非アレルギー性鼻炎トリガー環境に曝露する方法およびチャンバ
本発明は、非アレルギー性鼻炎(「NAR」)トリガー環境にヒト被験者を曝露する方法およびチャンバである。この方法は、NAR症状を誘導することが知られている環境トリガーをNARチャンバ内で発生させ、被験者に曝す試験を含む。チャンバは、多数の被験者をハウジングでき、NAR試験および/またはチャレンジを促進するように構成され、チャンバ内に1つ又は複数のNAR環境を生じさせるように操作可能なエンクロージャであってもよい。異なるNAR環境は、各試験のために必要な場合がある。チャンバは、特定の期間、チャンバ内のNAR試験および/またはチャレンジに関連する特定のNAR環境の発生および閉じ込めを促進してもよく、チャンバ内に配置された被験者が実質的に一定の様式でNARトリガー環境に曝されることができる空気の流れを達成することもできる。NAR試験およびチャレンジは、査定され、それらの結果は記憶され、まとめられおよび/または報告されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ヒトにおける非アレルギー性鼻炎を調査する技術分野に関し、より詳細には、このような調査を行うための方法およびチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
非アレルギー性鼻炎(「NAR」)という用語は、一般に、アレルギー性の病因またはIgEの関与を伴わずにアレルギー性鼻炎の症状が存在するような診断に適用される。NARは、血管運動性鼻炎、非アレルギー性非感染性多年性鼻炎、職業性鼻炎、薬剤誘発性鼻炎、ホルモン誘発性鼻炎、好酸球を伴う非アレルギー性鼻炎症候群、味覚性鼻炎および感情誘発性鼻炎を含む種々の病因に関する異種の状況群を包含するものである(参照:Bachert C(2004)Persistent rhinitis−allergic or non−allergic?Allergy 59(Suppl.76):11−15)。NARの診断は、多くの場合、アレルゲンパネルに関する皮膚プリック試験が陰性である被験者が、分泌過多、鼻づまり、くしゃみまたは後鼻漏のうちの少なくとも2つを含む持続性の鼻症状(1年のうち9カ月を超える)を示す場合になされる。被験者は、通常、1つの優位な症状を有し、分泌過多が優位な被験者についてはランナー、または鼻閉が優位な被験者についてはブロッカーに分類できる。
【0003】
鼻炎人口のうち、この人口の約23%が純粋なNARを有し(鼻症状によって特徴付けられるが、皮膚プリック試験が陰性)、この人口の34%が混合型鼻炎を有する(アレルギー性および非アレルギー性の組み合わせ)と見積もられている。生命を危うくする病気ではないが、生活の質へのNARの影響は多大であり、睡眠障害、日中の嗜眠状態の増加、集中力の低下、および易刺激性の増大を含む(参照:Svensson S,Olin AC and Hellgren J(2006)Increased net water loss by oral compared to nasal expiration in healthy subjects.Rhinology.44:74−77)。
【0004】
NARの多数のトリガーが同定されている。このような同定は、主に被験者の報告によるものである。NARトリガーは、種々の群、例えば天候の変化、風媒性刺激物質、感情および食品またはアルコールに分類できる。天候の変化は、温度、湿度または気圧の変化を含む、特に冷たく乾燥した空気および暖かく湿った空気は、強力なトリガーとして同定されている(参照:Brandt D and Bernstein JA(2006)Questionnaire evaluation and risk factor identification for nonallergic vasomotorrhinitis.Annals Allergy Asthma&Immunol.96:526−532)。多数の風媒性刺激物質は、NARの一般的なトリガーとして同定されていて、香水およびコロン、家庭用洗浄製品、香料、ヘアスプレー、タバコの煙、自動車排気ガス、酢酸およびカプサイシンスプレーを含む。香辛料の入った食品およびアルコール摂取もNARの危険因子として同定されている。
【0005】
NARの理解を高めるため、または推定NAR治療を試験するための臨床モデルは、現在のところ利用できない。一貫してNAR被験者は、自身の症状が、鍵となる環境トリガー、例えば冷たく乾燥した空気(CDA)、芳香剤、汚染物質(例えば、オゾンは汚染の重要な要素であり得る)、およびエアロゾル化刺激物質によって主に引き起こされることを報告している。現在、純粋なNAR被験者において鼻症状を誘発する特定の環境トリガーに関するコンセンサスはない。NARトリガーを診断するこれまでの試みは、主にアンケート手法によるものであった。
【0006】
特定のアレルゲンに対するアレルギー反応に関して被験者を試験するために、アレルゲン試験粒子の入口を有するチャンバを利用することが、例えば米国特許出願第2004/0054262号に開示されるように、先行技術において知られている。この特許出願には、アレルギー試験チャンバが開示されている。このチャンバは、アレルゲン試験粒子のための少なくとも1つの入口を含み、その結果規定量のアレルゲンを、アレルゲンを含まない空気と混合でき、アレルゲン粒子が負荷された空気を試験チャンバに循環できる。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0286804号明細書にはさらに、特定のアレルゲンについて試験に関連する風媒性粒子をエアロゾル化し、厳密な制限内で維持するチャンバが開示されている。このチャンバは、レベルIIクリーンルームであり、被験者60人分の着席能を有する。チャンバは、湿度および温度を制御する手段を含み、この手段が、清浄な空気のベントと、HEPAフィルターを備えた空気入口および出口とを含む。このチャンバの他の態様は、特にイエダニアレルゲンに対する被験者のアレルギー反応を試験する目的で構成され、静的放散塗料で覆われた壁、円形コーナーおよび幅木、および継ぎ目のほとんどない滑らかで弾性のシート床板で覆われた床を含む。
【0008】
チャンバ内に特定の雰囲気が生じるように操作可能な他の閉じ込めチャンバも、先行技術において一般に既知である。これらの閉じ込めチャンバは、アレルギーまたはNAR試験の目的のためには利用されていない。このようなチャンバには米国特許第7323025号明細書(および米国特許出願公開第2005/0050804号明細書)に開示されるものがあり、スリーブ換気、エアロックエントランス、HEPAフィルター、圧力制御手段、およびUV放射装置を含む、ここに隔離が要求される被験者を、感染性疾患を閉じ込めるために配置できる。米国特許第7335243号明細書にはさらに、HEPAまたはULPAフィルター、ダブルエントリー門およびモジュール式チャンバパネルを有するモジュラー式負圧生物学的閉じ込めチャンバが開示されている、それによって生物学的物質を閉じ込めることができる。米国特許出願公開第2008/0210234号明細書には、気密コンテナ、密封性開口部、視界窓、被験者のための椅子、コンテナ内の複数の被験者のための空間、二重ロックエントリー、空気フロー手段、圧力モニタリングおよび制御手段を有する変圧チャンバが開示されている、それにより、被験者をコンテナ内に配置でき、被験者の処置を目的としてコンテナ内にいる所望の被験者に応じて圧力をコンテナ内で調節できる。
【発明の概要】
【0009】
1つの態様において、本開示は、1つ又は複数のNARトリガー環境に被験者を曝す方法に関し、この方法は、1つ又は複数のNARチャレンジを選択するステップと、1つ又は複数のNARチャレンジのそれぞれに対して更なるステップである、前記1つ又は複数のNARトリガー環境のうち、NARチャレンジに対応する1つを、チャンバ内にNARトリガーをばら撒くことによってチャンバ内に生じさせるステップと、1人又は複数の被験者をチャンバ内に期間内、配置することによって、前記1人又は複数の被験者をNARトリガー環境に曝すステップと、前記1人又は複数の被験者のNARトリガー環境への曝露を査定(assess)して、NARチャレンジデータを得るステップとを行うステップと、前記1つ又は複数のNARチャレンジのNARチャレンジデータを評価(evaluate)するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
別の態様において、本発明は、1つ又は複数のNARチャレンジを行うために、1つ又は複数のNAR環境を生じさせるチャンバに関し、このチャンバは、1つ又は複数のNAR環境発生手段によりチャンバ内に選択されたNARトリガーをばら撒くことによって1つ又は複数のNAR環境を生じるように操作可能な空気処理システムと、チャンバ内のNAR環境レベルを示すように操作可能な1つ又は複数のレベル指示器と、チャンバ内に新鮮な空気を流すことを促進するように操作可能な1つ又は複数のファンと、チャンバ内に1人又は複数の被験者が位置するための1つ又は複数の場所を備えることを特徴とする。
【0011】
この点において、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の詳細な説明に記載されるまたは図面に例示される構成の詳細およびコンポーネントの配置に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態であることができ、種々の方法で実施され、実行できる。また、本明細書において使用される表現および専門用語は説明のためにあり、限定と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0012】
本発明は、次の詳細な説明を考慮するときに、より良く理解され、本発明の目的が明らかになる。このような説明は、付属の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】チャンバの被験者曝露領域を示す平面図である。
【図2】多チャレンジチャンバ構成を示す平面図である。
【図3】チャンバの平面図である。
【図4(a)】調査1に従って60分の冷たく乾燥した空気のチャレンジ期間からの結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図4(b)】調査1に従って60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻症状のベースラインからの平均的な変化%の増大を示す。
【図4(c)】調査1に従って60分の冷たく乾燥した空気のチャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図5(a)】調査1に従って120分の温度変化チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図5(b)】調査1に従って120分の温度変化チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻症状のベースラインからの平均的な変化%の増大を示す。
【図5(c)】調査1に従って120分の温度変化チャレンジ期間にわたる鼻開存性を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図6】調査1の冷たく乾燥した空気および温度変化チャレンジの後の患者に関して、鼻分泌物収集の増大を表すグラフである。
【図7(a)】調査1に従って30分の芳香剤チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図7(b)】調査1に従って30分の芳香剤チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図8(a)】調査1に従って15分の刺激物質チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図8(b)】調査1に従って15分の刺激物質チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図9(a)】調査1に従って120分のオゾンチャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図9(b)】調査1に従って120分のオゾンチャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図10】調査1に従うNARチャレンジの5つのNARトリガーに対して単応答または複応答を有するレスポンダーの分布を表すグラフである。
【図11(a)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図11(b)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【図12(a)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図12(b)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【図13(a)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図13(b)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【図14(a)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図14(b)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に、本発明の一実施の形態が例として示されている。詳細な説明および図面は、理解を助けるために例示しただけであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを十分に理解すべきである。
【0015】
本発明は、NARトリガー環境にヒト被験者を曝す方法およびチャンバである。この方法は、制御された査定可能な様式にて、NAR症状を誘導することが知られている環境トリガーにチャンバ内において被験者を曝すことを含む一連のNAR試験を含む。チャンバは、複数の被験者をハウジングでき、試験を促進するように構成され、結果として各試験に必要とされる特定の環境をチャンバ内に生じさせるように操作可能であるエンクロージャであってもよい。チャンバは、チャンバ内に特定の環境を閉じ込めることを促進し、その中に空気フローを生じさせることによって、被験者に、事実上一貫した様式でその環境を体験させる。このような空気フローは、各NAR試験によって異なっていてもよい。それによって方法およびチャンバは、結果を査定でき報告できるような信頼できるものにすることができる有効なNAR試験をもたらす。
【0016】
チャンバは、種々の環境を生じさせるように制御でき、それぞれの環境は、チャンバ内側の環境内に存在するように特定のNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てることができる。本発明の一部の実施形態において、チャンバ内の環境は、アレルゲン粒子、例えばオゾンまたは芳香剤を含んでいてもよい。本発明の他の実施形態において、チャンバ内の環境は、アレルゲン粒子を含まないが、粒子を含まない雰囲気、例えば冷たく乾燥した空気または暖かく湿った空気を含んでいてもよい。チャンバ内の環境は、特定の期間存在するように特定のNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てることができる。
【0017】
被験者は、ある特定の期間、チャンバ内のNARトリガーに曝され得る。被験者、または参加者は、特定のNAR試験に従って、チャンバ内のある特定の場所に位置しながら、NARトリガーに曝されてもよい。例えば、被験者または参加者の位置は、チャンバ内のNARトリガーがオゾンである場合と、チャンバ内のNARトリガーが冷たく乾燥した空気である場合とで異なっていてもよい。被験者の位置は、チャンバ内のNARトリガーへの被験者または参加者の必要な曝露に従って決定されてもよい。
【0018】
NARトリガーへの被験者の曝露は、1人又は複数の人によってチャンバの外側からモニターされてもよく、チャンバ内の被験者に指示が与えられてもよい。特定のNAR試験が完了したら、チャンバは、チャンバ内に異なるNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てるために異なる環境を生じさせるように操作されてもよい。この様式において、チャンバは、多数のNAR試験に利用されてもよく、一連のNAR試験全体を操作するために利用されてもよい。各試験では、チャンバ内に異なるNARトリガーを有する異なる環境を含んでいてもよく、試験のためにチャンバ内の被験者の様々な位置決定が必要となる場合もある。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、NAR試験および/またはチャレンジは、一度に1人又は複数の被験者を含んでいてもよい。被験者の数は、チャンバのサイズ、ならびにチャンバ環境内に分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てる試験される予定のNARトリガーを含む、本発明のいくつかの要素に依存する。試験のNAR組は、5つのふさわしいNARトリガー、例えば静的または動的レジーム、刺激物質、芳香剤、およびオゾンを適用してもよい。各NARトリガーに曝露するための環境を、チャンバ内に生じさせてもよい。
【0020】
トリガーのターゲットレベルおよび各NAR試験チャレンジの長さは、安全ガイドラインおよび標準、ならびに他の因子、例えば先行する試験または研究に基づいて決定されてもよい。一次的な有効性の変数は、鼻症状の合計スコアにおけるベースラインからの平均的な変化であってもよい。二次的な有効性の変数は、個々の症状重症度におけるベースラインからの平均的な変化、音響鼻腔計測法を用いて測定される鼻開存性におけるベースラインからの平均的な変化、および鼻分泌物重量を含んでいてもよい。当業者は、他の有効性の変数およびパラメータが、本発明の方法およびチャンバを用いて、例えば探索基準において分析されてもよいことを認識する。
【0021】
本発明のチャンバは、湿度、温度、風媒性刺激物質および空気フローの因子を作用させ、それによってチャンバ内に特定の環境が生じるように操作可能な制御された設備であってもよい。特に、チャンバは、NARトリガー曝露を試験する目的で利用されてもよい環境を生じさせることができる。
【0022】
本発明は、制御された設定において単一のチャンバ内で複数の被験者に対して同時に、NAR条件に関する推定治療またはデバイスの有効性の検査をすることができる。チャンバは、多数の被験者を収容し、ならびに装備および調査員のための空間を与えるように設計されてもよい。チャンバは、温度制御されたおよび湿度制御された空気を規定速度にて被験者に向かわせることができ、環境変化により誘導されるNARトリガーの調査を可能にする、カスタム空気フロー発生器を組み込んでもよい。センサのフィードバックおよび制御は、リアルタイムでコンピュータ化されたモニタリングおよび出力性能を用いて完全に自動化されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、チャンバは、NARトリガーが分け与えられない領域、例えば被験者のモニタリングを促進するための観察領域、装備領域またはNAR試験の態様において使用するための他の領域を含んでいてもよい。
【0024】
本発明は、先行技術よりも優れたいくつかの利益を提供する。中でも注目すべきは、チャンバおよび方法は、ある特定のアレルギーに関する1回の試験のためのアレルゲン粒子が負荷された空気の製造に限定されない。従って本発明は、アレルゲンのエアロゾル化の適用だけでなく、NARおよび関連する症状の調査のために、環境条件の変更(例えば多数のNARトリガーを含む)にも用いられる。さらにチャンバおよび方法は、一連のNAR試験を含んでいてもよい。
【0025】
先行技術よりも優れた本発明のさらなる利益を以下に言及する。これらは、先行NAR試験よりも優れた本発明の方法の一連のNAR試験の利益を含む。
【0026】
本発明のNARトリガーへの被験者の曝露方法は、種々のNARトリガー誘導環境を含んでいてもよい。各環境は、特定の試験のために生じさせることができ、チャンバにより設定パラメータに従って促進される。例えば、温度、湿度、オゾン、芳香剤および刺激物質、例えば家庭の刺激物質は、NARトリガーとして報告されている。チャンバは、一度にこれらのトリガーのそれぞれを分け与え、ばら撒き、導入し、および別の方法では割り当てる環境を生じさせるために利用されてもよい。センサを適用して、NARトリガー応答を誘発できる環境がチャンバ内で達成されたときを示してもよい。NARトリガー応答を誘発できる環境が達成されたとき、1人又は複数の被験者をチャンバに入室させ、配置してもよい。チャンバ内で行われる各NAR試験のための手順に特定の因子を適用してもよい。因子は、それぞれのNAR試験によって異なっていてもよく、一部の因子は、すべてのNAR試験について共通であってもよい。例えば被験者がチャンバ内で過ごす時間は、各試験によって変動させてもよい。さらに、それぞれの試験のために、NARトリガー誘導環境へのある特定の曝露を達成するような位置に各被験者を向かわせてもよい。当業者は、他の因子およびパラメータを、NAR試験によって変動させてもよいことを認識する。
【0027】
本発明の実施形態において、被験者が、チャンバ内にいる間に試験の態様を促進するために訓練または指示を受けてもよい。視覚手段をチャンバに組み込んでもよく、それによって1人又は複数の試験適用者は、NARトリガーが分け与えられ、ばら撒かれ、導入され、または別の方法では割り当てられた環境を有するチャンバ部分よりも外側に位置しながら、チャンバ内を観察できる。視覚手段は、NAR環境に曝露される間、被験者のモニタリングを促進できる。
【0028】
NAR試験が完了したら、チャンバは、異なる環境を生じさせるように操作され、それによって異なるNAR試験のために異なるNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てるように調製されてもよい。例えば、NAR試験方法は、まずオゾンのNARトリガーに関するNAR試験を必要とし、このオゾン試験の後に刺激物質のNARトリガーに関する別のNAR試験を必要としてもよい。本発明のこのような実施形態において、チャンバは、先行する環境であるオゾン環境を放散させ、後続環境である刺激物質環境を導入するように操作できる。当業者は、種々のNAR試験が適用されてもよく、そのためこのステップは数回繰り返されてもよく、チャンバ内の環境を一方のNAR試験環境から別のNAR試験環境に変更することを含んでいてもよいことを認識する。各NAR試験環境は、特定のNARトリガーに被験者を曝露することを促進できる。1つ又は複数のNAR試験のグループ分けは、一連のNAR試験を表してもよい。1人又は複数の被験者は、一連のNAR試験を受けてもよく、または別の可能性として1人又は複数の被験者が単一のNAR試験を受けてもよい。
【0029】
データは、各NAR試験環境に対する被験者の反応に関して収集されてもよい。このようなデータは、個々のNAR試験それぞれに関して、一連のNAR試験に関して、または2つ以上のNAR試験の収集に関して、ならびに個々の被験者に関してまたは被験者群に関して(例えば非アレルギー性鼻炎を患うと同定された被験者)、まとめられてもよい。このようにまとめられたデータの結果は、NARトリガーおよび/またはNARトリガーへの被験者の曝露に関する情報を提供し得る。当業者は、このようなデータは、種々の適用、例えば被験者診断、NAR症候群調査、NARトリガー許容範囲レベルの確立、ならびに他の適用を有することを認識する。
【0030】
本発明の実施形態は、いくつかの要素を組み込んだチャンバを含んでいてもよい。このような要素は、チャンバ内にNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てるように特定の環境を生じさせる手段を表してもよく、例えば芳香剤ディスペンサによりチャンバ環境に芳香剤を導入する、オゾン発生器によってチャンバ環境にオゾンを導入する、噴霧器または気化器によってチャンバ環境に酢酸のような刺激物質を導入する、または空気処理システムによってチャンバ内に温度および/または湿度を生じさせる。当業者は、種々の要素がチャンバに組み込まれてもよいことを認識する。
【0031】
本発明の1つの実施形態において、空気処理システムは、チャンバ中の空気流入および流出のすべてを制御でき、ユーザーが特定した温度、湿度および空気速度レベルから所望の環境を生じさせるように空気の条件を制御できる。チャンバは、特定のターゲットパラメータを、例えば約10〜40℃、5〜60%の相対湿度および0〜10フィート/秒の空気速度の範囲内とした環境を生じさせることができる。空気処理システムは、空気処理システムを制御するために多数の個々のコンポーネントおよびセンサで構成されることができる。これらのコンポーネントおよびセンサは、空気処理システムの現場での取付けの前に製造元で取り付けられてもよい。
【0032】
本発明の別の実施形態において、空気処理システムは、後で一体化される2つの別個のシステム、すなわちベースシステムおよび速度管システム(以下で記載される)で構成されてもよい。ベースシステムは、1つ又は複数の供給ベントを介してチャンバに入る空気の温度、湿度および体積を制御できる。図1に示されるように、供給ベント12は、天井載置されてもよい。この空気は、少なくとも1つの返送ベントを介して空気処理システムに戻されてもよい。返送ベント10は、床近くに載置されてもよく、被験者の着席領域とは反対側の壁に配置してもよい。当業者は、供給および返送ベントに関して他の位置も可能であることを認識する。
【0033】
空気処理システムはさらに、各NAR試験環境における空気速度のレベルを制御するために利用されてもよい。NAR試験環境における空気速度レベルは、NARトリガーと被験者との相互作用を促進できる。このため、および他の目的のため、空気処理システムは、供給および返送空気ベント、除湿器、例えばシリカゲル系乾燥剤ホイール除湿器、加湿器および冷却装置を含むベースシステムを組み込んでもよい。
【0034】
シリカゲル乾燥剤ホイール除湿器を組み込む本発明の実施形態において、この除湿器は、吸収プロセスにおいて空気から湿分を除去できる。ホイールを使用して、チャンバ返送空気から湿分を除去し、乾燥した空気を再循環させ、空気ダクトおよび排出器を通してチャンバに戻されてもよい。この空気ダクトおよび排出器は、カスタム設計されてもよい。乾燥剤ホイール内に捕捉された湿分は、熱再活性化され、排気装置を介して外側に放出されてもよい。湿分を欠いた乾燥空気は、空気処理システムおよび空気フロー発生器を通してチャンバに再導入されてもよい。チャンバに空気を入れる前に、加湿器を利用して、調整された空気に湿度および湿分を導入してもよい。チャンバ内の湿度レベルは、ユーザーが規定し得る設定点によって制御されてもよい。チャンバは、5〜60%の相対湿度の範囲内のレベルを達成可能であってもよい。空冷式冷却装置は、空気処理システムを冷却するために主に関与でき、それにより順に冷却された空気をチャンバに導入できる。排気ファン機能は、チャンバからCO2飽和した空気を除去でき、それによってヒトが過ごす場所として許容可能な限度でCO2レベルを維持する。排気ファンはまた、チャンバ内の圧力レベルを生じるおよび/または維持するのに役立ち得る。
【0035】
空気処理システムはさらに、温度調整された空気を速度制御された様式でチャンバに送達できる速度管システムを含んでいてもよい。速度管システムは、すべての速度管を同時に供給する冷却コンポーネントを有する空気フロー発生器を含んでいてもよい。速度管システムの速度管は、チャンバの壁の後ろに配置されてもよい。各管は、被験者の着席領域とは反対に載置され、手動で回転可能であってもよい空気排出器を供給してもよい。各速度管は、独立に制御されたヒーターおよび空気速度ダンパーを有していてもよい。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、図1に示されるように、速度管システム14は、空気フロー発生器および1つ又は複数の速度管で構成されてもよい。空気フロー発生器は、カスタム設計され、温度調整された空気を速度制御された様式で被験者に直接送達してもよい。本発明の1つの実施形態において、4つの円形で8インチ直径の空気排出器は、着席した被験者とは反対側の壁に位置してもよく、それぞれがチャンバ壁の背後に載置された別個の空気速度管によって供給されてもよい。各空気速度管は、0〜10フィート/秒の空気速度の正確な自動化操縦を可能にする特殊化ダンパーを含有してもよい。各空気速度管はまた、独立に制御されて、速度排出器を通して加熱を正確に操縦できるヒーターを含有してもよい。速度管を供給する空気フロー発生器は、4つの速度管をすべて同時に供給する単一冷却コンポーネントを含有してもよい。独立した加熱コイルおよび共通冷却コイルの組み合わせにより、排出器を離れ被験者に向かう空気の正確な温度制御を可能にする。空気フロー発生器および空気速度管は、ベースシステムから独立して除湿または加湿能を有していない場合があり、結果として空気を適切に加湿するためにはベースシステムによることができる。次いで空気は、両方の空気処理システムを通して再循環されてもよく、空気排出器を介して被験者に送達されてもよい。空気排出器は、手動で回転可能であってもよく、被験者の顔に向かう空気フローの方向制御を可能にし、各排出器が2人の被験者に同時に空気を向ける能力を促進する。当業者は、他の速度管システム構成が、本発明に組み込まれてもよいことを認識する。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、空気処理システムは自動化されてもよい。例えば自動化は、既知のシステム、例えばCarrier Comfort Controller 6400(商標)およびCarrier ComfortVIEW(商標)ソフトウェアによって制御されてもよい。このような実施形態において、ソフトウェアは、ComfortVIEW(商標)のインターフェーススクリーンに示されるように、ユーザーが規定した設定点に応答して空気処理システムのすべてのコンポーネントを制御してもよい。温度、相対湿度および空気速度は、チャンバ内に特定の環境を生じさせるために使用される共通に制御されるパラメータであってもよい。当業者は、他の自動化手段が、空気処理システムに適用されてもよいことを認識する。
【0038】
本発明の別の実施形態において、空気処理システムは、チャンバ内の環境の態様を示すように操作可能な1つ又は複数のセンサまたは検出器を含んでいてもよい。このようなセンサまたは検出器は、温度、湿度、二酸化炭素および気圧を含むNAR環境の態様を測定してもよい。当業者は、種々のセンサおよび/または検出器、例えば光電離検出器、比色分析管を組み込んでもよいオゾンモニターまたは刺激物質蒸気モニターがNARチャンバに利用され、種々のNAR環境の態様を測定してもよいことを認識する。空気処理システムはさらに、少なくとも1つのファンを含んでいてもよい。排気ファンは、空気処理システムに含まれるべきである。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、3つの検出器、例えば温度、相対湿度および二酸化炭素が利用されてもよい。検出器は、チャンバ中の返送空気ベント内にダクト載置されて、チャンバの環境条件をモニターしてもよい。単一の気圧センサは、チャンバの天井に位置してもよい。本発明の1つの実施形態において、すべての温度および加湿制御は、自動化システム、例えばComfortVIEW(商標)ソフトウェアのようにソフトウェア駆動する自動化システムによってもよい。自動化システムは、チャンバの環境を調節するために規定され、利用される特定の設定点を組み込んでもよい。別の実施形態において、CO2だけがモニターされてもよい。このようなシステムは、将来的に所望する場合には新鮮な空気流入を制御するためにこの検出器を利用する能力を有していてもよい。本発明の別の実施形態において、気圧は、モニターおよび/または制御されてもよい。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態において、チャンバ内のNAR環境をさらに促進するために、チャンバの壁はコーティングされていてもよい。例えばチャンバの壁は極めて低い湿度レベルの結果として生じる静電気を低減するために静電気放散表面を生じさせるため、エポキシ塗料で塗布され、銅メッシュを埋め込んでもよい。チャンバ内において、査定設備のための指定領域、ならびに調査員および被験者のための座席が存在してもよい。調査員のための座席は、NARトリガーをばら撒く環境から分割された領域中であってもよい。
【0041】
チャンバは、NARトリガーがばら撒かれたチャンバ環境に入室または退去する場合、NARトリガーがばら撒かれていないチャンバの外側雰囲気または領域によってチャンバNAR環境が汚染される可能性を減らすためにエアロックエントランスを組み込んでもよい。当業者は、種々のエントランス構成を利用して、NARトリガーをばら撒くチャンバ環境を保護してもよいことを認識する。例えば、エアロックは、チャンバ内に生じた環境を維持するのに役立ち得る負圧下であってもよい。1つの可能な構成を図3に示し、この図において、エアロックは2つのドア、チャンバに至るドア30bおよび外側廊下からのドア30aを有していてもよい。各ドアは、独立に開くだけでもよい。チャンバに至るエントランスは通路を含んでいてもよい。
【0042】
チャンバの内部において、例えばライザーを含むことによって高さの変動が組み込まれてもよい。被験者のための座席も、チャンバ内に含まれていてもよい。高さおよび座席は、特定のトリガー効果が生じる方法で、NAR試験環境に被験者を曝すように特別に配置されてもよい。ライザーは、ライザーのいずれかの端部に上部に至る1つのステップを有する金属枠組みで構成されてもよく、スリップ防止面を備えていてもよい。椅子はまた、タブレットアームを有し、NAR試験中に主観的な症状の採点を促進してもよい。
【0043】
図1に示されるように、本発明の1つの実施形態において、8人の被験者のための座席16は、4個2列で配置されてもよく、第2の列は第1の列の後ろで段になったライザー18上にある。ライザーおよび椅子の両方は、室内の空気フローを最大限にし、乱流を減らすことに基づいて設計され、選択されてもよい。それぞれ直径8インチの4個の円形空気排出器は、被験者座席と反対の壁に位置していもよい。各空気排出器は、別個のタクトを含有する特殊制御によって供給され、空気速度の正確な自動化操縦を可能にしてもよい。各空気排出器は2人の被験者、前列の1人と、ライザー上の直後の1人に空気を向けてもよい。排出器は、手動で回転可能であってもよく、被験者の顔に向かう空気フローの方向制御を可能にする。当業者は、座席、ライザーおよび空気排出器の他の構成が本発明に組み込まれてもよいことを認識する。
【0044】
被験者の指示は、チャンバ内にアクセス可能な指示手段、または他のコミュニケーション手段によって促進されてもよい。例えば指示手段は、テレビ、音響システム、コンピュータ、または指示を与えるように被験者とコミュニケーションをとる他のいずれかの手段を含んでいてもよい。指示手段は、被験者とチャンバの外側に位置する他の人との意思疎通を促進してもよく、または被験者に対して指示を示すだけでもよい。意思疎通手段が追加的に利用され、チャンバ内に被験者がいる間に被験者のための娯楽を提供してもよい。
【0045】
チャンバは、1つ又は複数の窓を含んでいてもよく、それによってチャンバの内側は、チャンバの外側からまたはNARトリガーがばら撒かれる領域とは離れたチャンバ中の領域から視察できてもよい。このような窓は、エアロックにおいて、チャンバの1つ又は複数の壁において、および/またはチャンバの外側からチャンバ内を見ることもしくはNARトリガーがばら撒かれない別の領域からNARトリガーがばら撒かれるチャンバの環境内を見ることを促進するための他のいずれかの位置において、位置してもよい。図3に示されるように、1つ又は複数の窓32は、チャンバの外部領域、例えば観察室34に連結されてもよい。窓は、人、例えばNAR試験を行う1人又は複数の調査員によってリアルタイムの被験者モニタリングを可能にし得る。NARトリガーがばら撒かれるチャンバ領域をモニターする能力により、調査員が、被験者をNAR試験およびいずれかに関連する臨床プロトコルに順守させることができる。モニタリングは、リアルタイムの被験者モニタリングであってもよい。
【0046】
チャンバの外側にいる人は被験者とコミュニケーション可能であってもよい。このようなコミュニケーションは、被験者のモニタリング、またはいずれかの他のタイプのコミュニケーションに基づいてもよい。例えば、チャンバおよびチャンバの外側での領域、例えば観察室は、インターコムシステムを装備していてもよい。インターコムシステムは、調査員−被験者の意思疎通を促進してもよく、調査員が被験者に指示を与えることを含んでいてもよい。コミュニケーション手段および指示手段は、単一デバイスによって促進されてもよい。当業者は、本発明の1つ又は複数の窓、被験者モニタリングおよびコミュニケーション態様は、他の手段を通して達成されてもよいことを認識する。
【0047】
本発明の1つの実施形態では、チャンバは、クリーンルームのレベルII標準に設計されてもよい。
【0048】
本発明の別の実施形態において、チャンバは、例えば10.5×19フィートのような種々の割合であってもよい。当業者は、チャンバの割合が、チャンバ内の有効なNAR試験を促進するように構成されてもよいことを認識する。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態において、一連のNAR試験方法は、チャンバを利用して行われてもよい。例えば、一連のNAR試験は、冷たく乾燥した空気、温度変化、オゾン、芳香剤および刺激物質の5つの区別可能なチャレンジで構成されてもよい。当業者は、他の一連のNAR試験が、チャンバを利用して本発明の方法において利用されてもよいが、一連の5つのチャレンジは本発明の例として示されることを認識する。本明細書の目的のために、NAR試験はまたチャレンジとして言及されてもよい。例の一連のNAR試験における各チャレンジのターゲットレベルは次の通りであってもよい。
【0050】
【表1】
【0051】
本発明のチャンバおよび方法は、各NAR試験チャレンジのために変更されてもよい。以下は各NAR試験/チャレンジのためにチャンバ内に生じさせることができる可能なNAR環境の例を示す。当業者は、チャンバ内の可能なNAR環境は単なる例として示され、本発明は他のNAR試験/チャレンジおよび環境を含んでいてもよいことを認識する。当業者はさらに、各NAR試験/チャレンジの態様、例えば較正プロセス、目的、ターゲットなどは、このような態様が以下に記載されるNAR試験/チャレンジ以外のNAR試験/チャレンジに適用されてもよいことを認識する。当業者はなおさらに、各NAR試験/チャレンジに関して以下に記載されるターゲット、例えば温度、オゾン濃度などは、おおよそのターゲット例として与えられ、本明細書に記述されるいずれかのターゲット/レベルから変更してもよいことを認識する。
【0052】
(冷たく乾燥した空気および温度変化の特徴)
冷たく乾燥した空気および温度変化チャレンジのためのチャンバ内のNAR環境は、本発明の空気処理システムによって促進されてもよい。冷たく乾燥した空気チャレンジの間、調整された空気(約14±5℃、相対湿度<15%であってもよい)は、速度管から排出されてもよく、例えば約5フィート/秒のような速度にて被験者の着席領域に向けてもよい。温度変化チャレンジの間、暖かい空気(約35±5℃にて、相対湿度10〜40%であってもよい)は、例えば約1時間の期間、例えば5フィート/秒のような速度にて被験者の着席領域に向けられてもよく、次いで冷たい空気(約14±5℃にて、相対湿度10〜40%であってもよい)に素早く交換して、例えばさらに1時間(60分間)の期間、例えば約5フィート/秒のような速度にて被験者の着席領域に向けてもよい。温度、相対湿度および空気速度のレベルは、空気処理システム内の環境センサによってモニターされてもよい。これらのレベルは、例えば本発明の自動化された要素によって報告されてもよい。このような自動化要素は、報告ソフトウェアのパッケージ、例えばComfortVIEW(商標)ソフトウェア、または報告目的のための他のいずれかのパッケージおよび/またはソフトウェアを利用してもよい。
【0053】
測定デバイスの較正ステータスは、種々の手段、例えば鏡面冷却式湿度計および/または風向風速計であってもよい風速計によって達成されてもよい。本発明のすべての実施形態について、較正プロセスを行う必要はない。較正プロセスを行う本発明の実施形態は、いくつかのデバイスの1つ以上を利用してもよい。利用されるデバイスは、特定のNAR試験/チャレンジに特異的であってもよい。
【0054】
例えば、湿度計は、クロムめっき鏡面を用いて温度および露点を測定し、これらの測定値に基づいて相対湿度を計算する一次露点デバイスとして利用してもよい。このデバイスは、高感度であってもよく、温度および露点を±0.2℃の精度で測定してもよい。あるいは、またはさらに、鏡面冷却式湿度計は、モバイルデバイスであってもよく、測定値を被験者着席領域にてとることができ、被験者が所望の条件を体験していることを確実にしてもよい。システム、例えばComfortVIEW(商標)システムはまた、チャンバからの温度および相対湿度計測値を与えるために利用されてもよい。このような計測値は、センサ、例えば返送空気供給においてダクト載置されたセンサから伝送されてもよい。さらなるデバイスを利用して、調整された空気の温度および相対湿度ならびに被験者がチャンバ内の特定の位置、例えば着席領域にて体験する他の条件を測定してもよい。
【0055】
本発明は、次の目的に対処するために構成されてもよい。温度、相対湿度および空気速度のターゲットパラメータを、典型的なチャレンジ期間、例えば1時間にわたって時間的に維持するシステムの能力を決定すること、および温度、相対湿度および空気速度のターゲットパラメータをNARチャレンジに使用されるべき着席位置のそれぞれにおいて空間的に維持するシステムの能力を決定すること、温度変化チャレンジのために暖かい空気と冷たい空気との条件を交換するために必要とされる時間を決定すること。このような決定は、本発明の方法に一体化されてもよい。さらに同様の目的は、各NAR試験/チャレンジに適用されてもよい。
【0056】
種々の実験および較正手段は、NAR温度およびCDAチャレンジにおいて策定される各目的と関連したターゲット値および変動性を測定するために適用されてもよい。これらには、温度および空気速度レベル、および温度変化チャレンジのためには2つの条件間の交換時間に関連するターゲットを達成するための時間を検証すること、各着席位置間の温度、相対湿度および空気速度の空間的均質性を検証すること、典型的なチャレンジ期間にわたって温度、相対湿度および空気速度の時間的な均質性を維持する能力を検証すること、および被験者のチャンバへのエントリーの影響を決定することが含まれていてもよい。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、冷たく乾燥した空気(「CDA」)環境は、特定の温度、例えば14℃(±3℃)、および相対湿度、例えば10%(±5%)を目標としてもよい。CDAのための条件は、NAR被験者に関して主に報告された症状トリガーとして天候および温度変化を同定する文献に基づいて選択されてもよい(参照:Shusterman D and Murphy MA(2007)Nasal hyperreactivity in allergic and non−allergic rhinitis:a potential risk factor for non−specific building related illness.Indoor Air.17:328−333)。CDA鼻チャレンジは、非アレルギー性鼻炎被験者をコントロールと区別するためにはヒスタミンチャレンジより優れていることが証明され(参照:Braat JPM,Mulder PG,Fokkens WJ,Gerth van Wijk R and Rijntjes E(1998)Intranasal cold dry air is superior to histamine challenge in determining the presence and degree of nasal hyperreactivity in nonallergic noninfectious perennial rhinitis.Am.J.Respir.Crit.Care Med.157:1748−1755)、CDAに対する応答がNARの決定的な表現型であることを示唆している。また、鼻誘発調査は、CDAであり、暖かく湿ってはいない空気は、鼻粘膜に作用することが示されている(炎症性メディエイタ放出および鼻上皮細胞脱落の増大)(参照:Togias AG,Naclerio RM,Proud D,Fish JE,Adkinson NF,Kagey−Sobotka A,Norman PS and Lichtenstein LM(1985)J.Clin.Invest.76:1375−1381、およびCruz AA,Naclerio RM,Proud D and Togias A(2006)Epithelial shedding is associated with nasal reactions to cold,dry air.J.Allergy Clin.Immunol.117:1351−1358)。これらの観察に基づいて、本発明の実施形態は、冷たく乾燥した条件の作用を検査するためのNAR試験/チャレンジを含んでいていもよい。さらに、チャンバの外側の標準環境から冷たく乾燥した環境への変化の作用は、二次目的として評価されてもよい。CDAチャレンジに関して、空気速度、例えば5フィート/秒(±3フィート/秒)が目標とされてもよい。5フィート/秒の適度な空気速度は、最低のファン設定で自動車の換気システムから乗員の顔で体験する速度に匹敵する(Cetero Research(2007)非公開データ)。
【0058】
絶対極値温度に加えて、温度の迅速な変化は、コントロールに比べて鼻炎患者の鼻症状(鼻づまり、鼻漏、痒み)を増大させることがわかった(参照:Graudenz GS,Landgraf RG,Jancar S,Tribess A,Fonseca SG,Fae KC and Kalil J(2006)The role of allergic rhinitis in nasal responses to sudden temperaure changes.J.Allergy Clin.Immunol.118:1126−1132)。これらの調査は、制御されたチャンバ環境にある被験者を冷たい空気(14℃)に30分間曝し、即座に変更して暖かい空気(26℃)に30分間曝し、このサイクルを2回以上繰り返すことを含む。これらの知見に基づき、本発明は、NAR症状における迅速な温度変化の作用を評価するために、温度チャレンジを組み込んでもよい。温度変化チャレンジは、被験者を、暖かい空気に1時間曝した後、冷たい空気に迅速に変化させ、冷たい空気に1時間曝してもよい。相対湿度は、これらの実験の間、一定のまま、例えば20%±10%であってもよい。ターゲット温度は、本発明によって達成されてもよく、例えば暖かい空気コンポーネントに関しては40℃±3℃および冷たい空気コンポーネントに関しては14℃±3℃であってもよい。適度なターゲット空気速度、例えば5フィート/秒(±3フィート/秒)が、暖かい空気コンポーネントと冷たい空気コンポーネントとの両方に利用されてもよい。
【0059】
【表2】
【0060】
本発明は、誘導鼻炎症状に焦点を当てることができ、結果としてターゲット条件は、被験者の顔だけに関するものであることができ、一般的な室内条件または被験者の身体の他の一部が体験する条件に関するものではなくてもよい。被験者の顔に調整された空気を最大限曝すことで鼻炎症状の確率を増大させるために、速度管は、座席の前列の頭の高さに特に向けてもよい。そのようなものとして、条件は、チャンバ内の特定の位置、例えば前列座席にのみ妥当性確認されてもよい。
【0061】
本発明の方法は、同時にチャンバ内にある多数の被験者を必要とする場合がある。被験者は、チャンバに入室する前に室温に気候順応させてもよい。チャンバは、特定の数の被験者、例えば最大8人の被験者を保持する能力、ならびに効力および安全査定のために指定された空間を保持する能力を有していてもよい。すべての被験者が同一の条件を体験する臨床モデルを革新的に与えるために、チャンバ内の空間的均質性が妥当性確認プロセスを通して評価されてもよい。妥当性確認プロセスの実験は、温度、相対湿度および空気速度の空間的均一性を試験してもよい。環境条件は、それぞれの被験者の位置にて試験されてもよく、空間的均一性は、設定基準に従って規定されてもよい。
【0062】
人間は、皮膚からの表面蒸発および呼吸を含む多くの機構を通して環境に湿分を放出する。人間の被験者から放出された湿分の影響、ならびにチャンバ内の環境条件に被験者をエントリーさせるためのドアの開放プロセスの影響は、妥当性確認プロセスの間に決定されてもよい。例えば8人の被験者のチャンバ内へのエントリーおよび着席は、先行する調査において決定されていて、低湿度環境における相対湿度レベルを約5%増大させ、約16分以内に仕様範囲内に戻る。本発明の方法に一体化させる基準は、このような知見または他の妥当性確認手段に基づいていてもよく、チャレンジを行う人に、20(±10)分の再平衡化の時間間隔を認めるように選択させる。多くの変数が、温度、相対湿度および空気速度に関するこのような基準(最大数の被験者のエントリーおよび退出を含む)に影響を及ぼし得る。これらは、査定され、評価され、試験/チャレンジ方法に組み込まれてもよい。
【0063】
例えば、本発明の1つの実施形態では、次の方法が冷たく乾燥した空気および/または温度NAR試験に適用されてもよい。
1.NARトリガーを誘発するのに必要なターゲットレベルを達成するために、必要に応じて空気処理システムに関してターゲット温度、相対湿度および空気速度を設定すること。
2.ベース空気処理システムおよび速度管システムを始動すること。
3.温度および相対湿度がターゲットレベルに到達するまで(いずれかの規定された各変動域内)規則的な間隔、例えば10分毎に、鏡面冷却式湿度計および回転風向風速計によって提供されるような温度および相対湿度測定値を記録すること。測定値、例えば鏡面冷却式湿度計および回転風向風速計によるものは、前列の代表的な位置として前列における特定の着席位置のためのエアストリームにおいて行うことができる。
4.ターゲットレベルに到達したら、安定な環境が達成されていることを確実にするための最小数の測定値のために、例えば3つの測定値のために、規則的な間隔、例えば5分毎にて、測定値を記録し続ける。
5.チャンバに被験者をエントリーさせ、着席領域において被験者を着席させる。
6.空気処理システムおよび独立センサを用いて、規則的な間隔、例えば2分毎に、ターゲットレベルに再び到達するまで温度および相対湿度を記録すること。温度および相対湿度のそれぞれの再平衡化に必要な時間を記録する。すべてのレベルが再び達成されたら、条件の安定を確実にするために設定数の測定、例えば3回の測定のために、規則的な間隔、例えば5分毎に測定を続ける。
7.室内からの被験者の除去。
8.規則的な間隔、例えば2分毎に、温度および相対湿度を記録する。設定数の継続的な測定、例えば3回の継続的な測定のためにターゲットレベルが維持されるまで記録を続ける。
9.鏡面冷却式湿度計で測定された温度および相対湿度は、ターゲットレベル、例えば被験者のエントリーまたは退出の20±10分以内にそれぞれ戻り得る。
【0064】
当業者は、この手順の別の選択肢が本発明によって適用されてもよく、本明細書に記載された手順と同じまたは同様の手順が他のNAR試験/チャレンジに適用されてもよいことを認識する。
【0065】
CDAおよび温度チャレンジを行った後、データは分析されて、報告書に示されてもよい。この報告書は、種々の形態で試験の種々の知見を記載してもよい。
【0066】
(オゾンチャレンジに特定のチャンバの特徴)
NAR被験者は、多くの場合、自身の鼻閉および鼻漏のトリガーとして環境汚染のコンポーネントを報告している。大気オゾンは、環境空気汚染の主要構成要素であり、大気オゾンのレベルの増大は、鼻粘膜に対する損傷および上気道における炎症の増大を含む多くの健康問題を導くことが示されている(参照:Pacini S,Giovannelli L,Gulisano M,Peruzzi B,Polli G,Boddi V,Ruggiero M,Bozzo C,Stomeo F,Fenu G,Pezzatini S,Pitozzi V,and Dolara P(2003)Association between atmospheric ozone levels and damage to the nasal mucosa in Florence,Italy.Environ.Mol.Mutagen.42:127−135)。大気オゾン汚染に加えて、屋内空気の質が、例えばコピー機および屋内空気清浄機のような機械デバイスによって製造されたオゾンによって影響を受ける(参照:Bernstein JA,Alexis N,Bacchus H,Bernstein IL,Fritz P,Horner E,Li N,Mason S,Nel A,Oullette J,Reijula K,Reponen T,Seltzer J,Smith A,and Tarlo SM(2007)J.Allergy Clin.Immunol.In press)。
【0067】
多くの調査により、チャンバ設定においてオゾン曝露の作用が検査されたことによって、許容可能な実験曝露条件に関するガイドラインを与えている。アレルゲンチャレンジ前の適度なオゾンレベル(4時間0.5ppm)への予備曝露は、上気道および下気道症状および鼻好中球および好酸球レベルの増大をもたらす(参照:Bascom R,Naclerio RM,Fitzgerald TK,Kagey−Sobotka A,and Proud D(1990)Effect of ozone inhalation on the response to nasal challange with antigen in allergic subjects.Am.Rev.Respir.Dis.142:594−601)、一方でアレルゲンチャレンジ前の低レベルオゾン(1時間0.12または0.2ppm)への予備曝露は、呼吸症状にほとんど作用を与えなかったので(参照:Ball BA,Folinsbee LJ,Peden DB,and Kehrl HR(1996)Allergen broncoprovocation of subjects with mild allergic asthma after ozone exposure.J.Allergy Clin.Immunol.98:563−572、およびChen LL,Tager IB,Peden DB,Christian DL,Ferrando RE,Welch BS and Balmes JR(2004)Effect of ozone exposure on airway response to inhaled allergen in asthmatic subjects.Chest.125:2328−2335)、臨床上明らかな結果を見るためには適切なオゾンレベルが重要であることを示している。しかし、これらの調査は、オゾンに関する実験的に許容可能な曝露限度に対する証拠を与える。
【0068】
オゾンは一般的な屋内空気汚染物質であるので、特定の曝露限度が設定されている。屋内空気におけるオゾンに関するHealth Canada短期間曝露限度は、1時間の平均濃度に関して≦0.12ppm(≦240μg/m3)である(参照:Health Canada(1989).Exposure Guidelines for Residential Indoor Air Quality(1989)A report of the Federal−Provincial Advisory Committee on Environmental and Occupational Health.Health Canada)。オゾンに関して米国職業安全衛生管理局(OSHA)の許容曝露限度(PEL)は8時間/日あたり0.10ppmであり、ACGIH TLVは2時間未満で0.2ppmである(参照:US Department of Labor(2004).Chemical Sampling Information:Ozone(2004)U.S.Department of Labor,Occupational Safety&Health Administration.www.osha.gov)。
【0069】
本発明の要素としてのオゾンチャレンジは、NAR被験者における鼻症状を誘発する一般的な原因である環境汚染条件を模倣するように設計されてもよい。高いオゾン濃度が鼻症状を引き出すのに必要であることを前提として、被験者は、ACGIHによって記載される最高値の許容職業曝露限度、例えば2時間までの間で0.2ppmに曝されてもよい。当業者は、曝露限度が本発明の一部として適用されるオゾンチャレンジに関して変動するレベルに設定されてもよいことを認識する。
【0070】
オゾンチャレンジの間、オゾン発生器は、オゾンレベルを発生させるようにチャンバ内にて操作されてもよい。ターゲット・オゾン・レベルは、例えば0.2±0.1ppmのターゲット範囲内のレベルがチャレンジのために同定されてもよい。チャンバ内のオゾンレベルは、オゾン検出器を用いてモニターされてもよい。モニタリングは、チャレンジのいずれかの段階においてチャレンジ中の規定の時間で行ってもよい。
【0071】
オゾンレベルの測定は、携帯用オゾンモニターを用いて行われてもよい。オゾンモニターの較正ステータスが保障されてもよい。次の実験のいずれか、またはすべてが適用されてもよく、または全く適用されなくてもよい。空間的および時間的なオゾンのターゲットレベルの達成に必要な適切な手順および操作パラメータを決定するために設計された実験、オゾンのレベルに対するドア開放の影響を決定するために設計された実験、曝露施設をターゲットレベルで飽和するのに必要な時間を決定するために設計された実験、および他のいずれかのNAR試験に関連する実験。
【0072】
オゾンチャレンジは、次の目的に対処してもよい。施設内のオゾンのターゲットレベル(0.2ppm)を達成するためにオゾン発生器に必要な設備設定を決定すること、オゾンレベルの許容可能および実現可能な範囲または許容範囲を決定すること、1時間0.2ppmのターゲットレベルを維持するための設備の能力を決定すること、予定された着席位置のそれぞれにおいて0.2ppmのターゲットレベルの空間的均質性を達成するためのシステムの能力を決定すること、ドアの開放時におけるオゾンレベルの影響を決定すること、およびオゾン発生器の欠陥時(「最悪の場合」条件)におけるオゾンレベルを維持する施設の能力を決定すること。
【0073】
本発明は、同時にチャンバ内にいる多数の被験者を含んでいてもよい。チャンバは、多数の被験者、例えば最大4人の被験者を保持する能力、ならびに効力および安全査定のために指定された空間を保持する能力を有していてもよい。調整された空気の被験者の顔への曝露を最小限にし、被験者へのオゾンの作用を査定するために、速度管は、有効でなくてもよく、被験者は特定の位置に着席するだけでよい。このような位置は、被験者に対するオゾンの作用を査定する際の一ステップとして妥当性確認されてもよい。
【0074】
すべての被験者が同一の条件を体験するチャレンジ環境を確信して提供するために、チャンバ内の空間的均質性は、本発明においてステップとして評価できる。このような妥当性確認目的の実験は、オゾンのターゲットレベルの空間的均一性を試験してもよい。例えば、オゾンレベルは、試験に適用される空間的均一性の規定に従って各被験者位置にて試験されてもよく、査定されてもよい。このようなステップの例は、期間にわたって設定された時間間隔、例えば2時間の間で20分毎にてチャンバ内の各ターゲット位置、例えば座席位置にて光電離検出器を用いてオゾンレベルを収集することを含んでいてもよい。
【0075】
(芳香剤チャレンジの特徴)
芳香剤および香料は、NAR被験者に関して一般的に報告されている風媒性トリガーである。NAR人口において芳香剤または香料への曝露の作用を特に検証した調査はないが、多くの研究は、多種類化学物質過敏症またはシックハウス症候群を有する人における芳香剤の鼻作用に関して行われている。例えば、Opeikun,RE,Smeets M,Sulewski M,Rogers R,Prasad N,Vedula U and Dalton P(2003)Assessment of ocular and nasal irritation in asthmatics resulting from fragrance exposure.Clin.Exp.Allergy.33:1256−1265は、制御されたチャンバにおける市販の空気消臭剤に曝された喘息被験者における眼および鼻刺激を検査している。チャレンジはまた、チャンバ環境において噴霧化された市販の香料が使用された(参照:Shim C and Williams MH(1986)Effect of odors in asthma.Am.J.Medicine.80:18−22、およびMillqvist E and Lowhagen O(1996)Placebo−controlled challanges with perfume in subjects with asthma−like symptoms.Allergy.51:434−439)。Olfactory research、例えばDalton P,Wysocki CJ,Brody MJ,Lawley HJ.(1997)The influence of cognitive bias on the perceived odor,irritation and health symptoms from chemical exposure.Int.Arch.Occup.Environ.Health.69:407−417は、バナナ(酢酸アミル)、バラ(フェニルエチルアルコール)、アーモンド/サクランボ(ベンズアルデヒド)、ウインターグリーン(メチルサリシラート)およびバルサム(酢酸イソボルニル)のような一般的な香りに関与する主要な化学構成要素を同定した。被験者のフェニルエチルアルコールまたはメチルエチルケトン(一般的な溶媒)への曝露は、鼻抵抗を増大させることを見出した(参照:Doty RL,Deems DA,Frye RE,Pelberg and Shapiro A(1988).Olfactory sensitivity,nasal resistance,and autonomic function in subjects with multiple chemical sensitivities.Arch.Otolaryngol Head Neck Surg.114:1422−1427)。
【0076】
最近の調査は、3つのタイプの空気消臭剤および3つのタイプの洗濯製品を含む一般的な消費者製品における多くの異なる揮発性有機化合物(「VOC」)を同定するためにガスクロマトグラフィ/質量分析を使用している(参照:Steinemann AC(2008)Fragranced consumer products and undisclosed ingredients.Enviro Impact.Assess Rev)。これらの調査は、一般的な空気消臭剤プラグイン製品が、20個の異なるVOC、例えばd−リモネン、β−ピネン、アセトン、カンフェンおよび3−ヘキセン−1−オールを含有することを示した。Daltonによる以前の嗅覚チャンバ調査は、チャンバ内のVOCレベルをモニターするために光電離検出器を利用している(参照:Dalton P(1996)Odor perception and belief about risks.Chemical Senses.21:447−458、およびDalton,P.(1999)Cognitive influences on health symptoms from acute chemical exposure.Health Psychology.18(6):579−590)。この同じ方法論に従って、市販のプラグイン空気消臭剤によって本発明のチャンバ中に発生したVOCレベルを、VOCを検出する光電離検出器を用いて測定してもよい。当業者は、この方法は、本発明の芳香剤チャレンジの要素の1つの例に過ぎず、他の要素が可能であることを認識する。
【0077】
本発明の1つの実施形態では、芳香剤レベルは、芳香剤ディスペンサ、例えば市販の芳香剤ディスペンサの使用を通してチャンバ内に生じさせてもよい。例えば芳香剤を放出するために居住環境、商業的環境および産業的環境に使用される市販の空気消臭剤プラグインが利用されてもよい。空気消臭剤は、多数のVOCで構成されるので、VOCレベルはエアロゾル化された芳香剤レベルの良好な指標である。このような芳香剤ディスペンサは、ターゲット芳香剤レベルを達成するために、チャンバへの被験者のエントリー前に規定の時間操作されてもよい。購入したユニットは、電気のコンセントにユニットをプラグインし、芳香剤の発生を認めるか、または適用可能な場合に取り付けられた「ファン」からのノイズを認めることによって、予測される操作を確認して操作に関して試験されてもよい。
【0078】
本発明の1つの実施形態では、被験者がユニットから放出された芳香剤および揮発性有機化合物によって等しく囲まれるように、室内に6個の芳香剤ディスペンサユニット、「P」と標識された各位置において2個のユニット(2つの芳香剤の混合物)が存在してもよい。当業者は、チャンバ内にある芳香剤をばら撒く他の手段として芳香剤ディスペンサユニットの他の構成も可能であることを認識する。
【0079】
芳香剤曝露は、VOC、市販の芳香剤の同定されたコンポーネントのレベルを測定するために光電離検出器を用いてモニターされてもよい。芳香剤のレベルは、チャレンジのためのターゲットレベル、例えば6±3ppmにて維持されてもよい。
【0080】
NAR−芳香剤チャレンジの妥当性確認プロトコルは、芳香剤の測定として、VOCのターゲットレベルを達成するための施設の能力を検証する必要がある実験を概要するために開発されてもよい。NAR−芳香剤チャレンジの妥当性確認プロトコルは、VOCのレベルによって測定される場合に、施設が芳香剤のターゲットレベルを達成できることを検証するために行われるべき特定の目的および実験を概要してもよい。次の実験設計は、この目的のために、VOCのターゲットレベルを達成するための時間を検証する、それぞれの着席位置においてVOCのレベルの空間的均質性を検証する、VOCのレベルに対するドアの開放による影響を検証する、およびチャレンジ期間、例えば30分間にわたってVOCのレベルの時間的均質性を維持するための能力を検証するために従ってもよい。
【0081】
本発明の1つの実施形態では、多チャレンジチャンバ構成が、芳香剤チャレンジのために利用されてもよい。多チャレンジチャンバ構成は、いくつかのタイプ、構成およびサイズを有していてもよい。例えば、多チャレンジチャンバ構成は、約40フィート×8フィートであってもよく、3つの別個の部屋で構成されてもよい。芳香剤チャレンジ室(約8フィート×8フィート)および刺激物質チャレンジ室(約12フィート×8フィート)は、中央の共通待合室(約20フィート×8フィート)を備えた一時的な曝露施設のどちらかの端部にあってもよい。当業者は、多チャンバ構成の他のサイズおよびレイアウトが本発明に従って可能であることを認識する。部屋への必要な熱および新鮮な空気は、この一時曝露施設の各端部に位置する専用加熱、換気、および空気調整システムによって供給されてもよい。チャレンジ室の壁およびドアの継ぎ目は、チャレンジ室と待合室との間の相互汚染を最小限にするために密封されてもよい。チャレンジ室およびチャンバの待合領域内に、被験者のための指定された着席領域が存在してもよい。芳香剤チャレンジ室および刺激物質チャレンジ室は、待合領域におけるNARトリガーの相互汚染を最小限にするために、それぞれにおいてばら撒かれるNARトリガーを有していなくてもよく、および/または同時に行われなくてもよい。
【0082】
多チャレンジチャンバ構成における芳香剤室は、周囲温度、例えば22℃±5℃にて着席位置それぞれにて測定される場合に、レベル、例えば6±3ppmのVOCを目標としてもよい。プラグインユニットを利用する場合、プラグインユニットからのVOC放出は、光電離検出器を用いてユニットから約1インチ離れ、ならびにデジタル式光回転速度計を用いてユニットに取り付けられたファンの速度にて検証されてもよい。選択されたターゲット条件を達成および維持するチャンバの能力は、妥当性確認プロセスを確実に完了するためおよび将来的な臨床トライアルを行うためには重要な場合がある。チャンバ内で一度に2人以上の被験者をチャレンジさせることもできる。最大曝露期間は、芳香剤チャレンジに関して30分であってもよい。そのため、チャンバは、着席位置において30分間にわたって所望の条件を維持する能力を確立することによって有効性に関して試験できる。当業者は、これは例であり、他の芳香剤室パラメータおよびターゲットが適用できることを認識する。
【0083】
NAR試験を行う間、ドア開放は、被験者が部屋に入室し、退出する場合に必ず発生し得る。ドア開放により、芳香剤がチャンバ外環境へ損失する可能性が生じる。例えば、チャンバのドアを開放することにより、着席位置#2に比べて、ドアの前方に位置する着席位置#1におけるVOCレベルは1±0.5ppm低下し得る。データの許容基準は、5±3分の再平衡化時間間隔が可能となるように選択されてもよい。
【0084】
(刺激物質チャレンジの特徴)
刺激物質は、NAR被験者に関して最も頻繁に報告されるトリガーの1つである。特に、家庭用洗浄製品およびそれらに関連して化学刺激物質は、強力なトリガーとしてNAR被験者によって同定されている。一般に使用される家庭用クリーナーの1つは、酢酸である。酢酸蒸気への曝露の急性作用を試験する調査では、チャンバ環境中、2時間で5または10ppmへの曝露は、鼻不快感および鼻水を含む鼻症状を生じさせることが示された(参照:Ernstgard L,Iregren A,Sjogren B and Johanson G(2006)Acute effects of exposure to vapours of acetic acid in humans.Toxicology Letters.165:22−30)。同様に、季節性アレルギー性鼻炎被験者の15分間の15ppm酢酸蒸気への曝露は、ベースライン値に比べて鼻気道抵抗の増大をもたらした(参照:Shusterman D and Tarun A(2005)Seasonal Allergic Rhinitic and normal subjects respond differentially to nasal provocation with acetic acid vapor.Inhalation Toxicology.17:147−152)。興味深いことに、正常(非鼻炎)被験者は、酢酸曝露に応答した鼻気道抵抗の増大を示さないが、これは鼻炎被験者は刺激物質の鼻作用に対して感受性が高い場合があることを示している。
【0085】
酢酸が産業溶媒であることを前提として、明らかな職業曝露限度は、種々の規制当局によって決定されている。米国産業衛生専門家会議(ACGIH)によって同定される閾限度値−短期間の曝露レベル(TLV−STEL)は15分間15ppmである(US Dept.of Labor,2007)。閾限度値−時間加重平均(TLV−TWA)は10ppmであり、これは1日8時間および40時間/1週間のスケジュールに基づく平均曝露の限度である(参照:US Department of Labor(2007).Chemical Sampling Information:Acetic Acid(2007)U.S.Department of Labor,Occupational Safety&Health Administration.www.osha.gov)。本発明に利用される曝露条件は、これらの職業曝露限度を超えないように設定されてもよい。
【0086】
刺激物質チャレンジを促進するために、いくつかの要素がチャンバに組み込まれてもよい。これらの要素は、酢酸ディスペンサユニットおよび酢酸モニターを含んでいてもよい。当業者は、他の要素が、刺激物質チャレンジに利用される刺激物質を分配およびモニターするために利用されてもよいことを認識する。
【0087】
酢酸ディスペンサユニットは、蒸気化方法を用いて酢酸のエアロゾル化を促進してもよい。液体の酢酸(4〜8%)が容器に入れられ、これが徐々に加温されて蒸気が生じ、チャンバを飽和してもよい。ユニットは、被験者が、蒸気ではなく、部屋を飽和する適切なレベルのエアロゾル化酢酸に曝されるように、可能な限り被験者の着席領域から離れて、ドアのある壁に対して配置されてもよい。
【0088】
酢酸モニター、例えばDraeger−Tubes(登録商標)は、妥当性確認プロセス全体を通してエアロゾル化酢酸の濃度を決定するために使用されてもよい。Draeger−Tubes(登録商標)は、自由に選択したガスに対する応答として比色分析反応を行う化学物質で満たされた1回使用のガラスバイアル瓶である。特定の管が酢酸蒸気の検出に利用可能である。空気の較正された100mlサンプルをDraeger accuro(登録商標)ポンプを用いて管に引き込んでもよい。目標ガス蒸気、この場合は酢酸が存在する場合、管中の化学試薬の色が変化し、この色変化の長さが測定された濃度を示す。
【0089】
ディスペンサユニットは、約1時間で15ppmのレベルに到達でき、典型的なチャレンジ期間の15分を超えて、ほぼ3時間の間15±5ppmのレベルを維持できる場合がある。刺激物質チャレンジ中、酢酸は、チャンバにて15ppmの曝露レベルを生じるようにエアロゾル化されてもよい。被験者は、各チャレンジの間15分間曝されてもよい。ターゲットレベルが試験期間にわたって一定に維持できることを検証するために、エアロゾル化酢酸レベルの時間的均質性が着席位置にて検証されてもよい。
【0090】
刺激物質チャレンジを行う間、ドアの開放は、被験者のエントリーおよび退出を促進するために必ず発生し得るので、NARトリガーがばら撒かれたチャンバに対して外部の環境へエアロゾル化酢酸が損失する可能性がある。被験者のエントリーおよび退出のためのドアの開放影響は最小限であることができ、再平衡の時間間隔、例えば5±3分は、本発明の方法に適用されてもよい。
【0091】
刺激物質チャレンジのための曝露条件は酢酸を利用してもよく、職業曝露限度を超えずに、鼻応答を引き出すように選択されてもよい。刺激物質チャレンジは、通常の家庭用洗浄製品から体験する刺激物質レベルを模倣するためにエアロゾル化希釈酢酸を利用してもよい。例えば、刺激物質チャレンジ中、酢酸は噴霧化され、15ppmの曝露レベルを生じてもよく、被験者は15分間曝露される。
【0092】
刺激物質チャレンジは、NAR被験者にとって一般的なトリガーである家庭用刺激物質を模倣するためにエアロゾル化酢酸の使用を含んでいてもよい。刺激物質であるエアロゾル化酢酸のターゲットレベルは、液体酢酸を所望の濃度、例えば15±5ppmにエアロゾル化する噴霧器/蒸発器を用いて生じさせてもよい。酢酸レベルは、検出器、例えば酢酸蒸気の検出に特異な一回使用の比色分析管を用いてチャレンジ全体を通してモニターされてもよい。当業者は、他のタイプの刺激物質、ターゲットレベル、および期間は、本明細書に具体的に記述されたもの以外が本発明に適用されてもよいことを認識する。
【0093】
刺激物質チャレンジに利用されるべき設備は、噴霧器エアロゾル発生器を含んでいてもよい。測定デバイス、例えばDraeger−Tubes(登録商標)およびDraeger accuro(登録商標)−ポンプの較正ステータスも行われてもよい。刺激物質チャレンジの検証プロセスは、エアロゾル化酢酸のターゲットレベルが空間的および時間的に達成されるために必要な適切な手順および操作パラメータ、ならびにエアロゾル化酢酸のレベルに対するドア開放の影響およびターゲットレベルで曝露施設を飽和するために必要な時間を決定するように設計された実験を含んでいてもよい。当業者は、他のデバイス、較正プロセスおよび/または検証プロセスが本発明によって適用されてもよいことを認識する。
【0094】
本発明の1つの実施形態では、次の目的が対処されてもよい。エアロゾル化酢酸のターゲットレベルを達成するために噴霧器に必要とされる設備設定を決定すること、刺激物質噴霧化の許容可能および実現可能な範囲または許容範囲を決定すること、ターゲットレベル、例えば15分にわたって15ppmを維持するための設備能力を決定すること、予想される各着席位置においてターゲットレベルの空間的均質性を達成するシステムの能力を決定すること、ドアの開放時にエアロゾル化酢酸のレベルに対する影響を決定すること、および噴霧器の欠陥時(「最悪の場合」条件)にエアロゾル化酢酸レベルを維持する施設の能力を決定すること。当業者は、他の目的が本発明に適用されてもよいことを認識する。
【0095】
本発明の1つの実施形態では、多チャレンジチャンバ構成が刺激物質チャレンジならびに芳香剤チャレンジのために利用されてもよい。多チャレンジチャンバ構成は、種々のタイプ、サイズおよび構成を有していてもよい。例えば、多チャレンジチャンバ構成は、3つの別個の部屋を含んで、約40フィート×8フィートであってもよい。芳香剤チャレンジ室(約8フィート×8フィート)および刺激物質チャレンジ室(約12フィート×8フィート)は、中央の共通待合室(約20フィート×8フィート)と共に一時的な曝露施設のいずれかの端部にあってもよい。部屋に必要な熱および新鮮な空気は、一時曝露施設のいずれか端部に位置する専用加熱、換気、および空気調整システムによって供給されてもよい。チャレンジ室の壁およびドアの継ぎ目は、チャレンジ室と待合室との間の潜在的な相互汚染を最小限にするために密封されてもよい。チャンバチャレンジ室内において、少なくとも1人の被験者のために指定された着席領域が存在してもよい。刺激物質チャレンジ室および芳香剤チャレンジ室は、待合領域におけるトリガーの相互汚染を最小限にするために、それぞれにおいてばら撒かれるNARトリガーを有していなくてもよく、および/または同時に行われなくてもよい。
【0096】
(多チャレンジチャンバ構成)
上述されたように、本発明は、多チャレンジチャンバ構成を組み込んでいてもよい。このような構成は、多数の試験/チャレンジ曝露室および他の部屋を単一チャンバ空間内に組み込んでもよい。多チャレンジチャンバ構成は、チャレンジ条件間の何らかの相互汚染を排除する様式でチャレンジ環境を迅速に効率良く生じさせるために多チャレンジのために使用されてもよい。本明細書に記載されるように、刺激物質および芳香剤チャレンジを促進するために多チャレンジチャンバ構成を、図2に示されるように適用できる場合がある。当業者は、他のチャレンジの組み合わせのために多チャレンジチャンバ構成が利用されてもよく、チャンバ内で2つ以上のNAR試験/チャレンジ環境を促進する手段を組み込んでもよいことを認識する。
【0097】
多チャレンジチャンバ構成は、本発明のチャンバの実施形態であってもよい。多チャレンジチャンバ構成は、多数のNAR試験/チャレンジ曝露室、ならびに他の領域を組み込んでもよい。図2に示されるように、多チャレンジチャンバ構成の実施形態は、約40フィート×8フィートであってもよく、3つの別個の部屋、例えば刺激物質チャレンジ室20、芳香剤チャレンジ室22および共通待合/査定室24を含んでいてもよい。専用加熱、換気および空気調整システムは、必要な熱および新鮮な空気を曝露室および待合室に供給してもよい。本発明の1つの実施形態では、このような加熱、換気および空気調整システム26は、曝露室の側に位置してもよい。試験/チャレンジ曝露室と他の部屋、例えば待合室との間の相互曝露は、試験/チャレンジ曝露室における返送空気入口を密封することによって最小限にしてもよい。
【0098】
当業者は、曝露室および他の部屋の種々の構成が多チャレンジチャンバ構成に組み込まれてもよいことを認識する。
【0099】
(報告書、監査および監査報告書)
種々の報告書、監査(audit)および監査報告書が本発明によって発生し得る。これらは、例として以下のいずれかを反映していてもよい。被験者情報、チャレンジ結果、チャレンジ比較、一連のNARチャレンジ情報、被験者結果群、上述のいずれかの組み合わせ、およびいずれかの他の情報。報告書、監査および監査報告書に利用される情報は、電子またはデジタルデータ、例えばデータベースまたは別の電子記憶手段に記憶されたデータを含むいくつかのソースから取り出されてもよい。このデータベースまたは電子記憶手段は、本発明のチャンバの要素に接続されていてもよく、それによってデータがチャンバの要素から直接データベースに転送される、またはデータは手動で、例えばコンピュータまたは他のデバイス(例えばパーソナルデータデバイス)を通してデータベースに入力されてもよい。または、自動転送および手動入力のいずれかの組み合わせを利用して、データベースを追加してもよく、または電子記憶手段にデータを入力してもよい。
【0100】
例えば、NAR施設妥当性確認報告書は、個々の妥当性確認プロトコルおよび実験の結果を記載できるように得られてもよい。各妥当性確認の成功は、個々の妥当性確認プロトコルに記載されるデータ許容値基準の堅持に従って独立して評価されてもよい。NAR施設の各チャレンジの有用性、ならびにNAR施設妥当性確認の成功全体が議論されてもよい。
【0101】
NAR施設妥当性確認報告書は、妥当性確認の後に品質保証(QA)部門に監査されてもよく、QAは、完了後に最終監査報告書を発行する。
【0102】
(データ捕捉システム)
本発明から収集されたすべてのデータは、種々の形態、ログおよびソースマテリアルに文書記録されてもよい。例えば、データは、Good Documentation Practicesに順守して記録されてもよく、QA部門からのレビューおよび内部監査を受けてもよい。
【0103】
さらなる例として、設備日誌が、妥当性確認プロセスに使用されるべき設備の各部品に対して設定されてもよい。すべての設備について操作マニュアルおよび較正文書は、設備日誌に記憶されてもよい。すべての設備維持およびすべての設備に生じたサービスの詳細な要約は、同様に設備日誌に文書記録されてもよい。妥当性確認に使用される設備はすべて文書記録された維持スケジュールに供されてもよい。
【0104】
上述したように、データは、手動で、またはコンピュータ、データベース、パーソナルデータデバイス、またはいずれかの他のデータ記憶手段を含む電子および/またはデジタル手段に捕捉され、記憶されてもよい。
【0105】
次のログおよびフォームは、妥当性確認プロセスの間にデータを捕捉および記録するために使用できる報告書の例である。当業者は、他の報告書およびデータ捕捉システムが本発明に従って利用されてもよいことを認識する。
【0106】
(温度および相対湿度ログ)
ログは、内部がコンピュータ化されたセンサ、例えばComfortVIEW(商標)、および独立した温度および相対湿度センサ、例えば鏡面冷却式湿度計を用いて測定されたチャンバの温度および相対湿度を記録するために開発されてもよい。
【0107】
(空気速度ログ)
ログは、チャンバ内の空気速度を記録するために開発されてもよい。このログは、各被験者の着席位置における時間および空気速度、ならびに必要であると見なされる他の測定値を含んでいてもよい。このログは、適宜、温度および相対湿度ログの一部として組み込まれてもよい。
【0108】
(エアロゾル化酢酸ログ)
ログは、曝露施設内のエアロゾル化酢酸のレベルを記録するために開発されてもよい。このログは、時間、サンプリング位置、およびエアロゾル化酢酸のレベル、ならびに必要であると見なされた他の測定値を含んでいてもよい。
【0109】
(エアロゾル化芳香剤ログ)
ログは、曝露施設内のエアロゾル化芳香剤のレベルを記録するために開発されてもよい。このログは、時間、サンプリング位置およびエアロゾル化酢酸のレベル、ならびに必要であると見なされた他の測定値を含んでいてもよい。
【0110】
(オゾンレベルログ)
ログは、曝露施設内のオゾンレベルを記録するために開発されてもよい。このログは、時間、サンプリング位置およびオゾンレベル、ならびに必要であると見なされた他の測定を含んでいてもよい。
【実施例】
【0111】
(NAR試験シリーズ調査)
NAR試験の実施例を以下に示す。この実施例は、本発明に従って、チャンバモデルにおいてNARの多くの異なる曝露条件/トリガーを調査するために設計された調査を概要する。当業者は、この調査が一例として与えられ、本発明の他の方法およびチャンバも可能であることを認識する。
【0112】
(チャレンジ訪問)
被験者は、一連のチャレンジ訪問の最初に、医療スクリーニング訪問の少なくとも3日後に戻る。各チャレンジ訪問において、被験者は、次のトリガーの1つに曝される。冷たく乾燥した空気、温度変化、オゾン、刺激物質または芳香剤。曝露群は、いずれかの症状の回復のために十分な時間を得るために間隔をあける。すべての被験者は、被験者の報告した既往感受性に拘わらず、すべてのトリガーに曝される。被験者はまず、最も厄介であると格付けされたトリガーに曝され、続いて所定の共通する順序で残りのトリガーに曝される。各曝露チャレンジは、少なくとも3日間離される。
【0113】
各曝露チャレンジの詳細および条件選択のための合理性は次の通りである。
【0114】
(温度変化チャレンジ)
被験者は、暖かい空気条件(最大40℃)に維持されているチャンバに入室する。被験者は、暖かい空気を約1時間顔に曝され、この後チャンバ条件を素早く冷たい空気(最低4℃)に変換する。被験者は、約1時間冷たい空気に曝される。暖かい空気および冷たい空気の両方が、適度な速度(約5フィート/秒)で被験者の顔に向けられる。
【0115】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後に温度変化チャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップが温度変化チャレンジ中に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われて、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われてもよい。(5)被験者は、暖かい空気条件下のチャンバに入室する。被験者は、約1時間暖かい空気に顔を曝される。(a)鼻症状の合計スコア(「TNSS」)は、チャンバにエントリーする前およびチャンバエントリー後5、10、15、20、25、30、45および60分にて被験者から得られる。(b)VAS測定は、冷たい空気条件が達成される直前およびエントリー後30および60分にて収集される。(c)鼻分泌物は、暖かい空気条件中、予備計量されたティッシュペーパーにて収集される。(d)チャンバの生活の質測定は、暖かい空気条件の前および後にとられる。(e)音響鼻腔計測測定は、チャンバエントリー後約30分にて行われる。(f)60分の暖かい空気TNSSダイアリーカードの完了後、音響鼻腔計測法が被験者に対して行われる。(6)60分の暖かい空気曝露の完了時、チャンバは冷たい空気条件に変換される。(a)暫定TNSSダイアリーカードは、冷たい空気条件が達成されるまで温度変換プロセスの間被験者から約5分間隔で得られる。(b)TNSSは、温度変化後5、10、15、20、25、30、45および60分にて冷たい空気条件下の被験者から得られる。(c)VAS測定は、冷たい空気条件が達成される直前およびエントリー後30および60分にて収集される。(d)鼻分泌物は、冷たい空気条件中に予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(e)チャンバの生活の質測定は、冷たい空気条件下の前およびその後に行われる。(f)音響鼻腔計測測定は、冷たい空気条件開始後約30分にて行われる。(g)60分の冷たい空気TNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(7)チャンバからの退出時、被験者は、クリニックを離れる前の30分間で10分毎に後チャンバ症状査定を完了する。(8)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0116】
(オゾンチャレンジ)
被験者は、2時間まで安全なオゾン濃度に曝される。このレベルは、2時間未満の曝露に関して安全である濃度(U.S.Department of Labor,2004)として米国産業衛生専門家会議(「ACGIH」)によって記載される100万部あたり0.2部(「ppm」)の閾限度値(「TLV」)を超えない。
【0117】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後にオゾンチャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップがオゾンチャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前およびチャンバにエントリーしてから約60分後に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前に行われるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われてもよい。(5)被験者は、チャンバに入室し、最大2時間まで、安全な濃度にてオゾンに曝される。(a)TNSSは、チャンバにエントリーする前、およびチャンバエントリー後5、10、15、30、45、60、75、90、105および120分にて被験者から得られる。(b)VAS測定は、チャンバエントリーの前、およびエントリー後30、60、90および120分にて収集される。(c)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(d)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(e)120分のTNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(6)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0118】
(刺激物質チャレンジ)
被験者は、安全な濃度のエアロゾル化酢酸に約15分間曝される。曝露濃度は約15分間の最大曝露に関して安全な濃度(U.S.Department of Labor,2007)としてACGIHによって同定される15ppmの閾限度値−短期間曝露限度(「TLV−STEL」)を超えない。
【0119】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後に刺激物質チャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップが刺激物質チャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、排除基準に特定されるような必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、曝露施設にエントリーする前に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われてもよい。(5)被験者は、エアロゾル化酢酸に約15分間曝露される曝露施設に入室する。(6)TNSSは、曝露施設へのエントリー前およびエントリー後5、10および15分にて得られる。(7)視覚アナログスケール(「VAS」)測定は、チャンバエントリーの前およびエントリー後15分にて収集される。(8)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(a)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(9)15分のTNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(10)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0120】
(芳香剤チャレンジ)
被験者は、一般に曝露に許容されるレベルにて市販のエアロゾル化芳香剤に約30分間曝される。
【0121】
曝露チャレンジの間、被験者はTNSSを用いて鼻炎症状について査定される。被験者は、曝露の前および後に音響鼻腔計測を用いて鼻腔開存性を査定される。より長い期間のチャレンジは、曝露の間の時点で音響鼻腔計測が行われる。被験者はまた、NARトリガーへの曝露前および曝露後にバイオマーカーレベルを決定するためにフィルター紙を介して鼻分泌物の収集が行われ、鼻分泌物は、収集されて計量される。
【0122】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後に芳香剤チャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップが芳香剤チャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、排除基準に特定されるような、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われる。(5)被験者は、エアロゾル化芳香剤に約30分間曝露される曝露施設に入室する。(6)TNSSは、チャンバへのエントリー前およびエントリー後5、10、15および30分にて被験者から得られる。(7)VAS測定は、チャンバエントリーの前およびエントリー後30分にて収集される。(8)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(9)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(10)30分のTNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(11)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0123】
(冷たく乾燥した空気チャレンジ「CDA」)
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後にCDAチャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップがCDAチャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前およびチャンバエントリーから約30分後に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われる。(5)被験者は、チャンバにエントリーする前に少なくとも30分間標準の室温に気候順応させられなければならない。(6)被験者は、冷たく乾燥した空気に約1時間曝露されるためにチャンバに入室する。(a)TNSSは、チャンバへのエントリー前および次いでチャンバエントリー後5、10、15、20、25、30、45および60分にて被験者から得られる。(b)VAS測定は、冷たい空気条件に到達する直前ならびにエントリー後30および60分にて収集される。(c)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(d)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(e)最終的なダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(f)チャンバ退出時、被験者は、30分にわたって10分毎に後チャンバ症状査定を完了させる。(7)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0124】
(NAR後試験)
以下に、予備NAR試験から誘導される実施例の結果を示す。当業者は、このような結果が一例としてのみ与えられ、本発明の範囲を限定しないことを認識する。
【0125】
全体的な結果:種々のチャレンジに関するターゲット条件のすべては、空間的および時間的に均一な様式で達成され、維持された。静的CDAチャレンジは、<14℃、≦15%相対湿度(RH)にて、空気速度<10フィート/秒で1時間維持された。第2の温度チャレンジは、30〜40℃、<40%相対湿度で1時間、続いて<14℃、<40%RHでさらに1時間の動的温度条件を含んでいたが、両方の条件で空気速度は<10フィート/秒であった。芳香剤チャレンジは、30分間、揮発性構成要素に関して100万部あたりの目標とされる部(ppm)レベルを達成および維持するために市販の噴霧器を利用したが、刺激物質チャレンジはエアロゾル化酢酸を利用し、短期間、安全な目標ppm範囲を維持することを妥当性確認した。オゾンチャレンジは、周囲温度においてppm単位で測定される場合に安全なオゾンレベルでチャンバを飽和するように設計され、2時間維持された。すべての試験は、2回ずつ繰り返された。
【0126】
結論:NARモデルは、新規で安全なおよび非常に制御された環境であり、ここでNAR被験者は、推定NAR治療の有効性を試験するために、鍵となる環境トリガーに関して一貫して安心してチャレンジを受けることができる。
【0127】
NAR試験の後、さらなる査定が以下を含むように行われてもよい。
【0128】
静的および動的温度シフトレジーム
以下は、本発明の静的および動的温度シフトレジーム手法の例およびひいてはその結果を提供することだけを目的として示される。当業者は、この実施例は本発明の範囲を限定しないことを認識する。
【0129】
目的:静的または暖かい空気/冷たい空気(WA/CA)動的レジームにおいて冷たく乾燥した空気(CDA)の制御された適用が、ダイアリーカード(DC)および視覚アナログスケール(VAC)を用いて主観的に、および音響鼻腔計測を用いて客観的に測定される場合に、鼻症状の顕著な増大をもたらすかどうかを査定するため。
【0130】
方法:少なくとも1つのNARトリガーに対して自己報告された反応を有し、アレルゲンパネルに関しては陰性のSPTを有する被験者を、鼻症状を誘導するように静的(n=13)および動的(n=14)チャレンジを用いてチャレンジを受けさせた。静的CDAチャレンジは、1時間のCDA(<14℃、≦15%RH、5フィート/秒)であった。動的WA/CAチャレンジは、1時間のWA(30〜40℃、<40%RH、5フィート/秒)であり、その直後に1時間のCA(<14℃、<40%RH、5フィート/秒)であった。チャンバエントリー時、被験者を、30分間のうち5分毎、次いで1時間までは15分毎にDCにて鼻症状の合計スコア(TNSS)を格付けした。VASおよび音響鼻腔計測は、30分毎に完了した。被験者は、WAまたはCA条件それぞれの期間で、同時点においてDC、VASおよび音響鼻腔計測を完了した。
【0131】
結果:静的CDA:DC:38%、77%および92%の被験者は、それぞれ10、30および60分でTNSSが増大した。VAS:85%および77%の被験者が、それぞれ30および60分で症状が増大した。音響鼻腔計測:10/13の被験者が、平均的な断面積(MCA)においてプレチャンバレベルから30分で22%低下した(p=0.004)、6/13が、60分でMCAが18%低下した(p=0.02)。動的WA/CA:WA:DC:36%、43%および50%の被験者のTNSSが、それぞれ10、30および60分で増大した。VAS:50%および43%の被験者が、それぞれ30および60分で症状が増大した。音響鼻腔計測:MCAが、プレチャンバから30分にて9/14の被験者で18%低下し(p<0.005)、60分で11/14の被験者が21%低下した。CA:DC:57%、57%および64%の被験者TNSSがそれぞれ10、30および60分で。VAS:43%および64%の被験者の症状が、それぞれ30および60分で増大した。音響鼻腔計測:MCAは、プレチャンバレベルから、12/14の被験者において30分で14%低下し(p<0.0004)、6/14の被験者で60分にて11%低下した(p<0.01)。
【0132】
結論:チャンバにおいて、静的CDAチャレンジが、NAR被験者の顕著な鼻症状の一貫した誘導をもたらすことをまず示している。チャンバを用いるNAR被験者のCDAまたは他の関連NARトリガーに対するチャレンジは、推定NAR治療を安全に試験し、さらにはNARの機構を解明するためのロバストな臨床モデルを提供する。
【0133】
(調査1)
調査は、NARチャンバを利用し、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ、合計120分(60分の暖かい温度および60分の冷たい温度)の温度変化チャレンジ、30分の芳香剤チャレンジ、15分の刺激物質チャレンジおよび120分のオゾンチャレンジを含む種々のNARチャレンジを含んで行われた。
【0134】
調査1は、2009年の冬に行われた。参加者は、季節性アレルギー性鼻炎結膜炎の既往歴を有していなかった人、皮膚プリック試験で陰性と試験された人、およびNAR質問書に対して陽性の応答を報告した人として同定した。参加者は、一連の5つのNARチャレンジに従事し、各チャレンジは互いに最小3日間間隔をあけた。
【0135】
合計37人の参加者が調査1に関与したが、これらのうち36人だけがオゾンチャレンジに従事した。各NARチャレンジにおいて、鼻症状の合計スコア(TNSS)は、種々の時点で査定された。査定は、3つの評価それぞれに関して0〜3のスケールでのポイントを含み(最大9ポイントまで)、評価は、鼻閉、鼻漏および後鼻漏を含んでいた。
【0136】
最小断面積も各NARチャレンジの間に査定された。これらの査定は、チャレンジの中間時点およびチャレンジ後に行った。音響鼻腔計測(AcR)の客観的測定は、鼻開存性または鼻閉を査定するために利用した。
【0137】
参加者は、ダイアリーカードで「0」または「陰性」スコアを<20%で有していた場合にTNSSレスポンダーとして同定された。参加者は、「0」または「陰性」スコアを≧80%で有していた場合、鼻症状の合計スコアのノンレスポンダーとして同定した。
【0138】
参加者は、左または右鼻孔のいずれかにおいて、最小断面積が≧10%低下した場合はAcRレスポンダーとして同定した。
【0139】
これらの査定の結果を図4(a)から10に示す。調査1の全体の結果は、非アレルギー性鼻炎参加者の大部分が顕著な主観的鼻症状の増大およびNARチャンバおよびNARチャレンジに対してAcRを用いた鼻開存性での顕著な客観的低下を伴って応答した。特に、NAR参加者の22%は、5つのトリガーのいずれにも応答しなかった一方で、他の参加者はすべて、1つ又は複数のトリガーチャレンジに対して非常に特異的に応答した。すべてのトリガーに応答した参加者はいなかった。これは、NAR参加者の調査のためのモデルとして本発明のNARチャンバ方法の特異性および有用性を示している。本発明の方法およびチャンバは、NAR被験者の表現型についてさらに理解するために、ならびに推定アンチNAR治療を試験するために利用されてもよい。
【0140】
図4(a)から(c)は、60分のチャレンジ期間にわたって参加者による冷たく乾燥した空気チャレンジに対する応答結果を示す。このチャレンジ過程において、冷たく乾燥した空気は循環され、NARチャンバ中の参加者に向けてもよい。参加者は、NARチャンバ内で冷たく乾燥した空気に曝された。
【0141】
図4(a)は、主観的な症状応答を示し、それは、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって生じるノンレスポンダー(試験された参加者の32%)の症状に変化がほとんどないまたは全くないことに比較して、NAR参加者の68%および51%にそれぞれ対応していたTNSSレスポンダーおよびAcRレスポンダーのTNSSのベースラインからの平均的な変化において顕著な増大を示す。グラフは、鼻症状レスポンダー40およびAcRレスポンダーにおいてTNSSのベースラインからの平均的な変化の顕著な増大があったことを示す。鼻症状のノンレスポンダーの応答は最小であった。
【0142】
図4(b)は、図4(a)の鼻症状レスポンダーに焦点を当て、個々の症状のベースラインからの平均的な変化%である鼻症状スコアにおいて顕著な増大を示す。特に3つの鼻応答、鼻水、鼻閉および後鼻漏を示す。鼻水応答42は、60分間の期間の終わりに最も広く認められることを示す。
【0143】
図4(c)は、図4(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間の中間点(30分)および60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間の終わりに、最小断面積を測定することによって決定された。冷たく乾燥した空気チャレンジの中間点におけるレスポンダーの鼻開存性の低下は、p=0.0035で鼻症状レスポンダー44、およびp<0.0001でAcRレスポンダー46の両方において統計学的に顕著であった。
【0144】
図5(a)から(c)は、参加者が温度変化チャレンジに応答する結果を示す。このチャレンジにおいて、暖かい空気を、チャレンジ期間120分のうち最初の60分間でNARチャンバに循環させ、チャレンジ期間の最後60分間は冷たい空気を循環させた。参加者は、NARチャンバ内において、暖かい空気および冷たい空気に曝された。
【0145】
図5(a)はダイアリーカードを示し、それは120分の温度変化チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示す。グラフは、暖かい空気が鼻症状レスポンダー50に関してTNSSのベースラインからの約1単位の変化および冷たい空気に応答して生じた2単位の増大を誘導したことを示す。特に温度変化チャレンジの冷たい空気期間に応答した同じ参加者は、同様に冷たく乾燥した空気チャレンジにおいても応答した。これは、冷たい空気刺激の再現性を示すものとして理解できる。
【0146】
図5(b)は、図5(a)の鼻症状レスポンダーに焦点を当てた個々の症状のベースラインからの平均的な変化%を示す。特に3つの鼻応答、鼻水、鼻閉および後鼻漏を示す。鼻水応答52は、120分のチャレンジ期間の終わりに最も広く認められることを示す。
【0147】
図5(c)は、図4(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、合計120分のチャレンジのうち、60分の暖かい空気および冷たい空気期間のそれぞれの中間点における最小断面積を測定することによって決定した。鼻開存性における最も大きな変化は、AcRレスポンダーでは、p≦0.001にて暖かい空気期間54の終わりに(合計チャレンジ期間の60分)、およびp≦O.001にて冷たい空気チャレンジ56の中間点(合計チャレンジ期間の90分)に認められた。
【0148】
図6は、調査1のNARチャレンジのうち、冷たい空気チャレンジ、温度変化チャレンジの暖かい空気期間、および温度変化チャレンジの冷たい空気期間の後、参加者から収集された鼻分泌物の量を示す。収集は、鼻症状レスポンダー60およびAcRレスポンダー62に関して示される。鼻分泌物の量の増大は、参加者の鼻漏報告の増大と一致している。
【0149】
冷たい温度チャレンジの再現性は、冷たく乾燥した空気チャレンジと温度変化チャレンジの冷たい空気期間との間で見られる。両方とも冷たい空気を含むこれらのチャレンジは、最高レベルの鼻分泌物を誘導した。この知見は、図4(b)および5(b)に示されるように、参加者が採点した高い鼻漏と一致していた。暖かい空気は鼻分泌物をほとんど引き起こさなかった。これは、図4(b)に示されるように、参加者が採点した鼻閉の増大と鼻漏の減少に一致していた。
【0150】
図7(a)から(b)は、参加者による芳香剤チャレンジに対する応答の結果を示す。このチャレンジにおいて、芳香剤はNARチャンバにて、30分のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内で芳香剤に曝された。
【0151】
図7(a)は、30分の芳香剤チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示すダイアリーカードを示す。グラフは、鼻症状レスポンダー70のベースラインからの平均的な変化における大きな増大を示し、これは他の参加者が体験したものよりも顕著に大きい。
【0152】
図7(b)は、図7(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、30分の芳香剤チャレンジ期間の終わりに最小断面積を測定することによって決定された。鼻症状レスポンダーの鼻開存性の低下はなかったが、p<0.0001にて、AcRレスポンダー72の約−19.38±2.75%の低下があった。
【0153】
図8(a)から(b)は、参加者による刺激物質チャレンジに対する応答の結果を示す。このチャレンジにおいて、顕著な臭いを有する刺激物質は、NARチャンバにて、15分のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内で刺激物質に曝された。
【0154】
図8(a)は、15分の刺激物質チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示すダイアリーカードを示す。グラフは、鼻症状レスポンダー80のベースラインからの平均的な変化における増大を示し、これは他の参加者が体験したものよりも顕著に大きい。
【0155】
図8(b)は、図8(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、15分の刺激物質チャレンジ期間の終わりに最小断面積を測定することによって決定された。鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性の変化は最小であった。しかし、AcRレスポンダー82だけを考慮した場合、p<O.0001にて、最小断面積における統計学的に顕著な低下があった。
【0156】
図9(a)から(b)は、参加者によるオゾンチャレンジに対する応答の結果を示す。このチャレンジにおいて、オゾンは、120分のチャレンジ期間にわたってNARチャンバに循環させた。参加者は、NARチャンバ内でオゾンに曝された。
【0157】
図9(a)は、120分のオゾンチャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示すダイアリーカードを示す。鼻症状レスポンダー90およびAcRレスポンダー92の両方が、このチャレンジの中間点におけるTNSSのベースラインからの平均的な変化の大きな増大を示した。TNSSのベースラインからの平均的な変化は、チャレンジの後半において安定した。
【0158】
図9(b)は、図8(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、チャレンジ期間の中間点(60分)およびチャレンジ期間の終わり(120分)に最小断面積を測定することによって決定された。チャレンジの中間点におけるAcRレスポンダー94について、p<0.0001にて鼻開存性の最も大きな変化が認められた。チャレンジ期間の終わりには鼻開存性における変化は最小であった。
【0159】
図10は、一般に調査1に関する参加者のNARチャンバモデルの表現型を示す。特に、図10は、NARトリガーに対して単応答100または複応答を有するレスポンダーの分布を示す。図10に示されるように、NAR参加者の22%は、試験されたNARトリガーのいずれにも応答せず、25%がただ1つのトリガーに応答し、11%が2つのトリガーに応答し、31%が3つのトリガーに応答し、11%が4つのトリガーに応答した。すべてのトリガーに応答した参加者はいなかった。レスポンダーすべてにおいて最も共通するトリガーは、温度関連チャレンジであった。一般に図10は、NAR患者のサブセットに関してNARトリガーチャレンジの特異性を示し、このモデルは表現型患者に使用できることを示す。
【0160】
(調査2)
別の調査である調査2は、NARチャンバを利用し、冷たく乾燥した空気チャレンジおよびオゾンチャレンジを含む種々のNARチャレンジを含んで行われた。調査2は2009年12月から2010年の1月まで行った。参加者は、非アレルギー性鼻炎を患うと同定された52人と、健康な正常ボランティアの10人を含んでいた。NAR参加者は、アレルゲンパネルに対して陰性の皮膚プリック試験を有していた人、1つ又は複数のNARトリガーを報告した人、および季節性アレルギーの既往歴を有していない人を含むようにスクリーニングした。
【0161】
26人の参加者は、冷たく乾燥した空気チャレンジに関する分析に含まれた。これらの参加者は、自身のTNSSに基づく冷たく乾燥した空気チャレンジに対するレスポンダーと考えられるために選択した。TNSSは、鼻閉、鼻炎、および後鼻漏を評価した。これらの各症状は、最大12のスコアで、0〜4のスケールで評価した。TNSSのベースラインからの平均的な変化は、12中で≦4であった。
【0162】
眼症状の合計スコア(TOSS)は、痒み、湿った/流涙、および充血を含んでいた。これらの各症状は、4点スケールで格付けした(最大12点まで)。
【0163】
26人の参加者は、オゾンチャレンジに関する分析に含まれていた。これらの参加者は、自身のTNSSに基づくオゾンに対するレスポンダーであると考えられるので選択した。同様に上述したように、参加者は鼻および眼症状の両方において格付けした。
【0164】
参加者は、チャレンジ中およびチャレンジ後に査定された。特に、参加者のTNSSおよび参加者のTOSSを査定した。調査2の結果の一部を、以下および図11(a)〜14(b)に記載する。一般に、調査2は、健康な正常ボランティアは、NARチャンバにて行われたNARチャレンジのNARトリガーに対して応答しないことを示す。このことは、モデルの特異性およびアレルギー性査定手段としてのその有用性を証明している。調査2はさらに、調査1に関与した人よりも症状が生じ易い参加者から得られた結果を示し、NAR患者がこのようにしてスクリーニングできたことを示す。
【0165】
図11(a)から(b)は、冷たく乾燥した空気チャレンジを用いたTNSSに関する参加者の特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、冷たく乾燥した空気は、60分のチャレンジ期間にわたってNARチャンバに循環させた。参加者は、NARチャンバ内で冷たく乾燥した空気に曝された。特に図11(a)から(b)は、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示す、ダイアリーカードを示す。
【0166】
図11(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー110における鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化における大きな増大を示す。
【0167】
図11(b)は、中央値でのライン112を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0168】
図12(a)から(b)は、冷たく乾燥した空気チャレンジに関する眼症状の合計スコアに対して参加者の特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、NARチャンバ内に冷たく乾燥した空気を60分間のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内の冷たく乾燥した空気に曝された。特に図11(a)〜(b)は、ダイアリーカードを示し、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって生じる参加者の眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を示す。
【0169】
図12(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー120における眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の顕著な増大を示す。
【0170】
図12(b)は、中央値でのライン122を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0171】
図13(a)から(b)は、オゾンチャレンジについでのTNSSに関する参加者の特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、NARチャンバにオゾンを90分間のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内のオゾンに曝された。特に図11(a)から(b)は、ダイアリーカードを示し、90分のオゾンチャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示す。
【0172】
図13(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー130のTNSSのベースラインからの平均的な変化における顕著な増大を示す。
【0173】
図13(b)は、中央値でのライン132を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0174】
図14(a)から(b)は、オゾンチャレンジに関する眼症状の合計スコアに対して参加者に対する特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、NARチャンバ内にオゾンを90分間のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内のオゾンに曝された。特に図11(a)から(b)は、ダイアリーカードを示し、90分のオゾンチャレンジ期間にわたって生じる参加者の眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を示す。
【0175】
図13(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー140の眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化における顕著な増大を示す。
【0176】
図13(b)は、中央値でのライン142を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0177】
本明細書に記載された実施形態の他の変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく実施できることを当業者は理解する。そのため他の変更が可能である。例えば、他のチャレンジが本発明の方法に組み込まれてもよい。このようなチャレンジは、種々の方法およびチャンバ構成を必要としてもよい。このようなチャレンジは、例えばカプサイシンチャレンジを含んでいてもよい。本発明の方法は、さらに、さらなる測定を組み込んでもよい。このような測定としては、1人又は複数の被験者の感受性レベルに関連した測定、例えば加熱割合、発汗応答または他の関連測定を挙げることができる。種々のセンシング手段は、このような測定を捕捉するために適用されてもよく、このような測定は、本発明の報告および結果に組み込まれてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ヒトにおける非アレルギー性鼻炎を調査する技術分野に関し、より詳細には、このような調査を行うための方法およびチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
非アレルギー性鼻炎(「NAR」)という用語は、一般に、アレルギー性の病因またはIgEの関与を伴わずにアレルギー性鼻炎の症状が存在するような診断に適用される。NARは、血管運動性鼻炎、非アレルギー性非感染性多年性鼻炎、職業性鼻炎、薬剤誘発性鼻炎、ホルモン誘発性鼻炎、好酸球を伴う非アレルギー性鼻炎症候群、味覚性鼻炎および感情誘発性鼻炎を含む種々の病因に関する異種の状況群を包含するものである(参照:Bachert C(2004)Persistent rhinitis−allergic or non−allergic?Allergy 59(Suppl.76):11−15)。NARの診断は、多くの場合、アレルゲンパネルに関する皮膚プリック試験が陰性である被験者が、分泌過多、鼻づまり、くしゃみまたは後鼻漏のうちの少なくとも2つを含む持続性の鼻症状(1年のうち9カ月を超える)を示す場合になされる。被験者は、通常、1つの優位な症状を有し、分泌過多が優位な被験者についてはランナー、または鼻閉が優位な被験者についてはブロッカーに分類できる。
【0003】
鼻炎人口のうち、この人口の約23%が純粋なNARを有し(鼻症状によって特徴付けられるが、皮膚プリック試験が陰性)、この人口の34%が混合型鼻炎を有する(アレルギー性および非アレルギー性の組み合わせ)と見積もられている。生命を危うくする病気ではないが、生活の質へのNARの影響は多大であり、睡眠障害、日中の嗜眠状態の増加、集中力の低下、および易刺激性の増大を含む(参照:Svensson S,Olin AC and Hellgren J(2006)Increased net water loss by oral compared to nasal expiration in healthy subjects.Rhinology.44:74−77)。
【0004】
NARの多数のトリガーが同定されている。このような同定は、主に被験者の報告によるものである。NARトリガーは、種々の群、例えば天候の変化、風媒性刺激物質、感情および食品またはアルコールに分類できる。天候の変化は、温度、湿度または気圧の変化を含む、特に冷たく乾燥した空気および暖かく湿った空気は、強力なトリガーとして同定されている(参照:Brandt D and Bernstein JA(2006)Questionnaire evaluation and risk factor identification for nonallergic vasomotorrhinitis.Annals Allergy Asthma&Immunol.96:526−532)。多数の風媒性刺激物質は、NARの一般的なトリガーとして同定されていて、香水およびコロン、家庭用洗浄製品、香料、ヘアスプレー、タバコの煙、自動車排気ガス、酢酸およびカプサイシンスプレーを含む。香辛料の入った食品およびアルコール摂取もNARの危険因子として同定されている。
【0005】
NARの理解を高めるため、または推定NAR治療を試験するための臨床モデルは、現在のところ利用できない。一貫してNAR被験者は、自身の症状が、鍵となる環境トリガー、例えば冷たく乾燥した空気(CDA)、芳香剤、汚染物質(例えば、オゾンは汚染の重要な要素であり得る)、およびエアロゾル化刺激物質によって主に引き起こされることを報告している。現在、純粋なNAR被験者において鼻症状を誘発する特定の環境トリガーに関するコンセンサスはない。NARトリガーを診断するこれまでの試みは、主にアンケート手法によるものであった。
【0006】
特定のアレルゲンに対するアレルギー反応に関して被験者を試験するために、アレルゲン試験粒子の入口を有するチャンバを利用することが、例えば米国特許出願第2004/0054262号に開示されるように、先行技術において知られている。この特許出願には、アレルギー試験チャンバが開示されている。このチャンバは、アレルゲン試験粒子のための少なくとも1つの入口を含み、その結果規定量のアレルゲンを、アレルゲンを含まない空気と混合でき、アレルゲン粒子が負荷された空気を試験チャンバに循環できる。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0286804号明細書にはさらに、特定のアレルゲンについて試験に関連する風媒性粒子をエアロゾル化し、厳密な制限内で維持するチャンバが開示されている。このチャンバは、レベルIIクリーンルームであり、被験者60人分の着席能を有する。チャンバは、湿度および温度を制御する手段を含み、この手段が、清浄な空気のベントと、HEPAフィルターを備えた空気入口および出口とを含む。このチャンバの他の態様は、特にイエダニアレルゲンに対する被験者のアレルギー反応を試験する目的で構成され、静的放散塗料で覆われた壁、円形コーナーおよび幅木、および継ぎ目のほとんどない滑らかで弾性のシート床板で覆われた床を含む。
【0008】
チャンバ内に特定の雰囲気が生じるように操作可能な他の閉じ込めチャンバも、先行技術において一般に既知である。これらの閉じ込めチャンバは、アレルギーまたはNAR試験の目的のためには利用されていない。このようなチャンバには米国特許第7323025号明細書(および米国特許出願公開第2005/0050804号明細書)に開示されるものがあり、スリーブ換気、エアロックエントランス、HEPAフィルター、圧力制御手段、およびUV放射装置を含む、ここに隔離が要求される被験者を、感染性疾患を閉じ込めるために配置できる。米国特許第7335243号明細書にはさらに、HEPAまたはULPAフィルター、ダブルエントリー門およびモジュール式チャンバパネルを有するモジュラー式負圧生物学的閉じ込めチャンバが開示されている、それによって生物学的物質を閉じ込めることができる。米国特許出願公開第2008/0210234号明細書には、気密コンテナ、密封性開口部、視界窓、被験者のための椅子、コンテナ内の複数の被験者のための空間、二重ロックエントリー、空気フロー手段、圧力モニタリングおよび制御手段を有する変圧チャンバが開示されている、それにより、被験者をコンテナ内に配置でき、被験者の処置を目的としてコンテナ内にいる所望の被験者に応じて圧力をコンテナ内で調節できる。
【発明の概要】
【0009】
1つの態様において、本開示は、1つ又は複数のNARトリガー環境に被験者を曝す方法に関し、この方法は、1つ又は複数のNARチャレンジを選択するステップと、1つ又は複数のNARチャレンジのそれぞれに対して更なるステップである、前記1つ又は複数のNARトリガー環境のうち、NARチャレンジに対応する1つを、チャンバ内にNARトリガーをばら撒くことによってチャンバ内に生じさせるステップと、1人又は複数の被験者をチャンバ内に期間内、配置することによって、前記1人又は複数の被験者をNARトリガー環境に曝すステップと、前記1人又は複数の被験者のNARトリガー環境への曝露を査定(assess)して、NARチャレンジデータを得るステップとを行うステップと、前記1つ又は複数のNARチャレンジのNARチャレンジデータを評価(evaluate)するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
別の態様において、本発明は、1つ又は複数のNARチャレンジを行うために、1つ又は複数のNAR環境を生じさせるチャンバに関し、このチャンバは、1つ又は複数のNAR環境発生手段によりチャンバ内に選択されたNARトリガーをばら撒くことによって1つ又は複数のNAR環境を生じるように操作可能な空気処理システムと、チャンバ内のNAR環境レベルを示すように操作可能な1つ又は複数のレベル指示器と、チャンバ内に新鮮な空気を流すことを促進するように操作可能な1つ又は複数のファンと、チャンバ内に1人又は複数の被験者が位置するための1つ又は複数の場所を備えることを特徴とする。
【0011】
この点において、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の詳細な説明に記載されるまたは図面に例示される構成の詳細およびコンポーネントの配置に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態であることができ、種々の方法で実施され、実行できる。また、本明細書において使用される表現および専門用語は説明のためにあり、限定と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【0012】
本発明は、次の詳細な説明を考慮するときに、より良く理解され、本発明の目的が明らかになる。このような説明は、付属の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】チャンバの被験者曝露領域を示す平面図である。
【図2】多チャレンジチャンバ構成を示す平面図である。
【図3】チャンバの平面図である。
【図4(a)】調査1に従って60分の冷たく乾燥した空気のチャレンジ期間からの結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図4(b)】調査1に従って60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻症状のベースラインからの平均的な変化%の増大を示す。
【図4(c)】調査1に従って60分の冷たく乾燥した空気のチャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図5(a)】調査1に従って120分の温度変化チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図5(b)】調査1に従って120分の温度変化チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻症状のベースラインからの平均的な変化%の増大を示す。
【図5(c)】調査1に従って120分の温度変化チャレンジ期間にわたる鼻開存性を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図6】調査1の冷たく乾燥した空気および温度変化チャレンジの後の患者に関して、鼻分泌物収集の増大を表すグラフである。
【図7(a)】調査1に従って30分の芳香剤チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図7(b)】調査1に従って30分の芳香剤チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図8(a)】調査1に従って15分の刺激物質チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図8(b)】調査1に従って15分の刺激物質チャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図9(a)】調査1に従って120分のオゾンチャレンジ期間の結果を表すグラフであり、参加者の鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を示す。
【図9(b)】調査1に従って120分のオゾンチャレンジ期間の結果を表すグラフであり、NARレスポンダーである参加者の鼻閉の鼻開存性を示す。
【図10】調査1に従うNARチャレンジの5つのNARトリガーに対して単応答または複応答を有するレスポンダーの分布を表すグラフである。
【図11(a)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図11(b)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【図12(a)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図12(b)】60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【図13(a)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図13(b)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【図14(a)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の増大を表すグラフであり、調査2に従う合計鼻症状レスポンダーを示す。
【図14(b)】90分のオゾンチャレンジ期間にわたって、眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を表すグラフであり、調査2に従う健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面に、本発明の一実施の形態が例として示されている。詳細な説明および図面は、理解を助けるために例示しただけであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを十分に理解すべきである。
【0015】
本発明は、NARトリガー環境にヒト被験者を曝す方法およびチャンバである。この方法は、制御された査定可能な様式にて、NAR症状を誘導することが知られている環境トリガーにチャンバ内において被験者を曝すことを含む一連のNAR試験を含む。チャンバは、複数の被験者をハウジングでき、試験を促進するように構成され、結果として各試験に必要とされる特定の環境をチャンバ内に生じさせるように操作可能であるエンクロージャであってもよい。チャンバは、チャンバ内に特定の環境を閉じ込めることを促進し、その中に空気フローを生じさせることによって、被験者に、事実上一貫した様式でその環境を体験させる。このような空気フローは、各NAR試験によって異なっていてもよい。それによって方法およびチャンバは、結果を査定でき報告できるような信頼できるものにすることができる有効なNAR試験をもたらす。
【0016】
チャンバは、種々の環境を生じさせるように制御でき、それぞれの環境は、チャンバ内側の環境内に存在するように特定のNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てることができる。本発明の一部の実施形態において、チャンバ内の環境は、アレルゲン粒子、例えばオゾンまたは芳香剤を含んでいてもよい。本発明の他の実施形態において、チャンバ内の環境は、アレルゲン粒子を含まないが、粒子を含まない雰囲気、例えば冷たく乾燥した空気または暖かく湿った空気を含んでいてもよい。チャンバ内の環境は、特定の期間存在するように特定のNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てることができる。
【0017】
被験者は、ある特定の期間、チャンバ内のNARトリガーに曝され得る。被験者、または参加者は、特定のNAR試験に従って、チャンバ内のある特定の場所に位置しながら、NARトリガーに曝されてもよい。例えば、被験者または参加者の位置は、チャンバ内のNARトリガーがオゾンである場合と、チャンバ内のNARトリガーが冷たく乾燥した空気である場合とで異なっていてもよい。被験者の位置は、チャンバ内のNARトリガーへの被験者または参加者の必要な曝露に従って決定されてもよい。
【0018】
NARトリガーへの被験者の曝露は、1人又は複数の人によってチャンバの外側からモニターされてもよく、チャンバ内の被験者に指示が与えられてもよい。特定のNAR試験が完了したら、チャンバは、チャンバ内に異なるNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てるために異なる環境を生じさせるように操作されてもよい。この様式において、チャンバは、多数のNAR試験に利用されてもよく、一連のNAR試験全体を操作するために利用されてもよい。各試験では、チャンバ内に異なるNARトリガーを有する異なる環境を含んでいてもよく、試験のためにチャンバ内の被験者の様々な位置決定が必要となる場合もある。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、NAR試験および/またはチャレンジは、一度に1人又は複数の被験者を含んでいてもよい。被験者の数は、チャンバのサイズ、ならびにチャンバ環境内に分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てる試験される予定のNARトリガーを含む、本発明のいくつかの要素に依存する。試験のNAR組は、5つのふさわしいNARトリガー、例えば静的または動的レジーム、刺激物質、芳香剤、およびオゾンを適用してもよい。各NARトリガーに曝露するための環境を、チャンバ内に生じさせてもよい。
【0020】
トリガーのターゲットレベルおよび各NAR試験チャレンジの長さは、安全ガイドラインおよび標準、ならびに他の因子、例えば先行する試験または研究に基づいて決定されてもよい。一次的な有効性の変数は、鼻症状の合計スコアにおけるベースラインからの平均的な変化であってもよい。二次的な有効性の変数は、個々の症状重症度におけるベースラインからの平均的な変化、音響鼻腔計測法を用いて測定される鼻開存性におけるベースラインからの平均的な変化、および鼻分泌物重量を含んでいてもよい。当業者は、他の有効性の変数およびパラメータが、本発明の方法およびチャンバを用いて、例えば探索基準において分析されてもよいことを認識する。
【0021】
本発明のチャンバは、湿度、温度、風媒性刺激物質および空気フローの因子を作用させ、それによってチャンバ内に特定の環境が生じるように操作可能な制御された設備であってもよい。特に、チャンバは、NARトリガー曝露を試験する目的で利用されてもよい環境を生じさせることができる。
【0022】
本発明は、制御された設定において単一のチャンバ内で複数の被験者に対して同時に、NAR条件に関する推定治療またはデバイスの有効性の検査をすることができる。チャンバは、多数の被験者を収容し、ならびに装備および調査員のための空間を与えるように設計されてもよい。チャンバは、温度制御されたおよび湿度制御された空気を規定速度にて被験者に向かわせることができ、環境変化により誘導されるNARトリガーの調査を可能にする、カスタム空気フロー発生器を組み込んでもよい。センサのフィードバックおよび制御は、リアルタイムでコンピュータ化されたモニタリングおよび出力性能を用いて完全に自動化されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、チャンバは、NARトリガーが分け与えられない領域、例えば被験者のモニタリングを促進するための観察領域、装備領域またはNAR試験の態様において使用するための他の領域を含んでいてもよい。
【0024】
本発明は、先行技術よりも優れたいくつかの利益を提供する。中でも注目すべきは、チャンバおよび方法は、ある特定のアレルギーに関する1回の試験のためのアレルゲン粒子が負荷された空気の製造に限定されない。従って本発明は、アレルゲンのエアロゾル化の適用だけでなく、NARおよび関連する症状の調査のために、環境条件の変更(例えば多数のNARトリガーを含む)にも用いられる。さらにチャンバおよび方法は、一連のNAR試験を含んでいてもよい。
【0025】
先行技術よりも優れた本発明のさらなる利益を以下に言及する。これらは、先行NAR試験よりも優れた本発明の方法の一連のNAR試験の利益を含む。
【0026】
本発明のNARトリガーへの被験者の曝露方法は、種々のNARトリガー誘導環境を含んでいてもよい。各環境は、特定の試験のために生じさせることができ、チャンバにより設定パラメータに従って促進される。例えば、温度、湿度、オゾン、芳香剤および刺激物質、例えば家庭の刺激物質は、NARトリガーとして報告されている。チャンバは、一度にこれらのトリガーのそれぞれを分け与え、ばら撒き、導入し、および別の方法では割り当てる環境を生じさせるために利用されてもよい。センサを適用して、NARトリガー応答を誘発できる環境がチャンバ内で達成されたときを示してもよい。NARトリガー応答を誘発できる環境が達成されたとき、1人又は複数の被験者をチャンバに入室させ、配置してもよい。チャンバ内で行われる各NAR試験のための手順に特定の因子を適用してもよい。因子は、それぞれのNAR試験によって異なっていてもよく、一部の因子は、すべてのNAR試験について共通であってもよい。例えば被験者がチャンバ内で過ごす時間は、各試験によって変動させてもよい。さらに、それぞれの試験のために、NARトリガー誘導環境へのある特定の曝露を達成するような位置に各被験者を向かわせてもよい。当業者は、他の因子およびパラメータを、NAR試験によって変動させてもよいことを認識する。
【0027】
本発明の実施形態において、被験者が、チャンバ内にいる間に試験の態様を促進するために訓練または指示を受けてもよい。視覚手段をチャンバに組み込んでもよく、それによって1人又は複数の試験適用者は、NARトリガーが分け与えられ、ばら撒かれ、導入され、または別の方法では割り当てられた環境を有するチャンバ部分よりも外側に位置しながら、チャンバ内を観察できる。視覚手段は、NAR環境に曝露される間、被験者のモニタリングを促進できる。
【0028】
NAR試験が完了したら、チャンバは、異なる環境を生じさせるように操作され、それによって異なるNAR試験のために異なるNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てるように調製されてもよい。例えば、NAR試験方法は、まずオゾンのNARトリガーに関するNAR試験を必要とし、このオゾン試験の後に刺激物質のNARトリガーに関する別のNAR試験を必要としてもよい。本発明のこのような実施形態において、チャンバは、先行する環境であるオゾン環境を放散させ、後続環境である刺激物質環境を導入するように操作できる。当業者は、種々のNAR試験が適用されてもよく、そのためこのステップは数回繰り返されてもよく、チャンバ内の環境を一方のNAR試験環境から別のNAR試験環境に変更することを含んでいてもよいことを認識する。各NAR試験環境は、特定のNARトリガーに被験者を曝露することを促進できる。1つ又は複数のNAR試験のグループ分けは、一連のNAR試験を表してもよい。1人又は複数の被験者は、一連のNAR試験を受けてもよく、または別の可能性として1人又は複数の被験者が単一のNAR試験を受けてもよい。
【0029】
データは、各NAR試験環境に対する被験者の反応に関して収集されてもよい。このようなデータは、個々のNAR試験それぞれに関して、一連のNAR試験に関して、または2つ以上のNAR試験の収集に関して、ならびに個々の被験者に関してまたは被験者群に関して(例えば非アレルギー性鼻炎を患うと同定された被験者)、まとめられてもよい。このようにまとめられたデータの結果は、NARトリガーおよび/またはNARトリガーへの被験者の曝露に関する情報を提供し得る。当業者は、このようなデータは、種々の適用、例えば被験者診断、NAR症候群調査、NARトリガー許容範囲レベルの確立、ならびに他の適用を有することを認識する。
【0030】
本発明の実施形態は、いくつかの要素を組み込んだチャンバを含んでいてもよい。このような要素は、チャンバ内にNARトリガーを分け与え、ばら撒き、導入し、または別の方法では割り当てるように特定の環境を生じさせる手段を表してもよく、例えば芳香剤ディスペンサによりチャンバ環境に芳香剤を導入する、オゾン発生器によってチャンバ環境にオゾンを導入する、噴霧器または気化器によってチャンバ環境に酢酸のような刺激物質を導入する、または空気処理システムによってチャンバ内に温度および/または湿度を生じさせる。当業者は、種々の要素がチャンバに組み込まれてもよいことを認識する。
【0031】
本発明の1つの実施形態において、空気処理システムは、チャンバ中の空気流入および流出のすべてを制御でき、ユーザーが特定した温度、湿度および空気速度レベルから所望の環境を生じさせるように空気の条件を制御できる。チャンバは、特定のターゲットパラメータを、例えば約10〜40℃、5〜60%の相対湿度および0〜10フィート/秒の空気速度の範囲内とした環境を生じさせることができる。空気処理システムは、空気処理システムを制御するために多数の個々のコンポーネントおよびセンサで構成されることができる。これらのコンポーネントおよびセンサは、空気処理システムの現場での取付けの前に製造元で取り付けられてもよい。
【0032】
本発明の別の実施形態において、空気処理システムは、後で一体化される2つの別個のシステム、すなわちベースシステムおよび速度管システム(以下で記載される)で構成されてもよい。ベースシステムは、1つ又は複数の供給ベントを介してチャンバに入る空気の温度、湿度および体積を制御できる。図1に示されるように、供給ベント12は、天井載置されてもよい。この空気は、少なくとも1つの返送ベントを介して空気処理システムに戻されてもよい。返送ベント10は、床近くに載置されてもよく、被験者の着席領域とは反対側の壁に配置してもよい。当業者は、供給および返送ベントに関して他の位置も可能であることを認識する。
【0033】
空気処理システムはさらに、各NAR試験環境における空気速度のレベルを制御するために利用されてもよい。NAR試験環境における空気速度レベルは、NARトリガーと被験者との相互作用を促進できる。このため、および他の目的のため、空気処理システムは、供給および返送空気ベント、除湿器、例えばシリカゲル系乾燥剤ホイール除湿器、加湿器および冷却装置を含むベースシステムを組み込んでもよい。
【0034】
シリカゲル乾燥剤ホイール除湿器を組み込む本発明の実施形態において、この除湿器は、吸収プロセスにおいて空気から湿分を除去できる。ホイールを使用して、チャンバ返送空気から湿分を除去し、乾燥した空気を再循環させ、空気ダクトおよび排出器を通してチャンバに戻されてもよい。この空気ダクトおよび排出器は、カスタム設計されてもよい。乾燥剤ホイール内に捕捉された湿分は、熱再活性化され、排気装置を介して外側に放出されてもよい。湿分を欠いた乾燥空気は、空気処理システムおよび空気フロー発生器を通してチャンバに再導入されてもよい。チャンバに空気を入れる前に、加湿器を利用して、調整された空気に湿度および湿分を導入してもよい。チャンバ内の湿度レベルは、ユーザーが規定し得る設定点によって制御されてもよい。チャンバは、5〜60%の相対湿度の範囲内のレベルを達成可能であってもよい。空冷式冷却装置は、空気処理システムを冷却するために主に関与でき、それにより順に冷却された空気をチャンバに導入できる。排気ファン機能は、チャンバからCO2飽和した空気を除去でき、それによってヒトが過ごす場所として許容可能な限度でCO2レベルを維持する。排気ファンはまた、チャンバ内の圧力レベルを生じるおよび/または維持するのに役立ち得る。
【0035】
空気処理システムはさらに、温度調整された空気を速度制御された様式でチャンバに送達できる速度管システムを含んでいてもよい。速度管システムは、すべての速度管を同時に供給する冷却コンポーネントを有する空気フロー発生器を含んでいてもよい。速度管システムの速度管は、チャンバの壁の後ろに配置されてもよい。各管は、被験者の着席領域とは反対に載置され、手動で回転可能であってもよい空気排出器を供給してもよい。各速度管は、独立に制御されたヒーターおよび空気速度ダンパーを有していてもよい。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、図1に示されるように、速度管システム14は、空気フロー発生器および1つ又は複数の速度管で構成されてもよい。空気フロー発生器は、カスタム設計され、温度調整された空気を速度制御された様式で被験者に直接送達してもよい。本発明の1つの実施形態において、4つの円形で8インチ直径の空気排出器は、着席した被験者とは反対側の壁に位置してもよく、それぞれがチャンバ壁の背後に載置された別個の空気速度管によって供給されてもよい。各空気速度管は、0〜10フィート/秒の空気速度の正確な自動化操縦を可能にする特殊化ダンパーを含有してもよい。各空気速度管はまた、独立に制御されて、速度排出器を通して加熱を正確に操縦できるヒーターを含有してもよい。速度管を供給する空気フロー発生器は、4つの速度管をすべて同時に供給する単一冷却コンポーネントを含有してもよい。独立した加熱コイルおよび共通冷却コイルの組み合わせにより、排出器を離れ被験者に向かう空気の正確な温度制御を可能にする。空気フロー発生器および空気速度管は、ベースシステムから独立して除湿または加湿能を有していない場合があり、結果として空気を適切に加湿するためにはベースシステムによることができる。次いで空気は、両方の空気処理システムを通して再循環されてもよく、空気排出器を介して被験者に送達されてもよい。空気排出器は、手動で回転可能であってもよく、被験者の顔に向かう空気フローの方向制御を可能にし、各排出器が2人の被験者に同時に空気を向ける能力を促進する。当業者は、他の速度管システム構成が、本発明に組み込まれてもよいことを認識する。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、空気処理システムは自動化されてもよい。例えば自動化は、既知のシステム、例えばCarrier Comfort Controller 6400(商標)およびCarrier ComfortVIEW(商標)ソフトウェアによって制御されてもよい。このような実施形態において、ソフトウェアは、ComfortVIEW(商標)のインターフェーススクリーンに示されるように、ユーザーが規定した設定点に応答して空気処理システムのすべてのコンポーネントを制御してもよい。温度、相対湿度および空気速度は、チャンバ内に特定の環境を生じさせるために使用される共通に制御されるパラメータであってもよい。当業者は、他の自動化手段が、空気処理システムに適用されてもよいことを認識する。
【0038】
本発明の別の実施形態において、空気処理システムは、チャンバ内の環境の態様を示すように操作可能な1つ又は複数のセンサまたは検出器を含んでいてもよい。このようなセンサまたは検出器は、温度、湿度、二酸化炭素および気圧を含むNAR環境の態様を測定してもよい。当業者は、種々のセンサおよび/または検出器、例えば光電離検出器、比色分析管を組み込んでもよいオゾンモニターまたは刺激物質蒸気モニターがNARチャンバに利用され、種々のNAR環境の態様を測定してもよいことを認識する。空気処理システムはさらに、少なくとも1つのファンを含んでいてもよい。排気ファンは、空気処理システムに含まれるべきである。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、3つの検出器、例えば温度、相対湿度および二酸化炭素が利用されてもよい。検出器は、チャンバ中の返送空気ベント内にダクト載置されて、チャンバの環境条件をモニターしてもよい。単一の気圧センサは、チャンバの天井に位置してもよい。本発明の1つの実施形態において、すべての温度および加湿制御は、自動化システム、例えばComfortVIEW(商標)ソフトウェアのようにソフトウェア駆動する自動化システムによってもよい。自動化システムは、チャンバの環境を調節するために規定され、利用される特定の設定点を組み込んでもよい。別の実施形態において、CO2だけがモニターされてもよい。このようなシステムは、将来的に所望する場合には新鮮な空気流入を制御するためにこの検出器を利用する能力を有していてもよい。本発明の別の実施形態において、気圧は、モニターおよび/または制御されてもよい。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態において、チャンバ内のNAR環境をさらに促進するために、チャンバの壁はコーティングされていてもよい。例えばチャンバの壁は極めて低い湿度レベルの結果として生じる静電気を低減するために静電気放散表面を生じさせるため、エポキシ塗料で塗布され、銅メッシュを埋め込んでもよい。チャンバ内において、査定設備のための指定領域、ならびに調査員および被験者のための座席が存在してもよい。調査員のための座席は、NARトリガーをばら撒く環境から分割された領域中であってもよい。
【0041】
チャンバは、NARトリガーがばら撒かれたチャンバ環境に入室または退去する場合、NARトリガーがばら撒かれていないチャンバの外側雰囲気または領域によってチャンバNAR環境が汚染される可能性を減らすためにエアロックエントランスを組み込んでもよい。当業者は、種々のエントランス構成を利用して、NARトリガーをばら撒くチャンバ環境を保護してもよいことを認識する。例えば、エアロックは、チャンバ内に生じた環境を維持するのに役立ち得る負圧下であってもよい。1つの可能な構成を図3に示し、この図において、エアロックは2つのドア、チャンバに至るドア30bおよび外側廊下からのドア30aを有していてもよい。各ドアは、独立に開くだけでもよい。チャンバに至るエントランスは通路を含んでいてもよい。
【0042】
チャンバの内部において、例えばライザーを含むことによって高さの変動が組み込まれてもよい。被験者のための座席も、チャンバ内に含まれていてもよい。高さおよび座席は、特定のトリガー効果が生じる方法で、NAR試験環境に被験者を曝すように特別に配置されてもよい。ライザーは、ライザーのいずれかの端部に上部に至る1つのステップを有する金属枠組みで構成されてもよく、スリップ防止面を備えていてもよい。椅子はまた、タブレットアームを有し、NAR試験中に主観的な症状の採点を促進してもよい。
【0043】
図1に示されるように、本発明の1つの実施形態において、8人の被験者のための座席16は、4個2列で配置されてもよく、第2の列は第1の列の後ろで段になったライザー18上にある。ライザーおよび椅子の両方は、室内の空気フローを最大限にし、乱流を減らすことに基づいて設計され、選択されてもよい。それぞれ直径8インチの4個の円形空気排出器は、被験者座席と反対の壁に位置していもよい。各空気排出器は、別個のタクトを含有する特殊制御によって供給され、空気速度の正確な自動化操縦を可能にしてもよい。各空気排出器は2人の被験者、前列の1人と、ライザー上の直後の1人に空気を向けてもよい。排出器は、手動で回転可能であってもよく、被験者の顔に向かう空気フローの方向制御を可能にする。当業者は、座席、ライザーおよび空気排出器の他の構成が本発明に組み込まれてもよいことを認識する。
【0044】
被験者の指示は、チャンバ内にアクセス可能な指示手段、または他のコミュニケーション手段によって促進されてもよい。例えば指示手段は、テレビ、音響システム、コンピュータ、または指示を与えるように被験者とコミュニケーションをとる他のいずれかの手段を含んでいてもよい。指示手段は、被験者とチャンバの外側に位置する他の人との意思疎通を促進してもよく、または被験者に対して指示を示すだけでもよい。意思疎通手段が追加的に利用され、チャンバ内に被験者がいる間に被験者のための娯楽を提供してもよい。
【0045】
チャンバは、1つ又は複数の窓を含んでいてもよく、それによってチャンバの内側は、チャンバの外側からまたはNARトリガーがばら撒かれる領域とは離れたチャンバ中の領域から視察できてもよい。このような窓は、エアロックにおいて、チャンバの1つ又は複数の壁において、および/またはチャンバの外側からチャンバ内を見ることもしくはNARトリガーがばら撒かれない別の領域からNARトリガーがばら撒かれるチャンバの環境内を見ることを促進するための他のいずれかの位置において、位置してもよい。図3に示されるように、1つ又は複数の窓32は、チャンバの外部領域、例えば観察室34に連結されてもよい。窓は、人、例えばNAR試験を行う1人又は複数の調査員によってリアルタイムの被験者モニタリングを可能にし得る。NARトリガーがばら撒かれるチャンバ領域をモニターする能力により、調査員が、被験者をNAR試験およびいずれかに関連する臨床プロトコルに順守させることができる。モニタリングは、リアルタイムの被験者モニタリングであってもよい。
【0046】
チャンバの外側にいる人は被験者とコミュニケーション可能であってもよい。このようなコミュニケーションは、被験者のモニタリング、またはいずれかの他のタイプのコミュニケーションに基づいてもよい。例えば、チャンバおよびチャンバの外側での領域、例えば観察室は、インターコムシステムを装備していてもよい。インターコムシステムは、調査員−被験者の意思疎通を促進してもよく、調査員が被験者に指示を与えることを含んでいてもよい。コミュニケーション手段および指示手段は、単一デバイスによって促進されてもよい。当業者は、本発明の1つ又は複数の窓、被験者モニタリングおよびコミュニケーション態様は、他の手段を通して達成されてもよいことを認識する。
【0047】
本発明の1つの実施形態では、チャンバは、クリーンルームのレベルII標準に設計されてもよい。
【0048】
本発明の別の実施形態において、チャンバは、例えば10.5×19フィートのような種々の割合であってもよい。当業者は、チャンバの割合が、チャンバ内の有効なNAR試験を促進するように構成されてもよいことを認識する。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態において、一連のNAR試験方法は、チャンバを利用して行われてもよい。例えば、一連のNAR試験は、冷たく乾燥した空気、温度変化、オゾン、芳香剤および刺激物質の5つの区別可能なチャレンジで構成されてもよい。当業者は、他の一連のNAR試験が、チャンバを利用して本発明の方法において利用されてもよいが、一連の5つのチャレンジは本発明の例として示されることを認識する。本明細書の目的のために、NAR試験はまたチャレンジとして言及されてもよい。例の一連のNAR試験における各チャレンジのターゲットレベルは次の通りであってもよい。
【0050】
【表1】
【0051】
本発明のチャンバおよび方法は、各NAR試験チャレンジのために変更されてもよい。以下は各NAR試験/チャレンジのためにチャンバ内に生じさせることができる可能なNAR環境の例を示す。当業者は、チャンバ内の可能なNAR環境は単なる例として示され、本発明は他のNAR試験/チャレンジおよび環境を含んでいてもよいことを認識する。当業者はさらに、各NAR試験/チャレンジの態様、例えば較正プロセス、目的、ターゲットなどは、このような態様が以下に記載されるNAR試験/チャレンジ以外のNAR試験/チャレンジに適用されてもよいことを認識する。当業者はなおさらに、各NAR試験/チャレンジに関して以下に記載されるターゲット、例えば温度、オゾン濃度などは、おおよそのターゲット例として与えられ、本明細書に記述されるいずれかのターゲット/レベルから変更してもよいことを認識する。
【0052】
(冷たく乾燥した空気および温度変化の特徴)
冷たく乾燥した空気および温度変化チャレンジのためのチャンバ内のNAR環境は、本発明の空気処理システムによって促進されてもよい。冷たく乾燥した空気チャレンジの間、調整された空気(約14±5℃、相対湿度<15%であってもよい)は、速度管から排出されてもよく、例えば約5フィート/秒のような速度にて被験者の着席領域に向けてもよい。温度変化チャレンジの間、暖かい空気(約35±5℃にて、相対湿度10〜40%であってもよい)は、例えば約1時間の期間、例えば5フィート/秒のような速度にて被験者の着席領域に向けられてもよく、次いで冷たい空気(約14±5℃にて、相対湿度10〜40%であってもよい)に素早く交換して、例えばさらに1時間(60分間)の期間、例えば約5フィート/秒のような速度にて被験者の着席領域に向けてもよい。温度、相対湿度および空気速度のレベルは、空気処理システム内の環境センサによってモニターされてもよい。これらのレベルは、例えば本発明の自動化された要素によって報告されてもよい。このような自動化要素は、報告ソフトウェアのパッケージ、例えばComfortVIEW(商標)ソフトウェア、または報告目的のための他のいずれかのパッケージおよび/またはソフトウェアを利用してもよい。
【0053】
測定デバイスの較正ステータスは、種々の手段、例えば鏡面冷却式湿度計および/または風向風速計であってもよい風速計によって達成されてもよい。本発明のすべての実施形態について、較正プロセスを行う必要はない。較正プロセスを行う本発明の実施形態は、いくつかのデバイスの1つ以上を利用してもよい。利用されるデバイスは、特定のNAR試験/チャレンジに特異的であってもよい。
【0054】
例えば、湿度計は、クロムめっき鏡面を用いて温度および露点を測定し、これらの測定値に基づいて相対湿度を計算する一次露点デバイスとして利用してもよい。このデバイスは、高感度であってもよく、温度および露点を±0.2℃の精度で測定してもよい。あるいは、またはさらに、鏡面冷却式湿度計は、モバイルデバイスであってもよく、測定値を被験者着席領域にてとることができ、被験者が所望の条件を体験していることを確実にしてもよい。システム、例えばComfortVIEW(商標)システムはまた、チャンバからの温度および相対湿度計測値を与えるために利用されてもよい。このような計測値は、センサ、例えば返送空気供給においてダクト載置されたセンサから伝送されてもよい。さらなるデバイスを利用して、調整された空気の温度および相対湿度ならびに被験者がチャンバ内の特定の位置、例えば着席領域にて体験する他の条件を測定してもよい。
【0055】
本発明は、次の目的に対処するために構成されてもよい。温度、相対湿度および空気速度のターゲットパラメータを、典型的なチャレンジ期間、例えば1時間にわたって時間的に維持するシステムの能力を決定すること、および温度、相対湿度および空気速度のターゲットパラメータをNARチャレンジに使用されるべき着席位置のそれぞれにおいて空間的に維持するシステムの能力を決定すること、温度変化チャレンジのために暖かい空気と冷たい空気との条件を交換するために必要とされる時間を決定すること。このような決定は、本発明の方法に一体化されてもよい。さらに同様の目的は、各NAR試験/チャレンジに適用されてもよい。
【0056】
種々の実験および較正手段は、NAR温度およびCDAチャレンジにおいて策定される各目的と関連したターゲット値および変動性を測定するために適用されてもよい。これらには、温度および空気速度レベル、および温度変化チャレンジのためには2つの条件間の交換時間に関連するターゲットを達成するための時間を検証すること、各着席位置間の温度、相対湿度および空気速度の空間的均質性を検証すること、典型的なチャレンジ期間にわたって温度、相対湿度および空気速度の時間的な均質性を維持する能力を検証すること、および被験者のチャンバへのエントリーの影響を決定することが含まれていてもよい。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、冷たく乾燥した空気(「CDA」)環境は、特定の温度、例えば14℃(±3℃)、および相対湿度、例えば10%(±5%)を目標としてもよい。CDAのための条件は、NAR被験者に関して主に報告された症状トリガーとして天候および温度変化を同定する文献に基づいて選択されてもよい(参照:Shusterman D and Murphy MA(2007)Nasal hyperreactivity in allergic and non−allergic rhinitis:a potential risk factor for non−specific building related illness.Indoor Air.17:328−333)。CDA鼻チャレンジは、非アレルギー性鼻炎被験者をコントロールと区別するためにはヒスタミンチャレンジより優れていることが証明され(参照:Braat JPM,Mulder PG,Fokkens WJ,Gerth van Wijk R and Rijntjes E(1998)Intranasal cold dry air is superior to histamine challenge in determining the presence and degree of nasal hyperreactivity in nonallergic noninfectious perennial rhinitis.Am.J.Respir.Crit.Care Med.157:1748−1755)、CDAに対する応答がNARの決定的な表現型であることを示唆している。また、鼻誘発調査は、CDAであり、暖かく湿ってはいない空気は、鼻粘膜に作用することが示されている(炎症性メディエイタ放出および鼻上皮細胞脱落の増大)(参照:Togias AG,Naclerio RM,Proud D,Fish JE,Adkinson NF,Kagey−Sobotka A,Norman PS and Lichtenstein LM(1985)J.Clin.Invest.76:1375−1381、およびCruz AA,Naclerio RM,Proud D and Togias A(2006)Epithelial shedding is associated with nasal reactions to cold,dry air.J.Allergy Clin.Immunol.117:1351−1358)。これらの観察に基づいて、本発明の実施形態は、冷たく乾燥した条件の作用を検査するためのNAR試験/チャレンジを含んでいていもよい。さらに、チャンバの外側の標準環境から冷たく乾燥した環境への変化の作用は、二次目的として評価されてもよい。CDAチャレンジに関して、空気速度、例えば5フィート/秒(±3フィート/秒)が目標とされてもよい。5フィート/秒の適度な空気速度は、最低のファン設定で自動車の換気システムから乗員の顔で体験する速度に匹敵する(Cetero Research(2007)非公開データ)。
【0058】
絶対極値温度に加えて、温度の迅速な変化は、コントロールに比べて鼻炎患者の鼻症状(鼻づまり、鼻漏、痒み)を増大させることがわかった(参照:Graudenz GS,Landgraf RG,Jancar S,Tribess A,Fonseca SG,Fae KC and Kalil J(2006)The role of allergic rhinitis in nasal responses to sudden temperaure changes.J.Allergy Clin.Immunol.118:1126−1132)。これらの調査は、制御されたチャンバ環境にある被験者を冷たい空気(14℃)に30分間曝し、即座に変更して暖かい空気(26℃)に30分間曝し、このサイクルを2回以上繰り返すことを含む。これらの知見に基づき、本発明は、NAR症状における迅速な温度変化の作用を評価するために、温度チャレンジを組み込んでもよい。温度変化チャレンジは、被験者を、暖かい空気に1時間曝した後、冷たい空気に迅速に変化させ、冷たい空気に1時間曝してもよい。相対湿度は、これらの実験の間、一定のまま、例えば20%±10%であってもよい。ターゲット温度は、本発明によって達成されてもよく、例えば暖かい空気コンポーネントに関しては40℃±3℃および冷たい空気コンポーネントに関しては14℃±3℃であってもよい。適度なターゲット空気速度、例えば5フィート/秒(±3フィート/秒)が、暖かい空気コンポーネントと冷たい空気コンポーネントとの両方に利用されてもよい。
【0059】
【表2】
【0060】
本発明は、誘導鼻炎症状に焦点を当てることができ、結果としてターゲット条件は、被験者の顔だけに関するものであることができ、一般的な室内条件または被験者の身体の他の一部が体験する条件に関するものではなくてもよい。被験者の顔に調整された空気を最大限曝すことで鼻炎症状の確率を増大させるために、速度管は、座席の前列の頭の高さに特に向けてもよい。そのようなものとして、条件は、チャンバ内の特定の位置、例えば前列座席にのみ妥当性確認されてもよい。
【0061】
本発明の方法は、同時にチャンバ内にある多数の被験者を必要とする場合がある。被験者は、チャンバに入室する前に室温に気候順応させてもよい。チャンバは、特定の数の被験者、例えば最大8人の被験者を保持する能力、ならびに効力および安全査定のために指定された空間を保持する能力を有していてもよい。すべての被験者が同一の条件を体験する臨床モデルを革新的に与えるために、チャンバ内の空間的均質性が妥当性確認プロセスを通して評価されてもよい。妥当性確認プロセスの実験は、温度、相対湿度および空気速度の空間的均一性を試験してもよい。環境条件は、それぞれの被験者の位置にて試験されてもよく、空間的均一性は、設定基準に従って規定されてもよい。
【0062】
人間は、皮膚からの表面蒸発および呼吸を含む多くの機構を通して環境に湿分を放出する。人間の被験者から放出された湿分の影響、ならびにチャンバ内の環境条件に被験者をエントリーさせるためのドアの開放プロセスの影響は、妥当性確認プロセスの間に決定されてもよい。例えば8人の被験者のチャンバ内へのエントリーおよび着席は、先行する調査において決定されていて、低湿度環境における相対湿度レベルを約5%増大させ、約16分以内に仕様範囲内に戻る。本発明の方法に一体化させる基準は、このような知見または他の妥当性確認手段に基づいていてもよく、チャレンジを行う人に、20(±10)分の再平衡化の時間間隔を認めるように選択させる。多くの変数が、温度、相対湿度および空気速度に関するこのような基準(最大数の被験者のエントリーおよび退出を含む)に影響を及ぼし得る。これらは、査定され、評価され、試験/チャレンジ方法に組み込まれてもよい。
【0063】
例えば、本発明の1つの実施形態では、次の方法が冷たく乾燥した空気および/または温度NAR試験に適用されてもよい。
1.NARトリガーを誘発するのに必要なターゲットレベルを達成するために、必要に応じて空気処理システムに関してターゲット温度、相対湿度および空気速度を設定すること。
2.ベース空気処理システムおよび速度管システムを始動すること。
3.温度および相対湿度がターゲットレベルに到達するまで(いずれかの規定された各変動域内)規則的な間隔、例えば10分毎に、鏡面冷却式湿度計および回転風向風速計によって提供されるような温度および相対湿度測定値を記録すること。測定値、例えば鏡面冷却式湿度計および回転風向風速計によるものは、前列の代表的な位置として前列における特定の着席位置のためのエアストリームにおいて行うことができる。
4.ターゲットレベルに到達したら、安定な環境が達成されていることを確実にするための最小数の測定値のために、例えば3つの測定値のために、規則的な間隔、例えば5分毎にて、測定値を記録し続ける。
5.チャンバに被験者をエントリーさせ、着席領域において被験者を着席させる。
6.空気処理システムおよび独立センサを用いて、規則的な間隔、例えば2分毎に、ターゲットレベルに再び到達するまで温度および相対湿度を記録すること。温度および相対湿度のそれぞれの再平衡化に必要な時間を記録する。すべてのレベルが再び達成されたら、条件の安定を確実にするために設定数の測定、例えば3回の測定のために、規則的な間隔、例えば5分毎に測定を続ける。
7.室内からの被験者の除去。
8.規則的な間隔、例えば2分毎に、温度および相対湿度を記録する。設定数の継続的な測定、例えば3回の継続的な測定のためにターゲットレベルが維持されるまで記録を続ける。
9.鏡面冷却式湿度計で測定された温度および相対湿度は、ターゲットレベル、例えば被験者のエントリーまたは退出の20±10分以内にそれぞれ戻り得る。
【0064】
当業者は、この手順の別の選択肢が本発明によって適用されてもよく、本明細書に記載された手順と同じまたは同様の手順が他のNAR試験/チャレンジに適用されてもよいことを認識する。
【0065】
CDAおよび温度チャレンジを行った後、データは分析されて、報告書に示されてもよい。この報告書は、種々の形態で試験の種々の知見を記載してもよい。
【0066】
(オゾンチャレンジに特定のチャンバの特徴)
NAR被験者は、多くの場合、自身の鼻閉および鼻漏のトリガーとして環境汚染のコンポーネントを報告している。大気オゾンは、環境空気汚染の主要構成要素であり、大気オゾンのレベルの増大は、鼻粘膜に対する損傷および上気道における炎症の増大を含む多くの健康問題を導くことが示されている(参照:Pacini S,Giovannelli L,Gulisano M,Peruzzi B,Polli G,Boddi V,Ruggiero M,Bozzo C,Stomeo F,Fenu G,Pezzatini S,Pitozzi V,and Dolara P(2003)Association between atmospheric ozone levels and damage to the nasal mucosa in Florence,Italy.Environ.Mol.Mutagen.42:127−135)。大気オゾン汚染に加えて、屋内空気の質が、例えばコピー機および屋内空気清浄機のような機械デバイスによって製造されたオゾンによって影響を受ける(参照:Bernstein JA,Alexis N,Bacchus H,Bernstein IL,Fritz P,Horner E,Li N,Mason S,Nel A,Oullette J,Reijula K,Reponen T,Seltzer J,Smith A,and Tarlo SM(2007)J.Allergy Clin.Immunol.In press)。
【0067】
多くの調査により、チャンバ設定においてオゾン曝露の作用が検査されたことによって、許容可能な実験曝露条件に関するガイドラインを与えている。アレルゲンチャレンジ前の適度なオゾンレベル(4時間0.5ppm)への予備曝露は、上気道および下気道症状および鼻好中球および好酸球レベルの増大をもたらす(参照:Bascom R,Naclerio RM,Fitzgerald TK,Kagey−Sobotka A,and Proud D(1990)Effect of ozone inhalation on the response to nasal challange with antigen in allergic subjects.Am.Rev.Respir.Dis.142:594−601)、一方でアレルゲンチャレンジ前の低レベルオゾン(1時間0.12または0.2ppm)への予備曝露は、呼吸症状にほとんど作用を与えなかったので(参照:Ball BA,Folinsbee LJ,Peden DB,and Kehrl HR(1996)Allergen broncoprovocation of subjects with mild allergic asthma after ozone exposure.J.Allergy Clin.Immunol.98:563−572、およびChen LL,Tager IB,Peden DB,Christian DL,Ferrando RE,Welch BS and Balmes JR(2004)Effect of ozone exposure on airway response to inhaled allergen in asthmatic subjects.Chest.125:2328−2335)、臨床上明らかな結果を見るためには適切なオゾンレベルが重要であることを示している。しかし、これらの調査は、オゾンに関する実験的に許容可能な曝露限度に対する証拠を与える。
【0068】
オゾンは一般的な屋内空気汚染物質であるので、特定の曝露限度が設定されている。屋内空気におけるオゾンに関するHealth Canada短期間曝露限度は、1時間の平均濃度に関して≦0.12ppm(≦240μg/m3)である(参照:Health Canada(1989).Exposure Guidelines for Residential Indoor Air Quality(1989)A report of the Federal−Provincial Advisory Committee on Environmental and Occupational Health.Health Canada)。オゾンに関して米国職業安全衛生管理局(OSHA)の許容曝露限度(PEL)は8時間/日あたり0.10ppmであり、ACGIH TLVは2時間未満で0.2ppmである(参照:US Department of Labor(2004).Chemical Sampling Information:Ozone(2004)U.S.Department of Labor,Occupational Safety&Health Administration.www.osha.gov)。
【0069】
本発明の要素としてのオゾンチャレンジは、NAR被験者における鼻症状を誘発する一般的な原因である環境汚染条件を模倣するように設計されてもよい。高いオゾン濃度が鼻症状を引き出すのに必要であることを前提として、被験者は、ACGIHによって記載される最高値の許容職業曝露限度、例えば2時間までの間で0.2ppmに曝されてもよい。当業者は、曝露限度が本発明の一部として適用されるオゾンチャレンジに関して変動するレベルに設定されてもよいことを認識する。
【0070】
オゾンチャレンジの間、オゾン発生器は、オゾンレベルを発生させるようにチャンバ内にて操作されてもよい。ターゲット・オゾン・レベルは、例えば0.2±0.1ppmのターゲット範囲内のレベルがチャレンジのために同定されてもよい。チャンバ内のオゾンレベルは、オゾン検出器を用いてモニターされてもよい。モニタリングは、チャレンジのいずれかの段階においてチャレンジ中の規定の時間で行ってもよい。
【0071】
オゾンレベルの測定は、携帯用オゾンモニターを用いて行われてもよい。オゾンモニターの較正ステータスが保障されてもよい。次の実験のいずれか、またはすべてが適用されてもよく、または全く適用されなくてもよい。空間的および時間的なオゾンのターゲットレベルの達成に必要な適切な手順および操作パラメータを決定するために設計された実験、オゾンのレベルに対するドア開放の影響を決定するために設計された実験、曝露施設をターゲットレベルで飽和するのに必要な時間を決定するために設計された実験、および他のいずれかのNAR試験に関連する実験。
【0072】
オゾンチャレンジは、次の目的に対処してもよい。施設内のオゾンのターゲットレベル(0.2ppm)を達成するためにオゾン発生器に必要な設備設定を決定すること、オゾンレベルの許容可能および実現可能な範囲または許容範囲を決定すること、1時間0.2ppmのターゲットレベルを維持するための設備の能力を決定すること、予定された着席位置のそれぞれにおいて0.2ppmのターゲットレベルの空間的均質性を達成するためのシステムの能力を決定すること、ドアの開放時におけるオゾンレベルの影響を決定すること、およびオゾン発生器の欠陥時(「最悪の場合」条件)におけるオゾンレベルを維持する施設の能力を決定すること。
【0073】
本発明は、同時にチャンバ内にいる多数の被験者を含んでいてもよい。チャンバは、多数の被験者、例えば最大4人の被験者を保持する能力、ならびに効力および安全査定のために指定された空間を保持する能力を有していてもよい。調整された空気の被験者の顔への曝露を最小限にし、被験者へのオゾンの作用を査定するために、速度管は、有効でなくてもよく、被験者は特定の位置に着席するだけでよい。このような位置は、被験者に対するオゾンの作用を査定する際の一ステップとして妥当性確認されてもよい。
【0074】
すべての被験者が同一の条件を体験するチャレンジ環境を確信して提供するために、チャンバ内の空間的均質性は、本発明においてステップとして評価できる。このような妥当性確認目的の実験は、オゾンのターゲットレベルの空間的均一性を試験してもよい。例えば、オゾンレベルは、試験に適用される空間的均一性の規定に従って各被験者位置にて試験されてもよく、査定されてもよい。このようなステップの例は、期間にわたって設定された時間間隔、例えば2時間の間で20分毎にてチャンバ内の各ターゲット位置、例えば座席位置にて光電離検出器を用いてオゾンレベルを収集することを含んでいてもよい。
【0075】
(芳香剤チャレンジの特徴)
芳香剤および香料は、NAR被験者に関して一般的に報告されている風媒性トリガーである。NAR人口において芳香剤または香料への曝露の作用を特に検証した調査はないが、多くの研究は、多種類化学物質過敏症またはシックハウス症候群を有する人における芳香剤の鼻作用に関して行われている。例えば、Opeikun,RE,Smeets M,Sulewski M,Rogers R,Prasad N,Vedula U and Dalton P(2003)Assessment of ocular and nasal irritation in asthmatics resulting from fragrance exposure.Clin.Exp.Allergy.33:1256−1265は、制御されたチャンバにおける市販の空気消臭剤に曝された喘息被験者における眼および鼻刺激を検査している。チャレンジはまた、チャンバ環境において噴霧化された市販の香料が使用された(参照:Shim C and Williams MH(1986)Effect of odors in asthma.Am.J.Medicine.80:18−22、およびMillqvist E and Lowhagen O(1996)Placebo−controlled challanges with perfume in subjects with asthma−like symptoms.Allergy.51:434−439)。Olfactory research、例えばDalton P,Wysocki CJ,Brody MJ,Lawley HJ.(1997)The influence of cognitive bias on the perceived odor,irritation and health symptoms from chemical exposure.Int.Arch.Occup.Environ.Health.69:407−417は、バナナ(酢酸アミル)、バラ(フェニルエチルアルコール)、アーモンド/サクランボ(ベンズアルデヒド)、ウインターグリーン(メチルサリシラート)およびバルサム(酢酸イソボルニル)のような一般的な香りに関与する主要な化学構成要素を同定した。被験者のフェニルエチルアルコールまたはメチルエチルケトン(一般的な溶媒)への曝露は、鼻抵抗を増大させることを見出した(参照:Doty RL,Deems DA,Frye RE,Pelberg and Shapiro A(1988).Olfactory sensitivity,nasal resistance,and autonomic function in subjects with multiple chemical sensitivities.Arch.Otolaryngol Head Neck Surg.114:1422−1427)。
【0076】
最近の調査は、3つのタイプの空気消臭剤および3つのタイプの洗濯製品を含む一般的な消費者製品における多くの異なる揮発性有機化合物(「VOC」)を同定するためにガスクロマトグラフィ/質量分析を使用している(参照:Steinemann AC(2008)Fragranced consumer products and undisclosed ingredients.Enviro Impact.Assess Rev)。これらの調査は、一般的な空気消臭剤プラグイン製品が、20個の異なるVOC、例えばd−リモネン、β−ピネン、アセトン、カンフェンおよび3−ヘキセン−1−オールを含有することを示した。Daltonによる以前の嗅覚チャンバ調査は、チャンバ内のVOCレベルをモニターするために光電離検出器を利用している(参照:Dalton P(1996)Odor perception and belief about risks.Chemical Senses.21:447−458、およびDalton,P.(1999)Cognitive influences on health symptoms from acute chemical exposure.Health Psychology.18(6):579−590)。この同じ方法論に従って、市販のプラグイン空気消臭剤によって本発明のチャンバ中に発生したVOCレベルを、VOCを検出する光電離検出器を用いて測定してもよい。当業者は、この方法は、本発明の芳香剤チャレンジの要素の1つの例に過ぎず、他の要素が可能であることを認識する。
【0077】
本発明の1つの実施形態では、芳香剤レベルは、芳香剤ディスペンサ、例えば市販の芳香剤ディスペンサの使用を通してチャンバ内に生じさせてもよい。例えば芳香剤を放出するために居住環境、商業的環境および産業的環境に使用される市販の空気消臭剤プラグインが利用されてもよい。空気消臭剤は、多数のVOCで構成されるので、VOCレベルはエアロゾル化された芳香剤レベルの良好な指標である。このような芳香剤ディスペンサは、ターゲット芳香剤レベルを達成するために、チャンバへの被験者のエントリー前に規定の時間操作されてもよい。購入したユニットは、電気のコンセントにユニットをプラグインし、芳香剤の発生を認めるか、または適用可能な場合に取り付けられた「ファン」からのノイズを認めることによって、予測される操作を確認して操作に関して試験されてもよい。
【0078】
本発明の1つの実施形態では、被験者がユニットから放出された芳香剤および揮発性有機化合物によって等しく囲まれるように、室内に6個の芳香剤ディスペンサユニット、「P」と標識された各位置において2個のユニット(2つの芳香剤の混合物)が存在してもよい。当業者は、チャンバ内にある芳香剤をばら撒く他の手段として芳香剤ディスペンサユニットの他の構成も可能であることを認識する。
【0079】
芳香剤曝露は、VOC、市販の芳香剤の同定されたコンポーネントのレベルを測定するために光電離検出器を用いてモニターされてもよい。芳香剤のレベルは、チャレンジのためのターゲットレベル、例えば6±3ppmにて維持されてもよい。
【0080】
NAR−芳香剤チャレンジの妥当性確認プロトコルは、芳香剤の測定として、VOCのターゲットレベルを達成するための施設の能力を検証する必要がある実験を概要するために開発されてもよい。NAR−芳香剤チャレンジの妥当性確認プロトコルは、VOCのレベルによって測定される場合に、施設が芳香剤のターゲットレベルを達成できることを検証するために行われるべき特定の目的および実験を概要してもよい。次の実験設計は、この目的のために、VOCのターゲットレベルを達成するための時間を検証する、それぞれの着席位置においてVOCのレベルの空間的均質性を検証する、VOCのレベルに対するドアの開放による影響を検証する、およびチャレンジ期間、例えば30分間にわたってVOCのレベルの時間的均質性を維持するための能力を検証するために従ってもよい。
【0081】
本発明の1つの実施形態では、多チャレンジチャンバ構成が、芳香剤チャレンジのために利用されてもよい。多チャレンジチャンバ構成は、いくつかのタイプ、構成およびサイズを有していてもよい。例えば、多チャレンジチャンバ構成は、約40フィート×8フィートであってもよく、3つの別個の部屋で構成されてもよい。芳香剤チャレンジ室(約8フィート×8フィート)および刺激物質チャレンジ室(約12フィート×8フィート)は、中央の共通待合室(約20フィート×8フィート)を備えた一時的な曝露施設のどちらかの端部にあってもよい。当業者は、多チャンバ構成の他のサイズおよびレイアウトが本発明に従って可能であることを認識する。部屋への必要な熱および新鮮な空気は、この一時曝露施設の各端部に位置する専用加熱、換気、および空気調整システムによって供給されてもよい。チャレンジ室の壁およびドアの継ぎ目は、チャレンジ室と待合室との間の相互汚染を最小限にするために密封されてもよい。チャレンジ室およびチャンバの待合領域内に、被験者のための指定された着席領域が存在してもよい。芳香剤チャレンジ室および刺激物質チャレンジ室は、待合領域におけるNARトリガーの相互汚染を最小限にするために、それぞれにおいてばら撒かれるNARトリガーを有していなくてもよく、および/または同時に行われなくてもよい。
【0082】
多チャレンジチャンバ構成における芳香剤室は、周囲温度、例えば22℃±5℃にて着席位置それぞれにて測定される場合に、レベル、例えば6±3ppmのVOCを目標としてもよい。プラグインユニットを利用する場合、プラグインユニットからのVOC放出は、光電離検出器を用いてユニットから約1インチ離れ、ならびにデジタル式光回転速度計を用いてユニットに取り付けられたファンの速度にて検証されてもよい。選択されたターゲット条件を達成および維持するチャンバの能力は、妥当性確認プロセスを確実に完了するためおよび将来的な臨床トライアルを行うためには重要な場合がある。チャンバ内で一度に2人以上の被験者をチャレンジさせることもできる。最大曝露期間は、芳香剤チャレンジに関して30分であってもよい。そのため、チャンバは、着席位置において30分間にわたって所望の条件を維持する能力を確立することによって有効性に関して試験できる。当業者は、これは例であり、他の芳香剤室パラメータおよびターゲットが適用できることを認識する。
【0083】
NAR試験を行う間、ドア開放は、被験者が部屋に入室し、退出する場合に必ず発生し得る。ドア開放により、芳香剤がチャンバ外環境へ損失する可能性が生じる。例えば、チャンバのドアを開放することにより、着席位置#2に比べて、ドアの前方に位置する着席位置#1におけるVOCレベルは1±0.5ppm低下し得る。データの許容基準は、5±3分の再平衡化時間間隔が可能となるように選択されてもよい。
【0084】
(刺激物質チャレンジの特徴)
刺激物質は、NAR被験者に関して最も頻繁に報告されるトリガーの1つである。特に、家庭用洗浄製品およびそれらに関連して化学刺激物質は、強力なトリガーとしてNAR被験者によって同定されている。一般に使用される家庭用クリーナーの1つは、酢酸である。酢酸蒸気への曝露の急性作用を試験する調査では、チャンバ環境中、2時間で5または10ppmへの曝露は、鼻不快感および鼻水を含む鼻症状を生じさせることが示された(参照:Ernstgard L,Iregren A,Sjogren B and Johanson G(2006)Acute effects of exposure to vapours of acetic acid in humans.Toxicology Letters.165:22−30)。同様に、季節性アレルギー性鼻炎被験者の15分間の15ppm酢酸蒸気への曝露は、ベースライン値に比べて鼻気道抵抗の増大をもたらした(参照:Shusterman D and Tarun A(2005)Seasonal Allergic Rhinitic and normal subjects respond differentially to nasal provocation with acetic acid vapor.Inhalation Toxicology.17:147−152)。興味深いことに、正常(非鼻炎)被験者は、酢酸曝露に応答した鼻気道抵抗の増大を示さないが、これは鼻炎被験者は刺激物質の鼻作用に対して感受性が高い場合があることを示している。
【0085】
酢酸が産業溶媒であることを前提として、明らかな職業曝露限度は、種々の規制当局によって決定されている。米国産業衛生専門家会議(ACGIH)によって同定される閾限度値−短期間の曝露レベル(TLV−STEL)は15分間15ppmである(US Dept.of Labor,2007)。閾限度値−時間加重平均(TLV−TWA)は10ppmであり、これは1日8時間および40時間/1週間のスケジュールに基づく平均曝露の限度である(参照:US Department of Labor(2007).Chemical Sampling Information:Acetic Acid(2007)U.S.Department of Labor,Occupational Safety&Health Administration.www.osha.gov)。本発明に利用される曝露条件は、これらの職業曝露限度を超えないように設定されてもよい。
【0086】
刺激物質チャレンジを促進するために、いくつかの要素がチャンバに組み込まれてもよい。これらの要素は、酢酸ディスペンサユニットおよび酢酸モニターを含んでいてもよい。当業者は、他の要素が、刺激物質チャレンジに利用される刺激物質を分配およびモニターするために利用されてもよいことを認識する。
【0087】
酢酸ディスペンサユニットは、蒸気化方法を用いて酢酸のエアロゾル化を促進してもよい。液体の酢酸(4〜8%)が容器に入れられ、これが徐々に加温されて蒸気が生じ、チャンバを飽和してもよい。ユニットは、被験者が、蒸気ではなく、部屋を飽和する適切なレベルのエアロゾル化酢酸に曝されるように、可能な限り被験者の着席領域から離れて、ドアのある壁に対して配置されてもよい。
【0088】
酢酸モニター、例えばDraeger−Tubes(登録商標)は、妥当性確認プロセス全体を通してエアロゾル化酢酸の濃度を決定するために使用されてもよい。Draeger−Tubes(登録商標)は、自由に選択したガスに対する応答として比色分析反応を行う化学物質で満たされた1回使用のガラスバイアル瓶である。特定の管が酢酸蒸気の検出に利用可能である。空気の較正された100mlサンプルをDraeger accuro(登録商標)ポンプを用いて管に引き込んでもよい。目標ガス蒸気、この場合は酢酸が存在する場合、管中の化学試薬の色が変化し、この色変化の長さが測定された濃度を示す。
【0089】
ディスペンサユニットは、約1時間で15ppmのレベルに到達でき、典型的なチャレンジ期間の15分を超えて、ほぼ3時間の間15±5ppmのレベルを維持できる場合がある。刺激物質チャレンジ中、酢酸は、チャンバにて15ppmの曝露レベルを生じるようにエアロゾル化されてもよい。被験者は、各チャレンジの間15分間曝されてもよい。ターゲットレベルが試験期間にわたって一定に維持できることを検証するために、エアロゾル化酢酸レベルの時間的均質性が着席位置にて検証されてもよい。
【0090】
刺激物質チャレンジを行う間、ドアの開放は、被験者のエントリーおよび退出を促進するために必ず発生し得るので、NARトリガーがばら撒かれたチャンバに対して外部の環境へエアロゾル化酢酸が損失する可能性がある。被験者のエントリーおよび退出のためのドアの開放影響は最小限であることができ、再平衡の時間間隔、例えば5±3分は、本発明の方法に適用されてもよい。
【0091】
刺激物質チャレンジのための曝露条件は酢酸を利用してもよく、職業曝露限度を超えずに、鼻応答を引き出すように選択されてもよい。刺激物質チャレンジは、通常の家庭用洗浄製品から体験する刺激物質レベルを模倣するためにエアロゾル化希釈酢酸を利用してもよい。例えば、刺激物質チャレンジ中、酢酸は噴霧化され、15ppmの曝露レベルを生じてもよく、被験者は15分間曝露される。
【0092】
刺激物質チャレンジは、NAR被験者にとって一般的なトリガーである家庭用刺激物質を模倣するためにエアロゾル化酢酸の使用を含んでいてもよい。刺激物質であるエアロゾル化酢酸のターゲットレベルは、液体酢酸を所望の濃度、例えば15±5ppmにエアロゾル化する噴霧器/蒸発器を用いて生じさせてもよい。酢酸レベルは、検出器、例えば酢酸蒸気の検出に特異な一回使用の比色分析管を用いてチャレンジ全体を通してモニターされてもよい。当業者は、他のタイプの刺激物質、ターゲットレベル、および期間は、本明細書に具体的に記述されたもの以外が本発明に適用されてもよいことを認識する。
【0093】
刺激物質チャレンジに利用されるべき設備は、噴霧器エアロゾル発生器を含んでいてもよい。測定デバイス、例えばDraeger−Tubes(登録商標)およびDraeger accuro(登録商標)−ポンプの較正ステータスも行われてもよい。刺激物質チャレンジの検証プロセスは、エアロゾル化酢酸のターゲットレベルが空間的および時間的に達成されるために必要な適切な手順および操作パラメータ、ならびにエアロゾル化酢酸のレベルに対するドア開放の影響およびターゲットレベルで曝露施設を飽和するために必要な時間を決定するように設計された実験を含んでいてもよい。当業者は、他のデバイス、較正プロセスおよび/または検証プロセスが本発明によって適用されてもよいことを認識する。
【0094】
本発明の1つの実施形態では、次の目的が対処されてもよい。エアロゾル化酢酸のターゲットレベルを達成するために噴霧器に必要とされる設備設定を決定すること、刺激物質噴霧化の許容可能および実現可能な範囲または許容範囲を決定すること、ターゲットレベル、例えば15分にわたって15ppmを維持するための設備能力を決定すること、予想される各着席位置においてターゲットレベルの空間的均質性を達成するシステムの能力を決定すること、ドアの開放時にエアロゾル化酢酸のレベルに対する影響を決定すること、および噴霧器の欠陥時(「最悪の場合」条件)にエアロゾル化酢酸レベルを維持する施設の能力を決定すること。当業者は、他の目的が本発明に適用されてもよいことを認識する。
【0095】
本発明の1つの実施形態では、多チャレンジチャンバ構成が刺激物質チャレンジならびに芳香剤チャレンジのために利用されてもよい。多チャレンジチャンバ構成は、種々のタイプ、サイズおよび構成を有していてもよい。例えば、多チャレンジチャンバ構成は、3つの別個の部屋を含んで、約40フィート×8フィートであってもよい。芳香剤チャレンジ室(約8フィート×8フィート)および刺激物質チャレンジ室(約12フィート×8フィート)は、中央の共通待合室(約20フィート×8フィート)と共に一時的な曝露施設のいずれかの端部にあってもよい。部屋に必要な熱および新鮮な空気は、一時曝露施設のいずれか端部に位置する専用加熱、換気、および空気調整システムによって供給されてもよい。チャレンジ室の壁およびドアの継ぎ目は、チャレンジ室と待合室との間の潜在的な相互汚染を最小限にするために密封されてもよい。チャンバチャレンジ室内において、少なくとも1人の被験者のために指定された着席領域が存在してもよい。刺激物質チャレンジ室および芳香剤チャレンジ室は、待合領域におけるトリガーの相互汚染を最小限にするために、それぞれにおいてばら撒かれるNARトリガーを有していなくてもよく、および/または同時に行われなくてもよい。
【0096】
(多チャレンジチャンバ構成)
上述されたように、本発明は、多チャレンジチャンバ構成を組み込んでいてもよい。このような構成は、多数の試験/チャレンジ曝露室および他の部屋を単一チャンバ空間内に組み込んでもよい。多チャレンジチャンバ構成は、チャレンジ条件間の何らかの相互汚染を排除する様式でチャレンジ環境を迅速に効率良く生じさせるために多チャレンジのために使用されてもよい。本明細書に記載されるように、刺激物質および芳香剤チャレンジを促進するために多チャレンジチャンバ構成を、図2に示されるように適用できる場合がある。当業者は、他のチャレンジの組み合わせのために多チャレンジチャンバ構成が利用されてもよく、チャンバ内で2つ以上のNAR試験/チャレンジ環境を促進する手段を組み込んでもよいことを認識する。
【0097】
多チャレンジチャンバ構成は、本発明のチャンバの実施形態であってもよい。多チャレンジチャンバ構成は、多数のNAR試験/チャレンジ曝露室、ならびに他の領域を組み込んでもよい。図2に示されるように、多チャレンジチャンバ構成の実施形態は、約40フィート×8フィートであってもよく、3つの別個の部屋、例えば刺激物質チャレンジ室20、芳香剤チャレンジ室22および共通待合/査定室24を含んでいてもよい。専用加熱、換気および空気調整システムは、必要な熱および新鮮な空気を曝露室および待合室に供給してもよい。本発明の1つの実施形態では、このような加熱、換気および空気調整システム26は、曝露室の側に位置してもよい。試験/チャレンジ曝露室と他の部屋、例えば待合室との間の相互曝露は、試験/チャレンジ曝露室における返送空気入口を密封することによって最小限にしてもよい。
【0098】
当業者は、曝露室および他の部屋の種々の構成が多チャレンジチャンバ構成に組み込まれてもよいことを認識する。
【0099】
(報告書、監査および監査報告書)
種々の報告書、監査(audit)および監査報告書が本発明によって発生し得る。これらは、例として以下のいずれかを反映していてもよい。被験者情報、チャレンジ結果、チャレンジ比較、一連のNARチャレンジ情報、被験者結果群、上述のいずれかの組み合わせ、およびいずれかの他の情報。報告書、監査および監査報告書に利用される情報は、電子またはデジタルデータ、例えばデータベースまたは別の電子記憶手段に記憶されたデータを含むいくつかのソースから取り出されてもよい。このデータベースまたは電子記憶手段は、本発明のチャンバの要素に接続されていてもよく、それによってデータがチャンバの要素から直接データベースに転送される、またはデータは手動で、例えばコンピュータまたは他のデバイス(例えばパーソナルデータデバイス)を通してデータベースに入力されてもよい。または、自動転送および手動入力のいずれかの組み合わせを利用して、データベースを追加してもよく、または電子記憶手段にデータを入力してもよい。
【0100】
例えば、NAR施設妥当性確認報告書は、個々の妥当性確認プロトコルおよび実験の結果を記載できるように得られてもよい。各妥当性確認の成功は、個々の妥当性確認プロトコルに記載されるデータ許容値基準の堅持に従って独立して評価されてもよい。NAR施設の各チャレンジの有用性、ならびにNAR施設妥当性確認の成功全体が議論されてもよい。
【0101】
NAR施設妥当性確認報告書は、妥当性確認の後に品質保証(QA)部門に監査されてもよく、QAは、完了後に最終監査報告書を発行する。
【0102】
(データ捕捉システム)
本発明から収集されたすべてのデータは、種々の形態、ログおよびソースマテリアルに文書記録されてもよい。例えば、データは、Good Documentation Practicesに順守して記録されてもよく、QA部門からのレビューおよび内部監査を受けてもよい。
【0103】
さらなる例として、設備日誌が、妥当性確認プロセスに使用されるべき設備の各部品に対して設定されてもよい。すべての設備について操作マニュアルおよび較正文書は、設備日誌に記憶されてもよい。すべての設備維持およびすべての設備に生じたサービスの詳細な要約は、同様に設備日誌に文書記録されてもよい。妥当性確認に使用される設備はすべて文書記録された維持スケジュールに供されてもよい。
【0104】
上述したように、データは、手動で、またはコンピュータ、データベース、パーソナルデータデバイス、またはいずれかの他のデータ記憶手段を含む電子および/またはデジタル手段に捕捉され、記憶されてもよい。
【0105】
次のログおよびフォームは、妥当性確認プロセスの間にデータを捕捉および記録するために使用できる報告書の例である。当業者は、他の報告書およびデータ捕捉システムが本発明に従って利用されてもよいことを認識する。
【0106】
(温度および相対湿度ログ)
ログは、内部がコンピュータ化されたセンサ、例えばComfortVIEW(商標)、および独立した温度および相対湿度センサ、例えば鏡面冷却式湿度計を用いて測定されたチャンバの温度および相対湿度を記録するために開発されてもよい。
【0107】
(空気速度ログ)
ログは、チャンバ内の空気速度を記録するために開発されてもよい。このログは、各被験者の着席位置における時間および空気速度、ならびに必要であると見なされる他の測定値を含んでいてもよい。このログは、適宜、温度および相対湿度ログの一部として組み込まれてもよい。
【0108】
(エアロゾル化酢酸ログ)
ログは、曝露施設内のエアロゾル化酢酸のレベルを記録するために開発されてもよい。このログは、時間、サンプリング位置、およびエアロゾル化酢酸のレベル、ならびに必要であると見なされた他の測定値を含んでいてもよい。
【0109】
(エアロゾル化芳香剤ログ)
ログは、曝露施設内のエアロゾル化芳香剤のレベルを記録するために開発されてもよい。このログは、時間、サンプリング位置およびエアロゾル化酢酸のレベル、ならびに必要であると見なされた他の測定値を含んでいてもよい。
【0110】
(オゾンレベルログ)
ログは、曝露施設内のオゾンレベルを記録するために開発されてもよい。このログは、時間、サンプリング位置およびオゾンレベル、ならびに必要であると見なされた他の測定を含んでいてもよい。
【実施例】
【0111】
(NAR試験シリーズ調査)
NAR試験の実施例を以下に示す。この実施例は、本発明に従って、チャンバモデルにおいてNARの多くの異なる曝露条件/トリガーを調査するために設計された調査を概要する。当業者は、この調査が一例として与えられ、本発明の他の方法およびチャンバも可能であることを認識する。
【0112】
(チャレンジ訪問)
被験者は、一連のチャレンジ訪問の最初に、医療スクリーニング訪問の少なくとも3日後に戻る。各チャレンジ訪問において、被験者は、次のトリガーの1つに曝される。冷たく乾燥した空気、温度変化、オゾン、刺激物質または芳香剤。曝露群は、いずれかの症状の回復のために十分な時間を得るために間隔をあける。すべての被験者は、被験者の報告した既往感受性に拘わらず、すべてのトリガーに曝される。被験者はまず、最も厄介であると格付けされたトリガーに曝され、続いて所定の共通する順序で残りのトリガーに曝される。各曝露チャレンジは、少なくとも3日間離される。
【0113】
各曝露チャレンジの詳細および条件選択のための合理性は次の通りである。
【0114】
(温度変化チャレンジ)
被験者は、暖かい空気条件(最大40℃)に維持されているチャンバに入室する。被験者は、暖かい空気を約1時間顔に曝され、この後チャンバ条件を素早く冷たい空気(最低4℃)に変換する。被験者は、約1時間冷たい空気に曝される。暖かい空気および冷たい空気の両方が、適度な速度(約5フィート/秒)で被験者の顔に向けられる。
【0115】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後に温度変化チャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップが温度変化チャレンジ中に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われて、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われてもよい。(5)被験者は、暖かい空気条件下のチャンバに入室する。被験者は、約1時間暖かい空気に顔を曝される。(a)鼻症状の合計スコア(「TNSS」)は、チャンバにエントリーする前およびチャンバエントリー後5、10、15、20、25、30、45および60分にて被験者から得られる。(b)VAS測定は、冷たい空気条件が達成される直前およびエントリー後30および60分にて収集される。(c)鼻分泌物は、暖かい空気条件中、予備計量されたティッシュペーパーにて収集される。(d)チャンバの生活の質測定は、暖かい空気条件の前および後にとられる。(e)音響鼻腔計測測定は、チャンバエントリー後約30分にて行われる。(f)60分の暖かい空気TNSSダイアリーカードの完了後、音響鼻腔計測法が被験者に対して行われる。(6)60分の暖かい空気曝露の完了時、チャンバは冷たい空気条件に変換される。(a)暫定TNSSダイアリーカードは、冷たい空気条件が達成されるまで温度変換プロセスの間被験者から約5分間隔で得られる。(b)TNSSは、温度変化後5、10、15、20、25、30、45および60分にて冷たい空気条件下の被験者から得られる。(c)VAS測定は、冷たい空気条件が達成される直前およびエントリー後30および60分にて収集される。(d)鼻分泌物は、冷たい空気条件中に予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(e)チャンバの生活の質測定は、冷たい空気条件下の前およびその後に行われる。(f)音響鼻腔計測測定は、冷たい空気条件開始後約30分にて行われる。(g)60分の冷たい空気TNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(7)チャンバからの退出時、被験者は、クリニックを離れる前の30分間で10分毎に後チャンバ症状査定を完了する。(8)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0116】
(オゾンチャレンジ)
被験者は、2時間まで安全なオゾン濃度に曝される。このレベルは、2時間未満の曝露に関して安全である濃度(U.S.Department of Labor,2004)として米国産業衛生専門家会議(「ACGIH」)によって記載される100万部あたり0.2部(「ppm」)の閾限度値(「TLV」)を超えない。
【0117】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後にオゾンチャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップがオゾンチャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前およびチャンバにエントリーしてから約60分後に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前に行われるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われてもよい。(5)被験者は、チャンバに入室し、最大2時間まで、安全な濃度にてオゾンに曝される。(a)TNSSは、チャンバにエントリーする前、およびチャンバエントリー後5、10、15、30、45、60、75、90、105および120分にて被験者から得られる。(b)VAS測定は、チャンバエントリーの前、およびエントリー後30、60、90および120分にて収集される。(c)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(d)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(e)120分のTNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(6)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0118】
(刺激物質チャレンジ)
被験者は、安全な濃度のエアロゾル化酢酸に約15分間曝される。曝露濃度は約15分間の最大曝露に関して安全な濃度(U.S.Department of Labor,2007)としてACGIHによって同定される15ppmの閾限度値−短期間曝露限度(「TLV−STEL」)を超えない。
【0119】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後に刺激物質チャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップが刺激物質チャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、排除基準に特定されるような必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、曝露施設にエントリーする前に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われてもよい。(5)被験者は、エアロゾル化酢酸に約15分間曝露される曝露施設に入室する。(6)TNSSは、曝露施設へのエントリー前およびエントリー後5、10および15分にて得られる。(7)視覚アナログスケール(「VAS」)測定は、チャンバエントリーの前およびエントリー後15分にて収集される。(8)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(a)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(9)15分のTNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(10)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0120】
(芳香剤チャレンジ)
被験者は、一般に曝露に許容されるレベルにて市販のエアロゾル化芳香剤に約30分間曝される。
【0121】
曝露チャレンジの間、被験者はTNSSを用いて鼻炎症状について査定される。被験者は、曝露の前および後に音響鼻腔計測を用いて鼻腔開存性を査定される。より長い期間のチャレンジは、曝露の間の時点で音響鼻腔計測が行われる。被験者はまた、NARトリガーへの曝露前および曝露後にバイオマーカーレベルを決定するためにフィルター紙を介して鼻分泌物の収集が行われ、鼻分泌物は、収集されて計量される。
【0122】
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後に芳香剤チャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップが芳香剤チャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、排除基準に特定されるような、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われる。(5)被験者は、エアロゾル化芳香剤に約30分間曝露される曝露施設に入室する。(6)TNSSは、チャンバへのエントリー前およびエントリー後5、10、15および30分にて被験者から得られる。(7)VAS測定は、チャンバエントリーの前およびエントリー後30分にて収集される。(8)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(9)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(10)30分のTNSSダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(11)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0123】
(冷たく乾燥した空気チャレンジ「CDA」)
被験者は、前回の訪問から少なくとも3日後にCDAチャレンジに出席しなければならない。次を含むいくつかのステップがCDAチャレンジの間に行われてもよい。(1)被験者は、最後の訪問以来の健康変化および併用薬剤の使用について質問され得る。(2)併用薬剤の使用は、必要な排除期間に関して適格であると査定されてもよい。被験者は、必要な排除期間の間に薬剤を禁止される必要はない。(3)音響鼻腔計測法手順は、チャンバにエントリーする前およびチャンバエントリーから約30分後に行われる。(4)鼻バイオマーカー収集は、チャンバにエントリーする前であるが、音響鼻腔計測手順が行われた後に行われ、後チャンバ音響鼻腔計測測定の完了時に再び行われる。(5)被験者は、チャンバにエントリーする前に少なくとも30分間標準の室温に気候順応させられなければならない。(6)被験者は、冷たく乾燥した空気に約1時間曝露されるためにチャンバに入室する。(a)TNSSは、チャンバへのエントリー前および次いでチャンバエントリー後5、10、15、20、25、30、45および60分にて被験者から得られる。(b)VAS測定は、冷たい空気条件に到達する直前ならびにエントリー後30および60分にて収集される。(c)鼻分泌物は、チャンバ曝露の間、予備計量されたティッシュペーパー上に収集される。(d)チャンバの生活の質測定は、チャンバ曝露前および曝露後に行われる。(e)最終的なダイアリーカードの完了時、音響鼻腔計測が被験者に対して行われる。(f)チャンバ退出時、被験者は、30分にわたって10分毎に後チャンバ症状査定を完了させる。(7)被験者は、クリニックから退去する前に健康の変化について質問される。
【0124】
(NAR後試験)
以下に、予備NAR試験から誘導される実施例の結果を示す。当業者は、このような結果が一例としてのみ与えられ、本発明の範囲を限定しないことを認識する。
【0125】
全体的な結果:種々のチャレンジに関するターゲット条件のすべては、空間的および時間的に均一な様式で達成され、維持された。静的CDAチャレンジは、<14℃、≦15%相対湿度(RH)にて、空気速度<10フィート/秒で1時間維持された。第2の温度チャレンジは、30〜40℃、<40%相対湿度で1時間、続いて<14℃、<40%RHでさらに1時間の動的温度条件を含んでいたが、両方の条件で空気速度は<10フィート/秒であった。芳香剤チャレンジは、30分間、揮発性構成要素に関して100万部あたりの目標とされる部(ppm)レベルを達成および維持するために市販の噴霧器を利用したが、刺激物質チャレンジはエアロゾル化酢酸を利用し、短期間、安全な目標ppm範囲を維持することを妥当性確認した。オゾンチャレンジは、周囲温度においてppm単位で測定される場合に安全なオゾンレベルでチャンバを飽和するように設計され、2時間維持された。すべての試験は、2回ずつ繰り返された。
【0126】
結論:NARモデルは、新規で安全なおよび非常に制御された環境であり、ここでNAR被験者は、推定NAR治療の有効性を試験するために、鍵となる環境トリガーに関して一貫して安心してチャレンジを受けることができる。
【0127】
NAR試験の後、さらなる査定が以下を含むように行われてもよい。
【0128】
静的および動的温度シフトレジーム
以下は、本発明の静的および動的温度シフトレジーム手法の例およびひいてはその結果を提供することだけを目的として示される。当業者は、この実施例は本発明の範囲を限定しないことを認識する。
【0129】
目的:静的または暖かい空気/冷たい空気(WA/CA)動的レジームにおいて冷たく乾燥した空気(CDA)の制御された適用が、ダイアリーカード(DC)および視覚アナログスケール(VAC)を用いて主観的に、および音響鼻腔計測を用いて客観的に測定される場合に、鼻症状の顕著な増大をもたらすかどうかを査定するため。
【0130】
方法:少なくとも1つのNARトリガーに対して自己報告された反応を有し、アレルゲンパネルに関しては陰性のSPTを有する被験者を、鼻症状を誘導するように静的(n=13)および動的(n=14)チャレンジを用いてチャレンジを受けさせた。静的CDAチャレンジは、1時間のCDA(<14℃、≦15%RH、5フィート/秒)であった。動的WA/CAチャレンジは、1時間のWA(30〜40℃、<40%RH、5フィート/秒)であり、その直後に1時間のCA(<14℃、<40%RH、5フィート/秒)であった。チャンバエントリー時、被験者を、30分間のうち5分毎、次いで1時間までは15分毎にDCにて鼻症状の合計スコア(TNSS)を格付けした。VASおよび音響鼻腔計測は、30分毎に完了した。被験者は、WAまたはCA条件それぞれの期間で、同時点においてDC、VASおよび音響鼻腔計測を完了した。
【0131】
結果:静的CDA:DC:38%、77%および92%の被験者は、それぞれ10、30および60分でTNSSが増大した。VAS:85%および77%の被験者が、それぞれ30および60分で症状が増大した。音響鼻腔計測:10/13の被験者が、平均的な断面積(MCA)においてプレチャンバレベルから30分で22%低下した(p=0.004)、6/13が、60分でMCAが18%低下した(p=0.02)。動的WA/CA:WA:DC:36%、43%および50%の被験者のTNSSが、それぞれ10、30および60分で増大した。VAS:50%および43%の被験者が、それぞれ30および60分で症状が増大した。音響鼻腔計測:MCAが、プレチャンバから30分にて9/14の被験者で18%低下し(p<0.005)、60分で11/14の被験者が21%低下した。CA:DC:57%、57%および64%の被験者TNSSがそれぞれ10、30および60分で。VAS:43%および64%の被験者の症状が、それぞれ30および60分で増大した。音響鼻腔計測:MCAは、プレチャンバレベルから、12/14の被験者において30分で14%低下し(p<0.0004)、6/14の被験者で60分にて11%低下した(p<0.01)。
【0132】
結論:チャンバにおいて、静的CDAチャレンジが、NAR被験者の顕著な鼻症状の一貫した誘導をもたらすことをまず示している。チャンバを用いるNAR被験者のCDAまたは他の関連NARトリガーに対するチャレンジは、推定NAR治療を安全に試験し、さらにはNARの機構を解明するためのロバストな臨床モデルを提供する。
【0133】
(調査1)
調査は、NARチャンバを利用し、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ、合計120分(60分の暖かい温度および60分の冷たい温度)の温度変化チャレンジ、30分の芳香剤チャレンジ、15分の刺激物質チャレンジおよび120分のオゾンチャレンジを含む種々のNARチャレンジを含んで行われた。
【0134】
調査1は、2009年の冬に行われた。参加者は、季節性アレルギー性鼻炎結膜炎の既往歴を有していなかった人、皮膚プリック試験で陰性と試験された人、およびNAR質問書に対して陽性の応答を報告した人として同定した。参加者は、一連の5つのNARチャレンジに従事し、各チャレンジは互いに最小3日間間隔をあけた。
【0135】
合計37人の参加者が調査1に関与したが、これらのうち36人だけがオゾンチャレンジに従事した。各NARチャレンジにおいて、鼻症状の合計スコア(TNSS)は、種々の時点で査定された。査定は、3つの評価それぞれに関して0〜3のスケールでのポイントを含み(最大9ポイントまで)、評価は、鼻閉、鼻漏および後鼻漏を含んでいた。
【0136】
最小断面積も各NARチャレンジの間に査定された。これらの査定は、チャレンジの中間時点およびチャレンジ後に行った。音響鼻腔計測(AcR)の客観的測定は、鼻開存性または鼻閉を査定するために利用した。
【0137】
参加者は、ダイアリーカードで「0」または「陰性」スコアを<20%で有していた場合にTNSSレスポンダーとして同定された。参加者は、「0」または「陰性」スコアを≧80%で有していた場合、鼻症状の合計スコアのノンレスポンダーとして同定した。
【0138】
参加者は、左または右鼻孔のいずれかにおいて、最小断面積が≧10%低下した場合はAcRレスポンダーとして同定した。
【0139】
これらの査定の結果を図4(a)から10に示す。調査1の全体の結果は、非アレルギー性鼻炎参加者の大部分が顕著な主観的鼻症状の増大およびNARチャンバおよびNARチャレンジに対してAcRを用いた鼻開存性での顕著な客観的低下を伴って応答した。特に、NAR参加者の22%は、5つのトリガーのいずれにも応答しなかった一方で、他の参加者はすべて、1つ又は複数のトリガーチャレンジに対して非常に特異的に応答した。すべてのトリガーに応答した参加者はいなかった。これは、NAR参加者の調査のためのモデルとして本発明のNARチャンバ方法の特異性および有用性を示している。本発明の方法およびチャンバは、NAR被験者の表現型についてさらに理解するために、ならびに推定アンチNAR治療を試験するために利用されてもよい。
【0140】
図4(a)から(c)は、60分のチャレンジ期間にわたって参加者による冷たく乾燥した空気チャレンジに対する応答結果を示す。このチャレンジ過程において、冷たく乾燥した空気は循環され、NARチャンバ中の参加者に向けてもよい。参加者は、NARチャンバ内で冷たく乾燥した空気に曝された。
【0141】
図4(a)は、主観的な症状応答を示し、それは、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって生じるノンレスポンダー(試験された参加者の32%)の症状に変化がほとんどないまたは全くないことに比較して、NAR参加者の68%および51%にそれぞれ対応していたTNSSレスポンダーおよびAcRレスポンダーのTNSSのベースラインからの平均的な変化において顕著な増大を示す。グラフは、鼻症状レスポンダー40およびAcRレスポンダーにおいてTNSSのベースラインからの平均的な変化の顕著な増大があったことを示す。鼻症状のノンレスポンダーの応答は最小であった。
【0142】
図4(b)は、図4(a)の鼻症状レスポンダーに焦点を当て、個々の症状のベースラインからの平均的な変化%である鼻症状スコアにおいて顕著な増大を示す。特に3つの鼻応答、鼻水、鼻閉および後鼻漏を示す。鼻水応答42は、60分間の期間の終わりに最も広く認められることを示す。
【0143】
図4(c)は、図4(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間の中間点(30分)および60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間の終わりに、最小断面積を測定することによって決定された。冷たく乾燥した空気チャレンジの中間点におけるレスポンダーの鼻開存性の低下は、p=0.0035で鼻症状レスポンダー44、およびp<0.0001でAcRレスポンダー46の両方において統計学的に顕著であった。
【0144】
図5(a)から(c)は、参加者が温度変化チャレンジに応答する結果を示す。このチャレンジにおいて、暖かい空気を、チャレンジ期間120分のうち最初の60分間でNARチャンバに循環させ、チャレンジ期間の最後60分間は冷たい空気を循環させた。参加者は、NARチャンバ内において、暖かい空気および冷たい空気に曝された。
【0145】
図5(a)はダイアリーカードを示し、それは120分の温度変化チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示す。グラフは、暖かい空気が鼻症状レスポンダー50に関してTNSSのベースラインからの約1単位の変化および冷たい空気に応答して生じた2単位の増大を誘導したことを示す。特に温度変化チャレンジの冷たい空気期間に応答した同じ参加者は、同様に冷たく乾燥した空気チャレンジにおいても応答した。これは、冷たい空気刺激の再現性を示すものとして理解できる。
【0146】
図5(b)は、図5(a)の鼻症状レスポンダーに焦点を当てた個々の症状のベースラインからの平均的な変化%を示す。特に3つの鼻応答、鼻水、鼻閉および後鼻漏を示す。鼻水応答52は、120分のチャレンジ期間の終わりに最も広く認められることを示す。
【0147】
図5(c)は、図4(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、合計120分のチャレンジのうち、60分の暖かい空気および冷たい空気期間のそれぞれの中間点における最小断面積を測定することによって決定した。鼻開存性における最も大きな変化は、AcRレスポンダーでは、p≦0.001にて暖かい空気期間54の終わりに(合計チャレンジ期間の60分)、およびp≦O.001にて冷たい空気チャレンジ56の中間点(合計チャレンジ期間の90分)に認められた。
【0148】
図6は、調査1のNARチャレンジのうち、冷たい空気チャレンジ、温度変化チャレンジの暖かい空気期間、および温度変化チャレンジの冷たい空気期間の後、参加者から収集された鼻分泌物の量を示す。収集は、鼻症状レスポンダー60およびAcRレスポンダー62に関して示される。鼻分泌物の量の増大は、参加者の鼻漏報告の増大と一致している。
【0149】
冷たい温度チャレンジの再現性は、冷たく乾燥した空気チャレンジと温度変化チャレンジの冷たい空気期間との間で見られる。両方とも冷たい空気を含むこれらのチャレンジは、最高レベルの鼻分泌物を誘導した。この知見は、図4(b)および5(b)に示されるように、参加者が採点した高い鼻漏と一致していた。暖かい空気は鼻分泌物をほとんど引き起こさなかった。これは、図4(b)に示されるように、参加者が採点した鼻閉の増大と鼻漏の減少に一致していた。
【0150】
図7(a)から(b)は、参加者による芳香剤チャレンジに対する応答の結果を示す。このチャレンジにおいて、芳香剤はNARチャンバにて、30分のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内で芳香剤に曝された。
【0151】
図7(a)は、30分の芳香剤チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示すダイアリーカードを示す。グラフは、鼻症状レスポンダー70のベースラインからの平均的な変化における大きな増大を示し、これは他の参加者が体験したものよりも顕著に大きい。
【0152】
図7(b)は、図7(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、30分の芳香剤チャレンジ期間の終わりに最小断面積を測定することによって決定された。鼻症状レスポンダーの鼻開存性の低下はなかったが、p<0.0001にて、AcRレスポンダー72の約−19.38±2.75%の低下があった。
【0153】
図8(a)から(b)は、参加者による刺激物質チャレンジに対する応答の結果を示す。このチャレンジにおいて、顕著な臭いを有する刺激物質は、NARチャンバにて、15分のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内で刺激物質に曝された。
【0154】
図8(a)は、15分の刺激物質チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示すダイアリーカードを示す。グラフは、鼻症状レスポンダー80のベースラインからの平均的な変化における増大を示し、これは他の参加者が体験したものよりも顕著に大きい。
【0155】
図8(b)は、図8(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、15分の刺激物質チャレンジ期間の終わりに最小断面積を測定することによって決定された。鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性の変化は最小であった。しかし、AcRレスポンダー82だけを考慮した場合、p<O.0001にて、最小断面積における統計学的に顕著な低下があった。
【0156】
図9(a)から(b)は、参加者によるオゾンチャレンジに対する応答の結果を示す。このチャレンジにおいて、オゾンは、120分のチャレンジ期間にわたってNARチャンバに循環させた。参加者は、NARチャンバ内でオゾンに曝された。
【0157】
図9(a)は、120分のオゾンチャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示すダイアリーカードを示す。鼻症状レスポンダー90およびAcRレスポンダー92の両方が、このチャレンジの中間点におけるTNSSのベースラインからの平均的な変化の大きな増大を示した。TNSSのベースラインからの平均的な変化は、チャレンジの後半において安定した。
【0158】
図9(b)は、図8(a)の鼻症状レスポンダーおよびAcRレスポンダーの鼻開存性を示す。鼻開存性は、チャレンジ期間の中間点(60分)およびチャレンジ期間の終わり(120分)に最小断面積を測定することによって決定された。チャレンジの中間点におけるAcRレスポンダー94について、p<0.0001にて鼻開存性の最も大きな変化が認められた。チャレンジ期間の終わりには鼻開存性における変化は最小であった。
【0159】
図10は、一般に調査1に関する参加者のNARチャンバモデルの表現型を示す。特に、図10は、NARトリガーに対して単応答100または複応答を有するレスポンダーの分布を示す。図10に示されるように、NAR参加者の22%は、試験されたNARトリガーのいずれにも応答せず、25%がただ1つのトリガーに応答し、11%が2つのトリガーに応答し、31%が3つのトリガーに応答し、11%が4つのトリガーに応答した。すべてのトリガーに応答した参加者はいなかった。レスポンダーすべてにおいて最も共通するトリガーは、温度関連チャレンジであった。一般に図10は、NAR患者のサブセットに関してNARトリガーチャレンジの特異性を示し、このモデルは表現型患者に使用できることを示す。
【0160】
(調査2)
別の調査である調査2は、NARチャンバを利用し、冷たく乾燥した空気チャレンジおよびオゾンチャレンジを含む種々のNARチャレンジを含んで行われた。調査2は2009年12月から2010年の1月まで行った。参加者は、非アレルギー性鼻炎を患うと同定された52人と、健康な正常ボランティアの10人を含んでいた。NAR参加者は、アレルゲンパネルに対して陰性の皮膚プリック試験を有していた人、1つ又は複数のNARトリガーを報告した人、および季節性アレルギーの既往歴を有していない人を含むようにスクリーニングした。
【0161】
26人の参加者は、冷たく乾燥した空気チャレンジに関する分析に含まれた。これらの参加者は、自身のTNSSに基づく冷たく乾燥した空気チャレンジに対するレスポンダーと考えられるために選択した。TNSSは、鼻閉、鼻炎、および後鼻漏を評価した。これらの各症状は、最大12のスコアで、0〜4のスケールで評価した。TNSSのベースラインからの平均的な変化は、12中で≦4であった。
【0162】
眼症状の合計スコア(TOSS)は、痒み、湿った/流涙、および充血を含んでいた。これらの各症状は、4点スケールで格付けした(最大12点まで)。
【0163】
26人の参加者は、オゾンチャレンジに関する分析に含まれていた。これらの参加者は、自身のTNSSに基づくオゾンに対するレスポンダーであると考えられるので選択した。同様に上述したように、参加者は鼻および眼症状の両方において格付けした。
【0164】
参加者は、チャレンジ中およびチャレンジ後に査定された。特に、参加者のTNSSおよび参加者のTOSSを査定した。調査2の結果の一部を、以下および図11(a)〜14(b)に記載する。一般に、調査2は、健康な正常ボランティアは、NARチャンバにて行われたNARチャレンジのNARトリガーに対して応答しないことを示す。このことは、モデルの特異性およびアレルギー性査定手段としてのその有用性を証明している。調査2はさらに、調査1に関与した人よりも症状が生じ易い参加者から得られた結果を示し、NAR患者がこのようにしてスクリーニングできたことを示す。
【0165】
図11(a)から(b)は、冷たく乾燥した空気チャレンジを用いたTNSSに関する参加者の特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、冷たく乾燥した空気は、60分のチャレンジ期間にわたってNARチャンバに循環させた。参加者は、NARチャンバ内で冷たく乾燥した空気に曝された。特に図11(a)から(b)は、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示す、ダイアリーカードを示す。
【0166】
図11(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー110における鼻症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化における大きな増大を示す。
【0167】
図11(b)は、中央値でのライン112を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0168】
図12(a)から(b)は、冷たく乾燥した空気チャレンジに関する眼症状の合計スコアに対して参加者の特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、NARチャンバ内に冷たく乾燥した空気を60分間のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内の冷たく乾燥した空気に曝された。特に図11(a)〜(b)は、ダイアリーカードを示し、60分の冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって生じる参加者の眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を示す。
【0169】
図12(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー120における眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化の顕著な増大を示す。
【0170】
図12(b)は、中央値でのライン122を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0171】
図13(a)から(b)は、オゾンチャレンジについでのTNSSに関する参加者の特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、NARチャンバにオゾンを90分間のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内のオゾンに曝された。特に図11(a)から(b)は、ダイアリーカードを示し、90分のオゾンチャレンジ期間にわたって生じる参加者のTNSSのベースラインからの平均的な変化を示す。
【0172】
図13(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー130のTNSSのベースラインからの平均的な変化における顕著な増大を示す。
【0173】
図13(b)は、中央値でのライン132を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0174】
図14(a)から(b)は、オゾンチャレンジに関する眼症状の合計スコアに対して参加者に対する特異性の結果を示す。このチャレンジにおいて、NARチャンバ内にオゾンを90分間のチャレンジ期間にわたって循環させた。参加者は、NARチャンバ内のオゾンに曝された。特に図11(a)から(b)は、ダイアリーカードを示し、90分のオゾンチャレンジ期間にわたって生じる参加者の眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化を示す。
【0175】
図13(a)は、冷たく乾燥した空気チャレンジ期間にわたって鼻症状レスポンダー140の眼症状の合計スコアのベースラインからの平均的な変化における顕著な増大を示す。
【0176】
図13(b)は、中央値でのライン142を用いた散布図に示されるような健康な正常ボランティアからのデータを示す。
【0177】
本明細書に記載された実施形態の他の変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく実施できることを当業者は理解する。そのため他の変更が可能である。例えば、他のチャレンジが本発明の方法に組み込まれてもよい。このようなチャレンジは、種々の方法およびチャンバ構成を必要としてもよい。このようなチャレンジは、例えばカプサイシンチャレンジを含んでいてもよい。本発明の方法は、さらに、さらなる測定を組み込んでもよい。このような測定としては、1人又は複数の被験者の感受性レベルに関連した測定、例えば加熱割合、発汗応答または他の関連測定を挙げることができる。種々のセンシング手段は、このような測定を捕捉するために適用されてもよく、このような測定は、本発明の報告および結果に組み込まれてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のNARトリガー環境に被験者を曝す方法であって、
(a)1つ又は複数のNARチャレンジを選択するステップと、
(b)前記1つ又は複数のNARチャレンジのそれぞれについて、
(i)チャンバ内にNARトリガーをばら撒くことによって、前記1つ又は複数のNARトリガー環境のうち、前記NARチャレンジに対応する1つを前記チャンバ内に生じさせるステップと、
(ii)前記チャンバ内に1人又は複数の被験者を期間内、配置することによって、前記1人又は複数の被験者を前記NARトリガー環境に曝すステップと、
(iii)前記1人又は複数の被験者の前記NARトリガー環境への曝露を査定して、NARチャレンジデータを得るステップと
を行うステップと、
(c)前記1つ又は複数のNARチャレンジの前記NARチャレンジデータを評価するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記チャンバ内に前記NARトリガーをばら撒くために、NARトリガー環境ターゲットを選択するステップと、前記チャンバ内の前記1つ又は複数のNARトリガー環境を較正して、前記NARトリガー環境ターゲットが適合し且つ持続するかどうかを決定するステップとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のNARチャレンジのそれぞれに対し、前記1人又は複数の被験者を前記チャンバ内において、前記1人又は複数の被験者が最適なNARトリガー曝露を助長する位置に配置するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1人又は複数の被験者の前記NARトリガー環境への曝露を1人又は複数の調査員が査定するステップであって、前記1人又は複数の調査員が、前記チャンバに視覚的につながった観察領域に位置するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数のNARチャレンジの間、コミュニケーション手段を利用することによって1人又は複数の調査員が前記1人又は複数の被験者とコミュニケーションをとるステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
デジタルフォーマットにNARチャレンジのデータを作成するステップと、前記デジタルフォーマットの前記NARチャレンジデータを含む電子NARチャレンジデータを電子記憶手段に転送するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電子記憶手段の中の前記NARチャレンジデータにアクセスして利用することによって、報告書を得るステップを更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数のNARチャレンジを行うために、1つ又は複数のNAR環境を生じさせるチャンバであって、
(a)1つ又は複数のNAR環境発生手段によって、選択されたNARトリガーを前記チャンバ内にばら撒き、前記1つ又は複数のNAR環境が生じるように操作可能な空気処理システムと、
(b)前記チャンバ内の前記NAR環境レベルを示すように操作可能な1つ又は複数のレベル指示器と、
(c)前記チャンバ内に新鮮な空気が流れることを促進するように操作可能な1つ又は複数のファンと、
(d)前記チャンバ内に1人又は複数の被験者が位置するための1つ又は複数の場所と
を備えるチャンバ。
【請求項9】
前記空気処理システムが、前記チャンバ内から前記1つ又は複数のNAR環境の1つを除去し、前記チャンバ内で前記1つ又は複数のNARチャレンジのうちの別の1つを行うために前記チャンバ内に前記1つ又は複数のNAR環境の別の1つを発生させるように操作可能である請求項8に記載のチャンバ。
【請求項10】
前記空気処理システムが、前記1つ又は複数のNARチャレンジの間に、前記チャンバ内で前記1人又は複数の被験者が前記NARトリガーへの曝露を行うように操作可能である請求項8に記載のチャンバ。
【請求項11】
前記空気処理システムに、一体化されたシステムであるベースシステムおよび速度管システムが組み込まれている請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
前記ベースシステムが、前記チャンバ内に流入する空気の少なくとも温度、湿度および容量を制御するものである請求項11に記載のチャンバ。
【請求項13】
前記チャンバ内に空気を流入させる1つ又は複数の供給ベントと、前記チャンバ内から空気を除去する1つ又は複数の返送ベントとを更に備える請求項12に記載のチャンバ。
【請求項14】
前記速度管システムに、空気フロー発生器と、前記チャンバの少なくとも空気速度レベルを制御する1つ又は複数の速度管とが少なくとも組み込まれており、前記速度管システムが、温度調整された空気を速度制御して直接、被験者に送達するものである請求項11に記載のチャンバ。
【請求項15】
前記チャンバ内の前記被験者を、1人又は複数の調査員が視覚的に観察する観察手段を備える請求項8に記載のチャンバ。
【請求項16】
前記チャンバ内の前記1人又は複数の被験者と1人又は複数の調査員とがコミュニケーションをとるためのコミュニケーション手段を備える請求項8に記載のチャンバ。
【請求項17】
前記チャンバ内で湿度レベルが低い結果として発生する静電気を低減するために、静電気放散表面を形成するコーティングされた1つ又は複数の壁を備える請求項8に記載のチャンバ。
【請求項18】
前記1つ又は複数のレベル指示器が、1つ又は複数のセンサと、1つ又は複数のモニターと、1つ又は複数の検出器とのうちの少なくとも1つを備えるものである請求項8に記載のチャンバ。
【請求項19】
前記1つ又は複数のレベル指示器が、温度センサと、湿度センサと、二酸化炭素センサと、生体圧センサと、オゾンモニターとのうちの少なくとも1つを備え、特定のターゲットレベルに従って前記チャンバ内の前記NAR環境を評価するように操作可能である請求項8に記載のチャンバ。
【請求項20】
前記チャンバ内における被験者用の1つ又は複数の場所が、前記NARトリガーへの前記1人又は複数の被験者の最適な曝露を達成できる位置に選択され、前記1つ又は複数の場所のうちの1つ又は複数は上昇してもよい請求項8に記載のチャンバ。
【請求項1】
1つ又は複数のNARトリガー環境に被験者を曝す方法であって、
(a)1つ又は複数のNARチャレンジを選択するステップと、
(b)前記1つ又は複数のNARチャレンジのそれぞれについて、
(i)チャンバ内にNARトリガーをばら撒くことによって、前記1つ又は複数のNARトリガー環境のうち、前記NARチャレンジに対応する1つを前記チャンバ内に生じさせるステップと、
(ii)前記チャンバ内に1人又は複数の被験者を期間内、配置することによって、前記1人又は複数の被験者を前記NARトリガー環境に曝すステップと、
(iii)前記1人又は複数の被験者の前記NARトリガー環境への曝露を査定して、NARチャレンジデータを得るステップと
を行うステップと、
(c)前記1つ又は複数のNARチャレンジの前記NARチャレンジデータを評価するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記チャンバ内に前記NARトリガーをばら撒くために、NARトリガー環境ターゲットを選択するステップと、前記チャンバ内の前記1つ又は複数のNARトリガー環境を較正して、前記NARトリガー環境ターゲットが適合し且つ持続するかどうかを決定するステップとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のNARチャレンジのそれぞれに対し、前記1人又は複数の被験者を前記チャンバ内において、前記1人又は複数の被験者が最適なNARトリガー曝露を助長する位置に配置するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1人又は複数の被験者の前記NARトリガー環境への曝露を1人又は複数の調査員が査定するステップであって、前記1人又は複数の調査員が、前記チャンバに視覚的につながった観察領域に位置するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数のNARチャレンジの間、コミュニケーション手段を利用することによって1人又は複数の調査員が前記1人又は複数の被験者とコミュニケーションをとるステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
デジタルフォーマットにNARチャレンジのデータを作成するステップと、前記デジタルフォーマットの前記NARチャレンジデータを含む電子NARチャレンジデータを電子記憶手段に転送するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電子記憶手段の中の前記NARチャレンジデータにアクセスして利用することによって、報告書を得るステップを更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数のNARチャレンジを行うために、1つ又は複数のNAR環境を生じさせるチャンバであって、
(a)1つ又は複数のNAR環境発生手段によって、選択されたNARトリガーを前記チャンバ内にばら撒き、前記1つ又は複数のNAR環境が生じるように操作可能な空気処理システムと、
(b)前記チャンバ内の前記NAR環境レベルを示すように操作可能な1つ又は複数のレベル指示器と、
(c)前記チャンバ内に新鮮な空気が流れることを促進するように操作可能な1つ又は複数のファンと、
(d)前記チャンバ内に1人又は複数の被験者が位置するための1つ又は複数の場所と
を備えるチャンバ。
【請求項9】
前記空気処理システムが、前記チャンバ内から前記1つ又は複数のNAR環境の1つを除去し、前記チャンバ内で前記1つ又は複数のNARチャレンジのうちの別の1つを行うために前記チャンバ内に前記1つ又は複数のNAR環境の別の1つを発生させるように操作可能である請求項8に記載のチャンバ。
【請求項10】
前記空気処理システムが、前記1つ又は複数のNARチャレンジの間に、前記チャンバ内で前記1人又は複数の被験者が前記NARトリガーへの曝露を行うように操作可能である請求項8に記載のチャンバ。
【請求項11】
前記空気処理システムに、一体化されたシステムであるベースシステムおよび速度管システムが組み込まれている請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
前記ベースシステムが、前記チャンバ内に流入する空気の少なくとも温度、湿度および容量を制御するものである請求項11に記載のチャンバ。
【請求項13】
前記チャンバ内に空気を流入させる1つ又は複数の供給ベントと、前記チャンバ内から空気を除去する1つ又は複数の返送ベントとを更に備える請求項12に記載のチャンバ。
【請求項14】
前記速度管システムに、空気フロー発生器と、前記チャンバの少なくとも空気速度レベルを制御する1つ又は複数の速度管とが少なくとも組み込まれており、前記速度管システムが、温度調整された空気を速度制御して直接、被験者に送達するものである請求項11に記載のチャンバ。
【請求項15】
前記チャンバ内の前記被験者を、1人又は複数の調査員が視覚的に観察する観察手段を備える請求項8に記載のチャンバ。
【請求項16】
前記チャンバ内の前記1人又は複数の被験者と1人又は複数の調査員とがコミュニケーションをとるためのコミュニケーション手段を備える請求項8に記載のチャンバ。
【請求項17】
前記チャンバ内で湿度レベルが低い結果として発生する静電気を低減するために、静電気放散表面を形成するコーティングされた1つ又は複数の壁を備える請求項8に記載のチャンバ。
【請求項18】
前記1つ又は複数のレベル指示器が、1つ又は複数のセンサと、1つ又は複数のモニターと、1つ又は複数の検出器とのうちの少なくとも1つを備えるものである請求項8に記載のチャンバ。
【請求項19】
前記1つ又は複数のレベル指示器が、温度センサと、湿度センサと、二酸化炭素センサと、生体圧センサと、オゾンモニターとのうちの少なくとも1つを備え、特定のターゲットレベルに従って前記チャンバ内の前記NAR環境を評価するように操作可能である請求項8に記載のチャンバ。
【請求項20】
前記チャンバ内における被験者用の1つ又は複数の場所が、前記NARトリガーへの前記1人又は複数の被験者の最適な曝露を達成できる位置に選択され、前記1つ又は複数の場所のうちの1つ又は複数は上昇してもよい請求項8に記載のチャンバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図14(a)】
【図14(b)】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図14(a)】
【図14(b)】
【公表番号】特表2012−519502(P2012−519502A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552293(P2011−552293)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000325
【国際公開番号】WO2010/099625
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511216396)
【出願人】(511216400)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000325
【国際公開番号】WO2010/099625
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511216396)
【出願人】(511216400)
【Fターム(参考)】
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