説明

靴の中敷

【課題】 歩くことで健康の維持増進を図りながらも、不快に感じることがなく、しかも長期間使用しても傷みにくい靴の中敷を提供する。
【解決手段】 本体1表面には、複数の隆起部2a〜2eを設ける一方、この隆起部2a〜2eを除いた部分に複数の小孔5を貫通させる。
そして、本体1表面および裏面のいずれか一方または双方に、収汗性あるいは収湿性を有するカバー部材3,4を固定するとともに、このカバー部材3,4には、上記本体1の隆起部2a〜2eに重なる部分以外の部分に複数の小孔5を貫通させる。
また、台形の隆起部2bを土踏まず反射区Bの範囲内に設ける一方、円形の隆起部2aを踵反射区Aの範囲内、親指反射区Cの範囲内、および、上記親指反射区Cと土踏まず反射区Bとの間であって本体1の内側寄りに連続的に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、健康の維持増進を図る靴の中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
足裏のつぼを刺激するために、表面を隆起させた靴の中敷が従来から知られている。こうした中敷を敷いた靴を履けば、足裏のつぼに上記隆起部が位置するとともに、歩きながら足裏のつぼを刺激して健康の維持増進を図ることができる。
【特許文献1】実用新案登録第104006号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の靴の中敷によれば、歩くたびに隆起部が足裏のつぼを刺激して、足の血行がよくなる。
このように、歩行中に足の血行がよくなると、足の発汗機能が活発化して、靴の中で足が蒸れて不快に感じたり、あるいは汗が中敷に染み込んで、中敷の傷みが早まったりするという問題があった。
【0004】
この発明の目的は、歩くことで健康の維持増進を図りながらも、不快に感じることがなく、しかも長期間使用しても傷みにくい靴の中敷を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、本体表面に、複数の隆起部を設ける一方、この隆起部を除いた部分に複数の小孔を貫通させた点に特徴を有する。
第2の発明は、本体表面および裏面のいずれか一方または双方に、収汗性あるいは収湿性を有するカバー部材を固定するとともに、このカバー部材には、上記本体の隆起部に重なる部分以外の部分に複数の小孔を貫通させた点に特徴を有する。
第3の発明は、台形の隆起部を土踏まず反射区の範囲内に設ける一方、円形の隆起部を踵反射区の範囲内、親指反射区の範囲内、および、上記親指反射区と土踏まず反射区との間であって本体の内側寄りに連続的に設けた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明によれば、本体表面に設けた複数の隆起部によって、足裏のつぼを刺激することができるので、歩行しながら健康の維持増進を図ることができる。
しかも、隆起部を除いた部分に複数の小孔を貫通させたので、歩行するたびに小孔内の空気が対流して通気性が非常に高くなるとともに、足から発汗しても、汗が小孔から中敷内に吸収される。したがって、靴の中で足が蒸れて不快に感じることがない。また、通気性が高いので、汗が中敷に染み込んでも、靴を脱げば短時間で中敷を乾燥させることができる。したがって、中敷が傷みにくく、長期間使用することができる。
さらに、隆起部には小孔を形成しないので、長期間に渡って隆起形状を維持することができる。
【0007】
第2の発明によれば、本体に収汗性または収湿性を有するカバー部材を固定したので、一層靴内の蒸れを低減することができ、不快感を払拭することができる。
第3の発明によれば、特に健康の維持増進を活発化して足の発汗機能が活発化する。このように、発汗機能が活発化しても通気性が極めて高いので、足が蒸れて不快に感じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1,2を用いて、この発明の実施形態について説明する。
図1に示す右足用の中敷は本体1からなるが、この本体1の表面には、複数の隆起部2a〜2eを設けている。本体1を図中点線で示す踵反射区A、土踏まず反射区B、および親指反射区Cに区画すると、上記隆起部2aは、踵反射区Aの範囲内に位置するとともに、隆起部2eは、親指反射区Cの範囲内に位置している。そして、上記踵反射区Aと親指反射区Cとの間に位置する土踏まず反射区Bの範囲内には、隆起部2bが位置している。また、親指反射区Cと土踏まず反射区Bとの間であって、本体1の内側寄り(図1中左寄り)に、隆起部2cおよび隆起部2dが連続的に位置している。
なお、ここでいう踵反射区Aとは、本体1を靴の中に敷いて足を入れたとき、足の踵が接触する範囲のことであり、同様に土踏まず反射区Bは足の土踏まずが、親指反射区Cは足の親指あるいはその付け根が位置する範囲のことである。
【0009】
上記隆起部2a〜2eは、本体1の上面が隆起した部位であり、この実施形態においては各隆起部2a〜2eに弾性をもたせている。また、これら各隆起部2a〜2eは、本体1表面から3mm〜10mmの範囲内で隆起しており、直径は約25mm〜45mm程度であるが、その高さおよび直径は特に限定されるものではなく、任意に決めることができる。また、上記隆起部2a,2c,2d,2eは、円形の形状であり、隆起部2bのみ台形形状であるが、この各隆起部2a〜2eの形状も特に限定されるものではない。
【0010】
また、図2に示すように、本体1には、表面および裏面を一対のカバー部材3,4で挟み込んで固定している。この一対のカバー部材3,4は、収汗性あるいは収湿性を有する人工皮革、合成皮革、皮あるいは合成繊維等を素材にしている。そして、本体1をカバー部材3,4で挟み込むようにして覆ったとき、本体1の隆起部2a〜2eに重なる部分以外のほぼ全面に、多数の小孔5を貫通させている。なお、この小孔5は直径1mm〜3mmで形成している。また、本体1表面には、隆起部2a〜2eが隆起しているため、本体1表面を覆うカバー部材3も、これら隆起部2a〜2eと同様に隆起している。
【0011】
上記の構成からなる中敷を靴の中に敷いて歩行すると、隆起部2a〜2eが足裏の各器官や脳を刺激するつぼを押圧する。このように、隆起部2a〜2eが各つぼを押圧した状態でしばらく歩行を続けると、血行が良化して足から発汗する。しかし、この中敷によれば、歩行するたびに、言い換えれば、中敷を押圧するたびに、弾性力によって小孔5が伸縮するとともに、小孔5内で空気の対流が発生する。特にこの中敷においては、隆起部2a〜2eが弾性を有しているため、隆起部2a〜2eをその上方から押圧すると、隆起部2a〜2eがその半径方向に伸縮する。隆起部2a〜2eが半径方向に伸縮すれば、本体1全体が幅方向にわずかに伸縮して、小孔5も伸縮することになる。したがって、小孔5内の空気の対流が非常に活発に行われることとなり、靴内の空気が小孔5に入ったり出たりする。
【0012】
このように、歩行するたびに小孔5内の空気が対流して通気性が非常に高くなれば、靴の中で足が蒸れて不快に感じることがない。また、通気性が高いので、発汗機能が活発化して汗が中敷に染み込んでも、靴を脱げば短時間で中敷を乾燥させることができる。したがって、中敷が傷みにくく、長期間使用することができる。
さらに、隆起部2a〜2eには小孔5を形成しないので、長期間に渡って隆起形状を維持することができる。
【0013】
また、本体1には、収汗性または収湿性を有するカバー部材3,4を固定したので、靴内の蒸れを一層低減することができ、不快感を払拭することができる。しかも、隆起部2a〜2eは、踵反射区A、土踏まず反射区B、親指反射区C等に最適な配置をしているので、特に健康の維持増進を活発化することができる。このように、足の発汗機能が活発化する位置に隆起部2a〜2eを形成しても、この中敷は通気性が極めて高いので、足が蒸れて不快に感じることがない。
なお、上記実施形態においてはカバー部材3,4を本体1の表面および裏面に設けたが、本体1のみによっても靴内の通気性を十分に向上させることができるので、カバー部材3,4を必ずしも設けなくてもよいし、いずれか一方のみを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この実施形態の中敷における本体を示す図である。
【図2】図1におけるII-II線断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 本体
2a〜2e 隆起部
3,4 カバー部材
5 小孔
A 踵反射区
B 土踏まず反射区
C 親指反射区

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体表面には、複数の隆起部を設ける一方、この隆起部を除いた部分に複数の小孔を貫通させた靴の中敷。
【請求項2】
本体表面および裏面のいずれか一方または双方に、収汗性あるいは収湿性を有するカバー部材を固定するとともに、このカバー部材には、上記本体の隆起部に重なる部分以外の部分に複数の小孔を貫通させた請求項1記載の靴の中敷。
【請求項3】
台形の隆起部を土踏まず反射区の範囲内に設ける一方、円形の隆起部を踵反射区の範囲内、親指反射区の範囲内、および、上記親指反射区と土踏まず反射区との間であって本体の内側寄りに連続的に設けた請求項1または2記載の靴の中敷。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−319503(P2007−319503A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154353(P2006−154353)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(592057721)東邦レマック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】