説明

非接触給電システムの金属異物検出方法、非接触給電装置、電気機器に設けられた受電装置及び非接触給電システム

【課題】給電エリアの広い範囲において小さな金属異物の高精度に検出ができる非接触給電システムの金属異物検出方法、非接触給電装置、電気機器に設けられた受電装置及び非接触給電システムを提供する。
【解決手段】給電エリアに設けた1次コイルL1と1次側認証用コイルA1がそれぞれ異なるように配置するとともに、受電エリアに設けた2次コイルL2と2次側認証用コイルA2がそれぞれ異なるように配置されている。そして、1次コイルL1からの送電用発振信号に基づいて1次コイルL1と2次コイルL2の間の金属異物の有無検出をするとともに、1次側認証用コイルA1からの認証用発振信号に基づいて1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2の間の金属異物の有無検出をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電システムの金属異物検出方法、非接触給電装置、電気機器に設けられた受電装置及び非接触給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導方式よる非接触給電システムが種々提案されている。電磁誘導方式よる非接触給電システムは、非接触給電装置の載置面に受電装置を備えた電気機器を載置する。この状態において、非接触給電装置は、備えている送電用コイルを励磁させ、電磁誘導にて電気機器の受電装置に設けられた受電用コイルを励磁給電する。受電用コイルに発生した2次電力は、受電装置内おいて直流電源に変換される。そして、その直流電源は、電気機器の負荷の駆動電源として供給されている。
【0003】
ところで、この非接触給電システムには、金属異物を検知する金属検出装置を備え、その金属検出装置が金属異物を検出した時には給電を停止している。これは、非接触給電装置と電気機器(受電装置)との間に金属異物が介在していると、給電中に金属異物が誘導加熱されるのを防止するためである。
【0004】
この種の金属検知の方法として、非接触給電装置と受電装置との間で認証のための信号の授受を行うために設けられた非接触給電装置に設けた1次側認証用コイルと、受電装置に設けた2次側認証用コイルとを利用したものがある(例えば、特許文献1)。
【0005】
この特許文献1の検知方法は、非接触給電装置と受電装置の間に、金属異物が介在されたとき、1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の磁気結合が変化することを利用して、金属異物の有無を検知していた。つまり、金属異物が介在すると、磁気結合が小さくなり、1次側認証用コイルにて励磁される2次側認証用コイルの電磁誘導波形の振幅値は小さくなる。そして、1次側認証用コイルは、その2次側認証用コイルの変化する電磁誘導波形を負荷変調波形として入力し、その入力波形の振幅値から金属異物の有無を検知していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2011/036863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記検知方法によれば、正対している1次側認証用コイルと2次側認証用コイルの間であってその中心位置から外れた位置に小さな金属異物がある時、1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の磁気結合が小さくならなかった。その結果、高度な検知精度を望めなかった。
【0008】
また、上記特許文献1においては、給電用コイルに内側に2つの1次側認証用コイルを備えるとともに、受電用コイルに内側に2つの2次側認証用コイルを備えた非接触給電システムが開示されている。つまり、給電用コイルの中心軸に対して2つの1次側認証用コイルの中心軸がそれぞれ偏倚しているとともに、受電用コイルの中心軸に対して2つの2次側認証用コイルの中心軸がそれぞれ偏倚させた非接触給電システムが提案されている。
【0009】
この場合、正対する2つの1次側認証用コイルと2次側認証用コイルのそれぞれ中心位置に金属異物が介在されているときには、精度よく検知することができる。しかしながら、逆に、正対している給電用コイルと受電用コイルの中心位置に小さな金属異物ある時、1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の磁気結合が小さくならず、高度な検知精度を望めなかった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電エリアの広い範囲において小さな金属異物の高精度に検出ができる非接触給電システムの金属異物検出方法を提供することにある。
【0011】
さらに、この非接触給電システムの金属異物検出方法に使用される非接触給電装置、電気機器に設けられた受電装置及び非接触給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電システムの金属異物検出方法は、1つ以上の給電エリアを備え、その給電エリアに1次コイルと1次側認証用コイルを設けた非接触給電装置と、1つ以上の受電エリアを備え、その受電エリアに前記1次コイルと相対向するように2次コイルを設けるとともに、前記1次側認証用コイルと相対向するように2次側認証用コイルを設けた受電装置を有した電気機器とからなり、前記1次側認証用コイルからの認証用発振信号に基づく前記2次側認証用コイルから発振される認証信号を前記1次側認証用コイルが受信し認証した後、前記1次コイルから発振される送電用発振信号を前記2次コイルに2次電力として給電する非接触給電システムの金属異物検出方法であって、前記給電エリアに設けた1次コイルと1次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置するとともに、前記受電エリアに設けた2次コイルと2次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置し、前記1次コイルからの前記送電用発振信号に基づいて前記1次コイルと前記2次コイルの間の金属異物の有無検出をするとともに、前記1次側認証用コイルからの前記認証用発振信号に基づいて前記1次側認証用コイルと2次側認証用コイルの間の金属異物の有無検出をすることを特徴とする。
【0013】
また、上記構成において、1次コイルと2次コイルとの間の金属異物の有無検出を先に行い、金属異物の存在を検出したとき、1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の金属異物の有無検出を行わないことが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、1次コイルからの発振される送電用発振信号の発振周波数は、1次側認証用コイルから発振される認証用発振信号の発振周波数より低いことが好ましい。
【0015】
また、上記構成において、1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の金属異物の有無検出を先に行い、金属異物の存在を検出したとき、1次コイルと2次コイルとの間の金属異物の有無検出を行わないことが好ましい。
【0016】
また、上記構成において、1次側認証用コイルからの発振される認証用発振信号の発振周波数は、1次コイルから発振される送電用発振信号の発振周波数より低いことが好ましい。
【0017】
また、上記構成において、給電エリアに設けた1次コイルは、給電エリアの中央位置に配置され、給電エリアに設けた1次側認証用コイルは、直列に接続した2個の1次側認証用第1コイルと1次側認証用第2コイルとからなり、1次側認証用第1コイルと1次側認証用第2コイルを1次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置し、受電エリアに設けた2次コイルは、受電エリアの中央位置に配置され、受電エリアに設けた2次側認証用コイルは、直列に接続した2個の2次側認証用第1コイルと2次側認証用第2コイルとからなり、2次側認証用第1コイルと2次側認証用第2コイルを2次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことが好ましい。
【0018】
また、上記構成において、給電エリアに設けた1次側認証用コイルは、給電エリアの中央位置に配置され、給電エリアに設けた1次コイルは、直列に接続した2個の第1の1次コイルと第2の1次コイルとからなり、第1の1次コイルと第2の1次コイルを1次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置し、受電エリアに設けた2次側認証用コイルは、受電エリアの中央位置に配置され、受電エリアに設けた2次コイルは、直列に接続した2個の第1の2次コイルと第2の2次コイルとからなり、第2の2次コイルと第2の2次コイルを2次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことが好ましい。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置は、1つ以上の給電エリアを備え、その給電エリアに1次コイルと1次側認証用コイルを設け、1次コイルを励磁して送電用発振信号を発振し、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電するとともに、前記1次側認証用コイルから発振した認証用発振信号に基づいて、前記受電装置に設けた2次側認証用コイルからの認証用信号を受信して機器認証を行う非接触給電装置であって、前記給電エリアに設けた前記1次コイルと前記1次側認証用コイルを、その中心位置がそれぞれ異なるように配置し、前記1次コイルから発振される前記送電用発振信号に基づいて前記1次コイルと前記2次コイルとの間の磁束の変化を送電用負荷変調信号として前記1次コイルが受信し、その送電用負荷変調信号を包絡線検波し第1負荷変調波形にする第1包絡線検波回路と、前記1次側認証用コイルから発振される前記認証用発振信号に基づいて前記1次側認証用コイルと前記2次側認証用コイルとの間の磁束の変化を認証用負荷変調信号として前記1次側認証用コイルが受信し、その認証用負荷変調信号を包絡線検波し第2負荷変調波形にする第2包絡線検波回路と、前記第1包絡線検波回路の第1負荷変調波形及び前記第2包絡線検波回路の第2負荷変調波波形に入力し、前記第1負荷変調波形及び前記第2負荷変調波形に基づいて給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部とを備えたことを特徴とする。
【0020】
また、上記構成において、給電エリア毎に、給電エリアの1次コイルを励磁して2次コイルに送電用発振信号を送信する励磁回路と、給電エリアの1次側認証用コイルを励磁して2次側認証用コイルに認証用発振信号を送信する発振回路とを備えていることが好ましい。
【0021】
また、上記構成において、給電エリアに設けた1次コイルは、給電エリアの中央位置に配置され、給電エリアに設けた1次側認証用コイルは、直列に接続した2個の1次側認証用第1コイルと1次側認証用第2コイルとからなり、1次側認証用第1コイルと1次側認証用第2コイルを1次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置することが好ましい。
【0022】
また、上記構成において、給電エリアに設けた1次側認証用コイルは、給電エリアの中央位置に配置され、給電エリアに設けた1次コイルは、直列に接続した2個の第1の1次コイルと第2の1次コイルとからなり、第1の1次コイルと第2の1次コイルを1次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置することが好ましい。
【0023】
また、上記構成において、1次コイルは、1次側認証用コイルが受電装置側に近くなるように、1次側認証用コイルの下側位置に配置され、1次コイルは、同1次コイルのコイル面積より大きい磁性体に形成した上方に突出したコア部に巻回することが好ましい。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の電気機器に設けられた受電装置は、1つ以上の受電エリアを備え、その受電エリアに2次コイルを設けるとともに2次側認証用コイルを設け、非接触給電装置の1次側認証用コイルからの認証用発振信号に基づいて前記2次側認証用コイルから前記1次側認証用コイルに認証用信号を送信し、電磁誘導現象を利用して非接触給電装置の1次コイルからの送電用発振信号にて前記2次コイルに2次電力が受電される電気機器に設けられた受電装置であって、前記受電エリアに設けた前記2次コイルと前記2次側認証用コイルを、それぞれ異なるように配置し、前記2次コイルが受信した前記送電用発振信号から前記1次コイルと前記2次コイルとの間の磁束の変化に基づく変調波を生成する第1変調波信号生成回路と、前記変調波を前記1次コイルに送信するために、前記送電用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を前記変調波にて変調させて送電用負荷変調信号を生成する第1負荷変調信号生成回路と前記2次側認証用コイルが受信した前記認証用発振信号から前記1次側認証用コイルと前記2次側認証用コイルとの間の磁束の変化に基づく変調波を生成する第2変調波信号生成回路と、
前記変調波を前記1次側認証用コイルに送信するために、前記認証用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を前記変調波にて変調させて認証用負荷変調信号を生成する第2負荷変調信号生成回路とを備えたことを特徴とする。
【0025】
また、上記構成において、受電エリアに設けた2次コイルは、受電エリアの中央位置に配置され、受電エリアに設けた2次側認証用コイルは、直列に接続した2個の2次側認証用第1コイルと2次側認証用第2コイルとからなり、2次側認証用第1コイルと2次側認証用第2コイルを2次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置することが好ましい。
【0026】
また、上記構成において、受電エリアに設けた2次側認証用コイルは、受電エリアの中央位置に配置され、受電エリアに設けた2次コイルは、直列に接続した2個の第1の2次コイルと第2の2次コイルとからなり、第1の2次コイルと第2の2次コイルを2次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置することが好ましい。
【0027】
また、上記構成において、2次コイルは、2次側認証用コイルが非接触給電装置側に近くなるように、2次側認証用コイルの上側位置に配置され、2次コイルは、同2次コイルのコイル面積より大きい磁性体に形成した下方に突出したコア部に巻回することが好ましい。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電システムは、1つ以上の給電エリアを備え、その給電エリアに1次コイルと1次側認証用コイルを設けた非接触給電装置と、1つ以上の受電エリアを備え、その受電エリアに前記1次コイルと相対向するように2次コイルを設けるとともに前記1次側認証用コイルと相対向するように2次側認証用コイルを設けた受電装置を有した電気機器とからなり、前記1次側認証用コイルからの認証用発振信号に基づく前記2次側認証用コイルからの認証信号を前記1次側認証用コイルが受信し認証した後、前記1次コイルから発振される送電用発振信号を前記2次コイルに2次電力として給電する非接触給電システムであって、給電エリアに設けた1次コイルと前記1次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置し、受電エリアに設けた2次コイルと前記2次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置し、非接触給電装置は、給電エリア毎に、給電エリアの1次コイルを励磁して2次コイルに送信する送電用発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した受電装置の送電用発振信号に基づく送電用負荷変調信号を1次コイルにて受信し、その送電用負荷変調信号を包絡線検波し第1負荷変調波形にする第1包絡線検波回路と、給電エリアの1次側認証用コイルを励磁して2次側認証用コイルに送信する認証用発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した受電装置の認証用発振信号に基づく認証用負荷変調信号を受信し、その認証用負荷変調信号を包絡線検波し第2負荷変調波形にする第2包絡線検波回路とを備えた基本給電ユニット回路と、第1包絡線検波回路からの第1負荷変調絡波形及び第2包絡線検波回路からの第2負荷変調波形を入力し、第1負荷変調波波形及び第2負荷変調波形に基づいて給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部とを備え、受電装置は、2次コイルが受信した送電用発振信号から変調波を生成する第1変調波信号生成回路と、変調波を前記1次コイルに送信するために、送電用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を変調波にて変調させて送電用負荷変調信号を生成する第1負荷変調信号生成回路と、2次側認証用コイルが受信した認証用発振信号から変調波を生成する第2変調波信号生成回路と、変調波を1次側認証用コイルに送信するために、認証用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を変調波にて変調させて認証用負荷変調信号を生成する第2負荷変調信号生成回路と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、給電エリアの広い範囲において小さな金属異物の高精度に検出ができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】非接触給電システムの非接触給電装置と電気機器を示す全体斜視図。
【図2】1次コイルと1次側認証用コイルの配列状態を示す説明図。
【図3】(a)は磁性体のコア部に巻回された1次コイルを示す断面図、(b)は磁性体のコア部に巻回された1次コイルを示す平面図。
【図4】(a)は樹脂基板に固着された1次側認証用コイルを示す断面図、(b)は樹脂基板に固着された1次側認証用コイルを示す平面図。
【図5】1次コイルと1次側認証用コイルの配置関係を示す断面図。
【図6】(a)は磁性体のコア部に巻回された2次コイルを示す断面図、(b)は磁性体のコア部に巻回された2次コイルを示す下面図。
【図7】(a)は樹脂基板に固着された2次側認証用コイルを示す断面図、(b)は樹脂基板に固着された2次側認証用コイルを示す下面図。
【図8】2次コイルと2次側認証用コイルの配置関係を示す断面図。
【図9】(a)給電装置の1次コイル及び1次側認証用コイルと機器の2次コイル及び2次側認証用コイルが正対した状態を示す断面図、(b)は1次コイルの励磁に基づく磁気回路を説明する図、(c)は1次側認証用コイルの励磁に基づく磁気回路を説明する図。
【図10】給電装置と機器の電気ブロック回路図。
【図11】機器に設けた受電回路の電気ブロック回路図。
【図12】機器に設けた認証回路の電気ブロック回路図。
【図13】給電装置に設けた基本給電ユニット回路を説明するための電気ブロック回路図。
【図14】(a)は送電用発振信号の波形図、(b)は送電用負荷変調信号の波形図。
【図15】(a)は認証用発振信号の波形図、(b)は認証用負荷変調信号の波形図。
【図16】(a)は何もない時に第1包絡線検波回路が1次コイルから取得する電圧波形図、(b)は金属片がない時に第1包絡線検波回路が1次コイルから取得する電圧波形図、(c)は金属片がある時に第1包絡線検波回路が1次コイルから取得する電圧波形図。
【図17】(a)は何もない時に第2包絡線検波回路が1次側認証用コイルから取得する電圧波形図、(b)は金属片がない時に第2包絡線検波回路が1次側認証用コイルから取得する電圧波形図、(c)は金属片がある時に第2包絡線検波回路が1次側認証用コイルから取得する電圧波形図。
【図18】システム制御部の処理動作を説明するフローチャート図。
【図19】(a)は何も載置されていない状態を示す図、(b)は1次コイルとのコア部と2次コイルのコア部の間に金属片が存在する状態を示す図、(c)は1次側認証用コイルと2次側認証用コイル間に金属片が存在する状態を示す図、(d)は給電装置と機器との間に金属片が存在しない状態を示す図。
【図20】第2実施形態を説明するための給電装置の1次コイル及び1次側認証用コイルと機器の2次コイル及び2次側認証用コイルが正対した状態を示す断面図。
【図21】(a)は1次コイルが励磁された時の磁気回路を示す図、(b)は1次側認証用コイルが励磁された時の磁気回路を示す図。
【図22】第3実施形態におけるシステム制御部の処理動作を説明するフローチャート図。
【図23】別例を説明するための給電装置の1次コイル及び1次側認証用コイルと機器の2次コイル及び2次側認証用コイルが正対した状態を示す断面図。
【図24】同じく別例を説明するための断面図であって、(a)は1次コイルが励磁された時の磁気回路を示す図、(b)は1次側認証用コイルが励磁された時の磁気回路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明の非接触給電システムを具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0032】
図1に示すように、非接触給電システムは、非接触給電装置(以下、単に給電装置という)1とその給電装置1から非接触給電される電気機器(以下、単に機器という)Eを有している。
【0033】
給電装置1は、四角形の板状の筐体2を有し、その上面が平面であって機器Eを載置する載置面3を形成している。載置面3は、複数の四角形状の給電エリアAR1が区画形成され、本実施形態では、左右方向に3個、前後方向に4個並ぶように12個の給電エリアAR1が区画形成されている。
【0034】
筐体2内であって、区画形成された各給電エリアAR1に対応する位置には、図2に示すように、給電エリアAR1に収まるように1次コイルL1がそれぞれ配置されている。
各1次コイルL1は、図3(a)(b)に示すように、フェライトよりなる磁性体10に巻回されている。磁性体10は、給電エリアAR1の外形形状にあわせて四角板状に形成されている。磁性体10は、その本体部11の上面中央部にコア部12を上方に向かって突出形成させている。コア部12は、上方から見て長方形(正方形でもよい)となっている。
【0035】
1次コイルL1は、磁性体10のコア部12に巻回される。そして、コア部12に1次コイルL1を巻回した磁性体10は、筐体2内であって各給電エリアAR1に対応する位置にそれぞれ配置固定される。
【0036】
各磁性体10の上側には、1次側認証用コイルA1を接着剤にて固着した非磁性体材料よりなる樹脂製の樹脂基板SB1が配置固定されている。図4(a)(b)に示すように、樹脂基板SB1に固着された1次側認証用コイルA1は、1次側認証用第1コイルA1aと、1次側認証用第2コイルA1bの2つから構成されている。
【0037】
1次側認証用第1コイルA1aは非磁性体よりなる樹脂製の第1コアC1aに、1次側認証用第2コイルA1bは非磁性体よりなる樹脂製の1次側第2コアC1bにそれぞれ巻回されている。そして、第1コアC1aに巻回された1次側認証用第1コイルA1aと1次側第2コアC1bに巻回された1次側認証用第2コイルA1bは、樹脂基板SB1に接着剤にて固着されている。この2つの第1コイルA1a及び第2コイルA1bは、本実施形態では、給電エリアAR1を左右に2分割された領域に、上方から見て、互いに重ならずに相対配置されている。
【0038】
従って、樹脂基板SB1を、磁性体10の上側に配置固定したとき、図5に示すように、給電エリアAR1の中央部に1次コイルL1が配置され、1次側認証用第1コイルA1aと1次側認証用第2コイルA1bが左右対称位置に配置される。
【0039】
1次側認証用第1コイルA1aと1次側認証用第2コイルA1bは、直列に接続されている。そして、その直列回路に電流を流したとき、1次側認証用第1コイルA1aが形成する磁束の向きと、1次側認証用第2コイルA1bが形成する磁束の向きが、逆方向になるように巻回配置されている。
【0040】
筐体2内であって、各給電エリアAR1から外れた位置には、各給電エリアAR1の1次コイルL1(1次側認証用コイルA1)毎に設けられた基本給電ユニット回路6が実装されている。1次コイルL1毎に設けられた基本給電ユニット回路6は、対応する1次コイルL1を単独でまたは他の1次コイルL1と協働して励磁駆動し、給電エリアAR1に載置された機器Eに対して非接触給電をするようになっている。
【0041】
また、基本給電ユニット回路6は、対応する1次側認証用コイルA1を励磁駆動し、載置面3に載置した機器Eとの間で無線通信にてデータ・情報の授受を行うとともに、給電エリアAR1に載置された金属異物を検出するようになっている。
【0042】
筐体2内であって、各基本給電ユニット回路6の隣接した位置には、各基本給電ユニット回路6を統括制御するシステム制御部52及びこれらに駆動電源を供給する電源回路51が回路基板に実装されている。
【0043】
一方、給電装置1から電磁誘導で給電を受ける機器Eは、その筐体5の下面に給電装置1の給電エリアAR1に対する受電エリアAR2を形成し、その筐体5内に2次コイルL2を有している。2次コイルL2は、給電エリアAR1毎に設けた1次コイルL1と同一形状に形成されている。
【0044】
2次コイルL2は、図6(a)(b)に示すように、フェライトよりなる磁性体20に巻回されている。磁性体20は、外形が本実施形態では、受電エリアAR2にあわせて四角板状に形成されている。磁性体20は、その本体部21の下面中央部にコア部22を上方に向かって突出形成させている。コア部22は、下方から見て長方形(正方形でもよい)となっている。そして、コア部22に2次コイルL2を巻回した磁性体20は、機器Eの筐体5内に配置固定される。
【0045】
機器Eは、その筐体5内であって、磁性体20下側には、2次側認証用コイルA2を接着剤にて固着した非磁性体よりなる樹脂製の樹脂基板SB2が配置固定されている。図7(a)(b)に示すように、樹脂基板SB2に固着された2次側認証用コイルA2は、2次側認証用第1コイルA2aと、2次側認証用第2コイルA2bの2つから構成されている。
【0046】
2次側認証用第1コイルA2aは非磁性体よりなる樹脂製の2次側第1コアC2aに、2次側認証用第2コイルA2bは非磁性体よりなる樹脂製の2次側第2コアC2bにそれぞれ巻回されている。そして、2次側第1コアC2aに巻回された2次側認証用第1コイルA2aと2次側第2コアC2bに巻回された2次側認証用第2コイルA2bは、樹脂基板SB2に接着剤にて固着されている。この2つの2次側認証用第1コイルA2aと2次側認証用第2コイルA2bは、本実施形態では、下方から見て、互いに重ならずに左右方向に配置されている。
【0047】
従って、樹脂基板SB2を、磁性体20の下側に配置固定したとき、図8に示すように、受電エリアAR2の中央部に2次コイルL2が配置され、2次側認証用第1コイルA2aと2次側認証用第2コイルA2bが左右対称位置に配置される。
【0048】
2次側認証用第1コイルA2aと2次側認証用第2コイルA2bは、直列に接続されている。そして、その直列回路に電流を流したとき、2次側認証用第1コイルA2aが形成する磁束の向きと、2次側認証用第2コイルA2bが形成する磁束の向きが、逆方向になるように巻回配置されている。
【0049】
なお、2次コイルL2は、1次コイルL1と同一形状をしている。また、2次側認証用第1コイルA2a及び2次側認証用第2コイルA2bは、給電装置1の給電エリアAR1毎に設けた1次側認証用第1コイルA1a及び1次側認証用第2コイルA1bとそれぞれ同一形状に形成されている。
【0050】
従って、図9(a)に示すように、機器Eの受電エリアAR2と給電装置1の給電エリアAR1が相対向すると、1次コイルL1のコア部12と2次コイルL2のコア部22が一致する。また、1次側認証用第1コイルA1aの第1コアC1aと2次側認証用第1コイルA2aの第1コアC2aが一致する。さらに、1次側認証用第2コイルA1bの第2コアC1bと2次側認証用第2コイルA2bの第2コアC2bが一致する。
【0051】
ちなみに、受電エリアAR2と給電エリアAR1が相対向した状態で、1次コイルL1を励磁すると、図9(b)に示す磁束Φaからなる磁気回路が形成される。また、受電エリアAR2と給電エリアAR1が相対向した状態で、1次側認証用コイルA1を励磁すると、図9(c)に示す磁束Φbからなる磁気回路が形成される。
【0052】
次に、給電装置1と機器Eの電気的構成を図10に従って説明する。
(機器E)
まず、機器Eについて説明する。図10において、機器Eは、受電回路30と認証回路40を有している。受電回路30は、2次コイルL2と接続され、給電装置1からの送電用発振信号Φ1(図14(a)参照)を2次コイルL2が電磁誘導にて2次電力として受電する。認証回路40は、2次側認証用コイルA2と接続され、給電装置1からの認証のための認証用発振信号Φ2(図15(a)参照)を受信する。
【0053】
(受電回路30)
受電回路30は、図11に示すように、第1整流回路31、DC/DCコンバータ回路32、第1マルチバイブレータ33、第1負荷変調回路34、2次側マイクロコンピュータ35を有している。
【0054】
第1整流回路31は、2次コイルL2と接続されている。第1整流回路31は、給電装置1の1次コイルL1からの送電用発振信号Φ1による電磁誘導にて2次コイルL2が励磁給電された2次電力をリップルのない直流電圧に変換する。
【0055】
なお、送電用発振信号Φ1は、図14(a)に示すように振幅値及び周波数が一定の正弦波である。
DC/DCコンバータ回路32は、第1整流回路31にて生成された直流電圧を、所望の電圧にDC/DC変換し、そのDC/DC変換した直流電圧を機器Eの負荷Zに供給する。
【0056】
ここで、負荷Zは、2次コイルL2にて発生する2次電力で駆動する機器であればよい。例えば、DC/DC変換した直流電源を使って該負荷Zを載置面3上で駆動する機器であったり、2次電力をそのまま交流電源として使って該負荷Zを載置面3上で駆動する機器であったりしてもよい。また、DC/DC変換した直流電源を使って内蔵する充電池(2次電池)を充電する機器であってもよい。
【0057】
第1マルチバイブレータ33は、公知の無安定マルチバイブレータにて構成され、第1整流回路31にて生成した直流電圧が2次側マイクロコンピュータ35とともに駆動電源として使用されている。第1マルチバイブレータ33は、2次側マイクロコンピュータ35からの制御信号に基づいて発振動作し、第1オン・オフ信号MP1を第1負荷変調回路34に出力する。
【0058】
第1負荷変調回路34は、図11に示すように、出力端子が、2次コイルL2の一端に接続されている。そして、第1負荷変調回路34は、第1オン・オフ信号MP1がオンの時、2次コイルL2の一端を第1負荷変調回路34内に設けた抵抗(図示せず)を介してグランドに接続する。反対に、第1負荷変調回路34は、第1オン・オフ信号MP1がオフの時、2次コイルL2の一端をグランドと非接続にする。
【0059】
従って、2次コイルL2の一端が第1負荷変調回路34の抵抗を介してグランドに接続される時、第1整流回路31に流れ込む電流の一部が、グランドに流れるようにしている。反対に、2次コイルL2の一端がグランドに対して第1負荷変調回路34にて非接続されている時、2次コイルL2からの電流が、全て第1整流回路31に流れる。
【0060】
その結果、第1オン・オフ信号MP1によって、送電用発振信号Φ1に基づいて、2次コイルL2の両端子間を流れる2次電流が変化されることになる。この2次電流の変化によって、2次コイルL2が放射する磁束が変化し、その変化した磁束は1次コイルL1に電磁誘導として伝播し、1次コイルL1に流れる1次電流を変化させる。
【0061】
つまり、第1オン・オフ信号MP1によって、2次コイルL2の両端子間を流れる電流(送電用発振信号Φ1に基づいて)は、図14(b)に示す送電用負荷変調信号Φm1に振幅変調(負荷変調)される。そして、その送電用負荷変調信号Φm1は、2次コイルL2から1次コイルL1に送信される。
【0062】
換言すると、2次コイルL2が受信する送電用発振信号Φ1はキャリア信号を構成する。そして、そのキャリア信号(送電用発振信号Φ1)の振幅を、第1オン・オフ信号MP1にて変調することによって、図14(b)に示す送電用負荷変調信号Φm1が生成される。
【0063】
(認証回路40)
認証回路40は、図12に示すように、第2整流回路41、第2マルチバイブレータ42及び第2負荷変調回路43を有している。
【0064】
第2整流回路41は、2次側認証用コイルA2と接続されている。第2整流回路41は、給電装置1の1次側認証用コイルA1からの認証用発振信号Φ2による電磁誘導にて2次側認証用コイルA2が受電した2次電力をリップルのない直流電圧に変換する。
【0065】
なお、認証用発振信号Φ2は、図15(a)に示すように振幅値及び周波数が一定の正弦波である。
第2マルチバイブレータ42は、公知の無安定マルチバイブレータにて構成され、第2整流回路41にて生成した直流電圧が駆動電源として印加される。第2マルチバイブレータ42は、第2整流回路41からの直流電圧が印加されると発振動作し、第2オン・オフ信号MP2を第2負荷変調回路43に出力する。
【0066】
第2負荷変調回路43は、図12に示すように、出力端子が、2次側認証用コイルA2の一端に接続されている。そして、第2負荷変調回路43は、第2オン・オフ信号MP2がオンの時、2次側認証用コイルA2の一端を第2負荷変調回路43内に設けた抵抗(図示せず)を介してグランドに接続する。反対に、第2負荷変調回路43は、第2オン・オフ信号MP2がオフの時、2次側認証用コイルA2の一端をグランドと非接続にする。
【0067】
従って、2次側認証用コイルA2の一端が第2負荷変調回路43の抵抗を介してグランドに接続される時、第2整流回路41に流れ込む電流の一部が、グランドに流れるようにしている。反対に、2次側認証用コイルA2の一端がグランドに対して第2負荷変調回路43にて非接続されている時、2次側認証用コイルA2からの電流が、全て第2整流回路41に流れる。
【0068】
その結果、第2オン・オフ信号MP2によって、認証用発振信号Φ2に基づいて、2次側認証用コイルA2の両端子間を流れる2次電流が変化されることになる。この2次電流の変化によって、2次側認証用コイルA2が放射する磁束が変化し、その変化した磁束は1次側認証用コイルA1に電磁誘導として伝播し、1次側認証用コイルA1に流れる1次電流を変化させる。
【0069】
つまり、第2オン・オフ信号MP2によって、2次側認証用コイルA2の両端子間を流れる電流(認証用発振信号Φ2に基づいて)は、図15(b)に示す認証用負荷変調信号Φm2に振幅変調(負荷変調)される。そして、その認証用負荷変調信号Φm2は、2次側認証用コイルA2から1次側認証用コイルA1に送信される。
【0070】
換言すると、2次側認証用コイルA2が受信する認証用発振信号Φ2はキャリア信号を構成する。そして、そのキャリア信号(認証用発振信号Φ2)の振幅を、第2オン・オフ信号MP2にて変調することによって、図15(b)に示す認証用負荷変調信号Φm2が生成される。
(給電装置)
次に、給電装置1について説明する。図10に示すように、給電装置1は、共通ユニット部50と基本ユニット部60を有している。
(共通ユニット部50)
共通ユニット部50は、電源回路51、基本ユニット部60を統括制御するシステム制御部52を備えている。電源回路51は、整流回路及びDC/DCコンバータを有し、外部から商用電源を入力して整流回路にて整流する。電源回路51は、整流した直流電圧をDC/DCコンバータにて所望の電圧に変換した後、その直流電圧を駆動電源としてシステム制御部52及び基本ユニット部60に出力する。システム制御部52は、マイクロコンピュータよりなり、基本ユニット部60を統括制御する。
(基本ユニット部60)
基本ユニット部60は、各給電エリアAR1(各1次コイルL1)に対して設けられた複数の基本給電ユニット回路6から構成されている。そして、各基本給電ユニット回路6は、システム制御部52との間でデータの授受を行い、システム制御部52にて制御されている。
【0071】
各基本給電ユニット回路6は、その回路構成が同じであるため説明の便宜上、1つの基本給電ユニット回路6について、図13に従って説明する。
図13に示すように、基本給電ユニット回路6は、1次コイル駆動制御回路61、1次側認証用コイル駆動発振回路62、第1包絡線検波回路63及び第2包絡線検波回路64を有している。
(1次コイル駆動制御回路61)
1次コイル駆動制御回路61は、1次コイルL1と接続されている。1次コイル駆動制御回路61は、システム制御部52からの第1励磁制御信号CT1を入力し、第1励磁制御信号CT1に基づいて1次コイルL1を駆動励磁する。
【0072】
1次コイル駆動制御回路61は、本実施形態ではフルブリッジ回路を含む。そして、1次コイル駆動制御回路61は、システム制御部52からの第1励磁制御信号CT1に基づいて1次コイルL1を予め定めた周波数(例えば、140kHz)で駆動励磁させ、同1次コイルL1から送電用発振信号Φ1を発振させる。
(1次側認証用コイル駆動発振回路62)
1次側認証用コイル駆動発振回路62は、1次側認証用コイルA1と接続されている。1次側認証用コイル駆動発振回路62は、システム制御部52からの第2励磁制御信号CT2を入力し、第2励磁制御信号CT2に基づいて1次側認証用コイルA1を駆動励磁する。
【0073】
1次側認証用コイル駆動発振回路62は、本実施形態ではコルピッツ発振回路を含む。そして、1次側認証用コイル駆動発振回路62は、システム制御部52からの第2励磁制御信号CT2に基づいて1次側認証用コイルA1を予め定めた周波数(例えば、2〜3MHz)で駆動励磁させ、同1次側認証用コイルA1から認証用発振信号Φ2を発振させる。つまり、1次側認証用コイル駆動発振回路62は、送電用発振信号Φ1より高い周波数の認証用発振信号Φ2を1次側認証用コイルA1から送信する。
(第1包絡線検波回路63)
第1包絡線検波回路63は、1次コイルL1に接続されている。第1包絡線検波回路63は、1次コイルL1に流れる電流を検出し、その検出電流を第1電圧波形Vx1(図16参照)に変換する。そして、第1包絡線検波回路63は、その第1電圧波形Vx1を包絡線波形にし、第1負荷変調波形Ve1としてシステム制御部52に出力する。
【0074】
ここで、載置面3(給電エリアAR1)にないも載置されていない時、1次コイルL1は、機器E(2次コイルL2)との磁気結合がないことから、図14(a)に示す送電用発振信号Φ1を送信する。
【0075】
この時、第1包絡線検波回路63が取り込む第1電圧波形Vx1は、送電用発振信号Φ1に基づく図16(a)に示す正弦波波形となる。この時、第1電圧波形Vx1の振幅値は最大となる。
【0076】
また、載置面3に機器E(及び/又は金属片M)が載置され時、1次コイルL1と2次コイルL2(及び/又は金属片M)が空間的に磁気結合されることによって、1次コイルL1からみたインピーダンスが大きくなる。
【0077】
この時、1次コイルL1は、2次コイルL2から送電用負荷変調信号Φm1を受信することから、第1包絡線検波回路63が取り込む第1電圧波形Vx1は、図16(b)(c)に示す送電用負荷変調信号Φm1に基づく電圧波形となる。
【0078】
詳述すると、1次コイルL1と2次コイルL2との間に金属片Mがない場合には、図16(b)に示す、第1電圧波形Vx1となる。一方、1次コイルL1と2次コイルL2との間に金属片Mがある場合には、図16(c)に示す第1電圧波形Vx1となる。
【0079】
図16(b)の第1電圧波形Vx1と図16(c)の第1電圧波形Vx1は、共に、2次コイルL2から送電用負荷変調信号Φm1に基づいて、電圧波形の振幅値はハイレベルの期間とローレベルの期間が生じる。
【0080】
ここで、図16(b)のハイレベルの振幅値Va1とローレベルの振幅値Va2の偏差Δtaとし、図16(c)のハイレベルの振幅値Vb1とローレベルの振幅値Vb2の偏差Δtbとする。このとき、偏差Δtaが偏差Δtbより大きくなる。つまり、1次コイルL1と2次コイルL2との間に、金属片Mがある場合のほうが、金属片Mがない場合に比べて第1電圧波形Vx1のハイレベルとローレベルとの偏差が小さくなる。
【0081】
これは、1次コイルL1と2次コイルL2との間に金属片Mが存在すると、1次コイルL1及び2次コイルL2における磁気結合が弱まるため、1次コイルL1は、機器E側のインピーダンスの影響を受けにくくなる。これによって、機器Eのインピーダンスの影響を大きく受けていたローレベルの振幅の変化量が、機器Eのインピーダンスの影響をあまり受けていないハイレベルの振幅の変化量よりも大きくなるからである。
【0082】
そして、第1包絡線検波回路63は、1次コイルL1に流れる電流に基づく第1電圧波形Vx1を包絡線波形にし、その包絡線波形を第1負荷変調波形Ve1に変換してシステム制御部52に出力する。
(第2包絡線検波回路64)
第2包絡線検波回路64は、1次側認証用コイルA1に接続されている。第2包絡線検波回路64は、1次側認証用コイルA1に流れる電流を検出し、その検出電流を第2電圧波形Vx2(図17参照)に変換する。そして、第2包絡線検波回路64は、その第2電圧波形Vx2を包絡線波形にし、第2負荷変調波形Ve2としてシステム制御部52出力する。
【0083】
ここで、載置面3(給電エリアAR1)にないも載置されていない時、1次側認証用コイルA1は、機器E(2次コイルL2)との磁気結合がないことから、図15(a)に示す認証用発振信号Φ2を送信する。
【0084】
この時、第2包絡線検波回路64が取り込む第2電圧波形Vx2は、認証用発振信号Φ2に基づく、図17(a)に示す正弦波波形となる。この時、第2電圧波形Vx2の振幅値は最大となる。
【0085】
また、載置面3に機器E(及び/又は金属片M)が載置され時、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2(及び/又は金属片M)が空間的に磁気結合されることによって、1次側認証用コイルA1からみたインピーダンスが大きくなる。
【0086】
この時、1次側認証用コイルA1は、2次側認証用コイルA2から認証用負荷変調信号Φm2を受信することから、第2包絡線検波回路64が取り込む第2電圧波形Vx2は、図17(b)(c)に示す認証用負荷変調信号Φm2に基づく電圧波形となる。
【0087】
詳述すると、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2との間に金属片Mがない場合には、図17(b)に示す第2電圧波形Vx2となる。一方、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2との間に金属片Mがある場合には、図17(c)に示す第2電圧波形Vx2となる。
【0088】
図17(b)の第2電圧波形Vx2と図17(c)の第2電圧波形Vx2は、共に、2次側認証用コイルA2から認証用負荷変調信号Φm2に基づいて、電圧波形の振幅値はハイレベルの期間とローレベルの期間が生じる。
【0089】
ここで、図17(b)のハイレベルの振幅値Vc1とローレベルの振幅値Vc2の偏差Δtcとし、図17(c)のハイレベルの振幅値Vd1とローレベルの振幅値Vd2の偏差Δtdとする。このとき、偏差Δtcが偏差Δtdより大きくなる。つまり、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2との間に、金属片Mがある場合のほうが、金属片Mがない場合に比べて第2電圧波形Vx2のハイレベルとローレベルとの偏差が小さくなる。
【0090】
これは、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2との間に金属片Mが存在すると、1次側認証用コイルA1及び2次側認証用コイルA2における磁気結合が弱まるため、1次側認証用コイルA1は、機器E側のインピーダンスの影響を受けにくくなる。これによって、機器Eのインピーダンスの影響を大きく受けていたローレベルの振幅の変化量が、機器Eのインピーダンスの影響をあまり受けていないハイレベルの振幅の変化量よりも大きくなるからである。
【0091】
そして、第2包絡線検波回路64は、1次側認証用コイルA1に流れる電流を第2電圧波形Vx2に変換し、その第2電圧波形Vx2を包絡線波形にし、その包絡線波形を第2負荷変調波形Ve2としてシステム制御部52に出力する。
【0092】
システム制御部52は、A/D変換回路を有し、第1及び第2包絡線検波回路63,64からの第1及び第2負荷変調波形Ve1,Ve2を入力し、同第1及び第2負荷変調波形Ve1,Ve2をA/D変換する。
【0093】
システム制御部52は、A/D変換した第1及び第2負荷変調波形Ve1,Ve2に基づいて、機器Eの有無及び金属片Mの有無の判定処理を実行する。
(作用)
次に、上記のように構成した非接触給電システムの作用を、図18の給電装置1に設けたシステム制御部52の処理動作を説明するフローチャートに従って説明する。
【0094】
今、図示しない電源スイッチがオンされて、電源回路51に商用電源が供給されると、電源回路51は、直流電圧を駆動電源としてシステム制御部52及び各基本給電ユニット回路6に出力する。
【0095】
システム制御部52は、駆動電源を入力すると、各基本給電ユニット回路6の1次コイル駆動制御回路61に第1励磁制御信号CT1を順次出力して、各1次コイルL1を一定期間励磁して送電用発振信号Φ1を発振させる(ステップS1−1)。従って、各給電エリアAR1の1次コイルL1は、順番に送電用発振信号Φ1を一定期間発振する。
【0096】
各1次コイルL1の送電用発振信号Φ1の一定期間の発振によって、システム制御部52は、各第1包絡線検波回路63から第1負荷変調波形Ve1をA/D変換して順次取得する(ステップS1−2)。
【0097】
システム制御部52は、取得したA/D変換された第1負荷変調波形Ve1の振幅値(ハイレベルの値)Vh1が予め定めた基準値Vk1より大きいかどうか判定する(ステップS1−3)。ここで、予め定めた基準値Vk1は、1次コイルL1のコア部12上になにも載置されていない時の、送電用発振信号Φ1に基づく、図16(a)に示す第1電圧波形Vx1を第1負荷変調波形Ve1にした時の振幅値(ハイレベル値)である。この基準値Vk1は、予め実験等で求め、その求めた基準値Vk1をシステム制御部52に内蔵したメモリに記憶させている。
【0098】
システム制御部52は、第1負荷変調波形Ve1の振幅値Vh1が基準値Vk1より大きいと判定すると(ステップS1−3でYES)、図19(a)に示すように、1次コイルL1のコア部12上に機器Eが載置されていないと判定する(ステップS1−4)。
【0099】
そして、システム制御部52は、各1次コイルL1のコア部12上に給電するための機器Eが載置されていないと判定すると(ステップS1−4)、電源スイッチがオフになったどうかチェックする(ステップS1−5)。
【0100】
電源スイッチがオフでない場合(ステップS1−5でNO)、システム制御部52は、ステップS1−1に戻り、ステップS1−1〜ステップS1−5の動作を繰り返し、機器Eの載置を待つ。つまり、システム制御部52は、電源スイッチがオフになるまで、各給電エリアAR1の1次コイルL1を順番に間欠励磁して送電用発振信号Φ1を発振し、給電する機器Eが載置されるのを待つ。
【0101】
一方、システム制御部52は、振幅値Vh1が基準値Vk1以下と判定したとき(ステップS1−3でNO)、図19(b)(c)(d)に示すように、1次コイルL1のコア部12上に物体(機器E)が存在するとしてステップ1−6に移る。
【0102】
ステップ1−6において、システム制御部52は、第1負荷変調波形Ve1のハイレベル値とローレベル値から偏差Δtx1を求め、その偏差Δtx1が予め定めた基準偏差Δtk1より小さいかどうか判定する。
【0103】
ここで、この基準偏差Δtk1は、1次コイルL1のコア部12と2次コイルL2のコア部22の間に金属片Mが存在する時の、図16(c)に示す第1電圧波形Vx1を第1負荷変調波形Ve1にした時のハイレベル値とローレベル値から求めた偏差Δtbである。この基準偏差Δtk1は、予め実験等で求め、その求めた基準偏差Δtk1をシステム制御部52に内蔵したメモリに記憶させている。
【0104】
そして、偏差Δtx1が基準偏差Δtk1より小さいということは、1次コイルL1のコア部12上に、金属片Mが存在しないことを意味する。反対に、偏差Δtx1が基準偏差Δtk1以上のときは、1次コイルL1のコア部12上に、金属片Mが存在していることを意味する。
【0105】
システム制御部52は、求めた偏差Δtx1が基準偏差Δtk1より小さいと判定すると(ステップS1−6でYES)、図19(b)に示すように、1次コイルL1のコア部12上に金属片Mが存在していると判定する(ステップS1−7)。そして、システム制御部52は、各1次コイルL1のいずれか1つコア部12上に金属片Mが存在すると判定すると(ステップS1−7)、ステップ1−5に移り、電源スイッチがオフになったどうかチェックする(ステップS1−5)。
【0106】
電源スイッチがオフでない場合(ステップS1−5でNO)、システム制御部52は、ステップS1−1に戻り、ステップS1−1〜S1−3,S1−6,S1−7,S1−5の動作を繰り返し、金属片Mが除去され、機器Eの載置を待つ。つまり、システム制御部52は、電源スイッチがオフになるまで、各給電エリアAR1の1次コイルL1を順番に間欠励磁して送電用発振信号Φ1を発振し、給電する機器Eが載置されるのを待つ。
【0107】
なお、この場合、金属片Mが載置された状態で、各1次コイルL1は順番に間欠励磁される。しかし、この1次コイルL1への間欠励磁駆動は、載置面3に載置された金属片Mを誘導加熱にて温度上昇させない程度の間欠励磁駆動である。
【0108】
ステップ1−6において、求めた偏差Δtx1が基準偏差Δtk1以上あると判定すると(ステップS1−6でNO)、システム制御部52は、1次コイルL1のコア部12と2次コイルL2のコア部22との間に金属片Mが存在しないと判定する。そして、システム制御部52は、図19(c)に示すように、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2の間に金属片Mが存在するかの検出するためにテップS1−8に移る。
【0109】
システム制御部52は、各基本給電ユニット回路6の1次側認証用コイル駆動発振回路62に第2励磁制御信号CT2を順次出力して、各1次側認証用コイルA1を一定期間励磁して認証用発振信号Φ2を発振させる(ステップS1−8)。従って、各給電エリアAR1の1次側認証用コイルA1(第1コイルA1a及び第2コイルA1b)は、順番に認証用発振信号Φ2を一定期間発振する。
【0110】
各1次側認証用コイルA1の認証用発振信号Φ2の一定期間の発振によって、システム制御部52は、各第2包絡線検波回路64から第2負荷変調波形Ve2をA/D変換して順次取得する(ステップS1−9)。
【0111】
続いて、システム制御部52は、取得した第2負荷変調波形Ve2のハイレベル値とローレベル値から偏差Δtx2を求め、その偏差Δtx2が予め定めた基準偏差Δtk2より小さいかどうか判定する(ステップS1−10)。ここで、この基準偏差Δtk2は、図17(c)に示す第2電圧波形Vx2を第2負荷変調波形Ve2にした時のハイレベル値とローレベル値から求めた偏差Δtdである。
【0112】
この基準偏差Δtk2は、予め実験等で求め、その求めた基準偏差Δtk2をシステム制御部52に内蔵したメモリに記憶させている。
そして、偏差Δtx2が基準偏差Δtk2より小さいということは、1次側認証用コイルA1(A1a,A1b)の1次側第1コアC1a及び1次側第2コアC1b上に、金属片Mが存在していることを意味する。反対に、偏差Δtx2が基準偏差Δtk2以上のときは、1次側認証用コイルA1(A1a,A1b)の1次側第1コアC1a及び1次側第2コアC1b上に、金属片Mが存在していないことを意味する。
【0113】
システム制御部52は、偏差Δtx2が基準偏差Δtk2より小さいと判定すると(ステップS1−10でYES)、図19(c)に示すように、1次側第1コアC1a又は1次側第2コアC1b上に金属片Mが存在すると判定する(ステップS1−11)。そして、システム制御部52は、1次側第1コアC1a又は1次側第2コアC1b上に金属片Mが存在すると判定すると(ステップS1−11)、ステップ1−5に移り、電源スイッチがオフになったどうかチェックする(ステップS1−5)。
【0114】
電源スイッチがオフでない場合(ステップS1−5でNO)、システム制御部52は、ステップS1−1に戻り、ステップS1−1〜S1−3,S1−6,S1−8〜S1−11,S1−5の動作を繰り返し、機器Eの載置を待つ。つまり、システム制御部52は、電源スイッチがオフになるまで、各給電エリアAR1の1次コイルL1及び1次側認証用コイルA1を順番に間欠励磁して、金属片Mが除去され、給電する機器Eが載置されるのを待つ。
【0115】
なお、この場合、金属片Mが載置された状態で、各1次コイルL1と同様に各1次側認証用コイルA1は順番に間欠励磁される。しかし、この1次側認証用コイルA1の間欠励磁駆動は、1次側認証用コイルA1(A1a,A1b)上に載置された金属片Mを誘導加熱にて温度上昇させない程度の間欠励磁駆動である。
【0116】
ステップ1−10において、求めた偏差Δtx2が基準偏差Δtk2以上あると判定すると(ステップS1−10でNO)、システム制御部52は、金属片Mが存在しないと判定する。詳述すると、システム制御部52は、図19(d)に示すように、1次側認証用コイルA1(A1a,A1b)と2次側認証用コイルA2(A2a,A2b)との間に金属片Mが存在しないと判定する(ステップS1−12)。
【0117】
そして、各給電エリアAR1に金属片Mが存在しないと判定されると、システム制御部52は、機器認証処理を行った後に、給電処理を実行する。
ちなみに、システム制御部52よる機器認証処理は、各1次側認証用コイルA1から認証用発振信号Φ2を順次発振させる。システム制御部52は、その発振によって、第2包絡線検波回路64から取得する第2負荷変調波形Ve2の波形パターンによって、給電可能な機器Eかどうかを認識するようになっている。
【0118】
そして、システム制御部52は、給電可能な機器Eかどうかを認識すると、機器Eが載置された給電エリアAR1の1次コイルL1を励磁してその機器Eに対して給電を行う。
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
【0119】
(1)上記実施形態によれば、給電装置1の給電エリアAR1に設けた1次コイルL1と1次側認証用コイルA1(A1a,A1b)を異なる位置に配置した。また、機器Eの受電エリアAR2に設けた2次コイルL2と2次側認証用コイルA2(A2a,A2b)を異なる位置に配置した。そして、1次コイルL1と2次コイルL2との間、及び、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2との間の両方で金属片Mの検知を可能にした。
【0120】
従って、給電エリアAR1の広い範囲で金属検知が可能となり、給電エリアAR1の広い範囲において小さな金属異物の高精度に検出ができる。
(2)上記実施形態によれば、1次側認証用コイルA1を1次側認証用第1コイルA1aと1次側認証用第2コイルA1bとし、その第1コイルA1aと第2コイルA1bを、給電エリアAR1の中央位置に配置した1次コイルL1の両側の対称位置に配置した。
【0121】
また、2次側認証用コイルA2を2次側認証用第1コイルA2aと2次側認証用第2コイルA2bとし、その第1コイルA2aと第2コイルA2bを、受電エリアAR2の中央位置に配置した2次コイルL2の両側の対称位置に配置した。
【0122】
従って、1次側認証用コイルA1の数が増えた分、給電エリアAR1の広い範囲においてより高精度に小さな金属異物の検出が可能となる。
しかも、1次コイルL1の両側の対称位置に配置した1次側認証用第1コイルA1aと1次側認証用第2コイルA1bを、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置した。これに対応して、2次コイルL2の両側の対称位置に配置した2次側認証用第1コイルA2aと2次側認証用第2コイルA2bを、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置した。
【0123】
従って、1次側認証用コイルA1を励磁した時、図9(c)に示す磁束Φbからなる磁気回路が形成され、1次コイルL1と2次コイルL2とでは検出できない範囲を検出できる。反対に、1次コイルL1を励磁した時、図9(b)に示す磁束Φaからなる磁気回路が形成され、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2とでは検出できない範囲を検出できる。
【0124】
(3)上記実施形態によれば、金属検知について、先に1次コイル駆動制御回路61で1次コイルL1から送電用発振信号Φ1を発振して1次コイルL1上に金属片Mが存在するかどうか判別した。そして、1次コイルL1上に金属片Mが存在すると判定したとき(ステップS1−6でYES)、1次側認証用コイル駆動発振回路62を駆動させ1次側認証用コイルA1から認証用発振信号Φ2を発振することなく待機状態にした。
【0125】
従って、システム制御部52はより速く待機状態に戻ることができ、システム制御部52の負荷が軽減される。
(4)上記実施形態によれば、1次コイルL1は1次側認証用コイルA1のコイル面積より広い面積の磁性体10に形成したコア部12に巻回した。また、2次コイルL2は2次側認証用コイルA2のコイル面積より広い面積の磁性体20に形成したコア部22に巻回した。
【0126】
一方、樹脂製の第1及び第2コアC1a,C1bに巻回された1次側認証用コイルA1は、樹脂基板SB1に固着した。また、樹脂製の第1及び第2コアC2a,C2bに巻回された2次側認証用コイルA2は、樹脂基板SB2に固着した。
【0127】
従って、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2の磁気結合を、磁性体10,20で強めることができる。つまり、第1及び第2コアC1a,C1b,C2a,C2b及び樹脂基板SB1,SB2を磁性体に変更したとき、1次コイルL1と2次コイルL2間の磁気結合によってその変更した磁性体に渦電流が発生し発熱する。その結果、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2の磁気結合が弱められるからである。
【0128】
○なお、第1実施形態では、1次側認証用第1コイルA1a(1次側認証用第2コイルA1b)のコイル面積と1次コイルL1のコイル面積を同じにした。これを、1次コイルL1のコイル面積のほうを大きくして実施してもよい。
【0129】
第1実施形態では、送電用発振信号Φ1の周波数を認証用発振信号Φ2よりも低く実施している。
1次コイルL1と2次コイルL2との共振回路特性においてQ値を最大にする観点から、最適なインダクタンス値にするためには送電用発振信号Φ1の周波数が低くコイルの巻き数が多くなり、結果としてコイル面積は大きくなる。従って、コイルの面積が大きくなることで、よりたくさんの磁束を鎖交することになり、より広いエリアの金属片Mの有無検知が可能なる。
【0130】
これによって、先に周波数の低い送電用発振信号Φ1で給電エリアAR1の広い範囲での金属検知を行い、その後に、周波数の高い認証用発振信号Φ2で給電エリアAR1の狭い範囲での金属検知を行うことができる。つまり、最初に給電エリアAR1の広い部分について金属検知した後、給電エリアAR1の狭い部分について検出することができる。
【0131】
従って、先に周波数の低い送電用発振信号Φ1で給電エリアAR1の広い範囲の金属片Mの検知を行って、その時点で金属片Mを検知した場合、高い周波数の認証用発振信号Φ2での金属検知を行うことなく金属検知処理フローをスキップすることができる。その結果、金属検知に要する時間をより短縮することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図20及び図21に従って説明する。
【0132】
本実施形態は、1次及び2次コイルL1,L2と1次側及び2次側認証用コイルA1,A2の構成に特徴を有している。そのため、説明の便宜上、第1実施形態と相違する部分について詳細に説明する。
【0133】
図20に示すように、本実施形態では、給電エリアAR1に設けられる1次コイルL1が1次側認証用コイルA1より上側に配置され、受電エリアAR2に設けられる2次コイルL2が2次側認証用コイルA2の下側に配置されている。
【0134】
図20において、1次側認証用コイルA1は、第1実施形態で1次コイルL1を巻回したものと同様の、フェライトよりなる磁性体10に巻回されている。磁性体10は、給電エリアAR1の外形形状にあわせて四角板状に形成されている。磁性体10は、その本体部11の上面中央部にコア部12を上方に向かって突出形成させている。コア部12は、上方から見て長方形(正方形でもよい)となっている。
【0135】
1次側認証用コイルA1は、磁性体10のコア部12に巻回される。そして、コア部12に1次側認証用コイルA1を巻回した磁性体10は、筐体2内であって各給電エリアAR1に対応する位置にそれぞれ配置固定される。
【0136】
各磁性体10の上側には、第1実施形態と同様に、1次コイルL1を接着剤にて固着した非磁性体よりなる樹脂製の樹脂基板SB1が配置固定されている。樹脂基板SB1に固着された1次コイルL1は、第1の1次コイルL1aと、第2の1次コイルL1bの2つから構成されている。
【0137】
第1の1次コイルL1aは非磁性体よりなる樹脂製の第1コアC1aに、第2の1次コイルL1bは非磁性体よりなる樹脂製の第2コアC1bにそれぞれ巻回されている。そして、第1コアC1aに巻回された第1の1次コイルL1aと第2コアC1bに巻回された第2の1次コイルL1bは、樹脂基板SB1に接着剤にて固着されている。この2つの第1の1次コイルL1a及び第2の1次コイルL1bは、本実施形態では、給電エリアAR1を左右に2分割された領域に、上方から見て、互いに重ならずに相対配置されている。
【0138】
従って、樹脂基板SB1を、磁性体10の上側に配置固定したとき、給電エリアAR1の中央部に1次側認証用コイルA1が配置され、第1の1次コイルL1aと第2の1次コイルL1bが左右対称位置に配置される。
【0139】
第1の1次コイルL1aと第2の1次コイルL1bは、直列に接続されている。そして、その直列回路に電流を流したとき、第1の1次コイルL1aが形成する磁束の向きと、第2の1次コイルL1bが形成する磁束の向きが、逆方向になるように巻回配置されている。
【0140】
2次側認証用コイルA2は、第1実施形態で2次コイルL2を巻回したものと同様の、フェライトよりなる磁性体20に巻回されている。磁性体20は、外形が本実施形態では、受電エリアAR2にあわせて四角板状に形成されている。磁性体20は、その本体部21の下面中央部にコア部22を上方に向かって突出形成させている。コア部22は、下方から見て長方形(正方形でもよい)となっている。そして、コア部22に2次側認証用コイルA2を巻回した磁性体20は、機器Eの筐体5内に配置固定される。
【0141】
機器Eは、その筐体5内であって、磁性体20下側には、2次コイルL2を接着剤にて固着した非磁性体よりなる樹脂製の樹脂基板SB2が配置固定されている。樹脂基板SB2に固着された2次コイルL2は、第1の2次コイルL2aと、第2の2次コイルL2bの2つから構成されている。
【0142】
第1の2次コイルL2aは非磁性体よりなる樹脂製の第1コアC2aに、第2の2次コイルL2bは非磁性体よりなる樹脂製の第2コアC2bにそれぞれ巻回されている。そして、第1コアC2aに巻回された第1の2次コイルL2aと第2コアC2bに巻回された第2の2次コイルL2bは、樹脂基板SB2に接着剤にて固着されている。この2つの第1の2次コイルL2aと第2の2次コイルL2bは、本実施形態では、下方から見て、互いに重ならずに左右方向に配置されている。
【0143】
従って、樹脂基板SB2を、磁性体20の下側に配置固定したとき、受電エリアAR2の中央部に2次側認証用コイルA2が配置され、第1の2次コイルL2aと第2の2次コイルL2bが左右対称位置に配置される。
【0144】
第1の2次コイルL2aと第2の2次コイルL2bは、直列に接続されている。そして、その直列回路に電流を流したとき、第1の2次コイルL2aが形成する磁束の向きと、第2の2次コイルL2bが形成する磁束の向きが、逆方向になるように巻回配置されている。
【0145】
なお、2次側認証用コイルA2は、1次側認証用コイルA1と同一形状をしている。また、第1の2次コイルL2a及び第2の2次コイルL2bは、給電装置1の給電エリアAR1毎に設けた第1の1次コイルL1a及び第2の1次コイルL1bとそれぞれ同一形状に形成されている。
【0146】
従って、図20に示すように、機器Eの受電エリアAR2と給電装置1の給電エリアAR1が相対向すると、1次側認証用コイルA1のコア部12と2次側認証用コイルA2のコア部22が一致する。また、第1の1次コイルL1aの第1コアC1aと第1の2次コイルL2aの第1コアC2aが一致する。さらに、第2の1次コイルL1bの第2コアC1bと第2の2次コイルL2bの第2コアC2bが一致する。
【0147】
そして、受電エリアAR2と給電エリアAR1が相対向した状態で、1次コイルL1を励磁すると、図21(a)に示す磁束Φcからなる磁気回路が形成される。また、受電エリアAR2と給電エリアAR1が相対向した状態で、1次側認証用コイルA1を励磁すると、図21(b)に示す磁束Φdからなる磁気回路が形成される。
【0148】
そして、このように形成された1次コイルL1及び1次側認証用コイルA1は、各給電エリアAR1に対応して設けられた基本給電ユニット回路6と電気的にそれぞれ接続されている。詳述すると、1次コイルL1は、1次コイル駆動制御回路61及び第1包絡線検波回路63に接続されている。また、1次側認証用コイルA1は、1次側認証用コイル駆動発振回路62及び第1包絡線検波回路63に接続される。
【0149】
また、このように形成された2次コイルL2は受電回路30に接続されるとともに、2次側認証用コイルA2は認証回路40に接続される。詳述すると、2次コイルL2は、第1整流回路31及び第1負荷変調回路34に接続されている。また、2次側認証用コイルA2は、第2整流回路41及び第2負荷変調回路43に接続される。
【0150】
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、システム制御部52にて各基本給電ユニット回路6を制御することで、第1実施形態で示す(1)〜(3)の効果が同様に得ることができる。
【0151】
また、本実施形態によれば、1次側認証用コイルA1は1次コイルL1のコイル面積より広い面積の磁性体10に形成したコア部12に巻回した。また、2次側認証用コイルA2は2次コイルL2のコイル面積より広い面積の磁性体20に形成したコア部22に巻回した。
【0152】
一方、樹脂製の第1及び第2コアC1a,C1bに巻回された第1及び第2の1次コイルL1a,L1bは、樹脂基板SB1に固着した。また、樹脂製の第1及び第2コアC2a,C2bに巻回された第1及び第2の2次コイルL2a,L2bは、樹脂基板SB2に固着した。
【0153】
従って、1次コイルL1と2次コイルL2の磁気結合を、磁性体10,20で強めることができる。つまり、第1及び第2コアC1a,C1b,C2a,C2b及び樹脂基板SB1,SB2を磁性体に変更したとき、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2間の磁気結合によってその変更した磁性体に渦電流が発生し発熱する。その結果、1次コイルL1と2次コイルL2の磁気結合が弱められるからである。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図22に従って説明する。
【0154】
本実施形態では、第1実施形態と相違して、先に1次側認証用コイルA1から認証用発振信号Φ2を発振させて金属片Mの検知を行った後に、1次コイルL1から送電用発振信号Φ1を発振させて、金属片Mの検知を行った点に特徴を有する。また、これにともなって、認証用発振信号Φ2の周波数を、送電用発振信号Φ1の周波数より低くした点に特徴を有する。
【0155】
従って、システム制御部52の処理動作が第1実施形態と相違する。そのため、説明の便宜上、給電装置1に設けたシステム制御部52の処理動作を説明する図22のフローチャートに従って説明する。
【0156】
システム制御部52は、駆動電源が入力されと、各基本給電ユニット回路6の1次側認証用コイル駆動発振回路62に第2励磁制御信号CT2を順次出力して、各1次側認証用コイルA1を一定期間励磁して認証用発振信号Φ2を発振させる(ステップS2−1)。各給電エリアAR1の1次側認証用コイルA2は、順番に認証用発振信号Φ2を一定期間発振する。
【0157】
各1次側認証用コイルA1の認証用発振信号Φ2の一定期間の発振によって、システム制御部52は、各第2包絡線検波回路64から第2負荷変調波形Ve2をA/D変換して順次取得する(ステップS2−2)。
【0158】
システム制御部52は、取得したA/D変換された第2負荷変調波形Ve2の振幅値(ハイレベルの値)Vh2が予め定めた基準値Vk2より大きいかどうか判定する(ステップS2−3)。ここで、予め定めた基準値Vk2は、1次側認証用コイルA1上になにも載置されていない時の、認証用発振信号Φ2に基づく、図17(a)に示す第2電圧波形Vx2を第2負荷変調波形Ve2にした時の振幅値(ハイレベル値)である。この基準値Vk2は、予め実験等で求め、その求めた基準値Vk2をシステム制御部52に内蔵したメモリに記憶させている。
【0159】
システム制御部52は、第2負荷変調波形Ve2の振幅値Vh2が基準値Vk2より大きいと判定すると(ステップS2−3でYES)、1次側認証用コイルA1上に機器Eが載置されていないと判定する(ステップS2−4)。
【0160】
そして、システム制御部52は、各1次側認証用コイルA1上に給電するための機器Eが載置されていないと判定すると(ステップS2−4)、電源スイッチがオフになったどうかチェックする(ステップS2−5)。
【0161】
電源スイッチがオフでない場合(ステップS2−5でNO)、システム制御部52は、ステップS2−1に戻り、ステップS1−1〜ステップS1−5の動作を繰り返し、機器Eの載置を待つ。
【0162】
一方、システム制御部52は、振幅値Vh2が基準値Vk2以下と判定したとき(ステップS2−3でNO)、1次側認証用コイルA1上に物体(機器E)が存在するとしてステップ2−6に移る。
【0163】
ステップ2−6において、システム制御部52は、第2負荷変調波形Ve2のハイレベル値とローレベル値から偏差Δtx2を求め、その偏差Δtx2が予め定めた基準偏差Δtk2より小さいかどうか判定する。
【0164】
システム制御部52は、求めた偏差Δtx2が基準偏差Δtk2より小さいと判定すると(ステップS2−6でYES)、1次側認証用コイルA1上に金属片Mが存在していると判定する(ステップS2−7)。そして、システム制御部52は、各1次側認証用コイルA1のいずれか1つに金属片Mが存在すると判定すると(ステップS2−7)、ステップ2−5に移り、電源スイッチがオフになったどうかチェックする(ステップS1−5)。
【0165】
電源スイッチがオフでない場合(ステップS2−5でNO)、システム制御部52は、ステップS2−1に戻り、ステップS2−1〜S2−3,S2−6,S2−7,S2−5の動作を繰り返し、金属片Mが除去され、機器Eの載置を待つ。
【0166】
ステップ2−6において、求めた偏差Δtx2が基準偏差Δtk2以上あると判定すると(ステップS2−6でNO)、システム制御部52は、1次側認証用コイルA1と2次側認証用コイルA2との間に金属片Mが存在しないと判定する。そして、システム制御部52は、1次コイルL1と2次コイルL2の間に金属片Mが存在するかの検出するためにテップS2−8に移る。
【0167】
システム制御部52は、各基本給電ユニット回路6の1次コイル駆動制御回路61に第1励磁制御信号CT1を順次出力して、各1次コイルL1を一定期間励磁して送電用発振信号Φ1を発振させる(ステップS2−8)。従って、各給電エリアAR1の1次コイルL1は、順番に送電用発振信号Φ1を一定期間発振する。
【0168】
各1次コイルL1の送電用発振信号Φ1の一定期間の発振によって、システム制御部52は、各第1包絡線検波回路63から第1負荷変調波形Ve1をA/D変換して順次取得する(ステップS2−9)。
【0169】
続いて、システム制御部52は、取得した第1負荷変調波形Ve1のハイレベル値とローレベル値から偏差Δtx1を求め、その偏差Δtx1が予め定めた基準偏差Δtk1より小さいかどうか判定する(ステップS2−10)。
【0170】
システム制御部52は、偏差Δtx1が基準偏差Δtk1より小さいと判定すると(ステップS2−10でYES)、1次コイルL1上に金属片Mが存在すると判定する(ステップS2−11)。そして、システム制御部52は、1次コイル上に金属片Mが存在すると判定すると(ステップS2−11)、ステップ2−5に移り、電源スイッチがオフになったどうかチェックする(ステップS2−5)。
【0171】
電源スイッチがオフでない場合(ステップS2−5でNO)、システム制御部52は、ステップS2−1に戻り、ステップS2−1〜S2−3,S2−6,S2−8〜S2−11,S2−5の動作を繰り返し、機器Eの載置を待つ。つまり、システム制御部52は、電源スイッチがオフになるまで、各給電エリアAR1の1次コイルL1及び1次側認証用コイルA1を順番に間欠励磁して、金属片Mが除去され、給電する機器Eが載置されるのを待つ。
【0172】
ステップ2−10において、求めた偏差Δtx1が基準偏差Δtk1以上あると判定すると(ステップS2−10でNO)、システム制御部52は、1次コイルL1と2次コイルL2)との間に金属片Mが存在しないと判定する(ステップS2−12)。
【0173】
そして、各給電エリアAR1に金属片Mが存在しないと判定されると、システム制御部52は、機器認証処理を行った後に、給電処理を実行する。
従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、システム制御部52にて各基本給電ユニット回路6を制御することで、第1実施形態で示す(1)〜(4)の効果が同様に得ることができる。
【0174】
なお、本実施形態では、1次及び2次コイルL1,L2と1次側及び2次側認証用コイルA1,A2を第1実施形態の構成に基づいてシステム制御部52を動作させた。これを、第2実施形態で説明した給電装置1の1次及び2次コイルL1,L2と機器Eの1次側及び2次側認証用コイルA1,A2に応用して実施してもよい。
【0175】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記第1実施形態では、給電装置1の磁性体10に1つの1次コイルL1を巻回するとともに、機器Eの磁性体20に1つの2次コイルL2を巻回した。
【0176】
これを、図23に示すように、第1の1次コイルL1aと第2の1次コイルL1bの2つからなる1次コイルL1を磁性体10に巻回し、第1の2次コイルL2aと第2の2次コイルL2bの2つからなる2次コイルL2を磁性体20に巻回して実施してもよい。
【0177】
磁性体10は、本体部11の上面から平面四角形状の2つのコア部12a,12bを上方に向かって突出形成させている。そして、第1の1次コイルL1aは第1コア部12aに、第2の1次コイルL1bは第2コア部12bにそれぞれ巻回する。この2つの第1及び第2の1次コイルL1a,L1bは、上方から見て、互いに重ならずに左右対称に配置されている。
【0178】
また、第1の1次コイルL1aと第2の1次コイルL1bは、直列に接続されている。そして、その直列回路に電流を流したとき、第1の1次コイルL1aが形成する磁束の向きと、第2の1次コイルL1bが形成する磁束の向きが、逆方向になるように巻回配置されている。
【0179】
磁性体20は、平面四角形状の2つのコア部22a,22bを下方に向かって突出形成させている。そして、第1の2次コイルL2aは第1コア部22aに、第2の2次コイルL2bは第2コア部22bにそれぞれ巻回する。この2つの第1及び第2の2次コイルL2a,L2bは、下方から見て、互いに重ならずに左右対称に配置されている。
【0180】
また、第1の2次コイルL2aと第2の2次コイルL2bは、直列に接続されている。そして、その直列回路に電流を流したとき、第1の2次コイルL2aが形成する磁束の向きと、第2の2次コイルL2bが形成する磁束の向きが、逆方向になるように巻回配置されている。
【0181】
一方、この場合、給電装置1の1次側認証用コイルA1は、1つにする必要があり、その1つの1次側認証用コイルA1は、上方から見て、左右対称に配置された第1の1次コイルL1aと第2の1次コイルL1bの中間位置に配置される。具体的には、磁性体10の上側おいて、1次側認証用コイルA1を接着剤にて固着した樹脂基板SB1が配置固定されている。1次側認証用コイルA1は非磁性体よりなる樹脂製のコアC1に巻回されている。
【0182】
また、機器Eの2次側認証用コイルA2は、1つに必要があり、その1つの2次側認証用コイルA2は、下方から見て、左右対称に配置された第1の2次コイルL2aと第2の2次コイルL2bの中間位置に配置される。具体的には、磁性体20の下側おいて、2次側認証用コイルA2を接着剤にて固着した樹脂基板SB2が配置固定されている。2次側認証用コイルA2は非磁性体よりなる樹脂製のコアC2に巻回されている。
【0183】
そして、受電エリアAR2と給電エリアAR1が相対向した状態で、1次コイルL1(L1a、L1b)を励磁すると、図24(a)に示す磁束Φeからなる磁気回路が形成される。また、受電エリアAR2と給電エリアAR1が相対向した状態で、1次側認証用コイルA1を励磁すると、図24(b)に示す磁束Φfからなる磁気回路が形成される。
【0184】
これによって、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
○上記実施形態では、載置面3に12個の給電エリアAR1を形成したが、これに限定されるものではなく、1つ以上の給電エリアAR1を備えた給電装置1に応用してもよい。
【符号の説明】
【0185】
1…給電装置(非接触給電装置)、2…筺体、3…載置面、5…筐体、6…基本給電ユニット回路、10,20…磁性体、11,21…本体部、12,22…コア部、30…受電、31…第1整流回路、32…DC/DCコンバータ回路、33…第1マルチバイブレータ(第1変調波信号生成回路)、34…第1負荷変調回路(第1負荷変調信号生成回路)、35…2次側マイクロコンピュータ、40…認証回路、41…第2整流回路、42……第2マルチバイブレータ(第2変調波信号生成回路)、43…第2負荷変調回路(第2負荷変調信号生成回路)、50…共通ユニット部、51…電源回路、52…システム制御部、60…基本ユニット部、61…1次コイル駆動制御回路(励磁回路)、62…1次側認証用コイル駆動発振回路(発振回路)、63…第1包絡線検波回路、64…第2包絡線検波回路、E…機器(電気機器)、M…金属片、Z…負荷、AR1…給電エリア、L1…1次コイル、L2…2次コイル、A1…1次側認証用コイル、A1a…1次側認証用第1コイル、A1b…1次側認証用第2コイル、A2…2次側認証用コイル、A2a…2次側認証用第1コイル、A2b…2次側認証用第2コイル、Φa〜Φf…磁束、Φ1…送電用発振信号、Φ2…認証用発振信号、Φm1…送電用負荷変調信号、Φm2…認証用負荷変調信号、CT1…第1励磁制御信号、CT2…第2励磁制御信号、MP1…第1オン・オフ信号、MP2…第2オン・オフ信号、SB1,SB2…樹脂基板、Ve1…第1負荷変調波形、Ve2…第2負荷変調波形、Vx1…第1電圧波形、Vx2…第2電圧波形、C1a,C2a…第1コア、C1b,C2b…第2コア、Δta〜Δtd,Δtx1,Δtx2…偏差、Δtk1,Δtk2…基準偏差、Va1,Va2,Vb1,Vb2,Vc1,Vc2,Vd1,Vd2,Vh1…振幅値、Vk1…基準値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の給電エリアを備え、その給電エリアに1次コイルと1次側認証用コイルを設けた非接触給電装置と、
1つ以上の受電エリアを備え、その受電エリアに前記1次コイルと相対向するように2次コイルを設けるとともに、前記1次側認証用コイルと相対向するように2次側認証用コイルを設けた受電装置を有した電気機器とからなり、
前記1次側認証用コイルからの認証用発振信号に基づく前記2次側認証用コイルから発振される認証信号を前記1次側認証用コイルが受信し認証した後、前記1次コイルから発振される送電用発振信号を前記2次コイルに2次電力として給電する非接触給電システムの金属異物検出方法であって、
前記給電エリアに設けた1次コイルと1次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置するとともに、前記受電エリアに設けた2次コイルと2次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置し、
前記1次コイルからの前記送電用発振信号に基づいて前記1次コイルと前記2次コイルの間の金属異物の有無検出をするとともに、前記1次側認証用コイルからの前記認証用発振信号に基づいて前記1次側認証用コイルと2次側認証用コイルの間の金属異物の有無検出をすることを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電システムの金属異物検出方法おいて、
前記1次コイルと前記2次コイルとの間の金属異物の有無検出を先に行い、金属異物の存在を検出したとき、前記1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の金属異物の有無検出を行わないことを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の非接触給電システムの金属異物検出方法おいて、
前記1次コイルからの発振される前記送電用発振信号の発振周波数は、前記1次側認証用コイルから発振される前記認証用発振信号の発振周波数より、低いことを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項4】
請求項1に記載の非接触給電システムの金属異物検出方法おいて、
前記1次側認証用コイルと2次側認証用コイルとの間の金属異物の有無検出を先に行い、金属異物の存在を検出したとき、前記1次コイルと2次コイルとの間の金属異物の有無検出を行わないことを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載の非接触給電システムの金属異物検出方法おいて、
前記1次側認証用コイルからの発振される前記認証用発振信号の発振周波数は、前記1次コイルから発振される前記送電用発振信号の発振周波数より、低いことを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の非接触給電システムの金属異物検出方法おいて、
前記給電エリアに設けた前記1次コイルは、前記給電エリアの中央位置に配置され、
前記給電エリアに設けた前記1次側認証用コイルは、直列に接続した2個の1次側認証用第1コイルと1次側認証用第2コイルとからなり、前記1次側認証用第1コイルと前記1次側認証用第2コイルを前記1次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置し、
前記受電エリアに設けた2次コイルは、前記受電エリアの中央位置に配置され、
前記受電エリアに設けた2次側認証用コイルは、直列に接続した2個の2次側認証用第1コイルと2次側認証用第2コイルとからなり、前記2次側認証用第1コイルと前記2次側認証用第2コイルを前記2次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の非接触給電システムの金属異物検出方法おいて、
前記給電エリアに設けた前記1次側認証用コイルは、前記給電エリアの中央位置に配置され、
前記給電エリアに設けた前記1次コイルは、直列に接続した2個の第1の1次コイルと第2の1次コイルとからなり、前記第1の1次コイルと前記第2の1次コイルを前記1次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置し、
前記受電エリアに設けた前記2次側認証用コイルは、前記受電エリアの中央位置に配置され、
前記受電エリアに設けた前記2次コイルは、直列に接続した2個の第1の2次コイルと第2の2次コイルとからなり、前記第2の2次コイルと前記第2の2次コイルを前記2次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことを特徴とする非接触給電システムの金属異物検出方法。
【請求項8】
1つ以上の給電エリアを備え、その給電エリアに1次コイルと1次側認証用コイルを設け、1次コイルを励磁して送電用発振信号を発振し、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電するとともに、前記1次側認証用コイルから発振した認証用発振信号に基づいて、前記受電装置に設けた2次側認証用コイルからの認証用信号を受信して機器認証を行う非接触給電装置であって、
前記給電エリアに設けた前記1次コイルと前記1次側認証用コイルを、その中心位置がそれぞれ異なるように配置し、
前記1次コイルから発振される前記送電用発振信号に基づいて前記1次コイルと前記2次コイルとの間の磁束の変化を送電用負荷変調信号として前記1次コイルが受信し、その送電用負荷変調信号を包絡線検波し第1負荷変調波形にする第1包絡線検波回路と、
前記1次側認証用コイルから発振される前記認証用発振信号に基づいて前記1次側認証用コイルと前記2次側認証用コイルとの間の磁束の変化を認証用負荷変調信号として前記1次側認証用コイルが受信し、その認証用負荷変調信号を包絡線検波し第2負荷変調波形にする第2包絡線検波回路と、
前記第1包絡線検波回路の第1負荷変調波形及び前記第2包絡線検波回路の第2負荷変調波波形に入力し、前記第1負荷変調波形及び前記第2負荷変調波形に基づいて給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部と
を備えたことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項9】
請求項8に記載の非接触給電装置において、
前記給電エリア毎に、
前記給電エリアの前記1次コイルを励磁して前記2次コイルに前記送電用発振信号を送信する励磁回路と、
前記給電エリアの前記1次側認証用コイルを励磁して前記2次側認証用コイルに前記認証用発振信号を送信する発振回路と
を備えていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の非接触給電装置おいて、
前記給電エリアに設けた前記1次コイルは、前記給電エリアの中央位置に配置され、
前記給電エリアに設けた前記1次側認証用コイルは、直列に接続した2個の1次側認証用第1コイルと1次側認証用第2コイルとからなり、前記1次側認証用第1コイルと前記1次側認証用第2コイルを前記1次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項11】
請求項8または9に記載の非接触給電装置おいて、
前記給電エリアに設けた前記1次側認証用コイルは、前記給電エリアの中央位置に配置され、
前記給電エリアに設けた前記1次コイルは、直列に接続した2個の第1の1次コイルと第2の1次コイルとからなり、前記第1の1次コイルと前記第2の1次コイルを前記1次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項12】
請求項8〜11にいずれか1つに記載の非接触給電装置おいて、
前記1次コイルは、前記1次側認証用コイルが前記受電装置側に近くなるように、前記1次側認証用コイルの下側位置に配置され、
前記1次コイルは、同1次コイルのコイル面積より大きい磁性体に形成した上方に突出したコア部に巻回したことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項13】
1つ以上の受電エリアを備え、その受電エリアに2次コイルを設けるとともに2次側認証用コイルを設け、非接触給電装置の1次側認証用コイルからの認証用発振信号に基づいて前記2次側認証用コイルから前記1次側認証用コイルに認証用信号を送信し、電磁誘導現象を利用して非接触給電装置の1次コイルからの送電用発振信号にて前記2次コイルに2次電力が受電される電気機器に設けられた受電装置であって、
前記受電エリアに設けた前記2次コイルと前記2次側認証用コイルを、それぞれ異なるように配置し、
前記2次コイルが受信した前記送電用発振信号から前記1次コイルと前記2次コイルとの間の磁束の変化に基づく変調波を生成する第1変調波信号生成回路と、
前記変調波を前記1次コイルに送信するために、前記送電用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を前記変調波にて変調させて送電用負荷変調信号を生成する第1負荷変調信号生成回路と
前記2次側認証用コイルが受信した前記認証用発振信号から前記1次側認証用コイルと前記2次側認証用コイルとの間の磁束の変化に基づく変調波を生成する第2変調波信号生成回路と、
前記変調波を前記1次側認証用コイルに送信するために、前記認証用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を前記変調波にて変調させて認証用負荷変調信号を生成する第2負荷変調信号生成回路と
を備えたことを特徴とする電気機器に設けられた受電装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気機器に設けられた受電装置おいて、
前記受電エリアに設けた前記2次コイルは、前記受電エリアの中央位置に配置され、
前記受電エリアに設けた前記2次側認証用コイルは、直列に接続した2個の2次側認証用第1コイルと2次側認証用第2コイルとからなり、前記2次側認証用第1コイルと前記2次側認証用第2コイルを前記2次コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことを特徴とする電気機器に設けられた受電装置。
【請求項15】
請求項13に記載の電気機器に設けられた受電装置おいて、
前記受電エリアに設けた前記2次側認証用コイルは、前記受電エリアの中央位置に配置され、
前記受電エリアに設けた前記2次コイルは、直列に接続した2個の第1の2次コイルと第2の2次コイルとからなり、前記第1の2次コイルと前記第2の2次コイルを前記2次側認証用コイルの両側の対称位置に配置するとともに、磁束の向きは互いに逆方向となるように配置したことを特徴とする電気機器に設けられた受電装置。
【請求項16】
請求項13〜15にいずれか1つに記載の電気機器に設けられた受電装置おいて、
前記2次コイルは、前記2次側認証用コイルが前記非接触給電装置側に近くなるように、前記2次側認証用コイルの上側位置に配置され、
前記2次コイルは、同2次コイルのコイル面積より大きい磁性体に形成した下方に突出したコア部に巻回したことを特徴とする電気機器に設けられた受電装置。
【請求項17】
1つ以上の給電エリアを備え、その給電エリアに1次コイルと1次側認証用コイルを設けた非接触給電装置と、
1つ以上の受電エリアを備え、その受電エリアに前記1次コイルと相対向するように2次コイルを設けるとともに前記1次側認証用コイルと相対向するように2次側認証用コイルを設けた受電装置を有した電気機器と
からなり、前記1次側認証用コイルからの認証用発振信号に基づく前記2次側認証用コイルからの認証信号を前記1次側認証用コイルが受信し認証した後、前記1次コイルから発振される送電用発振信号を前記2次コイルに2次電力として給電する非接触給電システムであって、
前記給電エリアに設けた前記1次コイルと前記1次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置し、
前記受電エリアに設けた前記2次コイルと前記2次側認証用コイルをそれぞれ異なるように配置し、
前記非接触給電装置は、
前記給電エリア毎に、前記給電エリアの前記1次コイルを励磁して前記2次コイルに送信する送電用発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した前記受電装置の送電用発振信号に基づく送電用負荷変調信号を1次コイルにて受信し、その送電用負荷変調信号を包絡線検波し第1負荷変調波形にする第1包絡線検波回路と、
前記給電エリアの前記1次側認証用コイルを励磁して前記2次側認証用コイルに送信する認証用発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した前記受電装置の認証用発振信号に基づく認証用負荷変調信号を受信し、その認証用負荷変調信号を包絡線検波し第2負荷変調波形にする第2包絡線検波回路と
を備えた基本給電ユニット回路と、
前記第1包絡線検波回路からの第1負荷変調絡波形及び第2包絡線検波回路からの第2負荷変調波形を入力し、第1負荷変調波波形及び第2負荷変調波形に基づいて給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部と
を備え、
前記受電装置は、
前記2次コイルが受信した前記送電用発振信号から変調波を生成する第1変調波信号生成回路と、
前記変調波を前記1次コイルに送信するために、前記送電用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を前記変調波にて変調させて送電用負荷変調信号を生成する第1負荷変調信号生成回路と
前記2次側認証用コイルが受信した前記認証用発振信号から変調波を生成する第2変調波信号生成回路と、
前記変調波を前記1次側認証用コイルに送信するために、前記認証用発振信号をキャリア信号として同キャリア信号を前記変調波にて変調させて認証用負荷変調信号を生成する第2負荷変調信号生成回路と
を備えたことを特徴とする非接触給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−46526(P2013−46526A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183938(P2011−183938)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)