非接触給電装置
【課題】給電エリアに設けた給電コイルの励磁周波数を変えることなく精度よく金属異物の検出ができる非接触給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置1の給電エリア毎に設けた基本給電ユニット回路4の金属検出回路から発振信号を機器Eの変調回路20に送信する。機器Eの変調回路20において、その発振信号からオン・オフ信号を生成するとともに、金属片の有無に基づいてオン・オフ信号のデューティーを変更させるようにし、そのオン・オフ信号を被変調波信号に変調して金属検出回路に送信する。給電装置1の金属検出回路において、被変調波信号を復調して、その復調した復調信号、すなわち、オン・オフ信号のデューティーを演算して金属片の有無を判定する。
【解決手段】給電装置1の給電エリア毎に設けた基本給電ユニット回路4の金属検出回路から発振信号を機器Eの変調回路20に送信する。機器Eの変調回路20において、その発振信号からオン・オフ信号を生成するとともに、金属片の有無に基づいてオン・オフ信号のデューティーを変更させるようにし、そのオン・オフ信号を被変調波信号に変調して金属検出回路に送信する。給電装置1の金属検出回路において、被変調波信号を復調して、その復調した復調信号、すなわち、オン・オフ信号のデューティーを演算して金属片の有無を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導方式よる非接触給電システムは、非接触給電装置の載置面に受電装置を備えた電気機器を載置する。この状態において、非接触給電装置は、備えている1次コイルを励磁させて、電磁誘導にて電気機器の受電装置に設けられた2次コイルを励磁給電する。2次コイルに発生した2次電力は、受電装置内おいて直流電源に変換される。そして、その直流電源は、電気機器の負荷の駆動電源として供給される。
【0003】
ところで、この非接触給電装置には、金属異物を検知する金属検出装置を備え、その金属検出装置が金属異物を検出した時には給電を停止するようにしたものがある。これは、非接触給電装置と電気機器(受電装置)との間に金属異物が介在していると、給電中に金属異物が誘導加熱されるのを防止するためである。
【0004】
非接触給電装置が備えた金属検出装置としては、例えば、特許文献1の金属検出装置がある。この特許文献1では、非接触給電装置の1次コイルを給電時の励磁周波数(180kHz)とは相違する所定の周波数(210kHz)で励磁させる。そして、金属異物の有無によって所定の周波数で励磁されている1次コイルのインダクタンスが変化することが知られていて、その変化を利用して金属異物の有無を検出し給電を停止させるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−295796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属異物の有無を1次コイルのインダクタンスの変化、すなわち、1次コイルを含む発振回路の共振周波数の変化として検出しなければならないが、同様の変化は1次コイル及び2次コイルの位置関係が変化することによっても発生してしまう。これによって、両者の判別がつかないという問題が生じる。従って、上記金属検出装置では、1次コイル及び2次コイルを予め設定した位置関係に配置しなければならない。
【0007】
さらに、上記金属検出装置においては、1次コイルが複数個隣接して配置され、かつ、給電準備中のコイル(初期周波数210kHzあるいは追従中周波数180kHz〜210kHzの励磁)と給電中のコイル(180kHzで励磁)が存在する場合には、その差分の周波数が差周波数信号として発生する。この差周波数信号は金属検出装置に対してノイズとなるが、追従中周波数は時間的に変化するため、差周波数信号も時間的に変化するので、そのノイズ抑制手段が複雑になる問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電エリアに設けた給電コイルの励磁周波数を変えることなく精度よく金属異物の検出ができる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置は、電気機器に設けられた受電装置に対して、電磁誘導現象を利用して給電を行う非接触給電装置であって、前記電気機器を載置する載置面に沿ってそれぞれ隣接して形成された1つ以上からなる給電エリアに対してそれぞれ設けられ、その給電エリアにおいて前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力をそれぞれ給電する1次コイルと、前記給電エリア毎に設けられ、前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力を給電すべく該給電エリアの1次コイルを励磁駆動するとともに、該給電エリアから前記受電装置に発振信号を送信し、その発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した前記受電装置の発振信号に基づく被変調波信号を受信し、その被変調波信号を検波して前記変調波を復調する基本給電ユニット回路と、前記各基本給電ユニット回路が復調した変調波に基づいて各給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記構成において、前記基本給電ユニット回路は、前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と、前記検波回路部が復調した前記変調波のデューティーを演算するデューティー演算回路部とを備え、前記システム制御部は、前記各基本給電ユニット回路のデューティー演算回路部からのデューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記変調波は、受信した前記発振信号から金属異物の有無による磁束変化に基づいてデューティーが変更されるオン・オフ信号であって、前記被変調波信号は、キャリア信号の振幅を前記オン・オフ信号に比例して振幅変調させて生成したものであり、前記検波回路は、前記被変調波信号を包絡線検波によって前記オン・オフ信号を復調する回路であり、前記デューティー演算回路部は、前記検波回路部が復調した前記オン・オフ信号のデューティーを検出する回路であることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記キャリア信号は、前記発振回路部が前記受電装置に送信する前記発振信号であることが好ましい。
また、上記構成において、前記基本給電ユニット回路は、前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と備え、前記システム制御部は、前記各基本給電ユニット回路の検波回路部が復調した前記変調波を入力し、その各変調波のデューティーを演算し、入力した各デューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記基本給電ユニット回路に設けた発振回路部は、1次コイルを励磁する励磁駆動回路であり、前記基本給電ユニット回路に設けた受信コイルは、前記1次コイルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1次コイルと2次コイルの相対位置を固定しなくとも、金属異物の検出ができ、さらに、給電エリアに設けた給電コイルの励磁周波数を変える必要がないため、ノイズを効率的に抑制できることから、検出精度の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】非接触給電システムの非接触給電装置と電気機器を示す全体斜視図。
【図2】1次コイルの配列状態を示す説明図。
【図3】非接触給電装置と電気機器の電気ブロック回路図。
【図4】電気機器に設けた受電回路の電気ブロック回路図。
【図5】電気機器に設けた変調回路の電気ブロック回路図。
【図6】電気機器の変調回路を構成する整流回路部と変調回路部の電気回路図。
【図7】電気機器の変調回路を構成する変調波信号生成部の電気回路図。
【図8】非接触給電装置に設けた基本給電ユニット回路を説明するための電気ブロック回路図。
【図9】フルブリッジ回路を説明するための電気回路図。
【図10】(a)、(b)、(c)、(d)は金属片のない場合の発振信号、オン・オフ信号、被変調波信号及び復調信号の波形図、(e)、(f)、(g)、(h)は金属片のある場合の発振信号、オン・オフ信号、被変調波信号及び復調信号の波形図。
【図11】基本給電ユニット回路の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図12】同じく受電回路の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図13】基本給電ユニット回路の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図14】電気機器の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図15】フルブリッジ回路の別例を説明するための電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の非接触給電装置に具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、非接触給電装置(以下、単に給電装置という)1とその給電装置1から非接触給電される電気機器(以下、単に機器という)Eの全体斜視図を示す。
【0017】
給電装置1は、四角形の板状の筐体2を有し、その上面が平面であって機器Eを載置する載置面3を形成している。載置面3は、複数の四角形状の給電エリアARが区画形成され、本実施形態では、左右方向に4個、前後方向に6個並ぶように24個の給電エリアARが区画形成されている。
【0018】
筐体2内であって、区画形成された各給電エリアARに対応する位置に、図2に示すように、給電エリアARの外形形状にあわせて四角形状に巻回された1次コイルL1が配置されている。また、筐体2内であって、給電エリアAR毎に、円形状(1次コイルL1と同様に四角形状でもよい)に巻回された1次側金属検知コイルLaが、配置固定されている。1次側金属検知コイルLaは、本実施形態では、1次コイルL1の上側位置に配置されているとともに、1次コイルL1より小径である。また、1次側金属検知コイルLaは、その中心位置が給電エリアARの中心位置と一致するように配置固定されている。さらに、給電エリアAR毎に設けられた各1次側金属検知コイルLaの内側には、信号受信アンテナコイルA1が、配置固定されている。
【0019】
各給電エリアARの1次コイルL1、1次側金属検知コイルLa及び信号受信アンテナコイルA1は、給電エリアAR毎に筐体2内に設けられたそれぞれの基本給電ユニット回路4(図3参照)と接続されている。
【0020】
各給電エリアARの1次コイルL1は、対応する基本給電ユニット回路4にて励磁駆動される。そして、各1次コイルL1は、単独でまたは他の1次コイルL1と協働して励磁駆動して、給電エリアARに載置された機器E内の2次コイルL2に対して非接触給電をするようになっている。
【0021】
各給電エリアARの1次側金属検知コイルLaは、対応する給電エリアARの基本給電ユニット回路4にて金属検知のための発振信号Φtが出力される。基本給電ユニット回路4は、1次側金属検知コイルLaを介して、その給電エリアAR上に金属異物があるか否かをそれぞれ検出する。
【0022】
一方、給電装置1から電磁誘導で給電を受ける機器Eは、その機器E内に2次側金属検知コイルLbが設けられている。2次側金属検知コイルLbは、本実施形態では、2次コイルL2の下側に配置固定されている。そして、機器Eは、給電装置1の載置面3に載置したとき、その直下に位置する給電エリアARの1次側金属検知コイルLaと機器Eの2次側金属検知コイルLbとの間で、金属検知のための信号の授受を行うようになっている。
【0023】
また、機器Eは、2次側金属検知コイルLbの内側に、信号送信アンテナコイルA2が設けられている。機器Eは、給電装置1の載置面3に載置したとき、その直下に位置する給電エリアARの信号受信アンテナコイルA1と機器Eの信号送信アンテナコイルA2との間で、無線通信にてデータ・情報の授受を行うようになっている。
【0024】
次に、給電装置1と機器Eの電気的構成を図3に従って説明する。
(機器E)
まず、機器Eについて説明する。図3において、機器Eは、給電装置1から2次電力を受電する受電装置としての受電回路10と、2次側金属検知コイルLbにて受信した給電装置1からの発振信号Φtを変調する変調回路20を有している。
【0025】
受電回路10は、図4に示すように、整流平滑回路部11、DC/DCコンバータ回路12、データ生成回路部13及び送信回路部14を有している。
整流平滑回路部11は、2次コイルL2と接続されている。整流平滑回路部11は、給電装置1の1次コイルL1の励磁による電磁誘導にて2次コイルL2に励磁給電された2次電力をリップルのない直流電圧に変換する。DC/DCコンバータ回路12は、整流平滑回路部11にて生成された直流電圧を、所望の電圧にDC/DC変換し、そのDC/DC変換した直流電圧を機器Eの負荷Zに供給する。
【0026】
ここで、負荷Zは、2次コイルL2にて発生する2次電力で駆動する機器であればよい。例えば、DC/DC変換した直流電源を使って該負荷Zを載置面3上で駆動する機器であったり、2次電力をそのまま交流電源として使って該負荷Zを載置面3上で駆動する機器であったりしてもよい。また、DC/DC変換した直流電源を使って内蔵する充電池(2次電池)を充電する機器であってもよい。
【0027】
また、DC/DC変換した直流電圧は、データ生成回路部13及び送信回路部14の駆動源としても利用されている。
データ生成回路部13は、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成し送信回路部14に出力する回路である。機器認証信号IDは、給電装置1に対して該給電装置1にて給電を受けられる機器Eである旨の認証信号である。励磁要求信号RQは、給電装置1に対して給電を要求する要求信号である。
【0028】
データ生成回路部13は、例えば、整流平滑回路部11が直流電源を出力しているときや、機器Eに内蔵された2次電池等で駆動可能な状態のとき、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成し送信回路部14に出力するようになっている。また、データ生成回路部13は、機器Eに設けられた例えば負荷Zを駆動させるための電源スイッチがオフのときには、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成しない。
【0029】
さらに、データ生成回路部13は、機器Eにマイクロコンピュータが設けられている場合、マイクロコンピュータの判断で給電を休止したいと判断したときには、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成しないようになっている。
【0030】
送信回路部14は、信号送信アンテナコイルA2と接続されている。送信回路部14は、データ生成回路部13からの機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを入力し、信号送信アンテナコイルA2を介して給電装置1に送信するようになっている。
【0031】
変調回路20は、2次側金属検知コイルLbにて受信した給電装置1からの発振信号Φtを変調する変調回路であって、図5に示すように、整合回路MC、整流回路21、変調波信号生成回路部22、変調回路部23を有する。
【0032】
整合回路MCは、1次側金属検知コイルLaから送信される発振信号Φtの周波数近傍で2次側金属検知コイルLbが共振点を持つようにするための回路であって、本実施形態では、共振コンデンサCx(図6参照)で構成されている。
【0033】
整流回路21は半波整流回路であって、図6に示すように、整流用ダイオードD0、充放電コンデンサC0及び抵抗R0を有している。整流用ダイオードD0のアノード端子は整合回路MCの共振コンデンサCxを介して2次側金属検知コイルLbの正極端子PTに接続され、整流用ダイオードD0のカソード端子は充放電コンデンサC0のプラス端子に接続されている。充放電コンデンサC0のマイナス端子は、2次側金属検知コイルLbの負極端子NTに接続されている。抵抗R0は充放電コンデンサC0と並列に接続されている。整流回路21は、給電装置1の1次側金属検知コイルLaから送信される発振信号Φtを、2次側金属検知コイルLbを介して受信する。整流回路21は、受信した発振信号Φtを半波整流する。
【0034】
なお、発振信号Φtは、本実施形態では、図10に示すように振幅値及び周波数が一定の正弦波である。従って、2次側金属検知コイルLbが受信した発振信号Φtが、整流用ダイオードD0にて半波整流されると、充放電コンデンサC0は、充放電を繰り返す。つまり、発振信号Φtが正電位の時、充放電コンデンサC0は整流用ダイオードD0からの電流を充電する。そして、発振信号Φtが負電位の時、充放電コンデンサC0が充電した電荷は、抵抗R0を介して放電されるようになっている。
【0035】
ちなみに、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbとの間に、物体(負荷)が存在すると、空間的に結合されるその物体(負荷)によって、2次側金属検知コイルLbに流れる電流値が変化する。
【0036】
詳述すると、載置面3に何も載置されていない時、即ち、負荷がないオープンの時、図10(a)に示すように、発振信号Φtの振幅が最大となる。そのため、2次側金属検知コイルLbに流れる電流値は最大となる。
【0037】
一方、載置面3に金属片Mが載置された時、図10(e)に示すように、発振信号Φtは、周波数が変化するものの発振信号Φtの振幅が最小となる。そのため、2次側金属検知コイルLbに流れる電流値が小さくなる。
【0038】
つまり、載置面3に何も載置されていない時には、充放電コンデンサC0の充電電圧Vtは最大の値となる。これに対して、載置面3に金属片Mが載置された時には、充放電コンデンサC0の充電電圧Vtは最小の値となる。
【0039】
そして、この充放電コンデンサC0の充電電圧Vtは変調波信号生成回路部22の電源電圧VGとして印加される。このとき、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbの相対的な位置関係が変化すると、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbのインダクタンスが変化し、それに伴って発振信号Φtの振幅値及び周波数が変化する。しかしながら、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLb間の位置ずれによる振幅値及び周波数の変化と比較して、金属片Mが挟み込まれた際の変化量が大きいため、両者に区別が可能となる。
【0040】
変調波信号生成回路部22は、図7に示すように、無安定マルチバイブレータ(以下、単にマルチバイブレータという)22aにて構成されている。マルチバイブレータ22aは、2個のトランジスタQ1,Q2、2個のコンデンサC1,C2、4個の抵抗R1a,R1b,R2a,R2bとから構成される公知のマルチバイブレータである。
【0041】
マルチバイブレータ22aは、電源線25に整流回路21の充放電コンデンサC0の充電電圧Vtが電源電圧VGとして印加されている。そして、本実施形態のマルチバイブレータ22aは、トランジスタQ1のコレクタ端子からオン・オフ信号MP(変調波)を変調回路部23に出力する。
【0042】
マルチバイブレータ22aは、その時々の電源電圧VGの値によってオン・オフ信号MPのデューティーDU(=t1/Tn)が制御される。これは、電源電圧VGが変化することによって、トランジスタQ1がオンからオフになる際のベース・エミッタ間の電位の初期値が変化するとともに、トランジスタQ2がオフする際のベース・エミッタ間のチャージ速度が変化することに起因する。
【0043】
ちなみに、マルチバイブレータ22aは、電源電圧VGが大きな値ほど、図10(b)に示すように、デューティーDU(=t1/Tn)が小さい(オン時間t1が短い)、オン・オフ信号MPを出力する。
【0044】
反対に、マルチバイブレータ22aは、載置面3に金属片Mが載置されていて電源電圧VGが小さい値ほど、図10(f)に示すように、デューティーDU(=t1/Tn)が大きい(オン時間t1が長い)、オン・オフ信号MPを出力する。
【0045】
換言すれば、金属片Mが介在している時には、マルチバイブレータ22aは、金属片Mが介在されていない時と比較して、デューティーDUが大きいオン・オフ信号MPをトランジスタQ1のコレクタ端子から出力する。
【0046】
マルチバイブレータ22aは、そのトランジスタQ1のコレクタ端子から出力されるオン・オフ信号MPを変調回路部23に出力する。
変調回路部23は、図6に示すように、トランジスタQ3とダイオードD1を有している。ダイオードD1は、アノード端子が整流回路21の整流用ダイオードD0のアノード端子に接続されるとともに共振コンデンサCxに接続され、カソード端子がトランジスタQ3のコレクタ端子に接続されている。トランジスタQ3は、そのベース端子がマルチバイブレータ22aのトランジスタQ1のコレクタ端子に接続され、エミッタ端子が接地されている。
【0047】
トランジスタQ3は、ベース端子にマルチバイブレータ22aからのオン・オフ信号MPが入力されることによって、オン・オフされる。
従って、トランジスタQ3がオンされる時、整流用ダイオードD0を介して充放電コンデンサC0に充電される充電電流の一部が、ダイオードD1を介してトランジスタQ3(変調回路部23)に流れるようにしている。反対に、トランジスタQ3がオフされる時、整流用ダイオードD0を介して充放電コンデンサC0に充電される充電電流が、トランジスタQ3(変調回路部23)に流れることなく、整流用ダイオードD0を介して充放電コンデンサC0に流れる。
【0048】
その結果、トランジスタQ3のオン・オフによって、発振信号Φtに基づいて2次側金属検知コイルLbの両端子PT,NT間を流れる2次電流が変化されることになる。この2次電流の変化によって、2次側金属検知コイルLbが放射する磁束が変化し、その変化した磁束は1次側金属検知コイルLaに電磁誘導として伝播し、1次側金属検知コイルLaに流れる1次電流を変化させる。
【0049】
つまり、トランジスタQ3のオン・オフによって(オン・オフ信号MPのデューティーDUによって)、2次側金属検知コイルLbの両端子PT,NT間を流れる電流(発振信号Φt)は振幅変調される。そして、その被変調波信号Φmは、2次側金属検知コイルLbから1次側金属検知コイルLaに送信される。
【0050】
換言すると、2次側金属検知コイルLbが受信する発振信号Φtはキャリア信号を構成する。一方、機器E内においてそのキャリア信号の振幅値に基づく充電電圧Vt(電源電圧VG)が生成され、その電源電圧VGの値に相対したデューティーDUのオン・オフ信号MPが変調波信号として生成される。そして、そのキャリア信号(発振信号Φt)の振幅を、その変調波信号(デューティー制御されたオン・オフ信号MP)に変調することによって、図10(c)または(g)に示す被変調波信号Φmが生成される。
【0051】
さらに、詳述すると、給電エリアARに金属片Mがない場合における、図10(b)に示すオン・オフ信号MPで変調することによって、図10(c)に示す被変調波信号Φmが生成される。
【0052】
一方、給電エリアARに金属片Mがある場合における、図10(f)に示すオン・オフ信号MPで変調することによって、図10(g)に示す被変調波信号Φmが生成される。
従って、被変調波信号Φmの包絡線波形は、オン・オフ信号MP(変調波)のデューティーDUに相対した波形になる。
【0053】
(給電装置1)
次に、給電装置1について説明する。図3に示すように、給電装置1は、共通ユニット部30と基本ユニット部40を有している。
【0054】
共通ユニット部30は、基本ユニット部40に電源を供給する電源回路31、基本ユニット部40を統括制御するシステム制御部32、各種データを記憶する不揮発性メモリ33を備えている。
【0055】
電源回路31は、整流回路及びDC/DCコンバータを有し、外部から商用電源を入力して整流回路にて整流する。電源回路31は、整流した直流電圧をDC/DCコンバータにて所望の電圧に変換した後、その直流電圧Vddを駆動電源としてシステム制御部32、不揮発性メモリ33及び基本ユニット部40に出力する。
【0056】
システム制御部32は、マイクロコンピュータよりなり、基本ユニット部40を制御する。不揮発性メモリ33は、システム制御部32が各種判定処理動作を行う際に使用する各種のデータを記憶している。
【0057】
基本ユニット部40は、図3に示すように、各給電エリアAR(各1次コイルL1)に対して設けられた複数の基本給電ユニット回路4から構成されている。そして、各基本給電ユニット回路4は、システム制御部32との間でデータの授受を行い、システム制御部32にて制御されている。
【0058】
各基本給電ユニット回路4は、その回路構成が同じであるため説明の便宜上、1つの基本給電ユニット回路4について、図8に従って説明する。
図8に示すように、基本給電ユニット回路4は、受信回路部41、信号抽出回路部42、給電コイル励磁駆動回路部43及び金属検知回路部44を有している。
【0059】
受信回路部41は、信号受信アンテナコイルA1と接続されている。受信回路部41は、載置面3に載置された機器Eの信号送信アンテナコイルA2から送信された送信信号が信号受信アンテナコイルA1を介して受信される。受信回路部41は受信した送信信号を信号抽出回路部42に出力する。
【0060】
信号抽出回路部42は、受信回路部41が受信した送信信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出する。信号抽出回路部42は、送信信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQの両信号を抽出した時、システム制御部32に許可信号ENを出力する。ちなみに、信号抽出回路部42は、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQのいずれか一方しか抽出しなかった時、又は、両信号とも抽出しなかった時には、システム制御部32に許可信号ENを出力しない。
【0061】
給電コイル励磁駆動回路部43は、1次コイルL1と接続され、本実施形態では同1次コイルL1を励磁するフルブリッジ回路43a、そのフルブリッジ回路43aを駆動させるドライブ回路43b及び存在検知回路43cから構成されている。
【0062】
フルブリッジ回路43aは、公知のフルブリッジ回路であって、図9に示すように、4個のMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdを有している。4個のMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdは、1次コイルL1と共振コンデンサCからなる直列回路を挟んで、襷掛けに接続されたMOSトランジスタQa,Qdの組とMOSトランジスタQb,Qcの組とに分かれる。そして、2つの組を交互にオン・オフさせることによって、1次コイルL1を励磁する。
【0063】
ドライブ回路43bは、共通ユニット部30のシステム制御部32からの励磁制御信号CTを入力し、各MOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdのゲート端子にそれぞれ出力する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0064】
そして、機器Eへの給電時には、システム制御部32からの励磁制御信号CTに基づいて、ドライブ回路43bは、各組を交互にオン・オフ(フル・ブリッジ動作)させて、1次コイルL1を励磁する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0065】
ドライブ回路43bは、一方の組のMOSトランジスタQa,Qdのゲート端子に互いに同じパルス波形の駆動信号PSa,PSdをそれぞれ出力する。また、ドライブ回路43bは、他方の組のMOSトランジスタQb,Qcのゲート端子に互いに同じパルス波形であって、駆動信号PSa,PSdと相補信号となる駆動信号PSb,PScをそれぞれ出力する。
【0066】
従って、一方の組のMOSトランジスタQa,Qdと他方の組のMOSトランジスタQb,Qcとが交互にオン・オフ(フル・ブリッジ動作)し、1次コイルL1を励磁する。
ちなみに、機器Eへの給電時には、ドライブ回路43bは、システム制御部32からの励磁制御信号CTに基づいて、各組を交互にオン・オフ(フル・ブリッジ動作)させて、1次コイルL1を励磁する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0067】
また、待機時には、ドライブ回路43bは、システム制御部32からの励磁制御信号CTに基づいて、フルブリッジ回路43aをフル・ブリッジ動作からハーフ・ブリッジ動作に変更して1次コイルL1を励磁する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0068】
ハーフ・ブリッジ動作は、一方の組のMOSトランジスタQdをオン状態にし、他方の組のMOSトランジスタQcをオフ状態した状態で、一方の組のMOSトランジスタQaと他方の組のMOSトランジスタQbを交互にオン・オフさせる。
【0069】
従って、ドライブ回路43bは、MOSトランジスタQdにハイレベルの駆動信号PSdを出力するとともに、MOSトランジスタQcにロウレベルの駆動信号PScを生成し出力する。そして、ドライブ回路43bは、MOSトランジスタQaとMOSトランジスタQbが交互にオン・オフされるように、互いに相補関係となる駆動信号PSa,PSb生成しMOSトランジスタQa,Qbにそれぞれ出力する。
【0070】
この待機時に、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させて1次コイルL1を励磁する理由は、待機中は隣接している1次コイルL1との磁気結合による干渉の低減を図り、給電エリアARに載置された機器E等の存在検知精度を上げるためである。
【0071】
ちなみに、給電エリアARに物体が載置されると、空間的に結合されるその物体(負荷)によって、1次コイルL1に流れる電流値が変化する。詳述すると、給電エリアARに何も載置されていない時(負荷がないオープンの時)、1次コイルL1に流れる電流値が最大となる。一方、給電エリアARに物体が載置された時(負荷がある時)、負荷が大きくなるに従い1次コイルL1に流れる電流値が小さくなる。
【0072】
ここで、システム制御部32がフルブリッジ回路43aに対してフル・ブリッジ動作をさせるための励磁制御信号CTを出力している時、ドライブ回路43bは、駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを出力し続ける。従って、この場合、フルブリッジ回路43aは1次コイルL1を連続励磁駆動させる。
【0073】
また、システム制御部32がフルブリッジ回路43aに対してハーフ・ブリッジ動作をさせるための励磁制御信号CTを出力している時、ドライブ回路43bは、駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを所定の期間だけ間欠的に出力する。従って、この場合、フルブリッジ回路43aは、一定の期間毎に1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。
【0074】
この1次コイルL1の間欠励磁駆動は、載置面3に機器Eが載置された時に該機器Eの負荷Zを直ちに駆動できる2次電力ではなく、負荷Zの充電器を充電できる程度の2次電力が供給されるようしたものである。そして、その充電電圧に基づいて、給電装置1との間で無線通信を行うための機器Eのデータ生成回路部13及び送信回路部14は駆動される。
【0075】
また、システム制御部32は、給電エリアARに金属片Mが載置されていると判定されている時も同様に、1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。従って、1次コイルL1の間欠励磁駆動は、負荷Zの充電器を充電できるものの、給電エリアARに載置された金属片Mを誘導加熱にて温度上昇させない程度の間欠励磁駆動である。
【0076】
さらに、システム制御部32は、信号抽出回路部42が許可信号ENを出力していない時、給電エリアARに機器Eが載置されていない時と同様に、1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。
【0077】
給電コイル励磁駆動回路部43は、存在検知回路43cを備えている。存在検知回路43cは、1次コイルL1に流れる電流を検出し、その検出電流の電流値を電圧に変換し、存在検出電圧Vxとしてシステム制御部32に出力するようになっている。
【0078】
詳述すると、1次コイルL1が励磁駆動されているとき、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)が存在していないとき、空間的に結合されるその物体(負荷)がないことによって、1次コイルL1に流れる電流値が大きくなる。反対に、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)が存在しているとき、空間的に結合されるその物体(負荷)によって、1次コイルL1に流れる電流値が小さくなる。
【0079】
従って、存在検知回路43cは、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)がない時には大きな値の存在検出電圧Vxをシステム制御部32に出力する。反対に、存在検知回路43cは、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)がある時には小さな値の存在検出電圧Vxをシステム制御部32に出力する。
【0080】
システム制御部32は、存在検出電圧Vxを入力し、存在検出電圧Vxが予め定めた下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2の間(Vk1<Vx<Vk2)にある時、給電エリアARに何かが載置されたと判断する。
【0081】
また、存在検出電圧Vxが上側基準電圧Vk2以上の時、システム制御部32は、給電エリアARに何も載置されていないと判断する。一方、存在検出電圧Vxが下側基準電圧Vk1以下の時、システム制御部32は、給電エリアARに何かが載置されているが明らかに給電するべき機器Eでない物体(負荷)が載置されていると判断するようになっている。
【0082】
なお、下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2は、予め実験、試験、計算等によって求めた値であって、共通ユニット部30の不揮発性メモリ33に予め記憶されている。そして、システム制御部32は、不揮発性メモリ33から下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2を読み出し存在検出電圧Vxと比較判断している。
【0083】
金属検知回路部44は、発振回路44a、信号抽出回路44b、デューティー演算回路44cを有している。
発振回路44aは、1次側金属検知コイルLaと接続され、本実施形態では同1次側金属検知コイルLaとでコルピッツ発振回路を構成している。発振回路44aは、電源回路31から直流電圧が印加されると、発振動作をする。そして、発振回路44aは、図10(a)に示す振幅値及び周波数が一定の正弦波よりなる発振信号Φtを1次側金属検知コイルLaから載置面3に載置した機器Eの2次側金属検知コイルLbに向けて送信する。
【0084】
発振回路44aから発振される発振信号Φtは、キャリア信号を構成するようになっている。つまり、機器Eは、その発振信号Φtの振幅値に基づいてオン・オフ信号MPを生成する。そして、機器Eは、キャリア信号をその振幅値に基づくデューティーDUのオン・オフ信号MPにて振幅変調させた被変調波信号Φmを2次側金属検知コイルLbから送信させるようになっている。このとき、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbの相対的な位置関係が変化すると、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbのインダクタンスが変化し、それに伴って発振信号Φtの振幅値及び周波数が変化する。しかしながら、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLb間の位置ずれによる振幅値及び周波数の変化と比較して、金属片Mが挟み込まれた際の変化量が大きいため、両者に区別が可能となる。
【0085】
そして、機器Eにおいて変調された図10(c)又は(g)に示す被変調波信号Φmは、給電装置1の1次側金属検知コイルLaにて受信され、発振回路44aを介して信号抽出回路44bに出力される。
【0086】
信号抽出回路44bは、包絡線検波回路を含み、発振回路44aを介して入力された機器Eからの被変調波信号Φmを同包絡線検波回路にて検波する。信号抽出回路44b(包絡線検波回路)は、被変調波信号Φmから該被変調波信号Φmの外側を包んだ包絡線波形信号(復調信号DMP)、すなわち、オン・オフ信号MPを復調する。信号抽出回路44b(包絡線検波回路)は、波形整形回路を含み、同波形整形回路にて復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)を波形整形してデューティー演算回路44cに出力する。
【0087】
デューティー演算回路44cは、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを演算する回路である。デューティー演算回路44cは、本実施形態では、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)の周期Tnを求めるとともに、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のオン時間t1を求める。そして、デューティー演算回路44cは、求めた周期Tnとオン時間t1からデューティーDU(=t1/Tn)を演算する。デューティー演算回路44cは、演算したデューティーDUをオン・オフ信号MPのデューティーとしてシステム制御部32に出力する。
【0088】
システム制御部32は、デューティー演算回路44cからの復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを入力し、そのデューティーDUに基づいて金属片Mの有無を判定する。システム制御部32は、共通ユニット部30の不揮発性メモリ33に予め記憶した基準デューティーDUkと復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを比較することによって金属片Mの有無を判定する。
【0089】
基準デューティーDUkは、給電エリアARと機器Eとの間に金属片Mが介在されていない状態で、機器Eからの被変調波信号Φmを金属検知回路部44が受信した時に、デューティー演算回路44cが演算したデューティーDUを基準デューティーとしている。つまり、この基準デューティーDUkは、予め実験、試験、計算等によって求めた値であって、不揮発性メモリ33に予め記憶されている。
【0090】
従って、給電エリアARに金属片Mが介在されている状態では、発振信号Φtの振幅が小さくなり、オン・オフ信号MPのデューティーDUも長くなる。その結果、システム制御部32は、デューティー演算回路44cからのデューティーDUが基準デューティーDUkを超える値になったとき、給電エリアARに金属片Mがあると判定する。反対に、システム制御部32は、デューティー演算回路44cからのデューティーDUが基準デューティーDUk以下の値のときには、給電エリアARに金属片Mがないと判定する。
【0091】
システム制御部32は、存在検知回路43cから存在検出電圧Vxを入力し、その存在検出電圧Vxが下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2の間にあると判定した後、デューティー演算回路44cからのオン・オフ信号MPのデューティーDUのデータを待つ。そして、システム制御部32は、給電エリアARに金属片Mがないと判定すると、信号抽出回路部42から許可信号ENを待つ。この状態で、システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENが入力されると、システム制御部32は、該基本給電ユニット回路4の給電コイル励磁駆動回路部43に対して、フル・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力する。
【0092】
一方、システム制御部32は、存在検知回路43cからの存在検出電圧Vxが下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2の間にない時、給電コイル励磁駆動回路部43に対して、フル・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力しない。つまり、システム制御部32は、給電コイル励磁駆動回路部43に対して、ハーフ・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力するとともに1次コイルL1を間欠励磁駆動させるようにしている。
【0093】
また、システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENが入力されない時、同様に給電コイル励磁駆動回路部43に対して、ハーフ・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力するとともに1次コイルL1を間欠励磁駆動させるようにしている。
【0094】
さらに、システム制御部32は、給電エリアARに金属片Mがあると判定したとき、同様に給電コイル励磁駆動回路部43に対して、ハーフ・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力するとともに1次コイルL1を間欠励磁駆動させるようにしている。
【0095】
次に、上記のように構成した給電装置1の作用について説明する。
今、図示しない電源スイッチがオンされて、電源回路31に商用電源が供給されると、電源回路31は、直流電圧を駆動電源としてシステム制御部32、不揮発性メモリ33及び各基本給電ユニット回路4に出力する。
【0096】
システム制御部32は、電源回路31から駆動電源を入力すると、各基本給電ユニット回路4のフルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを、各基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bに対して出力する。
【0097】
各基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bは、励磁制御信号CTに応答して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させて1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。
【0098】
これによって、給電装置1の載置面3の各給電エリアARは、機器Eの載置を待つ。
この状態において、システム制御部32は、(1)存在検知処理動作、(2)金属異物検出処理動作、(3)機種検出処理動作を繰り返し実行する。
【0099】
存在検知処理動作は、システム制御部32が、各基本給電ユニット回路4(給電コイル励磁駆動回路部43)を制御して各給電エリアARに物体が載置されたかどうか検出する存在検知を行う処理動作である。
【0100】
金属異物検出処理動作は、システム制御部32が、各基本給電ユニット回路4(金属検知回路部44)を制御して、各給電エリアARにおける金属片Mの検知を行う処理動作である。
【0101】
機種検出処理動作は、システム制御部32が、各基本給電ユニット回路4(受信回路部41及び信号抽出回路部42)を制御して、機器Eの給電要求の検知を行う処理動作である。
(存在検知処理動作)
各基本給電ユニット回路4の給電コイル励磁駆動回路部43に設けた存在検知回路43cは、対応する1次コイルL1のその時々に流れる電流値を存在検出電圧Vxとしてそれぞれ検出する。そして、各存在検知回路43cは、その存在検出電圧Vxをシステム制御部32に出力する。
【0102】
システム制御部32は、各存在検知回路43cからの存在検出電圧Vxを入力すると、各存在検出電圧Vxについて、下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2との間にあるか否か判定する。そして、存在検出電圧Vxについて、下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2との間にある場合には、その存在検知回路43cが属する給電エリアARに物体が存在していると判定する。
【0103】
また、存在検出電圧Vxについて、上側基準電圧Vk2以上の場合には、その存在検知回路43cが属する給電エリアARに物体が存在していない判定する。
(金属異物検出処理動作)
各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44は、直流電圧を入力することで、発振回路44aが発振動作する。従って、各基本給電ユニット回路4の1次側金属検知コイルLaから発振信号Φtが送信される。
【0104】
機器Eの2次側金属検知コイルLbは、1次側金属検知コイルLaから発振信号Φtを受信する。2次側金属検知コイルLbは、この受信した発振信号Φtを変調回路20の整流回路21に出力し、同発振信号Φtを半波整流する。
【0105】
半波整流された発振信号Φtは、整流回路21にて半波整流され、その充電電圧Vtが電源電圧VGとして変調波信号生成回路部22(マルチバイブレータ22a)に印加されている。
【0106】
ここで、整流回路21の直流電圧(電源電圧VG)は、発振信号Φtの振幅値よって、すなわち、給電エリアARに金属片Mが載置されているか否かによって変動する。
発振信号Φtの振幅は、給電エリアARに金属片Mが載置されていない場合、図10(a)になる。反対に、に金属片Mが載置されている場合、図10(e)になる。従って、給電エリアARに金属片Mがある場合のほうが、金属片Mがある場合より、発振信号Φtの振幅値が大きくなり、充電電圧Vtは大きくなる。
【0107】
その結果、マルチバイブレータ22aから出力されるオン・オフ信号MPのデューティーDUは、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合、図10(b)になるのに対して、給電エリアARに金属片Mが載置されている場合、図10(f)になる。つまり、図10(b)(f)に示すように、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合に比べて金属片Mが載置されている方が、オン・オフ信号MPのデューティーDUは大きくなる。
【0108】
このオン・オフ信号MPは、変調回路部23のトランジスタQ3のゲート端子に出力され、トランジスタQ3をオン・オフさせる。このトランジスタQ3のオン・オフによって、2次側金属検知コイルLbに流れる電流(発振信号Φt)は振幅変調され、被変調波信号Φmとなって2次側金属検知コイルLbから1次側金属検知コイルLaに送信される。
【0109】
このとき、給電エリアARに金属片Mが載置されていない場合、図10(b)に示すオン・オフ信号のデューティーDUにあわせて、被変調波信号Φmは図10(c)に示す波形となる。一方、給電エリアARに金属片Mが載置されている場合、図10(f)に示すオン・オフ信号MPのデューティーDUにあわせて、被変調波信号Φmは図10(g)に示す波形となる。
【0110】
1次側金属検知コイルLaは2次側金属検知コイルLbから送信される被変調波信号Φmを受信する。1次側金属検知コイルLaが受信した被変調波信号Φmは、発振回路44aを介して信号抽出回路44b(検波回路部)に出力される。
【0111】
信号抽出回路44b(検波回路部)は、被変調波信号Φmから該被変調波信号Φmの外側を包んだ包絡線波形信号(復調信号DMP)、すなわち、オン・オフ信号MPを復調する。信号抽出回路44b(検波回路部)は、復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)をデューティー演算回路44cに出力する。
【0112】
従って、信号抽出回路44bにて復調された復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUは、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合、図10(d)になるのに対して、給電エリアARに金属片Mが載置されている場合、図10(h)になる。つまり、図10(b)(f)に示すように、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合に比べて金属片Mが載置されている方が、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUは大きくなる。
【0113】
信号抽出回路44b(検波回路部)は、復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)をデューティー演算回路44cに出力する。
デューティー演算回路44cは、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)からの復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを演算し、システム制御部32に出力する。
【0114】
システム制御部32は、各基本給電ユニット回路4からの復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを入力し、その各デューティーDUについて基準デューティーDUkと比較する。
【0115】
システム制御部32は、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUが基準デューティーDUkを超える時、その金属検知回路部44にて励磁されている1次側金属検知コイルLaの直上の給電エリアARに金属片Mが存在していると判定する。
【0116】
また、システム制御部32は、オン・オフ信号MPのデューティーDUが基準デューティーDUk以下の値のときには、その金属検知回路部44にて励磁されている1次側金属検知コイルLaの直上の給電エリアARに金属片Mがないと判定する。
(機種検出処理動作)
機器Eが給電エリアARに置かれると、機器Eの2次コイルL2は、1次コイルL1の間欠励磁駆動に基づく2次電力を受電する。機器Eは、この2次電力に基づいて、受電回路10のデータ生成回路部13において機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを作成し送信回路部14に出力する。送信回路部14は、この機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを信号送信アンテナコイルA2から給電装置1の信号受信アンテナコイルA1に向けて送信する。
【0117】
給電装置1は、信号抽出回路部42において、受信回路部41が信号受信アンテナコイルA1が受信した送信信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出する。信号抽出回路部42は、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出すると、システム制御部32に許可信号ENを出力する。
【0118】
システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENを入力すると、給電装置1にて給電可能な機種の機器Eが、その信号抽出回路部42が属する給電エリアARに載置されたことを判断する。
【0119】
また、システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENが入力されない場合には、存在検知処理動作において物体が載置されていると判定されていても、給電装置1にて給電ができない機器E又は物体が給電エリアARに載置されと判断する。
(機器Eへの給電)
システム制御部32は、上記存在検知処理動作、金属異物検出処理動作及び機種検出処理動作の実行を繰り返す。そして、システム制御部32は、所定の給電エリアARにおいて、物体の存在を検出し、金属片Mがないと判定し、且つ、当該物体が機器Eであって許可信号ENが出力されている時、その給電エリアARの直下にある1次コイルL1を連続励磁駆動させる。すなわち、システム制御部32は、機器Eが載置された給電エリアARの基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをフル・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0120】
1次コイルL1が連続励磁駆動することによって、給電装置1の給電エリアARに載置された機器Eは、2次コイルL2を介して、1次コイルL1の連続励磁駆動に基づく2次電力を受電する。これによって、機器Eは、受電回路10(整流平滑回路部11及びDC/DCコンバータ回路12)から負荷Zに、同負荷Zを駆動させるための電源が供給されることになる。
【0121】
なお、システム制御部32は、給電中に、該給電エリアARに金属異物検出処理動作によって、金属片Mがあると判定した時、機器Eへの給電を停止する。即ち、システム制御部32は、その給電エリアARの1次コイルL1を連続励磁駆動から間欠励磁駆動させる。詳述すると、システム制御部32は、機器Eの直下にある基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0122】
また、システム制御部32は、給電中に、該給電エリアARから機器Eが取り上げられた場合、存在検知処理動作によって、給電エリアARから機器Eが取り上げられた判定し、機器Eへの給電を停止する。即ち、同様に、システム制御部32は、その給電エリアARの1次コイルL1を連続励磁駆動から間欠励磁駆動させる。詳述すると、システム制御部32は、機器Eの直下にある1次コイルL1を励磁するドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0123】
さらに、システム制御部32は、給電中に、該機器Eから励磁要求信号RQが出力されなくなって、機種検出処理動作によって、許可信号ENが消失した時、機器Eへの給電を停止する。即ち、システム制御部32は、同様に、その給電エリアARの直下にある1次コイルL1を連続励磁駆動から間欠励磁駆動させる。詳述すると、システム制御部32は、機器Eの直下にある1次コイルL1を励磁するドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0124】
次に、上記のように構成した第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、給電装置1の載置面3の複数の給電エリアARを形成した。そして、その各給電エリアARに1次コイルL1を配置し、機器Eが載置面3のどの給電エリアARに載置されても、その載置された給電エリアARの1次コイルL1が励磁駆動されるようにした。従って、給電装置1は、機器Eが載置面3のどの給電エリアARに載置されも同機器Eを確実に給電することができる。
【0125】
(2)上記実施形態によれば、給電装置1の載置面3の複数の給電エリアARを形成し、その各給電エリアARに金属検知をするための1次側金属検知コイルLaを設けた。従って、金属片Mが載置面3のどの給電エリアARに置かれても、給電装置1は、金属片Mを確実に検知することができる。
【0126】
(3)上記実施形態によれば、金属片Mの有無をオン・オフ信号MPのデューティーDUで求め、そのオン・オフ信号MPを変調波とした。そのため、1次コイルL1が複数個隣接して配置された給電装置1においては、隣同士の1次コイルL1が互いに干渉して励磁周波数が変動しても影響は小さく金属検知が精度よく行える。
【0127】
(4)上記実施形態によれば、システム制御部32は、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44が演算したデューティーDUを入力し、その入力したデューティーDUに基づいて各給電エリアARにおける金属片Mの有無の判定を行った。
【0128】
従って、システム制御部32は、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44からのデューティーDUをそれぞれ基準デューティーDUkと比較するだけでよい。その結果、システム制御部32の負荷は、非常に低減させることができる。
【0129】
(5)上記実施形態によれば、金属片Mの有無の情報、すなわち、オン・オフ信号MPを機器E側で生成するようにした。従って、その分だけ、給電装置1側の回路構成及び負荷の軽減でき、より安価な非接触給電装置を実現できる。
【0130】
(6)上記実施形態によれば、被変調波信号Φmを生成する際、キャリア信号として金属検知回路部44の発振回路44aからの発振信号Φtを利用したので、キャリア信号のための発振回路が省略することができる。
【0131】
(7)上記実施形態によれば、被変調波信号Φmは振幅変調であるため、他の周波数変調等に比べて、回路構成が簡単かつ安価に構成することができる。また、被変調波信号Φmを復調する信号抽出回路44b(検波回路部)も簡単かつ安価に構成することができる。
【0132】
(8)上記実施形態によれば、整流回路21の充放電コンデンサC0の充電電圧Vtを変調波信号生成回路部22のマルチバイブレータ22aの電源電圧VGとして供給した。そして、金属片Mの有無によって変動する電源電圧VGによってマルチバイブレータ22aのオン・オフ信号MPのデューティーDUを変更させて、金属片Mの有無に基づいてデューティーDUが変更されるオン・オフ信号MPを生成した。
【0133】
従って、マルチバイブレータ22aという簡単な回路構成で金属片Mの有無のための変調波(オン・オフ信号MP)を生成することができる。
(9)上記実施形態によれば、給電装置1は、各基本給電ユニット回路4において給電のための1次コイルL1の励磁周波数を変えて金属検知のために使用することがない。その結果、1次コイルL1の励磁周波数を複数設け、その都度、励磁周波数を切り替えるための複雑で高価な制御回路が不要となり安価な非接触給電装置が実現できる。
【0134】
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、給電装置1の各給電エリアARに信号受信アンテナコイルA1を設けるとともに、機器Eに信号送信アンテナコイルA2を設けたが、この両アンテナコイルA1,A2を省略して実施してもよい。
【0135】
この場合、図11に示すように、受信回路部41及び存在検知回路43cの入力端子を1次コイルL1にそれぞれ接続する。そして、受信回路部41は、1次コイルL1が受信した変調された励磁信号を入力し機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出するようにしてもよい。
【0136】
また、存在検知回路43cは、1次コイルL1のその時々に流れる電流値を存在検出電圧Vxとしてそれぞれ検出して、給電エリアARに物体が存在しているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0137】
一方、機器Eの送信回路部14は、図12に示すように、その出力端子を、2次コイルL2に接続する。これによって、送信回路部14は、データ生成回路部13からの機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを入力し、2次コイルL2を介して給電装置1の1次コイルL1に送信することになる。
【0138】
つまり、機器Eに設けたデータ生成回路部13にて、ビット信号よりなる機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成する。このとき、金属検知のための変調回路部23と同様に、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQも2次コイルL2が受信した1次コイルL1からの励磁信号を変調する。そして、変調された励磁信号を1次コイルL1が受信し、受信した変調された励磁信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出するようにしてもよい。
【0139】
また、各給電エリアARの1次側金属検知コイルLa及び信号受信アンテナコイルA1、並びに、機器の2次側金属検知コイルLb及び信号送信アンテナコイルA2を省略して実施してもよい。
【0140】
この場合、図13に示すように、受信回路部41、存在検知回路43c及び信号抽出回路44bの入力端子を1次コイルL1にそれぞれ接続する。そして、受信回路部41は、1次コイルL1が受信した変調された励磁信号を入力し機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出するようにしてもよい。また、存在検知回路43cは、1次コイルL1のその時々に流れる電流値を存在検出電圧Vxとしてそれぞれ検出して、給電エリアARに物体が存在しているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0141】
また、信号抽出回路44bは、1次コイルL1が受信した被変調波信号Φmを入力する。そして、信号抽出回路44bは、その入力した被変調波信号Φmから該被変調波信号Φmの外側を包んだ包絡線波形信号(復調信号DMP)、すなわち、オン・オフ信号MPを復調する。信号抽出回路44b(検波回路部)は、復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)をデューティー演算回路44cに出力することになる。
【0142】
一方、機器Eの変調回路20は、図14に示すように、その入力端子を、2次コイルL2に接続する。これによって、変調回路20は、振幅変調された被変調波信号Φmを2次コイルL1介して1次コイルL1に送信することになる。
【0143】
つまり、この金属検知ついて、1次コイルL1と2次コイルL2を利用して行う場合、変調波信号生成回路部22は受電回路10の整流平滑回路部11の電源電圧を入力する。そして、変調波信号生成回路部22は、整流平滑回路部11の電源電圧に基づいてオン・オフ信号MPを生成し、変調回路部23に出力する。
【0144】
そして、変調回路部23は、このオン・オフ信号MP(オン・オフ信号MPのデューティーDU)によって、2次コイルL2の両端子間を流れる2次電流を振幅変調させ、その振幅変調された励磁信号を2次コイルL2から1次コイルL1に送信させる。そして、変調された励磁信号を1次コイルL1が受信し、その受信した変調された励磁信号から、基本給電ユニット回路4に設けた金属検知回路部44がオン・オフ信号MPのデューティーDUを演算する。
【0145】
これによって、各給電エリアARの1次側金属検知コイルLa及び信号受信アンテナコイルA1、並びに、機器の2次側金属検知コイルLb及び信号送信アンテナコイルA2を省略でき、安価な給電装置1を実現できる。
【0146】
○上記実施形態では、システム制御部32の負荷を低減するために、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44は、オン・オフ信号MPのデューティーDUを演算し、システム制御部32に出力した。これを、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44は、被変調波信号Φmを復調し、その復調した復調信号DMPをシステム制御部32に出力してもよい。そして、システム制御部32は、入力した復調信号DMP、すなわち、オン・オフ信号MPのデューティーDUを演算し、その演算したデューティーDUにて金属片Mの有無の判定(金属異物検出処理動作)を行うようにしてもよい。
【0147】
○上記実施形態では、1次側金属検知コイルLaの中心を、給電エリアARの中心と一致するように設けたが、1次側金属検知コイルLaに中心を、給電エリアARの中心からずらして配置してもよい。
【0148】
○上記実施形態では、金属検知回路部44の発振回路44aをコルピッツ発振回路で具体化したが、これに限定されるものではなく、ハートレー発振回路等、その他発振回路で具体化してもよい。
【0149】
○上記実施形態では、1次コイルL1、2次コイルL2の形状を四角形状にしたが、四角形状に限定されるものではなく、例えば、四角形以外の多角形や円形等、その他の形状で実施してもよい。また、1次コイルL1、2次コイルL2の大きさも特に限定されるものではなく、例えば、1次コイルL1の大きさと2次コイルL2の大きさとを相対的に異なるようにして実施してもよい。
【0150】
また、1次側金属検知コイルLa及び2次側金属検知コイルLbの形状も限定されるものではなく、円形以外の四角形等の多角形や楕円形等、その他の形状で実施してもよい。
勿論、信号受信アンテナコイルA1及び信号送信アンテナコイルA2の形状も限定されるものではなく、円形以外の四角形等の多角形や楕円形等、その他の形状で実施してもよい。
【0151】
○上記実施形態では、1次コイルL1の数と1次側金属検知コイルLaの数を同数にし、1つの1次コイルL1に対して1つの1次側金属検知コイルLaとして、1つの給電エリアARに1つの1次側金属検知コイルLaを配置した。これを、1次コイルL1の数と1次側金属検知コイルLaの数を同数にしなくて実施してもよい。
【0152】
例えば、1次コイルL1に対して1次側金属検知コイルLaの数を少なくする。この場合、複数個(例えば、4個)の1次コイルL1に対して1個の1次側金属検知コイルLaを割り当てる。従って、複数個の1次コイルL1による複数の給電エリアARの金属検知か可能なように1個の1次側金属検知コイルLaのサイズを大きくする必要がある。
【0153】
○上記実施形態では、給電エリアARに合わせて1次コイルL1を四角形状にし、各1次コイルL1を格子状に配置したが、これに限定されるものではない。例えば、1次コイルL1の形状を6角形状にしたとき、各1次コイルL1をハニカム状に配置して実施してもよい。
【0154】
○上記実施形態では、載置面3に機器Eが載置されるまでの間、(1)存在検知処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(1)存在検知処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→……を繰り返した。
【0155】
これを、(1)存在検知処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(1)存在検知処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→……、といった動作を繰り返して実施してもよい。
【0156】
また、(1)存在検知処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→……、といった動作を繰り返して実施してもよい。この場合、最初の存在検知処理動作で存在が検知され場合には、以後、金属異物検出処理動作と機種検出処理動作を繰り返すことにより、1次コイルL1の励磁を止めることが可能となる。
【0157】
さらに、(1)存在検知処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→……、といった動作を繰り返して実施してもよい。この場合も同様に、最初の存在検知処理動作で存在が検知され場合には、以後、金属異物検出処理動作と機種検出処理動作を繰り返すことにより、1次コイルL1の励磁を止めることが可能となる。
【0158】
○上記実施形態では、共通ユニット部30に不揮発性メモリ33を設け、不揮発性メモリ33に金属片Mの有無を判定するための基準デューティーDUkを記憶した。これを、例えば、各給電ユニット回路4のデューティー演算回路44cに基準デューティーDUkを記憶させるようにして実施してもよい。
【0159】
この場合、各給電ユニット回路4のデューティー演算回路44cにおいて、デューティー演算回路44cが演算したデューティーDUとこの基準デューティーDUkを比較して金属片Mの有無の判定をする。つまり、各基本給電ユニット回路4において、金属片Mの有無の判定を行う。そして、デューティー演算回路44cはその判定結果をシステム制御部32に出力する。
【0160】
そして、システム制御部32は、その判定結果に基づいて、各基本給電ユニット回路4の1次コイルL1の励磁制御を行うようにしてもよい。これによって、システム制御部32の負荷は、軽減される。
【0161】
さらに、不揮発性メモリ33に記憶した給電エリアARに物体(負荷)が載置されたかどうかを判定するための下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2を記憶した。これを、例えば、各給電ユニット回路4の存在検知回路43cに下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2を記憶させるようにして実施してもよい。
【0162】
この場合、各基本給電ユニット回路4の存在検知回路43cにおいて、存在検知回路43cが検出した存在検出電圧Vxとこれら下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2とを比較して給電エリアAR上の物体(負荷)の有無の判定をする。つまり、各給電ユニット回路4において、物体(負荷)の有無の判定を行う。そして、存在検知回路43cはその判定結果をシステム制御部32に出力する。
【0163】
これによって、システム制御部32の負荷は、さらに軽減される。しかも、不揮発性メモリ33から基準デューティーDUk、下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2の記憶を省略すると、そのための不揮発性メモリ33が不要になり、コストダウンを図ることができる。
【0164】
○上記実施形態では、給電装置1が待機状態になると、フルブリッジ回路43aはフル・ブリッジ動作からハーフ・ブリッジ動作させた。これを、ハーフ・ブリッジ動作に代えて、例えば、フルブリッジ回路43aにおいて、待機中は、4つのMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdを全てオフして実施してもよい。勿論、上側の2つのMOSトランジスタQa、Qcをオフし、下側の2つのMOSトランジスタQb,Qdをオンし、他の磁束と磁気結合しないように構成してもよい。
【0165】
要は、待機中において、フルブリッジ回路43aを介して、電源回路31の電源線とグランドが短絡されないように、4つのMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdを制御するパターンのうちから、実験で得られた最も適切な設定を選択すればよい。
【0166】
詳述すると、待機中に1次側金属検知コイルLaが金属片Mの検知のために発振している時に、隣接した1次コイルL1への電源電圧Vddが遮断される。従って、1次コイルL1と共振コンデンサCの直列回路を通しての回生電流の発生が抑制される。つまり、1次コイルL1への電源電圧Vddを遮断することで、金属片Mの検知のために発振している隣接の1次側金属検知コイルLaとの磁気結合が抑制される。
【0167】
その結果、1次側金属検知コイルLaの発振エネルギーが磁気結合によって弱められることはない。そして、機器Eの変調回路20に設けた変調波信号生成回路部22の無安定マルチバイブレータ22aが駆動できなくなるといった問題もなくなり、金属片Mの検知精度を落とすといったことがない。
【0168】
ちなみに、フルブリッジ回路43aを図15に示すように構成してもよい。図15に示すように、上側の2つのMOSトランジスタQa、Qcのドレン端子同士を接続した接続点N1に逆止用ダイオードDxを接続する。逆止用ダイオードDxは、そのアノード端子が電源回路31の電源線に接続され、カソード端子が接続点N1に接続されている。従って、フルブリッジ回路43aは、逆止用ダイオードDxを介して直流電圧Vddが印加される。
【0169】
また、各MOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdには、それぞれフライホイール用のダイオードDa,Db,Dc,Ddが並列に接続されている。なお、このダイオードDa,Db,Dc,Ddを省略しても、各MOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdがボディーダイオードを形成したものであるならば実質的に等価となる。
【0170】
そして、このように構成したフルブリッジ回路43aについて、上側の2つのMOSトランジスタQa、Qcをオフし、下側の2つのMOSトランジスタQb,Qdをオンさせる。これによって、1次コイルL1への電源電圧Vddが遮断されることで、金属片Mの検知のために発振している隣接の1次側金属検知コイルLaとの磁気結合が抑制される。
【0171】
しかも、フルブリッジ回路43aと電源回路31の電源線の間に、逆止用ダイオードDxを接続した。このため、電源回路31の電源線側において何らかの要因でインピーダンスが低くなり電位が下がっても、1次側金属検知コイルLaとの磁気結合による1次コイルL1が誘起した電流が電源回路31の電源線に流れ込むのが逆止用ダイオードDxによって阻止される。つまり、1次側金属検知コイルLaの発振エネルギーが、1次コイルL1を介して電流となって電源回路31の電源線側に流れ込むのを抑制することができる。
【0172】
その結果、1次側金属検知コイルLaの発振エネルギーが弱められることはなく、金属片Mの検知精度を落とすといったことがない。
○上記実施形態では、デューティー演算回路44cがデューティーDUを演算し、その演算したデューティーDUと基準デューティーDUkを比較して、金属片Mの有無判定を行うようにした。
【0173】
ところで、金属片Mが載置されていない時と、金属片Mが載置されている時とでオン・オフ信号MPのオン時間t1(デューティーDU)が極端に相違する場合がある。例えば、金属片Mが載置されていない時、オン・オフ信号MPのオン時間t1が非常に短く、金属片Mが載置されている時、オン・オフ信号MPのオン時間t1が非常に長い場合である。
【0174】
この場合には、復調信号DMPのデューティーDUに基づく、金属片Mの有無判定ではなく、復調信号DMPの信号について、オン(ハイレベル信号の)期間が長いか、オフ(ロウレベル信号の)期間が長いかという比較をする。そして、その比較結果に基づいて金属片Mの有無判定を行う。従って、デューティーDUを演算することなく、簡単な比較処理で金属片Mの有無判定を行うことができる。
【0175】
○上記実施形態では、変調回路20に設けた変調波信号生成回路部22を無安定マルチバイブレータ22aで構成したが、コンパレータ等に代えて実施してもよい。この場合、整流回路21からの電源電圧VGと予め定めた電圧を比較し、オン・オフ信号MPを生成してもよい。
【0176】
○上記実施形態では、変調回路20の整合回路MCを共振コンデンサCxで構成したが、その他の回路構成で実施してもよい。また、変調回路20の整流回路21を半波整流回路で構成したが、その他の整流回路で具体化してもよい。さらに、変調回路20の変調回路部23をトランジスタQ3とダイオードD1で構成したが、その他の回路構成で実施してもよい。
【0177】
○上記実施形態では、載置面3に24個の給電エリアARを形成したが、これに限定されるものではなく、1つ以上の給電エリアARを備えた給電装置1に応用してもよい。
【符号の説明】
【0178】
1…給電装置(非接触給電装置)、2…筐体、3…載置面、4…基本給電ユニット回路、10…受電回路、11…整流平滑回路部、12…DC/DCコンバータ回路、13…データ生成回路部、14…送信回路部、20…変調回路、21…整流回路、22…変調波信号生成回路部、22a…無安定マルチバイブレータ、23…変調回路部、23a…負荷、23b…負荷制御回路、25…電源線、30…共通ユニット部、31…電源回路部、32…システム制御部、33…不揮発性メモリ、40…基本ユニット部、41…受信回路部、42…信号抽出回路部、43…給電コイル励磁駆動回路部、43a…フルブリッジ回路(発振回路部)、43b…ドライブ回路、43c…存在検知回路、44…金属検知回路部、44a…発振回路(発振回路部)、44b…信号抽出回路、44c…デューティー演算回路(デューティー演算回路部)、E…機器(電気機器)、Z…負荷、AR…給電エリア、A1…信号受信アンテナコイル、A2…信号送信アンテナコイル、L1…1次コイル、L2…2次コイル、La…1次側金属検知コイル(受信コイル)、Lb…2次側金属検知コイル、CT…励磁制御信号、PSa,PSb,PSc,PSd…駆動信号、Q1〜Q3…トランジスタ、Qa,Qb,Qc,Qd…MOSトランジスタ、D0,D1,Da,Db,Dc,Dd…ダイオード、Dx…逆止用ダイオード、C,Cx…共振コンデンサ、C0…充放電コンデンサ、C1,C2…コンデンサ、MC…整合回路、R0,R1a,R1b,R2a,R2b…抵抗、Φt…発振信号、Φm…被変調波信号、MP…オン・オフ信号、DMP…復調信号、EN…許可信号、ID…機器認証信号、RQ…励磁要求信号、VG…電源電圧、Vdd…直流電圧、PT…正極入力端子、NT…負極入力端子、DU…デューティー、DUk…基準デューティー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導方式よる非接触給電システムは、非接触給電装置の載置面に受電装置を備えた電気機器を載置する。この状態において、非接触給電装置は、備えている1次コイルを励磁させて、電磁誘導にて電気機器の受電装置に設けられた2次コイルを励磁給電する。2次コイルに発生した2次電力は、受電装置内おいて直流電源に変換される。そして、その直流電源は、電気機器の負荷の駆動電源として供給される。
【0003】
ところで、この非接触給電装置には、金属異物を検知する金属検出装置を備え、その金属検出装置が金属異物を検出した時には給電を停止するようにしたものがある。これは、非接触給電装置と電気機器(受電装置)との間に金属異物が介在していると、給電中に金属異物が誘導加熱されるのを防止するためである。
【0004】
非接触給電装置が備えた金属検出装置としては、例えば、特許文献1の金属検出装置がある。この特許文献1では、非接触給電装置の1次コイルを給電時の励磁周波数(180kHz)とは相違する所定の周波数(210kHz)で励磁させる。そして、金属異物の有無によって所定の周波数で励磁されている1次コイルのインダクタンスが変化することが知られていて、その変化を利用して金属異物の有無を検出し給電を停止させるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−295796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属異物の有無を1次コイルのインダクタンスの変化、すなわち、1次コイルを含む発振回路の共振周波数の変化として検出しなければならないが、同様の変化は1次コイル及び2次コイルの位置関係が変化することによっても発生してしまう。これによって、両者の判別がつかないという問題が生じる。従って、上記金属検出装置では、1次コイル及び2次コイルを予め設定した位置関係に配置しなければならない。
【0007】
さらに、上記金属検出装置においては、1次コイルが複数個隣接して配置され、かつ、給電準備中のコイル(初期周波数210kHzあるいは追従中周波数180kHz〜210kHzの励磁)と給電中のコイル(180kHzで励磁)が存在する場合には、その差分の周波数が差周波数信号として発生する。この差周波数信号は金属検出装置に対してノイズとなるが、追従中周波数は時間的に変化するため、差周波数信号も時間的に変化するので、そのノイズ抑制手段が複雑になる問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電エリアに設けた給電コイルの励磁周波数を変えることなく精度よく金属異物の検出ができる非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の非接触給電装置は、電気機器に設けられた受電装置に対して、電磁誘導現象を利用して給電を行う非接触給電装置であって、前記電気機器を載置する載置面に沿ってそれぞれ隣接して形成された1つ以上からなる給電エリアに対してそれぞれ設けられ、その給電エリアにおいて前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力をそれぞれ給電する1次コイルと、前記給電エリア毎に設けられ、前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力を給電すべく該給電エリアの1次コイルを励磁駆動するとともに、該給電エリアから前記受電装置に発振信号を送信し、その発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した前記受電装置の発振信号に基づく被変調波信号を受信し、その被変調波信号を検波して前記変調波を復調する基本給電ユニット回路と、前記各基本給電ユニット回路が復調した変調波に基づいて各給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記構成において、前記基本給電ユニット回路は、前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と、前記検波回路部が復調した前記変調波のデューティーを演算するデューティー演算回路部とを備え、前記システム制御部は、前記各基本給電ユニット回路のデューティー演算回路部からのデューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、前記変調波は、受信した前記発振信号から金属異物の有無による磁束変化に基づいてデューティーが変更されるオン・オフ信号であって、前記被変調波信号は、キャリア信号の振幅を前記オン・オフ信号に比例して振幅変調させて生成したものであり、前記検波回路は、前記被変調波信号を包絡線検波によって前記オン・オフ信号を復調する回路であり、前記デューティー演算回路部は、前記検波回路部が復調した前記オン・オフ信号のデューティーを検出する回路であることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記キャリア信号は、前記発振回路部が前記受電装置に送信する前記発振信号であることが好ましい。
また、上記構成において、前記基本給電ユニット回路は、前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と備え、前記システム制御部は、前記各基本給電ユニット回路の検波回路部が復調した前記変調波を入力し、その各変調波のデューティーを演算し、入力した各デューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記基本給電ユニット回路に設けた発振回路部は、1次コイルを励磁する励磁駆動回路であり、前記基本給電ユニット回路に設けた受信コイルは、前記1次コイルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1次コイルと2次コイルの相対位置を固定しなくとも、金属異物の検出ができ、さらに、給電エリアに設けた給電コイルの励磁周波数を変える必要がないため、ノイズを効率的に抑制できることから、検出精度の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】非接触給電システムの非接触給電装置と電気機器を示す全体斜視図。
【図2】1次コイルの配列状態を示す説明図。
【図3】非接触給電装置と電気機器の電気ブロック回路図。
【図4】電気機器に設けた受電回路の電気ブロック回路図。
【図5】電気機器に設けた変調回路の電気ブロック回路図。
【図6】電気機器の変調回路を構成する整流回路部と変調回路部の電気回路図。
【図7】電気機器の変調回路を構成する変調波信号生成部の電気回路図。
【図8】非接触給電装置に設けた基本給電ユニット回路を説明するための電気ブロック回路図。
【図9】フルブリッジ回路を説明するための電気回路図。
【図10】(a)、(b)、(c)、(d)は金属片のない場合の発振信号、オン・オフ信号、被変調波信号及び復調信号の波形図、(e)、(f)、(g)、(h)は金属片のある場合の発振信号、オン・オフ信号、被変調波信号及び復調信号の波形図。
【図11】基本給電ユニット回路の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図12】同じく受電回路の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図13】基本給電ユニット回路の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図14】電気機器の別例を説明するための電気ブロック回路図。
【図15】フルブリッジ回路の別例を説明するための電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の非接触給電装置に具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、非接触給電装置(以下、単に給電装置という)1とその給電装置1から非接触給電される電気機器(以下、単に機器という)Eの全体斜視図を示す。
【0017】
給電装置1は、四角形の板状の筐体2を有し、その上面が平面であって機器Eを載置する載置面3を形成している。載置面3は、複数の四角形状の給電エリアARが区画形成され、本実施形態では、左右方向に4個、前後方向に6個並ぶように24個の給電エリアARが区画形成されている。
【0018】
筐体2内であって、区画形成された各給電エリアARに対応する位置に、図2に示すように、給電エリアARの外形形状にあわせて四角形状に巻回された1次コイルL1が配置されている。また、筐体2内であって、給電エリアAR毎に、円形状(1次コイルL1と同様に四角形状でもよい)に巻回された1次側金属検知コイルLaが、配置固定されている。1次側金属検知コイルLaは、本実施形態では、1次コイルL1の上側位置に配置されているとともに、1次コイルL1より小径である。また、1次側金属検知コイルLaは、その中心位置が給電エリアARの中心位置と一致するように配置固定されている。さらに、給電エリアAR毎に設けられた各1次側金属検知コイルLaの内側には、信号受信アンテナコイルA1が、配置固定されている。
【0019】
各給電エリアARの1次コイルL1、1次側金属検知コイルLa及び信号受信アンテナコイルA1は、給電エリアAR毎に筐体2内に設けられたそれぞれの基本給電ユニット回路4(図3参照)と接続されている。
【0020】
各給電エリアARの1次コイルL1は、対応する基本給電ユニット回路4にて励磁駆動される。そして、各1次コイルL1は、単独でまたは他の1次コイルL1と協働して励磁駆動して、給電エリアARに載置された機器E内の2次コイルL2に対して非接触給電をするようになっている。
【0021】
各給電エリアARの1次側金属検知コイルLaは、対応する給電エリアARの基本給電ユニット回路4にて金属検知のための発振信号Φtが出力される。基本給電ユニット回路4は、1次側金属検知コイルLaを介して、その給電エリアAR上に金属異物があるか否かをそれぞれ検出する。
【0022】
一方、給電装置1から電磁誘導で給電を受ける機器Eは、その機器E内に2次側金属検知コイルLbが設けられている。2次側金属検知コイルLbは、本実施形態では、2次コイルL2の下側に配置固定されている。そして、機器Eは、給電装置1の載置面3に載置したとき、その直下に位置する給電エリアARの1次側金属検知コイルLaと機器Eの2次側金属検知コイルLbとの間で、金属検知のための信号の授受を行うようになっている。
【0023】
また、機器Eは、2次側金属検知コイルLbの内側に、信号送信アンテナコイルA2が設けられている。機器Eは、給電装置1の載置面3に載置したとき、その直下に位置する給電エリアARの信号受信アンテナコイルA1と機器Eの信号送信アンテナコイルA2との間で、無線通信にてデータ・情報の授受を行うようになっている。
【0024】
次に、給電装置1と機器Eの電気的構成を図3に従って説明する。
(機器E)
まず、機器Eについて説明する。図3において、機器Eは、給電装置1から2次電力を受電する受電装置としての受電回路10と、2次側金属検知コイルLbにて受信した給電装置1からの発振信号Φtを変調する変調回路20を有している。
【0025】
受電回路10は、図4に示すように、整流平滑回路部11、DC/DCコンバータ回路12、データ生成回路部13及び送信回路部14を有している。
整流平滑回路部11は、2次コイルL2と接続されている。整流平滑回路部11は、給電装置1の1次コイルL1の励磁による電磁誘導にて2次コイルL2に励磁給電された2次電力をリップルのない直流電圧に変換する。DC/DCコンバータ回路12は、整流平滑回路部11にて生成された直流電圧を、所望の電圧にDC/DC変換し、そのDC/DC変換した直流電圧を機器Eの負荷Zに供給する。
【0026】
ここで、負荷Zは、2次コイルL2にて発生する2次電力で駆動する機器であればよい。例えば、DC/DC変換した直流電源を使って該負荷Zを載置面3上で駆動する機器であったり、2次電力をそのまま交流電源として使って該負荷Zを載置面3上で駆動する機器であったりしてもよい。また、DC/DC変換した直流電源を使って内蔵する充電池(2次電池)を充電する機器であってもよい。
【0027】
また、DC/DC変換した直流電圧は、データ生成回路部13及び送信回路部14の駆動源としても利用されている。
データ生成回路部13は、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成し送信回路部14に出力する回路である。機器認証信号IDは、給電装置1に対して該給電装置1にて給電を受けられる機器Eである旨の認証信号である。励磁要求信号RQは、給電装置1に対して給電を要求する要求信号である。
【0028】
データ生成回路部13は、例えば、整流平滑回路部11が直流電源を出力しているときや、機器Eに内蔵された2次電池等で駆動可能な状態のとき、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成し送信回路部14に出力するようになっている。また、データ生成回路部13は、機器Eに設けられた例えば負荷Zを駆動させるための電源スイッチがオフのときには、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成しない。
【0029】
さらに、データ生成回路部13は、機器Eにマイクロコンピュータが設けられている場合、マイクロコンピュータの判断で給電を休止したいと判断したときには、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成しないようになっている。
【0030】
送信回路部14は、信号送信アンテナコイルA2と接続されている。送信回路部14は、データ生成回路部13からの機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを入力し、信号送信アンテナコイルA2を介して給電装置1に送信するようになっている。
【0031】
変調回路20は、2次側金属検知コイルLbにて受信した給電装置1からの発振信号Φtを変調する変調回路であって、図5に示すように、整合回路MC、整流回路21、変調波信号生成回路部22、変調回路部23を有する。
【0032】
整合回路MCは、1次側金属検知コイルLaから送信される発振信号Φtの周波数近傍で2次側金属検知コイルLbが共振点を持つようにするための回路であって、本実施形態では、共振コンデンサCx(図6参照)で構成されている。
【0033】
整流回路21は半波整流回路であって、図6に示すように、整流用ダイオードD0、充放電コンデンサC0及び抵抗R0を有している。整流用ダイオードD0のアノード端子は整合回路MCの共振コンデンサCxを介して2次側金属検知コイルLbの正極端子PTに接続され、整流用ダイオードD0のカソード端子は充放電コンデンサC0のプラス端子に接続されている。充放電コンデンサC0のマイナス端子は、2次側金属検知コイルLbの負極端子NTに接続されている。抵抗R0は充放電コンデンサC0と並列に接続されている。整流回路21は、給電装置1の1次側金属検知コイルLaから送信される発振信号Φtを、2次側金属検知コイルLbを介して受信する。整流回路21は、受信した発振信号Φtを半波整流する。
【0034】
なお、発振信号Φtは、本実施形態では、図10に示すように振幅値及び周波数が一定の正弦波である。従って、2次側金属検知コイルLbが受信した発振信号Φtが、整流用ダイオードD0にて半波整流されると、充放電コンデンサC0は、充放電を繰り返す。つまり、発振信号Φtが正電位の時、充放電コンデンサC0は整流用ダイオードD0からの電流を充電する。そして、発振信号Φtが負電位の時、充放電コンデンサC0が充電した電荷は、抵抗R0を介して放電されるようになっている。
【0035】
ちなみに、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbとの間に、物体(負荷)が存在すると、空間的に結合されるその物体(負荷)によって、2次側金属検知コイルLbに流れる電流値が変化する。
【0036】
詳述すると、載置面3に何も載置されていない時、即ち、負荷がないオープンの時、図10(a)に示すように、発振信号Φtの振幅が最大となる。そのため、2次側金属検知コイルLbに流れる電流値は最大となる。
【0037】
一方、載置面3に金属片Mが載置された時、図10(e)に示すように、発振信号Φtは、周波数が変化するものの発振信号Φtの振幅が最小となる。そのため、2次側金属検知コイルLbに流れる電流値が小さくなる。
【0038】
つまり、載置面3に何も載置されていない時には、充放電コンデンサC0の充電電圧Vtは最大の値となる。これに対して、載置面3に金属片Mが載置された時には、充放電コンデンサC0の充電電圧Vtは最小の値となる。
【0039】
そして、この充放電コンデンサC0の充電電圧Vtは変調波信号生成回路部22の電源電圧VGとして印加される。このとき、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbの相対的な位置関係が変化すると、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbのインダクタンスが変化し、それに伴って発振信号Φtの振幅値及び周波数が変化する。しかしながら、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLb間の位置ずれによる振幅値及び周波数の変化と比較して、金属片Mが挟み込まれた際の変化量が大きいため、両者に区別が可能となる。
【0040】
変調波信号生成回路部22は、図7に示すように、無安定マルチバイブレータ(以下、単にマルチバイブレータという)22aにて構成されている。マルチバイブレータ22aは、2個のトランジスタQ1,Q2、2個のコンデンサC1,C2、4個の抵抗R1a,R1b,R2a,R2bとから構成される公知のマルチバイブレータである。
【0041】
マルチバイブレータ22aは、電源線25に整流回路21の充放電コンデンサC0の充電電圧Vtが電源電圧VGとして印加されている。そして、本実施形態のマルチバイブレータ22aは、トランジスタQ1のコレクタ端子からオン・オフ信号MP(変調波)を変調回路部23に出力する。
【0042】
マルチバイブレータ22aは、その時々の電源電圧VGの値によってオン・オフ信号MPのデューティーDU(=t1/Tn)が制御される。これは、電源電圧VGが変化することによって、トランジスタQ1がオンからオフになる際のベース・エミッタ間の電位の初期値が変化するとともに、トランジスタQ2がオフする際のベース・エミッタ間のチャージ速度が変化することに起因する。
【0043】
ちなみに、マルチバイブレータ22aは、電源電圧VGが大きな値ほど、図10(b)に示すように、デューティーDU(=t1/Tn)が小さい(オン時間t1が短い)、オン・オフ信号MPを出力する。
【0044】
反対に、マルチバイブレータ22aは、載置面3に金属片Mが載置されていて電源電圧VGが小さい値ほど、図10(f)に示すように、デューティーDU(=t1/Tn)が大きい(オン時間t1が長い)、オン・オフ信号MPを出力する。
【0045】
換言すれば、金属片Mが介在している時には、マルチバイブレータ22aは、金属片Mが介在されていない時と比較して、デューティーDUが大きいオン・オフ信号MPをトランジスタQ1のコレクタ端子から出力する。
【0046】
マルチバイブレータ22aは、そのトランジスタQ1のコレクタ端子から出力されるオン・オフ信号MPを変調回路部23に出力する。
変調回路部23は、図6に示すように、トランジスタQ3とダイオードD1を有している。ダイオードD1は、アノード端子が整流回路21の整流用ダイオードD0のアノード端子に接続されるとともに共振コンデンサCxに接続され、カソード端子がトランジスタQ3のコレクタ端子に接続されている。トランジスタQ3は、そのベース端子がマルチバイブレータ22aのトランジスタQ1のコレクタ端子に接続され、エミッタ端子が接地されている。
【0047】
トランジスタQ3は、ベース端子にマルチバイブレータ22aからのオン・オフ信号MPが入力されることによって、オン・オフされる。
従って、トランジスタQ3がオンされる時、整流用ダイオードD0を介して充放電コンデンサC0に充電される充電電流の一部が、ダイオードD1を介してトランジスタQ3(変調回路部23)に流れるようにしている。反対に、トランジスタQ3がオフされる時、整流用ダイオードD0を介して充放電コンデンサC0に充電される充電電流が、トランジスタQ3(変調回路部23)に流れることなく、整流用ダイオードD0を介して充放電コンデンサC0に流れる。
【0048】
その結果、トランジスタQ3のオン・オフによって、発振信号Φtに基づいて2次側金属検知コイルLbの両端子PT,NT間を流れる2次電流が変化されることになる。この2次電流の変化によって、2次側金属検知コイルLbが放射する磁束が変化し、その変化した磁束は1次側金属検知コイルLaに電磁誘導として伝播し、1次側金属検知コイルLaに流れる1次電流を変化させる。
【0049】
つまり、トランジスタQ3のオン・オフによって(オン・オフ信号MPのデューティーDUによって)、2次側金属検知コイルLbの両端子PT,NT間を流れる電流(発振信号Φt)は振幅変調される。そして、その被変調波信号Φmは、2次側金属検知コイルLbから1次側金属検知コイルLaに送信される。
【0050】
換言すると、2次側金属検知コイルLbが受信する発振信号Φtはキャリア信号を構成する。一方、機器E内においてそのキャリア信号の振幅値に基づく充電電圧Vt(電源電圧VG)が生成され、その電源電圧VGの値に相対したデューティーDUのオン・オフ信号MPが変調波信号として生成される。そして、そのキャリア信号(発振信号Φt)の振幅を、その変調波信号(デューティー制御されたオン・オフ信号MP)に変調することによって、図10(c)または(g)に示す被変調波信号Φmが生成される。
【0051】
さらに、詳述すると、給電エリアARに金属片Mがない場合における、図10(b)に示すオン・オフ信号MPで変調することによって、図10(c)に示す被変調波信号Φmが生成される。
【0052】
一方、給電エリアARに金属片Mがある場合における、図10(f)に示すオン・オフ信号MPで変調することによって、図10(g)に示す被変調波信号Φmが生成される。
従って、被変調波信号Φmの包絡線波形は、オン・オフ信号MP(変調波)のデューティーDUに相対した波形になる。
【0053】
(給電装置1)
次に、給電装置1について説明する。図3に示すように、給電装置1は、共通ユニット部30と基本ユニット部40を有している。
【0054】
共通ユニット部30は、基本ユニット部40に電源を供給する電源回路31、基本ユニット部40を統括制御するシステム制御部32、各種データを記憶する不揮発性メモリ33を備えている。
【0055】
電源回路31は、整流回路及びDC/DCコンバータを有し、外部から商用電源を入力して整流回路にて整流する。電源回路31は、整流した直流電圧をDC/DCコンバータにて所望の電圧に変換した後、その直流電圧Vddを駆動電源としてシステム制御部32、不揮発性メモリ33及び基本ユニット部40に出力する。
【0056】
システム制御部32は、マイクロコンピュータよりなり、基本ユニット部40を制御する。不揮発性メモリ33は、システム制御部32が各種判定処理動作を行う際に使用する各種のデータを記憶している。
【0057】
基本ユニット部40は、図3に示すように、各給電エリアAR(各1次コイルL1)に対して設けられた複数の基本給電ユニット回路4から構成されている。そして、各基本給電ユニット回路4は、システム制御部32との間でデータの授受を行い、システム制御部32にて制御されている。
【0058】
各基本給電ユニット回路4は、その回路構成が同じであるため説明の便宜上、1つの基本給電ユニット回路4について、図8に従って説明する。
図8に示すように、基本給電ユニット回路4は、受信回路部41、信号抽出回路部42、給電コイル励磁駆動回路部43及び金属検知回路部44を有している。
【0059】
受信回路部41は、信号受信アンテナコイルA1と接続されている。受信回路部41は、載置面3に載置された機器Eの信号送信アンテナコイルA2から送信された送信信号が信号受信アンテナコイルA1を介して受信される。受信回路部41は受信した送信信号を信号抽出回路部42に出力する。
【0060】
信号抽出回路部42は、受信回路部41が受信した送信信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出する。信号抽出回路部42は、送信信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQの両信号を抽出した時、システム制御部32に許可信号ENを出力する。ちなみに、信号抽出回路部42は、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQのいずれか一方しか抽出しなかった時、又は、両信号とも抽出しなかった時には、システム制御部32に許可信号ENを出力しない。
【0061】
給電コイル励磁駆動回路部43は、1次コイルL1と接続され、本実施形態では同1次コイルL1を励磁するフルブリッジ回路43a、そのフルブリッジ回路43aを駆動させるドライブ回路43b及び存在検知回路43cから構成されている。
【0062】
フルブリッジ回路43aは、公知のフルブリッジ回路であって、図9に示すように、4個のMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdを有している。4個のMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdは、1次コイルL1と共振コンデンサCからなる直列回路を挟んで、襷掛けに接続されたMOSトランジスタQa,Qdの組とMOSトランジスタQb,Qcの組とに分かれる。そして、2つの組を交互にオン・オフさせることによって、1次コイルL1を励磁する。
【0063】
ドライブ回路43bは、共通ユニット部30のシステム制御部32からの励磁制御信号CTを入力し、各MOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdのゲート端子にそれぞれ出力する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0064】
そして、機器Eへの給電時には、システム制御部32からの励磁制御信号CTに基づいて、ドライブ回路43bは、各組を交互にオン・オフ(フル・ブリッジ動作)させて、1次コイルL1を励磁する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0065】
ドライブ回路43bは、一方の組のMOSトランジスタQa,Qdのゲート端子に互いに同じパルス波形の駆動信号PSa,PSdをそれぞれ出力する。また、ドライブ回路43bは、他方の組のMOSトランジスタQb,Qcのゲート端子に互いに同じパルス波形であって、駆動信号PSa,PSdと相補信号となる駆動信号PSb,PScをそれぞれ出力する。
【0066】
従って、一方の組のMOSトランジスタQa,Qdと他方の組のMOSトランジスタQb,Qcとが交互にオン・オフ(フル・ブリッジ動作)し、1次コイルL1を励磁する。
ちなみに、機器Eへの給電時には、ドライブ回路43bは、システム制御部32からの励磁制御信号CTに基づいて、各組を交互にオン・オフ(フル・ブリッジ動作)させて、1次コイルL1を励磁する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0067】
また、待機時には、ドライブ回路43bは、システム制御部32からの励磁制御信号CTに基づいて、フルブリッジ回路43aをフル・ブリッジ動作からハーフ・ブリッジ動作に変更して1次コイルL1を励磁する駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを生成する。
【0068】
ハーフ・ブリッジ動作は、一方の組のMOSトランジスタQdをオン状態にし、他方の組のMOSトランジスタQcをオフ状態した状態で、一方の組のMOSトランジスタQaと他方の組のMOSトランジスタQbを交互にオン・オフさせる。
【0069】
従って、ドライブ回路43bは、MOSトランジスタQdにハイレベルの駆動信号PSdを出力するとともに、MOSトランジスタQcにロウレベルの駆動信号PScを生成し出力する。そして、ドライブ回路43bは、MOSトランジスタQaとMOSトランジスタQbが交互にオン・オフされるように、互いに相補関係となる駆動信号PSa,PSb生成しMOSトランジスタQa,Qbにそれぞれ出力する。
【0070】
この待機時に、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させて1次コイルL1を励磁する理由は、待機中は隣接している1次コイルL1との磁気結合による干渉の低減を図り、給電エリアARに載置された機器E等の存在検知精度を上げるためである。
【0071】
ちなみに、給電エリアARに物体が載置されると、空間的に結合されるその物体(負荷)によって、1次コイルL1に流れる電流値が変化する。詳述すると、給電エリアARに何も載置されていない時(負荷がないオープンの時)、1次コイルL1に流れる電流値が最大となる。一方、給電エリアARに物体が載置された時(負荷がある時)、負荷が大きくなるに従い1次コイルL1に流れる電流値が小さくなる。
【0072】
ここで、システム制御部32がフルブリッジ回路43aに対してフル・ブリッジ動作をさせるための励磁制御信号CTを出力している時、ドライブ回路43bは、駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを出力し続ける。従って、この場合、フルブリッジ回路43aは1次コイルL1を連続励磁駆動させる。
【0073】
また、システム制御部32がフルブリッジ回路43aに対してハーフ・ブリッジ動作をさせるための励磁制御信号CTを出力している時、ドライブ回路43bは、駆動信号PSa,PSb,PSc,PSdを所定の期間だけ間欠的に出力する。従って、この場合、フルブリッジ回路43aは、一定の期間毎に1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。
【0074】
この1次コイルL1の間欠励磁駆動は、載置面3に機器Eが載置された時に該機器Eの負荷Zを直ちに駆動できる2次電力ではなく、負荷Zの充電器を充電できる程度の2次電力が供給されるようしたものである。そして、その充電電圧に基づいて、給電装置1との間で無線通信を行うための機器Eのデータ生成回路部13及び送信回路部14は駆動される。
【0075】
また、システム制御部32は、給電エリアARに金属片Mが載置されていると判定されている時も同様に、1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。従って、1次コイルL1の間欠励磁駆動は、負荷Zの充電器を充電できるものの、給電エリアARに載置された金属片Mを誘導加熱にて温度上昇させない程度の間欠励磁駆動である。
【0076】
さらに、システム制御部32は、信号抽出回路部42が許可信号ENを出力していない時、給電エリアARに機器Eが載置されていない時と同様に、1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。
【0077】
給電コイル励磁駆動回路部43は、存在検知回路43cを備えている。存在検知回路43cは、1次コイルL1に流れる電流を検出し、その検出電流の電流値を電圧に変換し、存在検出電圧Vxとしてシステム制御部32に出力するようになっている。
【0078】
詳述すると、1次コイルL1が励磁駆動されているとき、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)が存在していないとき、空間的に結合されるその物体(負荷)がないことによって、1次コイルL1に流れる電流値が大きくなる。反対に、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)が存在しているとき、空間的に結合されるその物体(負荷)によって、1次コイルL1に流れる電流値が小さくなる。
【0079】
従って、存在検知回路43cは、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)がない時には大きな値の存在検出電圧Vxをシステム制御部32に出力する。反対に、存在検知回路43cは、1次コイルL1(給電エリアAR)上に物体(負荷)がある時には小さな値の存在検出電圧Vxをシステム制御部32に出力する。
【0080】
システム制御部32は、存在検出電圧Vxを入力し、存在検出電圧Vxが予め定めた下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2の間(Vk1<Vx<Vk2)にある時、給電エリアARに何かが載置されたと判断する。
【0081】
また、存在検出電圧Vxが上側基準電圧Vk2以上の時、システム制御部32は、給電エリアARに何も載置されていないと判断する。一方、存在検出電圧Vxが下側基準電圧Vk1以下の時、システム制御部32は、給電エリアARに何かが載置されているが明らかに給電するべき機器Eでない物体(負荷)が載置されていると判断するようになっている。
【0082】
なお、下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2は、予め実験、試験、計算等によって求めた値であって、共通ユニット部30の不揮発性メモリ33に予め記憶されている。そして、システム制御部32は、不揮発性メモリ33から下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2を読み出し存在検出電圧Vxと比較判断している。
【0083】
金属検知回路部44は、発振回路44a、信号抽出回路44b、デューティー演算回路44cを有している。
発振回路44aは、1次側金属検知コイルLaと接続され、本実施形態では同1次側金属検知コイルLaとでコルピッツ発振回路を構成している。発振回路44aは、電源回路31から直流電圧が印加されると、発振動作をする。そして、発振回路44aは、図10(a)に示す振幅値及び周波数が一定の正弦波よりなる発振信号Φtを1次側金属検知コイルLaから載置面3に載置した機器Eの2次側金属検知コイルLbに向けて送信する。
【0084】
発振回路44aから発振される発振信号Φtは、キャリア信号を構成するようになっている。つまり、機器Eは、その発振信号Φtの振幅値に基づいてオン・オフ信号MPを生成する。そして、機器Eは、キャリア信号をその振幅値に基づくデューティーDUのオン・オフ信号MPにて振幅変調させた被変調波信号Φmを2次側金属検知コイルLbから送信させるようになっている。このとき、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbの相対的な位置関係が変化すると、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLbのインダクタンスが変化し、それに伴って発振信号Φtの振幅値及び周波数が変化する。しかしながら、1次側金属検知コイルLaと2次側金属検知コイルLb間の位置ずれによる振幅値及び周波数の変化と比較して、金属片Mが挟み込まれた際の変化量が大きいため、両者に区別が可能となる。
【0085】
そして、機器Eにおいて変調された図10(c)又は(g)に示す被変調波信号Φmは、給電装置1の1次側金属検知コイルLaにて受信され、発振回路44aを介して信号抽出回路44bに出力される。
【0086】
信号抽出回路44bは、包絡線検波回路を含み、発振回路44aを介して入力された機器Eからの被変調波信号Φmを同包絡線検波回路にて検波する。信号抽出回路44b(包絡線検波回路)は、被変調波信号Φmから該被変調波信号Φmの外側を包んだ包絡線波形信号(復調信号DMP)、すなわち、オン・オフ信号MPを復調する。信号抽出回路44b(包絡線検波回路)は、波形整形回路を含み、同波形整形回路にて復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)を波形整形してデューティー演算回路44cに出力する。
【0087】
デューティー演算回路44cは、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを演算する回路である。デューティー演算回路44cは、本実施形態では、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)の周期Tnを求めるとともに、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のオン時間t1を求める。そして、デューティー演算回路44cは、求めた周期Tnとオン時間t1からデューティーDU(=t1/Tn)を演算する。デューティー演算回路44cは、演算したデューティーDUをオン・オフ信号MPのデューティーとしてシステム制御部32に出力する。
【0088】
システム制御部32は、デューティー演算回路44cからの復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを入力し、そのデューティーDUに基づいて金属片Mの有無を判定する。システム制御部32は、共通ユニット部30の不揮発性メモリ33に予め記憶した基準デューティーDUkと復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを比較することによって金属片Mの有無を判定する。
【0089】
基準デューティーDUkは、給電エリアARと機器Eとの間に金属片Mが介在されていない状態で、機器Eからの被変調波信号Φmを金属検知回路部44が受信した時に、デューティー演算回路44cが演算したデューティーDUを基準デューティーとしている。つまり、この基準デューティーDUkは、予め実験、試験、計算等によって求めた値であって、不揮発性メモリ33に予め記憶されている。
【0090】
従って、給電エリアARに金属片Mが介在されている状態では、発振信号Φtの振幅が小さくなり、オン・オフ信号MPのデューティーDUも長くなる。その結果、システム制御部32は、デューティー演算回路44cからのデューティーDUが基準デューティーDUkを超える値になったとき、給電エリアARに金属片Mがあると判定する。反対に、システム制御部32は、デューティー演算回路44cからのデューティーDUが基準デューティーDUk以下の値のときには、給電エリアARに金属片Mがないと判定する。
【0091】
システム制御部32は、存在検知回路43cから存在検出電圧Vxを入力し、その存在検出電圧Vxが下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2の間にあると判定した後、デューティー演算回路44cからのオン・オフ信号MPのデューティーDUのデータを待つ。そして、システム制御部32は、給電エリアARに金属片Mがないと判定すると、信号抽出回路部42から許可信号ENを待つ。この状態で、システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENが入力されると、システム制御部32は、該基本給電ユニット回路4の給電コイル励磁駆動回路部43に対して、フル・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力する。
【0092】
一方、システム制御部32は、存在検知回路43cからの存在検出電圧Vxが下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2の間にない時、給電コイル励磁駆動回路部43に対して、フル・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力しない。つまり、システム制御部32は、給電コイル励磁駆動回路部43に対して、ハーフ・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力するとともに1次コイルL1を間欠励磁駆動させるようにしている。
【0093】
また、システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENが入力されない時、同様に給電コイル励磁駆動回路部43に対して、ハーフ・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力するとともに1次コイルL1を間欠励磁駆動させるようにしている。
【0094】
さらに、システム制御部32は、給電エリアARに金属片Mがあると判定したとき、同様に給電コイル励磁駆動回路部43に対して、ハーフ・ブリッジ動作のための励磁制御信号CTを出力するとともに1次コイルL1を間欠励磁駆動させるようにしている。
【0095】
次に、上記のように構成した給電装置1の作用について説明する。
今、図示しない電源スイッチがオンされて、電源回路31に商用電源が供給されると、電源回路31は、直流電圧を駆動電源としてシステム制御部32、不揮発性メモリ33及び各基本給電ユニット回路4に出力する。
【0096】
システム制御部32は、電源回路31から駆動電源を入力すると、各基本給電ユニット回路4のフルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを、各基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bに対して出力する。
【0097】
各基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bは、励磁制御信号CTに応答して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させて1次コイルL1を間欠励磁駆動させる。
【0098】
これによって、給電装置1の載置面3の各給電エリアARは、機器Eの載置を待つ。
この状態において、システム制御部32は、(1)存在検知処理動作、(2)金属異物検出処理動作、(3)機種検出処理動作を繰り返し実行する。
【0099】
存在検知処理動作は、システム制御部32が、各基本給電ユニット回路4(給電コイル励磁駆動回路部43)を制御して各給電エリアARに物体が載置されたかどうか検出する存在検知を行う処理動作である。
【0100】
金属異物検出処理動作は、システム制御部32が、各基本給電ユニット回路4(金属検知回路部44)を制御して、各給電エリアARにおける金属片Mの検知を行う処理動作である。
【0101】
機種検出処理動作は、システム制御部32が、各基本給電ユニット回路4(受信回路部41及び信号抽出回路部42)を制御して、機器Eの給電要求の検知を行う処理動作である。
(存在検知処理動作)
各基本給電ユニット回路4の給電コイル励磁駆動回路部43に設けた存在検知回路43cは、対応する1次コイルL1のその時々に流れる電流値を存在検出電圧Vxとしてそれぞれ検出する。そして、各存在検知回路43cは、その存在検出電圧Vxをシステム制御部32に出力する。
【0102】
システム制御部32は、各存在検知回路43cからの存在検出電圧Vxを入力すると、各存在検出電圧Vxについて、下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2との間にあるか否か判定する。そして、存在検出電圧Vxについて、下側基準電圧Vk1と上側基準電圧Vk2との間にある場合には、その存在検知回路43cが属する給電エリアARに物体が存在していると判定する。
【0103】
また、存在検出電圧Vxについて、上側基準電圧Vk2以上の場合には、その存在検知回路43cが属する給電エリアARに物体が存在していない判定する。
(金属異物検出処理動作)
各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44は、直流電圧を入力することで、発振回路44aが発振動作する。従って、各基本給電ユニット回路4の1次側金属検知コイルLaから発振信号Φtが送信される。
【0104】
機器Eの2次側金属検知コイルLbは、1次側金属検知コイルLaから発振信号Φtを受信する。2次側金属検知コイルLbは、この受信した発振信号Φtを変調回路20の整流回路21に出力し、同発振信号Φtを半波整流する。
【0105】
半波整流された発振信号Φtは、整流回路21にて半波整流され、その充電電圧Vtが電源電圧VGとして変調波信号生成回路部22(マルチバイブレータ22a)に印加されている。
【0106】
ここで、整流回路21の直流電圧(電源電圧VG)は、発振信号Φtの振幅値よって、すなわち、給電エリアARに金属片Mが載置されているか否かによって変動する。
発振信号Φtの振幅は、給電エリアARに金属片Mが載置されていない場合、図10(a)になる。反対に、に金属片Mが載置されている場合、図10(e)になる。従って、給電エリアARに金属片Mがある場合のほうが、金属片Mがある場合より、発振信号Φtの振幅値が大きくなり、充電電圧Vtは大きくなる。
【0107】
その結果、マルチバイブレータ22aから出力されるオン・オフ信号MPのデューティーDUは、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合、図10(b)になるのに対して、給電エリアARに金属片Mが載置されている場合、図10(f)になる。つまり、図10(b)(f)に示すように、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合に比べて金属片Mが載置されている方が、オン・オフ信号MPのデューティーDUは大きくなる。
【0108】
このオン・オフ信号MPは、変調回路部23のトランジスタQ3のゲート端子に出力され、トランジスタQ3をオン・オフさせる。このトランジスタQ3のオン・オフによって、2次側金属検知コイルLbに流れる電流(発振信号Φt)は振幅変調され、被変調波信号Φmとなって2次側金属検知コイルLbから1次側金属検知コイルLaに送信される。
【0109】
このとき、給電エリアARに金属片Mが載置されていない場合、図10(b)に示すオン・オフ信号のデューティーDUにあわせて、被変調波信号Φmは図10(c)に示す波形となる。一方、給電エリアARに金属片Mが載置されている場合、図10(f)に示すオン・オフ信号MPのデューティーDUにあわせて、被変調波信号Φmは図10(g)に示す波形となる。
【0110】
1次側金属検知コイルLaは2次側金属検知コイルLbから送信される被変調波信号Φmを受信する。1次側金属検知コイルLaが受信した被変調波信号Φmは、発振回路44aを介して信号抽出回路44b(検波回路部)に出力される。
【0111】
信号抽出回路44b(検波回路部)は、被変調波信号Φmから該被変調波信号Φmの外側を包んだ包絡線波形信号(復調信号DMP)、すなわち、オン・オフ信号MPを復調する。信号抽出回路44b(検波回路部)は、復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)をデューティー演算回路44cに出力する。
【0112】
従って、信号抽出回路44bにて復調された復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUは、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合、図10(d)になるのに対して、給電エリアARに金属片Mが載置されている場合、図10(h)になる。つまり、図10(b)(f)に示すように、給電エリアARに金属片Mが載置されてない場合に比べて金属片Mが載置されている方が、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUは大きくなる。
【0113】
信号抽出回路44b(検波回路部)は、復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)をデューティー演算回路44cに出力する。
デューティー演算回路44cは、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)からの復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを演算し、システム制御部32に出力する。
【0114】
システム制御部32は、各基本給電ユニット回路4からの復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUを入力し、その各デューティーDUについて基準デューティーDUkと比較する。
【0115】
システム制御部32は、復調信号DMP(オン・オフ信号MP)のデューティーDUが基準デューティーDUkを超える時、その金属検知回路部44にて励磁されている1次側金属検知コイルLaの直上の給電エリアARに金属片Mが存在していると判定する。
【0116】
また、システム制御部32は、オン・オフ信号MPのデューティーDUが基準デューティーDUk以下の値のときには、その金属検知回路部44にて励磁されている1次側金属検知コイルLaの直上の給電エリアARに金属片Mがないと判定する。
(機種検出処理動作)
機器Eが給電エリアARに置かれると、機器Eの2次コイルL2は、1次コイルL1の間欠励磁駆動に基づく2次電力を受電する。機器Eは、この2次電力に基づいて、受電回路10のデータ生成回路部13において機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを作成し送信回路部14に出力する。送信回路部14は、この機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを信号送信アンテナコイルA2から給電装置1の信号受信アンテナコイルA1に向けて送信する。
【0117】
給電装置1は、信号抽出回路部42において、受信回路部41が信号受信アンテナコイルA1が受信した送信信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出する。信号抽出回路部42は、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出すると、システム制御部32に許可信号ENを出力する。
【0118】
システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENを入力すると、給電装置1にて給電可能な機種の機器Eが、その信号抽出回路部42が属する給電エリアARに載置されたことを判断する。
【0119】
また、システム制御部32は、信号抽出回路部42から許可信号ENが入力されない場合には、存在検知処理動作において物体が載置されていると判定されていても、給電装置1にて給電ができない機器E又は物体が給電エリアARに載置されと判断する。
(機器Eへの給電)
システム制御部32は、上記存在検知処理動作、金属異物検出処理動作及び機種検出処理動作の実行を繰り返す。そして、システム制御部32は、所定の給電エリアARにおいて、物体の存在を検出し、金属片Mがないと判定し、且つ、当該物体が機器Eであって許可信号ENが出力されている時、その給電エリアARの直下にある1次コイルL1を連続励磁駆動させる。すなわち、システム制御部32は、機器Eが載置された給電エリアARの基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをフル・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0120】
1次コイルL1が連続励磁駆動することによって、給電装置1の給電エリアARに載置された機器Eは、2次コイルL2を介して、1次コイルL1の連続励磁駆動に基づく2次電力を受電する。これによって、機器Eは、受電回路10(整流平滑回路部11及びDC/DCコンバータ回路12)から負荷Zに、同負荷Zを駆動させるための電源が供給されることになる。
【0121】
なお、システム制御部32は、給電中に、該給電エリアARに金属異物検出処理動作によって、金属片Mがあると判定した時、機器Eへの給電を停止する。即ち、システム制御部32は、その給電エリアARの1次コイルL1を連続励磁駆動から間欠励磁駆動させる。詳述すると、システム制御部32は、機器Eの直下にある基本給電ユニット回路4のドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0122】
また、システム制御部32は、給電中に、該給電エリアARから機器Eが取り上げられた場合、存在検知処理動作によって、給電エリアARから機器Eが取り上げられた判定し、機器Eへの給電を停止する。即ち、同様に、システム制御部32は、その給電エリアARの1次コイルL1を連続励磁駆動から間欠励磁駆動させる。詳述すると、システム制御部32は、機器Eの直下にある1次コイルL1を励磁するドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0123】
さらに、システム制御部32は、給電中に、該機器Eから励磁要求信号RQが出力されなくなって、機種検出処理動作によって、許可信号ENが消失した時、機器Eへの給電を停止する。即ち、システム制御部32は、同様に、その給電エリアARの直下にある1次コイルL1を連続励磁駆動から間欠励磁駆動させる。詳述すると、システム制御部32は、機器Eの直下にある1次コイルL1を励磁するドライブ回路43bに対して、フルブリッジ回路43aをハーフ・ブリッジ動作させるための励磁制御信号CTを出力する。
【0124】
次に、上記のように構成した第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、給電装置1の載置面3の複数の給電エリアARを形成した。そして、その各給電エリアARに1次コイルL1を配置し、機器Eが載置面3のどの給電エリアARに載置されても、その載置された給電エリアARの1次コイルL1が励磁駆動されるようにした。従って、給電装置1は、機器Eが載置面3のどの給電エリアARに載置されも同機器Eを確実に給電することができる。
【0125】
(2)上記実施形態によれば、給電装置1の載置面3の複数の給電エリアARを形成し、その各給電エリアARに金属検知をするための1次側金属検知コイルLaを設けた。従って、金属片Mが載置面3のどの給電エリアARに置かれても、給電装置1は、金属片Mを確実に検知することができる。
【0126】
(3)上記実施形態によれば、金属片Mの有無をオン・オフ信号MPのデューティーDUで求め、そのオン・オフ信号MPを変調波とした。そのため、1次コイルL1が複数個隣接して配置された給電装置1においては、隣同士の1次コイルL1が互いに干渉して励磁周波数が変動しても影響は小さく金属検知が精度よく行える。
【0127】
(4)上記実施形態によれば、システム制御部32は、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44が演算したデューティーDUを入力し、その入力したデューティーDUに基づいて各給電エリアARにおける金属片Mの有無の判定を行った。
【0128】
従って、システム制御部32は、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44からのデューティーDUをそれぞれ基準デューティーDUkと比較するだけでよい。その結果、システム制御部32の負荷は、非常に低減させることができる。
【0129】
(5)上記実施形態によれば、金属片Mの有無の情報、すなわち、オン・オフ信号MPを機器E側で生成するようにした。従って、その分だけ、給電装置1側の回路構成及び負荷の軽減でき、より安価な非接触給電装置を実現できる。
【0130】
(6)上記実施形態によれば、被変調波信号Φmを生成する際、キャリア信号として金属検知回路部44の発振回路44aからの発振信号Φtを利用したので、キャリア信号のための発振回路が省略することができる。
【0131】
(7)上記実施形態によれば、被変調波信号Φmは振幅変調であるため、他の周波数変調等に比べて、回路構成が簡単かつ安価に構成することができる。また、被変調波信号Φmを復調する信号抽出回路44b(検波回路部)も簡単かつ安価に構成することができる。
【0132】
(8)上記実施形態によれば、整流回路21の充放電コンデンサC0の充電電圧Vtを変調波信号生成回路部22のマルチバイブレータ22aの電源電圧VGとして供給した。そして、金属片Mの有無によって変動する電源電圧VGによってマルチバイブレータ22aのオン・オフ信号MPのデューティーDUを変更させて、金属片Mの有無に基づいてデューティーDUが変更されるオン・オフ信号MPを生成した。
【0133】
従って、マルチバイブレータ22aという簡単な回路構成で金属片Mの有無のための変調波(オン・オフ信号MP)を生成することができる。
(9)上記実施形態によれば、給電装置1は、各基本給電ユニット回路4において給電のための1次コイルL1の励磁周波数を変えて金属検知のために使用することがない。その結果、1次コイルL1の励磁周波数を複数設け、その都度、励磁周波数を切り替えるための複雑で高価な制御回路が不要となり安価な非接触給電装置が実現できる。
【0134】
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、給電装置1の各給電エリアARに信号受信アンテナコイルA1を設けるとともに、機器Eに信号送信アンテナコイルA2を設けたが、この両アンテナコイルA1,A2を省略して実施してもよい。
【0135】
この場合、図11に示すように、受信回路部41及び存在検知回路43cの入力端子を1次コイルL1にそれぞれ接続する。そして、受信回路部41は、1次コイルL1が受信した変調された励磁信号を入力し機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出するようにしてもよい。
【0136】
また、存在検知回路43cは、1次コイルL1のその時々に流れる電流値を存在検出電圧Vxとしてそれぞれ検出して、給電エリアARに物体が存在しているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0137】
一方、機器Eの送信回路部14は、図12に示すように、その出力端子を、2次コイルL2に接続する。これによって、送信回路部14は、データ生成回路部13からの機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを入力し、2次コイルL2を介して給電装置1の1次コイルL1に送信することになる。
【0138】
つまり、機器Eに設けたデータ生成回路部13にて、ビット信号よりなる機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを生成する。このとき、金属検知のための変調回路部23と同様に、機器認証信号ID及び励磁要求信号RQも2次コイルL2が受信した1次コイルL1からの励磁信号を変調する。そして、変調された励磁信号を1次コイルL1が受信し、受信した変調された励磁信号から機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出するようにしてもよい。
【0139】
また、各給電エリアARの1次側金属検知コイルLa及び信号受信アンテナコイルA1、並びに、機器の2次側金属検知コイルLb及び信号送信アンテナコイルA2を省略して実施してもよい。
【0140】
この場合、図13に示すように、受信回路部41、存在検知回路43c及び信号抽出回路44bの入力端子を1次コイルL1にそれぞれ接続する。そして、受信回路部41は、1次コイルL1が受信した変調された励磁信号を入力し機器認証信号ID及び励磁要求信号RQを抽出するようにしてもよい。また、存在検知回路43cは、1次コイルL1のその時々に流れる電流値を存在検出電圧Vxとしてそれぞれ検出して、給電エリアARに物体が存在しているかどうかを判定するようにしてもよい。
【0141】
また、信号抽出回路44bは、1次コイルL1が受信した被変調波信号Φmを入力する。そして、信号抽出回路44bは、その入力した被変調波信号Φmから該被変調波信号Φmの外側を包んだ包絡線波形信号(復調信号DMP)、すなわち、オン・オフ信号MPを復調する。信号抽出回路44b(検波回路部)は、復調した復調信号DMP(オン・オフ信号MP)をデューティー演算回路44cに出力することになる。
【0142】
一方、機器Eの変調回路20は、図14に示すように、その入力端子を、2次コイルL2に接続する。これによって、変調回路20は、振幅変調された被変調波信号Φmを2次コイルL1介して1次コイルL1に送信することになる。
【0143】
つまり、この金属検知ついて、1次コイルL1と2次コイルL2を利用して行う場合、変調波信号生成回路部22は受電回路10の整流平滑回路部11の電源電圧を入力する。そして、変調波信号生成回路部22は、整流平滑回路部11の電源電圧に基づいてオン・オフ信号MPを生成し、変調回路部23に出力する。
【0144】
そして、変調回路部23は、このオン・オフ信号MP(オン・オフ信号MPのデューティーDU)によって、2次コイルL2の両端子間を流れる2次電流を振幅変調させ、その振幅変調された励磁信号を2次コイルL2から1次コイルL1に送信させる。そして、変調された励磁信号を1次コイルL1が受信し、その受信した変調された励磁信号から、基本給電ユニット回路4に設けた金属検知回路部44がオン・オフ信号MPのデューティーDUを演算する。
【0145】
これによって、各給電エリアARの1次側金属検知コイルLa及び信号受信アンテナコイルA1、並びに、機器の2次側金属検知コイルLb及び信号送信アンテナコイルA2を省略でき、安価な給電装置1を実現できる。
【0146】
○上記実施形態では、システム制御部32の負荷を低減するために、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44は、オン・オフ信号MPのデューティーDUを演算し、システム制御部32に出力した。これを、各基本給電ユニット回路4の金属検知回路部44は、被変調波信号Φmを復調し、その復調した復調信号DMPをシステム制御部32に出力してもよい。そして、システム制御部32は、入力した復調信号DMP、すなわち、オン・オフ信号MPのデューティーDUを演算し、その演算したデューティーDUにて金属片Mの有無の判定(金属異物検出処理動作)を行うようにしてもよい。
【0147】
○上記実施形態では、1次側金属検知コイルLaの中心を、給電エリアARの中心と一致するように設けたが、1次側金属検知コイルLaに中心を、給電エリアARの中心からずらして配置してもよい。
【0148】
○上記実施形態では、金属検知回路部44の発振回路44aをコルピッツ発振回路で具体化したが、これに限定されるものではなく、ハートレー発振回路等、その他発振回路で具体化してもよい。
【0149】
○上記実施形態では、1次コイルL1、2次コイルL2の形状を四角形状にしたが、四角形状に限定されるものではなく、例えば、四角形以外の多角形や円形等、その他の形状で実施してもよい。また、1次コイルL1、2次コイルL2の大きさも特に限定されるものではなく、例えば、1次コイルL1の大きさと2次コイルL2の大きさとを相対的に異なるようにして実施してもよい。
【0150】
また、1次側金属検知コイルLa及び2次側金属検知コイルLbの形状も限定されるものではなく、円形以外の四角形等の多角形や楕円形等、その他の形状で実施してもよい。
勿論、信号受信アンテナコイルA1及び信号送信アンテナコイルA2の形状も限定されるものではなく、円形以外の四角形等の多角形や楕円形等、その他の形状で実施してもよい。
【0151】
○上記実施形態では、1次コイルL1の数と1次側金属検知コイルLaの数を同数にし、1つの1次コイルL1に対して1つの1次側金属検知コイルLaとして、1つの給電エリアARに1つの1次側金属検知コイルLaを配置した。これを、1次コイルL1の数と1次側金属検知コイルLaの数を同数にしなくて実施してもよい。
【0152】
例えば、1次コイルL1に対して1次側金属検知コイルLaの数を少なくする。この場合、複数個(例えば、4個)の1次コイルL1に対して1個の1次側金属検知コイルLaを割り当てる。従って、複数個の1次コイルL1による複数の給電エリアARの金属検知か可能なように1個の1次側金属検知コイルLaのサイズを大きくする必要がある。
【0153】
○上記実施形態では、給電エリアARに合わせて1次コイルL1を四角形状にし、各1次コイルL1を格子状に配置したが、これに限定されるものではない。例えば、1次コイルL1の形状を6角形状にしたとき、各1次コイルL1をハニカム状に配置して実施してもよい。
【0154】
○上記実施形態では、載置面3に機器Eが載置されるまでの間、(1)存在検知処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(1)存在検知処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→……を繰り返した。
【0155】
これを、(1)存在検知処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(1)存在検知処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→……、といった動作を繰り返して実施してもよい。
【0156】
また、(1)存在検知処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→……、といった動作を繰り返して実施してもよい。この場合、最初の存在検知処理動作で存在が検知され場合には、以後、金属異物検出処理動作と機種検出処理動作を繰り返すことにより、1次コイルL1の励磁を止めることが可能となる。
【0157】
さらに、(1)存在検知処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→(3)機種検出処理動作→(2)金属異物検出処理動作→……、といった動作を繰り返して実施してもよい。この場合も同様に、最初の存在検知処理動作で存在が検知され場合には、以後、金属異物検出処理動作と機種検出処理動作を繰り返すことにより、1次コイルL1の励磁を止めることが可能となる。
【0158】
○上記実施形態では、共通ユニット部30に不揮発性メモリ33を設け、不揮発性メモリ33に金属片Mの有無を判定するための基準デューティーDUkを記憶した。これを、例えば、各給電ユニット回路4のデューティー演算回路44cに基準デューティーDUkを記憶させるようにして実施してもよい。
【0159】
この場合、各給電ユニット回路4のデューティー演算回路44cにおいて、デューティー演算回路44cが演算したデューティーDUとこの基準デューティーDUkを比較して金属片Mの有無の判定をする。つまり、各基本給電ユニット回路4において、金属片Mの有無の判定を行う。そして、デューティー演算回路44cはその判定結果をシステム制御部32に出力する。
【0160】
そして、システム制御部32は、その判定結果に基づいて、各基本給電ユニット回路4の1次コイルL1の励磁制御を行うようにしてもよい。これによって、システム制御部32の負荷は、軽減される。
【0161】
さらに、不揮発性メモリ33に記憶した給電エリアARに物体(負荷)が載置されたかどうかを判定するための下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2を記憶した。これを、例えば、各給電ユニット回路4の存在検知回路43cに下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2を記憶させるようにして実施してもよい。
【0162】
この場合、各基本給電ユニット回路4の存在検知回路43cにおいて、存在検知回路43cが検出した存在検出電圧Vxとこれら下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2とを比較して給電エリアAR上の物体(負荷)の有無の判定をする。つまり、各給電ユニット回路4において、物体(負荷)の有無の判定を行う。そして、存在検知回路43cはその判定結果をシステム制御部32に出力する。
【0163】
これによって、システム制御部32の負荷は、さらに軽減される。しかも、不揮発性メモリ33から基準デューティーDUk、下側基準電圧Vk1及び上側基準電圧Vk2の記憶を省略すると、そのための不揮発性メモリ33が不要になり、コストダウンを図ることができる。
【0164】
○上記実施形態では、給電装置1が待機状態になると、フルブリッジ回路43aはフル・ブリッジ動作からハーフ・ブリッジ動作させた。これを、ハーフ・ブリッジ動作に代えて、例えば、フルブリッジ回路43aにおいて、待機中は、4つのMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdを全てオフして実施してもよい。勿論、上側の2つのMOSトランジスタQa、Qcをオフし、下側の2つのMOSトランジスタQb,Qdをオンし、他の磁束と磁気結合しないように構成してもよい。
【0165】
要は、待機中において、フルブリッジ回路43aを介して、電源回路31の電源線とグランドが短絡されないように、4つのMOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdを制御するパターンのうちから、実験で得られた最も適切な設定を選択すればよい。
【0166】
詳述すると、待機中に1次側金属検知コイルLaが金属片Mの検知のために発振している時に、隣接した1次コイルL1への電源電圧Vddが遮断される。従って、1次コイルL1と共振コンデンサCの直列回路を通しての回生電流の発生が抑制される。つまり、1次コイルL1への電源電圧Vddを遮断することで、金属片Mの検知のために発振している隣接の1次側金属検知コイルLaとの磁気結合が抑制される。
【0167】
その結果、1次側金属検知コイルLaの発振エネルギーが磁気結合によって弱められることはない。そして、機器Eの変調回路20に設けた変調波信号生成回路部22の無安定マルチバイブレータ22aが駆動できなくなるといった問題もなくなり、金属片Mの検知精度を落とすといったことがない。
【0168】
ちなみに、フルブリッジ回路43aを図15に示すように構成してもよい。図15に示すように、上側の2つのMOSトランジスタQa、Qcのドレン端子同士を接続した接続点N1に逆止用ダイオードDxを接続する。逆止用ダイオードDxは、そのアノード端子が電源回路31の電源線に接続され、カソード端子が接続点N1に接続されている。従って、フルブリッジ回路43aは、逆止用ダイオードDxを介して直流電圧Vddが印加される。
【0169】
また、各MOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdには、それぞれフライホイール用のダイオードDa,Db,Dc,Ddが並列に接続されている。なお、このダイオードDa,Db,Dc,Ddを省略しても、各MOSトランジスタQa,Qb,Qc,Qdがボディーダイオードを形成したものであるならば実質的に等価となる。
【0170】
そして、このように構成したフルブリッジ回路43aについて、上側の2つのMOSトランジスタQa、Qcをオフし、下側の2つのMOSトランジスタQb,Qdをオンさせる。これによって、1次コイルL1への電源電圧Vddが遮断されることで、金属片Mの検知のために発振している隣接の1次側金属検知コイルLaとの磁気結合が抑制される。
【0171】
しかも、フルブリッジ回路43aと電源回路31の電源線の間に、逆止用ダイオードDxを接続した。このため、電源回路31の電源線側において何らかの要因でインピーダンスが低くなり電位が下がっても、1次側金属検知コイルLaとの磁気結合による1次コイルL1が誘起した電流が電源回路31の電源線に流れ込むのが逆止用ダイオードDxによって阻止される。つまり、1次側金属検知コイルLaの発振エネルギーが、1次コイルL1を介して電流となって電源回路31の電源線側に流れ込むのを抑制することができる。
【0172】
その結果、1次側金属検知コイルLaの発振エネルギーが弱められることはなく、金属片Mの検知精度を落とすといったことがない。
○上記実施形態では、デューティー演算回路44cがデューティーDUを演算し、その演算したデューティーDUと基準デューティーDUkを比較して、金属片Mの有無判定を行うようにした。
【0173】
ところで、金属片Mが載置されていない時と、金属片Mが載置されている時とでオン・オフ信号MPのオン時間t1(デューティーDU)が極端に相違する場合がある。例えば、金属片Mが載置されていない時、オン・オフ信号MPのオン時間t1が非常に短く、金属片Mが載置されている時、オン・オフ信号MPのオン時間t1が非常に長い場合である。
【0174】
この場合には、復調信号DMPのデューティーDUに基づく、金属片Mの有無判定ではなく、復調信号DMPの信号について、オン(ハイレベル信号の)期間が長いか、オフ(ロウレベル信号の)期間が長いかという比較をする。そして、その比較結果に基づいて金属片Mの有無判定を行う。従って、デューティーDUを演算することなく、簡単な比較処理で金属片Mの有無判定を行うことができる。
【0175】
○上記実施形態では、変調回路20に設けた変調波信号生成回路部22を無安定マルチバイブレータ22aで構成したが、コンパレータ等に代えて実施してもよい。この場合、整流回路21からの電源電圧VGと予め定めた電圧を比較し、オン・オフ信号MPを生成してもよい。
【0176】
○上記実施形態では、変調回路20の整合回路MCを共振コンデンサCxで構成したが、その他の回路構成で実施してもよい。また、変調回路20の整流回路21を半波整流回路で構成したが、その他の整流回路で具体化してもよい。さらに、変調回路20の変調回路部23をトランジスタQ3とダイオードD1で構成したが、その他の回路構成で実施してもよい。
【0177】
○上記実施形態では、載置面3に24個の給電エリアARを形成したが、これに限定されるものではなく、1つ以上の給電エリアARを備えた給電装置1に応用してもよい。
【符号の説明】
【0178】
1…給電装置(非接触給電装置)、2…筐体、3…載置面、4…基本給電ユニット回路、10…受電回路、11…整流平滑回路部、12…DC/DCコンバータ回路、13…データ生成回路部、14…送信回路部、20…変調回路、21…整流回路、22…変調波信号生成回路部、22a…無安定マルチバイブレータ、23…変調回路部、23a…負荷、23b…負荷制御回路、25…電源線、30…共通ユニット部、31…電源回路部、32…システム制御部、33…不揮発性メモリ、40…基本ユニット部、41…受信回路部、42…信号抽出回路部、43…給電コイル励磁駆動回路部、43a…フルブリッジ回路(発振回路部)、43b…ドライブ回路、43c…存在検知回路、44…金属検知回路部、44a…発振回路(発振回路部)、44b…信号抽出回路、44c…デューティー演算回路(デューティー演算回路部)、E…機器(電気機器)、Z…負荷、AR…給電エリア、A1…信号受信アンテナコイル、A2…信号送信アンテナコイル、L1…1次コイル、L2…2次コイル、La…1次側金属検知コイル(受信コイル)、Lb…2次側金属検知コイル、CT…励磁制御信号、PSa,PSb,PSc,PSd…駆動信号、Q1〜Q3…トランジスタ、Qa,Qb,Qc,Qd…MOSトランジスタ、D0,D1,Da,Db,Dc,Dd…ダイオード、Dx…逆止用ダイオード、C,Cx…共振コンデンサ、C0…充放電コンデンサ、C1,C2…コンデンサ、MC…整合回路、R0,R1a,R1b,R2a,R2b…抵抗、Φt…発振信号、Φm…被変調波信号、MP…オン・オフ信号、DMP…復調信号、EN…許可信号、ID…機器認証信号、RQ…励磁要求信号、VG…電源電圧、Vdd…直流電圧、PT…正極入力端子、NT…負極入力端子、DU…デューティー、DUk…基準デューティー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に設けられた受電装置に対して、電磁誘導現象を利用して給電を行う非接触給電装置であって、
前記電気機器を載置する載置面に沿ってそれぞれ隣接して形成された1つ以上からなる給電エリアに対してそれぞれ設けられ、その給電エリアにおいて前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力をそれぞれ給電する1次コイルと、
前記給電エリア毎に設けられ、前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力を給電すべく該給電エリアの1次コイルを励磁駆動するとともに、該給電エリアから前記受電装置に発振信号を送信し、その発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した前記受電装置の発振信号に基づく被変調波信号を受信し、その被変調波信号を検波して前記変調波を復調する基本給電ユニット回路と、
前記各基本給電ユニット回路が復調した変調波に基づいて各給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部と
を備えることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記基本給電ユニット回路は、
前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、
受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と、
前記検波回路部が復調した前記変調波のデューティーを演算するデューティー演算回路部と
を備え、
前記システム制御部は、前記各基本給電ユニット回路のデューティー演算回路部からのデューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することを特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非接触給電装置において、
前記変調波は、受信した前記発振信号から金属異物の有無による磁束変化に基づいてデューティーが変更されるオン・オフ信号であって、
前記被変調波信号は、キャリア信号の振幅を前記オン・オフ信号に比例して振幅変調させて生成したものであり、
前記検波回路は、前記被変調波信号を包絡線検波によって前記オン・オフ信号を復調する回路であり、
前記デューティー演算回路部は、前記検波回路部が復調した前記オン・オフ信号のデューティーを検出する回路であることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触給電装置において、
前記キャリア信号は、前記発振回路部が前記受電装置に送信する前記発振信号であることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記基本給電ユニット回路は、
前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、
受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と
備え、
前記システム制御部は、
前記各基本給電ユニット回路の検波回路部が復調した前記変調波を入力し、その各変調波のデューティーを演算し、入力した各デューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することを特徴とする非接触給電装置。
【請求項6】
請求項2又は5に記載の非接触給電装置において、
前記基本給電ユニット回路に設けた発振回路部は、1次コイルを励磁する励磁駆動回路であり、
前記基本給電ユニット回路に設けた受信コイルは、前記1次コイルであることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項1】
電気機器に設けられた受電装置に対して、電磁誘導現象を利用して給電を行う非接触給電装置であって、
前記電気機器を載置する載置面に沿ってそれぞれ隣接して形成された1つ以上からなる給電エリアに対してそれぞれ設けられ、その給電エリアにおいて前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力をそれぞれ給電する1次コイルと、
前記給電エリア毎に設けられ、前記受電装置の2次コイルに電磁誘導にて2次電力を給電すべく該給電エリアの1次コイルを励磁駆動するとともに、該給電エリアから前記受電装置に発振信号を送信し、その発振信号から磁束変化に基づく変調波を検出した前記受電装置の発振信号に基づく被変調波信号を受信し、その被変調波信号を検波して前記変調波を復調する基本給電ユニット回路と、
前記各基本給電ユニット回路が復調した変調波に基づいて各給電エリアの金属異物の判定を行うシステム制御部と
を備えることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記基本給電ユニット回路は、
前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、
受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と、
前記検波回路部が復調した前記変調波のデューティーを演算するデューティー演算回路部と
を備え、
前記システム制御部は、前記各基本給電ユニット回路のデューティー演算回路部からのデューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することを特徴とする非接触給電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非接触給電装置において、
前記変調波は、受信した前記発振信号から金属異物の有無による磁束変化に基づいてデューティーが変更されるオン・オフ信号であって、
前記被変調波信号は、キャリア信号の振幅を前記オン・オフ信号に比例して振幅変調させて生成したものであり、
前記検波回路は、前記被変調波信号を包絡線検波によって前記オン・オフ信号を復調する回路であり、
前記デューティー演算回路部は、前記検波回路部が復調した前記オン・オフ信号のデューティーを検出する回路であることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触給電装置において、
前記キャリア信号は、前記発振回路部が前記受電装置に送信する前記発振信号であることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触給電装置において、
前記基本給電ユニット回路は、
前記受電装置に発振信号を送信する発振回路部と、
受信コイルが受信した前記受電装置が前記発振信号から磁束変化に基づいて検出した変調波に基づく被変調波信号を検波して、前記受電装置が検出した前記変調波に復調する検波回路部と
備え、
前記システム制御部は、
前記各基本給電ユニット回路の検波回路部が復調した前記変調波を入力し、その各変調波のデューティーを演算し、入力した各デューティーに基づいて、各給電エリアの金属異物の有無判定を行い、金属異物有りと判定したとき、該給電エリアの給電を停止することを特徴とする非接触給電装置。
【請求項6】
請求項2又は5に記載の非接触給電装置において、
前記基本給電ユニット回路に設けた発振回路部は、1次コイルを励磁する励磁駆動回路であり、
前記基本給電ユニット回路に設けた受信コイルは、前記1次コイルであることを特徴とする非接触給電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−34292(P2013−34292A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168525(P2011−168525)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
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