説明

面照明装置

【課題】サイドエッジ方式で下方に光源をもった面照明装置において、光源からの入射光の利用効率を高く、輝度を均一化できる構成を提供する。
【解決手段】導光板本体の一辺側において、導光板の表裏の平面を平行に面間距離を維持して同心円状に湾曲させて導光板本体の裏面方向に垂下した湾曲垂下部を形成し、湾曲垂下部の先端面に対向して配置される1つ以上の点状光源を、湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に偏移して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板の側縁に光源を配した面照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の面積をもった平板状の導光板に光源からの光を導入して、液品表示装置等の対象物を背後から面状に照明する面照明装置があり、この種の面照明装置のうち、光源を導光板の背後に配置する直下方式の面照明装置と、光源を導光板の側縁に配した、いわゆるサイドエッジ方式の面照明装置が知られている。
このうち、サイドエッジ方式の面照明装置は、光源を導光板の背後に配する直下方式の面照明装置に比較して、面照明装置全体としての厚さを薄く、省スペースに構成できることに有利性がある。
一方、サイドエッジ方式の面照明装置の課題としては、導光板の側縁に光源を配置するため、光源専用の基盤が必要になり、また、導光板の側部に光源および基盤を配置するためのスペースが必要なため、面幅方向の小型化の妨げになる問題があった。
上記のサイドエッジ方式の面照明装置の課題を解決するために、光源を導光板の下方に設け、導光板の一側縁近傍を下方の光源に向けて湾曲させ、光源に対向させる構成が特開2001−222905号(特願2000−30540号)にて提案されている。
その構成は、図4(a)に示すように、面照明装置110の構成要素として、透明基板111と、電気配線基板(基盤)115上に配置された長板状の導光体114と、LEDからなる点状光源116と、反射板113の組み合わせにより、長手状の光源に形作り、また、この光源に向けて透明基板111の一側端面側112を折曲垂下させて、光源からの光を当面基板111内に導入するようにしている。
このように構成した面照明装置110では、断面図4(b)に示すように、点状光源6の出射光は導光板114を介して、一側端面側112から透明基板111の内部に導入され、乱反射を繰り返しながら透明基板の内部を伝播することで、面状の照明をなすことができ、サイドエッジ方式の面照明装置の課題である導光板の側縁に光源および光源専用の基盤を設ける必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−222905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の発明者が上記の特開2001−222905号に開示される従来技術構成の面照明装置をさらに薄型化することを検討した結果、特開2001−222905号の構成のままでは薄型化するにつれて、光源からの入射光の漏出が多くなり、末端まで入射光を伝播させることに限界があることが判明した。特に導光体の折曲部近傍では、導光体の内部を伝播する光の成分に導光体の表面に鋭角に入射する成分を生じて、これが図4(b)に矢印で示すように、導光体の外に漏出してロスを生じるため、導光体の末端まで光の伝播を担保することが難しくなってくる。
したがって、本発明の目的は、サイドエッジ方式の面照明装置において、従来技術の課題にかんがみ、薄型化しても、末端まで高い光の伝播性を維持した構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための本発明の手段は、表裏の平面をもって平板状に形成された導光板本体と、導光板本体の一辺側において前記表裏の平面を平行に面間距離を維持して同心円弧状に湾曲させて導光板本体の裏面方向に垂下した導光板の湾曲垂下部と、湾曲垂下部の先端面に対向して配置される1つ以上の点状光源とからなり、前記点状光源は、前記導光板の湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に偏移して配置されていることを特徴とする面照明装置による。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、導光板本体の一辺側において、導光板の表裏の表面を平行に面間距離を維持して同心円弧状に湾曲垂下させる。これにより、垂下部から一般部の間で入射光が導光体の壁面に対して入射する入射角が平行に近くなり、光の漏出が可及的に少なくすることができる。
さらに、このような導光板の表裏の表面を平行に面間距離を維持して同心円状に湾曲垂下させる場合、点状光源の配置は、導光板の湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に偏移して配置されているほうが、導光板の光源から遠い側の末端までの伝播率が高くできることを実験により確認し、本発明にいたった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の面照明装置の主要構成材を示す斜視図
【図2】本発明の面照明装置の要部断面図
【図3】本発明の面照明装置の実施例、比較例の輝度の測定結果を示す
【図4】従来技術を示す
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面をもとに、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態の面照明装置を、主要構成部材の分解斜視図として示している。
本発明の面照明装置10の主要な構成部材は、導光板本体11と、導光板本体の表面11a側に積層されるレンズシート/拡散シートの積層シートと12と、導光板本体の裏面11b側に積層される反射シート13と、上記導光板本体11とこれに積層されるシート12、13を容れて支持するフレーム14を備え、さらにフレーム14の下方に複数の点状光源16を配置した基盤15をもってなる。
導光板本体11は、全体として所定の面積(14×20mm〜220×160mm)をもった平板状をなし、導光板本体11の一辺側には、導光板本体の裏面方向に垂下した湾曲垂下部11cを形成してなる。湾曲垂下部11cの先端は、点状光源16に相対している。本発明では、導光板本体の表面11aから湾曲垂下部11cまでの距離は15mm以内であり、これにより、面照明装置全体の厚さを薄くすることができる。
また、導光板本体11の厚さは、3mm以下であり、出射光の均一性を確保するためには、図のように、点状光源16から遠ざかる側の板厚を漸減させて、楔形の横断面に形成することが特に適する。
導光板本体11は、透明性の材質からなり、入射光を伝播する性質の母材(ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂等)を射出成形機にて所要の形状に形成する。この際、導光板本体の裏面11b側には、所定の頂角をもっ多数の微小な円錐型凹形状を一様に施す、または、裏面11b側を形成する金型をレーザー光にて所定のピッチで微細穴形状を施す、または、エッチングにて微細穴形状を施す等(いずれも不図示)によって、機械的な光学形状を形成する。
この場合、導光板本体の内部を伝播する入射光は、一部成分が上記の導光板本体の裏面11b側に形成された円錐型凹形状や微細穴形状に反射することによって、伝播方向を鋭角に変えられる結果として、伝播につれて入射光を徐々に導光板本体の表面11aから導光板本体の外部に出射することにより、導光板本体の表面11aを面照明装置の面光源媒体とする。
また、導光板本体11を形成する他の材料としては、入射光を伝播する性質の母材(ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂等)中に、光を散乱させる性質の微小粒子(直径2〜3μmのシリコーン樹脂、ポリスチレン架橋粒子等)を0.05〜0.15wt%で分散させた散乱導光体でもよい。
このような散乱導光体からなる導光板本体11に、光源16から入射された入射光を導入することで、入射光は、導光板本体11の内部を光源16から遠ざかる所定の方向に伝播しつつ、入射光のうち微小粒子に入射した成分は伝播方向を変えて散乱し、一部が導光板本体11の表面11aから、導光板本体11の外部に出射する。このようにして、伝播につれて入射光を徐々に導光板本体の表面11aから導光板本体の外部に出射することにより、導光板本体の表面11aを面照明装置の面光源媒体とする。
導光板本体の裏面11bには入射光の漏出をおさえるために、反射シート13を配し、また、導光板本体の表面11aからの出射光の均一性や方向性を制御するために、表面11a側にレンズシート/拡散シート等の光学補償用の積層シート12を配することが適し、いずれも、この種の面照明装置や光学系部材で公知のものを目的に合わせて用いることができる。
フレーム14は、上記導光板本体11、光学補償用の積層シート12、反射シート13等を収容するように枠状に形成され、材質は樹脂成形材、金属板材等を用いることができる。
基盤15はその上面に本面照明装置10の制御に必要な電子回路(不図示)をもってなり、また、この電子回路と連絡された点状光源16を支持している。点状光源16はLEDであることが好ましく、導光板本体11の垂下部11cの先端11dに面する位置に直線状に複数を並べて均等間隔で配置することが適する。配置される数は、10mmあたり1〜4個が適する。
基盤15の外形は、フレーム14の外形と略一致し、基盤15とフレーム14を組み合わることで面照明装置の10の輪郭を形作り、また、各構成要素の収容部を形成する。
【0009】
次に図2を参照して、導光板の湾曲垂下部11c近傍の構成を説明する。
図2は、本発明の面照明装置10の組み立て状態での要部断面図であり、導光板の湾曲垂下部11cの先端面11dが、点状光源16に面している状態を示す。
本発明において、湾曲垂下部11cは、導光板11の表面11aおよび裏面11bを平行に面間距離D(0.4〜5.0mm)を維持した上で、同じ中心点Pを中心とする同心円弧状に湾曲している。
この同心円弧の表裏の平面11a、11bの中間位置での半径rは2.0〜13.5mmが適する。半径rが、上記の範囲より大きいと製品が必要以上に厚くなる等の外形形状の課題があり、上記の範囲より小さいと入射光のロスが極端に大きくなるという課題がある。
導光板本体の湾曲垂下部11cの先端面11dは、点状光源16に対向するが、その距離は1mm以下にできるだけ小さくすることが、入射光の利用効率を高める上で好ましい。発明者が鋭意検討した結果、上記のような本発明の湾曲垂下部11cの形状を採った場合、各点状光源16の湾曲垂下部11cに対する相対位置は、図2に符号dで示すように、湾曲垂下部11cの表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に所定量(0.1〜0.6mm)だけ偏移して配置されていることが好ましい(輝度の均一化がはかれる)ことがわかり発明にいたった。
また、上記の作用は、湾曲垂下部11cの半径rが小さい場合ほど顕著であり、面照明装置の薄型化に貢献する。
【0010】
以下の条件で、本発明の実施例としての面照明装置を作成し、評価に供した。
【実施例】
導光板本体:
導光板の材質としては、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ユーピロンHL−4000を用い、射出成形機に供給し、シリンダ温度240℃、金型温度80℃、型締圧180tの条件で所定の形状を形成した。
導光板本体の形状としては、幅が55.0mm、奥行きが85.0mm、幅方向断面で見て、厚さが3.0mm〜1.0mmに変化する断面楔型の形状とし、厚さの厚い側の一辺側を裏面側へ湾曲させてなる湾曲垂下部を形成した。
湾曲垂下部の曲率半径は、3.0mm〜11.0mmまで、1.0mm毎の各形状を作成した。この際、湾曲垂下部の曲率半径によらず、導光板本体の表面から湾曲垂下部の先端面までの距離は14.0mmに統一した。
また、「基準サンプル」として、湾曲垂下部を設けない導光板を作成した。
なお、成形された各導光板本体の裏面11b側には、頂角80度の微小円錐型凹形状を一様に施し、その際の円錐の直径を0.3〜1.0mm、高さを0.35〜1.2mmの範囲とした。
フレーム:
白色ポリカーボネート樹脂を、導光板本体の輪郭に合わせて枠状に成形した。
点状光源:
日亜化学株式会社製、白色LED、NS2W064、6灯を8.0mmの等間隔に一列に並べ配した。
この際、各LEDと、導光板の湾曲垂下部の先端面との距離は0.5mmにし、また、各LEDの中心は、導光板の湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に0.3mm偏移して配置させた。
積層シート(レンズシート/拡散シート):
住友スリーエム株式会社製、光学レンズシート、BEF−2−Tをプリズムの方向が直交する配置で2枚と、株式会社きもと製、拡散フィルム、LSE100、全光線透過率97.0%、HAZE値84.0%、厚さ100μmを重ねて用いた。
反射シート:
株式会社ツジデン製、発泡ポリエステル系反射シート、厚さ100μm、反射率96.5%を用いた。
(比較例)
比較例では、面照明装置の各構成要素としては、実施例と同じものを用い、点状光源と導光板の湾曲垂下部との位置関係のみ実施例と変えて、各LEDの中心を、導光板の湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線上に揃え置いた。(偏移量=0mm)
(評価方法)
上記実施例および比較例の各面照明装置を組み立て、面照明装置の出射面からの出射光の輝度測定をおこなった。
輝度の測定には、コニカミノルタ株式会社製、分光輝度計CS−2000装置を用い、面照明装置の出射面から350mmの距離で奥行方向中央線上で、導光板の表面中央での平均輝度(「基準サンプル」に対する相対値)を測定した。
(評価結果)
図3に実施例および比較例の評価結果を示す。
図より明らかに、実施例、比較例ともに、湾曲垂下部の同心円弧の半径rが小さくなるにつれて「基準サンプル」に対する輝度の相対値の低下が生じるが、点状光源を湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に偏移量(d=0.3mm)だけ偏移させた実施例は、同偏移量が無い(d=0mm)比較例に対して、輝度の低下が少ないことが示された。
実験の結果、この偏移量の効果は、d=0.1mmから有意に確認されはじめ、d=0.3mm近傍で最大になり、ただし、d=0.6mmを超えると、点状光源からの湾曲垂下部の先端面への入光率が極端に低下するため、有意の効果を確認できなかった。
【0011】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、サイドエッジ方式の面照明装置において、従来技術の課題にかんがみ、薄型化しても、末端まで高い光の伝播性を維持した構成が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
液晶表示装置等の対象物を背後から面状に照明する面照明装置のうち、光源を導光板の側縁に配した、いわゆるサイドエッジ方式の面照明装置として好適に適用される。
【符号の説明】
【0013】
10 面照明装置
11 導光板本体
11a 表面
11b 裏面
11c 湾曲垂下部
11d 先端面
12 積層シート(レンズシート/拡散シート)
13 反射シート
14 フレーム
15 基盤
16 点状光源
D 湾曲垂下部の表裏面の面間距離
P 中心点
r 湾曲垂下部の同心円弧の半径
d 偏移量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の平面をもって平板状に形成された導光板本体と、導光板本体の一辺側において前記表裏の平面を平行に面間距離を維持して同心円弧状に湾曲させて導光板本体の裏面方向に垂下した導光板の湾曲垂下部と、湾曲垂下部の先端面に対向して配置される1つ以上の点状光源とからなり、
前記点状光源は、前記導光板の湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線よりも導光板の表面側に偏移して配置されていることを特徴とする面照明装置。
【請求項2】
請求項1において、湾曲垂下部の表裏面の面間距離Dが3.0mm以下、湾曲率垂下部の同心円弧の半径rが2.0mm以上、点状光源の湾曲垂下部の表裏の平面間の中心線から表面側への偏移量dが0.1mm以上、0.6mm以下であることを特徴とする面光源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−45764(P2013−45764A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197632(P2011−197632)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】