説明

面ファスナー用ループ片の製造方法、製造装置及びループ片

【課題】本発明は、面ファスナー用ループ片の製造方法、製造装置及び面ファスナー用ループ片を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態によると、面ファスナー用ループ片の製造方法は、所定の配列方式で、複数の糸を連続的に供給する工程;該糸を所要のループ形状に塑性変形させる工程;基材を連続的に供給する工程;及びループ形状に塑性変形された糸を溶融結合により前記基材に直接的に固定する工程;を含み、これにより、迅速に、大量且つ低コストで、高い係合/剥離強度及び密着度を有する面ファスナー用ループ片を製造することができる。また、本発明の実施形態は、前記方法を実施するための製造装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面ファスナー用ループ片の製造方法、製造装置、及びループ片に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、“面ファスナー(マジックテープ(登録商標)、hook−and−loop type fastener)”と呼ばれる機械式係合装置は、主に、フック構造を有する係合テープ及び該フック構造と係合するループ構造を有するループ片からなり、接離しやすい特性を有するため、衣類、帽子、靴、パーソナルケア製品(例えば、オムツ等)などの分離する二つの部材を分離可能に接着する分野に広汎的に使用されている。
【0003】
近年、使い捨てオムツに対する面ファスナーの技術の応用が、この分野において益々関心を持たれており、関連製品の機能性及び快適性の向上が、この業界において追求されている目標となっている。このため、オムツ製品に使用されてきた従来の接着テープ式面ファスナーは、その係合方式が不便で繰り返し使用ができないため、使用されなくなってきている。これに代わって、繰り返し係合が可能で、赤ちゃんの活動力に満足できる横方向係合力をもつキノコ式面ファスナーが使用されてきている。
【0004】
一般的に、キノコ式射出フックと係合するループ片は、ニットウェア類のものが使用される。しかし、ニットウェアの組織は粗くて、比較的大きな伸縮性を有するため、ニットウェアのループ片とキノコ式射出フックとが係合した後、上下左右方向へのズレが生じることがあり、これによって、密着性が悪くなり、剥離強度が不足してしまった問題が生じてしまう。このような問題を解決するために、緯方向のループの密度及び長さを変化させることにより試みているが、剥離強度の向上が明確に改善される効果が得られなかった。また、ニットウェアの後半加工においては、大部分は、PU塗布及びPVC接着材の2種類により行うが、前者の場合、均一性の制御が難しく、高水圧に耐えられず水溶解性が悪いなどの問題があり、後者の場合、低温脆化してしまう恐れがあり、且つDOP化学物質を含有するため、自然分解しにくく、燃焼のときに環境が汚染されてしまうなどの問題がある。
【0005】
現有のニットウェアのループ片に前記のような問題が存在しているため、面ファスナーのオムツの応用領域において、係合効果がより強く、フックとの係合密度がより高い面ファスナー用ループ片の製造方法、製造装置及びループ片を提供することが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現有の技術に存在していた問題点を解決するためになされたものであって、高い係合性/剥離強度及び高密着度を備える面ファスナー用ループ片を提供することを目的とする。また、低コストで迅速で大量に面ファスナー用ループ片を提供することができる面ファスナー用ループ片の製造方法及び製造装置を提供することを他の目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の第1実施例に係る面ファスナー用ループ片の製造装置を示す概略側面図である。
【図2】図2は、図1に示す面ファスナー用ループ片の製造装置の概略斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施例に係る面ファスナー用ループ片を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施例に係る面ファスナー用ループ片の製造装置を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施例に係る面ファスナー用ループ片の製造装置を示す概略平面図である。
【図6】図6は、図5のA−A線に沿って見た面ファスナー用ループ片の製造装置の概略端面図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施例に係る面ファスナー用ループ片の一部の拡大斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施例における面ファスナー用ループ片の製造装置を示す概略斜視図である。
【図9】図9は、図8に示す面ファスナー用ループ片の製造装置の概略平面図である。
【図10】図10は、図9のA−A’に沿って見た面ファスナー用ループ片の製造装置の概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の第4実施例における面ファスナー用ループ片の製造装置を示す概略斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す面ファスナー用ループ片の製造装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態として、面ファスナー用ループ片の製造方法を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造方法は、所定の配列方式で複数の糸を連続的に供給する工程;所望のループ形状となるように糸を塑性変形させる工程;基材を連続的に供給する工程;ループ形状に塑性変形した糸を溶融結合により前記基材に直接固定する工程;を含む。
【0009】
前記所望のループ形状となるように糸を塑性変形させる工程としては、一対のループ形成デバイスにより糸を塑性変形させることを含み、前記ループ形成デバイスとしては、外周面を有し、回転可能な雄型ロールと、外周面を有し、回転可能な雌型ロールであって、前記雄型ロールの外周面と回転的に接触可能な雌型ロールとを有し、雄型ロールの外周面に複数本の縦長いリブと、雌型ロールの外周面に、それと対応するように複数本の縦長い溝とが形成され、雄型ロールと雌型ロールとが接触すると、前記リブが前記溝に収容されることが好ましい。前記雄型ロールの外周面としては、前記糸を軟化することができ、且つ前記糸を塑性変形することができる温度で加熱することが好ましい。
【0010】
前記複数の糸を連続的に供給する工程としては、糸を前記ループ形成デバイス間に送り、前記糸が雄型ロールと雌型ロールとの間を通過して、雄型ロールのリブにより雌型ロールの対応溝に圧入され、前記糸が塑性変形されてループ形状を有するように前記糸を連続的に供給することを含むことが好ましい。前記糸を基材に固定する工程としては、熱圧ロール又は超音波ロールにより行われることが好ましい。前記基材としては、不織布を含むことが好ましい。前記糸としては、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane,TPU)の少なくともいずれかの材料を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る面ファスナー用ループ片の製造方法を実施するために、本発明は、面ファスナー用ループ片の製造装置を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造装置は、外周面を有し、回転可能な雄型ロールと、外周面を有し、回転可能な雌型ロールであって、雄型ロールの外周面と回転しながら接触可能な雌型ロールとを備え、雄型ロールの外周面に複数本の縦長いリブと、雌型ロールの外周面に前記リブと対応する複数本の縦長い溝とが形成され、雄型ロールと雌型ロールとが接触すると、前記リブが前記溝に収容されるループ形成デバイス;雄型ロール及び雌型ロールのいずれかの回転方向の上流側に配置され、所定の配列方式で複数の糸を前記雄型ロールと雌型ロールとの間に供給し、前記糸が雄型ロールと雌型ロールとの間を通過したとき、雄型ロールのリブにより雌型ロール上の対応溝に前記糸が圧入され、前記糸が塑性変形されてループ形状となる糸供給デバイス;前記雌型ロールの回転方向の下流側に設けられ、且つ前記雌型ロールの外周面との間に間隔を有するように配置され、そして糸を溶融可能なエネルギーを提供するループ固定デバイス;雌型ロールの回転方向の下流側に配置され、且つ雌型ロールの外周面との間に間隔を有するように雌型ロールと対向して配置され、前記糸に溶融可能なエネルギーを供給するループ固定デバイス;網目状の基材が、雌型ロールの外周面と前記ループ固定デバイスとの間に形成された間隔を通過するよう連続的に供給する基材供給デバイスであって、前記基材が前記間隔を通過したとき、前記雌型ロールの外周面にて塑性変形された糸の一部が前記ループ固定デバイスによるエネルギーにより溶融されて前記基材と結合することで、塑性変形された糸を前記基材に固定することにより、面ファスナー用ループ片を形成する基材供給デバイス;を有する。
【0012】
前記雄型ロールの外周面としては、前記糸を軟化することができ、且つ前記糸を塑性変形することができる温度で加熱することが好ましい。前記ループ固定デバイスとしては、熱圧ロール又は超音波ロールにより行われることが好ましい。
【0013】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態として、面ファスナー用ループ片の製造方法を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造方法は、製作テーブルの機械方向に網目状の基材を連続的に供給する工程;複数の波状の糸を、前記製作テーブル上の基材に、水平軸線に対して山部と谷部とを有するように供給する工程;各波状の糸の水平軸線に沿って溶融結合処理を行い、これらの糸を前記基材に直接固定して、各波状の糸における山部と谷部とが前記基材に起立することで、面ファスナー用ループ片のループを形成する工程;を含む。
【0014】
本発明の第2の実施形態に係る面ファスナー用ループ片の製造方法を実施するために、本発明は、面ファスナー用ループ片の製造装置を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造装置は、製作テーブル;前記製作テーブルの機械方向に網目状の基材を連続的に供給する基材供給デバイス;複数の波状の糸を、前記製作テーブル上の基材に、水平軸線に対して山部と谷部とを有するように供給する糸供給デバイス;前記糸を載せた前記基材が、前記製作テーブルとの間を通過できるように該製作テーブルと対向して設置され、エネルギー発生手段と該エネルギー発生手段と結合する複数の作用部分とを有し、前記糸を載せた前記基材が前記製作テーブルとの間に送って通過すると、前記複数の作用部分が波状の糸の水平軸線に沿って、前記糸を加圧して、且つ前記糸にエネルギーを与えることにより、前記糸を基材に溶融結合させて、波状の糸の山部と谷部とが基材に起立することで、ループを形成するループ形成固定デバイス;ループが形成された基材を、前記製作テーブルから離れるように送り出す送り出しロール;を有する。
【0015】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態として、面ファスナー用ループ片の製造方法を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造方法は、正面と、背面と、多数の貫通孔であって、前記正面から前記背面まで貫通し、アレイ状に設置された貫通孔とを有する網目状の基材を機械方向に供給する工程;糸の数が前記基材の貫通孔の行の数に対応し、且つ糸のそれぞれが一つの貫通孔の行と位置合わせするように、前記基材の背面に複数の糸を連続的に供給する工程;前記基材の背面に平らに配置された各糸の一部が、これらの貫通孔を通じて前記基材を通過して、ループが形成できるように該基材の正面から離れた距離までに達するように促進される工程;基材の背面に位置し、且つ隣接する貫通孔間の間隔に置かれた前記糸の一部を溶融加圧することにより、前記糸の一部を前記基材に接着させたことによって、前記ループを前記基材に固定する、糸を基材に固定する工程;を含み、前記アレイは、前記機械方向に位置する貫通孔の行と、前記機械方向と垂直方向に位置する貫通孔の列とを備え、前記同一の行における隣接する貫通孔の間に間隔を有する。
【0016】
前記糸が基材を通過することが促進される工程としては、前記基材の正面から吸引力を提供することにより実施されることが好ましい。前記吸引力としては、前記基材の貫通孔と対応する複数の凹部を有する真空装置により提供されることが好ましい。前記凹部としては、前記基材の貫通孔と対応する複数の穴を含むことが好ましい。前記凹部としては、前記基材の貫通孔と対応し、且つ機械方向に延伸する複数の溝を有し、それぞれの溝が前記基材の貫通孔の1つの行と対応することが好ましい。前記基材の背面に位置し、且つ隣接する貫通孔間の間隔に置かれた糸の一部としては、熱エネルギー又は高周波エネルギーにより溶融されることが好ましく、前記高周波エネルギーとしては、超音波エネルギーが好ましい。
【0017】
本発明の第3の実施形態に係る面ファスナー用ループ片の製造方法を実施するために、本発明は、面ファスナー用ループ片の製造装置を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造装置は、平坦な上表面に設置され、且つ機械方向に沿って複数の行として配置される複数のループ形成凹部と、前記複数のループ形成凹部と流体的に連通してこれらの凹部内で真空状態を間歇的に形成するための真空ポンプとを有するループ形成デバイス;前記ループ形成デバイスの前記上表面に対して、網目状の基材を連続的に供給する基材供給デバイスであって、前記基材が、前記ループ形成デバイスの前記上表面と対向する正面と、これと反対する背面と、複数の貫通孔であって、前記ループ形成デバイスの凹部の行と対応する行であり、且つ隣接する二つの貫通孔間に間隔を有するように配置された貫通孔とを有する基材供給デバイス;糸の数が前記基材における貫通孔の行の数と対応し、且つそれぞれの糸がそれぞれの貫通孔の行と位置合わせすることによって、前記ループ形成デバイスの凹部内を真空にしたとき、それぞれの糸における前記複数の貫通孔上に位置した部分が、これらの貫通孔を通じて、対応するループ形成凹部に吸入され、該基材の正面にループを形成するように、前記基材の背面に複数の糸を供給する糸供給デバイス;基材の背面に位置し、且つ隣接する貫通孔間の間隔に置かれた糸の一部を溶融加圧することにより、前記糸の一部を前記基材に接着させて形成されたループを前記基材に固定するループ固定デバイス;を有する。
【0018】
前記ループ形成凹部としては、アレイ状に配置される複数の穴であり、該アレイが機械方向に位置する穴の行と、該機械方向と直交する方向に位置する穴の列とを有し、前記穴の行の数が前記穴の行の数と対応し、且つ、同一の行における二つの隣接する穴が、貫通孔間の間隔と同じ間隔で設置されることが好ましい。或いは、前記ループ形成凹部としては、前記機械方向に延伸する複数のループ形成溝であり、これらの溝の数が凹部行の数と対応してもよい。前記ループ固定デバイスとしては、上ロールと下ロールとを備え、その上にループを形成した網目状の基材が該二つのロールの間を通過できるように回転可能に設置されており、前記上ロールが実質的に前記糸の溶融温度と同じ、又はそれより高い温度に加熱可能であることが好ましく、前記上ロールとしては、糸を溶融可能な高周波エネルギーを施すことができるように構成することが好ましく、前記高周波エネルギーとしては、超音波エネルギーが好ましい。
【0019】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態として、面ファスナー用ループ片の製造方法を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造方法は、正面及び背面を有する網目状の基材を、機械方向へ連続的に供給する工程;前記基材の正面にループと、前記基材の背面にステッチとが形成されるように、糸を前記基材の背面から正面へ織り込む工程;前記基材の背面に形成された前記ステッチを溶融加圧することにより、前記糸を前記基材に接着させる、前記ループを基材に固定する工程;を含む。
【0020】
前記糸を基材に織り込む工程としては、糸が供給された複数の織り針により実施する工程であり、前記複数の織り針が、前記基材の背面に設けられ、且つ所定の配列に配置されることが好ましい。前記ループを基材に固定させる工程としては、ループ固定デバイスにより実施するものであり、前記ループ固定デバイスが、前記糸のステッチを溶融するように、前記基材の背面に設置された糸のステッチに対して押圧し、熱エネルギー又は高周波エネルギーを施すように構成されることが好ましく、前記高周波エネルギーとしては、超音波エネルギーを含むことが好ましい。
【0021】
本発明の第4の実施形態に係る面ファスナー用ループ片の製造方法を実施するために、本発明は、面ファスナー用ループ片の製造装置を提供する。
前記面ファスナー用ループ片の製造装置は、正面と背面とを有する基材を、機械方向に連続的に供給するように構成される基材供給デバイス;前記基材が通過できるように構成され、前記基材の背面に設けられた複数の織り針を有するループ形成デバイス;前記基材の背面に設置された前記糸のステッチに対して押圧し、熱エネルギー又は高周波エネルギーを施すことにより、前記糸のステッチを溶融させることによって、前記糸を前記基材に接着させて、ループを基材に固定させるループ固定デバイス;を有し、前記複数の各織り針に糸が一本ずつ供給され、前記織り針が、所定の配列に設置され、且つ、該基材が含まれる平面と直交する方向において、前記基材の背面上方の上がり位置と該基材の正面下方の織り込み位置との間を往復運動するようにして、該基材の正面にループと、該基材の背面に前記ステッチとを形成する。
【0022】
前記ループ固定デバイスとしては、前記基材の正面及び背面のいずれか一方に設けられた溶着ブロックと、他方に回転可能に設けられた相対ロールとを有し、前記溶着ブロックが、前記基材を含む平面と直交する方向において、該基材の背面に形成されたステッチ及び該基材と接触し、且つ、それらを前記ロールに押圧する工作位置と前記基材及びステッチから離れる待機位置との間を往復運動することが好ましい。前記面ファスナー用ループ片の製造装置としては、前記ループが形成された基材を機械方向に進行させるように構成される巻取り装置を更に有することが好ましい。
【0023】
前記基材としては、不織布を含むことは好ましく、前記糸としては、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含むことが好ましい。
【0024】
上述した本発明の特徴及び目的は、本願明細書に添付された図面により、より明確に理解することができる。
【実施例】
【0025】
以下、図面に示す好ましい実施例を参照して、本発明の面ファスナー用ループ片の製造装置及びその製造方法、並びにループ片について、詳細に説明する。
【0026】
<第1実施例>
図1は、本発明の第1実施例における面ファスナー用ループ片の製造装置10を示す概略側面図である。
図2は、面ファスナー用ループ片の製造装置10の概略斜視図である。
図3は、本発明の第1実施例により製造された面ファスナー用ループ片を示す概略斜視図である。
【0027】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の面ファスナー用ループ片の製造装置を説明する。図1及び図2に示されるように、本発明の面ファスナー用ループ片の製造装置10は、主に糸供給デバイス11と、基材供給デバイス12と、ループ形成デバイス13と、ループ固定デバイス14と、巻き出しデバイス15とを有する。
【0028】
図1及び図2に示された実施例では、ループ形成デバイス13は、回転可能な雄型ロール13aと、回転可能な雌型ロール13bとを有する。雄型ロール13aの外周面には、等間隔で設けられた縦長いリブ13a1が複数形成され、雌型ロール13bの外周面には、等間隔で設けられた縦長い溝13b1が複数形成され、隣接する溝13b1の間に突出部13b2が形成される。図1及び図2に示されるように、雄型ロール13aと雌型ロール13bの両ロールの回転軸が、ほぼ同一水平面上に配置され、且つ雄型ロール13aと雌型ロール13bが、回転しながら接触可能となるように配置されており、雄型ロール13aと雌型ロール13bとが接触すると、雄型ロール13aのリブ13a1が雌型ロール13bの溝13b1に圧入される。また、雄型ロール13aの外周面は、糸を軟化することができ、且つ前記糸を塑性変形することができる温度で加熱される。また、前記糸供給デバイス11は、雌型ロール13bの回転方向(図1及び図2の矢印に示す方向)の上流側に設けられ、複数の糸20を雄型ロール13aと雌型ロール13bとの間に送り入れる。
【0029】
この実施例では、ループ固定デバイス14は、雌型ロール13bの下流側に設けられた熱圧ロール14である。熱圧ロール14の外周面と雌型ロール13bの外周面との間に小さな間隔が形成される。また、熱圧ロール14の外周面は、糸を溶融できる温度に加熱される。この実施例では、基材供給デバイス12は、基材30を熱圧ロール14と雌型ロール13bとの間の間隔を通過するように送るための一対の基材供給ロール12a、12bを有する。基材30は不織布である。巻き出しデバイス15は、基材30の搬送方向の下流側に設けられ、熱圧ロール14と雌型ロール13bとの間の間隔を通過した基材を巻き出すためのデバイスである。
【0030】
次に、図1及び図2を参照して本発明の面ファスナー用ループ片の製造方法を説明する。
【0031】
まず、糸供給デバイス11により、複数の糸20を所定の配列方式(例えば、この実施例では、糸20が互いに平行する配列方式)にて雄型ロール13aと雌型ロール13bとの間に送る。続いて、糸20を雄型ロール13aの外周面の温度により軟化させて、雄型ロール13aと雌型ロール13bとの回転押圧により雄型ロール13aの外周面のリブ13a1が雌型ロール13bの外周面の溝13b1に圧入され、糸20がループ形状となるように塑性変形して雌型ロール13bの外周面に附着される。
【0032】
次に、雌型ロール13bの外周面に附着し、且つループ形状に形成された糸20が雌型ロール13bの回転に伴って、基材供給ロール12a、12bによる搬送で前記熱圧ロール14と雌型ロール13bとの間の間隔に送られた基材30(即ち、不織布)と一緒に該間隔を通過する。このとき、雌型ロール13bの外周面の突出部13b2に附着した糸20が熱圧ロール14表面の高温により溶融されて、熱圧ロール14の押圧により基材30と結合し、ループ形状の糸20が基材30に固定される。最後に、巻き出しロール15a、15bによる引っ張りによって、基材30に固定されたループ形状の糸20が雌型ロール13bの溝13b1から離脱して、その上に多数のループ20’を形成した図3に示す面ファスナー用ループ40が構成される。
【0033】
<第2実施例>
次に、図4〜図7を参照して、本発明の第2実施例に係る面ファスナー用ループ片の製造装置100を説明する。
図4は、面ファスナー用ループ片の製造装置100の概略斜視図である。
図5は、面ファスナー用ループ片の製造装置100の概略平面図である。
図6は、図5のA−A線に沿って見た面ファスナー用ループ片の製造装置100の概略端面拡大図である。
図7は、本発明の第2実施例により製造された面ファスナー用ループ片の一部の拡大斜視図である。
【0034】
図4に示されるように、面ファスナー用ループ片の製造装置100は、主に製作テーブル101と、基材供給デバイス120と、糸供給デバイス110と、ループ形成固定デバイス130と、送り出しロール140とを有する。
【0035】
この実施例では、基材供給デバイス120は、網目状の基材30を製作テーブル101に供給するための基材供給ロール120である。糸供給デバイス110は、複数の波状の糸20を、製作テーブル101上の基材30に、水平軸線Sに対して山部21と谷部22とを有するように供給するデバイスである。
【0036】
この実施例では、ループ形成固定デバイス130は、外周面を有し、回転可能なロール構成であり、前記外周面が製作テーブル101と対向するロール構造と、作用部分として前記外周面に形成された複数のリング状凸歯部とが形成され、隣接するリング状凸歯部131間に傾斜凹部132が形成される。ループ形成固定デバイス130は、超音波発生器、加熱器等のエネルギー発生手段(図示せず)と、前記エネルギー発生手段に結合する複数のリング状凸歯部131とを有する。ループ形成固定デバイス130は、複数の波状の糸20を載せた基材30が製作テーブル101との間を通過できるよう、製作テーブル101と対向して設置される。複数の波状の糸20を載せた基材30が、ループ形成固定デバイス130と製作テーブル101との間を通過すると、複数のリング状凸歯部131が、基材30上にある複数の波状の糸20を加圧して、超音波エネルギー又は熱エネルギーを与えることにより、複数の波状の糸20を基材30に溶融結合させる。図4に示されるように、複数の波状の糸20は、機械方向Dに沿って通過する。複数のリング状凸歯部131の数は、複数の波状の糸20の数と対応し、複数のリング状凸歯部131の設置位置は、複数の波状の糸20の水平軸線Sに対応する。送り出しロール140は、製作テーブル101の基材搬送方向Dの下流側に設けられ、処理された基材30を製作テーブル101から送り出すためのものである。
【0037】
次に、本願発明の第2の実施例に係る面ファスナーの製造方法について、説明する。
【0038】
まず、基材供給デバイス120により、基材30を製作テーブル101に供給する。この実施例で、基材30としては、不織布が好ましい。そして、糸供給デバイス110により、複数の波状の糸20を、製作テーブル101上の基材30に供給する。この実施例では、複数の波状の糸20としては、不織布と溶融結合可能な糸、例えば、ホットメルト糸、ナイロン、熱可塑性ポリウレタン、これらの類のものが好ましい。続いて、複数の波状の糸20を載せた基材30を、ループ形成固定デバイス130の外周面と前記製作テーブル101との間を通過させると同時に、複数の糸20の水平軸線Sに沿って、ループ形成固定デバイス130における複数のリング状凸歯部131が、回転しながら接触して対応する複数の糸20を押圧し、超音波エネルギー又は熱エネルギーを与えて、複数の糸20を基材30に溶融固定させる。また、複数の波状の糸20が押圧固定されるとともに、図6に示されるように、複数の波状の糸20における山部21と谷部22とが、リング状凸歯部131の斜面に従って起立し、図7に示すループ20’が形成される。そして、その上に複数のループ20’が形成された基材30が、送り出しロール140から送り出されて、面ファスナー用ループ40’となる。
【0039】
<第3実施例>
次に、図8〜図10を参照して、本発明の第3実施例に係る面ファスナー用ループ片の製造装置200について説明する。
図8は、面ファスナー用ループ片の製造装置200の斜視図である。
図9は、図8に示された面ファスナー用ループ片の製造装置200の概略平面図である。
図10は、図9のA−A’線に沿って見た面ファスナー用ループ片の製造装置200の概略断面図である。
【0040】
図8〜図10に示されるように、面ファスナー用ループ片の製造装置200は、主としてループ形成デバイス210と、基材供給デバイス220と、糸供給デバイス230と、ループ固定デバイス240とを有する。
【0041】
この実施例では、図9及び図10に示されるように、ループ形成デバイス210は、真空吸引装置であり、平坦な上表面と該上表面に形成された複数の空気通路214とを有するヘッド部212と、機械方向において列となり、且つ空気通路214と連通するように配置され、前記平坦な上表面に設置されるループ形成凹部216と、ヘッド部212に接続し、且つ複数の空気通路214と連通する真空ポンプ218とを有する。ループ形成凹部216は、アレイ状に配置される複数の穴であり、前記アレイは、機械方向に位置する穴の行と、機械方向と直交する方向に位置する穴の列とを有し、前記穴の行の数が前記穴の行の数と対応し、且つ、同一の行における二つの隣接する穴が、間隔pと同じ間隔で設置されることが好ましい。或いは、ループ形成凹部216は、機械方向Dに延伸する複数のループ形成溝(図示せず)であり、これらの溝の数が、凹部の行の数と対応してもよい。
【0042】
基材供給デバイス220は、基材供給ロールであり、機械方向においてループ形成デバイス210の上流側に設けられ、ループ形成デバイス210の平坦な上表面に網目状の基材30’を連続的に供給する。基材30’は、ループ形成デバイス210の上表面と対向する正面と、これと反対する背面と、複数の貫通孔31とを有し、貫通孔31は、前記ループ形成デバイス210の凹部216と対応するように基材30’に配置されている。例えば、複数の貫通孔31は、アレイ状に配置されることが可能であり、前記アレイは、前記機械方向Dにある貫通孔の行と、前記機械方向Dと垂直な方向にある貫通孔の行とを備え、そして、貫通孔の行の数が、ループ形成凹部216の行の数と対応し、又は機械方向に延伸するループ形成溝の数と対応し、且つ隣接する二つの貫通孔31との間に間隔Pを有する。基材30’は、不織布であってもよい。
【0043】
糸供給デバイス230は、ループ形成デバイス210の上流側に設けられ、図9に示されるように、機械方向Dにおいて、複数の糸20を、ループ形成デバイス210の上表面に位置した基材30’に供給するためのものであり、糸20の数が貫通孔31の列の数と対応し、且つ各糸20と貫通孔31の列と対応している。糸20は、不織布と溶融結合可能な材料、例えば、ホットメルト糸、ナイロン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はこれらの類のものが好ましい。ループ固定デバイス240は、ループ形成デバイス210の下流側に設けられ、上ロール241と下ロール242とを有し、その上に複数の糸20を載せた基材30’が、これらのロール間を通過することができるように回転自在に設置されている。上ロール241は、実質的に糸20の溶融温度と等しい温度又はそれより高い温度に加熱される。或いは、上ロール241は、糸20を溶融できる高周波エネルギー、例えば、超音波エネルギーを施すことができるように構成されている。上ロール241と下ロール242とは、巻き取り装置として、基材30’を機械方向に進行させるよう機能する。
【0044】
操作に際しては、まず、基材供給デバイス220により、基材30’の正面がループ形成デバイス210の上表面と接するように、基材30’を供給し、且つ貫通孔31の列が、ループ形成凹部216の列と位置合わせするように、基材30’を供給する。そして、糸供給デバイス230にて、基材30’の背面に複数の糸20を供給する。そして、ループ形成デバイス210のループ形成凹部216を真空状態にして、ループ形成凹部216に貫通孔を通じて糸20を吸入させ、基材30’の正面にループを形成させる。続いて、ループが形成された基材30’が、上ロール241と下ロール242との間を通過し、基材30’上の糸を、上ロール241により加圧させて溶融し、基材30’上に溶融接着させて、ループを基材30’に固定させることにより、面ファスナー用ループ片を形成する。
【0045】
<第4実施例>
次に、図11及び図12を参照して、本発明の第4実施例に係る面ファスナー用ループ片の製造装置300を説明する。
図11は、面ファスナー用ループ片の製造装置300の斜視図である。
図12は、図11に示された面ファスナー用ループ片の製造装置300の概略側面図である。
【0046】
図11及び図12に示されるように、面ファスナー用ループ片の製造装置300は、主として基材供給デバイス310と、糸供給デバイス320と、ループ形成デバイス330と、ループ固定デバイス340と、一対の巻取りロール350とを有する。
【0047】
基材供給デバイス310は、機械方向Dにおいて基材30を連続的に供給する一対の基材供給ロール311、312を有する。基材30は、正面と背面とを有し、正面が下に、背面が上に向けるように供給される。基材30は、不織布であることが好ましい。ループ形成デバイス330は、複数の織り針331を有する。これらの織り針331は、機械方向Dと直交する方向において織り針行となるように配列され、それぞれの織り針の先端に、基材供給デバイス310から供給された糸20が供給される。糸20は、不織布と溶融結合可能な糸、例えば、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料により製造されることが好ましい。これらの織り針331により、基材30が含まれる平面と直交する方向において、基材30の背面上方の上がり位置と基材30の正面下方の織り込み位置との間を往復運動するようにして、基材30の正面にループ201を、基材30の背面にステッチ202とが形成される。これらの織り針331は、他の配列方式を採用してもよい。例えば、これらの織り針331は、二つの織り針行に配列され、織り針行のいずれか一方における織り針の位置が、他方の行における織り針の位置と互いにずれるようにしてもよい。
【0048】
ループ固定デバイス340は、機械方向Dにおいて、ループ形成デバイス330の下流側に設けられ、基材30の正面に設けられた溶着ブロック341と、溶着ブロック341と対向し、回転可能に設けられた相対ロール341とを有する。溶着ブロック341は、基材30を含む平面と直交する方向において、基材30と接触し、且つ基材30とその上にあるステッチとを相対ロール342に押圧する工作位置と、基材30及びステッチから離れる待機位置との間を往復運動する。溶着ブロック341は、高周波発生器(図示せず)、例えば、超音波発生器に接続されており、前記工作位置にあったとき、基材30とその上にあるステッチに対して高周波エネルギーを施す。或いは、溶着ブロック341が加熱器(図示せず)に接続されていて、溶着ブロック341を、糸20の溶融温度と等しく、若しくは、それより高い温度に加熱するようにされている。巻取りロール350は、ループ固定デバイス340の下流側に設けられ、その上にループが形成された基材30を、前記機械方向Dに前進させるものである。
【0049】
操作に際して、基材供給デバイス310にて、ループ形成デバイス330の織り針331の下を基材30が通過するように連続的に供給すると同時に、織り針331を、基材30が位置する平面と直行する方向において、前記上がり位置と織り込み位置との間を往復運動することにより、基材30の正面にループ201が、基材30の背面にステッチ202が形成される。続いて、ループ201及びステッチ202が形成された基材30を、ループ固定デバイス340における相対ロール341と溶着ロール342との間を通過させる。通過と同時に、溶着ブロック341を制御して溶着ブロック341を待機位置から工作位置に移動させて、基材30及びステッチ202を相対ロール342に押圧する。押圧と同時に、溶着ブロック341により基材30及びステッチ202に対して、高周波エネルギー、例えば、超音波又は熱エネルギーを施すことで、ステッチ202を溶融させて基材と溶着させて、ループ201を基材30に固定する。ループの密度は、織り針331の往復運動の速度調整及び/又は溶着ブロックの往復運動に伴う基材30の供給速度の調整により適切に変更できることが好ましい。
【0050】
本発明は、従来のように糸(経糸、緯糸)を交錯固定することでニットウェアのループ片を形成するものではなく、ループ状の糸を不織布の基材に直接溶融結合することで、ループを形成したループ片となるように構成されたものであるため、従来のものと比較して、糸抜き、織り込みなどの工程を行う必要なく、製造コストを低減でき、また、ループの高さ、密度、及び配列方式を有効に制御することにより、係合テープと結合する密着度、剥離強度などを有効に高めることができる。
【0051】
本発明は、従来のニットウェアにおけるループ片の技術思想と異なり、従来のニットウェアによるループ片に存在していた欠点を克服でき、従来の技術よりも有利な効果を奏することができるため、本発明は、明らかに産業上の利用性を有する斬新な発明である。本発明の面ファスナー用ループ片の製造方法、製造装置及びループ片については、図面に示す好ましい実施例により説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、本発明の技術思想を超えない範囲で、各種の変更することができる。例えば、第1実施例において熱圧ロールを使用したが、超音波ロールを使用してもよい。また、第1実施例において糸の配列方式は、平行であるが、他の形態の配列方式でもよい。また、第1実施例のループ形状は、異なる形状のリブ及び溝を使用することで変化させてもよい。
【0052】
本発明は、本願請求項において定義された本発明の技術思想を超えない範囲で、本願明細書で開示された構造を各種変更したものを本発明の範囲に含めることができる。したがって、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の目的は、このような各種変更を本発明の技術思想の範囲として、含めることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 面ファスナー用ループ片の製造装置
11 糸供給デバイス
12 基材供給デバイス
12a 基材供給ロール
12b 基材供給ロール
13 ループ形成デバイス
13a 雄型ロール
13b 雌型ロール
13a1 リブ
13b1 溝
13b2 突出部
14 ループ固定デバイス
15 巻き出しデバイス
15a 巻き出しロール
15a 巻き出しロール
20 糸
20’ ループ
21 山部
22 谷部
30 基材
40 面ファスナー用ループ
40’ 面ファスナー用ループ
100 面ファスナー用ループ片の製造装置
101 製作テーブル
110 糸供給デバイス
120 基材供給デバイス
130 ループ形成固定デバイス
131 リング状凸歯部
132 凹部
140 送り出しロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を有し、回転可能な雄型ロールと、外周面を有し、回転可能な雌型ロールであって、雄型ロールの外周面と回転しながら接触可能な雌型ロールとを備え、雄型ロールの外周面に複数本の縦長いリブと、雌型ロールの外周面に前記リブと対応する複数本の縦長い溝とが形成され、雄型ロールと雌型ロールとが接触すると、前記リブが前記溝に収容されるループ形成デバイスと、
雄型ロール及び雌型ロールのいずれかの回転方向の上流側に配置され、所定の配列方式で複数の糸を雄型ロールと雌型ロールとの間に供給し、前記糸が雄型ロールと雌型ロールとの間を通過したとき、雄型ロールのリブにより雌型ロール上の対応溝に前記糸が圧入され、前記糸が塑性変形されてループ形状となる糸供給デバイスと、
雌型ロールの回転方向の下流側に配置され、且つ雌型ロールの外周面との間に間隔を有するように雌型ロールと対向して配置され、前記糸に溶融可能なエネルギーを供給するループ固定デバイスと、
網目状の基材が、雌型ロールの外周面と前記ループ固定デバイスとの間に形成された間隔を通過するよう連続的に供給する基材供給デバイスであって、前記基材が前記間隔を通過したとき、前記雌型ロールの外周面にて塑性変形された糸の一部が前記ループ固定デバイスによるエネルギーにより溶融されて前記基材と結合することで、塑性変形された糸を前記基材に固定することにより、面ファスナー用ループ片を形成する基材供給デバイスと
を有することを特徴とする面ファスナー用ループ片(hook−and−loop ファスナー)の製造装置。
【請求項2】
ループ固定デバイスが、熱圧ロールを有する請求項1に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項3】
ループ固定デバイスが、超音波ロールを有する請求項1に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項4】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含む請求項1に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項5】
雄型ロールと雌型ロールとの間から、面ファスナー用ループ片を巻き出すために配置された巻き出しデバイスを更に有する請求項1に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項6】
糸を軟化することができ、且つ前記糸を塑性変形することができる温度で、雄型ロールの外周面を加熱する請求項1に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項7】
所定の配列方式で複数の糸を連続的に供給する工程と、
所望のループ形状となるように糸を塑性変形させる工程と、
基材を連続的に供給する工程と、
ループ形状に塑性変形した糸を溶融結合により前記基材に直接固定する工程と
を含むことを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項8】
所望のループ形状となるように糸を塑性変形させる工程が、一対のループ形成デバイスにより糸を塑性変形させることを含む請求項7に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項9】
ループ形成デバイスが、外周面を有し、回転可能な雄型ロールと、外周面を有し、回転可能な雌型ロールであって、前記雄型ロールの外周面と回転的に接触可能な雌型ロールとを有し、
雄型ロールの外周面に複数本の縦長いリブと、雌型ロールの外周面に、それと対応するように複数本の縦長い溝とが形成され、雄型ロールと雌型ロールとが接触すると前記リブが前記溝に収容される請求項8に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項10】
複数の糸を連続的に供給する工程が、糸をループ形成デバイス間に送り、前記糸が雄型ロールと雌型ロールとの間を通過して、雄型ロールのリブにより雌型ロールの対応溝に圧入され、前記糸が塑性変形されてループ形状を有するように前記糸を連続的に供給することを含む請求項9に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項11】
糸を基材に固定する工程が、熱圧ロール又は超音波ロールにより行われる請求項7に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項12】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含む請求項7に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項13】
糸を軟化することができ、且つ前記糸を塑性変形することができる温度で、雄型ロールの外周面を加熱する請求項9に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項14】
請求項7から13のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする面ファスナー用ループ片。
【請求項15】
製作テーブルと、
前記製作テーブルの機械方向に網目状の基材を連続的に供給する基材供給デバイスと、
複数の波状の糸を、前記製作テーブル上の基材に、水平軸線に対して山部と谷部とを有するように供給する糸供給デバイスと、
前記糸を載せた前記基材が、前記製作テーブルとの間を通過できるように該製作テーブルと対向して設置され、エネルギー発生手段と該エネルギー発生手段と結合する複数の作用部分とを有し、前記糸を載せた前記基材が前記製作テーブルとの間に送って通過すると、前記複数の作用部分が波状の糸の水平軸線に沿って、前記糸を加圧して、且つ前記糸にエネルギーを与えることにより、前記糸を基材に溶融結合させて、波状の糸の山部と谷部とが基材に起立することで、ループを形成するループ形成固定デバイスと、
ループが形成された基材を、前記製作テーブルから離れるように送り出す送り出しロールと
を有することを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項16】
ループ形成固定デバイスが、外周面を有し、回転可能なロール構造であって、前記外周面が製作テーブルと対向するロール構造と、作用部分として前記外周面に形成された複数のリング状凸歯部とを有する請求項15に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項17】
エネルギー発生手段が、超音波発生器又は加熱器を有する請求項15に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項18】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含む請求項15に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項19】
製作テーブルの機械方向に網目状の基材を連続的に供給する工程と、
複数の波状の糸を、前記製作テーブル上の基材に、水平軸線に対して山部と谷部とを有するように供給する工程と、
各波状の糸の水平軸線に沿って溶融結合処理を行い、これらの糸を前記基材に直接固定して、各波状の糸における山部と谷部とが基材に起立することで、面ファスナー用ループ片のループを形成する工程と、
を含むことを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項20】
溶融結合処理が、超音波エネルギー又は熱エネルギーにより行われる請求項19に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項21】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含む請求項19に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項22】
請求項19から21のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする面ファスナー用ループ片。
【請求項23】
平坦な上表面に設置され、且つ機械方向に沿って複数の行として配置される複数のループ形成凹部と、前記複数のループ形成凹部と流体的に連通してこれらの凹部内で真空状態を間歇的に形成するための真空ポンプとを有するループ形成デバイスと、
前記ループ形成デバイスの前記上表面に対して、網目状の基材を連続的に供給する基材供給デバイスであって、前記基材が、前記ループ形成デバイスの前記上表面と対向する正面と、これと反対する背面と、複数の貫通孔であって、前記ループ形成デバイスの凹部の行と対応する行であり、且つ隣接する二つの貫通孔間に間隔を有するように配置された貫通孔とを有する基材供給デバイスと、
糸の数が前記基材における貫通孔の行の数と対応し、且つそれぞれの糸がそれぞれの貫通孔の行と位置合わせすることによって、前記ループ形成デバイスの凹部内を真空にしたとき、それぞれの糸における前記複数の貫通孔上に位置した部分が、これらの貫通孔を通じて、対応するループ形成凹部に吸入され、該基材の正面にループを形成するように、前記基材の背面に複数の糸を供給する糸供給デバイスと、
基材の背面に位置し、且つ隣接する貫通孔間の間隔に置かれた糸の一部を溶融加圧することにより、前記糸の一部を前記基材に接着させて形成されたループを前記基材に固定するループ固定デバイスと、
を有することを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項24】
ループ形成凹部が、アレイ状に配置される複数の穴であり、該アレイが機械方向に位置する穴の行と、該機械方向と直交する方向に位置する穴の列とを有し、前記穴の行の数が前記穴の行の数と対応し、且つ、同一の行における二つの隣接する穴が、貫通孔間の間隔と同じ間隔で設置された請求項23に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項25】
ループ形成凹部が、機械方向に延伸する複数のループ形成溝であり、これらの溝の数が凹部の行の数と対応する請求項23に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項26】
ループ固定デバイスが、上ロールと下ロールとを備え、その上にループを形成した網目状の基材が該二つのロールの間を通過できるように回転可能に設置されており、前記上ロールが実質的に前記糸の溶融温度と同じ、又はそれより高い温度に加熱可能である請求項23に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項27】
上ロールが、糸を溶融可能な高周波エネルギーを施すことができるように構成され、
高周波エネルギーが、超音波エネルギーである請求項26に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項28】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含む請求項23に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項29】
正面と、背面と、多数の貫通孔であって、前記正面から前記背面まで貫通し、アレイ状に設置された貫通孔とを有する網目状の基材を機械方向に供給する工程と、
糸の数が前記基材の貫通孔の行の数に対応し、且つ糸のそれぞれが一つの貫通孔の行と位置合わせするように、前記基材の背面に複数の糸を連続的に供給する工程と、
前記基材の背面に平らに配置された各糸の一部が、これらの貫通孔を通じて前記基材を通過して、ループが形成できるように該基材の正面から離れた距離までに達するように促進される工程と、
基材の背面に位置し、且つ隣接する貫通孔間の間隔に置かれた前記糸の一部を溶融加圧することにより、前記糸の一部を前記基材に接着させたことによって、前記ループを前記基材に固定する、糸を基材に固定する工程とを含み、
前記アレイは、前記機械方向に位置する貫通孔の行と、前記機械方向と垂直方向に位置する貫通孔の列とを備え、前記同一の行における隣接する貫通孔の間に間隔を有するように配置されたことを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項30】
糸が基材を通過することが促進される工程が、前記基材の正面から吸引力を提供することにより実施される請求項29に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項31】
吸引力が、前記基材の貫通孔と対応する複数の凹部を有する真空装置により提供される請求項30に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項32】
凹部が、基材の貫通孔と対応する複数の穴を含む請求項31に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項33】
凹部が、基材の貫通孔と対応し、且つ機械方向に延伸する複数の溝を有し、それぞれの溝が前記基材の貫通孔の1つの行と対応する請求項31に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項34】
基材の背面に位置し、且つ隣接する貫通孔間の間隔に置かれた糸の一部が、熱エネルギー又は高周波エネルギーにより溶融され、
前記高周波エネルギーが、超音波エネルギーである請求項29に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項35】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかを含む請求項29に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項36】
正面と背面とを有する基材を、機械方向に連続的に供給するように構成される基材供給デバイスと、
前記基材が通過できるように構成され、前記基材の背面に設けられた複数の織り針を有するループ形成デバイスと、
前記基材の背面に設置された前記糸のステッチに対して押圧し、熱エネルギー又は高周波エネルギーを施すことにより、前記糸のステッチを溶融させることによって、前記糸を前記基材に接着させて、ループを基材に固定させるループ固定デバイスと
を有し、
前記複数の各織り針に糸が一本ずつ供給され、
前記織り針が、所定の配列に設置され、且つ、該基材が含まれる平面と直交する方向において、前記基材の背面上方の上がり位置と該基材の正面下方の織り込み位置との間を往復運動するようにして、該基材の正面にループと、該基材の背面に前記ステッチとを形成することを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項37】
ループ固定デバイスが、前記基材の正面及び背面のいずれか一方に設けられた溶着ブロックと、他方に回転可能に設けられた相対ロールとを有し、
前記溶着ブロックが、前記基材を含む平面と直交する方向において、該基材の背面に形成されたステッチ及び該基材と接触し、且つ、それらを前記ロールに押圧する工作位置と前記基材及びステッチから離れる待機位置との間を往復運動する請求項36に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項38】
ループが形成された基材を機械方向に進行させるように構成される巻取り装置を更に有する請求項36に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項39】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)の少なくともいずれかの材料を含む請求項36に記載の面ファスナー用ループ片の製造装置。
【請求項40】
正面及び背面を有する網目状の基材を、機械方向へ連続的に供給する工程と、
前記基材の正面にループと、前記基材の背面にステッチとが形成されるように、糸を前記基材の背面から正面へ織り込む工程と、
前記基材の背面に形成された前記ステッチを溶融加圧することにより、前記糸を前記基材に接着させる、前記ループを該基材に固定する工程と
を含むことを特徴とする面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項41】
前記糸を基材に織り込む工程が、糸が供給された複数の織り針により実施する工程であり、
前記複数の織り針が、前記基材の背面に設けられ、且つ所定の配列に配置される請求項40に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項42】
ループを基材に固定する工程が、ループ固定デバイスにより実施するものであり、
前記ループ固定デバイスが、前記糸のステッチを溶融するように、前記基材の背面に設置された糸のステッチに対して押圧し、熱エネルギー又は高周波エネルギーを施すように構成される請求項40に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項43】
高周波エネルギーが、超音波エネルギーを含む請求項42に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。
【請求項44】
基材が、不織布を含み、
糸が、ホットメルト糸、ナイロン、及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)少なくともいずれかの材料を含む請求項40に記載の面ファスナー用ループ片の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−90959(P2012−90959A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190372(P2011−190372)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(508332748)台湾百和工業股▲ふん▼有限公司 (6)
【Fターム(参考)】