説明

非接触給電装置

【課題】一次側装置と二次側装置との間の衝撃による破損の発生を抑制しつつ、電力の供給効率の向上を図った非接触給電装置を提供する。
【解決手段】一次側コイル120と、一次側コイル120を支持する一次側筐体110とを有する一次側装置100と、二次側コイル220と、二次側コイル220を支持する二次側筐体210とを有する二次側装置200と、を備え、一次側装置100と二次側装置200とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、一次側装置100と二次側装置200とが接触した際に、弾性的に変形することで、接触時の衝撃を緩衝するダイアフラム320を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導現象を利用して、一次側から二次側に電力を供給する非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、民生用,自動車用,医療用など各種の用途において、給電用の金属端子部などが露出していない非接触給電装置が利用されている。かかる非接触給電装置は、従来のコンセントや金属端子による接触型の給電方法に比べて、防水機能や短絡防止機能を持たせ易い長所がある。非接触給電装置の代表例として、電磁誘導型,電波受信型,共鳴型が知られているが、実用化されているものとしては、電磁誘導型が主流となっている。
【0003】
かかる従来例に係る非接触給電装置について、図15及び図16を参照して説明する。図15及び図16は従来例に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。図示のように、一次側(電力供給側)装置500における筐体(一次側筐体510と称する)の内部には、一次側コイル520が埋め込まれるように設けられている。また、二次側(受電側)装置600における筐体(二次側筐体610と称する)の内部には、二次側コイル620が埋め込まれるように設けられている。
【0004】
かかる非接触給電装置においては、一次側コイル520は一次側筐体510の内部に埋め込まれており、二次側コイル620は二次側筐体610の内部に埋め込まれているため、従来の接触型のものに比べて、防水機能や短絡防止機能の点で有利である。その一方で、一次側コイル520と二次側コイル620との間には、一次側筐体510及び二次側筐体610が介在するため、電力の供給効率が低いという短所がある。
【0005】
そのため、かかる非接触給電装置においては、一次側筐体510と二次側筐体610とを接触させることにより、一次側コイル520と二次側コイル620とを出来るだけ近づけた状態で給電動作を行わせるのが望ましい。
【0006】
しかしながら、自動車用などに非接触給電装置を適用する場合、重量バランスの不均衡に伴う車両の傾きなどが原因で、一次側筐体510と二次側筐体610とが平面的に接触しない場合が考えられる。なお、図15は一次側筐体510と二次側筐体610とを接触させる前の状態を示し、図16は接触後の状態を示している。
【0007】
これにより、一次側コイル520の中心軸と二次側コイル620の中心軸が傾いた状態となってしまい、電力の供給効率が低下してしまう。また、一次側筐体510と二次側筐体610とを接触させる際に大きな衝撃がかかり得る。したがって、筐体が破損してしまう虞がある。
【0008】
また、電力の供給効率を高めるために、一次側と二次側それぞれに、各コイルの中心を通るコア(磁心)を設けることも考えられる。しかしながら、この場合でも、両側のコアを接触させる際に、コアとコアが傾いた状態で接したり、位置ずれした状態で接したりすることが考えられ、電力の供給効率を十分に高めるのは難しい。また、コアとコアとが接触する際の衝撃で、コアが破損してしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−93180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、一次側装置と二次側装置との間の衝撃による破損の発生を抑制しつつ、電力の供給効率の向上を図った非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0012】
すなわち、本発明の非接触給電装置は、
一次側コイルと、一次側コイルを支持する一次側筐体とを有する一次側装置と、
二次側コイルと、二次側コイルを支持する二次側筐体とを有する二次側装置と、
を備え、
一次側装置と二次側装置とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、
一次側装置と二次側装置とが接触した際に、弾性的に変形することで、接触時の衝撃を緩衝する緩衝部材を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、緩衝部材を備えることにより、一次側装置と二次側装置が接触した際の衝撃が緩衝され、双方の破損の発生を抑制することができる。また、一次側装置と二次側装置とを接触させた状態で電力を供給できるので、電力の供給効率を高めることができる。
【0014】
ここで、一次側筐体と二次側筐体とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給可能に構成されると共に、
前記緩衝部材は、一次側装置に設けられ、一次側筐体を弾性的に支持する弾性部材であるとよい。
【0015】
これにより、一次側筐体と二次側筐体が接触する際に、弾性部材が弾性的に変形することで、接触時の衝撃が緩衝される。また、一次側筐体を支持する弾性部材が弾性的に変形するので、一次側筐体と二次側筐体とが接触した際に一次側筐体の向きや変位量を変えることができる。したがって、所望の接触状態に対して、一次側筐体と二次側筐体とが傾いた状態で接触を開始しても、弾性部材の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態にさせることができる。
【0016】
また、一次側筐体と二次側筐体とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給可能に構成されると共に、
前記緩衝部材は、二次側装置に設けられ、二次側筐体を弾性的に支持する弾性部材であることも好適である。
【0017】
これにより、一次側筐体と二次側筐体が接触する際に、弾性部材が弾性的に変形することで、接触時の衝撃が緩衝される。また、二次側筐体を支持する弾性部材が弾性的に変形するので、一次側筐体と二次側筐体とが接触した際に二次側筐体の向きや変位量を変えることができる。したがって、所望の接触状態に対して、一次側筐体と二次側筐体とが傾いた状態で接触を開始しても、弾性部材の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態にさせることができる。
【0018】
また、一次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
一次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ二次側筐体には前記コア
が進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記緩衝部材は、前記コアを弾性的に支持する弾性部材であることも好適である。
【0019】
これにより、一次側装置に備えられたコアと、二次側装置の二次側筐体に設けられた凹部とが接触する際に、弾性部材が弾性的に変形することで、接触時の衝撃が緩衝される。また、コアを支持する弾性部材が弾性的に変形するので、コアと、二次側筐体に設けられた凹部とが接触した際にコアの向きや変位量を変えることができる。したがって、所望の接触状態に対して、コアと二次側筐体の凹部とが傾いた状態で接触を開始しても、弾性部材の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態にさせることができる。
【0020】
また、二次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
二次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ一次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記緩衝部材は、前記コアを弾性的に支持する弾性部材であることも好適である。
【0021】
これにより、二次側装置に備えられたコアと、一次側装置の一次側筐体に設けられた凹部とが接触する際に、弾性部材が弾性的に変形することで、接触時の衝撃が緩衝される。また、コアを支持する弾性部材が弾性的に変形するので、コアと、一次側筐体に設けられた凹部とが接触した際にコアの向きや変位量を変えることができる。したがって、所望の接触状態に対して、コアと一次側筐体の凹部とが傾いた状態で接触を開始しても、弾性部材の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態にさせることができる。
【0022】
更に、一次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
一次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ二次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記コアは、軟磁性材料が分散されたゴムからなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散された樹脂からなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散されたゴムと樹脂の混合材料からなる軟磁性体により構成されることで、弾性変形可能に構成されており、
前記緩衝部材は、該コア自体であることも好適である。
【0023】
これにより、一次側装置に備えられたコアと、二次側装置の二次側筐体に設けられた凹部とが接触する際に、コア自体が弾性的に変形することで、接触時の衝撃が緩衝される。また、コア自体が弾性的に変形するので、コアと、二次側筐体に設けられた凹部とが接触した際にコアの向きや変位量を変えることができる。したがって、所望の接触状態に対して、コアと二次側筐体の凹部とが傾いた状態で接触を開始しても、コア自体の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態にさせることができる。
【0024】
更に、二次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
二次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ一次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記コアは、軟磁性材料が分散されたゴムからなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散された樹脂からなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散されたゴムと樹脂の混合材料からなる軟磁性体により構成されることで、弾性変形可能に構成されており、
前記緩衝部材は、該コア自体であることも好適である。
【0025】
これにより、二次側装置に備えられたコアと、一次側装置の一次側筐体に設けられた凹部とが接触する際に、コア自体が弾性的に変形することで、接触時の衝撃が緩衝される。
また、コア自体が弾性的に変形するので、コアと、一次側筐体に設けられた凹部とが接触した際にコアの向きや変位量を変えることができる。したがって、所望の接触状態に対して、コアと一次側筐体の凹部とが傾いた状態で接触を開始しても、コア自体の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態にさせることができる。
【0026】
また、本発明の非接触給電装置は、
一次側コイルと、一次側コイルを支持する一次側筐体とを有する一次側装置と、
二次側コイルと、二次側コイルを支持する二次側筐体とを有する二次側装置と、
を備え、
一次側装置と二次側装置とを非接触の状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、
一次側装置と二次側装置とを接近させた状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置可能なコアを備え、
一次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ二次側筐体には、前記コアが挿通される貫通孔、または前記コアが進入する凹部が設けられると共に、
前記コアを、一次側装置の内部の位置から、一次側筐体に設けられた貫通孔を介して一次側装置の外部に突き出る位置まで往復移動させる駆動機構が備えられていることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、一次側装置と二次側装置とが非接触の状態で電力供給が行われるので、一次側装置と二次側装置とを接触させることによる衝撃の問題はない。そして、一次側装置と二次側装置とが非接触の状態で電力供給が行われるものの、両側のコイルを挿通するように配置されるコアが備えられているので、電力の供給効率を高めることができる。また、一次側と二次側にそれぞれコアを設ける場合のように、コア同士が傾いた状態で接したり、位置ずれした状態で接したり、コア同士が衝突することで破損したりするという問題もない。また、駆動機構によって、コアを、一次側装置の内部の位置から外部に突き出る位置まで往復移動させることができるので、一次側装置と二次側装置とを接近させたり、遠ざけたりする際に、コアが邪魔になることもない。
【0028】
また、本発明の非接触給電装置は、
一次側コイルと、一次側コイルを支持する一次側筐体とを有する一次側装置と、
二次側コイルと、二次側コイルを支持する二次側筐体とを有する二次側装置と、
を備え、
一次側装置と二次側装置とを非接触の状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、
一次側装置と二次側装置とを接近させた状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置可能なコアを備え、
二次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ一次側筐体には、前記コアが挿通される貫通孔、または前記コアが進入する凹部が設けられると共に、
前記コアを、二次側装置の内部の位置から、二次側筐体に設けられた貫通孔を介して二次側装置の外部に突き出る位置まで往復移動させる駆動機構が備えられていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、一次側装置と二次側装置とが非接触の状態で電力供給が行われるので、一次側装置と二次側装置とを接触させることによる衝撃の問題はない。そして、一次側装置と二次側装置とが非接触の状態で電力供給が行われるものの、両側のコイルを挿通するように配置されるコアが備えられているので、電力の供給効率を高めることができる。また、一次側と二次側にそれぞれコアを設ける場合のように、コア同士が傾いた状態で接したり、位置ずれした状態で接したり、コア同士が衝突することで破損したりするという問題もない。また、駆動機構によって、コアを、二次側装置の内部の位置から外部に突き
出る位置まで往復移動させることができるので、一次側装置と二次側装置とを接近させたり、遠ざけたりする際に、コアが邪魔になることもない。
【0030】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、一次側装置と二次側装置との間の衝撃による破損の発生を抑制しつつ、電力の供給効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は電磁誘導型の非接触給電装置の主要構成部を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例2に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例2に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図7】図7は本発明の実施例3に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図8】図8は本発明の実施例3に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図9】図9は本発明の実施例4に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図10】図10は本発明の実施例4に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図11】図11は本発明の実施例5に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図12】図12は本発明の実施例5に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図13】図13は本発明の実施例6に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図14】図14は本発明の実施例6に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図15】図15は従来例に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【図16】図16は従来例に係る非接触給電装置の主要構成部分の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0034】
<非接触給電装置の概要>
本実施例に係る非接触給電装置の詳細な説明に先立って、電磁誘導現象を利用した非接
触給電装置の概要(概略構成及び原理)について、図1を参照して簡単に説明する。
【0035】
一次側(電力供給側)の装置と二次側(受電側)の装置には、それぞれコイルが設けられている。そして、給電(電力の供給)を行う場合には、これらのコイルを対向させるように、一次側の装置と二次側の装置を配置させる。そして、一次側のコイルへの通電を行うと、一次側コイルと二次側コイルとを貫く磁束が発生し、電磁誘導により二次側コイルに電流を流すことが可能となる。
【0036】
一次側の装置には、一般的に、入力された電流の周波数を、送電のために所望の周波数に変化させる周波数変換器と、各種制御を行うための制御回路とを備える一次側コントローラなどが設けられている。また、二次側の装置にも、一般的に、二次側のコイルで発生した電流の周波数を、出力のために所望の周波数に変化させる周波数変換器と、各種制御を行うための制御回路とを備える二次側コントローラなどが設けられている。
【0037】
このように、電磁誘導現象を利用した非接触給電装置は、金属端子同士の接続を必要とすることなく、一次側から二次側に電力を供給することができる。例えば、直接給電した電力で各種装置を駆動することもできれば、二次側の装置に備えられたバッテリの充電を行うために、非接触給電装置を利用することもできる。具体的な例としては、携帯電話機,電動歯ブラシ,電気カミソリなどの小型電気機器の他、電気自動車,ロボットなどの大型機械のバッテリの充電にも利用できる。
【0038】
以下に説明する本発明に係る各種実施例は、非接触給電装置を構成する一次側の装置と二次側の装置のそれぞれに設けられるコイルが設けられている付近構成等に特徴を有する。そこで、説明の便宜上、コイルの付近のみを示す図を用いて、各種実施例を詳細に説明する。
【0039】
(実施例1)
<非接触給電装置の構成>
図2を参照して、本発明の実施例1に係る非接触給電装置について説明する。非接触給電装置は、電力を供給する側である一次側装置100に設けられる各種構成部材と、受電側である二次側装置200に設けられる各種構成部材によって構成される。
【0040】
一次側装置100の筐体(一次側筐体110と称する)の内部には、コイル(一次側コイル120と称する)が設けられている。このように、一次側装置100は、一次側コイル120を支持する一次側筐体110を備えている。ここで、一次側筐体110は、少なくとも一次側コイル120が設けられた付近においては、平板状に構成されており、その表裏面は、一次側コイル120の中心軸に垂直な平面となるように構成されている。
【0041】
上記のように、一次側コイル120は一次側筐体110の内部に設けられているので、流体や異物が外部から一次側コイル120側に侵入してしまうことを抑制でき、各種電気系統に悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。
【0042】
また、二次側装置200においても同様に、筐体(二次側筐体210と称する)の内部には、コイル(二次側コイル220と称する)が設けられている。このように、二次側装置200は、二次側コイル220を支持する二次側筐体210を備えている。ここで、二次側筐体210は、少なくとも二次側コイル220が設けられた付近においては、平板状に構成されており、その表裏面は、二次側コイル220の中心軸に垂直な平面となるように構成されている。
【0043】
上記のように、二次側装置200においても、二次側コイル220は二次側筐体210
の内部に設けられているので、流体や異物が外部から二次側コイル220側に侵入してしまうことを抑制でき、各種電気系統に悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。
【0044】
そして、一次側装置100には、一次側筐体110を支持する支持機構300が設けられている。この支持機構300は、台座310と、台座310に取り付けられるゴム製のダイアフラム320と、台座310を往復移動させるためのパンタグラフ機構(平行伸縮機構)330及びモータ340とが設けられている。
【0045】
台座310には、段付きの凹部311が設けられており、この凹部311の段差部分に緩衝部材かつ弾性部材としてのダイアフラム320が固定されている。このダイアフラム320は、外周縁に沿って、全周的に上記の段差部分に密着した状態で固定されている。これにより、凹部311の開口部は、ダイアフラム320によって塞がれた状態となっている。そして、このダイアフラム320の表面側の中央に、一次側筐体110が固定(支持)されている。
【0046】
そして、モータ340の正逆回転に応じて、パンタグラフ機構330におけるモータ軸に連結されている一対のリンク部材の端部が近付いたり離れたりすることによって、パンタグラフ機構330は伸縮する。これにより、台座310は往復移動(図2中、上下方向に往復移動)する。
【0047】
<給電動作>
特に、図3及び図4を参照して、本発明の実施例1に係る非接触給電装置における給電動作について説明する。なお、図3及び図4においては、パンタグラフ機構330及びモータ340を省略している。
【0048】
給電(電力の供給)を行う場合には、図3に示すように、二次側筐体210を一次側筐体110に対向する位置に配置させる。例えば、電気自動車において、車体の下側に二次側装置200を取り付けた場合には、予め設置されている一次側装置100の上方に二次側装置200が位置するように、車体を移動させる。このとき、車体の重量バランスが均衡していれば、図2に示したように、一次側筐体110と二次側筐体210の対向面同士が平行になる。しかし、車両に乗っている人数や荷物などによっては、車体の重量バランスが不均衡になるため、図3に示すように、一次側筐体110と二次側筐体210の対向面同士は平行にはならないことがある。なお、二次側筐体210を一次側筐体110の対向する位置に配置させる際には、パンタグラフ機構330は縮んだ状態となっている。
【0049】
そして、二次側筐体210を、上記の通り配置させた後に、モータ340によりパンタグラフ機構330を伸ばし、一次側筐体110を二次側筐体210に接触させる。
【0050】
ここで、本実施例においては、上記の通り、一次側筐体110は、ダイアフラム320に固定(支持)されている。したがって、一次側筐体110と二次側筐体210の対向面同士が平行でなくても、ダイアフラム320が変形することによって、一次側筐体110における図中下側の平面部と、二次側筐体210における図中上側の平面部とが密着した状態で両者は接触する(図4参照)。
【0051】
この状態で、一次側コイル120に電流を流すことで、一次側コイル120と二次側コイル220とを貫く磁束が発生する。これにより、電磁誘導によって二次側コイル220に電流を流すことが可能となる。
【0052】
<本実施例の優れた点>
本実施例に係る非接触給電装置によれば、一次側筐体110を、緩衝部材かつ弾性部材
としてのダイアフラム320によって支持する構成を採用している。そのため、一次側筐体110と二次側筐体210とが接触した際には、ダイアフラム320が弾性的に変形して、これらの接触の際の衝撃が緩衝される。これにより、双方の破損の発生を抑制することができる。また、一次側筐体110と二次側筐体210とを接触させた状態で電力を供給できるので、電力の供給効率を高めることができる。
【0053】
また、一次側筐体110を支持するダイアフラム320が弾性的に変形するので、一次側筐体110と二次側筐体210とが接触した際に、一次側筐体110の向きや変位量を変えることができる。したがって、一次側筐体110と二次側筐体210とが傾いた状態で接触を開始しても、ダイアフラム320の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態、すなわち、上記の通り、平面部同士を接触させることができる。これにより、安定的な電力の供給を行わせることができる。
【0054】
<その他>
本実施例においては、一次側装置100に支持機構300を設ける場合の構成を示したが、二次側装置200に支持機構300を設ける構成を採用することもできる。この場合、一次側装置100には、支持機構300を設けてもよいし、設けなくてもよい。このような場合でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0055】
(実施例2)
図5及び図6には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1においては、一次側筐体をダイアフラムによって支持する構成を示したが、本実施例においては、一次側筐体をダイアフラムとバネによって支持する構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0056】
一次側筐体110,一次側コイル120,二次側筐体210及び二次側コイル220の構成については、上記実施例1と同一であるので、その説明は省略する。
【0057】
そして、本実施例に係る支持機構300aは、台座310と、台座310に取り付けられるゴム製のダイアフラム320a及び複数のバネ321とを備えている。なお、台座310については、上記実施例1と同一の構成である。また、本実施例に係る支持機構300aも、実施例1の場合と同様に、パンタグラフ機構330及びモータ340が設けられているが、図5及び図6では省略している。
【0058】
本実施例におけるダイアフラム320aは、その中央に開口部320a1が設けられている。そして、一端が一次側筐体110に固定され、他端が台座310における凹部311の底面に固定された複数のバネ321が、開口部320a1を挿通するように設けられている。
【0059】
なお、給電動作に関しては、上記実施例1の場合と同一であるので、その説明は省略する。
【0060】
以上のように構成される本実施例に係る非接触給電装置においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。そして、本実施例に係る非接触給電装置の場合には、一次側筐体110を、ダイアフラム320aと複数のバネ321によって支える構成を採用している。したがって、給電時に一次側筐体110にかかる荷重が大きな場合には、本実施例に構成を採用するのが望ましい。
【0061】
<その他>
本実施例においては、一次側装置100に支持機構300aを設ける場合の構成を示したが、二次側装置200に支持機構300aを設ける構成を採用することもできる。この場合、一次側装置100には、支持機構300aを設けてもよいし、設けなくてもよい。このような場合でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0062】
(実施例3)
図7及び図8には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例1においては、一次側筐体をダイアフラムによって支持する構成を示したが、本実施例においては、一次側筐体をダイアフラムとベローズによって支持する構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0063】
一次側筐体110,一次側コイル120,二次側筐体210及び二次側コイル220の構成については、上記実施例1と同一であるので、その説明は省略する。
【0064】
そして、本実施例に係る支持機構300bは、台座310と、台座310に取り付けられるゴム製のダイアフラム320a及びゴム製のベローズ322とを備えている。なお、台座310については、上記実施例1と同一の構成である。また、本実施例に係る支持機構300bも、実施例1の場合と同様に、パンタグラフ機構330及びモータ340が設けられているが、図7及び図8では省略している。
【0065】
本実施例におけるダイアフラム320aは、その中央に開口部320a1が設けられている。そして、一端が一次側筐体110に固定され、他端が台座310における凹部311の底面に固定されたベローズ322が、開口部320a1を挿通するように設けられている。
【0066】
なお、給電動作に関しては、上記実施例1の場合と同一であるので、その説明は省略する。
【0067】
以上のように構成される本実施例に係る非接触給電装置においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。そして、本実施例に係る非接触給電装置の場合には、一次側筐体110を、ダイアフラム320aとベローズ322によって支える構成を採用している。したがって、給電時に一次側筐体110にかかる荷重が大きな場合には、本実施例に構成を採用するのが望ましい。
【0068】
<その他>
本実施例においては、一次側装置100に支持機構300bを設ける場合の構成を示したが、二次側装置200に支持機構300bを設ける構成を採用することもできる。この場合、一次側装置100には、支持機構300bを設けてもよいし、設けなくてもよい。このような場合でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0069】
また、一次側筐体110または二次側筐体210を支持する弾性部材として、ダイアフラムのみの場合(実施例1)と、ダイアフラムとバネの組み合わせの場合(実施例2)と、ダイアフラムとベローズとの組み合わせの場合(実施例3)を示した。しかしながら、一次側筐体または二次側筐体を支持する弾性部材については、これらに限られるものではない。バネのみでもよいし、ベローズのみでもよいし、バネとベローズとの組み合わせでもよいし、ダイアフラムとバネとベローズとの組み合わせでもよい。
【0070】
(実施例4)
<非接触給電装置の構成>
図9及び図10を参照して、本発明の実施例4に係る非接触給電装置について説明する。非接触給電装置は、電力を供給する側である一次側装置100aに設けられる各種構成部材と、受電側である二次側装置200aに設けられる各種構成部材によって構成される。
【0071】
一次側装置100aの一次側筐体110aの内部には、一次側コイル120が設けられている。このように、一次側装置100aは、一次側コイル120を支持する一次側筐体110aを備えている。ここで、一次側筐体110aは、少なくとも一次側コイル120が設けられた付近においては、平板状に構成されており、その表裏面は、一次側コイル120の中心軸に垂直な平面となるように構成されている。
【0072】
上記のように、一次側コイル120は一次側筐体110aの内部に設けられているので、流体や異物が外部から一次側コイル120側に侵入してしまうことを抑制でき、各種電気系統に悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。
【0073】
そして、本実施例に係る一次側筐体110aには、その中央(一次側コイル120の中心軸が通る位置)に、貫通孔130が設けられている。
【0074】
また、二次側装置200aにおいても同様に、二次側筐体210aの内部には、二次側コイル220が設けられている。このように、二次側装置200aは、二次側コイル220を支持する二次側筐体210aを備えている。ここで、二次側筐体210aは、少なくとも二次側コイル220が設けられた付近においては、平板状に構成されており、その表裏面は、二次側コイル220の中心軸に垂直な平面となるように構成されている。
【0075】
上記のように、二次側装置200aにおいても、二次側コイル220は二次側筐体210aの内部に設けられているので、流体や異物が外部から二次側コイル220側に侵入してしまうことを抑制でき、各種電気系統に悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。
【0076】
そして、本実施例に係る二次側筐体210aには、その中央(二次側コイル220の中心軸が通る位置)に、凹部230が設けられている。
【0077】
また、一次側装置100aには、一次側筐体110aを支持する支持機構300cが設けられている。この支持機構300cは、台座310aと、台座310aに取り付けられるゴム製のダイアフラム323と、ダイアフラム323に取り付けられたコア(磁心)350とを備えている。
【0078】
なお、本実施例に係る支持機構300cにおいても、上記実施例1で説明した台座310aを往復移動させるためのパンタグラフ機構(平行伸縮機構)及びモータが設けられているが図9及び図10では省略している。
【0079】
本実施例に係る台座310aは、内周面側に段差が設けられた略円筒状の部材により構成されている。そして、この段差部分に緩衝部材かつ弾性部材としてのダイアフラム323が固定されている。このダイアフラム323は、外周縁に沿って、全周的に上記の段差部分に密着した状態で固定されている。そして、このダイアフラム323の表面側の中央に、フェライトなどから構成されるコア350が固定(支持)されている。このコア350は一次側筐体110aに設けられた貫通孔130を挿通し、一次側筐体110aの外側まで突き出た状態となっている。また、台座310aの先端に一次側筐体110aが直接取り付けられている。
【0080】
<給電動作>
次に、本実施例に係る非接触給電装置における給電動作について説明する。給電(電力の供給)を行う場合には、図9に示すように、二次側筐体210aを一次側筐体110aに対向する位置に配置させる。実施例1において説明したように、一次側筐体110aと二次側筐体210aの対向面同士は平行にはならないことがある。なお、二次側筐体210aを一次側筐体110aの対向する位置に配置させる際には、パンタグラフ機構は縮んだ状態となっている。
【0081】
そして、二次側筐体210aを、上記の通り配置させた後に、モータによりパンタグラフ機構を伸ばし、一次側筐体110aが二次側筐体210aに接触するまで一次側筐体110aを移動させる。この過程において、コア350の先端は、二次側筐体210aに設けられた凹部230に進入し、かつ凹部230に突き当たった状態となっている。すなわち、コア350の先端が、凹部230に突き当たった後に、一次側筐体110aが二次側筐体210aに接触するように構成されている。
【0082】
ここで、本実施例においては、上記の通り、コア350は、ダイアフラム323に固定(支持)されている。したがって、コア350の先端面と凹部230の底面とが平行でなくても、ダイアフラム323が変形することによって、コア350の先端面と凹部230の底面とが密着した状態で両者は接触する(図10参照)。
【0083】
この状態で、一次側コイル120に電流を流すことで、一次側コイル120と二次側コイル220とを貫く磁束が発生する。これにより、電磁誘導によって二次側コイル220に電流を流すことが可能となる。
【0084】
<本実施例の優れた点>
本実施例に係る非接触給電装置によれば、コア350を、緩衝部材かつ弾性部材としてのダイアフラム323によって支持する構成を採用している。そのため、一次側装置100aと二次側装置200aとが接触(より具体的には、コア350と二次側筐体210aとが接触)した際には、ダイアフラム323が弾性的に変形して、これらの接触の際の衝撃が緩衝される。これにより、双方の破損の発生を抑制することができる。また、一次側筐体110aと二次側筐体210aとを接触させた状態で電力を供給できるので、電力の供給効率を高めることができる。
【0085】
また、コア350を支持するダイアフラム323が弾性的に変形するので、コア350と、二次側筐体210aに設けられた凹部230とが接触した際にコア350の向きや変位量を変えることができる。したがって、コア350と二次側筐体210の凹部230とが傾いた状態で接触を開始しても、ダイアフラム323の弾性的な変形に伴って、両者を所望の接触状態、すなわち、上記の通りコア350の先端面と凹部230の底面とが密着した状態で接触させることができる。これにより、安定的な電力の供給を行わせることができる。
【0086】
なお、本実施例においては、上記実施例1〜3のように、一次側筐体と二次側筐体とが必ずしも平面同士で接触するとは限らない。しかしながら、本実施例の場合には、一次側コイル120と二次側コイル220の中心軸を貫くようにコア350が配置された状態で給電動作がなされるので、電力の給電効率を高くすることができる。
【0087】
<その他>
上述した本実施例の構成において、一次側と二次側の構成を逆にしてもよい。すなわち、二次側装置を上述した一次側装置100aと同様の構成とし、かつ支持機構300cが設けられる構成とし、一次側装置を二次側装置200aと同様の構成としてもよい。この場合でも同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0088】
(実施例5)
図11及び図12には、本発明の実施例5が示されている。上記実施例4においては、コアをダイアフラムによって支持する構成を示したが、本実施例においては、コアをベローズによって支持する構成を示す。その他の構成および作用については実施例4と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0089】
一次側筐体110a,一次側コイル120,二次側筐体210a及び二次側コイル220の構成については、上記実施例4と同一であるので、その説明は省略する。
【0090】
そして、本実施例に係る支持機構300dは、有底筒状の台座310bを備えている。この台座310bに一次側筐体110aが直接取り付けられている。
【0091】
また、この台座310bの内部に、ベローズ324が設けられている。このベローズ324は、一方の端部が開口し、他方の端部が閉じている蛇腹状の部材である。そして、ベローズ324の一方の端部が一次側筐体110aに対して、貫通孔130の開口端縁に沿うように固定されている。また、このベローズ324における他方の端部の内側に、コア350が固定されている。このコア350におけるベローズ324との固定部との反対側は、一次側筐体110aに設けられた貫通孔130を挿通し、一次側筐体110aの外側まで突き出た状態となっている。
【0092】
また、本実施例に係る支持機構300dにおいても、実施例1の場合と同様に、パンタグラフ機構及びモータが設けられているが、図11及び図12では省略している。
【0093】
なお、給電動作に関しては、上記実施例1の場合と同一であるので、その説明は省略する。
【0094】
以上のように構成される本実施例に係る非接触給電装置においても、上記実施例4の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0095】
<その他>
上述した本実施例の構成において、一次側と二次側の構成を逆にしてもよい。すなわち、二次側装置を上述した一次側装置100aと同様の構成とし、かつ支持機構300dが設けられる構成とし、一次側装置を二次側装置200aと同様の構成としてもよい。この場合でも同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0096】
また、コア350を支持する弾性部材として、ダイアフラムのみの場合(実施例4)と、ベローズのみの場合(実施例5)を示した。しかしながら、コアを支持する弾性部材については、これらに限られるものではない。バネのみでもよいし、バネとダイアフラムの組み合わせでもよいし、バネとベローズとの組み合わせでもよいし、ベローズとダイアフラムとの組み合わせでもよいし、ダイアフラムとバネとベローズとの組み合わせでもよい。
【0097】
なお、上記実施例1〜3の場合には、一次側筐体または二次側筐体を弾性部材により支持するため、弾性部材には、一次側筐体または二次側筐体の重量に加えて、一次側筐体と二次側筐体が接することで発生する荷重全体がかかることになる。これに対して、実施例4,5の場合には、弾性部材には、コア350の重量に加えて、コア350に対して二次側筐体210aが接した際に発生する荷重の一部(大部分は一次側筐体110aが荷重を受ける)がかかることになる。したがって、実施例4,5においては、弾性部材が受ける荷重は、実施例1〜3に比べて小さく、比較的、簡易な構成で済む。
【0098】
また、上記実施例においては、コア350の材料を、磁束を集中させる機能に優れたフェライトの場合について示したが、コア350の材料は、これに限られるものではない。
【0099】
そして、コアを、軟磁性材料が分散されたゴムからなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散された樹脂からなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散されたゴムと樹脂の混合材料からなる軟磁性体により構成することによって、コア自体を、弾性変形可能に構成してもよい。この場合には、コア自体も衝撃を緩衝する機能を発揮する。
【0100】
また、この場合には、実施例4,5において、ダイアフラム等の弾性部材の変形に加えて、コア自在も弾性変形する。従って、コアと二次側筐体210の凹部230とが大きく傾いた状態で接触を開始しても、ダイアフラム等の弾性部材の変形とコア自体の変形によって、コアの先端面と凹部230の底面とが密着した状態で接触させることができる。
【0101】
なお、コア自体を弾性変形可能に構成する場合には、実施例4,5において、ダイアフラム等の弾性部材はなくてもよい。
【0102】
(実施例6)
<非接触給電装置の構成>
図13及び図14を参照して、本発明の実施例6に係る非接触給電装置について説明する。非接触給電装置は、電力を供給する側である一次側装置100aに設けられる各種構成部材と、受電側である二次側装置200bに設けられる各種構成部材によって構成される。
【0103】
一次側装置100aの一次側筐体110aの内部には、一次側コイル120が設けられている。このように、一次側装置100aは、一次側コイル120を支持する一次側筐体110aを備えている。ここで、一次側筐体110aは、少なくとも一次側コイル120が設けられた付近においては、平板状に構成されており、その表裏面は、一次側コイル120の中心軸に垂直な平面となるように構成されている。
【0104】
上記のように、一次側コイル120は一次側筐体110aの内部に設けられているので、流体や異物が外部から一次側コイル120側に侵入してしまうことを抑制でき、各種電気系統に悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。
【0105】
そして、本実施例に係る一次側筐体110aには、その中央(一次側コイル120の中心軸が通る位置)に、貫通孔130が設けられている。
【0106】
また、二次側装置200bにおいても同様に、二次側筐体210bの内部には、二次側コイル220が設けられている。このように、二次側装置200bは、二次側コイル220を支持する二次側筐体210bを備えている。ここで、二次側筐体210bは、少なくとも二次側コイル220が設けられた付近においては、平板状に構成されており、その表裏面は、二次側コイル220の中心軸に垂直な平面となるように構成されている。
【0107】
上記のように、二次側装置200bにおいても、二次側コイル220は二次側筐体210bの内部に設けられているので、流体や異物が外部から二次側コイル220側に侵入してしまうことを抑制でき、各種電気系統に悪影響を及ぼしてしまうことを抑制できる。
【0108】
そして、本実施例に係る二次側筐体210bにも、その中央(二次側コイル220の中心軸が通る位置)に、貫通孔240が設けられている。
【0109】
また、一次側装置100aには、一次側筐体110aを支持する支持機構300eが設けられている。この支持機構300eは、有底筒状の台座310cと、台座310cの内部に取り付けられるパンタグラフ機構(平行伸縮機構)360及びモータ361と、パンタグラフ機構360に取り付けられるコア(磁心)350とを備えている。
【0110】
なお、本実施例に係る支持機構300eにおいては、上記の各実施例には備えられている、台座を往復移動させるためのパンタグラフ機構(平行伸縮機構)及びモータは備えられていない。
【0111】
本実施例に係る台座310cは、有底筒状の部材により構成されており、その内部に、パンタグラフ機構(平行伸縮機構)360及びモータ361が設けられている。パンタグラフ機構360及びモータ361の構成及び動作については、実施例1で示したパンタグラフ機構330及びモータ340の構成及び動作と同一であるので、その説明は省略する。そして、パンタグラフ機構360におけるモータ軸が固定されている側とは反対側にフェライトなどから構成されるコア350が固定(支持)されている。このコア350は、モータ361を正逆回転させることに伴うパンタグラフ機構360の伸縮動作により、図中、上下方向に往復移動する。また、台座310aの先端に一次側筐体110aが直接取り付けられている。
【0112】
<給電動作>
次に、本実施例に係る非接触給電装置における給電動作について説明する。給電(電力の供給)を行う場合には、図13に示すように、二次側筐体210bを一次側筐体110aに対向する位置であって、両者が近接するように配置させる。実施例1において説明したように、一次側筐体110aと二次側筐体210bの対向面同士は平行にはならないことがある。なお、二次側筐体210bを一次側筐体110aの対向する位置に配置させる際には、パンタグラフ機構360は縮んだ状態となっている。
【0113】
そして、二次側筐体210bを、上記の通り配置させた後に、モータ361によりパンタグラフ機構360を伸ばし、コア350を、図中上方に移動させる。これにより、コア350の先端は、一次側筐体110aに設けられた貫通孔130を通り抜け、更に、二次側筐体210bに設けられた貫通孔240をも通り抜けた状態となる(図14参照)。
【0114】
この状態で、一次側コイル120に電流を流すことで、一次側コイル120と二次側コイル220とを貫く磁束が発生する。これにより、電磁誘導によって二次側コイル220に電流を流すことが可能となる。
【0115】
<本実施例の優れた点>
本実施例に係る非接触給電装置によれば、一次側装置100aと二次側装置200bとが非接触の状態で電力供給が行われるので、一次側装置100aと二次側装置200bとを接触させることによる衝撃の問題はない。そして、一次側装置100aと二次側装置200bとが非接触の状態で電力供給が行われるものの、一次側コイル120と二次側コイル220を挿通するように配置されるコア350が備えられているので、電力の供給効率を高めることができる。また、一次側と二次側にそれぞれコアを設ける場合のように、コア同士が傾いた状態で接したり、位置ずれした状態で接したり、コア同士が衝突することで破損したりするという問題もない。また、駆動機構(パンタグラフ機構360及びモータ361)によって、コア350を、一次側装置100aの内部の位置から外部に突き出る位置まで往復移動させることができるので、一次側装置100aと二次側装置200bとを接近させたり、遠ざけたりする際に、コア350が邪魔になることもない。
【0116】
なお、本実施例に係る駆動機構においては、コア350のみを往復移動させる構成であ
るので、上記各実施例の場合のように、一次側筐体全体を駆動させる駆動機構(パンタグラフ機構330及びモータ340)に比べて、駆動力は小さくて済む。
【0117】
<その他>
本実施例においては、二次側筐体210bに貫通孔240を設ける構成を示したが、貫通孔240の代わりに、コア350が突き当たらない程度の深さを有する凹部としてもよい。
【0118】
上述した本実施例の構成において、一次側と二次側の構成を逆にしてもよい。すなわち、二次側装置を上述した一次側装置100aと同様の構成とし、かつ支持機構300eが設けられる構成とし、一次側装置を二次側装置200bと同様の構成としてもよい。この場合でも同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0119】
なお、上記各実施例においては、一次側筐体,二次側筐体、又はコアを上下方向(鉛直方向)に移動させる場合のみを例示したが、これらを移動させる方向は、特に限定されるものではない。すなわち、上記各実施例では、一次側装置を下方側に設置し、二次側装置を上方側に設置する場合を示したが、これらの設置位置は特に限定されるものではない。したがって、例えば、実施例1では、ダイアフラム320の上方に一次側筐体110が設けられる構成を示した。しかしながら、上下方向を逆の関係となるように配置することもでき、この場合には、ダイアフラム320の下方に一次側筐体110が設けられ、一次側筐体110はダイアフラム320によって吊り下げられた状態となる。また、上下方向を逆の関係にする場合に限らず、一次側筐体と二次側筐体が水平方向に対向する関係としたり、鉛直方向に対して斜め方向に対向する関係にしたりすることもできる。他の実施例においても同様である。
【符号の説明】
【0120】
100,100a 一次側装置
110,110a 一次側筐体
120 一次側コイル
130 貫通孔
200,200a,200b 二次側装置
210,210a,210b 二次側筐体
220 二次側コイル
230 凹部
240 貫通孔
300,300a,300b,300c,300d,300e 支持機構
310,310a,310b,310c 台座
311 凹部
320,320a ダイアフラム
320a1 開口部
321 バネ
322 ベローズ
323 ダイアフラム
324 ベローズ
330 パンタグラフ機構
340 モータ
350 コア
360 パンタグラフ機構
361 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側コイルと、一次側コイルを支持する一次側筐体とを有する一次側装置と、
二次側コイルと、二次側コイルを支持する二次側筐体とを有する二次側装置と、
を備え、
一次側装置と二次側装置とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、
一次側装置と二次側装置とが接触した際に、弾性的に変形することで、接触時の衝撃を緩衝する緩衝部材を備えることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
一次側筐体と二次側筐体とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給可能に構成されると共に、
前記緩衝部材は、一次側装置に設けられ、一次側筐体を弾性的に支持する弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
一次側筐体と二次側筐体とを接触させた状態で、一次側から二次側へ電力を供給可能に構成されると共に、
前記緩衝部材は、二次側装置に設けられ、二次側筐体を弾性的に支持する弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項4】
一次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
一次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ二次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記緩衝部材は、前記コアを弾性的に支持する弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項5】
二次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
二次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ一次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記緩衝部材は、前記コアを弾性的に支持する弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項6】
一次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
一次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ二次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記コアは、軟磁性材料が分散されたゴムからなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散された樹脂からなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散されたゴムと樹脂の混合材料からなる軟磁性体により構成されることで、弾性変形可能に構成されており、
前記緩衝部材は、該コア自体であることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項7】
二次側装置には、一次側装置と二次側装置が接触した状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置されるコアが備えられ、
二次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ一次側筐体には前記コアが進入して、該コアの先端が突き当たる凹部が設けられており、
前記コアは、軟磁性材料が分散されたゴムからなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散された樹脂からなる軟磁性体、又は軟磁性材料が分散されたゴムと樹脂の混合材料からなる
軟磁性体により構成されることで、弾性変形可能に構成されており、
前記緩衝部材は、該コア自体であることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項8】
一次側コイルと、一次側コイルを支持する一次側筐体とを有する一次側装置と、
二次側コイルと、二次側コイルを支持する二次側筐体とを有する二次側装置と、
を備え、
一次側装置と二次側装置とを非接触の状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、
一次側装置と二次側装置とを接近させた状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置可能なコアを備え、
一次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ二次側筐体には、前記コアが挿通される貫通孔、または前記コアが進入する凹部が設けられると共に、
前記コアを、一次側装置の内部の位置から、一次側筐体に設けられた貫通孔を介して一次側装置の外部に突き出る位置まで往復移動させる駆動機構が備えられていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項9】
一次側コイルと、一次側コイルを支持する一次側筐体とを有する一次側装置と、
二次側コイルと、二次側コイルを支持する二次側筐体とを有する二次側装置と、
を備え、
一次側装置と二次側装置とを非接触の状態で、一次側から二次側へ電力を供給する非接触給電装置であって、
一次側装置と二次側装置とを接近させた状態で、一次側コイル内と二次側コイル内を挿通するように配置可能なコアを備え、
二次側筐体には前記コアが挿通される貫通孔が設けられ、かつ一次側筐体には、前記コアが挿通される貫通孔、または前記コアが進入する凹部が設けられると共に、
前記コアを、二次側装置の内部の位置から、二次側筐体に設けられた貫通孔を介して二次側装置の外部に突き出る位置まで往復移動させる駆動機構が備えられていることを特徴とする非接触給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−55096(P2012−55096A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196076(P2010−196076)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)