説明

面状照明装置

【課題】裸眼3D表示装置用のバックライトとして好適な面状照明装置において、クロストークを低減することを可能とする。
【課題を解決するための手段】面状照明装置10は、互いに対向する2つの側端面13、15を入光面とし、互いに対向する2つの主面19、20のいずれか一方を出射面19とする導光板12と、導光板12の2つの入光面13、15に沿ってそれぞれ配置され、交互に点灯される一対の光源17、18とを備えており、導光板12の出射面19に対向する主面20の入光面13、15寄りの領域に、光吸収体32、34が形成されていることによって、クロストークの要因となる光を光吸収体32、34によって吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライト、特に、裸眼3D表示システムに用いられる液晶表示装置用のバックライトとして好適な面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の視覚者が、眼鏡等の専用の器具を使用することなく、立体(3D)画像を視認することが可能な裸眼3D表示装置が注目されている。従来、このような裸眼3D表示装置において、液晶表示装置に表示される左眼用画像及び右眼用画像を、バックライトからの照明光の配光制御によって、それぞれ左眼のみ及び右眼のみに供給し、それによって、裸眼3D表示を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような表示装置110は、図2に示すように、液晶ディスプレイパネル120、液晶ディスプレイパネル120に光を供給するバックライト130、液晶ディスプレイパネル120とバックライト130との間に配置された両面プリズムフィルム140を含む。バックライト130は、導光板125と、導光板125の第1の光入力面131に配置された右眼用画像固体光源132と、第2の光入力面133に配置された左眼用画像固体光源134を含む。また、導光板125の裏面136には、その全面に光路変更手段としてリニアプリズムが形成されている。
【0004】
両面プリズムフィルム140は、導光板125の光出力面135側の面に、第1、第2の光入力面131、133と略平行に延びる三角プリズム列を備え、ディスプレイパネル120側の面に、第1、第2の光入力面131、133と略平行に延びる円筒レンズ列を備えており、この構成をもって、第1の光入力面131から導光板125に入射して光出力面135から出射した光の方向を、視覚者の右眼方向に変換し、第2の光入力面133から導光板125に入射して光出力面135から出射した光の方向を、視覚者の左眼方向に変換するように機能する。
【0005】
そして、表示装置110は、ディスプレイパネル120に右眼用画像と左眼用画像を交互に表示するとともに、右眼用画像の表示時には、右眼用画像固体光源132を点灯(同時に、左眼用画像固体光源134を消灯)し、左眼用画像の表示時には、左眼用画像固体光源134を点灯(同時に、右眼用画像固体光源132を消灯)することによって、視覚者の右眼及び左眼に、それぞれ右眼用画像及び左眼用画像を選択的に供給するものである。尚、表示装置110は、このような動作を可能にするための同期駆動素子150及び画像ソース160を備えている。
【0006】
尚、図2に示すようなバックライト130では、多くの場合、照明光の輝度の均一性を向上させるため、光出力面135のうち、輝度が著しく高い領域(輝線)の発生等により輝度が不均一になり易い光入力面131、133近傍を非有効出射領域として遮光し、比較的輝度の均一な中央部を有効出射領域として、有効出射領域からの出射光のみを照明光として利用することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2010−541020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、裸眼3D用表示装置には、一般に、右眼用画像と左眼用画像の分離が完全には行われず、右眼用画像がある程度の明るさで視覚者の左眼に供給され、また、左眼用画像がある程度の明るさで視覚者の右眼に供給されるといった、所謂クロストークの問題があることが知られている。
【0009】
例えば、表示装置110では、右眼用画像固体光源132から第1の光入力面131を通じて導光板125に入射した光の一部が、光出力面135から出射されないまま第2の光入力面133に到達し、そこで反射された後に光出力面135から出射されることにより、その出射光の出射方向が、視覚者の左眼方向に変換される場合がある。このような事象(及び、左眼用画像固体光源134から第2の光入力面133を通じて導光板125に入射した光についての対称な事象)が、クロストークの一因として挙げられる。
このようなクロストークが発生すると、画像の立体感が損なわれるため、立体画像の表示品位を向上させるためには、クロストークを低減可能であることが望ましい。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、裸眼3D表示装置用のバックライトとして好適な面状照明装置において、クロストークを低減可能な面状照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0012】
(1)互いに対向する2つの側端面を入光面とし、互いに対向する2つの主面のいずれか一方を出射面とする導光板と、該導光板の2つの入光面に沿ってそれぞれ配置され、交互に点灯される一対の光源とを備える面状照明装置であって、前記導光板のいずれか一方または両方の主面の入光面寄りの領域に、光吸収体が形成されていることを特徴とする面状照明装置(請求項1)。
【0013】
本項に記載の面状照明装置によれば、導光板のいずれか一方または両方の主面の入光面寄りの領域に光吸収体が形成されていることによって、一方の入光面から導光板に入射した後に、出射面から出射されないまま他方の入光面に向かって導光される光の少なくとも一部を、他方の入光面に到達する前に、他方の入光面寄りの領域に形成された光吸収体で吸収することによって、他方の入光面で反射された後に出射面から出射してクロストークの要因となる光を減少させ、クロストークを低減することが可能となる。
【0014】
(2)(1)項に記載の面状照明装置において、前記光吸収体は、前記導光板の入光面の長手方向と平行に延びる帯状に形成されていることを特徴とする面状照明装置(請求項2)。
本項に記載の面状照明装置によれば、光吸収体が、導光板の入光面の長手方向と平行に延びる帯状に形成されていることによって、クロストークの要因となる光を効果的に吸収することが可能となる。
【0015】
(3)(1)または(2)項に記載の面状照明装置において、前記光吸収体は、前記導光板の出射面の導光方向中央部に設けられる有効出射領域よりも入光面寄りの領域に形成されていることを特徴とする面状照明装置(請求項3)。
【0016】
本項に記載の面状照明装置では、導光板の主面の導光方向中央部に設けられる有効出射領域よりも入光面寄りの領域に光吸収体が形成されていることによって、クロストークの要因となる光を効果的に吸収することが可能となる。
【0017】
加えて、本項に記載の面状照明装置では、有効出射領域よりも入光面寄りの領域に光吸収体が形成されているため、一方の入光面から導光板に入射した直後に、導光板のいずれか一方または両方の主面の、その一方の入光面寄りの領域に形成された光吸収体に到達する光は、主として、このような光吸収体がない場合に、導光板の主面の有効出射領域よりも入光面寄りの領域である非有効出射領域から出射されて、その領域に、輝度が著しく高い領域(輝線)を発生させる要因となる光である。
【0018】
したがって、本項に記載の面状照明装置では、このような輝線発生の要因となる光を吸収することにより、導光板からの出射光の輝度の均一性を向上させることが可能となり、ひいては、導光板の出射面に所定の長さの有効出射領域を確保するために必要な導光板の全長を短縮することが可能であるため、面状照明装置の小型化に寄与するものである。
【0019】
さらに、従来の面状照明装置では、通常、導光板の出射面の非有効出射領域上に遮光手段等を講じることにより、非有効出射領域からの出射光は、そもそも照明光として利用されていない。したがって、本項に記載の面状照明装置において、一方の入光面から導光板に入射した直後に、導光板のいずれか一方または両方の、その一方の入光面寄りの領域に形成された光吸収体によって吸収される光が存在しても、そのような光の吸収は、有効出射領域から出射される照明光の輝度に対して殆ど影響を与えない。
【0020】
このように、本項に記載の面状照明装置における光吸収体は、光源からの出射光が導光板に入射した後に、導光板内を導光される光から、主としてクロストークの要因となる光と元々照明光として利用できない光とを選択的に吸収するように作用するものであり、これによって、従来の面状照明装置と比較して照明光の輝度を殆ど低下させることなく、クロストークを低減させることが可能となるとともに、輝度の均一性を向上させるものである。
【0021】
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の面状照明装置において、前記導光板の出射面側に、両面プリズムシートが配置されていることを特徴とする面状照明装置(請求項4)。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る面状照明装置は、以上のように構成したことにより、裸眼3D表示装置用のバックライトとして好適な面状照明装置において、クロストークを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態における面状照明装置の要部を示す側面図であり、(b)は、(a)に示す面状照明装置の導光板を示す側面図である。
【図2】従来の裸眼3D表示システムの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。尚、面状照明装置の全体または部分を示す図は、説明のために特徴を強調して示す模式図であって、図示された各部分の相対的な寸法は、必ずしも実際の縮尺を反映するものではない。
【0025】
図1(a)は、本発明の一実施形態における面状照明装置の要部を示す側面図である。
図1(a)に示す面状照明装置10は、導光板12と、光源17、18とを備えるサイドライト型の面状照明装置である。導光板12は、互いに対向する2つの主面のうちの一方を出射面19とする板状の導光体であり、互いに対向する2つの側端面が入光面13、15として用いられ、各入光面13、15に沿って、それぞれ光源17、18が配置されている。
【0026】
本実施形態において、光源17、18は、それぞれ入光面13、15の長手方向に沿って配列された複数の発光ダイオードからなる。また、面状照明装置10において、導光板12の出射面19側には、両面プリズムシート14が配置され、導光板12の出射面19と対向する主面(裏面)20側には、光学シート16として、反射シート(例えば、反射率98%以上)が配置されている。
【0027】
ここで、導光板12は、メタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂材料を成形してなり、入光面13、15を通じて導光板12へと入射した光を、出射面19と裏面20との間で全反射を繰返しつつそれぞれ対向する入光面15、13側へ向けて伝播させ、その過程で、伝播光を出射面19から均一に出射させるものである。この意味で、面状照明装置10において、導光板12の入光面13、15に直交する方向(図1において、紙面左右方向)を導光方向という。
【0028】
また、以下の説明において、導光板12の各構成要素について、導光方向の長さを単に「長さ」ともいい、主面(出射面19、裏面20)と平行な平面内の導光方向に直交する方向(図1において、紙面に垂直な方向)の長さ、及び、導光板12の主面に直交する方向(図1において、紙面上下方向)の長さを、それぞれ「幅」及び「厚み」ともいう。
【0029】
面状照明装置10は、図2を参照して上述したような裸眼3D表示装置における液晶パネルのバックライトとして好適に用いられるものであり、その両面プリズムシート14は、例えば、図2に示す両面プリズムフィルム140と同様の構成を備えるものである。但し、本発明は、両面プリズムシート14の構成によって限定されるものではなく、両面プリズムシート14は、両面プリズムフィルム140と同様の機能を果たす限り、任意の適切な構成とすることができる。
【0030】
そして、面状照明装置10の出射面19は、図1(b)に示すように、導光方向中央部に設けられ、所定の長さYを有する有効出射領域28と、それぞれ有効出射領域28の外側(入光面13側及び入光面15側)に設けられた非有効出射領域26からなる。有効出射領域28と非有効出射領域26は、輝度の均一性に基づいて設定され、比較的輝度の均一な有効出射領域28からの出射光のみが照明光として利用される。ここで、導光板12の全長をXとすると、非有効出射領域26の長さZは、「(X−Y)/2」である。
【0031】
また、面状照明装置10の裏面20は、導光方向中央部に設けられ、所定の長さAを有し、光路変更手段(図示は省略する)が形成されたセンター領域24と、それぞれセンター領域28の外側(入光面13側及び入光面15側)に位置し、光路変更手段が形成されていないサイド領域22とからなる。
【0032】
センター領域24に形成される光路変更手段は、入光面13、15を通じて導光板12に入射し、裏面20のセンター領域24に到達した光を、主として出射面19の有効出射領域28へ向けて反射し、臨界角以下の入射角でもって出射面19に到達させることによって、伝播光を出射面19の有効出射領域28から均一に出射させるとともに、その出射光をそれぞれ適切な入射角でもって両面プリズムシート14に入射させるものである。
【0033】
このような光路変更手段は、典型的には、図2に示す導光板125の裏面136に形成されるリニアプリズムと同様に、入光面13、15と略平行に延びる複数のリニアプリズムからなり、好ましくは、その延在方向に垂直な断面が、比較的大きい頂角(例えば、160°以上)を有する三角形からなるものである。
【0034】
一方、サイド領域22は、センター領域24側から各入光面13、15まで、導光方向に所定の長さBを有する領域(以下、B領域ともいう)22b、所定の長さCを有する領域(以下、C領域ともいう)22c、及び、所定の長さDを有する領域(以下、D領域ともいう)22dに分けられ、各入光面13、15寄りのサイド領域22に含まれるC領域22cには、それぞれ光吸収体32、34が形成されている。これらの光吸収体32、34は、入光面13、15の長手方向(図1において、紙面に直交する方向)に平行に延びる帯状に形成されており、その延在範囲は、典型的には、導光板12の全幅にわたるものである。
【0035】
光吸収体32、34は、例えば、裏面20のC領域22cに黒色印刷を施すかまたは黒色塗料を塗布することによって形成されるものであってもよい。あるいは、黒色PETフィルム等の黒色基材を含む黒色部材を、C領域22cに配置することによって形成されるものであってもよく、その際、接着剤または粘着剤等により黒色部材をC領域22cに固着するものであってもよい。また、使用される黒色部材は、複数の黒色基材層を接着層(または粘着層)を介して積層配置した多層構造を有するものであってもよい。
【0036】
さらに、黒色部材をC領域22cに接着または粘着する場合には、その接着剤または粘着剤に黒色顔料等を混入することにより、黒色部材と接着層または粘着層とで光吸収体32、34を構成するものであってもよい。あるいは、黒色部材を配置することなく、光学シート16を導光板12の裏面20に接着または粘着して固定する場合には、光学シート16と導光板12の裏面20との間に介在する接着剤または粘着剤のうち、C領域22cに適用される部分に用いられる接着剤または粘着剤を、黒色顔料等を混入させたものとすることにより、このような接着剤または粘着剤によって光吸収体32、34を構成するものであってもよい。
【0037】
ここで、サイド領域22の長さ「B+C+D」は、導光板12の全長をXとすると、「(X−A)/2」である。但し、面状照明装置10において、サイド領域22は、B領域22bの長さB及びD領域の長さDのいずれか一方または両方を0とするものであってもよい。言い換えれば、サイド領域22は、B領域22bとC領域22cのみからなる場合、C領域22cとD領域22dのみからなる場合、及び、C領域22cのみからなる場合を含むものである。
【0038】
さらに、面状照明装置10において、各入光面13、15寄りのサイド領域22に形成される光吸収体32、34は、それぞれ有効出射領域28よりも各入光面13、15寄りの領域に形成されている。言い換えれば、各入光面13、15寄りのサイド領域22は、少なくともそのC領域22cが、有効出射領域28よりも各入光面13、15寄りに位置するように(したがって、「C+D<Z」となるように)設けられる。
好ましくは、各入光面13、15寄りのサイド領域22は、その全体が有効出射領域28よりも各入光面13、15寄りに位置するように設けられるものであり、この場合、「B+C+D<Z」(言い換えれば、「A>Y」)となる。
【0039】
次に、以上のように構成された面状照明装置10の作用効果を、下表に示す実測例に基づいて説明する。
【0040】
【表1】

【0041】
ここで、測定に使用した面状照明装置のサンプルS1〜S8において、導光板12の全長Xは108mmであり、有効出射領域28の長さYは94mm(したがって、非有効出射領域26の長さZは7mm)に設定した。
また、クロストークは、
クロストーク[%]=[{(右側光源点灯時左眼輝度/左側光源点灯時左眼輝度)+(左側光源点灯時右眼輝度/右側光源点灯時右眼輝度)}/2]×100
により定義した。
但し、左側光源点灯時右眼輝度及び左側光源点灯時左眼輝度は、それぞれ、左側画像用光源(例えば、光源18)が点灯し、右側画像用光源(例えば、光源17)が消灯している場合の面状照明装置10における、視覚者の右眼方向の輝度及び左眼方向の輝度である。同様に、右側光源点灯時右眼輝度及び右側光源点灯時左眼輝度は、それぞれ、右側画像用光源17が点灯し、左側画像用光源18が消灯している場合の面状照明装置10における、視覚者の右眼方向の輝度及び左眼方向の輝度である。
【0042】
上表に示すサンプルS1〜S8において、そのサイド領域22の長さB+C+Dは5mm(したがって、センター領域24の長さAは98mm)であり、サイド領域22の全体が有効出射領域28よりも入光面13、15寄りに設けられている(B+C+D<Z)。
また、サンプルS1〜S8のうち、サンプルS2〜S8が、本実施形態における面状照明装置10の構成例であり、サイド領域22に光吸収体32、34が形成されている(C>0mm)。一方、サンプルS1は、サイド領域22に光吸収体32、34が形成されていない(C=0mm)比較例である。尚、サンプルS2〜S8において、光吸収体32、34は、黒色印刷に相当する。
【0043】
上表に示すように、サンプルS2〜S8では、サンプルS1と比較してクロストークが減少している。この結果は、サンプルS2〜S8では、一方の入光面13、15から導光板12に入射した後、出射面19から出射されないまま他方の入光面15、13に向かって導光される光の少なくとも一部が、他方の入光面15、13に到達する前に、他方の入光面15、13寄りのC領域22cに形成された光吸収体34、32によって吸収されることにより、他方の入光面15、13で反射された後に出射してクロストークの要因となる光が減少することを示すものである。
【0044】
さらに、サンプルS2〜S8の比較から、クロストークは、C領域22cの長さC(すなわち、帯状に形成された光吸収体32、34の帯幅)を延長する程減少することが分かる。また、サンプルS3とS4の比較、及び、サンプルS5〜S7の比較から、クロストークは、C領域22cの長さCが同一の場合にはD領域22dの長さDが短い程(言い換えれば、光吸収体32、34の形成位置を入光面13、15に近づける程)減少することが分かる。
【0045】
さらに、面状照明装置10は、光吸収体32、34を、導光板12の裏面20の、有効出射領域28よりも入光面13、15寄りの領域(言い換えれば、非有効出射領域26の範囲内)に形成したことにより、上述したように、クロストークの要因となる光を効果的に吸収することに加えて、光吸収体32、34がない場合には、導光板12の入光面13、15から入射した直後、その入光面13、15近傍の非有効出射領域28から出射されて輝線発生の要因となる光を効果的に吸収することによって、非有効出射領域26における輝線の発生を抑制し、輝度の均一性を向上させることが可能となる。
【0046】
また、これによって、導光板12の出射面19の入光面13、15近傍に存在する非有効出射領域26の長さZが短縮され、所定の長さYの有効出射領域28を確保するために必要な導光板12の全長Xを短縮することが可能であるため、面状照明装置19の小型化に寄与するものである。
【0047】
尚、非有効出射領域28から出射される光は、従来の面状照明装置において、そもそも照明光としては利用されていなかった光であるため、面状照明装置10において、導光板12の入光面13、15から入射した直後、その入光面13、15寄りのC領域22cに形成された光吸収体32、34によって吸収される光が存在しても、面状照明装置10における照明光の輝度は、従来の面状照明装置と比較して殆ど低下することはない。
【0048】
ここで、サンプルS2〜S8の比較から、クロストークの減少の効果のみに着目すれば、サイド領域22の全体に光吸収体32、34を形成する構成(サンプルS8)ことが望ましい。但し、面状照明装置10において、サイド領域22に光吸収体32、34が形成されない平坦面であるB領域22b及びD領域22dを設けることには、次のような効果がある。
【0049】
すなわち、サイド領域22に、平坦面部分(B領域22b及びD領域22dのいずれか一方または両方)が含まれる場合には、一方の入光面13、15から入光後、サイド領域22の平坦面部分に到達した光は、そのサイド領域22に対向する非有効出射領域26から出射されることなく、他方の入光面15、13に向けて導光されることになる。したがって、このような平坦面部分は、クロストークに関しては、その要因となる光を増大させる方向に作用するものの、光吸収体32、34が形成されたC領域22cと同様に、非有効出射領域26から出射される光を減少させ、輝度の均一性を向上させる効果を奏する。加えて、光吸収体32、34が形成されたC領域22cとは異なる特徴として、このような平坦面部分は、サイド領域の平坦面部分に到達した光を、吸収するのではなく、他方の入光面15、13に向けて導光させるものであるため、有効出射領域26の輝度を向上させる効果を奏するものである。
【0050】
尚、サイド領域22にB領域22bが存在する場合には、B領域22bも含めてサイド22領域全体を、有効出射領域28よりも入光面13、15寄りに設ける(すなわち、「B+C+D<Z」とする)ことによって、輝度の均一性が一層向上することが、本発明者等によって確認されている。
【0051】
このように、面状照明装置10において、サイド領域22の長さ「B+C+D」が一定の場合、その長さに対するC領域22cの長さCの割合が大きい程、クロストークの低減の効果は大きく、B領域及びD領域の長さ「B+C」の割合が大きい程、輝度の向上の効果は大きい。したがって、面状照明装置10において、サイド領域の長さ「B+C+D」に対するC領域22cの長さCの割合は、このような効果のバランスを勘案の上、適切に設定されるものである。
【0052】
ここで、図1を参照して上述した面状照明装置10では、光吸収体32、34は、導光板12の裏面20に形成されるものとしたが、本発明に係る面状照明装置において、光吸収体32、34は、導光板12の出射面19に形成されるものであっても、あるいは、導光板12の出射面19と裏面20の両方に形成されるものであってもよく、これによって、面状照明装置10に関連して上述した作用効果と同等の作用効果を奏するものである。
【0053】
また、面状照明装置10は、非有効出射領域26の上方(及び、好ましくは、光源17、18の上方)を覆うように配置された遮光シートを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10:面状照明装置、12:導光板、13,15:入光面、14:両面プリズムシート、16:光学シート、17,18:光源、19:出射面、20:裏面、22:サイド領域、22b:B領域、22c:C領域、22d:D領域、24:センター領域、26:非有効出射領域、28:有効出射領域、32、34:光吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2つの側端面を入光面とし、互いに対向する2つの主面のいずれか一方を出射面とする導光板と、該導光板の2つの入光面に沿ってそれぞれ配置され、交互に点灯される一対の光源とを備える面状照明装置であって、前記導光板のいずれか一方または両方の主面の入光面寄りの領域に、光吸収体が形成されていることを特徴とする面状照明装置。
【請求項2】
前記光吸収体は、前記導光板の入光面の長手方向と平行に延びる帯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記光吸収体は、前記導光板の出射面の導光方向中央部に設けられる有効出射領域よりも入光面寄りの領域に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記導光板の出射面側に、両面プリズムシートが配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の面状照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−89559(P2013−89559A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231794(P2011−231794)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】