説明

非結球性メキャベツ類及びその作成方法

【構成】 メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,880 mg/100g以上とした非結球性メキャベツ類(請求項1)である。
アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上であるようにした非結球性メキャベツ類(請求項3)である。
【効果】 表2にに示すような栄養価の高い非結球性メキャベツ類を提供することができる。生鮮野菜として、また、健康補助食品(青汁等)の原料として、栄養価の高い非結球性メキャベツ類を利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は非結球性メキャベツ類及びその作成方法に関し、生鮮野菜として、又は、健康補助食品(青汁等)の原料として使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
非結球性メキャベツ類としてはプチベェールが知られている。このプチベェールは、メキャベツを種子親、ケールを花粉親として交配したものであり、その外葉は非常に甘く、また、表1に示すように、β−カロチン等量 (4,400μg/100g),ビタミンA効力(2,400IU/100g) を始め、カルシウム, カリウム等の各種栄養成分が高いことが判明している。
【0003】
【非特許文献1】(誠文堂新光社) 「農耕と園芸」(1998年,1月号,表紙裏面)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、前記プチベェールよりも栄養価の高い非結球性メキャベツ類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者は前記課題を達成するために、鋭意研究した結果この発明を完成した。
【0006】
この発明(請求項1)に係る非結球性メキャベツ類においては、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,880 mg/100g以上としたものである。
【0007】
そして、その作出方法として、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,000 mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得るようにしたものである。
【0008】
また、この発明(請求項3)に係る非結球性メキャベツ類においては、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上であるようにしたものである。
【0009】
そして、その作出方法として、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得るようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1)に係る非結球性メキャベツ類は上記のように構成されているため、即ち、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,880 mg/100g以上としたものであるため、表2に示すような栄養価の高い非結球性メキャベツ類を提供することができる。
【0011】
よって、この非結球性メキャベツ類を使用すれば、生鮮野菜、又は、青汁の原料として、栄養価の高い非結球性メキャベツ類を利用することができる。
【0012】
そして、その作出方法として、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,000 mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得るようにすれば、この栄養価の高い非結球性メキャベツ類を容易に得ることができる。
【0013】
また、この発明(請求項3)に係る非結球性メキャベツ類は上記のように構成されているため、即ち、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上であるようにしたものであるため、表2に示すような栄養価の高い非結球性メキャベツ類を提供することができる。
【0014】
よって、この非結球性メキャベツ類を使用すれば、青汁の原料として、栄養価の高い非結球性メキャベツ類を利用することができる。
【0015】
そして、その作出方法として、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得るようにすれば、この栄養価の高い非結球性メキャベツ類を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明(請求項1)に係る非結球性メキャベツ類は、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,880 mg/100g以上のものである。
【0017】
そして、その作出方法は、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,000 mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得ることである。
【0018】
この発明(請求項3)に係る非結球性メキャベツ類は、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上のものである。
【0019】
そして、そのその作出方法は、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得ることである。
【実施例】
【0020】
この発明に係る非結球性メキャベツ類の特徴を表1に示した。
【0021】
表1は各種栄養成分の分析結果を従来例のプチベール並びに各々の種子親および花粉親と比較したものである。
【0022】
ここに、この発明の非結球性メキャベツ類,「アセファラG1」及び「アセファラG2 」の分析サンプルとしては、「発芽して170日前後が経過した茎が付いた葉全体」を使用した。なお、これらの栽培方法は後記したとおりである。また、「メキャベツ」のデータは「「五訂増補日本食品標準成分表」準拠・新ビジュアル食品成分表〔増補版〕」(株式会社大修館商店発行)の第80〜81の野菜類の栄養分析表(食品番号06283)を引用した。さらに、「プチベール」のデータは「農耕と園芸」(誠文堂新光社発行) (1998年,1月号,表紙裏面)に記載のものを引用した。
【0023】
表中の、鉄,カルシウム,カリウムはICP発光分析法によって測定した。β−カロチン等量、総ビタミンC,ビタミンE(各トコフェロール)は高速液体クロマトグラフ法によって、総食物繊維はプロスキー変法(ACAC法)によって測定した。また、レチノール当量は高速液体クロマトグラフ法によって測定した。
【0024】
請求項1の非結球性メキャベツ類は、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、F1としたものである。
【0025】
この請求項1の非結球性メキャベツ類は、表1に示すように、含有鉄分が11mg/100g であり、従来のプチベールの約8.5 倍、種子親である「メキャベツ」の約11倍、花粉親である「アセファラG1」の約4倍である。
【0026】
また、同含有カルシウムは2,880mg/100gであり、従来のプチベールの約7.6 倍、種子親である「メキャベツ」の約78倍、花粉親である「アセファラG1」の約5倍である。
【0027】
また、同含有カリウム含量は1,460 mg/100gであり、従来のプチベールの約3 倍、種子親である「メキャベツ」の約2.4 倍、花粉親である「アセファラG1」の約4.6 倍である。
【0028】
同含有β−カロチン等量は19,310μg/100gであり、従来のプチベールの約4.4 倍、種子親である「メキャベツ」の約27倍、花粉親である「アセファラG1」の約3.2 倍である。
【0029】
同含有総合ビタミンC は570 mg/100gであり、従来のプチベールの約4.4 倍、種子親である「メキャベツ」の約3.6 倍、花粉親である「アセファラG1」の約4.7 倍である。
【0030】
同含有ビタミンE は19.5mg/100gであり、種子親である「メキャベツ」の約33倍、花粉親である「アセファラG1」の約9.3 倍である。
【0031】
同総食物繊維は30.2g/100gであり、従来のプチベールの約25倍、種子親である「メキャベツ」の約5.5 倍、花粉親である「アセファラG1」の約4.3 倍である。
【0032】
このように請求項1の非結球性メキャベツ類は従来のプチベール, 種子親である「メキャベツ」および花粉親である「アセファラG1」に比べて、栄養価において極めて優れている。とくに、鉄およびカルシウムの含有量において顕著である。
【0033】
請求項3の非結球性メキャベツ類は、アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、F1としたものである。
【0034】
この請求項3の非結球性メキャベツ類は、表1に示すように、含有鉄分が9.7mg/100gであり、従来のプチベールの約7.5 倍、種子親である「アセファラG1」の約3.5 倍、花粉親である「アセファラG2」の約8 倍である。
【0035】
また、同含有カルシウムは2,890mg/100gであり、従来のプチベールの約6.3 倍、種子親である「アセファラG1」の約4.1 倍、花粉親である「アセファラG2」の約6.2 倍である。
【0036】
また、同含有カリウムは1,720 mg/100gであり、従来のプチベールの約3.5 倍、種子親である「アセファラG1」の約5.4 倍、花粉親である「アセファラG2 」の約6.4 倍である。
【0037】
同含有β−カロチン等量は63,600μg/100gであり、従来のプチベールの約14.5倍、種子親である「アセファラG1」の約10.5倍、花粉親である「アセファラG2 」の約12.6倍である。
【0038】
同含有総合ビタミンC は680 mg/100gであり、従来のプチベールの約5.2 倍、種子親である「アセファラG1」の約5.7 倍、花粉親である「アセファラG2」の約3.8 倍である。
【0039】
同含有ビタミンE (トコフェロールの総量)は15.2mg/100gであり、種子親である「アセファラG1」の約7.2 倍、花粉親である「アセファラG2」の約4.6 倍である。
【0040】
同含有総食物繊維は30.6g/100gであり、従来のプチベールの約25.5倍、種子親である「アセファラG1」の約4.4 倍、花粉親である「アセファラG 2」の約3.7 倍である。
【0041】
更に、同含有レチノール当量は10,600μg/100gであり、種子親である「アセファラG1」の約21倍、花粉親である「アセファラG2 」の約252 倍である。
【0042】
このように請求項3の非結球性メキャベツ類は従来のプチベール, 種子親である「アセファラG1」および花粉親である「アセファラG2」に比べて、栄養価において極めて優れている。とくに、β−カロチン等量の含有量において顕著である。
【0043】
請求項1の非結球性メキャベツ類の作出方法は次のとおりである。
【0044】
通常の不稔性検定作業によって、不稔性のメキャベツおよび不稔性のアセファラG1のタネを確保する。
【0045】
通常のセルフ作業を繰り返すことによって、不稔性のメキャベツのタネから純系のメキャベツのタネを確保する。同作業によって、不稔性のアセファラG1のタネから、純系のアセファラG1のタネを確保する。
【0046】
通常のクロス作業によって、純系のメキャベツのめしべの柱頭に、純系のアセファラG1の花粉を付着・交配させ、一代雑種の非結球性メキャベツ類のタネを確保する。
【0047】
請求項3の非結球性メキャベツ類の作出方法は次のとおりである。
【0048】
通常の不稔性検定作業によって、不稔性のアセファラG1および不稔性のアセファラGP2のタネを確保する。
【0049】
通常のセルフ作業を繰り返すことによって、不稔性のアセファラG1のタネから純系のアセファラG1のタネを確保する。同作業によって、不稔性のアセファラG2のタネから、純系のアセファラG2のタネを確保する。
【0050】
通常のクロス作業によって、純系のアセファラG1の柱頭に、純系のアセファラG2の花粉を付着・交配させ、一代雑種の非結球性メキャベツ類のタネを確保する。
【0051】
非結球性メキャベツ類(請求項1,3)を東海地方において以下のように栽培した。
【0052】
その種子を7月中旬から8月中旬にタネ蒔きし、8月中旬から9月初旬頃に育苗し定植適期の本葉6〜7枚位に成長した段階で予め用意した本圃に定植した。
【0053】
定植後から11月末頃までの管理は、排水,雑草の対策,病害虫対策,台風等風水害対策等の管理をした。
【0054】
気温低下とともに植物体の糖質が増し、植物体への各種栄養成分の蓄積がピークに達する時期(長期間に渡る成育の続行により年を越した2月下旬から3月初旬頃)に近づいたころ糖度計を使って外葉に含まれるブリックスを調べて収穫適期を決定し、この栄養成分がピーク時に一挙に収穫し処理した。このように栽培された非結球性メキャベツ類の栄養成分が表1に示すものである。
この発明に係るに非結球性メキャベツ類の利用方法について説明する。
・生葉は生鮮野菜又は青汁の材料して使用される。
・葉,枝はジュース,青汁の材料として利用できる。また、このジュースを冷凍パックとすることもできる。さらに、ワインやシロップの材料とすることもできる。
・葉,枝をピューレとして利用することができる。
・葉,茎を粉末にして健康補助食品として利用することができる。また、この粉末を錠剤,顆粒にして健康補助食品として利用することもできる。
・葉,枝を乾燥して粉砕し(荒挽き)、主として、ペットフード,養殖魚類の飼料,家畜の飼料として利用することができる。
・実を生鮮野菜として利用することができる。
・主幹を粉末にすると繊維質の少し甘味のあるものができるので、ペットフードや養殖魚類の飼料の増量材として有効活用できる。
・シュート(菜花状の)を花が咲かない前に収穫して、新野菜として利用することができる。
・花から蜂蜜が採れる。
・根を入浴材として利用できる。また、粉末にしてペットフードや養殖魚類の飼料の増量材として有効活用できる。
・種から食用油がとれる。また、搾り粕は、タネ粕として有効な有機肥料として利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明(請求項1)に係る非結球性メキャベツ類は、メキャベツの純系を種子親、アセファラGP1の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,880 mg/100g以上としたものであるため、表2に示すような栄養価の高い非結球性メキャベツ類を提供することができる。この非結球性メキャベツ類を使用することにより、生鮮野菜、又は、健康補助食品(青汁等)の原料として、栄養価の高い非結球性メキャベツ類を利用することができる。
【0056】
また、この発明(請求項3)に係る非結球性メキャベツ類はアセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上であるようにしたものであるため、表2に示すような栄養価の高い非結球性メキャベツ類を提供することができる。この非結球性メキャベツ類を使用することにより、青汁の原料として、栄養価の高い非結球性メキャベツ類を利用することができる。
このように、これらの非結球性メキャベツ類は栄養価の高い生鮮野菜として、又は、健康補助食品(青汁等)の原料として利用できるものである。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メキャベツの純系を種子親、アセファラグループ1(以下、「アセファラグループGP1」と記す)の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,880 mg/100g以上であることを特徴とする非結球性メキャベツ類。
【請求項2】
メキャベツの純系を種子親、アセファラグループ1(以下、「アセファラグループGP1」と記す)の純系を花粉親として交配し、カルシム含有量が2,000 mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得ることを特徴とする非結球性メキャベツ類の作出方法。
【請求項3】
アセファラGP1の純系を種子親、アセファラグループ2(以下、「アセファラGP2」と記す)の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上であることを特徴とする非結球性メキャベツ類。
【請求項4】
アセファラGP1の純系を種子親、アセファラGP2の純系を花粉親として交配し、βカロチン含有量が60mg/100g以上である非結球性メキャベツ類を得ることを特徴とする非結球性メキャベツ類の作出方法。