説明

非常時用ライスペースト

【課題】非常時に利用して便利なる食品を提供する。
【解決手段】発芽玄米微粉末に対し米油を容積比5パーセントから15パーセントの範囲内にて配合し、水とともに炊きあげたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害時等の非常時に用いて便利なるライスペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の食品が災害時に利用されているが、本発明にて示すようなライスペーストは見あたらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
災害発生等による非常時には、身の安全のための避難が避けられない。一般的には学校の体育館などが避難場所としてよく利用される。非常時にても生活のための種々のことが必要であり、中でも飲食は最重要事の一つである。
従来より、カンパンやおにぎりなどが非常時の主食用として利用されてきたが、これらの食品を食するときは他に水分が必要であり、また長期保存には適さず、残ったこれらの食品の保存に苦慮するものである。インスタント麺などでは食する際に熱湯が必要であり、その準備が不能の場合も多く、長期保存に適するとともに、水や熱を必要としない非常用の食品が求められている。
本発明は以上に鑑み、非常時に特別な準備を必要とせず、誰でも簡単に摂取できる食品を提供することを目的として発明されたものであり、長期保存化も可能なる食品を得ることのできるものとして開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、発芽玄米微粉末に対し米油を容積比5パーセントから15パーセントの範囲内にて配合し、水とともに炊きあげる。本発明は以上の構成よりなる非常時用ライスペーストである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、栄養に富む発芽玄米を微粉末とし、米油とともに水にて炊きあげてペースト状とし、これをチューブ等に加熱殺菌して充填することにて、避難所にては他の食器や用具を用いずとも、だれでも簡便に食することのできる、有用なる食品を提供することができる。また、水分を多く含むために水分も同時に摂取することができ、日本人主食の米を用いた食品であって、嗜好性にも問題のない食品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明によるライスペーストの材料は、発芽玄米と米油である。
製法は、まず発芽玄米を微粉末に加工し、容積比において発芽玄米1に対し水2.5ほどの割合で混合する。さらに、米油を米粉に対し容積比において、5パーセントから15パーセントの範囲内にて添加し、攪拌後通常の炊飯と同様に炊きあげる。米微粉末のため、一般の米のような炊きあげ後の蒸らしは必要としない。炊きあげ時間はおよそ20分程度である。仕上がった状態は、いわゆるやわらかめのつきたての餅程度の流動性を有するものとなる。このままでは非常食として適さないので、殺菌済みの軟質合成樹脂製の容器に充填する。この容器としては、変形性と復元性に富むものが好ましく、例えばマヨネーズやケチャップの容器的なものが適当である。これらの容器は耐久性と変形性に富み、キャップを外して口にあてがい、容器押圧変形にて内容物が押し出されて食することができる。この容器は安価に制作でき、ショックにも強く、食器等も必要なくだれでも簡単に利用することができる。
【0007】
発芽玄米は、玄米を約1〜2日程度、32度前後のぬるま湯に浸し、1ミリメートルほどの芽が出た状態にしたものである。この発芽玄米は発芽時の酵素の働きで、玄米に元々含まれていた栄養成分が増加し、炊飯に手間を要する玄米と異なり、白米と同じように炊くことができるが、本発明ではこの発芽玄米をさらに微粉化しており、加工時間が短縮される。この発芽玄米は白米に含有されないビタミンB1やミネラルを豊富に含んでいる。
また、普通の玄米より消化吸収性に優れて甘みが多く感じられ、比較的口にしやすい食品である。さらに、血圧上昇を抑制するガンマアミノ酪酸が玄米より多く、白米の約10倍程度含有しているとされる。主成分としては、炭水化物、食物繊維、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンE、脂質、ナトリウム、ガンマオリザノール、マグネシウム、カリウム、亜鉛などである。
【0008】
一方、米油は玄米を精製した副産物である米ぬかより抽出された成分である。
この米油は、ビタミンEを多く含有し、またオレイン酸の含有比率も高い。
この米油は血中コレステロールを下げる効果が植物油で最も高い。この発芽玄米と米油双方とも米関連の材料であるため、その親和性も良好であり、これら双方の素材のブレンドにて栄養価値的にも優れた食品を得ることができる。災害時はその環境からも簡易性が求められ、本発明によるライスペーストは他の食器や用具を必要とせず、日本人の主食である米関連の食品であって、嗜好性の問題もなく適度の流動性を有して、歯の不自由な方でも容易に食することができ、利用しやすい形態の食品ということができる。また、充填前の殺菌を十分に行うことにて、長期保存性も向上するものとなる。
【0009】
以上、本発明について記したが、本発明は非常時用の食品として発明されたもので、その主眼とするところは、熱、水、電力、調理器具、食器、スプーンや箸などを一切必要とせず、だれでも簡単に栄養価の高い食品を摂取することであり、また流動食のために歯のない人でも食することができる非常用の食品を提供することにある。
従来はカンパンやおにぎり、インスタント食品などが非常時の主食用として多用されてきたが、食するときに熱や水が必要となり、その準備に手間取ったり、無理があることが多い。しかるに本発明品はこのような場合において、既述のごとくすみやかに食することができるのである。本発明の提供時においては、何らかの容器に収めて提供することが必要で、既述のごとく殺菌したマヨネーズ容器的なものに充填して提供することになる。
この容器形態では、容器を押し出して簡単に食することができ、米油を含有してなめらかに押し出すことができる。なお、本品は主食用のため、味付けは不要である。
なお、例示では米粉1に対し2.5の比率の水を加えて炊きあげるものとしたが、この比率範囲は2倍から3倍の範囲が適当である。以上のごとく、本発明にて非常時に有効なる食品を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発芽玄米微粉末に対し米油を容積比5パーセントから15パーセントの範囲内にて配合し、水とともに炊きあげたことを特徴とする非常時用ライスペースト。
【請求項2】
水の配合を、発芽玄米容積に対し、容積比にて2倍から3倍の範囲としてなる請求項1記載の非常時用ライスペースト。

【公開番号】特開2013−120(P2013−120A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146678(P2011−146678)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(504183104)
【Fターム(参考)】