説明

非磁性・非着磁性車輪

【解決課題】本発明は、非磁性・非着磁性の車椅子の側面に着設する非磁性・非着磁性車輪を提供する。
【解決手段】車椅子用の非磁性・非着磁性の車輪に非磁性・非着磁性のベアリング18を用いると共に、合成樹脂製のワッシャー17を着設して摺動性をよくし、静かな非磁性・非着磁性車椅子用の非磁性・非着磁性車輪100とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車椅子の側面に着設する非磁性・非着磁性の車輪(非磁性かつ非着磁性の車輪)に関する。より詳しくは、車椅子の側面に着設する車輪を非磁性・非着磁性とすることによって、MRI等の磁気を発生する診断装置を有する施設内に持ち込むことができる車椅子用の非磁性・非着磁性車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
強力な磁気を発生するMRI(Magnetic Resonance Imaging)の診断装置等の近傍に磁性を有する器具が、MRI本体に向けて移動し、患者に衝突する等の事故が発生している。近年、MRIの磁気出力の向上に伴い、MRIに関連する事故の発生を防止するために、非磁性・非着磁性のストレッチャー、車椅子、台車等の開発が望まれている。一般に車椅子等の側面に着設する車輪は非磁性・非着磁性ではなく、MRI等の検査に際しては車椅子に乗ったままで出入りをすることはできない。
【0003】
特許文献1の発明は、特許文献2の段落[0020]「また、本発明の折り畳み式車椅子において、全ての構成部材が非磁性体からなることが好ましい。この場合、MRI検査の際に使用するのに適する。」車椅子が開示されている。そして、非磁性体にするために、引用文献1の車椅子は、段落[0024]「右枠体10は、右側板13、右側板13の後端辺に設けられた右グリップ板14、右側板13の下端辺に設けられた右幕板15、右側板13の上端辺に設けられた右アームレスト板16及び右幕板15の外側面から前方に延びる右フットレスト板17を有している。右グリップ板14の上部後面には、後方に延びる右グリップ板14gが取付けられている。図2に示すように、右フットレスト板17の前端部には、蝶番17tにより固定された足乗せ台17dが取付けられている。この足乗せ台17dは、水平に延びた状態と垂直に延びた状態との間を揺動可能である。これら右枠体10の構成部材は、SUS304製の蝶番17tを除いて全て木製である。」と記載されている。
【0004】
上記のように、引用文献1の車椅子は、蝶番は非磁性のステンレスSUS304を用いて、それ以外は木製であるために、強度や耐久性の面で問題があり、非磁性の材料を用いた頑強な車椅子の出現が望まれている。
【特許文献1】特開2008−259668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、非磁性・非着磁性の車椅子を提供するために不可欠な車椅子の側面に着設する非磁性・非着磁性車輪(非磁性かつ非着磁性車輪)を提供するものであり、該車輪を非磁性・非着磁性のフレームで構成された車椅子等に着設して、MRI等の診断装置が設置された施設内に持ち込むことができる非磁性・非着磁性車椅子を作製するための非磁性・非着磁性車輪を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車椅子の側面に着設する車輪について非磁性・非着磁性の車輪を提供し、ひいては、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の診断装置が設置された施設に持ち込むことができる非磁性・非着磁性車輪を着設した該非磁性・非着磁性の車椅子等を提供するために鋭意検討を加えた。その結果、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくすると共に、静かな非磁性・非着磁性の車椅子用の非磁性・非着磁性車輪の創成に成功した。
【0007】
本願発明の特徴は、非磁性・非着磁性の車椅子用の車輪であって、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくすると共に、静かなことを特徴とする車椅子用の非磁性・非着磁性車輪である。非磁性・非着磁性のベアリングを装着して回動を良くすると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設することによって、摺動性がよくなり、静かになった。
【0008】
さらなる本願発明の特徴は、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくした車輪を、アルミ製のホイールにゴムタイヤを装着したことを特徴とする非磁性・非着磁性車輪である。
【0009】
さらなる本願発明の特徴は、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくした車輪であって、合成樹脂製のホイールにゴムタイヤを装着したことを特徴とする非磁性・非着磁性車輪である。
【0010】
さらなる本願発明の特徴は、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくした車輪を、合成樹脂製のホイール又はアルミ製のホイールにゴムタイヤを装着した非磁性・非着磁性車輪を着設したことを特徴とする非磁性・非着磁性車椅子である。さらに、本願発明の非磁性・非着磁性車椅子は磁気を発するMRI等の診断装置に引き寄せられることもなく、長時間MRI装置を有する施設内に放置しても磁気を帯びない特徴を有している。
【0011】
本願明細書中で「非磁性体」、「非着磁性体」とは、非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、アルミニウム、シンチュウ、チタン、合成樹脂等を例示することができる。非磁性・非着磁性のホイール、非磁性・非着磁性のベアリング、非磁性・非着磁性のボルト、非磁性・非着磁性のナット、非磁性・非着磁性ワッシャー、非磁性・非着磁性のフレーム等は、例えば、非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、アルミニウム、シンチュウ、チタン、合成樹脂等で製造されたものを例示することができる。
【発明の効果】
【0012】
車椅子用の車輪に非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性の良く、静かな非磁性・非着磁性の車輪として、MRI等の磁気を発する装置を設置した施設の近傍でも使用することができる非磁性・非着磁性車椅子用の非磁性・非着磁性車輪が提供できる。さらに、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくした車輪にアルミ製のホイール、又は合成樹脂製のホイールにゴムタイヤを装着したことによって、静かな非磁性・非着磁性車輪を提供することができる。本願発明の非磁性・非着磁性車輪は長時間MRIの施設内に放置しても磁気に引き寄せられたり、磁気を帯びない特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の非磁性・非着磁性の大きな車輪の側面図である。
【図2】本発明の非磁性・非着磁性の小さな車輪の側面図である。
【図3】本発明の非磁性・非着磁性の大きな車輪を着設した車椅子の側面図である。
【図4】本発明の非磁性・非着磁性の大きな車輪を着設した車椅子の背面図である。
【図5】本発明の非磁性・非着磁性の小さな車輪を着設した車椅子の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を用いて本発明の実施の態様についていくつかの好ましい形態を例示するが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定することは意図するものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明の非磁性・非着磁性大車輪100は図1の(1−1)に示すように、タイヤ11は非磁性・非着磁性のホイール12に着設されており、この側面にハンドリム13が着設されている。図1の(1−2)に示すように、タイヤ11はホイールの車軸16に非磁性・非着磁性のベアリング18、18(本願発明ではシンチュウベアリングを用いた。)を、ワッシャー17、17(本願発明では合成樹脂製のワッシャーを用いた。)を挟んで、車輪の外側はヒールキャップで固定した。車輪の内側はワッシャー17の次に幅だしカラー20を着設してナット19、19で固定した。
【0016】
図1の(1−2)のAで示すハンドリムの着設方法は、図1の(1−3)の拡大図で示すように、車輪の外側にハンドリム13をキャップボルト14でホイール12に着設した。本願発明の非磁性・非着磁性大車輪100は、自走用の車椅子に着設することができる。
【実施例2】
【0017】
本発明の非磁性・非着磁性小車輪200は図2の(2−1)に示すように、タイヤ11は非磁性・非着磁性のホイール12に着設されている。タイヤ11はホイールの車軸16に非磁性・非着磁性のベアリング18、18(本願発明ではシンチュウベアリングを用いた。)を、ワッシャー17、17(本願発明では合成樹脂製のワッシャーを用いた。)を挟んで、車輪の外側はヒールキャップで固定した。車輪の内側はワッシャー17の次に幅だしカラー20を着設してナット19、19で固定した。本願発明の非磁性・非着磁性小車輪200は、介護用の車椅子に着設することができる。
【実施例3】
【0018】
本発明の非磁性・非着磁性大車輪100は非磁性・非着磁性のフレーム21よりなる車椅子に着設することができる。図3は自走用の非磁性・非着磁性車椅子であって、非磁性・非着磁性のフレームで構成されたフレーム21と非磁性・非着磁性のキャスター22が着設された自走用の非磁性・非着磁性車椅子に、本願発明の非磁性・非着磁性大車輪100を着設したものである。当該車椅子のフレームは非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、アルミニウム等で構成され、また、非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、アルミニウム、チタン等からなるボルトやナット、合成樹脂製のワッシャー等によって軸止される。
【0019】
図4は本発明の非磁性・非着磁性大車輪100を着設した非磁性・非着磁性車椅子の背面図を示している。非磁性・非着磁性のフレームで構成されたフレーム21と非磁性・非着磁性のキャスター22が着設された自走用の非磁性・非着磁性車椅子にハンドリム13が着設された非磁性・非着磁性大車輪100である。この非磁性・非着磁性大車輪100を固定するタックルブレーキ23が着設されており、このタックルブレーキ23も非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、アルミニウム等で構成された非磁性・非着磁性タックルブレーキ23である。
【実施例4】
【0020】
本発明の非磁性・非着磁性小車輪200を着設した介護用の非磁性・非着磁性車椅子は、図5に示すように後輪は自走用の車椅子よりも小さな本願発明の非磁性・非着磁性小車輪200を着設した介護用の非磁性・非着磁性車椅子である。介護用の非磁性・非着磁性車椅子の前部のキャスター22も非磁性・非着磁性キャスターが着設され、フレーム21も非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、又はアルミニウム等で構成されている。また、フレーム21,キャスター22、非磁性・非着磁性小車輪200等は、非磁性・非着磁性ステンレス(例えば、SUS304)、アルミニウム、チタン等からなるボルトやナット、合成樹脂製のワッシャー等によって軸止されている。
【符号の説明】
【0021】
100:本発明の非磁性・非着磁性大車輪
200:本発明の非磁性・非着磁性小車輪
11:タイヤ
12:ホイール
13:ハンドリム
14:キャップボルト
15:ヒールキャップ
16:車軸
17:ワッシャー
18:ベアリング
19:ナット
20:幅だしカラー
21:フレーム
22:キャスター
23:タックルブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性・非着磁性の車椅子用の非磁性・非着磁性車輪であって、非磁性・非着磁性のベアリングを用いると共に、合成樹脂製のワッシャーを着設して摺動性をよくしたことを特徴とする車椅子用の非磁性・非着磁性車輪。
【請求項2】
前記車輪はアルミ製のホイールにゴムタイヤを装着した車輪であることを特徴とする請求項1記載の非磁性・非着磁性車輪。
【請求項3】
前記車輪は合成樹脂製のホイールにゴムタイヤを装着した車輪であることを特徴とする請求項1記載の非磁性・非着磁性車輪。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の非磁性・非着磁性車輪を着設したことを特徴とする非磁性・非着磁性車椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70958(P2012−70958A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218213(P2010−218213)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000146113)株式会社松永製作所 (59)