説明

靴中敷き

【課題】プラスチック素材からなるパーツの厚み・装着する位置及び形状に工夫を施すことにより、サポート力があり且つ足の痛みが発生し難くする。
【解決手段】靴中敷きの本体部10の材質はスポンジ素材を使用し、靴の内底部に接する側の本体部10の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツ20を装着し、パーツ20の厚みを0.5mm〜4.0mmの範囲に設定し、パーツ20の装着位置を土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が靴の内底部に当接する各位置よりも内側に設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポンジ素材からなる本体部にプラスチック素材からなるパーツを装着した靴中敷きに関する。
【背景技術】
【0002】
靴中敷きの材質には、クッション性に優れたスポンジ素材が多く使用されている。しかし、スポンジ素材はプラスチック素材と比べると柔軟性、反発力、復元性に劣るため、足の動きにマッチせず、運動を抑制する可能性があるという問題を有している。靴中敷きの材質にプラスチック素材を使用するメリットは、足に密着し、靭帯や筋肉と協調的に動き、足の運動を抑制することなく働きかけるため、より自然な運動が行えることにある。しかし、プラスチック素材の厚みが厚過ぎると足の靭帯や筋肉を固定しすぎるため、運動を抑制してしまう。一方、プラスチック素材の厚みが薄過ぎると、プラスチックに強度が出ないため足をコントロールすることができなくなる。
そこで、本願出願人は、柔軟性と反発力と復元性とを有するプラスチック素材を使用し、あらゆる方向に対して瞬間的に衝撃を吸収・緩和することができる靴中敷きを開発し、既に特許権を取得している(特許第3944536号公報、特許文献1)
【0003】
一方、靴中敷きの性能をアップさせるために、スポンジ素材とプラスチック素材を併用することが従来から考えられている。
図14は、スポンジ素材とプラスチック素材を併用した靴中敷きの断面図である。靴中敷きの本体部100の材質はスポンジ素材を使用し、靴の内底部に接する側の本体部100の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツ110が装着されている。
図14に示すように、パーツ110の装着位置を土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が靴の内底部に当接する各位置(図中のX、Y)に合わせて設定(図中のXからYまでの範囲をカバー)した場合、地面からの衝撃がプラスチック素材からなるパーツ110によって足裏に強く伝わるため、足に痛みが発生するという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3944536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、靴中敷きのスポンジ素材からなる本体部にプラスチック素材からなるパーツを本体部の下面の土踏まず部に装着する場合、当該パーツの厚み・装着する位置及び形状に工夫を施すことにより、サポート力があり且つ足の痛みが発生し難くするようにした靴中敷きを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、靴の内底部に装入されて使用される靴中敷において、前記靴中敷きの本体部の材質はスポンジ素材を使用し、前記靴の内底部に接する側の前記本体部の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツを装着し、前記パーツの厚みを0.5mm〜4.0mmの範囲に設定し、前記パーツの装着位置を前記土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が前記靴の内底部に当接する各位置よりも内側に設定したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記パーツの少なくとも爪先側及び踵側の各端部の厚みを漸次薄くなるように形成したことを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の前記パーツの爪先側をフラット形状に形成し、体重が移動してもニュートラルな位置にポジションが戻るようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の前記パーツの爪先側中央部を突出形状に形成し、足裏の重心移動が行いやすいようにしたことを特徴とする。
【0010】
加えて、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4に記載の前記パーツのボトム側に設けた三日月状の内側アーチ支持部又は/及び逆三角形状の爪先側アーチ支持部の周縁にリブを形成し、足裏のアーチ部分を支える強度を向上したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の前記パーツのトップ側であって、前記アーチ支持部の円弧状に膨らんだボトム側周縁に対向する位置に沿って段差を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明にかかる靴中敷きによれば、プラスチック素材からなるパーツの厚みを0.5mm〜4.0mmの範囲に設定し、パーツの装着位置を土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が前記靴の内底部に当接する各位置よりも内側に設定したので、サポート力があり且つ足の痛みが発生し難くすることが可能になる。また、プラスチック素材からなるパーツの爪先側及び踵側の各端部の厚みを漸次薄くなるように形成することにより、更に足の痛みが発生するのを抑えることができる。
また、プラスチック素材からなるパーツの爪先側をフラット形状又は突出形状に形成することにより、アーチサポート及び使用目的に応じたポジションコントロールを実現することができる。
また、プラスチック素材からなるパーツのボトム側に設けた三日月状の内側アーチ支持部又は/及び逆三角形状の爪先側アーチ支持部の周縁にリブを形成することにより、足裏のアーチ部分を支える強度を向上することができ、体重が異なっても同じアーチ形状を保つことが可能になる。さらに、パーツのトップ側であって、アーチ支持部の円弧状に膨らんだボトム側周縁に対向する位置に沿って段差を形成することにより、足裏のアーチ部分を支える強度を更に向上させることができる。このため、体重の重い人が長期間使用してもプラスチックがへたらず、アーチサポート効果を継続させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる靴中敷きの断面構造を示す図である。
【図2】プラスチック素材からなるパーツ(右足用)の一例を示す図である。
【図3】プラスチック素材からなるパーツ(右足用)の他例を示す図である。
【図4】本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第1実施例を示す正面図である。
【図5】本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第1実施例を示す右側面図である。
【図6】本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第1実施例を示す左側面図である。
【図7】本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第1実施例を示す背面図である。
【図8】図4に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の正面図である。
【図9】図4に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の背面図である。
【図10】図4に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の断面構造を示す説明図である。
【図11】本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第2実施例を示す正面図である。
【図12】図11に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の正面図である。
【図13】図11に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の背面図である。
【図14】靴中敷きの断面構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態について図面を参酌しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明にかかる靴中敷きの断面構造を示す図である。
靴中敷きの本体部10の材質はスポンジ素材を使用し、靴の内底部に接する側の本体部10の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツ20が装着されている。
図1に示すように、パーツ20の装着位置については、土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が靴の内底部に当接する各位置(図中のX、Y)よりも内側に設定されている(図中のxからyまでの範囲をカバーする)。また、パーツ20の厚みについては、0.5mm〜4.0mmの範囲に設定されている。
このようにパーツ20の厚み及び装着位置を設定することにより、足を快適にサポートすると共に地面から足裏に伝わる衝撃が少なくなるため、プラスチック素材を装着した場合でも足の痛みが発生し難くなり、プラスチックの持つ反発性により運動を促進させることができる。
【0016】
図2は、プラスチック素材からなるパーツ(右足用)の一例を示す図である((a)はトップ、(b)はインサイドを示す)。
図2に示すように、パーツ20aの外周縁端部の厚みは、漸次薄くなるように形成されている。上述したように、パーツの厚み及び装着位置の設定に加えて、パーツ20aの少なくとも爪先側端部21a及び踵側端部22aの厚みが中央部分の厚みよりも薄くなるように形成されることにより、更に足の痛みが発生するのを抑えることができる。
また、パーツ20aは、安定感を高めるために爪先側をフラット形状に形成されており、あらゆる方向に体重が移動してもニュートラルな位置にポジションが戻るようにしている。
また、後述するように、パーツのボトム側に設けた内側アーチ支持部の周縁にリブ(図8参照)を形成する。更にはパーツのトップ側であって、内側アーチ支持部のボトム側周縁に対向する位置に沿って段差(図9・図10参照)を形成することにより、足裏のアーチ部分を支える強度を向上させることができる。
【0017】
図3は、プラスチック素材からなるパーツ(右足用)の他例を示す図である((a)はトップ、(b)はインサイドを示す)。
図3に示すように、パーツ20bの外周縁端部の厚みは、漸次薄くなるように形成されている。上述したように、パーツの厚み及び装着位置の設定に加えて、パーツ20bの少なくとも爪先側端部21b及び踵側端部22bの厚みが中央部分の厚みよりも薄くなるように形成されることにより、更に足の痛みが発生するのを抑えることができる。
また、パーツ20bは、足裏の重心移動が行いやすいように爪先側中央部を突出形状に形成されており、ウォーキングの際に足の踵外側から着地した時には外側にパーツ20bが傾き、重心が前方向に移動する時には内側にパーツ20bが傾くようにしている。
また、後述するように、パーツのボトム側に設けた内側アーチ支持部及び爪先側アーチ(中足骨アーチ)支持部の周縁にリブ(図12参照)を形成する。更にはパーツのトップ側であって、内側アーチ支持部及び爪先側アーチ(中足骨アーチ)支持部のボトム側各周縁に対向する位置に沿って連続する段差(図13参照)を形成することにより、足裏のアーチ部分を支える強度を向上させることができる。
【0018】
(第1実施例)
図4乃至図7は、本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第1実施例を示す正面図(ボトム)、右側面図(インサイド)、左側面図(アウトサイド)、背面図(トップ)である。
本発明にかかる靴中敷きの本体部10の材質はスポンジ素材を使用し、靴の内底部に接する側の本体部10の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツ20cが装着されている(図4参照)。
図4に示すように、パーツ20cの装着位置については、土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が靴の内底部に当接する各位置(図中のX、Y)よりも内側に設定されている。また、パーツ20cの厚みについては、0.5mm〜4.0mmの範囲に設定されている。
【0019】
図8は、図4に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の正面図(ボトム)、図9は背面図(トップ)である。図10は、パーツ(右足用)の断面構造を示す説明図である。
パーツ20cの外周縁端部の厚みは、漸次薄くなるように形成されている。
また、パーツ20cは、安定感を高めるために爪先側をフラット形状に形成されており、あらゆる方向に体重が移動してもニュートラルな位置にポジションが戻るようにしている。
また、図8に示すように、パーツ20cのボトム側に設けた三日月状の内側アーチ支持部23cの周縁にリブ25が形成されており、足裏のアーチ部分を支える強度を向上させることができる。
また、図9及び図10に示すように、パーツ20cのトップ側であって、三日月状の内側アーチ支持部23cの円弧状に膨らんだボトム側周縁25に対向する位置に沿って段差26が形成されており、足裏のアーチ部分を支える強度を更に向上させることができる。
以上のような構成を採用することにより、靴中敷きのスポンジ素材からなる本体部にプラスチック素材からなるパーツを本体部の下面の土踏まず部に装着する場合、足の痛みが発生し難くサポート力と安定感を向上させることが可能になる。
【0020】
(第2実施例)
図11は、本発明にかかる靴中敷き(右足用)の第2実施例を示す正面図(ボトム)である。なお、第2実施例を示す右側面図(インサイド)、左側面図(アウトサイド)、背面図(トップ)については、第1実施例の図面内容と同じであるため省略する。
本発明にかかる靴中敷きの本体部10の材質はスポンジ素材を使用し、靴の内底部に接する側の本体部10の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツ20dが装着されている(図11参照)。
図11に示すように、パーツ20dの装着位置については、土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が靴の内底部に当接する各位置(図中のX、Y)よりも内側に設定されている。また、パーツ20dの厚みについては、0.5mm〜4.0mmの範囲に設定されている。
【0021】
図12は、図11に示す靴中敷きに装着されたパーツ(右足用)の正面図(ボトム)、図13は背面図(トップ)である。
パーツ20dの外周縁端部の厚みは、漸次薄くなるように形成されている。
また、パーツ20dは、足裏の重心移動が行いやすいように爪先側中央部を突出形状に形成されており、ウォーキングの際に足の踵外側から着地した時には外側にパーツ20dが傾き、重心が前方向に移動する時には内側にパーツ20dが傾くようにしている。
また、図12に示すように、パーツ20dのボトム側に設けた三日月状の内側アーチ支持部23d及び逆三角形状の爪先側アーチ(中足骨アーチ)支持部24dの各周縁にリブ25が形成されており、足裏のアーチ部分を支える強度を向上させることができる。
また、図13に示すように、パーツ20dのトップ側であって、三日月状の内側アーチ支持部23d及び逆三角形状の爪先側アーチ(中足骨アーチ)支持部24dの円弧状に膨らんだボトム側各周縁25に対向する位置に沿って連続する段差26が形成されており、足裏のアーチ部分を支える強度を更に向上させることができる。
以上のような構成を採用することにより、靴中敷きのスポンジ素材からなる本体部にプラスチック素材からなるパーツを本体部の下面の土踏まず部に装着する場合、足の痛みが発生し難くサポート力と安定感を向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0022】
10 本体部
20 パーツ
21 爪先側端部
22 踵側端部
23 内側アーチ支持部
24 爪先側アーチ(中足骨アーチ)支持部
25 リブ
26 段差
100 本体部
110 パーツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の内底部に装入されて使用される靴中敷において、前記靴中敷きの本体部の材質はスポンジ素材を使用し、前記靴の内底部に接する側の前記本体部の下面の土踏まず部に足裏のアーチ部分を支えるアーチ形状に形成したプラスチック素材からなるパーツを装着し、前記パーツの厚みを0.5mm〜4.0mmの範囲に設定し、前記パーツの装着位置を前記土踏まず部の爪先側及び踵側の各境界部が前記靴の内底部に当接する各位置よりも内側に設定したことを特徴とする靴中敷き。
【請求項2】
前記パーツの少なくとも爪先側及び踵側の各端部の厚みを漸次薄くなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の靴中敷き。
【請求項3】
前記パーツの爪先側をフラット形状に形成し、体重が移動してもニュートラルな位置にポジションが戻るようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の靴中敷き。
【請求項4】
前記パーツの爪先側中央部を突出形状に形成し、足裏の重心移動が行いやすいようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の靴中敷き。
【請求項5】
前記パーツのボトム側に設けた三日月状の内側アーチ支持部又は/及び逆三角形状の爪先側アーチ支持部の周縁にリブを形成し、足裏のアーチ部分を支える強度を向上したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の靴中敷き。
【請求項6】
前記パーツのトップ側であって、前記アーチ支持部の円弧状に膨らんだボトム側周縁に対向する位置に沿って段差を形成したことを特徴とする請求項5に記載の靴中敷き。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−34754(P2012−34754A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175721(P2010−175721)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(503456625)有限会社プレスコントロール (3)
【Fターム(参考)】