脂被覆層中に導電粉としてニオブをドープされた二酸化チタン粒子を含有させることにより、キャリアの電気抵抗を望ましい値に制御し、長期にわたって安定したトナー帯電量が得られ、尚且つ長期使用の際において導電粉の凝集物が起因となる電荷リークによる白点の発生等の画像欠陥の少ないキャリアが得られることを見出した。
【0030】
本実施形態に係るキャリアは、磁性芯材粒子と、導電材料として特定の二酸化チタン粒子を含み前記磁性芯材粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有するものである。以下、本実施形態に係るキャリアの構成について説明する。
【0031】
本実施形態において、磁性芯材粒子としては、一般に磁性金属、磁性酸化物、或いは磁性粒子を内部分散した樹脂粒子がある。しかし、これらは親水性であり高湿下において帯電性が低下する欠点を有することから帯電性の環境変動が大きい、また高表面エネルギー材料である為にトナー成分で汚染されやすく、帯電性の維持性が悪いといった問題がある。よって、キャリア表面は疎水性、或いは低表面エネルギーである樹脂で被覆することにより前述の帯電に関する諸問題が改善される。一方、絶縁性である樹脂により高い被覆率で芯材表面が被覆されると、キャリアとしての電気抵抗が上昇し、ベタ画像の再現性が悪化することがある。この為、電気抵抗の上昇を回避する目的で帯電制御剤や導電材料を被覆層内に分散させる必要がある。
【0032】
樹脂被覆層を磁性芯材粒子表面へ被覆形成する樹脂被覆工程において、代表的な方法としては、樹脂可溶な溶媒に樹脂と導電材料などを投入して被覆層形成用溶液とし、磁性芯材粒子を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を磁性芯材粒子の表面に噴霧するスプレー法、磁性芯材粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で磁性芯材粒子と被覆層形成用溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられるが、本実施形態においてはニーダーコーター法において製造されることが望ましい。
【0033】
本実施形態で使用する磁性芯材粒子としては、特に制限されるものではないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、磁性粒子を内部分散した樹脂粒子などが挙げられる。本実施形態においては、磁性材料を使用することが必要であり、磁性粉を単独で芯材に用いるもの、あるいは磁性粉を粒子化し、樹脂中に分散させたものが挙げられる。
磁性芯材粒子の体積平均粒子径としては、15μm以上100μm以下が望ましい。
【0034】
本実施形態で使用される被覆樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリアクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。特に望ましくは、ポリスチレン、ポリアクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0035】
また本実施形態に係る樹脂被覆層には、ワックスを含有させてもよい。ワックスは疎水性であり、かつ常温においても比較的柔らかく膜強度が低い。これはワックスの分子構造に由来するが、この特性の為に樹脂被覆層にワックスが存在すると、トナー表面に添加されている外添剤と称する微小な粒子、あるいはトナーバルク成分といったトナー成分がキャリア表面に付着し難い。また付着したとしてもその付着部分におけるワックスの分子レベルの剥離によって表面が一新されキャリア表面は付着汚染され難いという効果がある。
【0036】
ワックスとしては特に制限するものではなく、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等である。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等を利用してもよい。また、その他公知のワックスを使用してもよい。ワックスの溶融温度は60℃以上、200℃以下が好ましい。更に望ましくは、ワックスの溶融温度は80℃以上、150℃以下であってもよい。60℃未満ではキャリアとしての流動性が悪化することがある。
なお、ワックスのガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS 7121−1987に準拠して測定された値をいう。
【0037】
本実施形態に係る樹脂被覆層に含有させてもよい帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、ベンゾイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、トリフェニルメタン系化合物、サリチル酸金属塩錯体、アゾ系クロム錯体、銅フタロシアニンなど、公知のいかなるものでもかまわない。特に望ましくは四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミドが挙げられる。
【0038】
本実施形態においては、色汚れや色再現性の劣化を極力抑制する必要がある為、白色又は透明な帯電制御剤や、着色度の低い帯電制御剤を選択するか、着色力の高い帯電制御剤であれば添加量を抑制する必要がある。これらの帯電制御剤は分散状態の制御がし易く、また、被覆樹脂界面との密着性が良いため、樹脂被覆層からの帯電制御剤の脱離が抑制される。また、帯電制御剤が導電材料の分散助剤として働き、樹脂被覆層中の特定の二酸化チタン粒子の分散状態が均一化され、若干の樹脂被覆層剥れが生じてもキャリア抵抗変化が抑制される。
【0039】
本実施形態に使用される帯電制御剤の添加量としては磁性芯材粒子100質量部に対して、望ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。より望ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下である。帯電制御剤の添加量が5質量部を超えると樹脂被覆層の強度が低下し、使用時のストレスにより変質しやすいキャリアになることがある。帯電制御剤の添加量が0.001質量部未満であると帯電制御剤の機能が十分に発揮できないだけでなく、導電材料の分散性が向上しないことがある。
【0040】
また帯電低下抑制として窒素含有樹脂を粒子状にして使用してもよい。特にウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アミド樹脂は正帯電性が高く、また樹脂硬度が高いため樹脂被覆層の剥がれなどによる帯電量の低下が抑制されるため望ましい。
【0041】
本実施形態において使用される窒素含有樹脂粒子の添加量としては磁性芯材粒子100質量部に対して、望ましくは0.01質量部以上5質量部以下である。より望ましくは0.1質量部以上0.5質量部以下である。窒素含有樹脂粒子の添加量が5質量部を超えると樹脂被覆層の強度が低下し、使用時のストレスにより変質しやすいキャリアになることがある。窒素含有樹脂粒子の添加量が0.01質量部未満であると帯電量低下の抑制機能が十分に発揮できないことがある。
【0042】
本実施形態において導電材料としては、特定の二酸化チタン粒子を使用することが必須であるが、一般的な導電材料を併用してもかまわない。例えば、金、銀、銅といった金属や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、アンチモンをドープされた酸化錫、錫をドープされた酸化インジウム、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛、金属で被覆した樹脂粒子、カーボンブラック等が例示されるが、本実施形態においては、色汚れや色再現性の劣化を極力抑制する必要がある為、白色、透明な物や着色度の低い導電材料を選択するか、カーボンブラックなど着色力の高い導電材料であれば添加量を極力抑制する必要がある。
【0043】
本実施形態において、ニオブのドープとは二酸化チタン結晶のチタン元素の一部をニオブ元素で置き換えることであり、添加したニオブの一部でもドープされていれば良い。二酸化チタンにニオブ、タンタル、タングステンなどをドープすることにより二酸化チタンと比較して電気抵抗が低下するが、電気抵抗低下率から特にニオブが優れる。
【0044】
ドープされるニオブの量としては、特定の二酸化チタン粒子に含まれるニオブとチタンとのモル比率として1:200乃至1:5が望ましく、1:100乃至1:10がさらに望ましい。1:200よりニオブが少ないと二酸化チタンと比較しても電気抵抗を下げる効果が少なく、1:5よりニオブを多くしても、それ以上の抵抗低下効果がない場合がある。また、1:5よりニオブを多くすることは製造上困難を伴う場合がある。
【0045】
特定の二酸化チタン粒子にドープされているニオブの量(特定の二酸化チタン粒子に含まれるニオブとチタンとのモル比率)の測定は、下記方法により求められる。
ニオブを含有した特定の二酸化チタン粒子を硫酸及びフッ酸の混合液に溶解した後、プラズマ発光分光分析装置で分析し、モル比率を測定する。この粒子及び本粒子とニオブとチタンのモル比率と同じ酸化ニオブ、酸化チタン混合物を別途準備し、それぞれX線回折分析装置を使用し、CuKα線のX線で酸化チタン、酸化ニオブの強度より酸化ニオブの減量分を測定しドープしたニオブの量が測定される。
本実施形態に係るキャリアから特定の二酸化チタン粒子を抽出する方法としては、下記方法が挙げられる。
ビーカーに秤量したキャリアに、被覆樹脂溶解性の有機溶剤(例えばクロロホルムなど)と混合し超音波分散装置で超音波をかけ、ビーカー底部に磁石を当て被覆樹脂及び二酸化チタン粒子を含んだ有機溶剤を回収する。本操作を3回繰り返し芯材粒子を完全に分離する。回収した有機溶剤を遠心分離機にかけ沈降物を乾燥させ二酸化チタン粒子が抽出される。
【0046】
本実施形態において、特定の二酸化チタン粒子の体積平均粒子径は5nm以上1000nm以下が望ましく、15nm以上200nm以下がさらに望ましい。特定の二酸化チタン粒子の体積平均粒子径を5nmより小さくすると樹脂被覆層中での分散が困難となり樹脂被覆層の強度を低下させてしまうことがある。特定の二酸化チタン粒子の体積平均粒子径を1000nmより大きくすると、樹脂被覆層から特定の二酸化チタン粒子が露出しやすくなり、電気抵抗が低下しやすくなり、白点が生じやすくなることがある。
本実施形態において、特定の二酸化チタン粒子の体積平均粒子径は下記方法により求められた値をいう。
抽出した特定の二酸化チタン粒子に界面活性剤を添加し超音波分散機で分散し、ナノ粒子アナライザー DelsaNano S(ベックマンコールター社製)を使用し体積平均粒子径が測定される。
【0047】
本実施形態において特定の二酸化チタン粒子の作成方法は一般的な複合酸化金属粒子を作成する方法であれば、特に限定するものではなく、粉砕などの固相法、火炎法、プラズマ法、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相法や共沈法、均一沈殿法、金属アルコキシ法、噴霧乾燥法などの液相法などが挙げられる。これらの中でも、粒径の制御性や不純物の混入が少ないなどの理由より乾式気相法が望ましい。
【0048】
本実施形態においては、特定の二酸化チタン粒子の抵抗を望ましい値に調整する為に、粒子化前のニオブをドープされた二酸化チタンバルクや粒子化したニオブをドープされた二酸化チタンを還元雰囲気中で加熱処理したり、アルカリ処理後熱処理をしてもよい。
【0049】
二酸化チタンはアナターゼ型とルチル型などの結晶形がある事が知られている。本実施形態に係る特定の二酸化チタン粒子においてもアナターゼ型とルチル型の結晶形が殆どであり、アナターゼ型が多いほど抵抗が低下するためアナターゼ型の含有率が70%以上である事が望ましい。
【0050】
アナターゼ型とルチル型の比率はX線回折分析装置を使用し、CuKα線のX線を使用してアナターゼ(101)回折線、ルチル(110)回折線の強度比より求められる。
【0051】
本実施形態において特定の二酸化チタン粒子の電気抵抗は10−5Ω・cm以上10Ω・cm以下である事が望ましく、更に望ましくは10−3Ω・cm以上10Ω・cm以下である。10−5Ω・cmよりも抵抗が低い特定の二酸化チタン粒子は現行において製造が困難であり、10Ω・cmよりも抵抗が高い特定の二酸化チタン粒子では本実施形態に係るキャリアを所望の電気抵抗にする為に多くの添加量が必要となることがある。
【0052】
前記被覆層形成用溶液の調製に使用する溶剤は、前記被覆樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などが使用される。
【0053】
前記樹脂被覆層の平均膜厚は、通常0.1μm以上10μm以下であるが、経時にわたり安定したキャリアの体積固有抵抗を発現させるため、0.5μm以上3μm以下であることが望ましい。
また、特定の二酸化チタン粒子の量は、樹脂被覆層を構成する樹脂成分に対して3質量%以上20質量%以下が望ましく、さらに望ましくは5質量%以上10質量%以下の範囲である。
【0054】
本実施形態に係るキャリアの体積固有抵抗値は、高画質を達成するために、通常の現像コントラスト電位の上下限に相当する1000V時において、10Ω・cm以上1014Ω・cm以下であることが望ましく、10Ω・cm以上1013Ω・cm以下であることがより望ましい。
キャリアの体積固有抵抗値が10Ω・cm未満であると、キャリアから感光体(潜像保持体)へ移行する電荷が増え、白点を生じやすくなることがある。一方、キャリアの体積固有抵抗が1014Ω・cmより大きいと、黒ベタ画像や、ハーフトーン画像での色汚れが生じることがある。
【0055】
本実施形態に係るキャリアの体積平均粒子径としては、15μm以上100μm以下が望ましい。
【0056】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤(以下、単に「現像剤」と称することがある)は、本実施形態に係るキャリアとトナーとを含有する。本実施形態に係る現像剤は、本実施形態に係るキャリアおよびトナーを適当な配合割合で混合することにより調製される。キャリアの含有量((キャリア)/(キャリア+トナー)×100)としては、85質量%以上99質量%以下の範囲が望ましく、より望ましくは87質量%以上98質量%の範囲、さらに望ましくは89質量%以上97質量%以下の範囲である。
【0057】
以下、本実施形態に係る静電荷像現像剤に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有し、必要に応じて離型剤およびその他の成分を含有する。また、本実施形態に用いられるトナーには、上記構成からなるいわゆるトナー粒子の他、種々の目的で外添剤が添加されていることが望ましい。
【0058】
本実施形態に用いられるトナーには、公知の結着樹脂や各種の着色剤等を使用してもよい。本実施形態に用いられるトナーにおける結着樹脂としては、ポリエステル樹脂のほかに、ポリオレフィン樹脂、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等などを単独で用いてもよいしまたは併用してもよい。
【0059】
本実施形態に用いられるトナーにおける着色剤としては、シアンの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などを用いてもよい。
【0060】
また、マゼンタの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同50、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどを用いてもよい。
【0061】
また、イエローの着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などを用いてもよい。
【0062】
さらに、ブラックトナーの場合には、その着色剤として、例えば、カーボンブラック、活性炭、チタンブラック、磁性粉、Mn含有の非磁性粉などを用いてもよい。
【0063】
更に、本実施形態に用いられるトナーは、帯電制御剤を含有することが望ましく、ニグロシン、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、キレート錯体等を用いてもよい。
また、外添剤として、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素粒子、アクリル粒子等を併用して用いてもよい。該シリカとしては、TG820(キャボット社製)、HVK2150(クラリアント社製)等の市販品を使用してもよい。
【0064】
更に又、本実施形態に用いられるトナーは、離型剤を含有することが望ましく、該離型剤としては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N′ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0065】
本実施形態において、トナー(トナー粒子)の製造方法は特に限定されないが、高画質を得るために、湿式製法で作製されることが望ましい。湿式製法としては、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された結着樹脂分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が挙げられる。また、上記方法で得られたトナー粒子をコアにして、更に樹脂粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。また、一般の粉砕分級法により得られたトナー粒子でもよい。
【0066】
<画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を本実施形態に係る静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備えるものである。本実施形態に係る画像形成装置は、必要に応じて潜像保持体表面を清掃する潜像保持体清掃手段等を含むものであってもよい。
【0067】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱される、本実施形態に係るプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0068】
本実施形態に係る画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を本実施形態に係る静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を含む本実施形態に係る画像形成方法が実施される。
【0069】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。
図1は、第一実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。画像形成装置301は、帯電部310と、露光部312と、潜像保持体である電子写真感光体314と、現像部316と、転写部318と、クリーニング部320と、定着部322とを備える。
【0070】
画像形成装置301において、電子写真感光体314の周囲には、電子写真感光体314の表面を帯電する帯電手段である帯電部310と、帯電された電子写真感光体314を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する静電荷像形成手段である露光部312と、静電荷像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段である現像部316と、電子写真感光体314の表面に形成されたトナー像を記録媒体324の表面に転写する転写手段である転写部318と、転写後の電子写真感光体314表面上に残存したトナー等の異物を除去して電子写真感光体314の表面を清掃する潜像保持体清掃手段であるクリーニング部320とがこの順で配置されている。また、記録媒体324に転写されたトナー像を定着する定着手段である定着部322が転写部318の側方に配置されている。
【0071】
本実施形態に係る画像形成装置301の動作について説明する。まず、帯電部310により電子写真感光体314の表面が帯電される(帯電工程)。次に、露光部312により電子写真感光体314の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電荷像が形成される(静電荷像形成工程)。その後、静電荷像が現像部316により現像され、電子写真感光体314の表面にトナー像が形成される(現像工程)。例えば、電子写真感光体314として有機感光体を用い、露光部312としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体314の表面は、帯電部310により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部316でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像部316にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写部318で、用紙等の記録媒体324がこのトナー像に重ねられ、記録媒体324の裏側からトナーとは逆極性の電荷が記録媒体324に与えられ、静電気力によりトナー像が記録媒体324に転写される(転写工程)。転写されたトナー像は、定着部322において定着部材により熱および圧力が加えられ、記録媒体324に融着されて定着される(定着工程)。一方、転写されずに電子写真感光体314の表面に残存したトナー等の異物はクリーニング部320で除去される(クリーニング工程)。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図1において、転写部318で用紙等の記録媒体324に直接トナー像が転写されているが、中間転写体等の転写体を介して転写されてもよい。
【0072】
以下、図1の画像形成装置301における帯電手段、潜像保持体、静電荷像形成手段(露光手段)、現像手段、転写手段、潜像保持体清掃手段、定着手段について説明する。
【0073】
(帯電手段)
帯電手段である帯電部310としては、例えば、図1に示すようなコロトロンなどの帯電器が用いられるが、導電性または半導電性の帯電ロールを用いてもよい。導電性または半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体314に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電部310により、電子写真感光体314との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより電子写真感光体314表面を帯電させる。なお、通常は、−300V以上−1000V以下に帯電される。また前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でもよい。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
【0074】
(潜像保持体)
潜像保持体は、少なくとも潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。潜像保持体としては、電子写真感光体が好適に挙げられる。電子写真感光体314は、円筒状の導電性の基体外周面に有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、基体上に、必要に応じて下引き層、および、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層がこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、望ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
【0075】
(静電荷像形成手段)
静電荷像形成手段(露光手段)である露光部312としては、特に制限はなく、例えば、潜像保持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。
【0076】
(現像手段)
現像手段である現像部316は、潜像保持体上に形成された潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択すればよいが、例えば、静電荷像現像用トナーをブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体314に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。電子写真感光体314には、通常直流電圧が使用されるが、さらに交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0077】
(転写手段)
転写手段である転写部318としては、例えば、図1に示すような記録媒体324の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録媒体324に与え、静電気力によりトナー像を記録媒体324に転写するもの、あるいは記録媒体324に直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロールおよび転写ロール押圧装置を用いればよい。転写ロールには、潜像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、紙等の記録媒体324に直接転写する方式でも、中間転写体を介して記録媒体324に転写する方式でもよい。
【0078】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いればよい。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが望ましい。
【0079】
(潜像保持体清掃手段)
潜像保持体清掃手段であるクリーニング部320については、潜像保持体上の残留トナー等の異物を清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、選定して差し支えない。
【0080】
(定着手段)
定着手段(画像定着装置)である定着部322としては、記録媒体324に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、定着部材を具備する。
【0081】
(記録媒体)
トナー像を転写する記録媒体324としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録媒体の表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を使用してもよい。
【0082】
また特公平2−21591で提案されているトリクル現像と組み合わせることにより、更に長期に安定した画像形成がなされる。
【0083】
図2は、第二実施形態に係る画像形成装置である4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0084】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
【0085】
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0086】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0087】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0088】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0089】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。
現像効率、画像粒状性、階調再現性等の観点から、直流成分に交流成分を重畳させたバイアス電位(現像バイアス)を現像剤保持体に付与してもよい。具体的には、現像剤保持体直流印加電圧Vdcを−300乃至−700Vとしたとき、現像剤保持体交流電圧ピーク幅Vp−pを0.5乃至2.0kVの範囲としてもよい。
イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
【0090】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0091】
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0092】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0093】
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
【0094】
トナー像を転写する記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
【0095】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0096】
図3は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、現像装置111とともに、感光体107、帯電ローラ108、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図3において符号300は記録媒体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
【0097】
図3で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
【0098】
次に、トナーカートリッジについて説明する。トナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するものである。なお、トナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
【0099】
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0100】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0101】
[特定の二酸化チタン粒子1の作製]
ホソカワミクロン社製ナノクリエータFCM−MINIを使用し、チタン、ニオブそれぞれの有機金属塩溶液をチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが95:5となるように混合した。混合した原料溶液をプロパンガスと酸素ガスを混合燃焼した火炎中に噴霧しフィルタで補修して、特定の二酸化チタン粒子1を得た。特定の二酸化チタン粒子1に含まれるチタンとニオブとのモル比率は19:1であった。
【0102】
得られた粒子をナノ粒子アナライザー DelsaNano S(ベックマンコールター社製)を使用し測定したところ体積平均粒子径が21nmであった。
【0103】
また粉体抵抗測定システム MCP−PD51型(三菱化学アナテリック社製)を使用し対極電極プローブ、印加電圧10V、圧力25MPaでの体積抵抗率を粉体抵抗としたところ、特定の二酸化チタン粒子1の粉体抵抗は4×10Ω・cmであった。
【0104】
[特定の二酸化チタン粒子2の作製]
高周波(RF)マグネトロンスパッタリング装置で還元処理済みのTi0.963Nb0.037のターゲットをガラス上に酸素・アルゴン混合気体中で蒸着処理を実施し20nmの膜を得た。蒸着後更に水素雰囲気の中で500℃で2時間処理を行った。ガラス上から膜を剥離回収し、特定の二酸化チタン粒子2を得た。チタンとニオブとのモル比率は26:1、体積平均粒子径32nm、粉体抵抗は2×10Ω・cmであった。
【0105】
[特定の二酸化チタン粒子3の作製]
チタン、ニオブそれぞれの有機金属塩溶液のチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが250:1にすること以外は特定の二酸化チタン粒子1の作製と同様の方法で特定の二酸化チタン粒子3を得た。チタンとニオブとのモル比率は250:1、体積平均粒子径22nm、粉体抵抗は8×106Ω・cmであった。
【0106】
[特定の二酸化チタン粒子4の作製]
チタン、ニオブそれぞれの有機金属塩溶液のチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが199:1にすること以外は特定の二酸化チタン粒子1の作製と同様の方法で特定の二酸化チタン粒子4を得た。チタンとニオブとのモル比率は199:1、体積平均粒子径24nm、粉体抵抗は1×105Ω・cmであった。
【0107】
[特定の二酸化チタン粒子5の作製]
五塩化ニオブ及びアナターゼ二酸化チタンそれぞれのチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが5:1になるように五塩化ニオブ及びアナターゼ二酸化チタン粒子を秤量し、特級エタノールに秤量した五塩化ニオブを溶解し、これに秤量したアナターゼ二酸化チタン粒子を添加し4時間攪拌した後、真空乾燥機で乾燥させた。乾燥した粉末を電気炉で空気中700℃で8時間加熱後、冷風で急冷し振動ミルで粉砕した。この焼成工程を3回繰り返した後、更に水素中500℃で3時間加熱後冷却し振動ミルで粉砕し、特定の二酸化チタン粒子5を得た。チタンとニオブとのモル比率は5:1、体積平均粒子径150nm、粉体抵抗は1×103Ω・cmであった。
【0108】
[特定の二酸化チタン粒子6の作製]
五塩化ニオブ及びアナターゼ二酸化チタンそれぞれのチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが4:1になるように五塩化ニオブ及びアナターゼ二酸化チタン粒子の量を変更する以外は特定の二酸化チタン粒子5の作製と同様の方法で特定の二酸化チタン粒子6を得た。チタンとニオブとのモル比率は4:1、体積平均粒子径165nm、粉体抵抗は1×104Ω・cmであった。
【0109】
[特定の二酸化チタン粒子7の作製]
五塩化ニオブ及びアナターゼ二酸化チタンそれぞれのチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが19:1になるように五塩化ニオブ及びアナターゼ二酸化チタン粒子の量を変更する以外は特定の二酸化チタン粒子5の作製と同様の方法で特定の二酸化チタン粒子7を得た。チタンとニオブとのモル比率は19:1、体積平均粒子径185nm、粉体抵抗は8×102Ω・cmであった。
【0110】
[特定の二酸化チタン粒子8の作製]
五酸化二ニオブ及びアナターゼ二酸化チタンそれぞれのチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが19:1になるように五酸化二ニオブ及びアナターゼ二酸化チタン粒子を秤量し、特級エタノール中で混合し4時間攪拌した後、真空乾燥機で乾燥させた。乾燥した粉末を電気炉で空気中700℃で8時間加熱後、冷風で急冷し振動ミルで粉砕した。この焼成工程を3回繰り返した後、更に水素中500℃で3時間加熱後冷却し振動ミルで粉砕し、特定の二酸化チタン粒子8を得た。チタンとニオブとのモル比率は19:1、体積平均粒子径920nm、粉体抵抗は5×103Ω・cmであった。
【0111】
[特定の二酸化チタン粒子9の作製]
五酸化二ニオブ及びアナターゼ二酸化チタンそれぞれのチタン及びニオブ元素含有量のモル比でチタン:ニオブが19:1になるように五酸化二ニオブ及びアナターゼ二酸化チタン粒子を秤量し、特級エタノール中で混合し4時間攪拌した後、真空乾燥機で乾燥させた。乾燥した粉末を電気炉で空気中700℃で8時間加熱後、冷風で急冷し振動ミルで粉砕した。この焼成工程を3回繰り返した後、更に水素中500℃で3時間加熱後冷却しサンプルミキサーで粉砕し、特定の二酸化チタン粒子9を得た。チタンとニオブとのモル比率は19:1、体積平均粒子径1100nm、粉体抵抗は2×103Ω・cmであった。
【0112】
[被覆層形成用溶液1の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・7部
・特定の二酸化チタン粒子1 ・・・・・2部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子1、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液1を得た。
【0113】
[被覆層形成用溶液2の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃)・・・・・7.5部
・特定の二酸化チタン粒子2 ・・・・・1.5部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子2、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液2を得た。
【0114】
[被覆層形成用溶液3の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃)・・・・・6.5部
・特定の二酸化チタン粒子3 ・・・・・2.5部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子3、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液3を得た。
【0115】
[被覆層形成用溶液4の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・7部
・特定の二酸化チタン粒子4 ・・・・・2部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子4、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液4を得た。
【0116】
[被覆層形成用溶液5の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・7部
・特定の二酸化チタン粒子5 ・・・・・2部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子5、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液5を得た。
【0117】
[被覆層形成用溶液6の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・7部
・特定の二酸化チタン粒子6 ・・・・・2部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子6、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液6を得た。
【0118】
[被覆層形成用溶液7の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃)・・・・・7.2部
・特定の二酸化チタン粒子7 ・・・・・1.8部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子7、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液7を得た。
【0119】
[被覆層形成用溶液8の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・7部
・特定の二酸化チタン粒子8 ・・・・・2部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子8、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液8を得た。
【0120】
[被覆層形成用溶液9の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・7部
・特定の二酸化チタン粒子9 ・・・・・7部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、特定の二酸化チタン粒子9、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液9を得た。
【0121】
[被覆層形成用溶液10の作製]
トルエンを34部、特定の二酸化チタン粒子1を8部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液10を得た。
【0122】
[被覆層形成用溶液11の作製]
トルエンを35部、特定の二酸化チタン粒子1を7部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液11を得た。
【0123】
[被覆層形成用溶液12の作製]
トルエンを39部、特定の二酸化チタン粒子1を3部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液12を得た。
【0124】
[被覆層形成用溶液13の作製]
トルエンを39.5部、特定の二酸化チタン粒子1を2.5部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液13を得た。
【0125】
[被覆層形成用溶液14の作製]
トルエンを41部、特定の二酸化チタン粒子1を1部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液14を得た。
【0126】
[被覆層形成用溶液15の作製]
トルエンを41.2部、特定の二酸化チタン粒子1を0.8部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液15を得た。
【0127】
[被覆層形成用溶液16の作製]
トルエンを41.5部、特定の二酸化チタン粒子1を0.5部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液16を得た。
【0128】
[被覆層形成用溶液17の作製]
トルエンを41.8部、特定の二酸化チタン粒子1を0.2部にした以外は被覆層形成用溶液1と同様に被覆層形成用溶液17を得た。
【0129】
[被覆層形成用溶液18の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・8部
・カーボンブラック(VXC−72:キャボット社製 粉体抵抗4×10−2Ω・cm) ・・・・・1部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、カーボンブラック、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液18を得た。
【0130】
[被覆層形成用溶液19の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・6部
・導電粒子(MT150AW 二酸化チタン:テイカ社製 粒径15nm 粉体抵抗4×10Ω・cm) ・・・・・3部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、導電粒子、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液19を得た。
【0131】
[被覆層形成用溶液20の作製]
・トルエン ・・・・・40部
・スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(ガラス移転温度70℃) ・・・・・6部
・プラズマ合成によるアルミニウムドープチタニア粒子(アイエスアイ社製、 ASTAC、平均粒径20nm、アルミニウムドープ量:3%) ・・・・・3部
・架橋メラミン樹脂粒子(エポスタS:日本触媒社製)・・・・・1部
スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(被覆樹脂)、アルミニウムドープチタニア粒子、架橋メラミン樹脂粒子をトルエンに投入してサンドミルで攪拌分散し被覆層形成用溶液20を得た。
【0132】
<実施例1>
〔キャリアの調製〕
・フェライト粒子(Mn−Mgフェライト、真比重4.7g/cm、体積平均粒径40μm、飽和磁化 60emu/g) ・・・・・100部
・被覆層形成用溶液1・・・・10部
フェライト粒子(磁性芯材粒子)と被覆層形成用溶液1を加圧式ニーダーに投入し60℃に加熱後、温度を60℃に保ち10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した。更に70℃に加熱、減圧してトルエンを留去した。樹脂被覆層形成キャリアを目開き75μmの網で篩分してキャリア1を得た。
キャリア1の抵抗(キャリア抵抗)は、2枚の極板電極の間にキャリア粒子を挟み、電圧を印加した時の電流を測定する、通常の極板間式電気抵抗測定法により体積固有抵抗値として求めた。1000V印加電圧時の値を測定したところ、5×10Ωcmであった。
【0133】
乳化凝集法にて作製した外添トナー(体積平均粒子径5.5μm)8部とキャリア1の100部をVブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、125μm網目のシーブを用いて篩分を行い、現像剤1を得た。
【0134】
上記現像剤を用いてFuji Xerox社製複写機Docu Centre Color 500改造機により28℃85%HR環境下で5%印字チャートを100000枚印字し、初期(10枚目)、10000枚、50000枚、80000枚、及び100000枚印字前後での色汚れ及び白点の評価を行った。色汚れが目視で明確に解る場合×、目視で若干気になる場合△、まったく解らない場合を○とし、白点が5個以上を×、2固以上4個以下を△、1個以下のものを○として評価した。得られた結果を表1に示す。なお、評価が×になった段階でその評価は中止した。
【0135】
<実施例2乃至17>
実施例1の被覆層形成用溶液1を被覆層形成用溶液2乃至17に変更する以外は実施例1と同じようにキャリア2乃至17及び現像剤2乃至17を作成し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0136】
<比較例1乃至3>
実施例1の被覆層形成用溶液1を被覆層形成用溶液18乃至20に変更する以外は実施例1と同じようにキャリア18乃至20及び現像剤18乃至20を作成し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
実施例の結果が示すように、特定の二酸化チタン粒子を使用することにより、色汚れが無く、長期使用においても白点の発生が生じにくい現像剤が得られることが分かる。
【符号の説明】
【0139】
1Y、1M、1C、1K、107、314 感光体(電子写真感光体)
2Y、2M、2C、2K、108、310 帯電ローラ(帯電部)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110、312 露光装置(露光部)
4Y、4M、4C、4K、111、316 現像装置(現像部)
5Y、5M、5C、5K、318 1次転写ローラ(転写部)
6Y、6M、6C、6K、113、320 感光体クリーニング装置(クリーニング部)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28、115、322 定着装置(定着部)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300、324 記録紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性芯材粒子と、ニオブをドープされた二酸化チタン粒子を含み前記磁性芯材粒子を被覆する樹脂被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリア。
【請求項2】
前記ニオブをドープされた二酸化チタン粒子に含まれるニオブとチタンとのモル比率が1:200乃至1:5である請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項3】
前記ニオブをドープされた二酸化チタン粒子の体積平均粒子径が5nm以上1000nm以下である請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用キャリアと、静電荷像現像用トナーと、を含有する静電荷像現像剤。
【請求項5】
請求項4に記載の静電荷像現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
【請求項7】
潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を含む画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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