説明

静電荷現像用トナー及び静電荷現像用トナーの製造方法

【課題】感光体表面のクリーニング性能を確保しつつ、画像流れを抑制することのできる静電荷現像用トナー及び静電荷現像用トナーの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子からなる静電荷現像用トナーにおいて、静電荷現像用トナーが酸化防止剤微粒子を脂肪酸金属塩粒子に担持させてなる複合粉体粒子を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷現像用トナー及び静電荷現像用トナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置は、省エネルギーの観点から、トナーの低温定着化が進んでいる。また、カラー電子写真方式の画像形成装置の高速化により、カラー商業印刷領域への進出が目覚しい。
このような画像形成装置において、画像流れを抑制し、かつ、感光体表面に付着したトナー等の除去を行うことのできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、酸化防止剤粒子と脂肪酸金属塩とを溶融した後、この溶融材料を金型に入れて冷却固化して得られる成形物を、感光体表面のクリーニング手段のブラシロールとして使用している。ブラシロールは、感光体に付着したトナーを除去するとともに、脂肪族金属塩を感光体表面に供給して滑剤として機能させ、感光体表面へのトナーの付着力を低減してクリーニング性を向上させ、かつ、感光体の磨耗を低減している。さらに、ブラシロールに酸化防止剤が含有されていることから画像流れを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−258177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像流れを抑制する手段として、画像形成装置を改良するのではなく、トナーに酸化防止剤粒子を添加することによって画像ボケを抑制する技術も一般的である。しかしながら、酸化防止剤をトナーに添加するために、酸化防止剤をそのまま粉砕・小径化すると、静電付着が大きく収率が低下してしまうという問題がある。一方、酸化防止剤粒子を大径で使用すると、転写ムラが発生してしまう。また、感光体表面のクリーニング性能を確保することも課題とされており、画像流れの抑制及び感光体表面のクリーニング性能の確保の両立が要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、感光体表面のクリーニング性能を確保しつつ、画像流れを抑制することのできる静電荷現像用トナー及び静電荷現像用トナーの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1の発明によれば、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子からなる静電荷現像用トナーにおいて、
前記静電荷現像用トナーが酸化防止剤微粒子を脂肪酸金属塩粒子に担持させてなる複合粉体粒子を含有することを特徴とするトナーが提供される。
【0006】
請求項2の発明によれば、水溶性脂肪酸金属塩水溶液と無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させたのち、酸化防止剤微粒子を分散させた酸化防止剤水系分散溶液を混合した混合分散液を製造する工程、または、水溶性脂肪酸金属塩水溶液に前記酸化防止剤水系分散溶液を混合したのち無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させた混合分散液を製造する工程と、
前記混合分散液を固液分離し乾燥させることにより、前記脂肪酸金属塩粒子と酸化防止剤微粒子の複合粉体粒子を製造する複合粉体製造工程と、
樹脂と、着色剤を含有してなるトナー粒子に、前記複合粉体粒子を外部添加して静電荷現像用トナーを形成する工程と、を備えることを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、酸化防止剤微粒子を脂肪酸金属塩粒子に担持させてなる複合粉体粒子をトナー粒子に外部添加するので、感光体表面で脂肪酸金属塩粒子が滑剤として延展するのと同時に、酸化防止剤微粒子は感光体表面全体に広がり、画像流れを抑制することができる。したがって、感光体表面のクリーニング性能を確保しつつ、画像流れを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の静電荷現像用トナー及びトナーの製造方法について説明する。
本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、酸化防止剤微粒子を脂肪酸金属塩粒子に担持させてなる複合粉体粒子を含有する。
まず、複合粉体粒子について説明する。
【0009】
[複合粉体粒子]
複合粉体粒子は、酸化防止剤微粒子が脂肪酸金属塩粒子に担持されたものである。すなわち、酸化防止剤微粒子が脂肪酸金属塩粒子に付着する様態で混合されたものである。通常脂肪酸金属塩粒子は、軟質で混合性が低く、乾式で混合すると均一に分散することは困難であるが、本発明の製法によれば、水系媒体中で双方の粒子が共存したのちに乾燥することにより、酸化防止剤微粒子が脂肪酸金属塩粒子に担持された複合粉体粒子を製造することが可能である。
<酸化防止剤微粒子>
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物を用いることが好ましく、アミン系化合物、硫黄系化合物、リン系化合物を用いても構わない。
【0010】
(ヒンダードフェノール系化合物)
本発明において、ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノール化合物の水酸基に対してオルト位置に一つ以上のt−ブチル基を有する化合物類及びその誘導体を言い、下記一般式(1)で表される基を有する化合物を言う。このとき、フェノール化合物の水酸基、及びそのオルト位のt−ブチル基以外に、有機基を有しても良い。
このヒンダードフェノール系化合物は、例えば、トナーの材料に使用する場合には、画像形成装置内における感光体の表面上に発生したオゾンや窒素酸化物などの酸化性物質による酸化作用を防止又は抑制する酸化防止剤として機能する。
【0011】
【化1】

上記一般式(1)において、R1、R2は水素原子又は有機基であり、R1、R2のいずれか一方は、t−ブチル基であることが好ましい。
【0012】
ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、例えば、下記式(2)〜式(10)に示すものが挙げられる。
【化2】

【0013】
本発明のヒンダードフェノール系化合物分散液におけるヒンダードフェノール微粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で50〜500nmであり、好ましくは100〜300nmである。
ヒンダードフェノール微粒子の粒径が、50nm未満である場合においては、疎水化度が低下し、画像ボケなどの画像不良の発生を十分に抑制できないおそれがある。一方、ヒンダードフェノール微粒子の粒径が500nmを超える場合においては、当該ヒンダードフェノール微粒子の脂肪酸金属塩粒子に対する分散性が低下し、ヒンダードフェノール系化合物が酸化防止剤としての機能を十分に発揮することができないおそれがある。
【0014】
本発明において、ヒンダードフェノール微粒子の粒径(体積基準のメジアン径)は、「UPA−EX150」(日機装社製)を用いて測定されるものである。
具体的には、50mlのメスシリンダーにヒンダードフェノール分散液を数滴滴下し、純粋25mlを加えて超音波洗浄機「US−1」(as one 社製)を用いて3分間分散させ測定用試料を作製し、この測定用試料3mlを「UPA−EX150」(日機装社製)に投入して、Sample Loadingの値が0.1〜100の範囲にあることを確認して、下記条件により測定される。
−測定条件−
Trasnparency(透明度):Yes
Refractive Index(屈折率):1.59
Particle Density(粒子比重):1.05/cm
Spherical Particle(球形粒子):Yes
−溶媒条件−
Refractive Index(屈折率):1.33
Viscosty(粘度):
Hight(temp)0.797×10−3Pa・S
Low(temp)1.002×10−3Pa・S
【0015】
(アミン系化合物)
アミン化合物としては、4位に置換基を有する2,2,6,6−テトラメチルピペリジンに代表されるヒンダードアミン類、ヒドロキシアミン類、水溶性の脂肪族3級アミンが挙げられる。
【0016】
(硫黄系化合物)
硫黄化合物としては、好ましくは下記一般式(11)で表される有機化合物が用いられる。
一般式(11):R12−S−R13
上記一般式(11)中、R12およびR13は、アルキル基またはアリール基を表す。
一般式(11)においてR12およびR13で表されるアルキル基は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換基としては、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0017】
(リン系化合物)
リン系化合物としては、有機リン化合物が好ましく用いられる。例えば、トリフェニルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリステアリルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニルモノデシルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルモノトリデシルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジフェニルノニルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジフォスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト及びポリフォスファイト等の第三級フォスファイト類、ジラウリルハイドロゼンフォスファイト、ジフェニルハイドロゼンフォスファイト、ジオレイルハイドロゼンフォスファイト等の第二級フォスファイト類、メチルアシッドフォスファイト、イソデシルアシッドフォスファイト、オレイルアシッドフォスファイト、オクチルアシッドフォスファイト等のリン酸エステル類、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド等の環状フォスファイト類等を挙げることができる。
【0018】
<脂肪酸金属塩粒子>
脂肪酸金属塩粒子は、水溶性脂肪酸金属塩水溶液を無機金属塩により塩析したものである。
(水溶性脂肪酸金属塩)
水溶性脂肪酸金属塩としては、炭素数4〜30の脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が挙げられ、飽和または不飽和のいずれであってもよく、また直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。このような水溶性脂脂肪酸金属塩の例として、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、ミリストレイン酸、パルチミン酸、イソパルチミン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、リシノレイン酸、リノレイン酸、ベヘニン酸およびエルカ酸などの単体脂肪酸ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0019】
(無機金属塩)
無機金属塩としては、カルシウム、バリウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩あるいは燐酸塩など、あるいは、チタン、亜鉛、銅、マンガン、カドミウム、水銀、ジルコニウム、鉛、鉄、アルミニウム、コバルト、ニッケル及び銀などの金属の塩化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩あるいは燐酸塩などが挙げられる。
【0020】
[複合粉体粒子の製造方法]
複合粉体粒子の製造方法は下記(1)、(2)の工程を備える。
(1)水溶性脂肪酸金属塩水溶液と無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させたのち、酸化防止剤微粒子を分散させた酸化防止剤水系分散溶液を混合した混合分散液を製造する工程、または、水溶性脂肪酸金属塩水溶液に前記酸化防止剤水系分散溶液を混合したのち無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させた混合分散液を製造する工程
(2)前記混合分散液を固液分離し乾燥させることにより、前記脂肪酸金属塩粒子と酸化防止剤微粒子の複合粉体粒子を製造する複合粉体製造工程
【0021】
(1)混合分散液を製造する工程
(1−1)水溶性脂肪酸金属塩水溶液と無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させたのち、酸化防止剤微粒子を分散させた酸化防止剤水系分散溶液を混合した混合分散液を製造する工程
水溶性脂肪酸金属塩水溶液の濃度は、0.1〜20重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲である。濃度が0.1重量%よりも低いと生産的に効率が悪く、20%重量%より濃度が高いと得られる複合粉体粒子の脂肪酸金属塩粒子の粒子径が大きくなるおそれがある。
無機金属塩の濃度は、0.1〜20重量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。無機金属塩についても同様に濃度が0.1重量%よりも低いと生産的に効率が悪く、20%重量%より濃度が高いと得られる複合粉体粒子の脂肪酸金属塩粒子の平均粒子径が大きくなるおそれがある。
水溶性脂肪酸金属塩水溶液と無機金属塩を混合し、反応させる際の反応温度は、好ましくは35〜90℃の範囲であり、最も好ましくは50〜80℃の範囲である。反応温度が低い場合、水溶性脂肪酸金属塩の溶解度が低下してしまい反応性が悪くなり、一方、反応温度が高いと、複合粉体粒子の脂肪酸金属塩粒子の平均粒子径が大きくなってしまうおそれがある。
また、水溶性脂肪酸金属塩水溶液と、無機金属塩を混合する際に、一方を他方に徐々に加えて混合するバッチ式の片液添加法であっても、両方を同時に混合するバッチ式又は連続式の同時添加方であっても良い。
酸化防止剤は、析出される脂肪酸金属塩粒子に対して重量比で10〜30%となるように添加することが好ましい。
【0022】
(1−2)水溶性脂肪酸金属塩水溶液に前記酸化防止剤水系分散溶液を混合したのち無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させた混合分散液を製造する工程
(1−1)の工程と異なり、酸化防止剤水系分散溶液を、水溶性脂肪酸金属塩水溶液に先に混合して、脂肪酸金属塩粒子を析出させ、その後、無機金属塩を混合しても良い。
【0023】
酸化防止剤微粒子の分散粒径は、50〜500nmの範囲が好ましい。これは、50nm未満であると、疎水化度が低下し、画像ボケなどの画像不良の発生を十分に抑制できないおそれがあり、500nmを超えると酸化防止剤微粒子と脂肪酸金属塩粒子の分散混合性が低下し、脂肪酸金属塩粒子が滑剤としての機能を十分に発揮することができなくなるためである。また、複合粉体粒子の平均粒径は、1〜10μmの範囲が好ましい。1μm未満であると、感光体表面で脂肪酸金属塩粒子が滑剤として延展するのと同時に、酸化防止剤微粒子は感光体表面全体に広がる能を十分に発揮できなくなり、10μmを超えると小粒径化されたトナーに添加した場合、トナーが複合粉体粒子に付着して弱帯電性の軟凝集体が形成され、長期のランニングにおいて地肌カブリなどの画像不良が発生することがあるためである。
【0024】
(2)複合粉体製造工程
(1)混合分散液を製造する工程の後、前記混合分散液を、濾過等の適宜の手段によって水から分離して集め、これを乾燥させることにより、脂肪酸金属塩粒子と酸化防止剤微粒子の複合粉体粒子(酸化防止剤微粒子を脂肪酸金属塩粒子に担持させてなる複合粉体粒子)が得られる。
乾燥温度としては、脂肪酸金属塩粒子の乾燥のため、脂肪酸金属塩粒子の結晶転移温度より5℃低い温度以上、かつ、酸化防止剤の融点よりも低い範囲が好ましい。
なお、酸化防止剤水系分散溶液は以下の方法によって製造する。
【0025】
<酸化防止剤水系分散溶液の製造方法>
酸化防止剤水系分散溶液の製造方法は、下記(i)〜(iii)の工程を有する。
(i)酸化防止剤を有機溶剤に溶解させ、酸化防止剤溶液を形成する工程
(ii)前記酸化防止剤溶液と水系媒体とを混合し、酸化防止剤分散溶液を製造する工程
(iii)前記酸化防止剤分散溶液から有機溶剤を留去し、酸化防止剤水系分散溶液を製造する工程
【0026】
上記酸化防止剤水系分散溶液の製造方法について、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物を使用した場合を例に挙げて説明する。
(a)ヒンダードフェノール系化合物を有機溶剤に溶解させ、ヒンダードフェノール化合物溶液を形成する工程
有機溶剤として好ましいものは、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、2−ブタノン、酢酸エチルなどである。溶解にあたり、液温を40℃付近まで上げることが好ましい。濃度は、ヒンダードフェノール系化合物が溶解している限り特に限定されないが、5〜15%が好ましい。
【0027】
(b)ヒンダードフェノール系化合物溶液と水系媒体とを混合し、ヒンダードフェノール系化合物分散溶液を製造する工程
ヒンダードフェノール系化合物溶液と水系媒体とを混合し、水系媒体にヒンダードフェノール系化合物溶液の液滴が分散されたヒンダードフェノール系化合物溶液分散液を製造する。このとき、水系媒体に対し、攪拌しながらヒンダードフェノール系化合物溶液を添加することが好ましい。あるいは、ヒンダードフェノール系化合物溶液に水系媒体を添加し、転相乳化の形をとっても良い。具体的には界面活性剤をヒンダードフェノール系化合物溶液中に溶解又は分散させ、そこに水系媒体を添加し、油中水滴(W/O型)エマルションを得る。乳化の途中で連続相が油相から水相へと変化(転相)し、水中油滴(O/W型)エマルションである「ヒンダードフェノール系化合物分散溶液」を得ることができる。
ここで、水系媒体とは、界面活性剤などの分散剤を含む水をいうが、アルコールやケトン類など有機溶剤を50%未満、水に溶解されていてもよい。
界面活性剤としては、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、等が挙げられる。
【0028】
(c)有機溶剤を留去したヒンダードフェノール系化合物水系分散溶液を製造する工程
水系媒体中で、(b)の工程で得られたヒンダードフェノール系化合物分散溶液から有機溶剤を留去する。好ましくは減圧下、例えばロータリーエバポレーターなどを用いて行う。
【0029】
[トナー]
次に、上述の複合粉体粒子が外部添加されたトナーについて説明する。トナーは、少なくとも樹脂及び着色剤を含有している。
<樹脂>
本発明に係るトナーに用いる樹脂は特に限定されるものではない。下記に記載されるビニル系単量体と呼ばれる重合性単量体を重合して形成される重合体がその代表的なものである。さらには、ポリエステル樹脂も使用することができる。また、本発明で使用可能な樹脂を構成する重合体は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分とするものであり、これら重合性単量体を単独或いは複数種類組み合わせて作製した重合体である。
【0030】
以下、ビニル系の重合性単量体の具体例を示す。
(1)スチレン或いはスチレン誘導体
例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンが挙げられる。
(2)メタクリル酸エステル誘導体
例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルが挙げられる。
(3)アクリル酸エステル誘導体
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルが挙げられる。
【0031】
(4)ビニルエステル類
例えば、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等である。
(5)ビニルエーテル類
例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等である。
(6)ビニルケトン類
例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等である。
【0032】
(7)その他
例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
また、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂を構成するビニル系の重合性単量体には、以下に示すイオン性解離基を有するものも使用可能である。特に、弱アルカリ性を有する着色剤を用いた場合、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のイオン性解離基を側鎖に有する単量体を使用すれば、樹脂中での分散性をより向上させることができ、好ましい。
【0033】
具体的には、カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸等が挙げられる。また、スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。リン酸基を有する単量体としてはアシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0034】
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用することにより、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の具体例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0035】
さらには、下記に示す非結晶性ポリエステル樹脂も使用することができる。
本発明において用いられる非結晶性ポリエステル樹脂は、公知のポリエステル樹脂を使用することができる。非結晶性ポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、前記非結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。また、非結晶性ポリエステル樹脂は、1種の非結晶性ポリエステル樹脂でも構わないが、2種以上の非結晶性ポリエステル樹脂の混合であっても構わない。
【0036】
非結晶性ポリエステル樹脂における多価アルコール成分としては、例えば2価のアルコール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等を用いることができる。また、3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ソルビトール、1,4−ソルビタン、トリメチロールプロパン等を用いることができる。
【0037】
また、上記多価アルコール成分と縮合させる2価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸類;及びこれらの酸の低級アルキルエステル、酸無水物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0038】
これら多価カルボン酸の中でも、特にアルケニルコハク酸もしくはその無水物を用いると、他の官能基に比べ疎水性の高いアルケニル基が存在することにより、より容易に結晶性ポリエステル樹脂と相溶することができる。アルケニルコハク酸成分の例としては、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸又はこれらの酸無水物、酸塩化物、炭素数1〜3の低級アルキルエステルを挙げることができる。
【0039】
更に、3価以上のカルボン酸を含有することにより、高分子鎖が架橋構造をとることができ、該架橋構造をとることにより、高温域における弾性率の低下を抑制することができ、高温域でのオフセット性を向上させることができる。
上記3価以上のカルボン酸としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸や1,2,5−ベンゼントリカルボン酸等のトリメリット酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸又はこれらの酸無水物、酸塩化物、炭素数1〜3の低級アルキルエステル等が挙げられるが、トリメリット酸が特に好適である。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、樹脂粒子の分散液を作製する際に、ジカルボン酸成分がスルホン酸基を有していれば、界面活性剤を使用しないで乳化或いは懸濁することも可能である。
【0041】
上記の理由から、非結晶性ポリエステル樹脂にはアルケニルコハク酸及びその無水物のうちの少なくとも1種と、トリメリット酸及びその無水物のうちの少なくとも1種と、を含んで反応させた成分が含有されることが望ましいが、その成分は結晶性ポリエステル樹脂との相溶化及び結晶性ポリエステル樹脂の固定化に主要な役割を果たす、非結晶性ポリエステル樹脂の高分子量成分に含まれることが望ましい。
【0042】
<着色剤>
本発明に用いられる着色剤は、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、さらにマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
また、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0043】
<離型剤>
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
トナーへの離型剤の添加量としては、1〜30質量%が好ましい。
【0044】
<その他の外添剤>
上記複合粉体粒子以外のその他の外添剤としては、公知の疎水性シリカ、疎水性金属酸化物の他に、酸化セリウム粒子、チタン酸塩粒子、或いは炭素数20〜50の脂肪酸または、高級アルコール粒子を添加し併用することが耐フィルミング性の観点から好ましい。酸化セリウム粒子またはチタン酸塩粒子を添加する場合、耐フィルミング性を高める観点から個数平均粒径が150〜800nmのものを用いることが好ましい。
【0045】
[トナーの製造方法]
以下、本発明のトナーを製造するための製造方法について、具体例を挙げる。
本発明に係るトナーは、粉砕法、懸濁重合法、乳化会合法等の公知の製造方法により製造することができる。
【0046】
以下、本発明に係るトナーの製造方法の一例として、乳化会合法による、コアシェル構造を持つトナーの製造方法を示す。
(1)コア用樹脂粒子乳化工程
この工程では、トナーのコア部となる粒子を製造する。まず、コア部の結着樹脂となる樹脂粒子を乳化する。乳化した樹脂粒子は30〜300nmであることが好ましい。例えば、重合性の単量体を乳化、分散し、重合開始剤を添加して重合反応を進行させることにより、コア用樹脂粒子の分散液を調製する。重合反応を使用せず、樹脂及び必要に応じて離型剤や着色剤を溶媒中に溶解或いは分散させた後に水系媒体中に分散、脱溶剤して樹脂粒子を調整することもできる。このとき、重合性単量体又は樹脂溶液に離型剤を溶解させて乳化(分散)液を調製すると、トナー粒子が完成した後に離型剤粒子が脱離して、画像形成装置の部材を汚染することを抑制できるので好ましい。
【0047】
(2)凝集・融着工程
上記コア用樹脂粒子の分散液に上記一般式(I)又は(II)で示される着色剤粒子の分散液を添加するとともに、必要に応じて離型剤粒子の分散液を添加する。次いで、凝集剤を添加し、水系媒体中でコア用樹脂粒子と着色剤粒子、離型剤が添加されている場合にはさらに添加された離型剤粒子を凝集、融着させてコア粒子を形成する。凝集と融着の一連の工程を会合工程と呼ぶことがある。
凝集・融着の方法としては、塩析融着法が好ましい。塩析融着法は、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径までコア粒子が成長したところで凝集の停止剤を添加し、粒子成長を停止させる方法である。この方法では、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱が継続して行われる。
【0048】
コア粒子の大きさとしては、体積基準のメジアン径で3〜10μmが好ましく、特に好ましいのは3〜7nmである。コア粒子の体積基準のメジアン径は、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」
を搭載したコンピュータシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。
測定手順としては、試料0.02gを、界面活性剤溶液20ml(試料の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、試料の分散液を作製する。作製した分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定器において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出する。体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メジアン径とする。
【0049】
水系媒体とは、主成分(50%質量以上)が水からなるものをいう。水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0050】
なお、凝集・融着工程の後、熟成工程を経ることとしてもよい。
具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして粒子間の融着の進行を抑制しコア粒子の均一化を図る。その後、熟成工程において加熱温度を低めに、かつ時間を長くしてコア粒子の表面が均一形状となるよう制御する。
【0051】
(3)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子の分散液中に、シェル用樹脂粒子の分散液を添加する。当該分散液は公知のトナー用結着樹脂粒子と同組成の樹脂粒子の分散液でよく、コア用樹脂粒子と同じ樹脂粒子の分散液でもよい。ただし、耐熱保存性と低温定着性を両立するためには、コア用樹脂粒子よりガラス転移点が5℃から25℃高めに共重合比を設定することが好ましい。
シェル化工程では、シェル用樹脂粒子がコア粒子表面で融着し、コア粒子表面全体を覆うシェル層を薄く形成することが可能となる。
【0052】
(4)冷却・洗浄工程
冷却・洗浄工程では、シェル化により得られたトナー粒子の分散液を、例えば1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。所定温度まで冷却すると、冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離する。固液分離は遠心分離の他、ヌッチェ等を用いた減圧濾過、フィルタープレス等を用いた濾過等、何れの方法でもよい。次いで、固液分離によって得られたトナーケーキ(ウェット状のトナー粒子をケーキのような円筒形状に整えたもの)を洗浄し、界面活性剤や塩析剤等の付着物を除去する。
【0053】
(5)乾燥工程
乾燥工程では、洗浄されたトナーケーキを乾燥処理する。乾燥処理には、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を用いることができる。乾燥されたトナー粒子の水分は、5%質量以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%質量以下である。
【0054】
(6)外添処理工程
外添処理工程では、乾燥によって得られたトナー粒子に、酸化防止剤微粒子に脂肪酸金属塩粒子を担持させてなる上述した複合粉体粒子を混合し、静電荷現像用トナーを得る。
【0055】
[現像剤の作製]
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が考えられ、何れも好適に使用することができる。
本発明のトナーにおいては、キャリアと混合する二成分現像剤として使用する場合は、キャリアに対するトナーフィルミング(キャリア汚染)の発生を抑制することができ、一成分現像剤として使用する場合は、現像装置の摩擦帯電部材に対するトナーフィルミングの発生を抑制することができる。
【0056】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子を用いることが好ましい。
キャリアとしては、その体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜60μmのものがより好ましい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0057】
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂組成としては特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等を使用することができる。
【0058】
[画像形成方法]
以上のトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー画像を得る。そして、このトナー像を用紙に転写し、その後、用紙上に転写されたトナー画像を接触加熱方式の定着処理によって用紙に定着させることにより、可視画像が得られる。
【0059】
[定着方法]
本発明のトナーを使用する好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式のものを挙げることができる。接触加熱方式としては、特に熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
熱ロール定着方式の定着方法においては、通常、表面にフッ素樹脂等が被覆された鉄やアルミニウム等よりなる金属シリンダー内部に熱源が備えられた上ローラと、シリコーンゴム等で形成された下ローラとから構成された定着装置が用いられる。
【0060】
熱源としては、ハロゲンランプなど線状のヒータが好ましく用いられ、ヒータによって上ローラの表面温度が120〜200℃程度に加熱される。上ローラ及び下ローラ間には圧力が加えられており、この圧力によって下ローラが変形されることにより、変形部にいわゆるニップが形成される。ニップの幅は1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmとされる。定着線速は40mm/sec〜600mm/secとされることが好ましい。ニップの幅が過小である場合には、熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着ムラが発生する場合がある。一方、ニップ幅が過大である場合には、定着オフセットが発生する場合がある。
【実施例】
【0061】
1.酸化防止剤水系分散溶液の調整
[酸化防止剤1溶液の作成]
300mlビーカーに、酸化防止剤1 :ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プウロピオネート](商品名Irganox1010/m.p. 110〜125℃))とトルエンを以下の割合で加え、撹拌して溶解させた。
酸化防止剤1 3部
トルエン 35部
上記溶液を、酸化防止剤1溶液とする。
【0062】
[酸化防止剤1分散溶液の作成]
300mlビーカーに、花王社製の陰イオン性界面活性剤E-27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)と水を以下の割合で加え、界面活性剤水溶液を調製した。
E-27C 15%溶液 : 2.2部
水: 84部
そして、界面活性剤水溶液に酸化防止剤1溶液を加え、超音波装置にて10分間分散させ酸化防止剤1分散溶液を作成した。
【0063】
[酸化防止剤水系分散溶液 C-1 の作成]
上記酸化防止剤1分散溶液をエバポレーターにてトルエンを留除し、酸化防止剤水系分散溶液C-1を作成した。
酸化防止剤水系分散溶液C-1の粒径測定は下記UPAで測定し、D50は200nmであった。
酸化防止剤水系分散溶液中の酸化防止剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、公知の「マイクロトラックUPA−150(日機装社製)」を用いて動的光散乱法で測定して求めた値である。
具体的には以下の手順で行われる。先ず、50mlのメスシリンダーに測定用酸化防止剤粒子分散溶液を滴下し、純水を25ml加え、超音波洗浄機「US-1(as one社製)」を用いて3分間分散させ測定用試料を作製する。次いで、測定用試料3mlを「マイクロトラックUPA−150」のセル内に投入し、Sample Loadingの値が0.1〜100の範囲にあることを確認する。そして、下記測定条件にて測定する。
測定条件
Transparency(透明度):Yes
Refractive Index(屈折率):1.59
Particle Density(粒子比重):1.05g/cm3
Spherical Particles(球形粒子):Yes
溶媒条件
Refractive Index(屈折率):1.33
Viscosity(粘度):Hight(temp) 0.797x10-3Pa・S
Low(temp) 1.002x10-3Pa・S
酸化防止剤粒子の体積基準の粒度分布における変動係数は、以下の式より算出される。
変動係数(CV値)(%)=(S2/Dn)×100
(式中、S2は体積基準の粒度分布における標準偏差を示し、Dnは体積基準における平均径MVを示す。)
【0064】
[酸化防止剤水系分散溶液 C-2〜C-6 の作成]
同様にして、酸化防止剤1を下記に示す酸化防止剤2、3、4に換えて酸化防止剤水系分散溶液C-2、C-3、C-4を作製した。
また、酸化防止剤1の作製において、E-27C 15%溶液を1.1部にする以外は同様にして、酸化防止剤水系分散溶液C-5を作製した。
さらに、酸化防止剤1の作製において、E-27C 15%溶液を3.3部と分散時間を2時間に変更して酸化防止剤水系分散溶液C-6を作製した。
酸化防止剤2:N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロナマミド)(商品名:Iraganox1098/m.p. 156℃)
酸化防止剤3:2,4-ビス(n-オクチル)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5トリアジン(商品名:Irganox 565 /m.p. 91〜96℃)
酸化防止剤4:オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:Irganox1076/m.p. 50〜53℃)
【0065】
また、これら酸化防止剤水系分散溶液C-2〜C-6についても、UPAで粒径測定を行った。表1に、酸化防止剤水系分散溶液C-1〜C-6のそれぞれの分散粒径について示した。
【表1】

【0066】
次に、酸化防止剤微粒子に脂肪酸金属塩粒子を担持させた複合粉体粒子の作製について説明する。
2.複合粉体粒子の作製
複合粉体粒子の作製には、原料成分として、水溶性脂肪酸金属塩(A)の水溶液と無機金属塩(B)の水溶液が用いられる。
[複合粉体粒子1]
下記表2に示すように、水溶性脂肪酸金属塩a-1の水溶液と無機金属塩b-1の水溶液をそれぞれ濃度が重量%で、水溶性脂肪酸金属塩a-1 を10重量%、無機金属塩b-1を3重量%にし、それぞれ100g秤量して、溶液の温度を70℃に調整した。
直径6センチのタービン羽根を有する攪拌装置付きの2リットルの受け容器を用意し、脂肪酸アルカリ金属塩a-1の水溶液を入れてタービン羽根を350rpmで回転させた。
上記無機金属塩b-1の水溶液を水溶性脂肪酸金属塩a-1の水溶液に温度70℃にて30分かけて加え、温度70℃を維持しながら、1時間攪拌して熟成した。
続いて、このようにして得られた脂肪酸金属塩粒子のスラリーに別途調整した酸化防止剤水系分散溶液c-1を100g投入し混合分散した。
得られたケーキを濾液の導電率が300μS/cm以下になるまで水洗し、続いて、このケーキを105℃の熱風乾燥器内で12時間乾燥し、複合粉体粒子1を得た。
【0067】
[複合粉体粒子2〜10]
上記複合粉体粒子1と同様にして、表2に示す水溶性脂肪酸金属塩(A)、無機金属塩(B)、酸化防止剤水系分散溶液(C)、乾燥温度を変更する以外は同じ方法で複合粉体粒子2〜10の複合粉体粒子を作製した。
作製した複合粉体粒子1〜10の粒子径は、100mlビーカーに0.5gとり50mlの純水を加え、E-27C15%溶液を数滴滴下したのちに、スターラ―で15分混合しさらに超音波振動装置にて10分間分散した後に測定した。測定装置には「コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用い、基準におけるメジアン径(D50)を測定した。その結果を表2に示した。
【0068】
【表2】

なお、表2には、水溶性脂肪酸金属塩と無機金属塩により塩析された脂肪酸金属塩粒子の結晶転移温度も示している。
【0069】
次に、上記の方法で作製した酸化防止剤微粒子に脂肪酸金属塩粒子を担持させた複合粉体粒子をトナーに外部添加し実写評価を行った。
3.トナー粒子の作製
以下のようにしてトナー粒子を作製した。
[トナーD-1の作製]
《樹脂粒子分散液1の作製》
スチレン201質量部、ブチルアクリレート117質量部、メタクリル酸18.3質量部を混合し、このモノマー混合液を攪拌しつつ80℃に加温し、ベヘン酸ベヘニル172質量部を徐々に添加して溶解した。
次いで、アニオン界面活性剤「エマールE−27C(花王(株)製)有効成分27質量%」11.3質量部を純水1182質量部に溶解してなる界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記モノマー溶液を加えて、高速撹拌を行い、モノマー分散液を調製した。
次いで、撹拌装置、冷却管、温度センサ、窒素導入管を備えた重合装置に純水867.5質量部を投入し、窒素気流下で撹拌を行いながら内温を80℃にした。この重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解した重合開始剤水溶液を投入した。
重合開始剤水溶液投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で重合を2時間行った。さらに、過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、スチレン366.1質量部、ブチルアクリレート179.1質量部、n−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した。前記モノマー溶液を滴下した後、2時間重合処理を続けた後、室温まで冷却し「樹脂粒子分散液1」を作製した。
【0070】
《シェル用樹脂粒子分散液の作製》
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサを備えた反応装置に、純水2948質量部、アニオン界面活性剤「エマール2FG(花王(株)製)」2.3質量部を添加して撹拌溶解させた後、窒素気流下で80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部、n−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合したモノマー溶液と、過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解した重合開始剤水溶液を用意した。重合開始剤水溶液を前記反応装置に投入後、前記モノマー混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行った後、室温まで冷却して、「シェル用樹脂粒子分散液」を作製した。シェル用樹微粒子の重量平均分子量は13,200、質量平均粒径は82nmであった。
【0071】
《シアン着色剤分散液の調製》
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水1600質量部に溶解し、C.I.ピグメントブルー15:3 25質量部を徐々に添加し、次いで、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて個数基準におけるメジアン径153nmの「シアン着色剤分散液」を調製した。
【0072】
《トナー粒子の作製》
上記「樹脂粒子分散液1」を固形分換算で357質量部、ポリエステルアイオノマー樹脂「ファインテックスES−2200」の微粒子分散液を固形分換算で68質量部、イオン交換水900質量部、前記シアン着色剤分散液を固形分換算で200質量部を、撹拌装置、温度センサ、冷却管を装着した反応装置に投入した。容器内の温度を30℃に保持して、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調製した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、75℃まで昇温させて前記粒子を凝集、融着させた。このまま「コールターカウンター3(ベックマン・コールター社製)」を用い、個数基準におけるメジアン径(D50)が6.0μmになるまで加熱撹拌を続けた。
個数基準におけるメジアン径(D50)が6.0μmに到達した時点で、シェル用樹脂粒子分散液を固形分換算で210質量部添加し、1時間撹拌を行ってシェル用微粒子を表面に融着させた。さらに、30分間そのまま撹拌を継続させてシェルが完全に形成された後、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を添加し、内温を78℃に昇温して撹拌を1時間続けた後、室温(25℃)に冷却して粒子を形成した。生成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥して、「トナー粒子」を作製した。
上記で作製したトナー粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒径12nm、疎水化度68)を1質量%、疎水性酸化チタン(数平均一次粒径20nm、疎水化度64)を1質量%及び上記で作製した複合粉体粒子1を0.2質量%添加した。ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製)を用いて混合処理を行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより外添剤処理した「トナーD-1」を作製した。
得られたトナーD-1の粒径は6.0μmであった。また、粒子の平均円形度は0.96であった。
なお、粒径と平均円形度は前記の方法で測定して得られた値である。
【0073】
[トナーD-2〜D-11の作製]
トナーD-1と同様にして、複合粉体粒子2〜10をそれぞれ用い、トナーD-2〜D-10を作製した。
また、複合粉体粒子1の作製において、酸化防止剤分散液C-1を添加しないで洗浄、乾燥した脂肪酸金属塩粒子と、酸化防止剤分散液C-1から取り出し乾燥させた酸化防止剤粉末をそれぞれトナーD-1と同量になるよう添加し比較用トナーD-11を作製し、比較例1とした。
【0074】
4.樹脂コートキャリアの作製
《フェライト粒子1の作製》
(1)原料の粉砕工程
配合割合がFe=60モル%、MgO=40モル%となるものに、MgClを0.01質量%混合し、粉砕・混合機で原料の粉砕を行った。
(2)スラリー化工程及び造粒工程
上記で粉砕した粉砕物に接着剤(ポリビニルアルコール)と水を加えて、60質量%のスラリーとした後、湿式ボールミルでさらに粉砕してスラリー化し分散液を作製した。このスラリー化した分散液を、スプレードライヤーを用い、スプレー・乾燥して、粒径がフェレ径で60μmの造粒粒子を作製した。
(3)焼成工程
上記の造粒粒子を、乾燥炉にて、大気雰囲気のもと、1150℃で焼成して、フェライト粒子1を作製した。
(4)解砕・分級工程
焼成したフェライト粒子を解粒し、ふるいで大粒径と小粒径のものを除き、粒径がフェレ径で約50μmのフェライト粒子を得た。
(5)磁選工程
このフェライト粒子1を磁選機で磁選通し、非磁性或いは弱磁性の粒子を除去し「フェライト粒子1」を作製した。
【0075】
《樹脂コートキャリア1の作製》
前記で得られた「フェライト粒子1」100質量部と、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量%とを、攪拌羽根付き高速攪拌混合機に投入し、120℃で30分間攪拌混合して機械的衝撃力の作用を使用してフェライト粒子の表面上に樹脂の被覆層を形成して樹脂コートキャリアを作製した。得られた樹脂コートキャリアを「樹脂コートキャリア1」とする。
【0076】
5.現像剤E-1〜E-11の調製
上記で作製したトナーD-1〜D-11と樹脂コートキャリア1をトナー濃度が8質量%となる割合で配合し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、20℃、50%RHの環境で、収速40m/sで5分間混合して「現像剤E-1〜E-11」をそれぞれ調製した。
【0077】
6.評価
画像形成装置としては、フルカラー複合機「bizhub Pro C353」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)社製)を準備した。
上記画像形成装置に、上記で作製した現像剤E-1〜E-11を順次装填し、以下に示す各評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0078】
[トナーすり抜け]
トナーすり抜けの評価は、30℃、80%RHの環境で50万枚プリント修了後、印字率10%の文字画像とパッチ像を形成し、転写残トナーのトナーすり抜け(クリーニング性)については感光体および中間転体の表面を目視観察して評価した。
評価基準
◎:トナーすり抜けの発生なく良好
○:トナーすり抜けがやや見られるが実用上問題なし
×:トナーすり抜けが発生し、実用上問題あり
【0079】
[画像ボケ]
画像ボケの評価は、下記条件でプリントを行い、得られたプリント画像で行った。
プリント環境条件30℃、80%RHでの50万枚の画出し耐刷試験後に、直ぐに画像形成装置の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れプリント可能状態になった後、直ちにA3判の中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)とA3判全面の6dot格子画像を印字した。印字画像の状態を目視観察し、以下の評価を行った。
評価基準
◎:ハーフトーン、格子画像とも画像ボケ発生なく良好
○:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められるが実用上問題なし
×:画像ボケによる格子画像の欠損もしくは線幅の細りが発生し実用上問題有り
【0080】
[かぶり]
クリーニング不良に起因するかぶりは、50万枚プリント終了後、印字率10%の文字画像とプリント間に1.5mm角のパッチ像を形成し、文字画像部(転写残トナー)とパッチ部(パッチ部トナー)に相当する場所のかぶり濃度を、転写材の白紙濃度の差で評価した。
転写材の白紙濃度はA4サイズの20カ所を測定し、その平均値を白紙濃度とする。
文字画像部とパッチ部のかぶり濃度は、中間転写体と二次転写部材に相当する場所を各々4カ所測定し、その平均値をかぶり濃度とする。尚、濃度測定は反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて行った。
なお、かぶりは、文字画像部とパッチ部とも0.03未満を合格とした。
【0081】
【表3】

【0082】
表3の結果より、複合粉体粒子を添加したトナー(現像剤E-1〜E-10:本発明例)の場合、複合粉体粒子を添加していないトナー(現像剤E-11:比較例)に比べて、トナーすり抜け、画像ボケ、かぶりの評価においていずれも実用上問題の無いレベルであったことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子からなる静電荷現像用トナーにおいて、
前記静電荷現像用トナーが酸化防止剤微粒子を脂肪酸金属塩粒子に担持させてなる複合粉体粒子を含有することを特徴とする静電荷現像用トナー。
【請求項2】
水溶性脂肪酸金属塩水溶液と無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させたのち、酸化防止剤微粒子を分散させた酸化防止剤水系分散溶液を混合した混合分散液を製造する工程、または、水溶性脂肪酸金属塩水溶液に前記酸化防止剤水系分散溶液を混合したのち無機金属塩を混合し、脂肪酸金属塩粒子を析出させた混合分散液を製造する工程と、
前記混合分散液を固液分離し乾燥させることにより、前記脂肪酸金属塩粒子と酸化防止剤微粒子の複合粉体粒子を製造する複合粉体製造工程と、
樹脂と、着色剤を含有してなるトナー粒子に、前記複合粉体粒子を外部添加して静電荷現像用トナーを形成する工程と、を備えることを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。


【公開番号】特開2012−150188(P2012−150188A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7546(P2011−7546)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】