説明

非発泡層と発泡層とからなる包装用二重容器

【課題】従来の製造装置に変更を加えることなく、しかも接着剤を全く使用しないで製造することができて、二枚のシートの一体化及び分離が確実に行える食品用の包装用二重容器を提供すること。
【解決手段】非発泡層である内層10aと、発泡層である外層10bとを重ねて両真空により成形され、底壁11と、その周縁から立ち上がる側壁12とを備えた包装用二重容器10であって、側壁12に、下部が当該容器の内側から外側に向けて傾斜する傾斜面13を設けるとともに、この傾斜面13の傾斜角θを、底壁11への垂線11aに対して15度〜80度となるようにし、かつ、側壁12の高さHを、5mm〜75mmとしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用二重容器に関し、特に、それぞれ機能あるいは物理的性質が異なる非発泡層と発泡層とを材料として成形した包装用二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能あるいは物理的性質が異なる非発泡層と発泡層とを材料として成形した包装用二重容器は、それぞれ相反する機能あるいは物理的性質を備えたものとすることができて、有効なものである。例えば、揚げ立てで熱い「鶏の唐揚げ」を収納するにあたって、内側を非発泡層とすることで「耐熱性」を確保し、外側を発泡層とすることで「保温性」を確保することができる。
【0003】
また、機能あるいは物理的性質が異なる材料によって成形した包装用二重容器は、軟質な非発泡層によって内容物が酸素に触れないようにしながら、硬質な発泡層によって包装形態を維持するようにすることもできる。このような思想の下でなされた「複合容器」が、特許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−45258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、「ヘッドスペース内の空気により、内容物が酸化、変色あるいは乾燥などの変質を生じないようにする」ことを目的として、
「収納凹所を有するプラスチック製の複合容器であって、剛性のある外層と柔軟な内層とが収納凹部全面にわたり、剥離可能に接着していることを特徴とする複合容器」
が提案されている。そして、この複合容器は、内容物の変質を防止できるものとなっていると考えられる。
【0006】
しかしながら、この特許文献1の複合容器は、「剛性のある外層と柔軟な内層とを剥離可能に接着」してなるものであるから、当該複合容器を製造するにあたっては、「接着」のための接着剤を供給する装置あるいは工程が必要で、成形型の大幅な設計変更が必要となり、合成樹脂シートからシート成形する一般的な成形機は使用できない。
【0007】
また、この複合容器が、食品を包装するものであれば、使用する接着剤、及びその溶剤の選定も、食品の安全性を考慮すると非常に限られたものとなり、複合容器のコストアップにならざるを得ない、と考えられる。
【0008】
一般に、食品の包装を行う容器は、使い捨てできるような安価なものであって、安全かつ衛生的なものであること、できれば電子レンジに掛けても変形しないことが要求されているため、近年では、シート成形、つまり合成樹脂シートを材料とした型成形によって製造されている。換言すれば、食品用の包装用容器は、種類の少ない材料をシート成形することによって異物の混入を避け、収納される食品の安全性を確保し、安価に提供されているのである。
【0009】
また、シート成形では、材料である合成樹脂シートが成形型に応じた形状に変形し易くするために、この合成樹脂シートを熱によって軟化させることが行われるのであるが、この軟化させる程度の温度では、合成樹脂シートを互いに接着することはできない。
【0010】
そして、この種の食品のための包装用容器は、それぞれ相反する機能あるいは物理的性質を備えたものとするために、機能あるいは物理的性質が異なる2枚の合成樹脂シートを材料として成形することが行われるのであるが、問題は、両合成樹脂シートの一体化である。両合成樹脂シートが一体化されていないと、食品を収納する独立した容器としては、機能しないからである。
【0011】
一方で、使い捨てされる食品包装用容器は、資源としてリサイクルすることがあるが、そのためには、当該容器を構成している材料が同じか同質であると好都合である。ところが、機能あるいは物理的性質が異なる2枚の合成樹脂シートを材料とした容器では、合成樹脂シートの材質が異なることになるから、リサイクルする場合には、その2種類の合成樹脂シートが、使用時とは反対に、簡単に分離できると好都合である。
【0012】
さらに、使い捨てされる包装用容器は、容積が小さくできると、ゴミ箱やゴミ袋に沢山入れることができるから、ゴミの整理に役立つことになる。その点、2種類の合成樹脂シートによって構成されていた包装用容器について、使用時では必要であった剛性を、2種類の合成樹脂シートのそれぞれに分割できることは、ゴミ整理を簡単に行うために重要なことである。
【0013】
つまり、食品を包装するための容器として、種類の異なる2枚の合成樹脂シートを材料とする場合、次の点が満足できると有利である。
(1)2枚の合成樹脂シートの機能あるいは物理的性質を異なったものにすること
(2)2枚の合成樹脂シートを一体化するにあたって接着剤を使用しないこと
(3)2枚の合成樹脂シートを成形するにあたって従来の成形機が使用できること
(4)2枚の合成樹脂シートのうち、少なくとも何れか一方が耐熱性を有していること
(5)2枚の合成樹脂シートは、容器の使用後において容易に分離できるようにすること
【0014】
そこで、本発明者等は、食品を包装するのに適して、従来の成形装置でもそのまま製造することができ、2枚の合成樹脂シートによる使用時での一体化が確実で、必要に応じて2枚の合成樹脂の分離が簡単に行える包装用二重容器とするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0015】
すなわち、本発明の目的とするところは、従来の製造装置に変更を加えることなく、しかも接着剤を全く使用しないで製造することができて、二枚のシートの一体化及び分離が確実に行える食品用の包装用二重容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する実施形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「非発泡層である内層10aと、発泡層である外層10bとを重ねて両真空により成形され、底壁11と、その周縁から立ち上がる側壁12とを備えた包装用二重容器10であって、
側壁12に、下部が当該容器の内側から外側に向けて傾斜する傾斜面13を設けるとともに、この傾斜面13の傾斜角θを、底壁11への垂線11aに対して15度〜80度となるようにし、
かつ、側壁12の高さHを、5mm〜75mmとしたことを特徴とする包装用二重容器10」
である。
【0017】
すなわち、この請求項1に係る包装用二重容器10は、図1及び図4〜図6に示すように、非発泡層である内層10aと、発泡層である外層10bとを重ねて両真空により成形したものであり、図1及び図2に示すように、底壁11と、その周縁から立ち上がる側壁12とを備えたものである。なお、図6中の仮想線に示すように、この包装用二重容器10に蓋体20を「内嵌合」して、これらの包装用二重容器10及び蓋体20全体を包装用二重容器10とすることがある。
【0018】
この包装用二重容器10は、例えば揚げ立てで熱い「鶏の唐揚げ」を収納するにあたって、内側を非発泡層である内層10aとすることで「耐熱性」を確保できて、全体が熱によって変形するのを防止し得るのであり、外側を発泡層である外層10bとすることで「保温性」が確保できて、熱いままの「鶏の唐揚げ」を家に持ち帰ることができるのである。
【0019】
特に、この包装用二重容器10を構成している非発泡層である内層10a、及び発泡層である外層10bの物理的特性については、その少なくとも何れか一方が耐熱性を有すると、包装用容器とした場合には有利となる。この包装用二重容器10は、揚げ立てで熱い「鶏の唐揚げ」を収納したり、内容物を収納した状態で電子レンジに掛けて、内容物の加熱を行うことがあるが、その場合に、内層10aまたは外層10bの少なくとも何れか一方が耐熱性を有すると、加熱に伴った包装用二重容器10の変形を阻止でき、内層10aまたは外層10bの他方からの剥離または分離を防止できるからである。
【0020】
また、この請求項1に係る包装用二重容器10にあっては、その側壁12に、図1及び図2の(b)に示すように、傾斜面13が形成してある。この傾斜面13は、図2の(b)に示すように、その下部が当該容器の内側から外側に向けて傾斜するものであり、この傾斜面13の傾斜角θは、例えば図4に示すように、底壁11への垂線11aに対して15度〜80度となるようにしたものである。換言すれば、この傾斜面13は、所謂「アンダーカット部」となっているものである。
【0021】
この包装用二重容器10において、アンダーカット部となっている傾斜面13が存在していることによって、当該傾斜面13において、非発泡層である内層10aが、図1の左側部分の平面視あるいは右側の底壁視であっても、発泡層である外層10b内に食い込んだ状態になっている。たとえ、内層10a及び外層10bは、構成材料の熱収縮率が異なっていても、傾斜面13の傾斜角θを15度〜80度となるようにすることによって、互いに係止された状態になっている。これにより、内層10aは、少なくとも傾斜面13において外層10bに対してしっかりと一体化されていることになるのである。
【0022】
この傾斜面13は、当該包装用二重容器10を構成するための内層10a及び外層10bを重ね、この重なった内層10a及び外層10bの上下両側からの型による両真空により成形によって「アンダーカット部」として形成されるのであるが、内層10aの外層10bからの引き剥がし方向に対する一種の「抵抗部」となっているため、内層10aと外層10bとの一体化を行えるのである。また、発泡層である外層10bは、圧空で成形されていないため、気泡が潰れて薄肉になることはなく、「保温性」を確保できるものとなっている。
【0023】
また、この傾斜面13は「アンダーカット部」として形成されるのであるから、従来のシート成形機に変更を加えることなく包装用二重容器10の成形を可能にし、しかも内層10aと外層10bとを一体化するにあって接着剤を使用しなくてもよくしているのである。
【0024】
さらに、この傾斜面13は、図1に示すように、側壁12の全周に亘って形成するようにしてもよいが、この傾斜面13は内層10aと外層10bとの一体化を果たす部分であるから、部分的に形成しても、例えば図1に示すような四角形状であれば、対向する2辺を構成している側壁12の一部又は全部に形成してもよいものである。
【0025】
この傾斜面13の、底壁11への垂線11aに対する傾斜角θを15度〜80度となるようにしなければならないが、その理由は、この傾斜面13が型抜き時の破損を招くような「抵抗部」となってはならないし、また、この傾斜面13を内層10aの引き剥がし力に対する「抵抗部」としなければならないからである。つまり、この傾斜面13の傾斜角θが15度より小さいと、この傾斜面13を内層10aの引き剥がし力に対する十分な「抵抗部」とすることができないのであり、傾斜角θが80度より大きいと、当該包装用二重容器10の型抜き時に当該傾斜面13が大きな抵抗部となってその周囲を破損させたり、型抜きを困難にしたりするのである。
【0026】
そして、この包装用二重容器10は、図2の(a)に示す側壁12の高さHを、5mm〜75mmとしなければならない。その理由は、側壁12の高さHが5mmより低いと、食品等を収納するための収納空間がなくなってしまって、実質的な傾斜面13が形成できないからであり、一方、側壁12の高さHが75mmより大きいと、そのような深い包装用二重容器10をシート成形によって形成することが困難となるだけでなく、傾斜面13の周囲における内層10aや外層10bの厚さが不足して亀裂が生じ易くなるからである。
【0027】
勿論、傾斜面13において内層10aと外層10bとを一体化した包装用二重容器10では、使用後に、内層10aを外層10bから比較的容易に引き剥がすことができるのであり、内層10a及び外層10bそれぞれのリサイクルを可能にするだけでなく、ゴミ容積を小さくするための内層10a及び外層10bの「潰し」を容易にしているのである。
【0028】
なお、本実施形態の包装用二重容器10においては、図1及び図3の(a)に示したように、その底壁11に複数の底壁リブ14が形成してある。各底壁リブ14は、その中央稜線を、例えば図示上方(容器内)に向けて膨出させたもので、内層10a及び外層10bによって形成されているものである。換言すれば、各底壁リブ14は、包装用二重容器10全体の剛性を強化しているだけでなく、ここにおいて、内層10a及び外層10bの熱収縮時の互いの「ズレ防止」をも僅かであっても果たしているものである。
【0029】
従って、この請求項1の包装用二重容器10は、従来の製造装置に変更を加えることなく、しかも接着剤を全く使用しないで製造することができて、内層10aと外層10bとの一体化及び分離が確実に行えるものとなっているのである。
【0030】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の包装用二重容器10について、
「非発泡層である内層10aの厚さを、0.25mm〜0.30mmとしたこと」
である。
【0031】
この請求項2の包装用二重容器10において、非発泡層である内層10aの厚さを、0.25mm〜0.30mmとしておけば、当該内層10aを構成していた合成樹脂シートの「シート形態」を十分維持できて、所謂「フィルム」とは異なったより高い剛性を確保できるため、内容物を収納しておくのに必要な十分な剛性を有したものとすることができるだけでなく、当該包装用二重容器10の使用後における外層10bからの引き剥がしを行うのに必要な剛性も確保できるから、引き剥がしが比較的容易に行えることになる。
【0032】
このため、内層10aの厚さは、0.25mm〜0.30mmである必要があるが、その理由は、内層10aの厚さが0.25mmより薄いと、上述した「フィルム」に近いものとなって、外層10bからの引き剥がしがしにくくなるからであり、一方、この内層10aの厚さが0.30mmより厚くなると、シート成形がしにくくなるだけでなく、分離後に、ゴミ減量のために小さくまとめることが困難になるからである。つまり、この内層10aの使用後におけるリサイクルやゴミ容量の縮小がし易くなるのである。
【0033】
従って、この請求項2に係る包装用二重容器10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、特に内層10aの引き剥がし、そしてリサイクルあるいはゴミ減量がより一層し易くなっているのである。
【0034】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の包装用二重容器10について、
「側壁12の上部内側に係合部12aを設け、この係合部12aに係合する係合部20aを備えた蓋体20を有したこと」
である。
【0035】
この請求項3に係る包装用二重容器10は、図6に示すように、蓋体20をも備えたものであり、この蓋体20は、その係合部20aによって、包装用二重容器10側の側壁12の上部内側に形成してある係合部12aに係合させることにより、包装用二重容器10に「内嵌合」されることになるものである。
【0036】
この蓋体20は、包装用二重容器10に内嵌合されることにより、包装用二重容器10の底壁11上の収納部全体を覆うことになるから、包装用二重容器10内の密閉性が確保できるのである。
【0037】
従って、この請求項3に係る包装用二重容器10は、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、蓋体20によって包装用二重容器10内の密閉性を高めることができるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0038】
以上説明した通り、本発明においては、
「非発泡層である内層10aと、発泡層である外層10bとを重ねて両真空により成形され、底壁11と、その周縁から立ち上がる側壁12とを備えた包装用二重容器10であって、
側壁12に、下部が当該容器の内側から外側に向けて傾斜する傾斜面13を設けるとともに、この傾斜面13の傾斜角θを、底壁11への垂線11aに対して15度〜80度となるようにし、
かつ、側壁12の高さHを、5mm〜75mmとしたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、従来の製造装置に変更を加えることなく、しかも接着剤を全く使用しないで製造することができて、二枚のシートの一体化及び分離が確実に行える食品用の包装用二重容器10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る包装用二重容器10の、右側半分を底壁図とした平面図である。
【図2】同包装用二重容器10を示すもので、(a)は正面図、(b)は図1中の1−1線での縦断面図である。
【図3】同包装用二重容器10を示すもので、(a)は図1中の2−2線での部分拡大縦断面図、(b)は同包装用二重容器10の複数を積み重ねたときの部分断面図である。
【図4】同包装用二重容器10を示すもので、図3の(a)中の3−3線での部分拡大縦断面図である。
【図5】同包装用二重容器10を示すもので、図4とは別の位置に傾斜面13を形成したときの部分拡大縦断面図である。
【図6】同包装用二重容器10を示すもので、これに蓋体20を内嵌合したときの部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態である包装用二重容器10について、その製造方法とも併せて説明すると、図1には、本発明に係る包装用二重容器10の平面図を、右半分を底壁図として示してある。
【0041】
この包装用二重容器10は、両真空により成形に適した温度(軟化温度)に加熱した内層10aと外層10bとを重ねて、従来より使用されている両真空により成形機内に挿入し、上型及び下型共に真空によって型成形することによって形成したものである。上型及び下型共に真空によって型成形したのは、発泡層である外層10bが、「圧空」によって圧縮されて、内部の微小空間が潰されてしまわないようにするためである。なお、内層10a側のヒーター温度は、440℃であり、外層10b側のヒーター温度は、165℃〜190℃であった。
【0042】
内層10aの構成材料は、フィラー入りポリプロピレン(以下、単にPPFという)のシートであり、厚さが0.3mm、幅が1040mmの長尺原反である。この内層10aに対するヒーター温度は、440℃であって、完成された包装用二重容器10とともに内部の食品を電子レンジに掛けたときに生ずる100℃より高いものである。なお、PPFの両真空により成形時の軟化温度における熱収縮率は、11/1000であった。
【0043】
一方、外層10bの構成材料は、発泡倍率が5倍のポリスチレンペーパー(以下、単にPSPという)のシートであり、厚さが1.2mm、幅が1040mmの長尺原反である。この外層10bに対するヒーター温度は、165℃であって、完成された包装用二重容器10とともに内部の食品を電子レンジに掛けたときに生ずる100℃より高いものである。なお、このPSPの両真空により成形時の軟化温度における熱収縮率は、5/1000であった。
【0044】
以上のような材料と成形条件によって成形された包装用二重容器10は、図1〜図6に示したように、底壁11と、その周縁から立ち上がる側壁12とを備えたものとなっているのであり、側壁12には、下部が当該容器の内側から外側に向けて傾斜する傾斜面13が設けられている。
【0045】
この傾斜面13は、図1に示した四角形状の包装用二重容器10の場合、図1中の点線にて示したように、4辺の全てに連続して位置しているものであり、内層10aと外層10bとの一体化を果たすものである。従って、この傾斜面13は、内層10aと外層10bとの一体化が果たせるのであれば、包装用二重容器10の全周に設ける必要はなく、例えば、図1に示した包装用二重容器10の、互いに対向する一対の辺同士だけ(対向し合う2辺だけ)に設けてもよく、その場合に、各辺の一部分に設けるように実施してもよいものである。
【0046】
また、この傾斜面13の、側壁12の上下方向の位置は、図4に示したように、当該包装用二重容器10の上縁フランジに近い箇所であってもよいし、図5に示したように、当該包装用二重容器10の底壁11に近い箇所であってもよい。つまり、この傾斜面13の、側壁12に対する形成位置は、内層10aと外層10bとの引き剥がし方向(図4〜図6で言えば、図示上下方向、つまり垂線11a方向)に対する抵抗となり得る部分であれば、何処でもよいものである。
【0047】
そして、この傾斜面13の、例えば図4または図5に示した傾斜角θは、底壁11への垂線11aに対して15度としてある。つまり、この傾斜面13は、図2及び図3の各(a)に示したように、その下部が当該容器の内側から外側に向けて15度の傾斜角θで傾斜するものであり、この傾斜面13部分で所謂「アンダーカット部」を構成することになるものである。
【0048】
アンダーカット部である傾斜面13が上下両両真空により成形型によって形成されるということは、型開き時において、この傾斜面13部分において型の通過(型抜き)を許容しなければならないが、傾斜角θが15度であることから、その型抜き時において、内層10aや外層10bに破損を生じたり、室温状態に戻った包装用二重容器10に変形やシワを発生させることはないということを意味する。このことから、傾斜角θとしては、80度までは許容されることになる。
【0049】
また、この実施例の包装用二重容器10において、一辺が220mmである正方形である場合に、側壁12の高さHは約30mmであった。そして、傾斜面13の上下方向の幅は、3.5mmであった。傾斜面13を以上のように形成したことによって、当該包装用二重容器10の複数を積み重ねたとき、図3の(b)に示したように、当該傾斜面13自体がブロッキング防止部分ともなるのである。
【0050】
さらに、この包装用二重容器10については、図6に示したように、その側壁12の上部内側に係合部12aを設けておき、この係合部12aに蓋体20の係合部20aを係合、つまり内嵌合させて、蓋体20をも備えたものとすることも可能である。
【0051】
勿論、この蓋体20は、包装用二重容器10に内嵌合されることにより、包装用二重容器10の底壁11上の収納部全体を覆うことになるから、包装用二重容器10内の密閉性を確保できるようにするものである。
【符号の説明】
【0052】
10 包装用二重容器
10a 内層
10b 外層
11 底壁
11a 垂線
12 側壁
12a 係合部
13 傾斜面
14 底壁リブ
20 蓋体
20a 係合部
H 高さ
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発泡層である内層と、発泡層である外層とを重ねて両真空により成形され、底壁と、その周縁から立ち上がる側壁とを備えた包装用二重容器であって、
前記側壁に、下部が当該容器の内側から外側に向けて傾斜する傾斜面を設けるとともに、この傾斜面の傾斜角θを、前記底壁への垂線に対して15度〜80度となるようにし、
かつ、前記側壁の高さHを、5mm〜75mmとしたことを特徴とする包装用二重容器。
【請求項2】
前記非発泡層である内層の厚さを、0.25mm〜0.30mmとしたことを特徴とする請求項1に記載の包装用二重容器。
【請求項3】
前記側壁の上部内側に係合部を設け、この係合部に係合する係合部を備えた蓋体を有したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装用二重容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−218755(P2012−218755A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84570(P2011−84570)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(396000422)リスパック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】