説明

非木材レーヨン繊維およびこれを用いた繊維製品

【課題】この発明は、非木材パルプを用いて抗菌性があって、しかも普通レーヨンにはない弾力感に富んだハリコシのある生地を非木材レーヨンで得ようとするものである。
【解決手段】非木材を原料として灰分の含有量を0.11重量%以上とした非木材パルプを溶解して繊維化した非木材レーヨン繊維である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、竹、麻、ケナフ、バガス、月桃などのパルプを用いた非木材レーヨン繊維およびこれを用いた繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
非木材パルプを原料とする非木材レーヨン繊維は、竹パルプを原料とするセルロース繊維などとして一部が繊維製品に使用されているが、これまで多くは紙原料として使用されているもので、非木材パルプを溶解してビスコースとし、繊維化して使用することは殆ど行われてこなかった。
【0003】
木材を原料とした溶解パルプの製造工程は、木材チップから大部分のリグニン・ヘミセルロースを除去しパルプ化する蒸解工程と、残留するリグニン・ヘミセルロース・樹脂分・灰分を除去しセルロースの重合度を調製するなどの精製漂白工程に大別される。そして、レーヨン繊維の原料とされる木材パルプは、後者の精製漂白工程で、JIS P 2701の溶解パルプの規格で樹脂分0.25%以下、灰分0.1%以下と規定されている。しかし、現在流通している非木材パルプは、その用途が製紙用が主でビスコースに溶解するものではないので、木材パルプに比較して重合度が高く、また灰分含有量が非常に多いのが特徴である。
【0004】
このために、非木材パルプは、そのままでは木材パルプのようにレーヨン原料とすることは困難であった。非木材パルプをレーヨン原料とするためには、精製漂白工程で、木材パルプと同じように重合度の調整とともに灰分の除去が必要であった。パルプの灰分の除去は、蒸解工程や洗浄、その後の精製漂白工程でも行われるが、セルロースに結合した金属イオンは精製漂白の最終工程で、亜硫酸や塩酸を使用した酸処理で除去することが不可欠であった。
【0005】
このように、パルプ中の灰分はビスコースレーヨンを生産するには有害物として除去されてきたが、他方でパルプ中の灰分は、得られたレーヨン繊維が天然繊維に由来する各種の特殊な機能を発現するもので、灰分を多く含む非木材レーヨンより得られた編物や織物(繊維製品)には、普通レーヨンにはないハリコシ特性のあることが知られている。
【0006】
従来から、ハリコシのある繊維を得るために、竹パルプを原料とする再生セルロース繊維を含有する繊維製品の製法が公知になっている(例えば特許文献1。)。
【特許文献1】特開2001−115347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、灰分を多く含む非木材パルプは、これをレーヨン原料として使用するには、製品化された非木材パルプを裁断してこれと苛性ソーダと反応させアルカリセルロースとする必要があるが、灰分を多く含む非木材パルプはこの苛性ソーダとの反応が非常に悪いといった問題があった。そのために、苛性ソーダとの反応に非常に長い時間を必要とし、経済性を考慮すると生産効率が悪く実用化が困難であった。その一方で、非木材レーヨンは、それに含まれている灰分の成分である二酸化珪素の影響で良好な抗菌性能を発現することを本発明者は確認したものである。また、非木材レーヨンによって得られた生地には普通レーヨンにはない弾力感に富んだハリコシのあることも知られている。そこで、本発明者は、これらを積極的に利用して抗菌性があって、しかも普通レーヨンにはない弾力感に富んだハリコシのある生地を非木材レーヨンから効率よく得ようとするものである。
【0008】
非木材パルプの一種である竹パルプを原料として、抗菌性および防かび性に優れた再生セルロース繊維を得る前記特許文献1の方法は、得られた繊維を事後的に界面活性剤溶液で処理してポリフェノールが繊維から溶出しないようにし、ポリフェノールが繊維1gあたり0.1mg以上残存するようにしたものであるが、この先行技術の中には天然繊維の中に本来的に含まれている灰分の抗菌性能を利用した抗菌性繊維については何も開示がなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、非木材を原料として灰分の含有量を0.11重量%以上とした非木材パルプを溶解して繊維化した非木材レーヨン繊維(請求項1)、前記非木材パルプが、竹、麻、ケナフ、バガス、月桃の中のいずれか一種である請求項1記載の非木材レーヨン繊維(請求項2)、請求項1または2に記載の非木材レーヨン繊維と、化学繊維または天然繊維を混合してなる繊維製品(請求項3)、請求項1または2に記載の非木材レーヨン繊維と、化学繊維または天然繊維を混合してなる不織布(請求項4)である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、灰分を多く含む非木材レーヨンを用いるために、普通レーヨンにはない弾力感のあるハリコシのある生地を得ることができる。また、灰分を多く含むパルプ原料を用いるために抗菌性能が発現された繊維を得ることができるようになった。さらに、パルプの苛性ソーダとの反応性がよいので生産性を上げることが出来て製造コストの上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
溶解パルプは、木材チップを精製してシート状のパルプに形成しているが、これをレーヨン繊維として用いるには、これまで繊維強度、老成工程、染色などへの影響からして灰分の除去を行っている。ここにおける灰分の除去は、パルプの蒸解工程や洗浄、精製漂白工程などに加え、最終工程で行われる硫酸や塩酸を用いた酸処理で行われている。これに対して、繊維化されないで製紙用パルプとして多く使用されている非木材パルプは、灰分が除去されずに残っている。発明者は、この非木材パルプに含まれている灰分について研究したところ、この天然由来の灰分が優れた抗菌性を有することを見出したものである。
【0012】
即ち、各種の非木材パルプおよびこれを用いたレーヨン繊維を測定したところ、そのいずれからも二酸化珪素が検出された。二酸化珪素は、従来から繊維製品の抗菌防臭および制菌加工剤としての無機系金属塩として知られ、この物質により抗菌性能が発現していると考えられる。
【0013】
しかし、非木材パルプは、その中のセルロースの重合度を測定したところ木材パルプのセルロースに比較して重合度が高いこと、また灰分を多く含むことでこれを切断して苛性ソーダと反応させる際の反応性が悪く、裁断したパルプを苛性ソーダに浸漬してアルカリセルロースにするための時間が長く、生産性が非常に悪いといった問題があった。そこで、この発明では非木材パルプの苛性ソーダに浸漬してアルカリセルロースとする工程で界面活性剤処理を行うことで、苛性ソーダとの反応性が大きく促進され生産性が大幅に向上することを見出したものである。この界面活性剤処理を除くその他の処理ては、通常の木材パルプの場合と同様の処理を行ってビスコースを得るものである。
【0014】
即ち、非木材パルプを用いて、通常と同様にして苛性ソーダに浸漬してアルカリセルロースとする。この場合に、この発明では界面活性剤処理を行うものである。この界面活性剤はパルプを苛性ソーダに浸漬する際、同時に添加する。添加量は、対パルプ重量で2〜10%、好ましくは3〜5%である。界面活性剤の添加量が2重量%未満であると効果が無く、また10重量%を超えてもそれ以上の効果は無くコストアップを招く。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などが使用できるが、陽イオン界面活性剤が好ましい。その後、圧搾して過剰な苛性ソーダを除去し老成する。
【0015】
非木材パルプは、灰分が木材パルプと比較して多く、木材パルプと比較して苛性ソーダとの反応に長い時間を要し、この問題を解決するために苛性ソーダ溶液の温度を上げることも考えられてきたがそれにも限界があって、その限界を超えるとセルロース分子が分解するなど好ましいものではなかった。これに対し、この発明で行う界面活性剤処理を行うと処理液温度を特に上げなくとも、パルプと苛性ソーダとの反応性を大幅に向上することができて、短時間で容易にアルカリセルロースとすることが可能となったものである。
【0016】
その後、これを二硫化炭素と反応させてセルロースキサントゲン酸ソーダとし、これを希苛性ソーダ液に溶解してビスコースとするものである。続いてビスコースをろ過・脱泡・熟成し、ノズルから凝固液中に押し出して紡糸する。これらについてはビスコース法普通レーヨンの場合と同様である。なお、本発明においては、ポリノジック繊維についても適応できる。また、非木材レーヨンのビスコースと木材レーヨンのビスコースを混合してレーヨン繊維としたものでもよい。
【0017】
実験例1
バンブーパルプ(Bamboo Pulp PHOENIX-TH製)1kgと、木材パルプ(日本ケミカル(製)LDP-T)1kgを原料に、ビスコース溶解試験を行った。
【0018】
[試験条件1](バンブーパルプ及び木材パルプ)
バンブーパルプ及び木材パルプを別々に、スラリータンクに入る大きさに裁断してから、普通レーヨンの製造条件でビスコースを得た。スラリー工程は、いずれもパルプ220g/l苛性ソーダ水溶液に浸漬し、50℃/15分間の条件で行った。硫化工程は、いずれも二硫化炭素添加量を対パルプで30重量%として75分間行った。溶解工程は、ともに溶解時間が120分でビスコースを生産した。この結果を表1に示す。表1に示すように、木材パルプは良好なビスコースが得られたが、バンブーパルプでは良好なビスコースは得られなかった。なお、表1で、ビスコースKW値は、次式で求めた値でビスコースのろ過性を示す値である。この値が小さいほどろ過性がよいビスコースである。
【0019】
KW値=(2-P2/P1)/(P1+P2)×105 (1)
但し、P1は20分間のビスコースろ過量、P2は20分間から60分間のビスコースろ過量。
【0020】
[試験条件2](バンブーパルプ)
バンブーパルプを5cm×10cmの短冊状に裁断し、普通レーヨンの製造条件でビスコースを得た。スラリー工程は、パルプ220g/l苛性ソーダ水溶液に浸漬し、20℃/20時間浸漬した後、さらに50℃×60分間撹拌した。硫化工程は、二硫化炭素添加量を対パルプで40重量%として120分間行った。溶解工程は、試験条件1と同様にした。この結果を表1に示す。表1に示すように、苛性ソーダへの浸漬時間が20時間と長く、実用化が出来ないものであった。
【0021】
[試験条件3](バンブーパルプ)
バンブーパルプを5cm×10cmの短冊状に裁断し、普通レーヨンの製造条件でビスコースを得た。スラリー工程は、パルプ220g/l苛性ソーダ水溶液に浸漬し、60℃/5時間浸漬し撹拌した。硫化工程および溶解工程は試験条件2と同じにして行った。この結果を表1に示す。表1に示すように、この場合もビスコースKW値が小さく良好なビスコースが得られたが、この場合は苛性ソーダ溶液との反応に5時間の長い時間を要するもので、これでは実用化には困難なものであった。
【表1】

【0022】
実験例2
マニラ麻パルプ(ABACA PULP)1kg、バンブーパルプ(Bamboo Pulp PHOENIX-TH製)1kg、木材パルプ(日本ケミカル(製)LDP-T)1kgを原料に、ビスコース溶解試験を行った。
【0023】
(試験条件)
[試験条件4](マニラ麻パルプ)
マニラ麻パルプを5cm×10cmの短冊状に裁断し、普通レーヨンと同様にしてビスコースを得た。スラリー工程は、パルプ220g/l苛性ソーダ水溶液に浸漬し、20℃/16時間浸漬した後、さらに50℃×60分間撹拌した。硫化工程は、二硫化炭素添加量を対パルプで40重量%として120分間行った。溶解工程は、実験例1の試験条件1と同様にした。この結果を表2の試験条件4に示す。表2に示すように、この場合は良好なビスコースは得られるが、苛性ソーダへの浸漬時間が16時間と長く、実用化が出来ないものであった。
【0024】
[試験条件5](マニラ麻パルプ)
マニラ麻パルプを5cm×10cmの短冊状に裁断し、普通レーヨンと同様にしてビスコースを得た。スラリー工程は、パルプ220g/l苛性ソーダ水溶液に浸漬し、温度を60℃として5時間浸漬した。硫化工程は、二硫化炭素添加量を対パルプで40重量%として120分間行った。溶解工程は、試験条件4と同様にした。この結果を表2の試験条件5に示す。この場合は良好なビスコースは得られるが、苛性ソーダへの浸漬時間が5時間と依然として長く、実用化が困難なものであった。
【0025】
[試験条件6](マニラ麻パルプ)
マニラ麻パルプを5cm×10cmの短冊状に裁断した。スラリー工程は、パルプ220g/l苛性ソーダ水溶液に浸漬し、さらに界面活性剤(「ニューロン 1225-D」竹本油脂株式会社製品)を、対パルプに対し3重量%添加した。これを60℃×3時間撹拌と、60℃×1時間撹拌を行った。硫化条件は試験条件4と同様にした。この結果を表2の試験条件6に示す。この場合はいずれも良好なビスコースが得られた。
【表2】

【0026】
実験例3
実験例1および実験例2で用いたパルプ、スラリー、硫化条件で非木材パルプ5種の各20kgの原料で5種のビスコースを製作し、紡糸して繊維化を行った。紡糸条件は、紡糸スピード45m/分、延伸率60%とした。その繊維性能は表3の通りであった。同表には普通レーヨンについても示した。
【表3】

【0027】
表3に示すように、非木材レーヨンの灰分は、普通レーヨンのそれを大幅に上回るものであることが分かる。
【0028】
実験例4
実験例3で得られた繊維の抗菌試験を行った結果を表4に示す。なお、試験方法は、JIS 1902 菌液吸収法によって行い、供試菌は黄色ブドウ球菌とした。
【表4】

【0029】
表4に示すように、非木材レーヨンはいずれも優れた抗菌性を示すことが分かる。
【0030】
実験例5
実験例3で得られた繊維と原料に使用した非木材パルプをICP−発光分光分析法で二酸化珪素の定量分析を行った。結果を表5に示す。二酸化珪素の抗菌性能はすでに認められているところである。
【表5】

【0031】
表5に示すように、非木材レーヨンは抗菌作用を有する二酸化珪素の含有量が普通レーヨンと比較して多く含まれていることが分かる。
【0032】
実験例6
実験例3で得られた繊維のうち4種の非木材レーヨン1.7T×38mmと、普通レーヨン1.7T×38mmを紡糸し、撚り係数24回/インチの条件で40番手の100%糸を得た。この糸を円型ダブル・シリンダー編機にかけ天竺ニットを作製し、これを染色加工してサンプル生地を得た。この生地を用いて、単位面積当たりの重量を測定した後、KES−FBオート機器により引張り試験、曲げ試験、圧縮試験、表面試験を行い風合い調査を行った。この結果を表6に示す。
【表6】

【0033】
表6に示す結果について説明すると次の通りである。
【0034】
1. 引張試験(表6の伸度の項目)
生地を引張ったときの伸度EMTは、バンブーレーヨンおよび黄麻レーヨンが普通レーヨンより低く、またマニラ麻レーヨンの伸度は普通レーヨンとほぼ同じであるが、生地の単位面積当たりの重量が普通レーヨンより低いところから、これを同じ重量とすれば伸度はむしろ高いと考えられる。この結果、バンブーレーヨン、黄麻レーヨン、マニラ麻レーヨンの生地は普通レーヨンに比べ伸びにくくハリのある生地といえるものである。
【0035】
2. 曲げ試験(表6の曲げ剛性の項)
生地を曲げたときの剛性が高いことは、弾力のあるこしのある生地といえるものである。バンブーレーヨン、ケナフレーヨン生地のウェールは、普通レーヨンに比べ曲げ剛性が高くこしのある生地となっている。マニラ麻、黄麻レーヨン生地ウェールは、普通レーヨンと同じレベルであったが、単位面積当たりの重量を勘案すると、普通レーヨンより剛性のある生地といえるものである。
【0036】
3. 曲げ試験(表6のヒステリシスの幅の項)
生地を曲げた部分の曲率半径を一定にしたときの曲げモーメントを測定し、曲げた時と戻した時の曲げモーメント差をヒステリシスの幅で表している。ヒステリシスの幅が小さいほど元の状態に戻ろうとする性能があり、弾力性のあるこしのある生地といえるものである。
【0037】
バンブーレーヨン、マニラ麻レーヨン、黄麻レーヨンの生地は、ウェールおよびコースともに普通レーヨン生地と比べヒステリシスの幅は低い値となっており、弾力性があってこしのある生地となっている。
【0038】
4. 圧縮試験(表6の圧縮レジエンスの項)
生地を圧縮したときの挙動を示すレジエンスRC(%)は、圧縮時の仕事量と元に戻るときの仕事量の比で表し、数値が大きいほど回復力が高く、弾力性に富んだふくらみ感のある生地といえる。即ち、次の式で求められる。
【0039】
RC(%)=戻る時の仕事量/圧縮時の仕事量×100
バンブーレーヨン、マニラ麻レーヨン、黄麻レーヨンの生地は、普通レーヨンの生地よりRC(%)値が高く、弾力性が高くふくらみ感のある生地となっていることが分かる。
【0040】
5. 圧縮試験(表6の摩擦係数、摩擦標準偏差の項)
摩擦係数については、バンブーレーヨンの摩擦係数が低く、生地が滑り易い傾向であるが、ケナフレーヨンはヌメリ感があり、その他の生地はあまり差がでていない。また、摩擦係数の平均偏差は、ケナフレーヨンを除いて差が出ていない。ケナフレーヨン生地のコース方向の偏差が大きい値となっているが、これは編みの構造の違いがでているものと考えられる。
【0041】
以上の結果を、風合と各生地の関係を示すと表7の通りである。
【表7】

【0042】
表7に示すように、非木材レーヨンを用いた生地は、いずれも普通レーヨンを用いた生地に見られないような弾力性に富んだハリ・こしのあるものである。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
バンブーパルプ(Bamboo Pulp PHOENIX-TH 製)1Kg を5cm×10cmの短冊状に裁断したものを、200g/l 苛性ソーダ水溶液に浸漬しスラリー液を作成した。また、界面活性剤(竹本油脂製ニューロン1225-D,有効成分40%)の対パルプ5重量%を苛性ソーダに溶解した液をスラリー液に添加して60℃で2時間撹拌した。その後、スラリー液を圧搾してから粉砕してアルカリセルロースを得た。これを老成して二硫化炭素添加量をパルプ40重量%×120分で硫化を行い、希アルカリを添加し溶解120分の処理を行った結果、表8のようなビスコースを得た。
【表8】

【0044】
バンブーパルプ(Bamboo Pulp PHOENIX-TH 製)20Kg を前記のパルプ、スラリー、硫化条件、溶解条件でビスコースを作製し、これを紡糸して繊維化を行った。紡糸条件は、紡糸スピード45m/分、延伸率60%で行い、切断、精練、乾燥を行いバンブーレーヨンを得た。
【0045】
このバンブーレーヨン1.7T×38mm を紡糸し撚り係数24回/インチの条件で40番手の100%糸を得た。非木材レーヨンの素材の特性を調査するため、100%糸のみを用いて円型ダブル・シリンダー編機にかけ天竺ニットを作製、更に染色加工を行いバンブーレーヨン生地を得た。得られたバンブーレーヨン生地の抗菌試験を行ったところ表9の通りで強力な抗菌性が確認された。
【表9】

【0046】
(実施例2)
マニラ麻パルプ(ABACA Pulp)を用いて、実施例1と同様にしてアルカリセルロースを得た。これを用いて実施例1と同様の処理を行ったところ表10のようなビスコースを得た。
【表10】

【0047】
また、マニラ麻パルプ(ABACA Pulp)20Kg を用いて、前記のパルプ、スラリー、硫化条件、溶解条件でビスコースを作製し、これを紡糸して繊維化を行った。紡糸スピード、延伸率、切断、精錬、乾燥などは実施例1と同じ条件で行いマニラ麻レーヨンを得た。
【0048】
このマニラ麻レーヨンを用いて実施例1と同様にして天竺ニットを作製、更に染色加工を行いマニラ麻レーヨン生地を得た。得られたマニラ麻レーヨン生地の抗菌試験を行ったところ表11の通りで強力な抗菌性が確認された。
【表11】

【0049】
(実施例3)
ケナフパルプ(Kenaf Pulp)1Kg を5cm×10cmの短冊状に裁断したものを用い、実施例1と同様にしてアルカリセルロースを得た。これを用いて実施例1と同様にして表12のようなビスコースを得た。
【表12】

【0050】
また、ケナフパルプ(Kenaf Pulp)20Kg を用いて上記と同様にしてビスコースを作製し、これを紡糸して繊維化を行った。さらに、紡糸条件を実施例1と同様にしてケナフレーヨンを得た。
【0051】
このケナフレーヨンを用い実施例1と同様にして天竺ニットを作製、更に染色加工を行いマニラ麻レーヨンを得た。得られたマニラ麻レーヨン生地の抗菌試験を行ったところ表13の通りで強力な抗菌性が確認された。
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非木材を原料として灰分の含有量を0.11重量%以上とした非木材パルプを溶解して繊維化した非木材レーヨン繊維。
【請求項2】
前記非木材パルプが、竹、麻、ケナフ、バガス、月桃の中のいずれか一種である請求項1記載の非木材レーヨン繊維。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非木材レーヨン繊維と、化学繊維または天然繊維を混合してなる繊維製品。
【請求項4】
請求項1または2に記載の非木材レーヨン繊維と、化学繊維または天然繊維を混合してなる不織布。

【公開番号】特開2007−154386(P2007−154386A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354861(P2005−354861)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000103622)オーミケンシ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】