説明

非線形熱重合を使用した三次元物品

熱重合プロセスを使用した三次元物品作製方法が提供される。物品は、熱重合性組成物、熱開始剤、及び逆可飽和染料などの非線形光熱変換材料を含む組成物を使用することにより作製される。物品は、隣接したボクセルをレーザービームによって順次露光することにより作製される。マイクロレンズアレイを使用して、2つ以上のボクセルを一度に露光することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱重合プロセスを使用した三次元物品作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形型の位相特徴の全部を充たすことができ、固化することができ、次に成形型から容易に取り外すことができる材料を成形型に繰り返し充填することによって、三次元物品を成形型から複製することができる。有用な材料としては、高分子熱可塑性及び高分子熱硬化性材料を挙げることができる。熱可塑性材料は、加熱された流動可能状態にて成形型キャビティ内に導入し、次に冷却して固化することができる。熱硬化性化合物は、液体前駆体として成形型内に導入され、次に硬化させられて固体レプリカを得ることができる。熱硬化性化合物を硬化させるものとして、化学反応、熱重合、紫外線から可視光での光重合、又は電子ビーム放射への曝露を包含する当業者に既知の様々な手段が知られている。
【0003】
一般に工具として知られている成形型は、機械加工により作製することができ、あるいは以下で論じる代替技術を使用して作製することができる。複製物品及び装置の大きさを縮小するための商業的応用及び産業的応用に関心が寄せられている。部品のマイクロ複製又はナノ複製のための成形型を作製するために多くの技術が開発されてきた。これらには、液状樹脂系の個々の体素(ボクセル)の選択的固化を可能にする二光子光化学を使用することも含まれる。典型的には、この技術を用いる系は、小領域に超高解像度特性を作製することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、二光子光化学では、光開始剤が少なくとも2個の光子を同時に吸収するだけの十分な光にさらす必要がある。これには、非常に短時間での非常に高い強度の放射線パルス及びこれらパルスを発生させるための専用装置が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
成形型又は工具などの高分子構造体を低コストで素早く製造可能な方法が必要とされている。広領域(数十平方マイクロメートルから数平方メートル)にわたって特性を有する比較的大きな物品の複製のために使用される工具を作製する方法が必要とされている。低コストで素早く、二光子光化学に必要な専用装置を必要としない、高分子構造体を製造する方法もまた必要とされている。
【0006】
一態様においては、複数のボクセルを含む組成物を提供すること(そこでの組成物が、重合性混合物、熱重合開始剤、及び非線形光熱変換材料を含む)、組成物の第1ボクセル内にレーザービームを集束させること、並びに第1ボクセル内の組成物の重合を開始させること(そこではレーザービームの少なくとも一部が第1ボクセル内の非線形光熱変換材料に吸収される)を含む、三次元物品の作製方法が提供される。
【0007】
別の態様では、基材を提供すること、基材上に組成物をコーティングしてコートされた基材を形成すること(コートされた基材上の組成物は複数のボクセルを含み、そこでの組成物が、重合性混合物、熱重合開始剤、及び非線形光熱変換材料を含む)、コートされた基材近傍にマイクロレンズアレイを配置すること、マイクロレンズアレイをレーザービームにさらして、コートされた基材の1個以上のボクセルを露光する1つ以上の集束レーザービームを生成すること、並びに1個以上の露光したボクセル内で、コートされた基材の重合を開始させること(そこではコートされた基材の1個以上のボクセル内にて、レーザービームの少なくとも一部が非線形光熱変換材料に吸収される)を含む、三次元工具の作製方法が提供される。
【0008】
更に別の態様では、重合性混合物、熱重合開始剤、及び非線形光熱変換材料(そこでは重合性混合物は、重合性又は架橋性エチレン系不飽和種から本質的になる)を含む重合性組成物が提供される。
【0009】
本明細書で使用する場合、
「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を示す。アルキルは、直鎖、分岐、環状、又はそれらの組み合わせであることができ、かつ典型的には、1〜20個の炭素原子を有する。
「アリール」とは、芳香族かつ炭素環式である一価の基を意味する。アリールは、芳香環に結合又は縮合した1〜5個の環を有することができる。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。
「コートされた基材」とは、少なくとも1つの材料層をその上に有する基材を意味し、基材上へ少なくとも1つの材料層を置くために使用されたプロセス手段に関係しない。
「光熱変換器」とは、化学線の吸収によって主として熱を生じる化合物又は組成物を意味する。
「ヘテロアルキル」とは、炭化水素鎖中の1個以上の炭素原子を置き換えるN、O、及びSなどのヘテロ原子を含有する炭化水素鎖を含むアルキル基を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方から誘導される材料を意味する。
「非線形」とは、化学線の吸収が強度又はフルエンスに依存するプロセスを意味する。
「同時」とは、10−14秒以下の時間内に発生する2つの事象を意味する。
「固体」とは、何日か、何週か、あるいは何ヶ月かといった長期間にわたってその形状を保持するのに十分なだけ、流れに対して抵抗できる組成物を意味する。
「熱的活性化可能組成物」とは、加熱すると物理的性質に検出可能な変化が生じ得る組成物を意味する。
「ボクセル」とは、立体内の体素を意味する。
【0010】
提供された方法は、前駆体樹脂系内にて個々のボクセルを選択的に重合させることができるレーザー開始非線形熱重合プロセスを利用する。提供された組成物を使用し、集束レーザービームの場所を変えることにより、複製のための成形型又は工具などの固体物品の構成要素である固化された高分子ボクセルのアレイを組み上げることができる。提供された方法は、三次元構造体を描くためのナノセコンドパルス幅を容易に制御できる低コストレーザーを利用する。加えて、提供された方法は、熱が生じる前に2個又はそれ以上の光子を吸収することにより作動し得る非線形光熱変換材料を利用するが、2個以上の光子が吸収される場合、吸収は非同時である。
【0011】
上記の要約は、本発明の全ての実施が開示されたそれぞれの実施形態を記載することを意図しない。図面の簡単な説明及び後に続く詳細な説明は、説明に役立つ実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】三次元物品を作製するための1つの方法論を概略的に示す。
【図2】提供された方法において有用な光学レンズシステムを含む露光システムの実施形態を概略的に示す。
【図3】マイクロレンズアレイを含む提供された方法の実施形態の概略。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、本明細書の説明の一部を構成し、いくつかの特定の実施形態が例として示される添付の一連の図面を参照する。本発明の範囲又は精神を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0014】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用には、その範囲内に含まれる全ての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)及びその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0015】
一態様においては、複数のボクセルを含む組成物を提供すること(そこでの組成物は、重合性混合物、熱重合開始剤、及び非線形光熱変換材料を含む)、組成物の第1ボクセル内にレーザービームを集束させること、並びに第1ボクセル内の組成物の重合を開始させること(そこではレーザービームの少なくとも一部がボクセル内の非線形光熱変換材料に吸収される)を含む、三次元物品の作製方法が提供される。組成物は、反応性官能基を有することができ、かつ重合及び/又は架橋して個体を形成することができるモノマー、オリゴマー、又は低分子量ポリマーから調製することができる重合性混合物を含む。重合性混合物の成分の例としては、例えば、付加重合性モノマー及びオリゴマー並びに付加架橋性ポリマー(例えば、アクリレート、メタクリレート、及びスチレンなどのある種のビニル化合物を包含するラジカル重合性又は架橋性エチレン系不飽和種など)、並びにカチオン重合性モノマー、オリゴマー及びカチオン架橋性ポリマー(その種は最も一般的には酸開始され、それには、例えば、エポキシ、ビニルエーテル、シアン酸エステルなどが挙げられる)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
好適なエチレン系不飽和種については、例えば、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されており、モノ−、ジ−、及びポリ−アクリレート及びメタクリレート(例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリス−ヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、分子量約200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレート及びビス−メタクリレート、米国特許第4,652,274号(Boettcherら)に記載されているようなアクリレート化されたモノマーの共重合性混合物、及び米国特許第4,642,126号(Zadorら)に記載されているようなアクリレート化されたオリゴマー)、不飽和アミド(例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−アクリルアミド及びβ−メタクリルアミノエチルメタクリレート)、ビニル化合物(例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート、及びジビニルフタレート)、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な反応性ポリマーには、例えば、1〜約50個の(メタ)アクリレート基をポリマー鎖ごとに有する、ペンダント(メタ)アクリレート基を備えたポリマーが挙げられる。そのようなポリマーの例には、Sartomer社から入手可能なSARBOX樹脂(例えば、SARBOX 400、401、402、404、及び405)などの芳香族酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂が挙げられる。フリーラジカル化学により硬化可能なその他の有用な反応性ポリマーとしては、米国特許番号第5,235,015号(Aliら)に記載されたものなどのそれに結合されたフリーラジカル重合可能な官能性を有するヒドロカルビル主鎖及びペンダントペプチド基を含有するこれらのポリマー類が挙げられる。所望の場合、2種又はそれ以上のモノマー、オリゴマー及び/又は反応性ポリマーの混合物を使用することができる。いくつかの実施形態では、エチレン系不飽和種には、アクリレート、芳香族酸(メタクリレート)アクリレート半エステル樹脂、及びヒドロカルビル主鎖とラジカル重合性官能基が結合したペンダントペプチド基とを有するポリマーが挙げられる。
【0017】
好適なカチオン反応種については、例えば、米国特許第5,998,495号及び同第6,025,406号(Oxmanら)に記載されており、エポキシ樹脂が挙げられる。広くエポキシドと呼ばれるこのような材料としては、モノマー性エポキシ化合物及び高分子型のエポキシドが挙げられ、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であることができる。これらの材料は一般に、平均して、分子1個当たり少なくとも1個(典型的には、少なくとも約1.5個、又は少なくとも約2個)の重合性エポキシ基を有している。ポリマーエポキシドには、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、ペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋化合物とすることができ、あるいは分子1個当たり1個、2個、又はそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物とすることができる。これらのエポキシ含有材料は、主鎖及び置換基の種類において、非常に多様となり得る。例えば、主鎖は任意の種類とすることができ、その主鎖上の置換基は、カチオン硬化を室温で実質的に妨げることのない任意の基とすることができる。許容しうる置換基の実例には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、及びホスフェート基が挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、約58〜約100,000以上まで様々となり得る。
【0018】
有用なエポキシ含有材料には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパートに代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートのようなシクロヘキセンオキシド基を含有するものが挙げられる。この性質の有用なエポキシドのより詳細な一覧が、米国特許第3,117,099号(Proopsら)に詳述されている。
【0019】
有用なその他のエポキシ含有材料として、以下の式のグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。
【0020】
【化1】

【0021】
式中、R’は、アルキル又はアリールであり、nは、1から6の整数である。その例は、多価フェノールをエピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパンのジグリシジルエーテル)などの過剰のクロロヒドリンと反応させることにより得られる、多価フェノールのグリシジルエーテルである。この種のエポキシドの更なる例は、米国特許第3,018,262号(Schroeder)及び「Handbook of Epoxy Resins」(Lee及びNeville著、McGraw−Hill Book Co.,New York(1967))に記載されている。
【0022】
多数の市販のエポキシ樹脂もまた使用することができる。特に、容易に入手可能なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、EPON 828、Epon 825、Epon 1004、及びEpon 1010の商標名にて、Resolution Performance Products、旧Shell Chemical Co.(テキサス州、ヒューストン(Houston))から入手可能なもの、並びにDow Chemical Co.(ミシガン州、ミッドランド(Midland))からのDER−331、DER−332、及びDER−334)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4206)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4221又はCyracure UVR 6110又はUVR 6105)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4201)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4289)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−0400)、ポリプロピレングリコールから変性された脂肪族エポキシ(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4050及びERL−4052)、二酸化ジペンテン(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、FMC Corp.(ペンシルベニア州、フィラデルフィア(Philadelphia)からのoxiron 2001)、エポキシ官能基を含有するシリコーン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、DER−580、Dow Chemical Co.から入手可能な臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、Dow Chemical Co.からのDEN−431及びDEN−438)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、Koppers Company,Inc.からのKopoxite)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジパート(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4299又はUVR−6128)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(例えば、Dow Chemical Corp.からのERL−4234)、ビニルシクロヘキセンモノオキシド1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、Dow Chemical Corp.からのUVR−6216)、アルキルC〜C10グリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals(テキサス州、ヒューストン(Houston))からのHeloxy変性剤7)、アルキルC12〜C14グリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤8)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤61)、クレシルグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤62)、p−第三級−ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤65)、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどの多官能性グリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤67)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤68)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤107)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤44)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤48)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、Heloxy変性剤84)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、Heloxy変性剤32)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、Ciba Corp.(ニューヨーク州、タリータウン(Tarrytown))からのEpon−1138又はGY−281)、並びに9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(例えば、Hexionから入手可能なEpon 1079)が挙げられる。
【0023】
その他の有用なエポキシ樹脂としては、グリシドールのアクリル酸エステル(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなど)と、1つ以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーが含まれる。このようなコポリマーの例は、1:1スチレン−グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレート、及び62.5:24:13.5メチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートである。他の有用なエポキシ樹脂は、周知であり、エピクロロヒドリン、アルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド)、スチレンオキシド、アルケニルオキシド(例えば、ブタジエンオキシド)及びグリシジルエステル(例えば、エチルグリシデート)のようなエポキシドを含有する。
【0024】
有用なエポキシ官能性ポリマーには、General Electric Company、ニューヨーク州、スケネクタディ(Schenectady)から入手可能な、米国特許第4,279,717号(Eckbergら)に記載されているようなエポキシ官能性シリコーンが挙げられる。これらは、シリコン原子の1モル%〜20モル%がエポキシアルキル基(典型的には、米国特許第5,753,346号(Leirら)に記載されているようなエポキシシクロヘキシルエチル)で置換されたポリジメチルシロキサンである。
【0025】
また、種々のエポキシ含有材料のブレンドを利用することもできる。このようなブレンドは、エポキシ含有化合物(低分子量(200ダルトン(Da)未満)、中間分子量(約200Da〜1,000Da)及び高分子量(約1,000Da超)など)の2つ又はそれ以上の重量平均分子量分布を含むことができる。その代わりに又はそれに加えて、エポキシ樹脂は、異なる化学的性質(脂肪族及び芳香族など)又は官能性(極性及び無極性など)を有するエポキシ含有材料の配合物を含むことができる。所望であれば、その他のカチオン反応性材料(ビニルエーテル及びオキセタンなど)を更に加えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、エポキシとしては、芳香族グリシジルエポキシ(Hexion Specialty Chemicals(オハイオ州、コロンバス(Columbus))から入手可能なEpon樹脂など)及び脂環式エポキシ(Dow Chemicalから入手可能なERL−4221及びERL−4299など)が挙げられる。
【0027】
好適なカチオン反応種としてはまた、ビニルエーテルモノマー、オリゴマー、及び反応性ポリマー(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、第三級ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(International Specialty Products(ニュージャージー州、ウェイン(Wayne))から入手可能なRapi−Cure DVE−3)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル(BASF Corp.(ニュージャージー州、マウントオリーブ(Mount Olive))から入手可能なTMPTVE)、及びMorflex(ノースカロライナ州、グリーンズボロ(Greensboro))からのVectomerジビニルエーテル樹脂(例えば、Vectomer 2010、Vectomer 2020、Vectomer 4010、及びVectomer 4020並びにその他の製造者から入手可能なそれらの等価物))、並びにこれらの混合物も挙げられる。1種以上のビニルエーテル樹脂及び/又は1種以上のエポキシ樹脂のブレンドもまた(任意の比率で)利用することができる。また、ポリヒドロキシ官能性材料(例えば、米国特許第5,856,373号(Kaisakiら)に記載されているものなど)を、エポキシ−及び/又はビニルエーテル官能性材料とともに利用することもできる。
【0028】
組成物内に組み込まれ得るその他の成分としては、モノヒドロキシ及びポリヒドロキシ化合物、チキソトロープ剤、可塑剤、強化剤、色素、充填剤、研磨粒剤、安定剤、光安定剤、酸化防止剤、流動化剤、増粘剤、艶消し剤、染色剤、結合剤、発泡剤、殺真菌剤、殺菌剤、界面活性剤、ガラス及びセラミックビーズ、並びに有機繊維及び無機繊維の織布又は不織布ウェブなどの補強材が挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態では、熱重合開始剤は、熱ラジカル開始剤であることができる。有用な熱開始剤の例には、これらに限定されないが、2,2−アゾ−ビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス−イソブチレート、アゾ−ビス−(ジフェニルメタン)、4−4’−アゾビス−(4−シアノペンタン酸)のようなアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、グルタル酸ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、過酸化水素のようなペルオキシド;tert−ブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド;過酢酸及び過安息香酸のような過酸、過硫酸カリウム;並びにジイソプロピルペルカーボネートのようなペルエステル、からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0030】
その他の実施形態では、熱重合開始剤は、熱カチオン開始剤であり得る。有用な熱カチオン開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、又はヘキサフルオロアルセネートアニオンなどの、非求核性アニオンのベンジルピリジニウム又はアンモニウム塩が挙げられる。その他の有用な非求核性アニオンとしては、ベンジルピリジニウム又はベンジルアンモニウム塩のベンゼンスルホネートアニオンが挙げられる。これらの熱潜在性カチオン重合触媒は、例えば、米国特許第5,066,722号及び同第5,070,161号(ともにNakanoら)に記載されている。更なる有用な熱カチオン開始剤としては、例えば、S.Nakano and T.Endo in Progress in Organic Coatings,22,287〜300(1993)、及びJournal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.33,505〜512(1995)に記載されているような、SbFなどの非求核性アニオンのベンジルアニリニウム及びp−置換ベンジルアニリニウム塩が挙げられる。その他の有用な重合開始剤成分としては、例えば、米国特許第6,635,689号及び同第6,906,156号(Mahoneyら)に記載されているような鉄系塩である有機金属塩によって触媒されるカチオン重合のための促進剤が挙げられる。
【0031】
提供された組成物及び方法において、2種以上の熱重合開始剤を利用することができると考えられている。例えば、提供された組成物及び方法は、2種以上の熱ラジカル開始剤、2種以上の熱カチオン開始剤、又は1種以上のラジカル及び/若しくはカチオン開始剤の組み合わせを含むことができる。
【0032】
提供された組成物は、非線形光熱変換材料を含む。非線形光熱変換材料は、逆可飽和染料などの逆可飽和吸収(RSA)材料であってよい。線形光吸収体の場合、媒質を介した光吸収は以下の式1及び2に示すようにベアーの法則に従う。
【0033】
【数1】

【0034】
式中、I(z)は、媒質透過度zにおける光の強度であり、Iは、媒質によって減衰する前の光の強度であり、αは、吸収係数であり、Iは、光の強度である。線形光吸収体の場合、吸収係数は、定数であり、光の強度又はフルエンスに依存しない。他方で非線形吸収とは、吸収係数が光の強度又はフルエンスに依存することを意味する。これは、光の強度が増大すると透過性が増加すること、及び光の強度が増大すると透過性が減少することの両方を意味し得る。
【0035】
逆可飽和吸収材料の場合、吸収プロセスはまた、励起状態と呼ばれることもあり、基底状態から励起状態への励起の断面積よりはるかに大きな、吸収プロセスでの励起状態の吸収断面積を特徴とする。全光吸収は、基底状態吸収(線型)及び励起状態吸収の両方を伴う。したがって、材料(z)の深さの関数としての光の強度(I)を記述する式は、式(3)によって与えられる。
【0036】
【数2】

【0037】
式中、σは、励起状態からの遷移についての吸収断面積である。励起状態Nの分布密度は、吸収係数αでの基底状態吸収(線形吸収)により生じ、下式(4)により得られる。
【0038】
【数3】

【0039】
式中、hωは、入射光子エネルギーである。式(4)を時間で積分し、式(3)に代入し、時間で再度積分して、下式(5)を得る。
【0040】
【数4】

【0041】
これらの式は、材料内の光のエネルギー密度又はフルエンス(F)の依存が、フルエンスの二乗に依存し、したがって、非線形であることを示す。
【0042】
非線形光熱変換組成物として機能する逆可飽和吸収染料の例としては、メタロフタロシアニン、ナフタロシアニン、シアニン、フラーレン、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、金属クラスター化合物、ポルフィリン、インダンスロン誘導体及びオリゴマー又はこれらの組み合わせが挙げられる。メタロフタロシアニンの例としては、銅フタロシアニン(CuPc)、並びにIIIA族(Al、Ga、In)及びIVA族(Si、Ge、Sn、Pb)の金属又は半金属を含有するフタロシアニンが挙げられる。ナフタロシアニンの例としては、例えば、シリコンのフタロシアニン誘導体(SiNC)、スズのフタロシアニン誘導体(SnNC)、及び鉛のフタロシアニン誘導体(PbNC)が挙げられる。シアニンの一例として、1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニンヨウ化物(HITCI)が挙げられる。フラーレンの例としては、C60及びC70フラーレンが挙げられる。金属ナノ粒子の例としては、金、銀、白金、アルミニウム、及び亜鉛ナノ粒子が挙げられる。金属酸化物ナノ粒子の例としては、二酸化チタン、酸化アンチモンスズ、及び二酸化ジルコニウムナノ粒子が挙げられる。金属クラスターの例としては、HFeCo(CO)12及びNEtFeCO(CO)12などの鉄トリコバルト金属クラスターが挙げられる。ポルフィリンの例としては、テトラフェニルポルフィリン(H2TPP)、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)、及びコバルトテトラフェニルポルフィリン(CoTPP)が挙げられる。インダンスロン誘導体の例としては、非置換インダンスロン、酸化インダンスロン、クロロインダンスロン、及びインダンスロンオリゴマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、非線形光熱変換組成物は、銅フタロシアニン、スズフタロシアニン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0043】
非線形光熱変換組成物は一般に、かなり少量で存在し得る。通常は、非線形光吸収体は、約0.05重量%(wt%)〜約5重量%で、あるいは約0.1重量%〜約3重量%の量で存在する。
【0044】
提供された方法は、三次元物品の作製方法に関する。物品は、最終用途物品であることができ、あるいは複製製造に有用な成形型であることができる。方法は、前述したように、ボクセルを含む組成物を提供することを含む。組成物は、重合性混合物、重合開始剤、及び非線形光熱変換材料を含む。方法は更に、組成物の第1ボクセル内にレーザービームを集束させることを含む。レーザー出力を組成物内の特定の場所に集束させするための集束光学素子と組み合わされたレーザーが、特に有用である。いくつかの実施形態では、レーザーパルス幅は、100ピコ秒〜1マイクロ秒である。
【0045】
多くのレーザーはガウシアン分布を持つビームを放射するが、その場合には、レーザーがレーザーの光共振器の基本横モード又は「TEM00モード」で動作していると言われる。ガウシアンビームは、横方向電界及び強度(放射照度)分布がガウス関数で記述される電磁放射線のビームである。ガウシアンビームの場合、円の強度が円中心の強度に対して1/eである場合、スポットサイズw(z)は、z軸周りの円の半径として定義される。入射レーザービームをレンズによって集束させた場合、伝搬レーザービームスポットサイズw(z)は、ビーム伝搬軸zに沿った一カ所で最小値wとなり、これはビームウエストとして知られている。ビームに沿ってビームウエストから距離zでの波長λのビームの場合、スポットサイズの変化が式(6)で与えられる。
【0046】
【数5】

【0047】
式中、ビームウエストと符合するように、z軸の起点は一般性を失うことなく定義され、かつzはレイリー長と呼ばれ、式(7)で定義される。
【0048】
【数6】

【0049】
ビームウエストからの距離がレイリー長zに等しい場合、ビーム幅wは、式(8)で定義される。
【0050】
【数7】

【0051】
これら二点(+z及び−z)間の距離は、コンフォーカルパラメータ(b)、又はビームの集束深度と呼ばれ、レイリー長zの2倍である。
【0052】
レーザー集束を記述する別の方法は、下式(9)にして示すように、レンズ材料の屈折率nに集束円錐Θの半角の正弦を掛けた、開口数(通常、NAと略記)による。
【0053】
【数8】

【0054】
式中、fは、集束レンズの焦点距離であり、Dは、レンズの直径又はレンズに入射するレーザービームの直径である。集束させたビームのスポットサイズは、式(9)で定義される開口数によって決定される。レンズに入射するビームがコンスタント・トラヴァース特性、すなわち、フラットトップビームを有する場合、集束させたスポットは、エアリーディスクで表される強度特性を有し、そこでは第1暗リングの直径(2w)は下式(10)によって与えられる。
【0055】
【数9】

【0056】
式中、λは、レーザーの波長である。集束させたスポットのサイズは、NAと逆相関の関係にある。式(7)及び(10)を比較すると、ビームの集束深度は、レーザー波長と相関関係にあり、NAの二乗と逆相関の関係にあることが分かる。
【0057】
有用なレーザーとしては、非線形光熱変換材料を励起することができるレーザーが挙げられる。一般に、これら材料は可視から近赤外領域のスペクトルを吸収する。有用なレーザーとしては、シャッターを備えた連続レーザー及びパルスレーザーが挙げられる。レーザーは、ガスレーザー又は固体レーザーであることができ、レーザーダイオードを含むことができる。有用なレーザーとしては、例えば、QスイッチNd:YAGレーザー、可視波長色素レーザー、及びQスイッチダイオードポンプレーザーが挙げられる。
【0058】
提供された方法においては、レーザービームはz軸に沿って集束させられ、ビームウエストがボクセルの近似位置に配置される。線形吸収プロセスが光の強度又はフルエンスに対して直線的に変化するのに対して、本開示にて使用する材料の非線形吸収プロセス特性は、強度又はフルエンスが若干高出力に上げられたことに応じて変化(二次従属性など)する。線形吸収プロセスでは、たとえレーザービームウエストを所望のボクセルの中央に、高開口数レンズ(NA≧0.3)にて集束させても、一般に、個々のボクセルを単独で活性化させることは不可能である。これは、得られたビーム集束深度が、典型的なボクセル寸法と同等又はそれより大きいためである。しかし、非線形吸収プロセスにてボクセル内にレーザービームウエストを配置した場合、その他のボクセルをあまり活性化することなく、ボクセル内組成物を活性化することができる。これは、レーザービームの集束深度より小さい、非線形吸収プロセス活性化のためのz軸に沿った実効距離の結果である。レーザービームの強度又はフルエンスが急速に小さくなり、隣接した熱的に活性化可能なボクセル内で非線形光熱変換プロセスを活性化するには小さすぎるものとなる。
【0059】
第1ボクセル内の組成物を露光するように、レーザービームを集束させることができる。集束の物理学は、上記の通りである。代表的な集束システムは、コリメーティングレンズへとビームを供給するため、レーザー出力と組み合わされた光ファイバーを使用する。通常、コリメーティングレンズは、約150mmの焦点距離を有することができる。次に、例えば、30mmの集束レンズを使用して、平行ビームをボクセル上に集束させることができる。この代表的な設定を行い、Nd:YAGレーザーからの出力を使用することにより、約200μm未満の集束させたスポットを得ることができる。その他の設定を行うことにより、約100μm未満、約10μm未満、あるいは約5μm未満の集束させたスポットを得ることができる。レーザーからの出力の一部は、非線形光熱変換材料により吸収されることができ、含まれる熱重合開始剤を活性化し、その後に第1ボクセル内の組成物の重合を開始させるのに十分なだけの熱を得ることができる。
【0060】
提供された方法は更に、集束レーザービームの場所を変更して、第2ボクセルを露光することを含む。第2ボクセルは、第1ボクセルに隣接させることができる。本文脈中、「隣接した」とは、第1ボクセルが第2ボクセルのすぐ隣にあるかそれと接触していることを意味する。次に、レーザービームは、第2ボクセル内で組成物の熱重合を開始させることができる。追加の隣接ボクセル内へと、集束レーザービームの場所を変更し続けることによって、重合したボクセルを含む三次元の固体又は半固体物品を作製することができる。露光され重合したボクセルは、非重合組成物を溶解し重合組成物を溶解しない溶剤によって、組成物(重合容積及び非重合容積を含む)を洗浄することによって、形にすることができる。一連のボクセルをレーザービームに露光した後、溶剤による処理の前に、任意に焼くことは、例えば、エポキシ型反応種などのいくつかの組成物に有用であり得る。典型的な焼き条件としては、約40℃〜約200℃の範囲内の温度、約0.5分〜約20分の範囲内の時間が挙げられる。
【0061】
所望により、構造化領域を重合するために露光後、通常は溶剤処理を行った後、化学線を使用した非画像様露光を実施して、残りの未反応光反応性組成物を反応させることができる。このような非画像様露光は通常、1光子プロセスを使用して実施されるが、熱開始剤に加えて組成物内に光開始剤が存在する場合にのみ機能する。
【0062】
いくつかの実施形態では、物品は成形型の逆レプリカを製造するために使用可能な成形型又は工具であることができる。「逆レプリカ」とは、成形型の三次元ネガ又は成形型からの物品ケースを意味すると理解すべきである。その他の実施形態では、物品を使用して、成形型を直接作製し、次に元の物品のレプリカを作製するために更に使用することができる。成形型又は工具として使用する場合、提供された方法及び組成物による物品は、例えば、流動性ポリマーをモールドの空洞にキャスティングすること、及び次に、ポリマーを固化して成形型のレプリカを形成することによって逆レプリカにすることができる。あるいは、所望の完成品が、提供された方法又は組成物により作製される場合、次に物品の逆レプリカ又は逆成形型は流動性ポリマーを使用して物品の成形型を作製することによって作製することができる。
【0063】
レプリカを形成するのに有用なポリマーには、当業者に既知の熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーが挙げられる。熱硬化性ポリマーは、室温を超える温度では軟化するか又は溶融するが、室温以下の温度では硬質であり構造を保持することができる材料を含むことができる。レプリカを作るのに使用できるいくつかの熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリオキシメチレン(POM)が挙げられる。
【0064】
熱硬化性ポリマーもまた、レプリカの作製に有用であり得る。有用な熱硬化性ポリマーには、ポリシロキサン(ポリジメチルジシロキサン(PDMS)など)、ポリイミド類(ポリアミン酸の硬化により調製)、及びウレタンアクリレートが挙げられる。ナノ構造体及びミクロ構造体の複製に関し、レプリカの形成に使用されるポリマーは、低粘度を有することができる。これにより、物品の小さなフィーチャー中へと又はその周りへとポリマーが流れ込むことが可能となる。物品とポリマーとの間の空気の閉じ込めが最小となるように、ポリマーを減圧下で物品に適用することが有用であり得る。
【0065】
レプリカ形成前に、成形型に剥離コーティングを適用することが有利であり得る。階層物品をSiO、SiN、又はその他の無機若しくはポリマー材料から作る場合、例えば、トリメチルクロロシラン、又は米国特許第5,851,674号(Pelleriteら)に開示されているようなフッ素化シロキサンのようなフルオロシラン離型剤で物品をコーティングすることができる。この目的では、米国特許第7,173,778号(Jingら)に開示されているようなヘキサフルオロポリプロピレンオキシド誘導体も有用である。
【0066】
あるいは、物品は、例えば蒸着又は無電解めっきにより堆積させたニッケルの薄層で金属化することができる。物品を金属化する場合、レプリカを形成するポリマーの離型を容易にするため、金属化した物品上に剥離剤を付与することもまた有利であり得る。例えば、米国特許第6,824,882号(Boardmanら)に開示されたフッ素化ホスホン酸又は米国特許公開第2005/0048288号(Flynnら)に開示されたようなペルフルオロポリエーテルアミド結合ホスホン酸塩などの剥離剤を、物品にコーティングすることができる。例えば、米国特許第6,696,157号(Davidら)に開示されているようなダイヤモンド様ガラスでコーティングすることで、階層物品を保護し得ることもまた、考えられる。
【0067】
レプリカ形成ポリマーは、成形型と接触させて置くことができ(保護コーティングとともに又はそれ無しで)、熱、水分又は放射線を含む多様な手段のうち任意のもので硬化させ、次に物品から分離することによって物品のネガレリーフイメージ(レプリカ)を作製することができる。この複製を用いて、元の物品の2次型又は娘型を作製することができる。
【0068】
別の態様では、基材を提供すること、当該基材上に組成物をコーティングしてコートされた基材を形成すること(コートされた基材上の組成物は複数のボクセルを含む)を含む、三次元物品の作製方法が提供される。いくつかの実施形態では、可能な基材としては、ガラス、金属、ポリマー、紙、及び複合材料を挙げることができる。いくつかの実施形態では、基材としては、シリコンウエハ又は電子回路基板を挙げることができる。組成物は、上述したものと同一であり得る。方法は更に、コートされた組成物近傍にマイクロレンズアレイを配置すること、マイクロレンズアレイをレーザービームにさらして、組成物の1個以上のボクセルを露光する1つ以上の集束レーザービームを生成すること、及び1個以上の露光したボクセル内で、組成物の重合を開始させること、を含む。コートされた基材の1個以上のボクセル内にて、レーザービームの少なくとも一部が非線形光熱変換材料に吸収される。
【0069】
図1及び図2は、提供された方法及び組成物についてのより詳細な一実施形態を概略的に示す。図1を参照すると、システム100は光学レンズシステム104を通ってレーザービーム103を導くレーザー光源102を含む。光学レンズシステム104は、図2にて更に説明される。レンズシステム104は、重合性混合物、熱重合開始剤、及び非線形光熱変換材料を含む組成物を含む本体108内の集束領域(ボクセル)110内にレーザー光線103を集束させる。集束領域110の外側の光の強度が、集束領域の外側の組成物の重合を開始させるのに十分な熱を生じるには不十分であり、これに対して、集束領域110の内側にある組成物の部分の光の強度が、集束領域110内の熱重合開始剤を活性化するのに十分な熱が生じるのに十分なレーザー光線103の吸収を生じるのに十分となるように、レーザー光線103は、強度を有し、光熱変換材料は、吸収を有する。実用的な言葉で述べると、これは、集束領域内の組成物110のボクセルが、熱硬化により固結又は固化するが、集束領域110の外側部分の組成物が実質的に影響されないことを意味する。106で表される好適な並進機構は、三次元で、本体108、光学レンズシステム104及び/又は集束領域110との間での相対運動を提供し、集束領域を本体108内の任意の所望の位置に配置することができる。この相対運動は、光源102、光学レンズシステム104、及び/又は本体108の物理的運動によって生じ得、本体108内に1つ以上の三次元構造体を形成することができる。1つの好適な並進システムは、可動式(並進)ステージを備え、ミラーを取り付けたガルバノメーターを含むことができる。
【0070】
光学レンズシステム204を含む有用な露光システム200の実施形態の詳細は、図2にて概略的に示されている。レーザー源205からの光は、光ファイバー207に沿って伝搬される。光ファイバーの末端では、伝搬したレーザービームは、ファイバーから発散する。レーザービームの大部分は、レーザービームをコリメートするコリメーティングレンズ209、並進ステージ201の上部にある重合性組成物203内のボクセル213にレーザービームを集束させる集束レンズ211から構成される光学レンズシステム204によって捕捉される。並進ステージは、異なるボクセル上に集束点213を再配置するために、6方向(x、y、及びz)に動かすことができる。
【0071】
図3は、マイクロレンズアレイを含む提供された方法の実施形態の概略である。提供された重合性組成物303は、シリコンウエハ301に隣接し、かつそれと接触している。マイクロレンズアレイフィルムは、重合性組成物303の反対側と接触している。マイクロレンズアレイフィルムは、重合性組成物と接触している基材305及び基材305と接触しているマイクロレンズアレイ307から構成される。ポイント309からのレーザー源は、複数のマイクロレンズを照射する。例示的実施例では、ポイント309からのレーザービームは、それぞれの個別のレンズそれぞれについて、発散コーン310a及び310b内のアレイ307内の2つのマイクロレンズを照射する。組成物303内の異なるボクセルであるスポットA(311a)及びB(311b)に、光が集束させられる。本実施形態では、一度に2つ以上のボクセルに照射する2つ以上の集束させたスポットは、マイクロレンズアレイを使用した1つのレーザービームによって得ることができる。
【0072】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0073】
本明細書の実施例及びその他の部分におけるすべての部、百分率、比などは特に注記がない限り、重量による。使用した溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(ウイスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee))より入手した。
【0074】
実施例1:
1リットルの三つ口フラスコに、56.4gのPC 1733(ポリカーボネートジオール、分子量998、Stahl USA Inc.、マサチューセッツ州、ピーボディ(Peabody)から入手可能)、19.7gのネオペンチルグリコール、86.2gのAgeflex FA12(ラウリルアクリレート(LA)、Ciba Specialty Chemicals、スイス、バーゼル)から入手可能)、82.5gのイソボルニルアクリレート(IBA、Sartomer Co、ペンシルベニア州、ウォリントン(Warrington)から入手可能)、及び0.03gのIrganox 1010(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)を加えた。混合物を攪拌し、50℃まで加熱して、全成分を溶解させた。溶解後、55.2gのイソホロンジイソシアネート及び0.01gのジブチルスズジラウレートを添加した。反応は、大気雰囲気下にて80℃まで加熱し、その温度に18時間保持した。赤外分光法は、残留イソシアネートが存在しないことを示した。75.0gのヒドロキシプロピルアクリレート(HPA、Dow Chemical Co.、ミシガン州、ミッドランド(Midland)から入手可能)を添加し、反応混合物を、室温まで冷却した。
【0075】
上記サンプルの一部(40g)をSR 213(ブタンジオールジアクリレート、10g)、Luperox 575(1.0g)、及び銅フタロシアニンのトルエン1%溶液(2.0g)とともに混合した。本サンプル(青色であった)をウエハ上に10マイクロメートルの測定厚みにてコーティングした。
【0076】
ダイオードポンプNd:YAGレーザー(IBレーザー(ドイツ、ベルリン)から市販されている)を第二高調波の波長(532ナノメートル)で、10ナノ秒のパルス幅及び1,000Hzのパルス繰返し率とともに使用して、熱重合を活性化させた。単一パルスエネルギーは、パルス当たり約2ミリジュールと測定された。レーザー出力は光ファイバーに結合し、150ミリメートルの焦点距離を備えたレンズでコリメートし、30ミリメートルの焦点距離を備えたレンズによって、レンズ上に集束せた。このアセンブリは、サンプルから6ミリメートル離れた距離にレーザー集束点があるようにロボットアームで保持した(図2)。
【0077】
それぞれのサンプルについて、スピンコーティングを使用してシリコンウエハ上に実施例にて開示された処方による溶液をコーティングした。層厚みを測定したところ、約10マイクロメートルであった。マイクロレンズアレイフィルムをサンプル上部に置いた(図2)。マイクロレンズのピッチは、約100マイクロメートルであった。マイクロレンズの集束点は、フィルムの真下で10マイクロメートルとなるようにした。フィルムは、気泡を除去するためにローラーで押した。図3に概略的に示すシステムを使用して、ポイント「o」を垂直に及び横に動かすことによって、イメージ(平行の線状稜線)を描画した。レーザー描画後、レンズアレイフィルムを引き剥がし、イソプロポノールを使用して、モノマーを洗い流した。重合構造体を、ウエハ表面上に保持した。顕微鏡画像は、描画された三次元の稜線からなる構造体を示した。構造体の解像度は、2マイクロメートルより高解像度であることが判明した。この実験は、熱開始重合が三次元構造体の構築において機能することを示している。
【0078】
比較実施例1
銅フタロシアニンを除外したことを除いて、実施例1と同一の組成物レシピを比較実施例1で使用した。レーザー描画後、レンズアレイフィルムを剥離し、溶剤を使用して、モノマーを洗浄した。ウエハ上には、描画された構造体は観察されなかった。
【0079】
実施例2−重合プロセスの非線形性
以下の溶液を調製した。
溶液A:
30%ポリメチルメタクリレート、120,000分子量(Aldrich(ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Milwaukee)))、
35% SR9008三官能性アクリレート(Sartomer、ペンシルベニア州、エクストン(Exton))
35% SR368三官能性アクリレート(Sartomer)を、
45%シクロペンタノンを有する溶液中の、上記組成物の55%固形分として調製した。
【0080】
溶液B:
20グラムの溶液A
0.11g過酸化ベンゾイル
1.892gの0.5重量%銅フタロシアニン分散体
4.44gのシクロペンタノン
溶液Bを均一になるまで撹拌した後、0.2マイクロメートルの注射器フィルタに通して濾過した。6インチ(15.2cm)シリコンウエハをエタノール中にてトリメトキシシリルプロピルメタクリレートで表面処理し、オーブン内105℃で乾燥させた。処理済みシリコンウエハ上に溶液Bをスピンコーティングによりコーティングして、10μmフィルムを得た。
【0081】
ダイオードポンプNd:YAGレーザー(IBレーザー(ドイツ、ベルリン)から市販されている)を第二高調波の波長(532ナノメートル)で、10ナノ秒のパルス幅及び1,000Hzのパルス繰返し率とともに使用した。レーザー出力は光ファイバーに結合し、150ミリメートルの焦点距離を備えたレンズでコリメートし、30ミリメートルの焦点距離を備えたレンズによって、レンズ上に集束させた。集束スポットは、約200マイクロメートルと測定された。パラレルリッジ露光(三次元の線)は、それぞれ、530、371、267、177mWのレーザー出力(平均出力)にて、それぞれのレーザー出力レベルにて、0.25〜6.75mm/秒の様々なラインスピードにて行った。サンプル形成後、重合イメージは目視で分析した。177mW及び0.25mm/秒で描画した隆起部は、幅、深さ及び解像度が、267mW及び2.25mm/秒、又は371mW及び6.75mm/秒で描画した線に匹敵する。レーザー出力とラインスピードとの間の相関関係の非線形性は、重合プロセスの非線形性を示す。
【0082】
実施例3−熱誘起重合
以下の溶液を調製した:
溶液A:
30%ポリメチルメタクリレート、120,000分子量(アルドリッチ)、
35% SR9008三官能性アクリレート(Sartomer)
35% SR368三官能性アクリレート(Sartomer)を、
45%シクロペンタノンを有する溶液中の、上記組成物の55%固形分として調製した。
【0083】
溶液B:
20グラムの溶液A
CD1012(ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(Sartomer)
1.892gの0.5%銅フタロシアニン分散体
4.44gのシクロペンタノン
溶液Bを均一になるまで撹拌した後、0.2マイクロメートルの注射器フィルタに通して濾過した。6インチ(15.2cm)シリコンウエハをエタノール中にてトリメトキシシリルプロピルメタクリレートで表面処理し、オーブン内105℃で乾燥させた。処理済みシリコンウエハ上に溶液Bをスピンコーティングによりコーティングして、10μmフィルムを得た。
【0084】
ダイオードポンプNd:YAGレーザー(Edgewave Laser、ドイツから入手可能)を第二高調波の波長(532ナノメートル)で、10ナノ秒のパルス幅及び10,000Hzのパルス繰返し率とともに使用した。レーザービーム出力直径は、約5mmであった。次に、30ミリメートルの焦点距離を備えたレンズによって、ビームをレンズ上に集束させた。集束スポットは、約5マイクロメートルと測定された。本実験では、加熱されて重合が誘起された時点でCD1012がラジカルを放出するという仮説を立てる。パラレルリッジ露光(三次元の線)は、2.5mW、3.5mW、及び5mWそれぞれのレーザー出力(平均出力)にて、それぞれレーザー出力レベルにて、露光速度を1.5〜24mm/秒に変化させて行った。サンプル形成後、重合イメージを数えた。5mWのレーザー出力及び24mm/秒の速度では、重合パターンは、3.5mWのレーザー出力及び3mm/秒の速度を使用して作成したものに相当した。重合パターンは、2.5mW及び1.5mm/秒で露光したサンプルについて、より良好な深さ及び幅の解像度を有するものと観察された。この実験は、提供された方法論の非線形性を示す。
【0085】
実施例4−2種以上の熱開始剤による熱誘起重合
以下の溶液を調製した:
溶液A:
30%ポリメチルメタクリレート、120,000分子量(Aldrich)、
35% SR9008三官能性アクリレート(Sartomer)
35% SR368三官能性アクリレート(Sartomer)を、
45%シクロペンタノンを有する溶液中の、上記組成物固形分の55%として調製した。
【0086】
溶液B:
20グラムの溶液A
0.11g CD1012(ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)(Sartomer)
0.11g過酸化ベンゾイル
1.892gの0.5%銅フタロシアニン分散体
4.44gのシクロペンタノン
溶液Bは、均一になるまで撹拌した後、0.2マイクロメートルの注射器フィルタに通して濾過した。6インチ(15.2cm)シリコンウエハをエタノール中にてトリメトキシシリルプロピルメタクリレートで表面処理し、オーブン内105℃で乾燥させた。処理済みシリコンウエハ上に溶液Bをスピンコーティングによりコーティングして、10μmフィルムを得た。
【0087】
ダイオードポンプNd:YAGレーザー(IBレーザー(ドイツ、ベルリン)から市販されている)を第二高調波の波長(532ナノメートル)で、10ナノ秒のパルス幅及び1,000Hzのパルス繰返し率とともに使用した。レーザー出力は光ファイバーに結合し、150ミリメートルの焦点距離を備えたレンズでコリメートし、30ミリメートルの焦点距離を備えたレンズによって、レンズ上に集束させた。集束スポットは、約200マイクロメートルと測定された。パラレルリッジ露光(三次元の線)は、それぞれ、530、371、267、及び177mWのレーザー出力(平均出力)を使用し、それぞれのレーザー出力レベルにて、0.25〜6.75mm/秒の様々なラインスピードに変化させて行った。サンプル形成後、重合イメージは目視で分析した。177mW及び0.25mm/秒で描画した隆起部は、267mW及び2.25mm/秒、又は371mW及び6.75mm/秒で描画した隆起部と同等の解像度であることが判明した。本実施例では、熱開始剤である過酸化ベンゾイルをCD1012に添加して、熱重合を誘起させた。
【0088】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、またこうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。引用された全ての文献は、その全体が、本明細書に参考として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物品の製造方法であって、
複数のボクセルを含む組成物を提供すること、そこでの該組成物が、
重合性混合物、
熱重合開始剤、及び
非線形光熱変換材料を更に含み、
前記組成物の第1ボクセル内にレーザービームを集束させること、並びに
前記第1ボクセル内の前記組成物の重合を開始させること、
を含み、前記レーザービームの少なくとも一部が前記第1ボクセル内の前記非線形光熱変換材料に吸収される、製造方法。
【請求項2】
前記重合性混合物が、(メタ)アクリレートモノマー、エポキシモノマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合開始剤が、ペルオキシド、アゾ化合物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重合開始剤が、カチオン生成材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非線形光熱変換材料が、逆可飽和吸収染料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記逆可飽和染料が、メタロフタロシアニン、フラーレン、及びメチン、並びにこれらの組み合わせから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記非線形光熱変換材料が、メタロフタロシアニンを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2ボクセルを露光するために、前記集束レーザービームの場所を変更することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2ボクセルの場所が、前記第1ボクセルに隣接している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法によって製造された三次元物品。
【請求項11】
請求項10に記載の物品から製造されたレプリカ。
【請求項12】
三次元物品の製造方法であって、
基材を提供すること、
該基材上に組成物をコーティングしてコートされた基材を形成すること、そこでは該コートされた基材上の該組成物は複数のボクセルを含み、該組成物が、
重合性混合物、
熱重合開始剤、及び
非線形光熱変換材料を含み、
前記コートされた基材近傍にマイクロレンズアレイを配置すること、
前記マイクロレンズアレイをレーザービームにさらして、前記コートされた基材の1個以上のボクセルを露光する1つ以上の集束レーザービームを生成すること、並びに
1個以上の露光した前記ボクセル内で、前記コートされた基材の重合を開始させることを含み、前記コートされた基材の1個以上のボクセル内にて、前記レーザービームの少なくとも一部が前記非線形光熱変換材料に吸収される、製造方法。
【請求項13】
前記基材が、シリコンウエハを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物内部のボクセルの異なるセットを露光するために、1つ以上の集束レーザービームの場所を変更することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法によって製造された三次元物品。
【請求項16】
重合性組成物であって、
重合性混合物、
熱重合開始剤、及び
非線形光熱変換材料
を含み、前記重合性混合物は、重合性又は架橋性エチレン系不飽和種から本質的になる、組成物。
【請求項17】
前記エチレン系不飽和種が、モノ−、ジ−、及びポリ−アクリレート及びメタクリレート、不飽和アミド、ビニル化合物、並びにこれらの混合物から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記エチレン系不飽和種が、アクリレートモノマーを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記開始剤が、ペルオキシド、アゾ化合物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記開始剤が、約100℃未満の分解温度を有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記非線形光熱変換材料が、逆可飽和吸収染料を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記逆可飽和吸収染料が、フタロシアニン、フラーレン、及びメチンから選択される、請求項21に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511082(P2012−511082A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539549(P2011−539549)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/063954
【国際公開番号】WO2010/065247
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】