説明

非接触給電装置及び非接触給電装置の1次コイルブロック

【課題】1次コイル数を増やすことなく、載置面のどの位置に電気機器を載置しても、非接触給電装置から受電装置の2次コイルに対して高効率に電力を供給することができる非接触給電装置及び非接触給電装置の1次コイルブロックを提供する。
【解決手段】磁性体6とカバー7との間に固設された1次コイルL1は、そのコイル断面形状が、磁性体6及びカバー7と同じ四角形状のコイルで形成されている。コイル断面四角形状の1次コイルL1は、磁性体6から上側のカバー7に向かって巻回され、そのコイル中心軸線が上側に向かうほど水平方向偏倚する。偏倚方向は、1次コイルL1のコイル中心軸線がコイル断面の対角線方向に偏倚する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置及び非接触給電装置の1次コイルブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導方式による非接触給電システムでは、広い載置面を有し、その広い載置面に受電装置を備えた電気機器をどの位置に載置しても、受電装置に効率よく給電することのできる非接触給電装置の要求が高まっている。
【0003】
この実現のために、広い載置面を複数の給電エリアに区分し、その区分した給電エリア毎に、1次コイルを設ける。そして、電気機器が載置面に載置されたとき、非接触装置はその給電装置の受電装置に設けた2次コイルと対向する給電エリアの1次コイルを励磁する。これによって、電気機器は、載置面のどの給電エリアに載置されても受電装置の2次コイルに2次電力が給電される。
【0004】
しかしながら、広い載置面に複数区画形成された給電エリア毎に1次コイルを設けた非接触給電装置では、各給電エリアの1次コイルが隣接して設けられていることから、隣接する1次コイルの磁束が互いに干渉しあう。
【0005】
そのため、受電装置の2次コイルが、非接触装置の1次コイルに対してずれた位置に配置されたとき、該2次コイルは、該1次コイルと隣接する1次コイルの磁束の影響を受けて、2次電力の受電損失が大きくなる問題が生じる。
【0006】
例えば、2次コイルが隣接する1次コイルに中間位置付近に配置された時には,2次コイルL2の2次電力は小さくなる。つまり、電気機器が載置される位置によって、給電効率に大きな差があった。
【0007】
換言すれば、電気機器が、非接触給電装置の載置面に載置される位置によって、給電効率が大きく左右されることから、実用的ではなかった。
そこで、特許文献1では、1次コイルの稠密アレイ配置層を2層とし、コイル中心をずらして重ねることで解決していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7164255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記給電装置においては、1次コイルの稠密アレイ配置層を2層とすることから、コイルが厚くなり装置全体が大型化する問題があった。また、コイルの数が多くなることから、制御対象が多くなり制御が複雑化するとともに、回路規模が大きくなりコストアップにつながる。しかも、余計なコイルまで励磁制御しなければならないことから、効率低下を招来していた。
【0010】
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであって、その目的は、1次コイル数を増やすことなく、どの位置に電気機器を載置しても、受電装置の2次コイルが受電する電量差を小さくでき、高効率に電力を供給することができる非接触給電装置を提供することにある。さらに、その非接触給電装置に使用される非接触給電装置の1次コイルブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置は、隣接した複数の給電エリアを備え、前記各給電エリアに1次コイルを設け、1次コイルを励磁して、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電する非接触給電装置であって、前記各給電エリアに設けた前記1次コイルを、中心軸線方向に巻回するとともに、かつそのコイル外形が前記中心軸線に対して直交する方向に偏倚させ、その偏倚させた各1次コイルを、前記直交する方向に併設させて、隣接する給電エリアの1次コイルの一部外側面同士を軸線方向から見てオーバーラップさせたことを特徴とする。
【0012】
また、上記構成において、前記1次コイルは、コイル断面形状が四角形であることが好ましい。
また、上記構成において、前記1次コイルは、そのコイル外形が一方の巻端から他方の巻端に向かうほど拡開するコイルであって、隣接する1次コイルは、互いにコイル向きを異ならして併設配置することが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記1次コイルは、その外形形状が正多角錐台形状のコイルであって、隣接する1次コイルは、互いにコイル向きを異ならすとともに、外側面同士がオーバーラップするように配置したことが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、前記1次コイルは、その外形形状が正八角錐台形状のコイルであることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置の1次コイルブロックは、1次コイルを励磁して、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電する非接触給電装置の1次コイルブロックであって、中心軸線方向に巻回するとともに、かつそのコイル外形が前記中心軸線に対して直交する方向に偏倚させたコイルであり、その一方の巻端には磁性体を配置固定するとともに、他方の巻端には絶縁材料よりなるカバーを配置固定したことを特徴とする。
【0015】
また、上記構成において、前記1次コイルは、コイル断面が四角形状のコイルであって、前記1次コイルのコイル中心軸線の偏倚方向が、コイル断面が形成する一側辺の中間位置に対して直交する方向であることが好ましい。
【0016】
また、上記構成において、前記1次コイルは、コイル断面が四角形状のコイルであって、前記1次コイルのコイル中心軸線の偏倚方向が、コイル断面の対角線方向であることが好ましい。
【0017】
また、上記構成において、前記中心軸線方向に対して直交方向に偏倚させて巻回した前記1次コイルは、そのコイル中心軸線が一方の巻端の前記磁性体の中心点と、他方の巻端の前記カバーの中心点とが一致するように巻回されていることが好ましい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置の1次コイルブロックは、1次コイルを励磁して、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電する非接触給電装置の1次コイルブロックであって、前記1次コイルは、外形形状が正多角錐台形状のコイルであって、一方の巻端には磁性体を配置固定するとともに、他方の巻端には絶縁材料よりなるカバーを配置固定したことを特徴とする。
【0019】
また、上記構成において、前記1次コイルは、外形形状が正八角錐台形状のコイルが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1次コイル数を増やすことなく、載置面のどの位置に電気機器を載置しても、非接触給電装置から受電装置の2次コイルに対して高効率に電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】非接触給電システムの非接触給電装置と電気機器を示す全体斜視図。
【図2】1次コイルブロックの全体斜視図。
【図3】1次コイルブロックの分解斜視図。
【図4】1次コイルの平面図。
【図5】1次コイルブロックの平面図。
【図6】1次コイルブロックの側面図。
【図7】複数の1次コイルブロックを組み合わせた状態を示す平面図。
【図8】複数の1次コイルブロックを組み合わせた状態を示す側面図。
【図9】2次コイルを示す断面図。
【図10】2次コイルが隣接する1次コイル上を一方の位置から他方の位置まで移動する状態を説明する図であって、(a)は従来の1次コイル上を移動させる状態を示す図、(b)は本実施形態の1次コイル上を移動させる状態を示す図。
【図11】2次コイルが従来の1次コイル上の移動及び実施形態の1次コイル上をそれぞれ移動する際の出力電圧変動率を示すグラフ。
【図12】第2実施形態の1次コイルブロックの全体斜視図。
【図13】同じく1次コイルブロックの分解斜視図。
【図14】同じく1次コイルブロックの平面図。
【図15】同じく1次コイルブロックの側面図。
【図16】同じく複数の1次コイルブロックを組み合わせた状態を示す平面図。
【図17】同じく複数の1次コイルブロックを組み合わせた状態を示す側面図。
【図18】(a)は第3実施形態の第1の1次コイルブロックの斜視図、(b)は同じく第2の1次コイルブロックの斜視図。
【図19】第1の1次コイルブロックの分解斜視図。
【図20】同じく第1の1次コイルブロックの1次コイルの側面図。
【図21】同じく第2の1次コイルブロックの分解斜視図。
【図22】同じく第2の1次コイルブロックの1次コイルの側面図。
【図23】同じく複数の第1及び第2の1次コイルブロックを組み合わせた状態を示す平面図。
【図24】同じく複数の第1及び第2の1次コイルブロックを組み合わせた状態を示す側面図。
【図25】別例を説明するための1次コイルブロックの全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の非接触給電装置を非接触給電システムに具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0023】
図1に示すように、非接触給電システムは、非接触給電装置(以下、単に給電装置という)1とその給電装置1から非接触給電される電気機器(以下、単に機器という)Eを有している。
【0024】
給電装置1は、四角形の板状の筐体2を有し、その上面が平面であって機器Eを載置する載置面3を形成している。載置面3は、複数の四角形状の給電エリアAR1が区画形成され、本実施形態では、左右方向に3個、前後方向に4個並ぶように12個の給電エリアAR1が区画形成されている。
【0025】
筐体2内であって、区画形成された各給電エリアAR1に対応する位置には、図1破線で示すように、1次コイルブロック5が配置されている。
各1次コイルブロック5は、図2、図3に示すように、1次コイルL1と、1次コイルL1の下側コイル面に固定された磁性体6と、1次コイルL1の上側コイル面に固定されたカバー7を有している。
【0026】
磁性体6は、本実施形態では軟磁性材料よりなる四角板体であって、1次コイルL1の一方(下側)の巻端と連結固定することによって、1次コイルL1の下側コイル面を連結固定している。カバー7は、本実施形態では絶縁材料よりなる樹脂製の四角板体であって、1次コイルL1の他方(上側)の巻端と連結固定することによって、1次コイルL1の上側コイル面を連結固定している。カバー7は、本実施形態では、磁性体6と同形状の四角形状に形成されている。
【0027】
磁性体6とカバー7との間に固設された1次コイルL1は、そのコイル断面形状が、磁性体6及びカバー7と同じ四角形状のコイルで形成されている。コイル断面が四角形状の1次コイルL1は、磁性体6から上側のカバー7に向かって巻回され、そのコイル中心軸線Cx(図4参照)が上側に向かうほど水平方向偏倚する。
【0028】
詳述すると、偏倚は、図4に示すように、1次コイルL1のコイル中心軸線Cxが、軸線方向から見て四角形状のコイル断面の対角線方向に偏倚する。従って、磁性体6とカバー7は、正対せず、対角線方向にずれて対向する。
【0029】
本実施形態では、図5、図6に示すように、磁性体6(カバー7)及び1次コイルL1の左右の長さDX0が42mm、前後の長さDY0が42mmの正四角形に設定されている。そして、軸方向の長さHが4,5mmに設定されている。
【0030】
このとき、カバー7は、磁性体6に対して、右側に20mm、後側に20mm偏倚した位置に配置される。換言すると、1次コイルL1の上側コイル面は、1次コイルL1の下側コイル面に対して、右側に20mm、後側に20mm偏倚した位置に配置される。
【0031】
さらに、換言すると、1次コイルL1の中心軸線Cxは、図4に示すように、磁性体6の中心点(下側コイル面の中心点P0)とカバー7の中心点(上側コイル面の中心点P1)を通る直線となる。
【0032】
そして、このように構成した1次コイルブロック5は、筐体2内であって、区画形成された各給電エリアAR1に対応する位置に配置される。
次に、1次コイルブロック5の配置方法について説明する。なお、説明の便宜上、隣接する4つの給電エリアAR1に配置される1次コイルブロック5について説明する。
【0033】
図7は、隣接する4個の1次コイルブロック5の配置図を示す。図7に示すように、各1次コイルブロック5を偏倚する方向に合わせて併設する。即ち、4個の1次コイルブロック5の磁性体6が互いに隣接するように配置する。その結果、上側において4個の1次コイルブロック5のカバー7が互いに隣接するように配置される。
【0034】
このとき、4個の1次コイルブロック5は、1次コイルL1が四角形状のコイル断面の対角線方向に偏倚しているため、図8に示すように、隣接する2つの1次コイルL1の外側面同士が上方から見てオーバーラップさせることができる。しかも、隣接する4つの1次コイルL1の外側面においても、上方から見てオーバーラップさせることができる。
【0035】
従って、載置面3に区画形成された給電エリアAR1の境界部分は、隣接する1次コイルL1の外側面同士のオーバーラップによって一定の幅Dを有することになる。その結果、隣接する1次コイルL1間の磁束が平均化され磁束密度を均一化させることができる。
【0036】
なお、筐体2内であって、各給電エリアAR1から外れた位置には、各給電エリアAR1の1次コイルブロック5(1次コイルL1)には、基本給電ユニット回路(図示せず)が設けられている。各基本給電ユニット回路は、対応する1次コイルブロック5の1次コイルL1を単独でまたは他の1次コイルL1と協働して励磁駆動し、給電エリアAR1に載置された機器Eに対して非接触給電をするようになっている。
【0037】
一方、給電装置1から電磁誘導で給電を受ける機器Eは、その筐体10の下面に給電装置1の給電エリアAR1に対する受電エリアAR2を形成し、その筐体10内に2次コイルL2を有している。
【0038】
2次コイルL2は、図9に示すように、四角板状の磁性材料よりなる磁性体11に取着されている。四角板状の磁性体11は、外形が本実施形態では、1次コイルブロック5の磁性体6と同一形状の正四角形をなしている。
【0039】
磁性体11に取着された2次コイルL2は、本実施形態では、そのコイル断面が1次コイルL1同一の正四角形をなしている。そして、2次コイルL2を取着した磁性体11は、筐体10内であって受電エリアAR2の位置に配置固定される。
【0040】
そして、2次コイルL2は、機器Eが給電装置1の載置面3に載置されたとき、その直下に位置する1次コイルブロック5の1次コイルL1が給電励磁される。
つまり、給電装置1は、1次コイルブロック5の1次コイルL1の直上に機器Eの給電装置1が載置されたとき、該1次コイルL1を給電励磁する。従って、隣接してオーバーラップした複数の1次コイルL1の直上に機器Eの給電装置1が載置されたとき、給電装置1は、その複数の1次コイルL1を給電励磁する。
【0041】
そして、2次コイルL2が受電した2次電力は、筐体10内であって2次コイルL2に隣接した位置に実装された受電装置12に設けた整流回路で整流され、DC/DCコンバータで所望の直流電圧に変換されて機器Eの負荷(図示せず)に供給される。
【0042】
次に、上記のように構成した、給電装置1の作用について説明する。
今、機器E(2次コイルL2)が、給電装置1の載置面3であって、給電エリアAR1と給電エリアAR1の境界部分に載置されると、給電装置1はその直下に位置する境界を跨ぐ複数の1次コイルL1を励磁駆動する。
【0043】
この境界部分は一定の幅Dで、隣接する1次コイルL1の外側面同士がオーバーラップしていることから、隣接する1次コイルL1間の磁束が平均化される。その結果、磁束密度の均一化が実現でき、これら1次コイルL1の給電励磁よって、2次コイルL2は受2次電力を受電する。そして、2次コイルL2が受電した2次電力は、受電装置12に設けた整流回路で整流され、DC/DCコンバータで所望の直流電圧に変換されて機器Eの負荷に供給される。
【0044】
ここで、本実施形態の1次コイルL1を4個隣接して配置した場合と、従来の1次コイルを4個隣接して配置した場合とで、2次コイルL2の受電効率の比較検証を行った。
図10(a)は、4個の従来の1次コイルLaを、前後及び左右に励磁した状態を示す。そして、図10(a)において、2次コイルL2を、2次コイルL2のコイル面が前左側の1次コイルLaのコイル面と正対した位置から、後左側の1次コイルLaのコイル面と正対する位置まで移動させる。
【0045】
そして、この時、各移動位置おける2次コイルL2が受電する出力が、図11の出力電圧線V1に示すように得られた。なお、図11の出力は「%」で表し、100%は1次コイルL1の出力電力を100%受電したことを意味する。
【0046】
図11の出力電圧線V1から明らかなように、従来の1次コイルLaの場合、2次コイルL2との正対位置で、2次コイルL2の出力が100%となり、1次コイルL1と1次コイルL1の中間位置で最小の出力となり、その変動差は約57%となる。
【0047】
図10(b)は、4個の本実施形態の1次コイルL1を、前後及び左右に励磁した状態を示す。そして、図10(b)において、2次コイルL2を、2次コイルL2のコイル面が前左側の1次コイルL1の下側コイル面と正対する相対位置から、後左側の1次コイルL1の下側コイル面と正対する相対位置まで移動させる。
【0048】
そして、各移動位置おける2次コイルL2が受電する出力が、図11の出力電圧線V2に示すように得られた。
図11の出力電圧線V2から明らかなように、本実施形態の1次コイルL1の場合、2次コイルL2との正対位置で、2次コイルL2の出力が50%となるものの、1次コイルL1と1次コイルL1の中間位置で最小の出力となり、その変動差は41%となる。
【0049】
従って、従来の1次コイルLaに比べて、2次コイルL2(機器E)を1次コイルL1(載置面3)のどの位置に載置しても、2次コイルL2が受電する出力の変動差は小さいことがわかる。
【0050】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、各給電エリアAR1に設けた1次コイルL1を、中心軸線方向に巻回するとともに、かつ、コイル外形を中心軸線方向に対して直交する方向に偏倚させ、隣接する給電エリアAR1の1次コイルL1の外側面同士をオーバーラップさせた。
【0051】
従って、載置面3に区画形成された給電エリアAR1の境界部分は、隣接する1次コイルL1の外側面同士のオーバーラップによって一定の幅Dが形成されることで、隣接する1次コイルL1間の磁束が平均化され磁束密度を均一化させることができる。
【0052】
その結果、機器Eを載置面3のどの位置に載置しても、その各位置での2次コイルL2が受電する2次電力の変動差を小さくできる。即ち、機器Eが載置面3の載置された位置によって、2次コイルL2が受電する2次電力の偏りを非常に小さくできる。換言すれば、載置面3に載置する際、その載置位置を気にすることなく機器Eを載置することができる。
【0053】
しかも、1次コイルL1は、その偏倚方向をコイル中心軸線Cxがコイル断面の対角線方向に偏倚させたので、当該1次コイルL1の四方の外側面を隣接する1次コイルL1の外側面とオーバーラップさせることができる。従って、より効率よい2次コイルL2への給電を実現することができる。
【0054】
(2)上記実施形態によれば、各給電エリアAR1に1つの1次コイルL1を設けただけなので、1次コイルL1の数を増やすことなくの励磁磁束の空白箇所をなくすことができる。その結果、1次コイルL1の数が少ない分だけ、コイル数が低減できるとともに制御が容易になり回路規模の小型化及び給電装置1のコストダウン化を図ることができる。
【0055】
(3)上記実施形態によれば、中心軸線方向に巻回された1次コイルL1のコイル外形を中心軸線方向に対して直交する方向に偏倚させ、隣接する給電エリアAR1の1次コイルL1の外側面同士をオーバーラップさせた。つまり、2つの1次コイルL1を上下に単に積層した構成ではない。従って、上下方向に厚さを抑えることができ、給電装置1の小型化を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図面に従って説明する。
【0056】
本実施形態では、1次コイルブロック5に特徴を有するものであり、他の構成は第1実施形態と同じ構成とした。そのため、説明の便宜上、異なる1次コイルブロック5について詳細に説明し、第1実施形態と共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0057】
本実施形態では、図12、図13に示すように、1次コイルブロック5を構成する磁性体6及びカバー7は第1実施形態と同じ正四角形で構成されている。また、磁性体6とカバー7の間に配置される1次コイルL1も、コイル断面形状が第1実施形態と同じ四角形で形成されている。
【0058】
そして、磁性体6とカバー7は、第1実施形態と相違し、互いに偏倚せず、相対向して配置されている。一方、磁性体6とカバー7の間に配置される1次コイルL1は、下側の磁性体6から磁性体6とカバー7の中間位置まで、第1実施形態と同様に、四角形状のコイル断面の対角線方向に偏倚させた後、上側のカバー7に向かって偏倚させている。
【0059】
従って、1次コイルL1のコイル中心軸線Cxは、図12に示すように、磁性体6とカバー7の中間位置におけるコイル面の中心点Pmを屈曲点とする下側コイル面の中心点P0から上側コイル面の中心点P1を通る屈曲直線となる。
【0060】
つまり、図14、図15に示すように、1次コイルL1の磁性体6とカバー7の中間位置におけるコイル面の中心点Pmは、下側コイル面の中心点P0(上側コイル面の中心点P1)に対して、右側に20mm、後側に20mm偏倚した位置に配置される。換言すると、磁性体6とカバー7の中間位置におけるコイル面は、1次コイルL1の上下両コイル面に対して、右側に20mm、後側に20mm偏倚した位置に配置される。
【0061】
そして、このように構成した1次コイルブロック5は、筐体2内であって区画形成された対応する各給電エリアAR1に配置される。
次に、1次コイルブロック5の配置方法について説明する。なお、説明の便宜上、隣接する4つの給電エリアAR1に配置される1次コイルブロック5について説明する。
【0062】
図16、図17は、隣接する4個の1次コイルブロック5の配置図及び側面図を示す。図15に示すように、各1次コイルブロック5を偏倚する方向に合わせて併設する。即ち、4個の1次コイルブロック5の磁性体6(カバー7)が互いに隣接するように配置する。
【0063】
その結果、図16、図17において、右側の1次コイルL1の外側面であって偏倚方向に凹設された外側面に、左側の1次コイルL1の外側面であって偏倚方向に突出した外側面が、嵌合される。同様に、後側の1次コイルL1の外側面であって偏倚方向に凹設された外側面に、前側の1次コイルL1の外側面であって偏倚方向に突出した外側面が嵌合される。つまり、4個の1次コイルブロック5は、図16、図17に示すように、隣接する4つの1次コイルL1の外側面同士を、上方から見てオーバーラップさせることができる。
【0064】
従って、載置面3に区画形成された給電エリアAR1の境界部分は、隣接する1次コイルL1の外側面同士のオーバーラップによって一定の幅Dを有することになる。その結果、隣接する1次コイルL1間の磁束が平均化され磁束密度を均一化させることができる。
【0065】
このように本実施形態も、第1実施形態と同様に、(1)〜(3)の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図面に従って説明する。
【0066】
本実施形態では、1次コイルブロック5に特徴を有するものであり、他の構成は第1実施形態と同じ構成とした。そのため、説明の便宜上、異なる1次コイルブロックについて詳細に説明し、第1実施形態と共通する部分の詳細な説明は省略する。
【0067】
本実施形態では、図18(a)(b)に示すように、第1の1次コイルブロック5aと第2の1次コイルブロック5bを備えている。
(第1の1次コイルブロック5a)
第1の1次コイルブロック5aは、図19に示すように、下側に配置された磁性体6aと上側に配置されたカバー7aの間に、外形が正八角錐台形状の1次コイルL1aを配置している。1次コイルL1aは、そのコイル断面形状が、八角形状をなし、下側の磁性体6aから上側のカバー7aに向かうほど、断面形状が小さくなるように形成されている。つまり、1次コイルL1aは、外形が上側に行くほど縮径する八角錐台形状のコイル形状をなしている。
【0068】
そして、図20に示すように、1次コイルL1aの磁性体6a側の下側外形サイズDbが60mm、カバー7a側の上側外形サイズDtが10mmに設定されている。
磁性体6aは、軟磁性材料よりなる正八角形の板体であって、1次コイルL1aの一方(下側)の巻端と連結固定することによって、1次コイルL1aの下側コイル面を連結固定している。正八角形の磁性体6aの外形サイズは、1次コイルL1aの下側外形サイズDb(=60mm)と同サイズに形成されている。
【0069】
カバー7aは、絶縁材料よりなる樹脂製の正八角形の板体であって、1次コイルL1aの他方(上側)の巻端と連結固定することによって、1次コイルL1aの上側コイル面を連結固定している。正八角形のカバー7aの外形サイズは、1次コイルL1aの上側外形サイズDt(=10mm)と同サイズに形成されている。
【0070】
このように構成された第1の1次コイルブロック5aは、正八角錐台形状の1次コイルL1aの中心軸線が下側コイル面の中心点と上側コイル面の中心点を通過する。
(第2の1次コイルブロック5b)
第2の1次コイルブロック5bは、図21に示すように、下側に配置された磁性体6bと上側に配置されたカバー7bの間に、外形が逆正正八角錐台形状の1次コイルL1bを配置している。1次コイルL1bは、そのコイル断面形状が、八角形状をなし、下側の磁性体6bから上側のカバー7bに向かうほど、断面形状が大きくなるように形成されている。つまり、1次コイルL1bは、外形が上側に行くほど拡径する逆正八角錐台形状のコイル形状をなしている。
【0071】
そして、図22に示すように、1次コイルL1bの磁性体6b側の下側外形サイズDbが10mm、カバー7b側の上側外形サイズDtが60mmに設定されている。
磁性体6bは、軟磁性材料よりなる正八角形の板体であって、1次コイルL1bの一方(下側)の巻端と連結固定することによって、1次コイルL1bの下側コイル面を連結固定している。正八角形の磁性体6bの外形サイズは、1次コイルL1bの下側外形サイズDb(=10mm)と同サイズに形成されている。
【0072】
カバー7bは、絶縁材料よりなる樹脂製の正八角形の板体であって、1次コイルL1bの他方(上側)の巻端と連結固定することによって、1次コイルL1bの上側コイル面を連結固定している。正八角形のカバー7bの外形サイズは、1次コイルL1bの上側外形サイズDt(=60mm)と同サイズに形成されている。
【0073】
このように構成された第2の1次コイルブロック5bは、逆正八角錐台形状の1次コイルL1bの中心軸線が下側コイル面の中心点と上側コイル面の中心点を通過する。
次に、第1の1次コイルブロック5aと第2の1次コイルブロック5bの配置方法について説明する。なお、説明の便宜上、隣接する4つの給電エリアAR1に配置される第1の1次コイルブロック5aと第2の1次コイルブロック5bについて説明する。
【0074】
図23、図24は、隣接する2個の第1の1次コイルブロック5aと2個の第2の1次コイルブロック5bの配置図及び側面図を示す。
図23に示すように、下側が拡径された2個の1次コイルL1a(第1の1次コイルブロック5a)を、前側右側位置と後側左側位置の対角線上に配置する。このとき、第1の1次コイルブロック5aの磁性体6aは下側に、カバー7aは上側に位置するように配置される。そして、対角線上に隣接する第1の1次コイルブロック5aの磁性体6aの1辺同士を当接させる。
【0075】
一方、上側が拡径された2個の1次コイルL1b(第2の1次コイルブロック5b)を、前側左位置と後側右側位置の対角線上に配置する。このとき、第2の1次コイルブロック5bの磁性体6bは下側に、カバー7bは上側に位置するように配置される。そして、対角線上に隣接する第2の1次コイルブロック5bのカバー7bの1辺同士を当接させている。
【0076】
このとき、第1の1次コイルブロック5aは、上に行くほど縮径する正八角錐台形状の1次コイルL1aであり、第2の1次コイルブロック5bは、上に行くほど拡径する逆正八角錐台形状の1次コイルL1bである。従って、1次コイルL1aと1次コイルL1bの外側面同士が一部オーバーラップする。つまり、2個の第1の1次コイルブロック5aのであって、対角線上に隣接した2個の第2の1次コイルブロック5b側の外側面は、その対角線上に隣接した2個の第2の1次コイルブロック5bの外側面と上方から見てオーバーラップする。
【0077】
従って、本実施形態においても、載置面3に区画形成された給電エリアAR1の境界部分は、隣接する1次コイルL1a,L1bの外側面同士のオーバーラップによって一定の幅Dを有することになる。その結果、隣接する1次コイルL1a,L1b間の磁束が平均化され磁束密度を均一化させることができる。
【0078】
このように本実施形態も、第1実施形態と同様に、(1)〜(3)の効果を得ることができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0079】
○上記第1実施形態の1次コイルブロック5では、コイル断面が四角形状の1次コイルL1の中心軸線Cxを、コイル断面の対角線方向に偏倚させた。
これを、図25に示すように、コイル断面が四角形状の1次コイルL1であって、1次コイルL1の中心軸線Cxの偏倚方向を、コイル断面が形成する一側辺の中間位置に対して直交する方向に偏倚させて形成した1次コイルブロック5に応用してもよい。この場合、1次コイルブロック5は、偏倚する方向に1列に併設する必要がある。
【0080】
○上記実施形態では、給電装置1の載置面3に12個の給電エリアAR1を形成したが、これに限定されるものではなく、2つ以上の給電エリアAR1を備えた給電装置1に応用してもよい。
【0081】
○上記第3実施形態では、正八角錐台形状に第1の1次コイルブロック5aと正逆八角錐台形状の第2の1次コイルブロック5bで実施した。これを正三角錐台形状(正逆三角錐台形状)、正六角錐台形状(正逆六角錐台形状)等、正多角錐台形状(正逆多角錐台形状)の第1の1次コイルブロック(第2の1次コイルブロック)に応用してもよい。
【0082】
勿論、正多角錐台形状(正逆多角錐台形状)の第1の1次コイルブロック(第2の1次コイルブロック)には、円錐台形状(逆円錐台形状)の第1の1次コイルブロック(第2の1次コイルブロック)を含むものとする。
【符号の説明】
【0083】
1…給電装置(非接触給電装置)、2,10…筺体、3…載置面、5…1次コイルブロック、5a…第1の1次コイルブロック、5b…第2の1次コイルブロック、6,6a,6b…磁性体、7,7a,7b…カバー、11…磁性体、12…受電装置、E…電気機器(機器)、D…幅、H,DX0,DY0…長さ、Cx…コイル中心軸線、Db…下側外形サイズ、Dt…上側外形サイズ、L1,La,L1a,L1b…1次コイル、L2…2次コイル、P0,P1,Pm…中心点、AR1…給電エリア、AR2…受電エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接した複数の給電エリアを備え、前記各給電エリアに1次コイルを設け、1次コイルを励磁して、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電する非接触給電装置であって、
前記各給電エリアに設けた前記1次コイルを、中心軸線方向に巻回するとともに、かつそのコイル外形が前記中心軸線に対して直交する方向に偏倚させ、その偏倚させた各1次コイルを、前記直交する方向に併設させて、隣接する給電エリアの1次コイルの一部外側面同士を軸線方向から見てオーバーラップさせたことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルは、コイル断面形状が四角形であることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルは、そのコイル外形が一方の巻端から他方の巻端に向かうほど拡開するコイルであって、隣接する1次コイルは、互いにコイル向きを異ならして併設配置したことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルは、その外形形状が正多角錐台形状のコイルであって、隣接する1次コイルは、互いにコイル向きを異ならすとともに、外側面同士がオーバーラップするように配置したことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の非接触給電装置において、
前記1次コイルは、その外形形状が正八角錐台形状のコイルであることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項6】
1次コイルを励磁して、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電する非接触給電装置の1次コイルブロックであって、
前記1次コイルは、中心軸線方向に巻回するとともに、かつそのコイル外形が前記中心軸線に対して直交する方向に偏倚させたコイルであり、その一方の巻端には磁性体を配置固定するとともに、他方の巻端には絶縁材料よりなるカバーを配置固定したことを特徴とする非接触給電装置の1次コイルブロック。
【請求項7】
請求項6に記載の非接触給電装置の1次コイルブロックにおいて、
前記1次コイルは、コイル断面が四角形状のコイルであって、前記1次コイルのコイル中心軸線の偏倚方向が、コイル断面が形成する一側辺の中間位置に対して直交する方向であることを特徴とする非接触給電装置の1次コイルブロック。
【請求項8】
請求項6に記載の非接触給電装置の1次コイルブロックにおいて、
前記1次コイルは、コイル断面が四角形状のコイルであって、前記1次コイルのコイル中心軸線の偏倚方向が、コイル断面の対角線方向であることを特徴とする非接触給電装置の1次コイルブロック。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の非接触給電装置の1次コイルブロックにおいて、
前記中心軸線方向に対して直交方向に偏倚させて巻回した前記1次コイルは、そのコイル中心軸線が一方の巻端の前記磁性体の中心点と、他方の巻端の前記カバーの中心点とが一致するように巻回されていることを特徴とする非接触給電装置の1次コイルブロック。
【請求項10】
1次コイルを励磁して、電磁誘導現象を利用して電気機器の受電装置に設けた2次コイルに2次電力を給電する非接触給電装置の1次コイルブロックであって、
前記1次コイルは、外形形状が正多角錐台形状のコイルであって、一方の巻端には磁性体を配置固定するとともに、他方の巻端には絶縁材料よりなるカバーを配置固定したことを特徴とする非接触給電装置の1次コイルブロック。
【請求項11】
請求項10に記載の非接触給電装置の1次コイルブロックにおいて、
前記1次コイルは、外形形状が正八角錐台形状のコイルであることを特徴とする非接触給電装置の1次コイルブロック。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−89728(P2013−89728A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228149(P2011−228149)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)