説明

非接触型ICカード回収装置

【課題】 本発明は、非接触型ICカード単体、又は、クリップや紐の付いたカードホルダーなどケースに収納された状態の非接触型ICカードを投入、データ処理を経て回収する装置であり、投入からデータ処理、回収までのカード搬送に複雑な機構を省き、簡略化して信頼性の高く、安価な非接触型ICカード回収装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 ガイドの投入口11と保留部10および回収シャッター4とカード回収箱12を、上から下方に直線状に配置することで、前記非接触型ICカード9の搬送を自重で落下させ、また、保留部10を構成するシュート13の部分を、前記非接触型ICカード9とともに可動手段により相対するガイド枠8に配置されたデータ処理装置1に近接可動させ、所定のデータ処理を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で情報の読み書きが可能な、カード状の記録媒体である非接触型ICカードのデータ処理装置を備えた回収装置であって、特にカード単体または、カードホルダーに収納状態にあるカードの回収を兼ねた、非接触型ICカードの回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業や、イベント会場等、施設への入場者管理は受付登録後、登録データを書き込んだ磁気カードやICカードなど、カードでゲート通過しなければ入場できず、施設内では確認のため必要に応じてカードを提示する方法が多く実施されている。しかし、施設内から退場する時はカードを受付に返却するか、カード回収システムの不備をついて持ち去るなど、入場時に比べカード管理が徹底されていないのが一般的であった。これらは、退場時のリアルタイム処理によるカード照合チェックや回収方法などセキュリティ管理から改善の必要があり、また、回収によりカードを再利用することで経費節減の効果も期待される。このため、カードのデータ処理と回収を解決する手段として、下記文献の発明「カード回収装置を備えたカード処理装置」が提案されている。
【特許文献1】 特開2003−256777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記、入退場に使用されるカードは、リーダーライター等のデータ処理装置に、近接させる操作で簡易に検知されることから、非接触型ICカードの使用が多くなり実際に使用される状態は利用者の利便性から、ICカード単体をカードホルダー等のケースに収納し、クリップでポケットに挟み込む方法や、紐で首に掛ける方法が一般的である。カードの回収は、前記文献の発明「カード回収装置を備えたカード回収装置」が提案されているが、磁気カードやICカード単体を回収装置の搬送経路に挿入するものであり、カードホルダー等ケースに収納されている使用状態ではカードを都度取り出し、単体にしたICカードを搬送経路に挿入するため、操作に手間取りゲートなど混雑の原因となる。さらに、前記提案の装置はICカード単体を挿入口からデータ処理装置を経て、回収までを精密な回転ローラーで搬送するなど、複雑な機構を用いているため装置が高価となり、回転ローラーの摩耗など搬送装置の保守に時間と費用を継続して必要とする。
【0004】
そこで、本発明は、非接触型ICカード単体、又は、クリップや紐の付いたカードホルダーなどケースに収納された状態の非接触型ICカードを投入、データ処理を経て回収する装置であり、又、投入からデータ処理、回収までのカード搬送に複雑な機構を省き、簡略化して信頼性の高く、安価な非接触型ICカード回収装置ができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ガイドの上部に投入口を、下方に回収シャッターを備えた保留部を構成し、保留部のシュートと相対するガイド枠にデータ処理装置を配置して、さらに、回収シャッターの下部にカード回収箱を備えた非接触型ICカード回収装置において、ガイドの投入口と保留部および回収シャッターとカード回収箱を、上から下方に直線状に配置したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記、保留部を構成するシュートの部分が、可動手段により相対するガイド枠に配置されたデータ処理装置に近接可動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は次のような効果が得られる。請求項1に記載されている発明は、ガイドの投入口と保留部、さらに、回収シャッターと回収箱を上から下方へ直線状に配置することを特徴とし、単体または、クリップや紐の付いたカードホルダー等のケースに収納された非接触型ICカードを縦、横又は平面など無造作に投入できる広さを確保した投入口から投入し、縦、横または斜めに立てられる状態の空間を確保した保留部で、下方の閉じられた回収シャッターに受け止め、回収に必要なデータ処理のため、可動手段により可動する保留部を構成するシュートを介して、データ処理装置と通信が可能な所定の位置まで近接可動させる。データ処理された後、可動位置にあるシュートは元の位置に戻されることで、保留部は前記、所定の空間に保持され、回収シャッターを開き回収箱に自重で落下して回収する装置であり、本発明は前記、間口や空間が設定されたガイドの投入口と保留部、さらに、回収シャッターと回収箱を上から下方へ直線状に配置したことを特徴とするため、単体または、クリップや紐の付いたケースに収納された非接触型ICカードを自重で落下させる搬送が可能であり、搬送経路に複雑な機構を省くことができ、信頼性の高い、安価な非接触型ICカード回収装置を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載されている発明は、前記、「発明の効果」に記載した非接触型ICカード回収装置において、保留部を構成するシュート部分が可動手段により相対するガイド枠に配置されたデータ処理装置に近接可動することを特徴とし、単体または、クリップや紐の付いたカードホルダー等ケースに収納された非接触型ICカードが投入口から回収箱に回収されるまでの通過する経路は、自重により自由に落下できる空間に設定されており、保留部も、前記非接触型ICカードが下方の回収シャッターにより縦、横または斜めに立てられる状態で受け止める空間に設定されている。このため、保留部では、前記非接触型ICカードをデータ処理装置と通信が可能な所定位置に近接させる必要がある。本発明は、保留部を構成するシュート部分が可動手段により相対するガイド枠に配置されたデータ処理装置に近接可動することを特徴とするため、可動するシュートを介して、前記非接触型ICカードをデータ処理装置と通信が可能な所定位置に近接させて所定のデータ処理を可能とする。データ処理後は可動していたシュートが元の位置に復帰することで保留部は所定の空間に戻される。以上の構成により、前記非接触型ICカードの搬送経路が自重で落下する空間に保持されるため、クリップや紐の付いたカードホルダー等ケースに収納された状態で、ICカードを都度取り出す必要もなく、簡単に投入できる回収装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係わる非接触型ICカード回収装置の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。本発明の請求項1に記載する実施の形態の例は、三方を内側面で囲む形状のガイド枠8と一方を柔軟性に富む材質から成るシュート13で構成されるガイド17の上端部に、単体またはカードホルダーなど紐やクリップの付いたケースに収納された非接触型ICカード9(以下非接触型ICカード9)を縦、横又は平面など無造作に投入できる広さを確保した投入口11を設け、必要に応じてソレノイド7の作動で開閉の可能なシャッター6を設ける。ガイド17の上方の外側面にはセンサー、例えば、発光部に発光ダイオード19を受光部にフォトトランジスター20を配置し、ガイド枠8の貫通孔21を通過した発光ダイオード19の光をさえぎることで、前記、非接触型ICカード9の投入を確認し、回路上に結線されたソレノイド7を作動させ、連結しているシャッター6を閉じる。センサーはガイド17の内側で、前記非接触型ICカード9の投入を確実に検知させる必要数が設置される。投入口11から自重で落下した、前記非接触型ICカード9は、表または裏面がガイド17の下方部に設けた保留部10のガイド枠8に設置された回収に必要なデータ処理装置1と相対する位置に、さらに、縦、横または斜めに立てる状態で、ガイド17の下端部に設けた回収シャッター4により受け止められ、回収シャッター4の開放時には自重により自由に落下する広さに保留部10の空間が設定されている。これらの空間を設定するため、ガイド枠8は間口の広い投入口11から、空間の狭い下方の保留部10に向かって勾配で連接する形状が好ましい。前記、保留部10の空間に回収シャッター4で受け止められた、前記、非接触型ICカード9は、回収に必要なデータ処理のため、データ処理装置1と通信が可能な所定位置に近接させる必要があり、可動手段、例えば、保留部10のシュート13の背面に設置した、駆動モータ2で所定の角度を連結したアーム3で矢印P方向に回転するプッシャー14により、可動する保留部10を構成するシュート13を介して、データ処理装置1との間の確実な通信距離が確保される所定の位置まで近接させる。シュート13は可動するためプラスチック繊維や布製あるいはゴム製のシートなど柔軟性富み、且つ帯電防止処理のされた材料が好ましい。データ処理後にデータ処理装置1から信号により駆動モータ2の電源を回路上で切断し、可動しているシュート3が引っ張りばね15でプッシャー14とともに元の位置に戻され、保留部10は前記設定の空間に保持される。常時閉じている回収シャッター4は連結したソレノイド5で作動させ、データ処理後のデータ処理装置1からの信号で開放され、前記非接触型ICカード9の自重により落下した後、時間差で閉じると共に、閉じられていたシャッター6を開く電気回路に設定する。回収シャッター4通過した、前記非接触型ICカード9は下方に配置された回収箱12に自重で落下し回収が完了する。回収箱12の底面には落下の際の衝撃を緩衝させる目的でゴムやフェルト等のダンパー材18が敷かれている。
【0010】
以上の構成の、非接触型ICカード回収装置において、前記それぞれの間口および空間を保持したガイド17の投入口11と保留部10および回収シャッター4と回収箱12を、上から下方へ直線上に配置することで前記非接触型ICカード9の搬送を自重で落下させるため複雑な搬送機構を省くことができる。
【0011】
また、本発明は上述実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0012】
つぎに、本発明に係わる請求項2に記載する実施の形態の例は、前記、本発明の請求項1に記載する実施の形態の例で述べた構成の非接触型ICカード回収装置において、ガイド枠8とシュート13構成されるガイド17の投入口11の間口は、前記非接触型ICカード9を縦、横又は平面など無造作に投入できる広さを確保し、投入口11から自重で落下した、前記非接触型ICカード9は、表または裏面がガイド17の下方部に設けた保留部10のガイド枠8に設置された回収に必要なデータ処理装置1と相対する位置に、さらに、縦、横または斜めに立てる状態で、ガイド17の下端部に設けた回収シャッター4により受け止められ、回収シャッター4の開放時には自重により自由に落下する広さに保留部10の空間が設定されている。保留部10の空間に回収シャッター4で受け止められた、前記、非接触型ICカード9は、回収に必要なデータ処理のため、データ処理装置1と通信が可能な所定位置に近接させる必要があり、可動手段、例えば、保留部10のシュート13の背面に設置した、駆動モータ2で所定の角度を連結したアーム3で矢印P方向に回転するプッシャー14により、可動する保留部10を構成するシュート13を介して、データ処理装置1との間の確実な通信距離が確保される所定の位置まで近接させる。シュート13は可動するためプラスチック繊維や布製あるいはゴム製のシートなど柔軟性富み、且つ帯電防止処理のされた材料が好ましい。データ処理後にデータ処理装置1から信号により駆動モータ2の電源を回路上で切断し、可動しているシュート13が引っ張りばね15でプッシャー14とともに元の位置に戻され、保留部10は前記設定の空間に保持される。
【0013】
以上の構成の、非接触型ICカード回収装置において、前記ICカード9を前記保留部10を構成する部分のシュート13を介して、前記可動手段により相対するガイド枠8に配置されたデータ処理装置1に近接可動させることで、保留部10の前記設定の空間を保持させても、前記非接触型ICカードの回収のためのデータ処理を可能とする。
【0014】
また、本発明は上述実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明に係わる非接触型ICカード回収装置の構成を示す概略的縦断面図である。
【図2】 投入された非接触型ICカードを保留部で回収シャッターに受け止めた状態を示す、前記回収装置の概略的縦断面図である。
【図3】 回収シャッターに受け止められた非接触型ICカードを可動手段によりデータ処理装置に近接させた状態を示す前記回収装置の概略的縦断面図である。
【図4】 回収シャッターの開放により非接触型ICカードが回収箱に自重で落下する状態を示す前記回収装置の概略的縦断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 データ処理装置
2 駆動モータ
3 アーム
4 回転シャッター
5 ソレノイド
6 シャッター
7 ソレノイド
8 ガイド枠
9 単体またはカードホルダーなど紐やクリップの付いたケースに収納された非接触型ICカード
9a 回収された非接触型ICカード
10 保留部
11 投入口
12 回収箱
13 シュート
14 プッシャー
15 引っ張りばね
16 プッシャー
17 ガイド
18 ダンパー材
19 発光ダイオード
20 フォトトランジスター
21 貫通孔
22 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドの上部に投入口を、下方に回収シャッターを備えた保留部を構成し、保留部のシュートと相対するガイド枠にデータ処理装置を配置して、さらに、回収シャッターの下部にカード回収箱を備えた非接触型ICカード回収装置において、ガイドの投入口と保留部および回収シャッターとカード回収箱を、上から下方へ直線状に配置したことを特徴とする、非接触型ICカード回収装置。
【請求項2】
前記、保留部を構成するシュートの部分が、可動手段により相対するガイド枠に配置されたデータ処理装置に近接可動することを特徴とする、請求項1に記載の非接触型ICカード回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−195941(P2006−195941A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35080(P2005−35080)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(394004996)日本ハルコン株式会社 (7)
【Fターム(参考)】