説明

非接触給電装置

【課題】1次コイルに設けられるコアの歩留まりを向上させることにある。
【解決手段】コア20には貫通孔25が形成されている。このため、各1次コイルユニットU1の製造に要する磁性体の原料の量を低減することができる。これにより、コア20の原料の量に対する生産数の比率である歩留まりの向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給電装置から受電装置へ非接触にて給電を行う非接触給電システムが存在する(例えば、特許文献1参照)。給電装置は電源からの電力を非接触にて受電装置に供給する。受電装置は、給電装置からの電力を受電すると、その電力を電気機器に供給する。
【0003】
近年、さらなるユーザの利便性の向上を図るべく、給電装置の上面(給電面)における任意の位置に受電装置を設置するだけで、この受電装置への給電が可能となる、いわゆるフリーレイアウト型の非接触給電システムが検討されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図10に示すように、当該システムにおける給電装置100の内部には、その給電面に沿って複数の1次コイルL1が配列される。各1次コイルL1の内部には、フェライト等の磁性体からなるコア110が設けられている。この1次コイルL1及びコア110が一体となってコイルユニット101が構成される。また、受電装置130の2次コイルL2にも、同様にその内部に磁性体120が設けられている。
【0005】
1次コイルL1は高周波電流が供給されることで励磁される。励磁された1次コイルL1からの磁束の変化に基づき2次コイルL2には誘起電流が生じる。この誘起電流が受電電力である。このように、電磁誘導を利用して給電装置100から受電装置130に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−204637号公報
【特許文献2】特開2008−5573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記コイルユニット101におけるコア110は、1次コイルL1内に充填されている。よって、コア110の原料の量に対する生産数の比率である歩留まりの向上が困難であった。特に、上記フリーレイアウト型の非接触給電システムにおいては、従来の非接触給電システムに比べて多くのコイルユニット101が必要となる。このため、特にフリーレイアウト型のシステムにおいては、製品コストの観点からもコア110の歩留まりを向上させることが求められている。
【0008】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1次コイルに設けられるコアの歩留まりを向上させることができる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置は、受電装置が設置される載置板と、この載置板に沿って装置内部に複数配置される1次コイルと、各前記1次コイルに設けられる磁性体コアと、を備え、前記1次コイルに交流電流が供給されることで発生する磁束を介した電磁誘導によって前記受電装置に非接触で給電し、前記磁性体コアに前記1次コイルの軸方向に貫通する第1の孔が形成される。
【0010】
また、上記構成において、前記磁性体コアにおける前記載置板側に設置されるとともに、前記載置板に金属異物が載せられたとき、その金属異物が前記1次コイルからの磁束を受けることによる前記金属異物の温度上昇を検出する温度検出素子と、前記温度検出素子の検出結果に基づき前記載置板に前記金属異物が存在する旨判断したとき前記1次コイルへの給電を停止する制御回路と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記温度検出素子は、前記第1の孔の周面に接する位置であって前記載置板側に設置されることが好ましい。
また、上記構成において、前記磁性体コアにおける前記第1の孔の周囲に、前記1次コイルの軸方向に貫通する第2の孔が形成され、前記温度検出素子は、前記第2の孔内における前記載置板側に設置されることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記温度検出素子は、前記1次コイルの軸を中心として等角度間隔で複数配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非接触給電装置において、1次コイルに設けられるコアの歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1〜第3の実施形態における非接触給電システムの構成を示すブロック図。
【図2】第1〜第3の実施形態における受電装置が給電装置に設置された状態の斜視図。
【図3】第1の実施形態における受電装置が給電装置に設置された状態の断面図。
【図4】第1の実施形態における1次コイルユニットの上面図。
【図5】第1の実施形態における金属異物が給電装置に設置された状態の断面図。
【図6】第2の実施形態における1次コイルユニットの上面図。
【図7】第2の実施形態における金属異物が給電装置に設置された状態の断面図。
【図8】第3の実施形態における1次コイルユニットの上面図。
【図9】第3の実施形態における受電装置が給電装置に設置された状態の断面図。
【図10】背景技術における受電装置が給電装置に設置された状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の非接触給電装置を非接触給電システムに具体化した第1の実施形態を図1〜図5を参照しつつ説明する。
【0016】
図1に示すように、非接触給電システムは、給電装置10と、受電装置30とを備える。本例では、受電装置30は、携帯端末40に内蔵されている。以下、給電装置10及び受電装置30の具体的構成について説明する。
【0017】
(給電装置)
図2に示すように、給電装置10は、平板状の筐体2を有している。筐体2には、携帯端末40が設置される載置板6が形成される。この載置板6は、筐体2における上側の壁を構成する。
【0018】
筐体2の内部には、載置板6の全域に亘って計24個の1次コイルユニットU1が設けられている。1次コイルユニットU1は、載置板6において4行×6列のマトリックス状に配置されている。
【0019】
図3に示すように、1次コイルユニットU1は、1次コイルL1と、コア20と、サーミスタ17とを備える。
コア20は、フェライトなどの磁性体により一体形成されている。また、コア20は、直方板状に形成されるベース部22、及びそのベース部22の上面に位置する直方状の先端部21を有している。図4に示すように、先端部21は、ベース部22の厚さ方向からみてベース部22における中央に位置するとともに、ベース部22より小さいサイズで形成される。コア20は、その先端部21の上面が載置板6の内面に面接触する態様にて配置される。
【0020】
図3に示すように、1次コイルL1は、その軸方向からみて正方形に形成されている。この1次コイルL1は、先端部21の外周に嵌め込まれている。
また、コア20には、1次コイルL1の軸方向に延びる貫通孔25が形成されている。この貫通孔25は、図4に示すように、ベース部22の厚さ方向からみて正方形に形成されるとともに、ベース部22及び先端部21の中央に位置している。貫通孔25における4つの角部にはサーミスタ17が配置される。このサーミスタ17は、例えば熱伝導率の高いシリコンにより貫通孔25の周面に接着されている。
【0021】
また、図3に示すように、各サーミスタ17は、貫通孔25内における載置板6側に設けられる。本例では、各サーミスタ17の上面が載置板6の下面に面接触している。なお、各サーミスタ17には接続線(図示略)が接続されて、その接続線は、例えば貫通孔25を介してコア20の下側から引き出される。なお、貫通孔25は第1の孔に相当する。
【0022】
図1に示すように、給電装置10は、単一の共通ユニット11と、この共通ユニット11にそれぞれ接続される複数(本例では24個)の給電ユニット15と、を備える。
共通ユニット11は、電源回路13と、共通制御回路12と、を備える。
【0023】
電源回路13は、外部電源からの交流電力を適切な直流電圧に変換し、それを動作電力として各給電ユニット15及び共通ユニット11に供給する。
共通制御回路12は、マイクロコンピュータで構成されるとともに、各給電ユニット15への指令信号を通じて給電装置10を統括制御する。
【0024】
給電ユニット15は、1次コイルユニットU1に加えて、励磁駆動回路16を備える。共通制御回路12は、給電を要求する旨の指令信号を励磁駆動回路16に出力する。励磁駆動回路16は、この指令信号を受けると、高周波電流を生成し、その生成した電流を1次コイルL1に供給する。これにより、1次コイルL1は励磁される。
【0025】
サーミスタ17は、温度を検出し、その検出結果を共通制御回路12に出力する。ここで、載置板6に金属異物が存在する場合には、その金属異物が1次コイルL1からの磁束を受ける。これにより、金属異物に渦電流が発生することで、金属異物の温度が上昇する。この金属異物の温度上昇に伴って載置板6も温度上昇する。この温度上昇がサーミスタ17によって検出される。
【0026】
共通制御回路12は、サーミスタ17の検出結果に基づき、上記金属異物の存在に伴う温度上昇の有無を判断する。共通制御回路12は、一定周期毎にサーミスタ17により検出された温度が閾値以上であるか否かを判断する。そして、共通制御回路12は、サーミスタ17により検出された温度が閾値以上である旨判断すると、載置板6に金属異物が存在するとして、各1次コイルL1への給電を停止する。これにより、金属異物の温度上昇が抑制される。また、共通制御回路12は、サーミスタ17により検出された温度が閾値未満である旨判断すると給電を継続する。
【0027】
(受電装置)
図1に示すように、受電装置30は、整流回路31と、2次コイルユニットU2と、DC/DCコンバータ35とを備える。
【0028】
図3に示すように、受電装置30には、自身が載置板6に設置されたときに、その載置板6と面接触する受電板33が形成されている。この受電板33の内側(受電装置30の内部)には、2次コイルユニットU2が設けられている。2次コイルユニットU2は、2次コイルL2及びコア36から構成される。2次コイルL2は、その軸方向からみて1次コイルL1より大きい正方形に形成されている。また、コア36は、2次コイルL2のサイズに合わせて大きく形成されている点及び貫通孔が形成されていない点を除けば、1次コイルユニットU1のコア20と同様に構成されている。
【0029】
2次コイルL2は、1次コイルL1からの磁束の変化に基づき交流電流を誘起する。図1に示すように、整流回路31は、2次コイルL2に誘起される交流電力を整流する。DC/DCコンバータ35は、整流回路31からの直流電圧を携帯端末40の動作に適切な値に変換する。この直流電圧は、例えば携帯端末40の動作電源である2次電池(図示略)の充電に利用される。
【0030】
以下、金属異物が載置板6に存在する場合における給電装置10の作用について図5を参照しつつ説明する。
同図に示すように、金属異物が載置板6に存在している場合に、1次コイルL1が励磁されると、図中の矢印で示すように、1次コイルL1からの磁束はコア20の先端部21を介して金属異物に向かう。このとき、先端部21によって集磁されるため、貫通孔25には磁束がほとんど通過しない。この結果、先端部21の周辺における磁束密度が向上する。金属異物は、時間経過とともに変化する先端部21からの磁束を受ける。これにより、金属異物には渦電流が誘起されて、金属異物の温度が上昇する。上述のようにコア20に貫通孔25を形成することで金属異物が受ける磁束密度を向上させることができる。このため、金属異物における磁束を受けた箇所を中心とした円形の範囲Aが集中的に温度上昇する。また、サーミスタ17は、コア20において金属異物の温度変化の影響を受け易い位置、すなわち貫通孔25内における載置板6側に設けられている。よって、サーミスタ17は、より迅速かつ確実に金属異物の温度上昇を検出することができる。この結果、早期に1次コイルL1への給電を停止させることができる。
【0031】
また、サーミスタ17は貫通孔25内に設けられているところ、サーミスタ17が磁束を受けることが抑制される。よって、サーミスタ17自体に電流が誘起されて、サーミスタ17の温度が上昇することが抑制される。ここで、サーミスタ17が1次コイルL1からの磁束を受ける構成とした場合には、金属異物ではなく正規の受電装置30が載置板6に設置されている場合にもサーミスタ17の温度が上昇する。よって、この温度上昇が自身への磁束に起因するものか、それとも金属異物の温度上昇に起因するものかを判定することが困難となる。その点、貫通孔25を通じてサーミスタ17が磁束を受けることが抑制されることで、サーミスタ17によって検出された温度上昇は金属異物の温度上昇に起因するものであるとして、金属異物の有無に係る判断を行うことができる。よって、金属異物の有無に係る判断の精度を向上させることができる。
【0032】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)コア20には貫通孔25が形成されている。このため、各1次コイルユニットU1の製造に要する磁性体の原料の量を低減することができる。これにより、コア20の原料の量に対する生産数の比率である歩留まりを向上させることができる。
【0033】
(2)コア20に貫通孔25を形成することで先端部21の周辺の磁束密度を向上させることができる。これにより、金属異物における磁束を受ける箇所を集中的に温度上昇させることができる。従って、金属異物の温度上昇がサーミスタ17によって早期に検出される。これにより、載置板6に金属異物が存在する旨の判断、ひいては1次コイルL1への給電の停止を早期かつ確実に行うことができる。
【0034】
(3)サーミスタ17は、先端部21の内面(貫通孔25を形成する面)であって載置板6側に設けられる。よって、サーミスタ17は金属異物における磁束を受ける箇所に近い位置に存在することになる。従って、金属異物の温度上昇がサーミスタ17によって早期に検出される。これにより、載置板6に金属異物が存在する旨の判断、ひいては1次コイルL1への給電の停止を早期かつ確実に行うことができる。
【0035】
(4)サーミスタ17は1次コイルL1の軸を中心として90°間隔に4つ配置されている。従って、1次コイルユニットU1に対する金属異物の位置に関わらず、金属異物の温度上昇をサーミスタ17によって検出できる可能性を高めることができる。
【0036】
(5)コア20に貫通孔25が形成されることで先端部21に磁束が集中する。一方、2次コイルユニットU2のコア36には貫通孔が形成されていない。そのコア36の下面(受電板33側の面)に上記集中した磁束が入っていくことで、2次コイルL2に電流が誘起される。ここで、貫通孔25の有無に関わらず、コア36の下面に入る磁束の本数、ひいては受電電力は変化しない。よって、コア20に貫通孔25を形成した場合であっても、給電効率を確保することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる非接触給電装置を非接触給電システムに具体化した第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。この実施形態の非接触給電システムは、サーミスタの設置位置が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の非接触給電システムは、図1に示す第1の実施形態の非接触給電システムとほぼ同様の構成を備えている。
【0038】
図6に示すように、コア20には、ベース部22の厚さ方向からみて円形の貫通孔55が形成されている。貫通孔55は、コア20の中央に位置している。また、この貫通孔55の周囲には4つの収容孔27が形成されている。各収容孔27は、1次コイルL1の軸方向に貫通して形成されるとともに、その軸を中心として90°間隔で配設されている。詳しくは、収容孔27は、先端部21の各角部に対応する位置に設けられている。図7に示すように、各収容孔27にはサーミスタ17が設けられている。各サーミスタ17は、収容孔27内において、その上面が載置板6の下面に接する位置に設けられている。なお、収容孔27は第2の孔に相当する。
【0039】
以下、金属異物が載置板6に存在する場合における給電装置10の作用について図7を参照しつつ説明する。
同図に示すように、金属異物が載置板6に存在している場合に、1次コイルL1が励磁されると、図中の矢印で示すように、1次コイルL1からの磁束はコア20の先端部21を介して金属異物に向かう。このとき、収容孔27には磁束がほとんど通過しない。よって、サーミスタ17を先端部21内に設けた場合であっても、サーミスタ17が磁束を受けることが抑制される。よって、第1の実施形態と同様に、金属異物の有無に係る判断の精度を向上させることができる。
【0040】
また、貫通孔55に加えて収容孔27が形成されるため、1次コイルL1からの磁束をさらに先端部21の周辺に集磁させることができる。よって、金属異物における磁束を受ける箇所を中心とした円形の範囲Bを集中的に温度上昇させることができる。
【0041】
さらに、サーミスタ17は、コア20において金属異物の温度上昇の影響を最も受け易い位置、すなわち収容孔27内における載置板6側に設けられている。よって、サーミスタ17はより迅速かつ確実に金属異物の温度上昇を検出することができる。この結果、より早期に1次コイルL1への給電を停止させることができる。
【0042】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(6)サーミスタ17は、コア20における貫通孔55の周囲に形成される収容孔27内に設けられる。これにより、コア20において金属異物の温度上昇の影響を最も受け易い位置にサーミスタ17を設置することができる。従って、サーミスタ17は、より迅速かつ確実に金属異物の温度上昇を検出することができる。このため、載置板6に金属異物が存在する旨の判断、ひいては1次コイルL1への給電の停止を早期かつ確実に行うことができる。
【0043】
(7)貫通孔55に加えて収容孔27が形成されるため、1次コイルL1からの磁束を先端部21の周辺にさらに集磁させることができる。これにより、金属異物の一部をより集中的に温度上昇させることで、その温度上昇を早期にサーミスタ17によって検出させることができる。
【0044】
(8)収容孔27を設けることで、各1次コイルユニットU1の製造に要する磁性体の原料の量をさらに低減すること、ひいては歩留まりを向上させることができる。
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる非接触給電装置を非接触給電システムに具体化した第3の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。この実施形態の非接触給電システムは、1次コイルL1及びコアの形状が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の非接触給電システムは、図1に示す第1の実施形態の非接触給電システムとほぼ同様の構成を備えている。
【0045】
図8に示すように、本実施形態におけるコア50のベース部52及び先端部51は、ベース部52の厚さ方向からみて何れも円形に形成されている。1次コイルL1は、先端部51の外周に応じた円筒状に形成されている。ベース部52の径は、先端部51の径より大きく設定されている。また、貫通孔55は、上記第2の実施形態と同様に円形に形成されている。各サーミスタ17は、先端部51の内周面(貫通孔55を形成する面)であって1次コイルL1の軸を中心として90°間隔で配置される。図9に示すように、各サーミスタ17は、その上面が載置板6の下面に接する位置に設けられている。
【0046】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(9)1次コイルL1が円筒状に形成され、その1次コイルL1に合わせてコア50が形成された場合であっても、第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0047】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記各実施形態においては、1次コイルユニットU1には複数のサーミスタ17が設けられていたが、これらサーミスタ17を省略してもよい。この場合であっても、貫通孔25,55が形成されることで、1次コイルユニットU1の製造に要する磁性体の原料の量を低減すること、ひいては歩留まりを向上させることができる。
【0048】
・上記各実施形態においては、コア20,50はベース部及び先端部から構成されていたが、コアの形状はこれに限定されない。例えば、コアを段差等がない板状に形成してもよい。この場合には、この板状のコアの上面に1次コイルL1が設置される。また、コアの外周に1次コイルL1を嵌め込んでもよい。これは、2次コイルユニットU2のコアの形状についても同様である。
【0049】
・1次コイルユニットU1の数は上記各実施形態に限定されない。
・上記各実施形態においては、温度検出素子としてサーミスタ17が採用されていたが、金属異物の温度上昇を検出することができればサーミスタ17に限定されない。例えば、熱伝対や白金測温体であってもよい。
【0050】
・サーミスタ17の貫通孔25,55内における設置位置は、上記第1及び第3の実施形態に限定されない。すなわち、サーミスタ17は、ベース部の厚さ方向からみて貫通孔25,55の中央に設けられていてもよいし、載置板6と離間した位置に設けられていてもよい。これら構成においても、貫通孔25,55の形成によって磁束密度が高められているため、サーミスタ17は金属異物の温度上昇を検出することができる。換言すると、金属異物の温度上昇を検出可能な範囲内でサーミスタ17を自由な位置に設置できる。これは第2の実施形態においても同様である。
【0051】
・上記各実施形態においては、受電装置30は携帯端末40に設けられていたが、その他LED照明や扇風機等の電気機器に設けられていてもよい。また、例えば、受電装置30が、電気機器の本体に対して独立した構成であってもよい。
【0052】
・上記各実施形態においては、サーミスタ17は、1次コイルユニットU1毎に4つ設けられていたが、その数はこれに限定されない。例えば、サーミスタ17を1つとしてもよい。この場合、第2の実施形態においては収容孔27も1つで済む。また、サーミスタ17は1次コイルL1の軸を中心として等角度間隔に配置されていたが、異なる角度間隔毎に配置してもよい。
【0053】
・第1の実施形態においては、貫通孔25は1次コイルL1の軸方向からみて正方形であった。また、第2及び第3の実施形態においては、貫通孔55は1次コイルL1の軸方向からみて円形であった。しかし、貫通孔の形状はこれらに限らず、1次コイルL1の軸方向からみて、例えば三角形や六角形であってもよい。また、貫通孔は、1次コイルL1の軸方向に沿う周面を有していたが、その周面は同軸方向に対して傾斜していてもよい。例えば、第2及び第3の実施形態においては載置板6に向かうにつれて貫通孔の径が大きくなるように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
6…載置板、10…給電装置、11…共通ユニット、12…共通制御回路(制御回路)、13…電源回路、15…給電ユニット、17…サーミスタ(温度検出素子)、20,50…コア、21,51…先端部、22,52…ベース部、25,55…貫通孔、27…収容孔、30…受電装置、40…携帯端末、L1…1次コイル、L2…2次コイル、U1…1次コイルユニット、U2…2次コイルユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置が設置される載置板と、この載置板に沿って装置内部に複数配置される1次コイルと、各前記1次コイルに設けられる磁性体コアと、を備え、前記1次コイルに交流電流が供給されることで発生する磁束を介した電磁誘導によって前記受電装置に非接触で給電する非接触給電装置において、
前記磁性体コアに前記1次コイルの軸方向に貫通する第1の孔が形成されることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記磁性体コアにおける前記載置板側に設置されるとともに、前記載置板に金属異物が載せられたとき、その金属異物が前記1次コイルからの磁束を受けることによる前記金属異物の温度上昇を検出する温度検出素子と、
前記温度検出素子の検出結果に基づき前記載置板に前記金属異物が存在する旨判断したとき前記1次コイルへの給電を停止する制御回路と、を備えたことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非接触給電装置において、
前記温度検出素子は、前記第1の孔の周面に接する位置であって前記載置板側に設置されることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項2に記載の非接触給電装置において、
前記磁性体コアにおける前記第1の孔の周囲に、前記1次コイルの軸方向に貫通する第2の孔が形成され、
前記温度検出素子は、前記第2の孔内における前記載置板側に設置されることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載の非接触給電装置において、
前記温度検出素子は、前記1次コイルの軸を中心として等角度間隔で複数配置されることを特徴とする非接触給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−30551(P2013−30551A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164443(P2011−164443)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)