非接触給電装置
【課題】駆動機構が簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる非接触給電装置を提供する。
【解決手段】給電側設備10は、第1の共振器11と、第1の共振器11に交流を供給する電源部12とを備え、受電側設備21は第2の共振器22と、第2の共振器22が受電した電力が供給される負荷とを備えている。第1の共振器11及び第2の共振器22は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器11,22が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。給電側設備10は、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させる移動手段13を備えている。
【解決手段】給電側設備10は、第1の共振器11と、第1の共振器11に交流を供給する電源部12とを備え、受電側設備21は第2の共振器22と、第2の共振器22が受電した電力が供給される負荷とを備えている。第1の共振器11及び第2の共振器22は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器11,22が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。給電側設備10は、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させる移動手段13を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に係り、詳しくはコイル間の磁気的結合により非接触で給電側から受電側に電力を供給する非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触給電装置として、給電側の一次コイルと受電側の二次コイルとの間の電磁誘導を利用して給電側から受電側に電力を供給する非接触給電装置が知られている。この種の非接触給電装置は、電気自動車やハイブリッド車に搭載されたバッテリ(二次電池)を充電するための給電装置(充電装置)として、利用の拡大が見込まれている。
【0003】
非接触給電装置を用いる車両の非接触充電システムは、給電側の一次コイルは地上に設置されており、車両側の二次コイルは車体の床面の外側に設置されている。非接触給電装置を用いる車両の非接触充電システムにおいて充電を効率良く行うためには、給電部と受電部との位置ずれやギャップ長の変化の許容範囲を厳しく制限する必要がある。しかし、車両を決められた位置に正確に止めることは困難であり、それを強いるシステムは、一般人が利用し難い。
【0004】
従来、送電装置(給電装置)を、支軸を中心に駆動装置により充電可能位置と待機位置との間を回動させるように構成し、車両が所定の停止位置に停止した状態で、送電装置を待機位置から充電可能位置に回動させて、充電を行うようにした充電システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−189769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の充電システムは、車両が予め設定された経路を走行し、走行経路に沿った充電場所で停止した状態で送電装置が待機位置から充電可能位置に回動される。したがって、送電装置を目標にして車両を所定の停止位置に停止させるのに比べて、車両を所定の停止位置に精度良く停止させ易くなる。しかし、充電が効率良く行われるためには、車両が所定の停止位置に精度良く停止することが前提になる。
【0007】
車両の停止位置を検出して、給電装置を充電が効率良く行われ位置に移動させるには、給電装置をX,Y方向に移動可能とするか、直線移動と回動との組み合わせで目的位置まで移動させる必要があり、移動のための駆動装置が複雑になる。
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、駆動機構に簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、給電側設備から移動体に搭載された受電側設備に対して前記移動体が停止した状態で非接触給電を行う非接触給電装置である。そして、前記給電側設備は、第1の共振器と、前記第1の共振器に交流を供給する電源部とを備え、前記受電側設備は第2の共振器と、前記第2の共振器が受電した電力が供給される負荷とを備えている。前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、前記非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。非接触給電装置は、前記非接触電力伝送を行う状態において、前記第1の共振器及び前記第2の共振器のいずれか一方を、前記移動体の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段を備えている。
【0010】
従来、非接触給電装置においては、一次側のコイルと二次側のコイルとが最も近づいた状態で、最大効率で電力伝送が行われるように一次側と二次側の整合調整を行っていたため、二次側を移動体に搭載した場合、目的の伝送効率で電力伝送を行うためには、移動体の停止位置の精度を厳しくする必要がある。しかし、この発明では、第1の共振器及び第2の共振器は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。そして、第1の共振器及び第2の共振器のいずれか一方を、移動体の停止位置に対応して移動手段により移動させる。移動させる位置は最大効率で電力伝送可能な位置でなくても、目的とする伝送効率以上で電力伝送が可能な位置であればよい。したがって、駆動機構が簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記移動手段は、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を、両共振器のコイルの中心以外の位置にある軸の周囲に公転させる。この発明では、第1の共振器又は第2の共振器が公転することにより目的とする伝送効率以上で電力伝送が可能な位置に移動される。したがって、直線移動の場合に比べて、移動体の停止許容範囲が広くなる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記移動手段は、前記給電側設備に設けられている。移動手段を受電側設備に設けると、移動体の大型化を招いたり、移動体を構成する他の機器等の設置スペースの自由度が小さくなったりする。また、受電側設備に移動手段を設ける場合は、受電側設備を搭載した移動体全てに設ける必要があるが、給電側設備に設ける場合は給電側設備を利用する移動体の数に拘らず、移動手段の数を1個とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駆動機構が簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は一実施形態の非接触充電システムの模式図、(b)は一次コイルと二次コイルとの位置関係を示す模式平面図。
【図2】第1の共振器と第2の共振器との関係を示す概略図。
【図3】(a),(b)は作用を説明するための概略図。
【図4】(a),(b)は作用を説明するための模式図。
【図5】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図6】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合で、左右方向が長い場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図7】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合で、左右方向が長い場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図8】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合で、左右方向が長い場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図9】別の実施形態の模式図。
【図10】(a)は別の実施形態の模式図、(b)は第1の共振器と第2の共振器との関係を示す模式図。
【図11】別の実施形態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を車載バッテリを充電するための非接触充電システムに具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。図1(a)に示すように、非接触給電装置としての非接触充電システムは、地上側に設けられる給電側設備10と、移動体としての車両20に搭載された受電側設備21とで構成されている。
【0016】
給電側設備10は、第1の共振器11と、第1の共振器11に交流を供給する電源部12と、第1の共振器11を移動させる移動手段13と、電源側コントローラ14とを備えている。第1の共振器11は、一次側コイル15と、一次側コイル15に接続されたコンデンサC1と、磁性体コア16とを備えている。一次側コイル15は磁性体コア16に複数回巻回されて多層巻のコイルを形成している。磁性体コア16はその両端が一次側コイル15の両端から突出する長さに形成されている。
【0017】
電源部12は、電源側コントローラ14からの指令により第1の共振器11に所定周波数の交流を出力する。移動手段13は、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に移動させる。
【0018】
移動手段13は、モータ17と、モータ17により回動される支持アーム18とを備え、支持アーム18の一端に磁性体コア16を非磁性体製の部材を介して支持している。即ち、移動手段13は、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させる。モータ17は、電源側コントローラ14からの指令により、第1の共振器11のコイル即ち一次側コイル15の中心以外の位置にある軸、この実施形態ではモータ17の出力軸17aの周囲に公転させる。
【0019】
受電側設備21は車両20の後部に搭載されており、例えば、図示しないナンバープレートの下のあたりに配設される。受電側設備21は、第2の共振器22と、整流器23と、充電器24と、充電器24に接続されたバッテリ(二次電池)25と、車両側コントローラ26とを備えている。整流器23、充電器24及びバッテリ25は負荷を構成する。充電器24は、整流器23で整流された直流をバッテリ25に充電するのに適した電圧に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)を備えている。車両側コントローラ26は、充電時に充電器24のDC/DCコンバータのスイッチング素子を制御する。電源側コントローラ14と、車両側コントローラ26とは図示しない無線通信装置を介して通信できるようになっている。
【0020】
第2の共振器22は、二次側コイル27と、二次側コイル27に接続されたコンデンサC2と、磁性体コア28とを備えている。二次側コイル27は磁性体コア28に複数回巻回されて多層巻のコイルを形成している。磁性体コア28はその両端が二次側コイル27の両端から突出する長さに形成されている。
【0021】
図1(a),(b)に示すように、第1の共振器11及び第2の共振器22は、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸と、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸とが上下方向に延びるとともに、同じ高さとなるように設けられている。
【0022】
第1の共振器11及び第2の共振器22は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。予め設定された距離は、例えば、給電側設備10が設けられる箇所と車両20の停止位置スペース、第1の共振器11及び第2の共振器22の能力、大きさ、目的とする伝送効率等を考慮して設定される。そして、電源側コントローラ14は、非接触電力伝送を行う状態、即ち車両20が充電位置に停止して、車両側コントローラ26から充電要求信号を受信すると、移動手段13により第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に移動させる。
【0023】
電源側コントローラ14は、第1の共振器11が最大効率で電力伝送可能な位置に移動したか否かの判断を、反射電力や力率に基づいて行うようになっている。この実施形態では、電源部12は、一次側コイル15からの反射電力を検出する図示しない反射電力検出手段を備えている。電源側コントローラ14は、反射電力検出手段を介して反射電力をモニタ可能になっており、第1の共振器11を給電位置へ移動させる際、反射電力が最小となる位置に第1の共振器11を移動させる。
【0024】
次に前記のように構成された非接触充電システムの作用を説明する。
運転者はバッテリ25の充電が必要と判断した場合は、車両20を給電側設備10の所定位置にバックで停止させる。そして、電源側コントローラ14に図示しない通信装置を用いて充電要求(給電要求)を通信(報知)する。
【0025】
電源側コントローラ14は、車両20から充電要求を受信すると、非接触電力伝送を開始する前に、モータ17に駆動指令を出力して、第1の共振器11を予め設定された伝送効率以上の効率で電力伝送が可能な位置まで移動させる。電源側コントローラ14は、電源部12の反射電力検出手段をモニタして、反射電力が最小となる位置に第1の共振器11を移動させる。
【0026】
そして、第1の共振器11が電力伝送に適した位置に移動された状態で、電源側コントローラ14は電源部12に、第1の共振器11に対して所定周波数の交流を出力するように指令を行い、電源部12から一次側コイル15に所定周波数の交流が出力される。一次側コイル15に交流が供給されると、一次側コイル15に流れる電流によって生じた磁界により磁性体コア16が磁化されてその両端に磁極が生じる。一次側コイル15に流れる電流の方向によって、磁性体コア16に生じる磁極のN極とS極とが決まり、電流の方向が変化するたびに、図3(a)に示すように、磁性体コア16の下端にN極が、上端にS極が生じる状態と、図3(b)に示すように、磁性体コア16の上端にN極が、下端にS極が生じる状態とが繰り返される。また、磁性体コア16の下端にN極が、上端にS極が生じる状態では、磁性体コア28の下端にS極が、上端にN極が生じ、磁性体コア16の上端にN極が、下端にS極が生じる状態では、磁性体コア28の上端にS極が生じ、下端にN極が生じる状態となる。そして、共振サイクルで図3(a)の状態と図3(b)の状態とが繰り返され、受電側設備21の二次側コイル27に非接触で電力伝送が行われる。二次側コイル27が受電した電力は、整流器23で整流された後、充電器24に供給され、充電器24でバッテリ25の充電に適した電圧に昇圧されてバッテリ25に供給されてバッテリ25が充電される。
【0027】
磁性体コア16が存在する状態では、一次側コイル15の巻き数や一次側コイル15が巻回されている部分の磁性体コア16の長さに拘らず、磁極は磁性体コア16の両端に生じ、理想的には磁性体コア16の中間部には磁極は生じない。また、磁性体コア28においても磁極は磁性体コア28の端部に生じ、中間部には生じない。そして、磁性体コア16と磁性体コア28の磁極同士の磁気的結合で電力伝送が行われる。
【0028】
車両側コントローラ26は、例えば、バッテリ25の電圧が所定電圧になった時点からの経過時間により充電完了を判断し、充電が完了すると、電源側コントローラ14に充電完了信号を送信する。電源側コントローラ14は、充電完了信号を受信すると電力伝送を終了する。なお、満充電になる前に、運転者が充電終了を要求した場合も、電源側コントローラ14に給電終了要求が送信され、電源側コントローラ14は電力伝送を終了する。
【0029】
非接触電力伝送を共振で行う従来技術では、第1の共振器11及び第2の共振器22が最も近づいた状態で、即ち図2において磁性体コア16と磁性体コア28との中心軸間の距離Lが最小の状態で、電力伝送が最大効率となるように第1の共振器11と第2の共振器22との整合調整を行い、その状態を基準にしてずれの許容範囲を設定する。そのため、車両20の停止位置のずれの許容範囲が狭くなる。
【0030】
これに対して、この実施形態では、第1の共振器11及び第2の共振器22が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。そのため、車両20の停止位置のずれの許容範囲を広くすることができる。詳述すると、図4(a)において、第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16の中心は、出力軸17aを中心とした二点鎖線で示す円40の円周上を移動可能である。そして、太い破線で示す半径rの円41の円周上に第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心が位置する状態、例えば、図4(b)に示す状態、即ち磁性体コア16と磁性体コア28との距離dが円41の半径rと同じ状態で、電力伝送が最大効率となる状態になる。そのため、破線で示す円42内に二次側コイル27及び磁性体コア28の中心が位置する状態であれば、どの位置であってもモータ17の駆動により一次側コイル15及び磁性体コア16を電力伝送が最大効率となる状態に移動させることができる。図4(b)は図4(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に移動した状態を示し、一次側コイル15及び磁性体コア16は矢印45で示す経路で、電力伝送位置まで移動する。
【0031】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)非接触給電装置としての非接触充電システムは、給電側設備10から車両20に搭載された受電側設備21に対して車両20が停止した状態で非接触給電を行う。給電側設備10は、第1の共振器11と、第1の共振器11に交流を供給する電源部12とを備え、受電側設備21は第2の共振器22と、第2の共振器22が受電した電力が供給される負荷とを備えている。第1の共振器11及び第2の共振器22は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器11,22が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。給電側設備10は、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させる移動手段13を備えている。したがって、駆動機構が簡単な移動手段を用いても、車両20の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる。
【0032】
(2)移動手段13は、第1の共振器11を第1の共振器11及び第2の共振器22のコイルの中心以外の位置にある軸の周囲に公転させる。したがって、第1の共振器11を目的とする伝送効率以上で電力伝送が可能な位置に直線移動で移動される場合に比べて、車両20の停止許容範囲が広くなる。
【0033】
(3)移動手段13は、給電側設備10に設けられている。移動手段13を受電側設備21に設けると、車両20の大型化を招いたり、車両20を構成する他の機器等の設置スペースの自由度が小さくなったりする。また、受電側設備21に移動手段13を設ける場合は、受電側設備21を搭載した車両20全てに設ける必要があるが、給電側設備10に設ける場合は給電側設備10を利用する車両20の数に拘らず、移動手段13の数を1個とすることができる。
【0034】
(4)第1の共振器11及び第2の共振器22はそれぞれ磁性体コア16,28を備えている。したがって、磁性体コア16,28を備えていない場合に比べて、強い磁界が発生し、安定して電力伝送を行うことができる。
【0035】
(5)受電側設備21は車両20に搭載され、車両20は負荷として整流器23及びバッテリ25を備えている。バッテリ25を充電するために受電側設備21が搭載された車両20を、非接触給電が効率良く行われる位置に正確に停止させることは運転者にとって難しい。しかし、受電側設備21は非接触給電が効率良く行われる停止位置の許容範囲が広いため、運転者の車両停止操作の負担が少なくなる。
【0036】
(6)受電側設備21は車両20の後部に搭載されている。したがって、受電側設備21を車両20の他の部分、例えば、車体の側面や車両20の床下等に搭載する場合に比べて、搭載スペースの確保が容易になるとともに、充電のための所定停止位置に車両20を停止させる際に停止操作が容易になる。また、給電側設備10の設置も簡単になる。
【0037】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の共振器11の磁性体コア16と第2の共振器22の磁性体コア28との位置ずれ許容範囲は円とは限らず、図5(a),(b)に示すように四角形としてもよい。図5(a),(b)は、出力軸17aが四角形の位置ずれ許容範囲A1の中心に位置する状態の場合を示している。この場合は、円41の半径rが円40の外周と許容範囲A1の角との最短距離以上であれば、磁性体コア28が許容範囲A1どの位置に存在しても、磁性体コア16を電力伝送が最大効率となる位置に移動させることができる。図5(b)は図5(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。
【0038】
○ 図6(a),(b)は、車輪止めを用いて車両20の前後方向への位置ずれが小さく、左右方向へのずれが大きな場合に対応して、位置ずれ許容範囲A2を車両20の左右方向に長い四角形の領域とした場合の一形態を示している。なお、図6(a),(b)において上下方向が車両20の左右方向となる。この実施形態においても、出力軸17aは四角形の位置ずれ許容範囲A2の中心に位置する状態に配置されている。この場合も、円41の半径rが円40の外周と許容範囲A2の角との最短距離以上であれば、磁性体コア28が許容範囲A2どの位置に存在しても、磁性体コア16を電力伝送が最大効率となる位置に移動させることができる。図6(b)は図6(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。
【0039】
○ 図7(a),(b)は、車輪止めを用いて車両20の前後方向への位置ずれが小さく、左右方向へのずれが大きな場合に対応して、位置ずれ許容範囲A2を車両20の左右方向に長い四角形の領域とした場合の変更例を示している。なお、図7(a),(b)において上下方向が車両20の左右方向となる。この実施形態においては、出力軸17aは四角形の位置ずれ許容範囲A2の中心ではなく、中心より前方寄り(図7(a),(b)の左寄り)に位置する状態に配置されている。図7(b)は図7(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。
【0040】
○ 図8(a),(b)は、出力軸17aの位置が、図7(a),(b)の場合より四角形の位置ずれ許容範囲A2の中心よりさらに前方寄り(図8(a),(b)の左寄り)に位置する状態に配置されている変更例を示す。図8(b)は図8(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。この場合は、図7(a),(b)に示す場合に比べて、一次側コイル15及び磁性体コア16の移動量を少なくすることができる。
【0041】
○ 図9に示すように、受電側設備21を第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態で車両20に搭載してもよい。この場合、給電側設備10の第1の共振器11は、地上に形成された穴31の中に配設される。モータ17は出力軸17aが充電位置に停止した車両20の前後方向と平行に延びる状態で設置されおり、一次側コイル15及び磁性体コア16は二次側コイル27及び磁性体コア28と平行な状態で待機位置と給電位置とに移動される。なお、穴31の開口は車両20の移動に支障がないように図示しないカバーで覆われている。
【0042】
○ 非接触充電システムは、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11及び第2の共振器22のいずれか一方を、移動体(車両20)の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段を備えていればよい。また、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段は、軸の回動のみで移動させる構成に限らず、直線移動のみで移動させることが可能な構成であってもよい。例えば、図10(a)に示すように、受電側設備21を第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態で車両20に搭載し、二次側コイル27及び磁性体コア28が前後方向に延びる状態を維持した状態で車両20の左右方向(車幅方向)に水平に移動可能に構成してもよい。磁性体コア28は図示しない駆動機構により車幅方向に直線移動可能な支持体19に、非磁性体製の部材19aを介して支持されている。駆動機構としては、例えば、シリンダやボールねじ機構が使用される。この場合、第1の共振器11の磁性体コア16と第2の共振器22の磁性体コア28との関係を示すと、車両20が充電位置に停止した状態では、磁性体コア28が直線移動する経路は、図10(b)に示すように、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心を中心とした半径rの円41の円周と交差する状態になる。そして、磁性体コア28の中心が円41の円周上に位置する状態では、電力伝送が最大効率となる状態になる。
【0043】
○ 受電側設備21の車両20に対する搭載位置は車両20の後部に限らず、例えば、車両20の前部や中間部に搭載してもよい。前部に搭載する場合は、後部に搭載する場合と同様に搭載されるが、中間部に搭載する場合は、例えば、図11に示すように、第2の共振器22は、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が地上面に対して平行にかつ車幅方向に延びるように搭載される。また、給電側設備10の第1の共振器11は、地上に形成された穴31の中に配設される。モータ17は出力軸17aが充電位置に停止した車両20の車幅方向と平行に延びる状態で設置されおり、一次側コイル15及び磁性体コア16は二次側コイル27及び磁性体コア28と平行な状態で待機位置と給電位置とに移動される。また、図11に示す実施形態では、二次側コイル27は充電器24接続され、充電器24は整流器を内蔵している。
【0044】
○ 受電側設備21を第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態で車両20に搭載する場合においても、第2の共振器22を車両20の中間部に配置してもよい。また、給電側設備10の第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸を、給電側設備10の所定位置に停止した車両20の中間部と対応する位置で車両20の前後方向に延びる状態に配置してもよい。
【0045】
○ 第2の共振器22を車両20の側部に設けてもよい。
○ 一次側コイル15及び二次側コイル27は複層巻に限らず単層巻であってもよい。
○ 磁性体コア16,28は一次側コイル15あるいは二次側コイル27を貫通する長さを有する必要は無く、一次側コイル15及び二次側コイル27の長さ以下の長さであってもよい。
【0046】
○ 第1の共振器11及び第2の共振器22として、一次側コイル15に接続されたコンデンサC1や二次側コイル27に接続されたコンデンサC2に代えて、一次側コイル15や二次側コイル27の寄生容量をコンデンサの代用としてもよい。
【0047】
○ 非接触電力伝送を行うときに、第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸と、第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸とが互いに平行に配置される構成に限らず、平行状態から多少ずれていてもよい。
【0048】
○ 磁性体コア16及び磁性体コア28を省略してもよい。しかし、磁性体コア16及び磁性体コア28が存在する方が好ましい。
○ 給電側設備10及び受電側設備21は、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心と、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心とが同じ高さでなくてもよい。
【0049】
○ 受電側設備21を車両20の後部に搭載する場合、搭載位置はナンバープレートの下でなく上側にしてもよい。
○ 電源側コントローラ14は、反射電力検出手段を介して反射電力をモニタして、第1の共振器11を給電位置へ移動させる際、反射電力が最小となる位置ではなく、反射電力が予め設定された閾値以下になる位置に第1の共振器11を移動させるようにしてもよい。
【0050】
○ 車両20は運転者を必要とする車両に限らず、例えば、無人搬送車であってもよい。
○ 非接触給電装置は、車両に搭載されたバッテリ25の充電に使用するものに限らず、バッテリを備えた移動体、例えば、自走式のロボットであってもよい。
【0051】
○ バッテリ25への充電位置が屋内の場合、給電側設備10の第1の共振器11等を充電時における移動体の停止位置の上方、例えば天井に設けてもよい。
○ 充電器24を設けずに、二次側コイル27から出力される交流電流を整流器23で整流した後、バッテリ25に直接充電するようにしてもよい。
【0052】
○ 電源部12は、交流出力の周波数が変更可能でも変更不能でもよい。
○ 非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11及び第2の共振器22のいずれか一方を、移動体の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段13を用いて移動させる代わりに、最大効率より多少効率が悪い位置、例えば、最大効率の90%以上となる位置に移動させてもよい。
【0053】
○ 移動体(例えば車両20)が、ある閾値以上の効率が得られない場所に停車した場合でも、第1の共振器11及び第2の共振器22のいずれか一方を駆動機構で移動させて、閾値以上の効率が得られるようにしてもよい。
【0054】
○ 図1(a),(b)に示す構成のように、第1の共振器11及び第2の共振器22が、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸と、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸とが上下方向に延びる構成において、受電側設備21に移動手段13を設けて、第2の共振器22を移動させる構成にしてもよい。
【0055】
○ 図10(a)に示す構成のように、第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態を維持した状態で車両20の左右方向に水平に移動可能とする代わりに、第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16を車両20の左右方向に水平に移動可能に構成してもよい。
【0056】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、コイルと、前記コイルに接続されたコンデンサと、磁性体コアとを備えている。
【0057】
(2)請求項1〜請求項3及び前記技術的思想(1)のいずれか1項に記載の発明において、前記移動体は車両である。
(3)前記技術的思想(2)に記載の発明において、前記車両は前記負荷として整流器及びバッテリを備えている。
【0058】
(4)前記技術的思想(2)又は(3)に記載の発明において、前記移動手段は、前記第2の共振器を直線移動させる。
【符号の説明】
【0059】
d,L…距離、10…給電側設備、11…第1の共振器、12…電源部、13…移動手段、21…受電側設備、22…第2の共振器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に係り、詳しくはコイル間の磁気的結合により非接触で給電側から受電側に電力を供給する非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触給電装置として、給電側の一次コイルと受電側の二次コイルとの間の電磁誘導を利用して給電側から受電側に電力を供給する非接触給電装置が知られている。この種の非接触給電装置は、電気自動車やハイブリッド車に搭載されたバッテリ(二次電池)を充電するための給電装置(充電装置)として、利用の拡大が見込まれている。
【0003】
非接触給電装置を用いる車両の非接触充電システムは、給電側の一次コイルは地上に設置されており、車両側の二次コイルは車体の床面の外側に設置されている。非接触給電装置を用いる車両の非接触充電システムにおいて充電を効率良く行うためには、給電部と受電部との位置ずれやギャップ長の変化の許容範囲を厳しく制限する必要がある。しかし、車両を決められた位置に正確に止めることは困難であり、それを強いるシステムは、一般人が利用し難い。
【0004】
従来、送電装置(給電装置)を、支軸を中心に駆動装置により充電可能位置と待機位置との間を回動させるように構成し、車両が所定の停止位置に停止した状態で、送電装置を待機位置から充電可能位置に回動させて、充電を行うようにした充電システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−189769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の充電システムは、車両が予め設定された経路を走行し、走行経路に沿った充電場所で停止した状態で送電装置が待機位置から充電可能位置に回動される。したがって、送電装置を目標にして車両を所定の停止位置に停止させるのに比べて、車両を所定の停止位置に精度良く停止させ易くなる。しかし、充電が効率良く行われるためには、車両が所定の停止位置に精度良く停止することが前提になる。
【0007】
車両の停止位置を検出して、給電装置を充電が効率良く行われ位置に移動させるには、給電装置をX,Y方向に移動可能とするか、直線移動と回動との組み合わせで目的位置まで移動させる必要があり、移動のための駆動装置が複雑になる。
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、駆動機構に簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、給電側設備から移動体に搭載された受電側設備に対して前記移動体が停止した状態で非接触給電を行う非接触給電装置である。そして、前記給電側設備は、第1の共振器と、前記第1の共振器に交流を供給する電源部とを備え、前記受電側設備は第2の共振器と、前記第2の共振器が受電した電力が供給される負荷とを備えている。前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、前記非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。非接触給電装置は、前記非接触電力伝送を行う状態において、前記第1の共振器及び前記第2の共振器のいずれか一方を、前記移動体の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段を備えている。
【0010】
従来、非接触給電装置においては、一次側のコイルと二次側のコイルとが最も近づいた状態で、最大効率で電力伝送が行われるように一次側と二次側の整合調整を行っていたため、二次側を移動体に搭載した場合、目的の伝送効率で電力伝送を行うためには、移動体の停止位置の精度を厳しくする必要がある。しかし、この発明では、第1の共振器及び第2の共振器は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。そして、第1の共振器及び第2の共振器のいずれか一方を、移動体の停止位置に対応して移動手段により移動させる。移動させる位置は最大効率で電力伝送可能な位置でなくても、目的とする伝送効率以上で電力伝送が可能な位置であればよい。したがって、駆動機構が簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記移動手段は、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を、両共振器のコイルの中心以外の位置にある軸の周囲に公転させる。この発明では、第1の共振器又は第2の共振器が公転することにより目的とする伝送効率以上で電力伝送が可能な位置に移動される。したがって、直線移動の場合に比べて、移動体の停止許容範囲が広くなる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記移動手段は、前記給電側設備に設けられている。移動手段を受電側設備に設けると、移動体の大型化を招いたり、移動体を構成する他の機器等の設置スペースの自由度が小さくなったりする。また、受電側設備に移動手段を設ける場合は、受電側設備を搭載した移動体全てに設ける必要があるが、給電側設備に設ける場合は給電側設備を利用する移動体の数に拘らず、移動手段の数を1個とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駆動機構が簡単な移動手段を用いても、移動体の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は一実施形態の非接触充電システムの模式図、(b)は一次コイルと二次コイルとの位置関係を示す模式平面図。
【図2】第1の共振器と第2の共振器との関係を示す概略図。
【図3】(a),(b)は作用を説明するための概略図。
【図4】(a),(b)は作用を説明するための模式図。
【図5】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図6】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合で、左右方向が長い場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図7】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合で、左右方向が長い場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図8】(a),(b)は車両の停止位置ずれ範囲を前後左右方向の四角の領域とした場合で、左右方向が長い場合の、第1の共振器の公転中心の位置を示す模式図。
【図9】別の実施形態の模式図。
【図10】(a)は別の実施形態の模式図、(b)は第1の共振器と第2の共振器との関係を示す模式図。
【図11】別の実施形態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を車載バッテリを充電するための非接触充電システムに具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。図1(a)に示すように、非接触給電装置としての非接触充電システムは、地上側に設けられる給電側設備10と、移動体としての車両20に搭載された受電側設備21とで構成されている。
【0016】
給電側設備10は、第1の共振器11と、第1の共振器11に交流を供給する電源部12と、第1の共振器11を移動させる移動手段13と、電源側コントローラ14とを備えている。第1の共振器11は、一次側コイル15と、一次側コイル15に接続されたコンデンサC1と、磁性体コア16とを備えている。一次側コイル15は磁性体コア16に複数回巻回されて多層巻のコイルを形成している。磁性体コア16はその両端が一次側コイル15の両端から突出する長さに形成されている。
【0017】
電源部12は、電源側コントローラ14からの指令により第1の共振器11に所定周波数の交流を出力する。移動手段13は、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に移動させる。
【0018】
移動手段13は、モータ17と、モータ17により回動される支持アーム18とを備え、支持アーム18の一端に磁性体コア16を非磁性体製の部材を介して支持している。即ち、移動手段13は、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させる。モータ17は、電源側コントローラ14からの指令により、第1の共振器11のコイル即ち一次側コイル15の中心以外の位置にある軸、この実施形態ではモータ17の出力軸17aの周囲に公転させる。
【0019】
受電側設備21は車両20の後部に搭載されており、例えば、図示しないナンバープレートの下のあたりに配設される。受電側設備21は、第2の共振器22と、整流器23と、充電器24と、充電器24に接続されたバッテリ(二次電池)25と、車両側コントローラ26とを備えている。整流器23、充電器24及びバッテリ25は負荷を構成する。充電器24は、整流器23で整流された直流をバッテリ25に充電するのに適した電圧に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)を備えている。車両側コントローラ26は、充電時に充電器24のDC/DCコンバータのスイッチング素子を制御する。電源側コントローラ14と、車両側コントローラ26とは図示しない無線通信装置を介して通信できるようになっている。
【0020】
第2の共振器22は、二次側コイル27と、二次側コイル27に接続されたコンデンサC2と、磁性体コア28とを備えている。二次側コイル27は磁性体コア28に複数回巻回されて多層巻のコイルを形成している。磁性体コア28はその両端が二次側コイル27の両端から突出する長さに形成されている。
【0021】
図1(a),(b)に示すように、第1の共振器11及び第2の共振器22は、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸と、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸とが上下方向に延びるとともに、同じ高さとなるように設けられている。
【0022】
第1の共振器11及び第2の共振器22は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。予め設定された距離は、例えば、給電側設備10が設けられる箇所と車両20の停止位置スペース、第1の共振器11及び第2の共振器22の能力、大きさ、目的とする伝送効率等を考慮して設定される。そして、電源側コントローラ14は、非接触電力伝送を行う状態、即ち車両20が充電位置に停止して、車両側コントローラ26から充電要求信号を受信すると、移動手段13により第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に移動させる。
【0023】
電源側コントローラ14は、第1の共振器11が最大効率で電力伝送可能な位置に移動したか否かの判断を、反射電力や力率に基づいて行うようになっている。この実施形態では、電源部12は、一次側コイル15からの反射電力を検出する図示しない反射電力検出手段を備えている。電源側コントローラ14は、反射電力検出手段を介して反射電力をモニタ可能になっており、第1の共振器11を給電位置へ移動させる際、反射電力が最小となる位置に第1の共振器11を移動させる。
【0024】
次に前記のように構成された非接触充電システムの作用を説明する。
運転者はバッテリ25の充電が必要と判断した場合は、車両20を給電側設備10の所定位置にバックで停止させる。そして、電源側コントローラ14に図示しない通信装置を用いて充電要求(給電要求)を通信(報知)する。
【0025】
電源側コントローラ14は、車両20から充電要求を受信すると、非接触電力伝送を開始する前に、モータ17に駆動指令を出力して、第1の共振器11を予め設定された伝送効率以上の効率で電力伝送が可能な位置まで移動させる。電源側コントローラ14は、電源部12の反射電力検出手段をモニタして、反射電力が最小となる位置に第1の共振器11を移動させる。
【0026】
そして、第1の共振器11が電力伝送に適した位置に移動された状態で、電源側コントローラ14は電源部12に、第1の共振器11に対して所定周波数の交流を出力するように指令を行い、電源部12から一次側コイル15に所定周波数の交流が出力される。一次側コイル15に交流が供給されると、一次側コイル15に流れる電流によって生じた磁界により磁性体コア16が磁化されてその両端に磁極が生じる。一次側コイル15に流れる電流の方向によって、磁性体コア16に生じる磁極のN極とS極とが決まり、電流の方向が変化するたびに、図3(a)に示すように、磁性体コア16の下端にN極が、上端にS極が生じる状態と、図3(b)に示すように、磁性体コア16の上端にN極が、下端にS極が生じる状態とが繰り返される。また、磁性体コア16の下端にN極が、上端にS極が生じる状態では、磁性体コア28の下端にS極が、上端にN極が生じ、磁性体コア16の上端にN極が、下端にS極が生じる状態では、磁性体コア28の上端にS極が生じ、下端にN極が生じる状態となる。そして、共振サイクルで図3(a)の状態と図3(b)の状態とが繰り返され、受電側設備21の二次側コイル27に非接触で電力伝送が行われる。二次側コイル27が受電した電力は、整流器23で整流された後、充電器24に供給され、充電器24でバッテリ25の充電に適した電圧に昇圧されてバッテリ25に供給されてバッテリ25が充電される。
【0027】
磁性体コア16が存在する状態では、一次側コイル15の巻き数や一次側コイル15が巻回されている部分の磁性体コア16の長さに拘らず、磁極は磁性体コア16の両端に生じ、理想的には磁性体コア16の中間部には磁極は生じない。また、磁性体コア28においても磁極は磁性体コア28の端部に生じ、中間部には生じない。そして、磁性体コア16と磁性体コア28の磁極同士の磁気的結合で電力伝送が行われる。
【0028】
車両側コントローラ26は、例えば、バッテリ25の電圧が所定電圧になった時点からの経過時間により充電完了を判断し、充電が完了すると、電源側コントローラ14に充電完了信号を送信する。電源側コントローラ14は、充電完了信号を受信すると電力伝送を終了する。なお、満充電になる前に、運転者が充電終了を要求した場合も、電源側コントローラ14に給電終了要求が送信され、電源側コントローラ14は電力伝送を終了する。
【0029】
非接触電力伝送を共振で行う従来技術では、第1の共振器11及び第2の共振器22が最も近づいた状態で、即ち図2において磁性体コア16と磁性体コア28との中心軸間の距離Lが最小の状態で、電力伝送が最大効率となるように第1の共振器11と第2の共振器22との整合調整を行い、その状態を基準にしてずれの許容範囲を設定する。そのため、車両20の停止位置のずれの許容範囲が狭くなる。
【0030】
これに対して、この実施形態では、第1の共振器11及び第2の共振器22が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。そのため、車両20の停止位置のずれの許容範囲を広くすることができる。詳述すると、図4(a)において、第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16の中心は、出力軸17aを中心とした二点鎖線で示す円40の円周上を移動可能である。そして、太い破線で示す半径rの円41の円周上に第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心が位置する状態、例えば、図4(b)に示す状態、即ち磁性体コア16と磁性体コア28との距離dが円41の半径rと同じ状態で、電力伝送が最大効率となる状態になる。そのため、破線で示す円42内に二次側コイル27及び磁性体コア28の中心が位置する状態であれば、どの位置であってもモータ17の駆動により一次側コイル15及び磁性体コア16を電力伝送が最大効率となる状態に移動させることができる。図4(b)は図4(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に移動した状態を示し、一次側コイル15及び磁性体コア16は矢印45で示す経路で、電力伝送位置まで移動する。
【0031】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)非接触給電装置としての非接触充電システムは、給電側設備10から車両20に搭載された受電側設備21に対して車両20が停止した状態で非接触給電を行う。給電側設備10は、第1の共振器11と、第1の共振器11に交流を供給する電源部12とを備え、受電側設備21は第2の共振器22と、第2の共振器22が受電した電力が供給される負荷とを備えている。第1の共振器11及び第2の共振器22は、非接触電力伝送を行う状態において、両共振器11,22が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されている。給電側設備10は、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11を車両20の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させる移動手段13を備えている。したがって、駆動機構が簡単な移動手段を用いても、車両20の停止位置の精度を緩和した状態で効率良く給電側から受電側へ電力伝送を行うことができる。
【0032】
(2)移動手段13は、第1の共振器11を第1の共振器11及び第2の共振器22のコイルの中心以外の位置にある軸の周囲に公転させる。したがって、第1の共振器11を目的とする伝送効率以上で電力伝送が可能な位置に直線移動で移動される場合に比べて、車両20の停止許容範囲が広くなる。
【0033】
(3)移動手段13は、給電側設備10に設けられている。移動手段13を受電側設備21に設けると、車両20の大型化を招いたり、車両20を構成する他の機器等の設置スペースの自由度が小さくなったりする。また、受電側設備21に移動手段13を設ける場合は、受電側設備21を搭載した車両20全てに設ける必要があるが、給電側設備10に設ける場合は給電側設備10を利用する車両20の数に拘らず、移動手段13の数を1個とすることができる。
【0034】
(4)第1の共振器11及び第2の共振器22はそれぞれ磁性体コア16,28を備えている。したがって、磁性体コア16,28を備えていない場合に比べて、強い磁界が発生し、安定して電力伝送を行うことができる。
【0035】
(5)受電側設備21は車両20に搭載され、車両20は負荷として整流器23及びバッテリ25を備えている。バッテリ25を充電するために受電側設備21が搭載された車両20を、非接触給電が効率良く行われる位置に正確に停止させることは運転者にとって難しい。しかし、受電側設備21は非接触給電が効率良く行われる停止位置の許容範囲が広いため、運転者の車両停止操作の負担が少なくなる。
【0036】
(6)受電側設備21は車両20の後部に搭載されている。したがって、受電側設備21を車両20の他の部分、例えば、車体の側面や車両20の床下等に搭載する場合に比べて、搭載スペースの確保が容易になるとともに、充電のための所定停止位置に車両20を停止させる際に停止操作が容易になる。また、給電側設備10の設置も簡単になる。
【0037】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の共振器11の磁性体コア16と第2の共振器22の磁性体コア28との位置ずれ許容範囲は円とは限らず、図5(a),(b)に示すように四角形としてもよい。図5(a),(b)は、出力軸17aが四角形の位置ずれ許容範囲A1の中心に位置する状態の場合を示している。この場合は、円41の半径rが円40の外周と許容範囲A1の角との最短距離以上であれば、磁性体コア28が許容範囲A1どの位置に存在しても、磁性体コア16を電力伝送が最大効率となる位置に移動させることができる。図5(b)は図5(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。
【0038】
○ 図6(a),(b)は、車輪止めを用いて車両20の前後方向への位置ずれが小さく、左右方向へのずれが大きな場合に対応して、位置ずれ許容範囲A2を車両20の左右方向に長い四角形の領域とした場合の一形態を示している。なお、図6(a),(b)において上下方向が車両20の左右方向となる。この実施形態においても、出力軸17aは四角形の位置ずれ許容範囲A2の中心に位置する状態に配置されている。この場合も、円41の半径rが円40の外周と許容範囲A2の角との最短距離以上であれば、磁性体コア28が許容範囲A2どの位置に存在しても、磁性体コア16を電力伝送が最大効率となる位置に移動させることができる。図6(b)は図6(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。
【0039】
○ 図7(a),(b)は、車輪止めを用いて車両20の前後方向への位置ずれが小さく、左右方向へのずれが大きな場合に対応して、位置ずれ許容範囲A2を車両20の左右方向に長い四角形の領域とした場合の変更例を示している。なお、図7(a),(b)において上下方向が車両20の左右方向となる。この実施形態においては、出力軸17aは四角形の位置ずれ許容範囲A2の中心ではなく、中心より前方寄り(図7(a),(b)の左寄り)に位置する状態に配置されている。図7(b)は図7(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。
【0040】
○ 図8(a),(b)は、出力軸17aの位置が、図7(a),(b)の場合より四角形の位置ずれ許容範囲A2の中心よりさらに前方寄り(図8(a),(b)の左寄り)に位置する状態に配置されている変更例を示す。図8(b)は図8(a)の状態で車両20が停止した場合に、一次側コイル15及び磁性体コア16が、電力伝送が最大効率となる位置に矢印45の経路で移動した状態を示している。この場合は、図7(a),(b)に示す場合に比べて、一次側コイル15及び磁性体コア16の移動量を少なくすることができる。
【0041】
○ 図9に示すように、受電側設備21を第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態で車両20に搭載してもよい。この場合、給電側設備10の第1の共振器11は、地上に形成された穴31の中に配設される。モータ17は出力軸17aが充電位置に停止した車両20の前後方向と平行に延びる状態で設置されおり、一次側コイル15及び磁性体コア16は二次側コイル27及び磁性体コア28と平行な状態で待機位置と給電位置とに移動される。なお、穴31の開口は車両20の移動に支障がないように図示しないカバーで覆われている。
【0042】
○ 非接触充電システムは、非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11及び第2の共振器22のいずれか一方を、移動体(車両20)の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段を備えていればよい。また、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段は、軸の回動のみで移動させる構成に限らず、直線移動のみで移動させることが可能な構成であってもよい。例えば、図10(a)に示すように、受電側設備21を第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態で車両20に搭載し、二次側コイル27及び磁性体コア28が前後方向に延びる状態を維持した状態で車両20の左右方向(車幅方向)に水平に移動可能に構成してもよい。磁性体コア28は図示しない駆動機構により車幅方向に直線移動可能な支持体19に、非磁性体製の部材19aを介して支持されている。駆動機構としては、例えば、シリンダやボールねじ機構が使用される。この場合、第1の共振器11の磁性体コア16と第2の共振器22の磁性体コア28との関係を示すと、車両20が充電位置に停止した状態では、磁性体コア28が直線移動する経路は、図10(b)に示すように、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心を中心とした半径rの円41の円周と交差する状態になる。そして、磁性体コア28の中心が円41の円周上に位置する状態では、電力伝送が最大効率となる状態になる。
【0043】
○ 受電側設備21の車両20に対する搭載位置は車両20の後部に限らず、例えば、車両20の前部や中間部に搭載してもよい。前部に搭載する場合は、後部に搭載する場合と同様に搭載されるが、中間部に搭載する場合は、例えば、図11に示すように、第2の共振器22は、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が地上面に対して平行にかつ車幅方向に延びるように搭載される。また、給電側設備10の第1の共振器11は、地上に形成された穴31の中に配設される。モータ17は出力軸17aが充電位置に停止した車両20の車幅方向と平行に延びる状態で設置されおり、一次側コイル15及び磁性体コア16は二次側コイル27及び磁性体コア28と平行な状態で待機位置と給電位置とに移動される。また、図11に示す実施形態では、二次側コイル27は充電器24接続され、充電器24は整流器を内蔵している。
【0044】
○ 受電側設備21を第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態で車両20に搭載する場合においても、第2の共振器22を車両20の中間部に配置してもよい。また、給電側設備10の第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸を、給電側設備10の所定位置に停止した車両20の中間部と対応する位置で車両20の前後方向に延びる状態に配置してもよい。
【0045】
○ 第2の共振器22を車両20の側部に設けてもよい。
○ 一次側コイル15及び二次側コイル27は複層巻に限らず単層巻であってもよい。
○ 磁性体コア16,28は一次側コイル15あるいは二次側コイル27を貫通する長さを有する必要は無く、一次側コイル15及び二次側コイル27の長さ以下の長さであってもよい。
【0046】
○ 第1の共振器11及び第2の共振器22として、一次側コイル15に接続されたコンデンサC1や二次側コイル27に接続されたコンデンサC2に代えて、一次側コイル15や二次側コイル27の寄生容量をコンデンサの代用としてもよい。
【0047】
○ 非接触電力伝送を行うときに、第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸と、第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸とが互いに平行に配置される構成に限らず、平行状態から多少ずれていてもよい。
【0048】
○ 磁性体コア16及び磁性体コア28を省略してもよい。しかし、磁性体コア16及び磁性体コア28が存在する方が好ましい。
○ 給電側設備10及び受電側設備21は、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心と、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心とが同じ高さでなくてもよい。
【0049】
○ 受電側設備21を車両20の後部に搭載する場合、搭載位置はナンバープレートの下でなく上側にしてもよい。
○ 電源側コントローラ14は、反射電力検出手段を介して反射電力をモニタして、第1の共振器11を給電位置へ移動させる際、反射電力が最小となる位置ではなく、反射電力が予め設定された閾値以下になる位置に第1の共振器11を移動させるようにしてもよい。
【0050】
○ 車両20は運転者を必要とする車両に限らず、例えば、無人搬送車であってもよい。
○ 非接触給電装置は、車両に搭載されたバッテリ25の充電に使用するものに限らず、バッテリを備えた移動体、例えば、自走式のロボットであってもよい。
【0051】
○ バッテリ25への充電位置が屋内の場合、給電側設備10の第1の共振器11等を充電時における移動体の停止位置の上方、例えば天井に設けてもよい。
○ 充電器24を設けずに、二次側コイル27から出力される交流電流を整流器23で整流した後、バッテリ25に直接充電するようにしてもよい。
【0052】
○ 電源部12は、交流出力の周波数が変更可能でも変更不能でもよい。
○ 非接触電力伝送を行う状態において、第1の共振器11及び第2の共振器22のいずれか一方を、移動体の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段13を用いて移動させる代わりに、最大効率より多少効率が悪い位置、例えば、最大効率の90%以上となる位置に移動させてもよい。
【0053】
○ 移動体(例えば車両20)が、ある閾値以上の効率が得られない場所に停車した場合でも、第1の共振器11及び第2の共振器22のいずれか一方を駆動機構で移動させて、閾値以上の効率が得られるようにしてもよい。
【0054】
○ 図1(a),(b)に示す構成のように、第1の共振器11及び第2の共振器22が、一次側コイル15及び磁性体コア16の中心軸と、二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸とが上下方向に延びる構成において、受電側設備21に移動手段13を設けて、第2の共振器22を移動させる構成にしてもよい。
【0055】
○ 図10(a)に示す構成のように、第2の共振器22の二次側コイル27及び磁性体コア28の中心軸が車両20の前後方向に延びる状態を維持した状態で車両20の左右方向に水平に移動可能とする代わりに、第1の共振器11の一次側コイル15及び磁性体コア16を車両20の左右方向に水平に移動可能に構成してもよい。
【0056】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、コイルと、前記コイルに接続されたコンデンサと、磁性体コアとを備えている。
【0057】
(2)請求項1〜請求項3及び前記技術的思想(1)のいずれか1項に記載の発明において、前記移動体は車両である。
(3)前記技術的思想(2)に記載の発明において、前記車両は前記負荷として整流器及びバッテリを備えている。
【0058】
(4)前記技術的思想(2)又は(3)に記載の発明において、前記移動手段は、前記第2の共振器を直線移動させる。
【符号の説明】
【0059】
d,L…距離、10…給電側設備、11…第1の共振器、12…電源部、13…移動手段、21…受電側設備、22…第2の共振器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電側設備から移動体に搭載された受電側設備に対して前記移動体が停止した状態で非接触電力伝送を行う非接触給電装置であって、
前記給電側設備は、第1の共振器と、前記第1の共振器に交流を供給する電源部とを備え、
前記受電側設備は第2の共振器と、前記第2の共振器が受電した電力が供給される負荷とを備え、
前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、前記非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されており、
前記非接触電力伝送を行う状態において、前記第1の共振器及び前記第2の共振器のいずれか一方を、前記移動体の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段を備えていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を、両共振器のコイルの中心以外の位置にある軸の周囲に公転させる請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記給電側設備に設けられている請求項2に記載の非接触給電装置。
【請求項1】
給電側設備から移動体に搭載された受電側設備に対して前記移動体が停止した状態で非接触電力伝送を行う非接触給電装置であって、
前記給電側設備は、第1の共振器と、前記第1の共振器に交流を供給する電源部とを備え、
前記受電側設備は第2の共振器と、前記第2の共振器が受電した電力が供給される負荷とを備え、
前記第1の共振器及び前記第2の共振器は、前記非接触電力伝送を行う状態において、両共振器が最も近づいた状態ではなくその状態から予め設定された距離ずれた位置関係において最大効率で電力伝送が行われるように整合調整されており、
前記非接触電力伝送を行う状態において、前記第1の共振器及び前記第2の共振器のいずれか一方を、前記移動体の停止位置に対応して最大効率で電力伝送可能な位置に、1軸の駆動機構で移動させることが可能な移動手段を備えていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記第1の共振器又は前記第2の共振器を、両共振器のコイルの中心以外の位置にある軸の周囲に公転させる請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記給電側設備に設けられている請求項2に記載の非接触給電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115909(P2013−115909A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259356(P2011−259356)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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