説明

面積測定のための装置

【課題】きわめて簡単かつ迅速に面の面積を評価することを可能にする安価な方法と装置を提案する。
【解決手段】中心点(16)を備えたフレーム(15)を介して脚部(4)に取り付けられた視距儀(2)と、視距儀の照準方向の空間内の角度標定手段(5、6)と、視距儀の照準点の球座標の取得の始動手段(82)と、数値処理ユニット(9)とから成る装置を使用し、測定するそれぞれの多角形平面について、前記面を位相的かつ個別に決定することを可能にし、その面のそれぞれの稜について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記稜に属する二つ以下の点を含む測定点系列を読み取り、処理ユニット(9)が読み取った測定点の球座標から切片および/または直線を発生して面の数値モデルを生成し、前記数値モデルの面積を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空間内の多角形平面の面積を測定する装置および方法に関するものである。本発明はより詳細には建物の分野(建築、建設、など)に適用され、面の測定のための、またとりわけ建物の部屋の床、天井と壁の面積の計算のための器具の提供を目的としている。
【背景技術】
【0002】
建物の部屋の境界を定める面を測定し計算するために使用されている従来の方法は:
・壁面、あるいは長方形であるときの部屋の床または天井などの、それぞれの長方形の平面について、その縦と横の測定からこの面の面積を計算し、
・より複雑な幾何のそれぞれの多角形平面について、多角形面の所与の頂点を他の頂点のそれぞれと結ぶ対角線を「引いて」この三角形の面の分割を定義し(三角法)、これらの対角線のそれぞれと面のそれぞれの辺の測定からその面の面積を計算する、
ことから成る。
【0003】
測定(横、縦、対角線、など)は一般的に巻き尺や視距儀を用いて実施され、ついで測定者によって紙の上の略図の上に書き留められる;計算は測定寸法を表計算ソフトまたは計算器などの計算器具に手で入力して実施される。
【0004】
この方法は、測定実施のために操作員が頻繁に移動し、測定する寸法と適用する計算規則を決定するために慎重に考えることと、(とりわけ視距儀の読取りと測定した寸法を略図に書き写すときに、また前記寸法を計算器具に入力するときに)高い厳密性が要求される数多くの操作とを必要とする。誤差のリスクは大きい。それに、この方法は測定の実現に障害物(家具、など)がないことを前提としている。
【0005】
いくつかの既知の装置は半自動で建築測量図(既存建築物の図形表示)の作成を可能にし、つぎにその建築測量図を、測量装置とは別個の、あるいは組み込まれた表作成器によって、面積の計算に用いることができる。既知の測量装置は一方では誤差のリスクを(これは大半が装置による読取点の選択に限定される)、他方では測定者の移動を(読取りは一つまたは場合によっては複数の中央観測点によって実施されるので)抑えることを可能にする。
【0006】
特許文献1は吊り天井、隔壁などの設置しようとする建築要素の将来の位置を示す線分、面または立体を既存の建物の上に標記することだけを目的として、かかる建築測量図を実現することを可能にする装置と方法を開示している。
特許文献1の標記方法は、
・視距儀と角度符号化装置によって読み取った測定点の球座標から、観察した「現実空間」の「理想化」数学モデルを再構成する過程であって;観察された現実空間が平面であるときは、数学モデル内に平面を生成するために、この面で三つの測定点を読み取るのが適切であり;この面の輪郭の境界を定めるために、隣接面も読み取る必要があり;同様に、観察された現実空間が立体であるときは、その境界を定める面のそれぞれの上の三つの点を読み取るのが適切である、過程と、
・指標と呼ばれる点に照準を合わせ、指標が、数学モデル内に割り出され、標記する線、面または立体上に位置する指示点に対応するように照準(すなわち、視距儀の向き)を補正し、ついで既存建物上に指標を物理的に標記する過程:
とから成る。
【0007】
このために、視距儀と角度符号化装置は、一方では観察した現実空間の理想化数学モデルの生成プログラムと、他方では視距儀によって照準を合わせた指標の現実の位置と指示点の間の差を補正するプログラムであって、視距儀の方向を自動的に制御するのに適した補正プログラムとを組み込んだ情報処理ユニットに組み合わされている。
【0008】
なお、情報ユニットは面積計算プログラムを備えておらず、また特許文献1は平面の面積計算のために生成された数学モデルの使用を全く示唆していない。
【0009】
特許文献2は建築測量図の実現のために視距儀、経緯儀と情報処理ユニットを組み合わせた装置を開示している。処理ユニットは建物の部屋の外観を構成する平面(床、壁と天井)のそれぞれの上で、中央観測点から、読み取った(非整列の)三つの点の球座標から、建物の部屋の外観の図形表示を実現することを可能にする情報プログラムを組み込んでいる。それぞれの平面について、プログラムはまず、読み取った三つの点の座標から、対応する平面の等式を計算する。プログラムはつぎに対象の外観の稜を定義するために二つずつとった全ての平面の交差の等式を計算する。特許文献2はこのように実現した建築測量図は外観を構成する平面の面積計算に用いることができると記載している。なおここで、外観を構成する平面の一つ一つを少なくとも部分的に見ることが可能な中央観測点が全く存在しないように部屋が作られているとき、その部屋を二つの部屋に分離する仮想隔壁を(家具または平面の他の物体から)作り出し、二つの観測点から、上述のごとく両部屋の建築測量図を作成する。二つの部屋の図形表示はつぎに二つの部屋に共通の基準点の底を選択し、読み取ることによってまとめられ、ついで得られた総合図形表示上の仮想隔壁は使用者によって消される。
【0010】
このように、多角形平面の情報モデルを実現するために、特許文献1も特許文献2も前記面の上の三つの点と、該面の境界を定める面のそれぞれの上の三つの点とを読み取ることを教示している。言い換えれば、また例として、(一般的に部屋の居住面に対応する)床面積を計算するために建物の部屋の床をモデル化するには、前記床と部屋の壁全体を読み取る必要がある。より一般的に、測定する多角形平面がN個の辺を有するとき、該面のモデル化を得るために使用者は3(N+1)個の測定点を読み取らなければならない。
【0011】
発明者が確認したところ、実際には、既知の装置は建物を定義する図面(断面図、立面図、透視図、など)を有することを目的として完全な建築測量図を実現するために主として用いられており、建物全体、すなわち建物のそれぞれの部屋の床、壁と天井を同時に測定する場合にしか面積の計算に用いられていない。実際、先行技術の面読取方法はあまりに煩わしいので、建物の任意の面の面積を、限定的に、測定する目的のためだけに用いる根拠がないことになる。そして今日まで、建物の部屋の床、壁または天井などの建物の面の面積を簡単、迅速かつ単独に評価することを可能にする方法も装置も存在しない。
【0012】
発明者は、器具の集中的ならびに限定的使用のために、より簡単かつより迅速に面の面積を測定または評価することを可能にする器具を有することが有益であろうと判断した。
【特許文献1】独国特許出願公開第19545589号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2630539号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はきわめて簡単かつ迅速に面の面積を評価することを可能にする安価な方法と装置を提案することによって、あらたに明らかになったこの需要を満たすことを目的とする。とくに、本発明は多角形平面の、またとりわけ建物の多角形平面の面積の測定のための簡単かつ迅速な装置と方法を提案することを目的とする。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、方法の実施または器具の使用に、使用者側に特別な知識も熟慮や高度の注意も必要とせず、またその結果、通常の能力と平均的な注意力を有する者も対象とする方法と装置を提案することである。本発明の一つの目的は体系的に、機械的に、誤差のおそれなしに多角形平面の読取りを可能にすることである。
【0015】
本発明のもう一つの目的は5%未満の誤差で任意の現実の面の面積を評価することを可能にし、さらに1%未満の誤差で多角形平面の面積測定をとりわけ可能にする装置と方法を提供することである。
【0016】
本発明は既知の先行技術の装置の利点を断念することなしに、またとくに、部屋に家具が置かれている場合を含めて、建物の部屋の外観を画成する面全体の面積を測定する可能性を断念することなしに、これら全ての目標を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このために、本発明は、空間内の多角形平面の面積を測定する方法であって、
・選択した、照準点と呼ばれる、ある面の物理的点に使用者が視距儀を向けることを可能にするのに適した中心点を備えたフレームを介して脚部に取り付けられた視距儀であって、中心点と照準点を隔てる距離を表す信号を出力することができるのに適した視距儀と、
・中心点と照準点を通って、照準方向と呼ばれる方向の空間内の角度標定手段であって、中心点と心出しされた空間標点に対する照準方向の向きを表す信号を出力できるのに適した角度標定手段と、
・視距儀と角度標定手段が、前記空間標点に対する照準点の球座標を表す信号を出力できるのに適し、
・照準点の球座標の取得を、使用者の命令によって、始動する手段であって、視距儀と角度標定手段によって出力された信号からこれらの球座標を表す数値データの記憶を始動するのに適した手段と、
・前記多角形平面を位相的に決定することを可能にする、測定点と呼ばれる、照準点の取得した球座標から多角形平面をモデル化することができるのに適した数値処理ユニットとから成る装置を使用することを特徴とする方法に関するものである。
【0018】
本発明による方法は、測定するそれぞれの多角形平面について、
・前記多角形平面を位相的かつ個別に決定することを可能にする測定点の系列であって、その多角形平面のそれぞれの稜について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記稜に属する二つ以下の点を含む前記系列を選択し、
・それぞれの測定点につぎつぎと視距儀を向け、その球座標の取得を始動することによってその系列の測定点を読み取る、前記面のモデル化作業を実行し、処理ユニットが、
二つ以下の測定点から取得した球座標から前記面のそれぞれの稜について切片または直線を発生して多角形平面の幾何数値モデルを生成して記憶し、
このようにして生成した数値モデルの面積を表す値を計算し、記録することができるのに適している、ことを特徴とする。
【0019】
本発明は、かかる方法を実施することを可能にする装置、またとくに空間内の多角形平面の面積測定装置であって、
・選択した、照準点と呼ばれる、ある面の物理的点に使用者が視距儀を向けることを可能にするのに適した中心点を備えたフレームを介して脚部に取り付けられた視距儀であって、中心点と照準点を隔てる距離を表す信号を出力することができるのに適した視距儀と、
・中心点と照準点を通って、照準方向と呼ばれる方向の空間内の角度標定手段であって、中心点と心出しされた空間標点に対する照準方向の向きを表す信号を出力できるのに適した角度標定手段と、
・視距儀と角度標定手段がしたがって、前記空間標点に対する照準点の球座標を表す信号を出力できるのに適し、
・照準点の球座標の取得を、使用者の命令によって、始動する手段であって、視距儀と角度標定手段によって出力された信号からこれらの球座標を表す数値データの記憶を始動するのに適した手段と、
・前記多角形平面を位相的に決定することを可能にする、測定点と呼ばれる、照準点の取得した球座標から多角形平面をモデル化するのに適した数値処理ユニットとから成る装置にも関するものであり、
本発明による装置は、処理ユニットが、
・系列の二つ以下の測定点から取得した球座標から多角形平面のそれぞれの稜について切片または直線を発生して、前記面を位相的かつ個別に決定することを可能にし、その多角形平面のそれぞれの稜について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記稜に属する二つ以下の点を含む測定点の系列から、それぞれの多角形平面の幾何数値モデルを生成して記憶し
・このようにして生成したそれぞれの数値モデルの面積を表す値を計算し、記録することができるのに適している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
したがって、本発明は数値モデル内で、特許文献1や特許文献2が教示するような面ではなく、多角形平面の稜に対応する切片または直線を発生することをもって成る。したがって、N個の稜(または辺)を有する多角形平面をモデル化するには、本発明によれば、最大2N個の測定点を読み取るだけで十分である。それぞれの平面は、その境界を定める面とは独立して、単独でモデル化される。とくに、建物の部屋の床をモデル化するには、この床の境界を定める壁全体を読み取る必要はなく、床のそれぞれの稜について最大二つの点を読み取るだけで十分である。
【0021】
くわえて、本発明による処理ユニットは多角形平面の稜に照準を合わせた二つの測定点からだけではなく、所定の方向に沿った稜の上のその投影が稜に属する二つの測定点からも、すなわち稜と投影方向を含む平面に照準を合わせた任意の二つの点からも多角形平面の稜に対応する切片または直線を発生することができるのに適している。とくに、部屋の床をモデル化するには、例えば、それぞれの稜について、前記稜に鉛直な壁の上に位置する最大二つの測定点を読み取るだけで十分である。この特徴がモデル化作業を大幅に単純化し、短縮する。
【0022】
本発明による方法はとくに単純かつ迅速である。さらに、建物の部屋の外観全体をモデル化することなしにその部屋の任意の多角形平面を、限定的かつ単独に、モデル化することを可能にする。
【0023】
なお、このように定義された、本発明による方法と装置は、多角形平面の測定を可能にする。しかし該方法と装置はまた、任意の建物の面の面積を比較的精細に評価することも可能にする。実際、本発明を構想する基になった着想の一つは、一方では建物は大半が多角形平面で形成され、他方では通常の離散化方法によって、適切に選択された一つまたは複数の多角形平面に(とりわけ非平面および/または非多角形の)任意の面を同化することによってその面積の正確な概算が提供できることである。例えば、丸みのある縁を有する平坦な現実の面は、現実の面の丸みのある縁に対応する輪郭部分が(連続する頂点が丸みのある縁に照準を合わせた点に対応する)折れ線である多角形数値モデルによってモデル化できる。他方で、(非平坦な)現実の曲面は稜の大半が現実の曲面の線分に対応する複数個の平坦な多角形で形成された多面体数値モデルによってモデル化することができる。
【0024】
そして発明者が確認したところでは、低い離散度で、すなわち制限された数(例えば、1個と5個の間)の単純な多角形(例えば、それぞれ7個未満の頂点を有する)を用いて任意の現実の面をモデル化することによって、居住面計算において「Carrez」の法則によって許容される最大誤差である5%未満の誤差で現実の面の面積に近づける。このようにして発明者はまず、多角形平面の測定装置を用いて建物の面の面積を比較的正確に評価することが可能であることを証明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明による角度標定手段は好適には照準方向と空間標点の基準面によって形成された角度をそれぞれが測定する二つの角度符号化装置を備えている。
【0026】
使用者が、自分の選択した照準点に向けて視距儀を方向付けることを可能にするために、フレームは例えば、使用者による視距儀の手動方向付けを可能にするのに適した視距儀操作手段を備えている。フレームは有利には二つのジンバルによって構成され、第一のジンバルが垂直回転軸を中心に脚部の上を自由に旋回するように取り付けられ、第二のジンバルが水平回転軸を中心に第一のジンバルの上を自由に旋回するように取り付けられており、視距儀はこの第二のジンバルの上に固定される。このようにして視距儀は手動でそれぞれの測定点に方向付けることができる。
【0027】
本発明のこの推奨実施態様は先に述べたジンバルの回転駆動モーターなどの、視距儀の自動的かつプログラムされた方向付けを可能にするのに適した視距儀操作手段をフレームに備える可能性を排除しない。ただし、かかる手段は装置のコストを無用に引き上げ、その使用を複雑にすることが分かっている。
【0028】
有利には、また本発明によれば、それぞれの測定点の球座標の取得は前記測定点の照準の瞬間に手動で始動される。このために、始動手段は即時に作用する手動の始動機構を備えている。始動機構は例えば機械式機構、または使用者の指の存在を検知するのに適した感熱式もしくは場合によっては光学式機構である。推奨実施態様において、装置には通常の既知の視距儀が組み込まれ、本発明による始動機構は視距儀の記憶ボタンに対応するものであり、前記ボタンを押すと視距儀によって測定された距離の記憶だけでなく、角度標定手段によって測定された角度の記憶も始動するように改造されている。しかしながら、本発明のこの推奨実施態様は時限プログラム式始動手段を装置に備える可能性を排除するものではない。
【0029】
先に述べたごとく、多角形平面の数値モデルを生成するために、前記面を位相的に決定することを可能にする測定点の系列を選択する。とくに、単独で多角形平面の位相を決定する、完全系列と呼ばれる、測定点の系列を選択する。本発明による処理ユニットはかかる測定点完全系列から取得された球座標から多角形平面の数値モデルを生成するのに適している。
【0030】
とくに、有利には、また本発明によれば、本発明による処理ユニットは、多角形平面のそれぞれの頂点について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記頂点と一致する点を含む測定点の系列から多角形平面の数値モデルを生成するのに適している。本発明による方法において、少なくとも一つの多角形平面について、かかる測定点系列を選択する。数値モデルはこの場合、多角形平面の稜に対応する切片を定義する点である、多角形平面の頂点をモデル化する点から構築される。切片のそれぞれの端(数値モデルの頂点)は多角形平面の対応する頂点を通り、所定の(全ての頂点について同一の)投影方向に平行な軸の上に位置する測定点の球座標から発生する。この測定点は頂点自体であることができる。かかる測定点系列は、前記面の位相を、単独で完全に決定する。これは完全系列である。
【0031】
例えば、水平な床または天井などの建物の部屋の水平な多角形平面を測定するには、多角形面のそれぞれの頂点について、前記水平面の上の垂直方向に沿った投影(直交投影のことである)が前記頂点と一致する点を含む測定点(完全)系列を有利に選択する。したがって、建物の部屋の境界を定める面の面積を測定するために装置を使用するとき、処理ユニットは水平な床または天井などの水平な多角形平面の数値モデルを、多角形面のそれぞれの頂点について、前記水平面の上の垂直投影が前記頂点と一致する点を含む測定点系列から生成するのに有利には適している。この点は頂点自体、あるいはこの頂点を通る垂直軸の上に位置する、すなわち前記頂点を囲繞する二つの壁の交差での部屋の隅に位置する点とすることができる。したがって、この点は部屋の隅の任意の高さに選択可能であり、それによって家具などの障害物がある場合に引き起こされる問題を回避することが可能になる。
【0032】
有利には本発明によれば、変形例または、好適には、組み合わせ例において、本発明による処理ユニットはさらに、多角形平面のそれぞれの稜について、所定の方向に沿った該面の上の投影が前記稜に属し、かつ別個である二つの点を含む測定点の系列から多角形平面の数値モデルを生成するのに適している。本発明による方法において、少なくとも一つの多角形平面のためにかかる測定点の系列を選択する。この場合、数値モデルは多角形平面の稜をモデル化する直線から構築される。該モデルのそれぞれの直線は面の対応する稜と所定の投影方向(全ての稜について同一)とによって定義された平面内に位置する二つの測定点の球座標から発生する。これらの点の一つ(またはいくつか)は稜自体の上に位置づけることができる、さらには稜の端、すなわち多角形面の頂点に対応することができる。かかる点の系列は、前記面の位相を、単独で完全に決定する;これは完全系列である。
【0033】
例えば、水平な床または天井などの建物の部屋の水平な多角形平面を測定するには、多角形面のそれぞれの稜について、前記水平面の上の垂直方向に沿った投影(直交投影)が前記稜に属し、かつ別個である二つの点を含む測定点(完全)系列を選択する。したがって、建物の部屋の境界を定める面の面積を測定するために装置を使用するとき、処理ユニットは水平な床または天井などの水平な多角形平面の数値モデルを、多角形面のそれぞれの稜について、前記水平面の上の垂直投影が前記稜に属し、かつ別個である二つの点を含む測定点系列から生成するのに有利には適している。言い換えれば、それは稜によって境界を定められた垂直壁上の、稜自体の上あるいは前記稜に垂直に位置する点である。ここでも、本発明は家具などの障害物の問題を回避することを可能にするが、それはこれら二つの点が垂直方向に整列しておらず(したがって、別個の投影を有するので)、前記稜によって境界を定められた垂直壁上に任意の二つの点を選択することができるからである。
【0034】
なお、本発明による方法のこの実施態様は、たしかに、面の頂点に対応する点を読み取ることをもって成る先の実施態様の最大二倍の測定点を読み取ることになるが、使用者は正確に頂点(または測定する面が水平であるときは部屋の垂直な隅)に照準を合わせる努力をする必要がなく、反対に稜の上の(あるいは稜に鉛直な垂直壁上の)任意の点を選択できるので、それぞれの読取りはより迅速に実施される。
【0035】
有利には本発明によれば、それぞれの多角形平面のモデル化作業は装置のユーザーインターフェイスを用いた、前記作業の始動命令の最初の入力と前記作業の終了命令の最終入力とを好適には含んでいる。
【0036】
処理ユニットが頂点の系列、稜点の系列、場合によっては稜点と頂点を含む系列、などの各種の測定点系列から数値モデルを生成するのに適しているとき、多角形平面のモデル化のために、あるタイプの測定点系列を選択し、(第一の測定点の読取りの前に)モデル化作業の始動の際に、選択したタイプの系列を定義する情報を入力する。
【0037】
モデル化作業始動命令と、作業のために選択したタイプの測定点系列を定義する情報は、ユーザーインターフェイスの単独かつ同一のコマンドを用いて同時に入力することができる。このコマンドは測定する面のタイプ:水平面、垂直面、斜面、任意の面、などを定義することも可能である。処理ユニットは例えば、使用者が下記を入力することを可能にするのに適している:
・第一のコマンドによる、面の頂点に対応する測定点からの任意の多角形平面のモデル化作業の始動命令、
・第二のコマンドによる、面の稜点に対応する測定点からの任意の多角形平面のモデル化作業の始動命令、
・第三の、―あるいは第四の―コマンドによる、面の頂点に対応する測定点からの水平―あるいは垂直―多角形平面のモデル化作業の始動命令、
・第五の、―あるいは第六の―コマンドによる、面の稜点に対応する測定点からの水平―あるいは垂直―多角形平面のモデル化作業の始動命令、など。
【0038】
数多くの場合において、多角形平面の幾何(または位相)は、そこから全ての測定点が見える、観察点と呼ばれる、装置の配置点を決定することが可能なものである。そのとき、測定点は全てこの同じ観察点から読み取られる。
【0039】
これが当てはまらないとき、多角形平面のモデル化作業には次の過程が含まれる:
・第一の観察点から見える対応系列の測定点を読み取る過程、
・第一の観察点からは見えない前記系列の少なくとも一つの別の測定点が見える第二の観察点に装置の中心点を移動する過程、
・再調整点と呼ばれる点を、第二の観察点から、読み取る過程であって、前記再調整点は第一の観察点に対して第二の観察点の位置を決定することを可能にするように選択されている、
・処理ユニットは、第一の観察点の空間標点内で、第二の観察点とそこから読み取られた一つまたは複数の測定点の座標を計算するのに適しているので、第二の観察点から見える一つまたは複数の測定点を読み取る過程。
【0040】
なお、第一の観察点は、この点から系列の最大数の測定点を読み取ることができるように選択される。
【0041】
同様に、第一の観察点は、好適には、第二の観察点からも見える多角形面の少なくとも一つの稜をモデル化することを可能にするのに少なくとも十分な数の測定点がそこから見えるように選択され、このときこの稜の二つの端(頂点)に対応する二つの点(端それ自体、あるいは所定の方向に沿った面上のその投影がこれらの端と一致する点)が第二の観察点の再調整点として選択される。第一の観察点はまた、「稜線」という用語が稜(有限切片)を担持する(無限)直線を意味するとき、前記面の平行でない少なくとも二本の稜線をモデル化するのに少なくとも十分な数の測定点が、二つの観察点から見えるように選択され、このときこれら二つの稜のそれぞれの上の二つの点に対応する二つの点(合計四つの点)が第二の観察点の再調整点に選ばれる。この二つの場合において、再調整点は測定される多角形平面に、あるいはその境界を定める面に照準を合わせた点であって、使用者が設置した反射目標に照準を合わせた点ではない。したがって、再調整は正確である。くわえて、特許文献2とは違って、いかなる「仮想隔壁」も定義されず、それによって誤差のおそれ(実際、特許文献2の方法では、モデル内のこの隔壁を消し忘れるおそれがある、など)が減少する。
【0042】
なおまた、読み取るべき測定点(最初の二つの観察点から見えない点)が残っているときは、装置(すなわちその中心点)を第三の観察点に、以下同様にその系列の測定点全体が読み取られるまで、移動しなければならないことがある。追加のそれぞれの観察点の位置は適切に選択された再調整点を読み取ることによって、第一の観察点の空間標点内で標定しなければならない。
【0043】
最初に定義したように、処理ユニットは多角形平面を位相的に決定することを可能にする測定点の系列、またとりわけ単独でこの位相を決定する測定点完全系列の、取得した球座標から数値モデルを生成するのに適している。
【0044】
組み合わせ例として、有利には本発明によれば、処理ユニットはまた、
・数値モデル内に幾何的対象物を発生することを可能にするデータおよび数値モデルの幾何的対象物の間の幾何的関係を生成することを可能にするデータをはじめとする、数値モデルに課される幾何的制約を定義することを可能にする、制約データと呼ばれるデータの入力を、グラフィックユーザーインターフェイスを介して、使用者に可能にし、
・測定点の系列と制約の系列を組み合わせることによって、多角形平面の位相を決定することができるので、減少系列と呼ばれる測定点の系列の取得球座標と幾何的制約の系列の入力した制約データから切片および/または直線を発生して多角形平面の数値モデルを生成できるように、入力した制約データを管理するのに適している。言い換えれば、測定点の減少系列は、単独では、多角形平面の位相を部分的にしか決定しないので、測定点と幾何的制約は、組み合わせることにより、多角形平面の位相を(完全に)決定するように選択される。
【0045】
したがって、本発明は、測定法であって、測定する少なくとも一つの多角形平面について、
・一方では減少系列と呼ばれる測定点系列を、他方では、多角形平面の数値モデルに課す少なくとも一つの幾何的対象物および/または前記数値モデルの幾何的対象物の間に課される少なくとも一つの幾何的関係をはじめとする、多角形平面の数値モデルに課される幾何的制約の系列を選択するに際し、前記測定点系列および幾何的制約の系列は、組み合わせることによって、多角形平面の位相を決定するように選択され、
・対応する系列のそれぞれの測定点を読取り、対応する系列のそれぞれの幾何的制約を定義することを可能にする、制約データと呼ばれるデータを、グラフィックユーザーインターフェイスを介して入力して、前記面のモデル化作業を実施し、
・処理ユニットが、
使用者がかかる制約データを入力することを可能にし、前記データを管理し、
測定点の減少系列の取得球座標と制約の系列の入力した制約データから切片および/または直線を発生して多角形平面の数値モデルを生成するのに適している方法にも敷衍される。
【0046】
本発明による処理ユニットは、例えば、点、切片、多角形、などの中から選択された幾何的対象物を発生する制約データの入力を使用者に可能にするのに適している。本発明による方法において、かかる幾何的対象物を発生する少なくとも一つの制約データを入力する。ユーザーインターフェイスは有利には、グラフィック手段(グラフィックタブレットとスタイラス、など)によって、設定したコマンド(それぞれ所与の点、切片、多角形などの発生を指令する、キーボードのキー、または画面に表示されカーソルで選択されるアイコン、など)によって、あるいは設定コマンドラインなどによって使用者が幾何的対象物(点、切片、多角形、など)を描くことを可能にするのに適している。
【0047】
有利には本発明によれば、処理ユニットはまた、
・弧、またとくに円弧などの曲線幾何対象物を発生する制約データの入力を使用者に可能にし(本発明による方法において、曲線幾何対象物を発生する少なくとも一つの制約データを入力する)、
・かかる制約データ(および測定点減少系列)から曲線幾何対象物を統合する非多角形平面の数値モデルを作成し、
・このように作成された数値モデルの面積を表す値を計算する:
のにも適している。
【0048】
例えば、処理ユニットは、円弧あるいは、三つの点を、またとりわけ三つの測定点を通る他の一切の原始関数を発生することを可能にするのに適している。
【0049】
本発明のこの実施態様において、したがって、装置は非多角形平面を測定し、より正確な(平坦あるいは非平坦)非多角形面の面積の概算を提供することも可能にする。
【0050】
本発明による処理ユニットはさらに数値モデルの二つの切片の間の角度、切片の向き、切片の長さ、二つの切片の間の結合、二つの切片の平行、などの中から選択した幾何的関係を発生する制約データの入力を使用者に可能にするのに好適には適している。本発明による方法において、かかる幾何的関係を発生する少なくとも一つの制約データを入力する。ここでも、これらのデータは好適には設定したコマンド(キーボードのキー、グラフィックインターフェイス上のアイコン、など)によって入力される。
【0051】
なお、課された幾何的関係は、測定によって発生した数値モデルの既存の幾何的対象物(測定点に対応する点、測定点によって定義される切片、など)、および/またはグラフィックインターフェイスを介して使用者によって数値モデルに付加された、すなわち制約データによって発生した幾何的対象物(測定点減少系列を補完する制約点または制約切片)、におよぶことができる。
【0052】
数値モデルに課される制約は、たしかに近似的である目視評価に基づいて使用者によって選択される。実際、角度は建物においては決して完全に直角ではなく、稜は現実に決して直線ではなく、垂直でも水平でもない。しかし、それでも面積計算に関して得られた結果は非常に正確であり、課される制約を定義するのに使用者が立てた仮定による誤差の影響は計算面積に対してはきわめて小さい。
【0053】
処理ユニットによるかかる制約(対象物および関係)の管理は、例えば、数値モデル上に頂点を、またこの頂点の中に直角を生成する、あるいはまた測定点と切片の向きを課する入力した制約データによって定義された切片を発生するなどの単純な制約の導入によって、読み取る測定点の数を抑えることを可能にする。
【0054】
この可能性は面の位相を完全に決定する系列の測定点全体を見ることができるいかなる観察点も定義できない、特定の複雑な多角形平面にはとくに有利である。そこで、本発明によれば、系列の測定点全体を見ることができる少なくとも一つの観察点が存在する測定点減少系列を選択し、この単一の観察点からこれらの点を読取り、面の位相を、したがって数値モデルを測定点と組み合わせて決定する制約データを入力する。とくに、数値モデルにおいて、多角形平面の位相を完全に決定する構築点(測定点と制約点)の完全系列を決定するように、一つまたは複数の制約点を発生し、モデルのさまざまな切片または点の間に幾何的関係(角度、結合、など)を課する制約データを入力する。
【0055】
かかる方法により、別個の複数の観察点から測定点を読み取る必要をなくすことができる。さらに該方法により、単一の観察点から測定点の完全系列を読み取ることができる場合を含めて、測定する面の顕著な幾何的特性を利用してより少ない測定点を読み取ることもできる。それによって、実施すべき測定数と多角形面の読取りに費やされる時間も大幅に減少する。本発明による方法はとくに迅速かつ効率的である。
【0056】
しかしながら、多角形平面の幾何によっては、一方では複数の別個の観察点からの測定点の読取りと、他方では(例えば、測定点に追加する制約点を発生して)多角形平面の位相を完全に決定することができる幾何的制約の使用とを組み合わせる必要がある。いずれにしても、制約の使用によって読み取る測定点の数が減少する。
【0057】
なお、幾何的制約を使用したときは、モデル化作業のさまざまな過程(測定点の読取り、制約データの入力、など)は選択した制約によって、いろいろな順序で実施される。
【0058】
さらにまた、幾何的制約を使用したときは、減少系列の測定点は、制約を使用しないモデル化作業の場合の完全系列にならって、多角形平面の頂点または稜点に対応するように選択できる。したがって、例えば、多角形面の複数の頂点について、所定の方向に沿った前記面上の投影が前記頂点に一致する点を含む測定点減少系列を選択する。変形例において、多角形面の複数の稜について、所定の方向に沿った該面上の投影が前記稜に属し、かつ別個である二つの点を含む測定点減少系列を選択する。
【0059】
有利には本発明によれば(また既知の先行技術の装置とは異なり)、処理ユニットは二次元で幾何的数値モデルを生成するのに適している。変形例または組み合わせ例において、処理ユニットは三次元で幾何的数値モデルを生成するのに適している。
【0060】
他方で、処理ユニットは好適には、変分法によって、非配向制約を管理するのに適している。非配向制約は代数式の形で表される。ある問題が同時に解くことができる下位問題の集合に分解できるとき、その問題は変分と呼ばれる。変形例において、処理ユニットはパラメータ法によって、配向制約を管理するのに適している。配向制約は陽関数の形で表すことができる。ある問題が、所与の順序で、連続して順次個別に解くことができる下位問題の集合に分解できるとき、その問題はパラメータ問題と呼ばれる。
【0061】
有利には本発明によれば、処理ユニットは作成された数値モデルの少なくとも一つの、好適にはそれぞれの、切片を表す値、ならびに数値モデルの外周の長さを、すなわち前記モデルの全ての切片の長さの和を表す値を計算し記録するのに適している。このようにして本発明による装置は部屋の床の外周、すなわち(切片の長さの和として得られた)床として読み取られた多角形数値モデルの輪郭の長さに対応する建物の部屋の壁の外周の線などの、線状のものの測定を可能にする。
【0062】
最後にまた、作成された数値モデルは多角形平面の平面図を提供するので、それを視覚表示し、印刷し、場合によっては修正することができる。三次元で(後で定義するように)連結された数値モデルは対応する面の平面図だけでなく、部屋、建物などの透視図も提供する。言い換えれば、本発明の目的ではないが、本発明による装置はまた、特許文献2のように、既存の建物の平面図を生成することができるので、それを後から建築家、開発業者などが現場監理、変更実現、別の建物設計、などに再使用することができる。
【0063】
本発明は上述および後述の特徴の全てまたは一部を組み合わせていることを特徴とする測定装置と方法にも関するものである。
【実施例】
【0064】
本発明のその他の目的、特徴と利点は、非制限的な例としてのみ挙げられた本発明の推奨実施態様を表す付属の図面を参照して下記の説明を読むことによって明らかになるものである:
−図1は本発明の装置の斜視図である、
−図2は本発明によって床面積を測定する建物の部屋の水平断面図である、
−図3は図2に示した部屋の一部の透視図である、
−図4は本発明によって床面積を測定するもう一つの建物の部屋の透視図である、
−図5は本発明によって壁と天井の面積を測定するもう一つの建物の部屋の透視図である。
【0065】
図1は本発明による測定装置1を図示している。該装置は下記によって構成される。
【0066】
・視距儀に組み合わされた基準点と面上の照準を合わせた任意の物理的点を隔てる距離を表す大きさを測定し、対応する信号を出力するのに適し、照準点が視距儀のレーザーによって測られる、レーザー3式の視距儀2。
【0067】
・三脚の形の脚部4。
【0068】
・三脚4の上に視距儀2を取り付けるためのフレーム15であって、三脚の上部卓18に固定された台座17と、前記台座の中心を通る垂直軸80を中心にその芯が台座17上に回転自在に取り付けられた第一のジンバル7と、第一のジンバルの分岐の端部を通る水平軸81を中心に旋回できるように第一のジンバル7の分岐の上に、自身の分岐の端部によって、取り付けられた第二のジンバル8とから成り、両ジンバルはこのようにして中心点16のあるフレームを形成し、この(仮想)点が垂直回転軸80および水平回転軸81の交点に対応し、視距儀2がその縦軸が垂直軸80を切断するようにその後面によって第二のジンバル8の芯に固定され、一方、視距儀はその基準点がフレームの中心点16と一致するように、すなわちその後面と水平軸81を隔てる距離に対応する距離で、前記面の後方に位置するように設定されているフレーム。
【0069】
・角度標定手段であって、垂直軸80を中心とするジンバル7の回転角度(ジンバル7の芯の縦軸と台座17に対して固定の水平基準軸によって形成された角度)を表す大きさを測定し、対応する信号を出力するのに適した第一の角度符号化装置6と、水平軸81を中心とするジンバル8の回転角度(視距儀2の縦軸と第一のジンバル7に対して固定の水平基準軸によって形成された角度)を表す大きさを測定し、対応する信号を出力するのに適した第二の角度符号化装置5とから成り、このように、装置の中心点16に心出しされた空間標点に対して、その縦軸に対応する、視距儀の照準方向の向きを標定することを可能にし、視距儀によって測定された距離と角度符号化装置によって測定された角度が空間標点内の照準点の球座標を構成し、角度符号化装置が好適には10分の4度を超える(すなわち値が未満の)精度を有する標定手段。かかる精度は1%未満の誤差で多角形平面の面積計算結果を得るのにまったく十分である。
【0070】
・視距儀と角度符号化装置によって出力された信号を数値処理ユニット9に伝達することを可能にする通信ケーブル11であって、伝達が、視距儀と該符号装置によって出力された信号を照準点の球座標を表す数値データ信号に変換する、前処理電子ボックス10を介して実施され、変形例において、視距儀と電子ボックスを結ぶこの伝達ケーブルは視距儀と処理ユニットの間の直接無線周波数伝達手段に替えられる。
【0071】
・ボタン82によって形成された、照準点の球座標の取得始動機構(このボタンは、図を見やすくするために視距儀の側面に図示されているが、装置の別の場所に、また既知の通常の視距儀の記憶ボタンの場合にようにとりわけ視距儀の上面に配置することもできる)であって、使用者がこの始動ボタンを押すと、押した瞬間に照準を合わせた点の球座標を表すデータが、処理ユニット内に、記憶され、とくに、ボタン82を押すと、視距儀2によって測定された距離を表すデータの処理ユニット9内への記憶、および角度符号化装置5と角度符号化装置6による角度測定の命令と処理ユニット内への対応するデータの記憶の命令の、電子ボックス10による、伝達が引き起こされ、視距儀と処理ユニットの間の連結が無線によって確保されている場合は、該符号装置による測定命令は処理ユニットによって(ボタン82を押すことで)発生され、電子ボックスを介して該符号装置に伝達される。
【0072】
・とりわけ入力キーボード12bと、処理ユニット9によって作成された数値モデルの表示をとりわけ可能にする表示画面12aとから成るグラフィックユーザーインターフェイスであって、図示した例において、装置の処理ユニットとユーザーインターフェイスはノートパソコンのものである。それらはまたPDA(「Personal Digital Assistant」)と呼ばれるタイプの数値処理装置のもの、すなわちパームトップ・コンピューターあるいは他の一切のポータブル情報装置(電子手帳、通信携帯電話、数値処理ユニットとグラフィックインターフェイスを備えたその他の端末)のものとすることができる。
【0073】
図2は複雑な多角形平面を形成する床13の面積を測ろうとする建物の部屋の平面図(水平断面図)である。図示した例において、この測定を実施するために、該多角形平面の頂点に対応する構築点から数値モデルを構築することを選択した。
【0074】
本発明によれば、対応する測定点の系列からモデル化する頂点の減少系列と、作成中に数値モデルに制約を導入して発生した、制約点と呼ばれる点の対応する系列からモデル化する頂点の補足系列を、該面の頂点の中から、選択する。測定点と制約は測定する面の位相を完全に決定するように、また測定点の読取りが、最小数の観察点から、最小の操作と移動で実施されるように選択される。図示した例において、制約と組み合わせて、面の位相を決定することを可能にする十分な数の測定点を得るためには二つの別個の観察点からの二段階の読取りが必要である。このようにして(面の20個の頂点から)18個の点を含む測定点の減少系列と、欠けた二つの頂点に対応する二つの制約点を完全に定義することを可能にする制約系列を決定する。
【0075】
対応するコマンドを用いて(始動命令メニュー内の選択、など)、その頂点からの水平多角形平面のモデル化作業の始動命令を入力する。
【0076】
装置1を第一の観察点Aに置く。床の平坦性または(三脚の調整不良による)台座17の水平性に問題がある場合に補正するために、水平初期化命令を入力し、視距儀に担持された水準器によって指示された水平照準方向に沿って任意の面の点に照準を合わせ、前記点を読み取る。
【0077】
つぎに、第一の観察点Aから見える部屋のそれぞれの隅について、前記隅を定義する垂直壁稜上に位置する測定点、すなわち床上の垂直投影が床を形成する多角形平面の頂点と一致する点を読み取るのだが、そうするために、視距儀を測定点に向け、ボタン82を用いてその球座標の取得を始動する。このようにして、測定点20、21、22、23、24、34、35、37と38を読み取る。それぞれの測定点は部屋の隅の任意の高さに選択することができる。したがって、例えば、図3に示した測定点38は、垂直壁稜40の頂点に(天井とこの稜を形成する二つの壁の交点に)取られ、測定点22は垂直稜39の中央の高さに取られる。したがって、視距儀と測定点の間に一切の障害物が入ってこない点を選択することができる。
【0078】
つぎに、(第一の点Aからは読み取れない)部屋の他の隅が見える第二の観察点Bに視距儀を移動し、先に述べたごとく、再度水平を初期化する。
【0079】
第一の観察点Aから対応する測定点をすでに読み取った多角形面の頂点にそれぞれ対応する二つの再調整点を読み取る。そうするために、再調整コマンドと呼ばれるコマンドを入力する;数値モデル上で、測定点34に対応する、(モデルが二次元の場合)モデルの頂点を、あるいは(モデルが三次元の場合)モデルの垂直稜を選択する;測定点34を読み取った壁稜上に位置する再調整点90を読み取る。測定点37を読み取った壁稜上に位置する再調整点91を読み取って作業を反復する。処理ユニットは前記各壁稜に対する観察点Bの位置を演繹し、点Aの空間標点内で点Bの球座標を計算するのに適している。
【0080】
第一の観察点Aからは見えないが、第二の観察点Bからは見える部屋のそれぞれの隅について、任意の高さで、前記隅を定義する垂直壁稜上に位置する測定点を読み取る。このようにして、測定点25、26、27、19、28、30、31、33、および36が読み取られる。それらの球座標は観察点Aの空間標点内で計算される。
【0081】
得られた数値モデル内で、測定点28と30から発生したモデルの頂点の間に制約点29を付加し、そして対応する制約データを入力して、測定点30と制約点29(あるいは点28と29、あるいはまた点28と30、など)に対応するモデルの頂点に直角の存在を課す。同様に、測定点31と33から発生した頂点の間に制約点32を作成し、点31と32に対応する頂点に直角の存在を課す。
【0082】
処理ユニットは数値モデル内に作成された連続する構築点(モデルの頂点)を接続する切片を発生するのに適している。
【0083】
最後に、面のモデル化作業の終了命令を入力する。処理ユニット9はこのとき作成された数値モデルの面積を計算し、結果としての値を表示画面12aを介して使用者に提供する。
【0084】
変形例において、測定点だけから、すなわち測定点完全系列だけから多角形平面の頂点全体をモデル化することも可能である。この場合、三つの観察点A、C、Dからの三つの読取過程の実施が必要であり、二つの観察点CとDについては、これらの点のそれぞれから先にモデル化した頂点に対応する二つの再調整点を読み取って、再調整過程を実施しなければならない。かかる方法はより手間を取るものであり、処理ユニットの制約を管理する能力の利点が容易に理解される。
【0085】
先の例と同様に、長方形の建物の部屋の床で面積を測定するには、部屋の各隅において読み取った測定点から長方形の床の全ての頂点をモデル化することから成るモデル化作業を実施することができる。図4はかかる面を測定するための本発明による変形例を図示している。
【0086】
本発明によれば、それぞれの稜について、床上の垂直投影が前記稜に属する二つの物理的点を含む、測定点の完全系列から長方形の床14の稜をモデル化する。本発明による処理ユニット9は実際、それぞれの測定点について、所定の水平面上の測定点の投影に対応する、投影点と呼ばれる点の座標を計算し、二つの投影点から数値モデル内に直線を発生するのに適している。
【0087】
したがって、本発明によれば、部屋の任意の観察点、例えば、ほぼ中央の点に装置1を置く。その稜からの水平多角形平面のモデル化作業始動命令を入力し、水平を初期化する。ついで、壁43上の点45と46(これらの、床14上の垂直投影48、49が稜47上に位置する)などの、部屋の境界を定める四つの壁のそれぞれの上で二つの別個の測定点を読み取る。それらの点は(同一の壁の二つの測定点は別個であり、垂直に整列していないので)壁上の任意の場所に選択される。最後に、モデル化作業終了命令を入力する。処理ユニットはこのとき作成された数値モデルの面積を計算するのに適している。
【0088】
なお、モデル化が正確であるために、例えば、第一の壁41上の連続する二つの点を、ついで例えば、壁42などの他の壁のうちの任意の一つの上の連続する二つの点を、つぎに別の壁(例えば、壁43)の上の連続する二つの点を、ついで最後の壁44上の連続する二つの点を読み取らなければならない。実際、処理ユニット9は読み取られた最初の二つの測定点から最初の直線を、ついで次の二つの点について第二の直線を、また以下同様に、モデル内に、発生するためにプログラムされている。作成したモデル内に保存されるのは、直線の二つの交点によって限定される切片だけである。これらの切片の両側に延長している無限直線部分は自動的に削除される。
【0089】
図5は建物の部屋の境界を定める多角形平面のそれぞれを測定するための本発明による各種の方法を図示している。
【0090】
壁52は壁の頂点60、75、76、63で構成された測定点の完全系列からモデル化される。同様に、屋根の勾配55は勾配の頂点60、61、62、63で構成された測定点の完全系列からモデル化される。
【0091】
その他の面のそれぞれは、いくつかの稜点が面の頂点にも対応している、面のそれぞれの稜に照準を合わせた二つの点で構成された測定点の完全系列からモデル化される。したがって、壁54は壁の第一の稜上の測定点65と66、壁の第二の稜上の測定点68と69、壁の第三の稜上の測定点70と71、最後の稜の上の測定点72、73で構成される測定点の系列からモデル化される。同様に、屋根の勾配56は、勾配の第一の稜上に取られた測定点62と64、第二の稜上に取られた測定点61と67、勾配の第三の稜上に取られた測定点61と62、および勾配の最後の稜上に取られた測定点65と66からモデル化される。壁51の稜は測定点の対74と75、75と60、60と61、61と67、73と72から直線によってモデル化される。同様に、壁53の稜は測定点の対77と76、76と63、63と62、62と64、68と69からモデル化される。床50の稜は測定点の対74と75、75と76、76と77、70と71からモデル化される。
【0092】
面のそれぞれのモデル化作業は作業の始動命令の入力によって始まり、作業終了命令の入力によって終了する。
【0093】
面のそれぞれの数値モデルを三次元または二次元にまとめた、連結モデルと呼ばれる、単独で唯一のモデル上にこれらの面全体をモデル化しようとすることもできる。
【0094】
くわえて、場所の幾何を考慮に入れて、測定する面は共通の稜を有する。第一の面がモデル化され、第一のものに隣接する第二の面のモデル化を始動するとき、第一のモデルで実現された、二つの面に共通な稜のモデル化を再使用するのが、第二の数値モデルの作成に有利になることがある。
【0095】
この二つの理由のために、本発明による処理ユニットは有利には:
・多角形平面にそれぞれ対応する複数個の数値モデルをまとめる連結モデルを作成、
・一方では、同一の連結モデルに属する既存の別の数値モデルの幾何的対象物(例えば、切片とその二つの頂点)から(これは作成中のモデルに幾何的制約を課すことに帰着する)、他方では測定点の減少系列と、場合によっては再使用幾何的対象物との組み合わせで、面の位相を完全に決定することを可能にする追加の制約の減少系列から面の数値モデルを作成する、
のに適している。
【0096】
したがって、図5に図示された部屋を測定するのに、装置1を任意の観察点、例えば、中央の点に置く。面の第一のモデル化作業に先立って、複数個の多角形平面のモデル化セッションの始動命令を入力する。それから、処理ユニットは同一かつ単一の連結モデル内で(すなわち同一ファイル内で)、モデル化セッション終了命令が入力されない限り、各種の多角形平面の数値モデルを作成するのに適している。
【0097】
先に述べたごとく水平を初期化するが、処理ユニットは、初期化命令が再度入力されない限り、この初期化作業によって読み取られるままの、水平を標定するデータを保存するのに適している。この機能性は、装置が部屋の各種の面のモデル化の連続する作業の間で移動しないので有利である。
【0098】
このとき、例えば、壁52のモデル化から開始する。このために、その頂点からの垂直多角形平面のモデル化作業を始動する命令を入力する。頂点60、63、76と75を読取り、作業終了命令を入力する。
【0099】
つぎに、例えば、屋根の勾配55をモデル化するために、その頂点からの任意の多角形平面のモデル化作業の始動命令を入力する。このコマンドに続いて作成された勾配モデルは先に作成した壁52のモデルを補完する。壁52の数値モデル内で、作成中の勾配55のモデルにも属する切片として、測定点60と63によって発生した切片を選択する。この選択は勾配モデルに二つの頂点を課する制約データの入力に帰着する。つぎに勾配の欠けた二つの頂点61と62を読取り、勾配55のモデル化作業終了命令を入力する。
【0100】
つぎに例えば、壁51をモデル化するために、その稜からの垂直多角形平面のモデル化作業の始動命令を入力する。このコマンドに続いて作成された壁のモデルは先に作成した壁52と勾配55のモデルを補完する。作成中のモデルにも属する切片として、壁52の数値モデル内の測定点60と75によって発生した切片と、勾配55の数値モデル内の測定点60と61によって発生した切片を選択する。この選択は、壁51のモデルに二つの切片を課する制約データの入力に帰着する。つぎに測定点の対61と67、73と72、74と75を読取り、壁51のモデル化作業終了命令を入力する。
【0101】
なお、処理ユニットが二次元だけで数値モデルを作成するのに適しているとき、連結モデルは作成中のモデルをその共通切片が最初に選択された先行の隣接モデルのそれに連結して構築される。このようにして、壁52のモデルの切片60−75が壁51のモデルに課される切片として最初に選択されると、壁51のモデルはこの切片を共有する壁52のモデルに連結される。壁51のモデルに課される切片として勾配55のモデル内の切片60−61を後から選択すると、壁51のモデルのためにこの切片60−61を表す新たな切片(すなわち対応する稜)が、連結モデル内に、発生させられる。
【0102】
なおまた、先の方法において、測定点61と75は二回読み取られる。この冗長は、例えば、その頂点からの壁51のモデル化を選択することによって回避できる。作成中の壁51のモデルにも属する切片として、壁52の数値モデル内の測定点60と75によって発生した切片と、勾配55の数値モデル内の測定点60と61によって発生した切片とを選択することは、壁51のモデル内に三つの頂点を発生する制約データの入力に帰着する。つぎに、モデル化を終了するために欠けている二つの頂点を読み取るだけである。
【0103】
唯一の測定点から切片の発生を課す測定67および制約点から切片61−67と、その端61における切片60−61と発生した切片の結合を定義することによって、この冗長を回避することもできる。しかしながら、対応する操作(制約データの入力、など)は点61または対応する切片を発生するための対応する稜の上の(点67とは異なる)他の一切の測定点の再読取りよりも長くなる。
【0104】
一般的に、同一セッションの枠内でモデル化される面のそれぞれについて(頂点または稜による)同一の読取方法を使用することが推奨されるが、それは読取作業を機械的にし、それによって一切の誤差のおそれを回避するためである。その頂点による面のモデル化は、読み取る測定点の数を抑える意味で可能である(障害物がない)とき好適である。
【0105】
最後のモデル化作業の終了命令を入力した後、全ての面がモデル化されたとき、モデル化セッション終了命令を入力する。
【0106】
処理ユニットは作成されたモデルのそれぞれの面積を計算し、それによって測定した多角形平面のそれぞれの面積の推定を提供するのに適している。該処理ユニットは好適には床面モデル、壁面モデルと(水平および/または傾いた)天井面モデルのそれぞれ合計面積を計算するのにも適している。
【0107】
もちろん、本発明は先に説明し、図に表した実施態様に対して数多くの変形例の対象となることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の装置の斜視図
【図2】本発明によって床面積を測定する建物の部屋の水平断面図
【図3】図2に示した部屋の一部の透視図
【図4】本発明によって床面積を測定するもう一つの建物の部屋の透視図
【図5】本発明によって壁と天井の面積を測定するもう一つの建物の部屋の透視図
【符号の説明】
【0109】
1 測定装置
2 視距儀
3 レーザー
4 脚部
5 角度標定手段
6 角度標定手段
7 視距儀の操作手段
8 視距儀の操作手段
9 数値処理ユニット
10 電子ボックス
11 通信ケーブル
13 多角形平面
14 多角形平面
15 フレーム
16 中心点
17 台座
18 上部卓
80 垂直軸
81 水平軸
82 始動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の多角形平面の面積測定方法であって、
・選択した、照準点と呼ばれる、ある面の物理的点に使用者が視距儀を向けることを可能にするのに適した中心点(16)を備えたフレーム(15)を介して脚部(4)に取り付けられた視距儀(2)であって、中心点と照準点を隔てる距離を表す信号を出力することができるのに適した視距儀と、
・中心点と照準点を通って、照準方向と呼ばれる方向の空間内の角度標定手段(5、6)であって、中心点と心出しされた空間標点に対する照準方向の向きを表す信号を出力できるのに適した角度標定手段と、
・視距儀と角度標定手段が、前記空間標点に対する照準点の球座標を表す信号を出力できるのに適し、
・照準点の球座標の取得の、使用者の命令による、始動手段(82)であって、視距儀と角度標定手段によって出力された信号からこれらの球座標を表す数値データの記憶を始動するのに適した手段と、
・前記多角形平面を位相的に決定することを可能にする、測定点と呼ばれる、照準点の取得した球座標から多角形平面をモデル化することができるのに適した数値処理ユニット(9)とから成る装置(1)を使用し、
測定するそれぞれの多角形平面(13;55)について、
・前記多角形平面を位相的かつ個別に決定することを可能にし、その多角形面のそれぞれの稜について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記稜に属する二つ以下の点を含む測定点の系列(19〜38;60〜63)を選択し、
・それぞれの測定点につぎつぎと視距儀を向け、その球座標の取得を始動することによってその系列の測定点を読み取る、前記面のモデル化作業を実行し、処理ユニットが、
二つ以下の測定点から取得した球座標から前記面のそれぞれの稜について切片または直線を発生して多角形平面の幾何数値モデルを作成して記憶し、
このようにして作成した数値モデルの面積を表す値を計算し、記録することができるのに適していることを特徴とする、面積測定方法。
【請求項2】
測定される少なくとも一つの多角形平面(55)について、前記多角形平面の位相を単独で決定する、完全系列と呼ばれる、測定点系列(60〜63)を選択することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの多角形平面(55)について、多角形面のそれぞれの頂点ごとに、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記頂点と一致する点を含む、測定点系列(60〜63)を選択することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水平な床または天井などの建物の部屋の水平多角形平面を測定するために、多角形面のそれぞれの頂点ごとに、前記水平面上のその垂直投影が前記頂点と一致する点を含む、測定点系列を選択することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの多角形平面(14)について、多角形面のそれぞれの稜(47)ごとに、所定の方向に沿った該面上のその投影(48、49)が前記稜に属し、かつ別個である二つの点(45、46)を含んでいる測定点系列を選択することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
水平な床または天井などの建物の部屋の水平多角形平面を測定するために、多角形面のそれぞれの稜ごとに、前記水平面上のその垂直投影が前記稜に属し、かつ別個である二つの点を含む、測定点系列を選択することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
測定する少なくとも一つの多角形平面(13)について、
・一方では減少系列と呼ばれる測定点系列(19〜38)を、他方では、多角形平面の数値モデルに課す少なくとも一つの幾何的対象物(29、32)および/または前記数値モデルの幾何的対象物の間に課される少なくとも一つの幾何的関係をはじめとする、多角形平面の数値モデルに課される幾何的制約の系列を選択するに際し、前記測定点系列および幾何的制約の系列は、組み合わせることによって、多角形平面の位相を決定するように選択され、
・対応する系列のそれぞれの測定点(19〜38)を読取り、対応する系列のそれぞれの幾何的制約を定義することを可能にする、制約データと呼ばれるデータを、グラフィックユーザーインターフェイス(12a、12b)を介して入力して、前記面のモデル化作業を実施し、
・処理ユニットが、
使用者がかかる制約データを入力することを可能にし、前記データを管理し、
測定点の減少系列の取得球座標と制約の系列の入力した制約データから切片および/または直線を発生して多角形平面の数値モデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
多角形面の複数個の頂点について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記頂点と一致する点を含む測定点の減少系列(19〜38)を選択することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
多角形面の複数個の稜について、所定の方向に沿った前記面上のその投影が前記稜に属し、かつ別個である二つの点を含む測定点の減少系列を選択することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
点、切片、多角形のなかから選択された幾何的対象物を発生する少なくとも一つの制約データを入力することを特徴とする、請求項7から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
数値モデルの二つの切片の間の角度、切片の向き、切片の長さ、二つの切片の間の結合、二つの切片の平行の中から選択した幾何的関係を発生する少なくとも一つの制約データを入力することを特徴とする、請求項7から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
弧などの曲線幾何対象物を発生する少なくとも一つの制約データを入力し、処理ユニット(9)がかかる制約データから一つまたは複数の曲線幾何対象物を統合する非多角形平面の数値モデルを作成し、このように作成された数値モデルの面積を表す値を計算するのに適していることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
視距儀(2)が手動でそれぞれの測定点に向けられることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
それぞれの測定点の球座標の取得が前記測定点の照準の瞬間に手動で始動されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
多角形平面(13)のモデル化作業に、
・第一の観察点(A)から見える対応系列の測定点(20〜24、34、35、37、38)を読み取る過程、
・第一の観察点からは見えない前記系列の少なくとも一つの別の測定点が見える第二の観察点(B)に装置の中心点を移動する過程、
・再調整点と呼ばれる点(90、91)を、第二の観察点から、読み取る過程であって、前記再調整点は第一の観察点に対して第二の観察点の位置を決定することを可能にするように選択されている、
・処理ユニットは、第一の観察点の空間標点内で、第二の観察点とそこから読み取られた観察点の座標を計算するのに適しているので、第二の観察点から見える測定点(25〜28、19、30、31、33、34、36、37)を読み取る過程、
が含まれることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
それぞれの多角形平面のモデル化作業が、装置のユーザーインターフェイスによる、前記作業の始動命令の初期入力と前記作業の終了命令の最終入力を含んでいることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
あるタイプの測定点系列を選択し、モデル化作業を始動するときに、選択した系列のタイプを定義する情報を入力することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
多角形平面の数値モデルをまとめた、連結モデルと呼ばれる数値モデルを実現しようとする複数個の多角形平面(50〜56)を測定するための方法であって、面の最初のモデル化作業に先立ってモデル化セッションの始動命令を入力し、面の最後のモデル化作業が終わった後に前記セッションの終了命令を入力することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
空間内の多角形平面の面積測定装置であって、
・選択した、照準点と呼ばれる、ある面の物理的点に使用者が視距儀を向けることを可能にするのに適した中心点(16)を備えたフレーム(15)を介して脚部(4)に取り付けられた視距儀(2)であって、中心点と照準点を隔てる距離を表す信号を出力することができるのに適した視距儀と、
・中心点と照準点を通って、照準方向と呼ばれる方向の空間内の角度標定手段(5、6)であって、中心点と心出しされた空間標点に対する照準方向の向きを表す信号を出力できるのに適した角度標定手段と、
・視距儀と角度標定手段がしたがって、前記空間標点に対する照準点の球座標を表す信号を出力できるのに適し、
・照準点の球座標の取得を、使用者の命令によって、始動する手段(82)であって、視距儀(2)と角度標定手段(5、6)によって出力された信号からこれらの球座標を表す数値データの記憶を始動するのに適した手段と、
・前記多角形平面を位相的に決定することを可能にする、測定点と呼ばれる、照準点の取得した球座標から多角形平面をモデル化することができるのに適した数値処理ユニット(9)とから成り、処理ユニットが、
・系列の二つ以下の測定点から取得した球座標から前記面のそれぞれの稜を発生して、前記面を位相的に個別に決定することを可能にし、多角形平面のそれぞれの稜について、所定の方向に沿った前記面上の投影が前記稜に属する二つ以下の点を含む測定点の系列(19〜38;60〜63)からそれぞれの多角形平面(13;55)の幾何数値モデルを作成して記憶し、
・このようにして作成したそれぞれの数値モデルの面積を表す値を計算し、記録することができるのに適していることを特徴とする、面積測定装置。
【請求項20】
処理ユニット(9)が多角形平面の位相を単独で決定する、完全系列と呼ばれる、測定点系列(60−63)の取得した球座標から多角形平面(55)の数値モデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
処理ユニット(9)が、多角形面のそれぞれの頂点ごとに、所定の方向に沿った該面上のその投影が前記頂点と一致する点(60−63)を含む測定点系列から多角形平面(55)の数値モデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
建物の部屋の境界を定める面の面積を測定するために用いられる装置であって、処理ユニット(9)が、水平な床または天井などの水平多角形平面の数値モデルを、多角形面のそれぞれの頂点ごとに、前記水平面上のその垂直投影が前記頂点と一致する点を含む測定点系列から作成するのに適していることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
処理ユニット(9)が、多角形面のそれぞれの稜ごとに、所定の方向に沿った該面上のその投影が前記稜に属し、かつ別個である二つの点(45、46、…;65、66、68〜73)を含んでいる測定点系列から多角形平面(14;54)の数値モデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
建物の部屋の境界を定める面の面積を測定するために用いられる装置であって、処理ユニット(9)が、水平な床または天井などの水平多角形平面(14)の数値モデルを、多角形面のそれぞれの稜(47)ごとに、前記水平面上のその垂直投影(48、49)が前記稜に属し、かつ別個である二つの点(45、46)を含んでいる測定点系列から作成するのに適していることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
処理ユニット(9)が、
・数値モデル内に幾何的対象物を発生することを可能にするデータおよび数値モデルの幾何的対象物の間の幾何的関係を発生することを可能にするデータをはじめとする、数値モデルに課される幾何的制約を定義することを可能にする、制約データと呼ばれるデータを、グラフィックユーザーインターフェイス(12a、12b)を介して使用者が入力することを可能にし、
・測定点系列と制約の系列を組み合わせることによって、多角形平面の位相を決定することができるので、減少系列と呼ばれる、測定点の系列(19−38)の取得球座標と幾何的制約の系列の入力した制約データから切片および/または直線を発生して多角形平面(13)の数値モデルを作成できるように入力した制約データを管理するのに適していることを特徴とする、請求項19から24のいずれか一つに記載の装置。
【請求項26】
処理ユニット(9)が、点、切片、多角形の中から選択された幾何的対象物を発生する制約データの入力を使用者に可能にするのに適していることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
処理ユニット(9)が、数値モデルの二つの切片の間の角度、切片の向き、切片の長さ、二つの切片の間の結合、二つの切片の平行の中から選択した幾何的関係を発生する制約データの入力を使用者に可能にするのに適していることを特徴とする、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
処理ユニット(9)が、
・弧などの曲線幾何対象物を発生する制約データを使用者が入力することを可能にし、
・かかる制約データから曲線幾何対象物を統合する非多角形平面の数値モデルを作成し、
・このように作成された数値モデルの面積を表す値を計算するのに適していることを特徴とする、請求項25から27に記載の装置。
【請求項29】
処理ユニット(9)が、変分法によって、非配向制約を管理するのに適していることを特徴とする、請求項25から28に記載の装置。
【請求項30】
処理ユニット(9)が、二次元幾何数値モデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項19から29のいずれか一つに記載の装置。
【請求項31】
処理ユニット(9)が、三次元幾何数値モデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項19から30のいずれか一つに記載の装置。
【請求項32】
処理ユニット(9)が、多角形平面にそれぞれ対応する複数個の数値モデルをまとめた、連結モデルと呼ばれるモデルを作成するのに適していることを特徴とする、請求項19から31に記載の装置装置。
【請求項33】
処理ユニット(9)が、作成された数値モデルのそれぞれの切片の長さを表す値と数値モデルの外周の長さを表す値を計算し記録するのに適していることを特徴とする、請求項19から32のいずれか一つに記載の装置。
【請求項34】
フレーム(15)が、使用者による視距儀の手動方向付けを可能にするのに適した視距儀の操作手段(7、8)を備えていることを特徴とする、請求項19から33のいずれか一つに記載の装置。
【請求項35】
始動手段(82)が、即時に作用する手動の始動機構を備えていることを特徴とする、請求項19から34のいずれか一つに記載の装置。
【請求項36】
角度標定手段が、二つの角度符号化装置(5、6)を備えていることを特徴とする、請求項19から35のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−523338(P2007−523338A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553616(P2006−553616)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000365
【国際公開番号】WO2005/090910
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(506282159)
【氏名又は名称原語表記】MEASURIX