靴及びその製造方法
【課題】 購入時から歩行した際に靴が足になじみ足に負担をかけることが無く、製作時にはデザインの多様性に富むと共に製作工数を低減して製作コストを低減することができる靴及び靴の製造方法を提供する。
【解決手段】アッパー11の周縁部12と柔軟に形成されたインソール13の周縁部14との接合部15の端部が、ミッドソール16の平面方向における外方に向くように配置された状態でミッドソール16に縫合され、上記アッパー11及びインソール13の周縁はミッドソール16の周縁16aよりも内方に位置し、ミッドソール16の周縁部は上方に露出している。
【解決手段】アッパー11の周縁部12と柔軟に形成されたインソール13の周縁部14との接合部15の端部が、ミッドソール16の平面方向における外方に向くように配置された状態でミッドソール16に縫合され、上記アッパー11及びインソール13の周縁はミッドソール16の周縁16aよりも内方に位置し、ミッドソール16の周縁部は上方に露出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴及びその製造方法に関し、特に、曲がりやすく履き心地のよい靴及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、代表的な靴の製造方法として、いわゆるグッドイヤーウェルト製法が存在する。
【0003】
この製法は、インソール底部に予め、リブを接着により取り付け、上記リブに、アッパーの周縁部と、ウエルトとを「つまみ縫い」すると共に、コバの上に配したウエルトとアウトソールとを出し糸により「出し縫い」するものである。上記グッドイヤーウェルト製法は、堅牢で、履き心地が良い靴を製造することができる。
【0004】
また、ウエルトの出し縫いの出し糸のみを解けば、アッパーにダメージを与えることなく、アウトソールを交換することができることから、長期間にわたって使用できる靴を製造することができる。
【0005】
しかしながら、上記グッドイヤーウェルト製法により製造した靴は、上記アッパー及びウエルトをリブに「つまみ縫い」することから、このリブが靴の長さ方向に形成されていると共に、これらのアッパー及びウエルトを縫い付け固定するためには所定の強度を有するインソールを使用する必要がある。
加えて、上記靴周縁部全域にウエルト及びリブが設けられていることから、靴の剛性は非常に高いものであるが、一方で、いわゆる「反り」が悪く、使用者は靴に足を馴染ませるのに時間がかかり、購入後、長期間にわたって足の窮屈さを我慢しなければならない、という不具合が存していた。
【0006】
また、グッドイヤーウェルト製法においては、アウトソールの周縁全域にウエルトが固定されることから靴全体が重くなり、装用時には足が疲れやすい、という不具合をも有していた。
【0007】
また、この製法は、釣り込み作業を行いながらアッパーに底付けしなければならず、製造工程が複雑で製造作業が煩雑であり、製造コストが高くなるという不具合も有していた。
【0008】
また、別の代表的な靴の製造方法として、セメント製法が存在する。この製法は、アッパーと、インソールと、アウトソールをすべて接着により固定するもので、コバや、ウエルトに底付けのための縫着工程が不要で、上記グッドイヤーウェルト製法に比べ、工程が非常に簡単であり、大量生産に適し、製造コストを低減することができる。
【0009】
また、構造が簡単で、上記グッドイヤーウエルト製法により製造した靴に比べ、軽く、反りの良い靴を製造することができる。
【0010】
しかしながら、上記セメント製法にあっては、アッパーに底付けする場合に、やはり釣り込み作業が必要であると共に、この製法により製造した靴は、上記グッドイヤーウェルト製法により製造した靴のような重厚感に欠け、又、アッパーとインソールを接合した部分の接着剤が劣化して剥がれやすい、という不具合があった。
【0011】
さらに、従来より、ノルベージェ製法という製法も存在する。この製法にあっては、アッパー及びインソールを袋状にした後、木型を介して「吊込み作業」を行い、その後、ミッドソールを貼り付けてからアッパーとインソールとをミシンにより仮留めし、その後、仮縫いした部位において手縫いを施すことによりミッドソールとアッパーとを縫合するものである。
【0012】
しかしながら、このノルベージェ製法にあっても、インソール及びアウトソールに硬い革が使用されていると共に、吊り込み作業を行ってから靴の製作を行うため、アッパーが柔軟性を持つことができず、その結果、靴が非常に硬くなり、特に製品購入時には、靴の前後方向においても曲がりにくいことから、購入当初は足になじみにくく歩きにくいものであり、グッドイヤーウェルト製法の場合と同様の不具合が存していた。
【0013】
このような観点から、本件特許出願人は、硬いインソールを使用せず柔軟なインソールを使用し、履き心地を向上させ、かつ、釣りこみ作業を省略しうる靴の製造方法を出願している(特許文献1参照)。
【0014】
この技術においては、アウトソールの周縁部上にウエルトを配置して出し縫い糸でアウトソールに固定し、かつ、ウエルトを介してアウトソールを掬い縫いでアッパー、インナーソール及びミッドソールに縫着するものである。
【0015】
この従来の靴の製造方法にあっては、柔軟なインソールが使用されることから、グッドイヤーウェルト製法の靴に比して足にはなじみ易く、また、釣りこみ作業が不要となることから製作工数を低減することは可能である。
【0016】
しかしながら、アウトソールの全周にウエルトが固定されることから、靴を装用した場合に前後方向においてやはり折れにくいことから装用感が硬く、履きなれるまでなお時間を要した。
また、ウエルトをアウトソールの周縁上に固定することからデザイン上も制約があった。さらに、必ずウエルトを固定するように構成されていたため、部品点数も多く、製作工数も嵩む、という不具合も存していた。
【0017】
【特許文献1】特開平9−193260号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで本発明の課題は、購入時から靴が足になじみやすく足に負担をかけることが無く、製作時にはデザインの多様性に富むと共に製作工数を低減して製作コストを低減することができる靴及び靴の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明に係る靴は、互いに周縁部が接合されると共に木型により型出しされたアッパー及びインソールが、周縁部が外方を向くようにしてミッドソールの周縁部に縫合され、上記アッパー及びインソールの周縁はミッドソールの周縁よりも内方に位置し、ミッドソールの周縁部は上方に露出していることを特徴とする。
【0020】
従って、本発明に係る靴にあっては、従来のグッドイヤーウエルト製法とは異なり、アッパー及びインソールの周縁が外方を向くようにして、リブ及びウエルトを介することなくミッドソールに縫合されている。また、プラットノルベージェ製法等における場合のように「吊り込み」作業を行うことなく靴を製作する。
【0021】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記アッパー、インソール及びミッドソールは、一本の糸により互いに縫合されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明にあっては、上記ミッドソールにはアウトソールが接着により固定されていることを特徴とする。この場合のアウトソールはゴム製である。
請求項4記載の発明にあっては、上記ミッドソールにはアウトソールが縫着されて固定されていることを特徴とする。この場合のアウトソールは革製である。
【0022】
請求項5記載の発明にあっては、上記インソールにはクッション材が内装されていることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明にあっては、柔軟に形成されたインソールにアッパーを接合し、インソール及びアッパーの周縁部を縫合して仮止めする仮止め工程と、仮止めされたアッパー及びインソール内に木型を挿入してアッパーの型出しを行う型出し工程と、上記型出しされたアッパーが仮止めされているインソール裏面にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合するミッドソール接合工程と、上記アッパー及びインソールをミッドソールに対して縫合固定するミッドソール固定工程と、上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程と、上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接合するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする。
【0023】
従って、従来のような「吊り込み作業」は行われず、また、ミッドソール周縁部にウエルトが固定される工程も存在しない。
また、請求項7記載の発明にあっては、上記仮止め工程においては、ミシンによりアッパー及びインソールの外縁部を仮止めして第一仮止め部を形成すると共に、上記第一仮止め部の内方においてさらにミシンにより仮止めを行い第二仮止め部を形成することを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明にあっては、上記ミッドソール固定工程においては、上記アッパー及びインソールに形成された第二仮止め部上を手縫いで縫合してアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定することを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明にあっては、上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程とを有することを特徴とする。
【0026】
請求項10記載の発明にあっては、上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程と、上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部を飾り縫いする第二の飾り縫い工程と、上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接着するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする。
【0027】
請求項11記載の発明にあっては、上記切除工程の後、上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部において、手縫いにより上記ミッドソール裏面側に配置された革製のアウトソールを縫合固定するアウトソール縫合工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1記載の本発明にあっては、従来のグッドイヤーウエルト製法とは異なり、リブ及びウエルトを介することなくアッパー及びインソールがミッドソールに縫合されることから、装用時には「反り」が良好な靴が提供される。従って、使用者は購入当初から良好な履き心地を得ることができる。
【0029】
また、上記靴のソール周縁部全域にウエルトが設けられていないことから靴全体の重量を低減し、軽量な靴を提供できる。さらに、リブ及びウエルトが不要となることから、靴の構成部品点数を低減することができると共に製作工数を低減することができる。
【0030】
また、ウエルトをアウトソールの周縁上に固定する必要がないことからデザイン上の制約もなく、靴のデザインの自由度を持たせることができる。
【0031】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の発明に効果に加えて、1本の糸によりアッパー、インソール及びミッドソールが縫合されることから、例えば、アウトソールが接着剤によりミッドソールに固定されたような場合には、アウトソールのコバ上には1本の糸のみが視認されることとなり、靴のソール周縁部のデザインを非常にシンプルに形成することができる。
【0032】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1記載の発明の効果に加えて、アウトソールを容易に接合することができる靴を提供することができる。
請求項4記載の発明にあっては、請求項1記載の発明の効果に加えて、経年時にアウトソールが磨り減った場合には、アウトソールを交換できる靴を提供することができる。
【0033】
請求項5記載の発明にあっては、請求項1〜4記載の効果に加えて、インソールが柔軟に形成されていることから、歩行、走行した際のクッション性に富む靴を提供することができる。
【0034】
請求項6〜8記載の発明にあっては、従来のグッドイヤー・ウエルト製法とは異なり、リブ及びウエルトを介する工程はないことから、部品点数を低減することができると共に製作工数を低減することができる。また、リブ及びウエルトを介する工程はなく、アッパー及びインソールがミッドソールに縫合されることから、「反り」が良好な靴が提供される。従って、使用者は購入当初から良好な履き心地を得ることができる。
【0035】
また、上記靴周縁部全域にウエルトが設けられていないことから靴全体の重量を低減し、軽量な靴を提供できる。
さらに、従来とは異なり、また、ウエルトをアウトソールの周縁上に固定する必要がないことからデザイン上の制約もなく、デザインの自由度を持たせることができる。
【0036】
請求項9記載の発明にあっては、請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、靴のソール周縁部全域において2本の糸が外方から見えるデザイン性に富む靴を提供することができる。
【0037】
請求項10記載の発明にあっては、請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、アウトソールを容易に接合することができる靴の製造方法を提供することができる。
請求項11記載の発明にあっては、請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、靴のソール周縁部全域において3本の糸が外方から見えるよりデザイン性に富む靴を提供することができる。
【0038】
また、請求項11記載の発明にあっては、同様に請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、経年次に、アウトソールが磨り減った場合にはアウトソールを容易に交換できる靴を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る靴10は、図1に示すように、互いに周縁部11,12が接合されると共に木型により型出しされたアッパー13及びインソール14が、上記周縁部11,12が外方を向くようにしてミッドソール15の周縁部16に縫合され、上記アッパー13及びインソール14の周縁11a,12aはミッドソール15の周縁15aよりも内方に位置し、ミッドソール15の周縁部16が上方に露出している。上記インソール14にはクッション材21が内装されている。
【0040】
そして、本実施の形態に係る靴10は、上記アッパー13、インソール14
及びミッドソール15は、一本の糸18により互いに縫合されている。上記ミッドソール15にはアウトソール19が接着により固定されている。
以下、このような本実施の形態に係る靴10の製造する際の製造工程に関し説明する。
【0041】
本実施の形態に係る靴10の製造工程は、図2〜9に示すように、柔軟に形成されたインソール14にアッパー13を接合し、インソール14及びアッパー13の周縁部11a,12aを縫合して仮止めする仮止め工程Aと、仮止めされたアッパー13及びインソール14内に木型26を挿入してアッパー13の型出しを行う型出し工程Bと、上記型出しされたアッパー13が仮止めされているインソール14の裏面にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合するミッドソール接合工程Cと、上記アッパー13及びインソール14をミッドソール15に対して縫合固定するミッドソール固定工程Dと、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位20よりも外方部位を切除する切除工程Eと、上記ミッドソール15の裏面側にアウトソール19を接合するアウトソール接合工程Fとを有する。以下、各工程を分説する。
【0042】
〔仮止め工程A〕
図2に示すように、先ず、柔軟に形成されたインソール14にアッパー13を接合し、インソール14及びアッパー13の周縁部11a,12aを縫合して仮止めする仮止め工程Aが行われる。、
本実施の形態に係るインソール14にあっては、内部にクッション材21が収納されている。即ち、図3に示すように、本実施の形態に係るインソール14は、表側材22は革製であって裏側材23はキャンバス地で形成され、これらの表側材22と裏側材23とが、内部に上記クッション材としてのスポンジ材21をサンドイッチにした状態で表側材22と裏側材23の周縁部が接着されて形成されている。また、上記スポンジ材21はインソール14の長さ方向全体に亘って配設されている。
【0043】
上記キャンバス地からなる裏側材23は表側材22が使用により経年変化により伸びることを防止するために貼着されている。
そして、本実施の形態にあっては、図2に示すように、上記インソール14の表面側12bとアッパー13の裏面側13aとを接合させ、周縁部11,12を仮止めする。
【0044】
この仮止めは、アッパー13の周縁11a及びインソール14の周縁12aの夫々の端部を全域に亘ってミシンにより縫合して第一仮止めを行う。
次に、この第一仮止めにより形成された第一仮止め部24のやや内方において同様にミシンにより縫合して第二仮止めを行い第二仮止め部25を形成する。従って、上記第一仮止め部24及び第二仮止め部25により、インソール14及びアッパー13との仮止めが行われる。
【0045】
〔型出し工程B〕
次に、図4に示すように、仮止めされたアッパー13及びインソール14内に木型18を挿入してアッパー13の型出しを行う型出し工程Bが行われる。
この型出し工程Bにあっては、上記仮止め工程Aにおいて、仮止めされることにより、袋状となっているアッパー13及びインソール14内に木型(ラスト)26を挿入して、アッパー13の型出しを行う。
従って、本実施の形態に係る靴10の製造工程にあっては、従来行われている、いわゆる「吊り込み」工程は行われない。
【0046】
〔ミッドソール接合工程C〕
次に、図5及び図6に示すように、ミッドソール接合工程Cが行われる。
即ち、図5に示すように、上記型出しされたアッパー13が仮止めされているインソール14の裏面にミッドソール15を配置して、その後、図6に示すように、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15の表面側に接合する。
【0047】
この場合、互いに接合されたアッパー13及インソール14を、その周縁11a,12aが上記ミッドソール15の周縁15aから所定間隔内方へ離間し、かつアッパー13及びインソール14の周縁11a,12aが外方へ向いた状態で配置する。
【0048】
この場合、上記アッパー13及びインソール14は、上記その周縁部11a,12aが、上記ミッドソール15の周縁15aよりも内方に配置される。従って、上記ミッドソール15の周縁部16は上方に露出された状態となる。
【0049】
〔ミッドソール固定工程D〕
次に、図7に示すように、上記アッパー13及びインソール14をミッドソール15に対して縫合固定するミッドソール固定工程Dが行われる。
このミッドソール固定工程15においては、上記第二仮止め部25上において、上記第二仮止め部25と同様の縫い目において、手縫で一本の糸18によりアッパー13及びインソール14をミッドソール15に最終的に縫合する。従って、これにより手縫いによる縫合部20が形成される。
【0050】
〔切除工程E〕
次に、切除工程Eを行う。図8に示すように、切除工程Eにおいては、上記ミッドソール固定工程Dにおいて、ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、アッパー13及びインソール14のミッドソール15への縫合部20から外方の部位27を切除する作業を行う。
【0051】
即ち、上記手縫いにより縫合した第二仮止め部25から周縁部に向け、上記第一仮止め部24を含め、アッパー13の周縁部11及び、インソール14の周縁部12を、適宜、カッターにより全周に亘って切除する。
これにより、上記切除部分においてミッドソール15の周縁部16が表出することとなる。
【0052】
〔アウトソール接合工程F〕
次に、図9に示すように、アウトソール接合工程Fを行う。
上記ミッドソール15の裏面側にアウトソール19を接合するアウトソール接合工程Fを行う。
【0053】
即ち、本工程においては、アウトソール19がゴム製の場合には、アウトソール19を、接着剤を介して、ミッドソール15の裏面側に接着固定する。この後、ミッドソール15及びアウトソール19の周縁部40を削り取り仕上げる。
【0054】
以上の工程を経ることにより、本実施の形態に係る靴10が制作される。
本実施の形態に係る靴10にあっては、アッパー13及びインソール14とミッドソール15との接合部位において一本の糸18により縫合され、一本の糸18による縫合部20が上記接合部位全周に亘って外方から見える靴10が製作される。
【0055】
図10〜図13は、本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す。
上記型出し工程Bの後に、上記仮止め工程Aにおいてアッパー13及びインソール14に形成された第二仮止め部25において手縫いにより飾り縫い部31を形成する飾り縫い工程Gと、上記アッパー13が飾り縫いされたインソール14の裏面側にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合し、上記飾り縫い部31の外方において手縫いによりアッパー13及びインソー14ルをミッドソール15に縫合固定するミッドソール固定工程Hと、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位よりも外方部位38を切除する切除工程Iとを有する。
【0056】
本実施の形態にあっては、アッパー13及びインソール14とミッドソール15との接合部位において2本の糸28,29によりアッパー13及びインソール14がミッドソール15に対して縫合されている靴30が製作される。本実施の形態に係る靴30の製作工程を説明する。
【0057】
前提として、仮止め工程A及び型出し工程Bに関しては、前期実施の形態にかかる靴10と同様である。その後、本実施の形態に係る靴30を製作する場合にあっては、以下の工程を経る。
【0058】
〔飾り縫い工程G〕
図10に示すように、本工程にあっては、アッパー13及びインソール14を仮止めして袋状にし、木型26を袋状のアッパー13及びインソール14内に収納して型出市を行う上記型出し工程Bの後に、上記仮止め工程Aにおいてアッパー13及びインソール14に形成された第二仮止め部25において糸28を介して手縫いにより飾り縫い部31を形成する。
【0059】
この飾り縫い部31はアッパー13及びインソール14を糸28により、第一仮止め部24及び第二仮止め部25によりアッパー13及びインソール14は固定されているにもかかわらず、更にアッパー13及びインソール14を形式的に縫合するものである。
【0060】
この飾り縫い部31はアッパー13、インソール14及びミッドソール15の周縁部において飾りとして機能するものであり、いわゆる「空縫い」である。
【0061】
〔ミッドソール固定工程H〕
次に、ミッドソール固定工程Hを行う。図11に示すように、本工程においては、上記アッパー13が飾り縫いされたインソール14の裏面側にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合し、上記飾り縫い部31の外方において手縫いによりアッパー13及びインソール14をミッドソール15に縫合固定するものである。
【0062】
即ち、前期実施の形態にかかる靴10を製作する場合と同様に、互いに仮縫いされ、かつ本実施の形態にあっては飾り縫いされたアッパー13及びインソール14を、周縁11a及び12aが外方を向いた状態でミッドソール15の表面側に配設する。
【0063】
その後、上記飾り縫い部31の外方の近傍部位において、上記飾り縫い部31に沿って並行して手縫いを行い、縫合部32を形成し、仮縫いされたアッパー13及びインソール14をミッドソール15に縫合固定する。
これにより、上記飾り縫い部31の側方に近接して手縫いによる縫合部32がアッパー13及びインソール14とアウトソール19の全周に亘って形成される。
【0064】
〔切除工程I〕
次に、図12に示すように、前期実施の形態における場合と同様に切除工程Iを行う。この切除工程Iにあっては、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位よりも外方部位38を切除する。
ここで、「アッパー13及びインソール14のミッドソール15への縫合部位」とは、上記第縫合部32の意であり、上記第縫合部32から外方に位置する外方部位38をカッター等で切除する。
【0065】
〔アウトソール接合工程J〕
最後に、図13に示すように、上記実施の形態におけるアウトソール接合工程Fと同様に、ミッドソール15の裏面側においてアウトソール19を接合させ、接着剤により固定して、アウトソール19の周縁部40を切削して仕上げを行うことにより完成する。
本実施の形態に係る製造工程にあっては、飾り縫い部31の糸28及び縫合部32の糸29の2本の糸28,29が外部から見られる靴30が製作される。従って、本実施の形態に係る製造方法により製作された靴30にあっては、靴の全周縁部に亘って、2本の糸28,29が外部から視認され、上記実施の形態にかかる靴10に比して、デザイン性に優れた靴を製作することができる。
【0066】
図14〜図18は、本発明に係る第三の実施の形態を示す。
本実施の形態にかかる靴34の製造方法にあっては、図10〜17に示すように、上記型出し工程Bの後に、上記仮止め工程Aにおいてアッパー13及びインソール14に形成された第二仮止め部25において手縫いにより飾り縫い部31を形成する飾り縫い工程Gと、上記アッパー13が飾り縫いされたインソール14の裏面側にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合し、上記飾り縫い部31の外方において手縫いによりアッパー13及びインソール14をミッドソール15に縫合固定するミッドソール固定工程Hと、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位32よりも外方部位39を切除する切除工程Iと、上記切除工程Iにより露出したミッドソール15の周縁部32を飾り縫いする第二の飾り縫い工程Kと、上記ミッドソール裏面側にアウトソール19を接着するアウトソール接合工程Lとを有する。
【0067】
本実施の形態に係る靴34を製造する工程にあっては、前期第二の実施の形態に係る靴30を製造する工程の、仮止め工程Aから切除工程Iまでは同様である。相違点は、図17に示す、ミッドソール固定工程Kの後にミッドソール15の周縁部16に糸41により飾り縫いを施し、飾り縫い部35を形成する点のみである。
【0068】
即ち、本実施の形態にかかる靴の製造方法にあっては、上記糸41による飾り縫い部35はいわゆるミッドソール15上の「空縫い」であり、実質的に他の部材をミッドソール15に固定するものではない。
この後、上記アウトソール19の接合工程Kにおいて、アウトソール19をミッドソール15の裏面側に固定し、接着剤を介してミッドソール15に接合固定するものである。その後、ミッドソール15及びアウトソール19の周縁部の周囲を削り取り仕上げを行うことにより完成する。
【0069】
本実施の形態に係る靴34においては、アウトソール19及びミッドソール15の接合部位の周縁部において、3本の糸28,29,41による縫合部位31,32,35が外部から見えることから、さらにデザイン的にアッピールの大きな靴を提供することができる。
また、図18はこの第三の実施の形態の他の更に他の実施の形態を示す。本実施の形態に係る靴50の製造方法にあっては、アウトソール接合工程Lにおいて、革製のアウトソール19をミッドソール15に対して縫合固定する。
【0070】
〔アウトソール縫合工程L〕
この場合、上記アウトソールが革製の場合には、上記切除工程Iの後、上記切除工程Iにより露出したミッドソール15の周縁部16において、手縫いにより上記ミッドソール15の裏面側に配置された革製のアウトソール36を縫合固定するアウトソール縫合工程Lを行う。
【0071】
本実施の形態にあっては、上記第二の実施の形態における場合とは異なり、飾り縫い工程Kはなく、上記ミッドソール15の周縁部16において糸42によりアウトソール19をミッドソール15に固定し、その結果、上記ミッドソール15の周縁部16においてアウトソール19との縫合部37が形成される。
その後、アウトソール36の周縁部40を削り取り仕上げを行うことにより完成する。
【0072】
本実施の形態に係る靴の製造方法にあっては、上記第三の実施の形態に係る靴の製造方法の効果に加えて、革製のアウトソール36は上記縫合部37によりミッドソール15に縫合されていることから、経年時にアウトソール36が磨り減った場合には、上記縫合部37を解くことにより、アウトソールを容易に交換することができる。
【0073】
前期実施の形態にあっては、靴10,30,34,50の全体が本発明に係る靴の製造方法により製作されている場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されず、図19に示すように、例えば、靴51の前半部52の周縁部を従来の、本件特許出願人が提出した特許出願に係るグッドイヤー・ウエルト製法により作成し、後半部53の周縁部を本発明に係る製法により製作することも可能である。
【0074】
このように、前半部52をグッドイヤーウエルト製法により製作し後半部53を本発明に係る製法により製作した場合には、前半部にはアウトソール19の周縁部上にウエルト54が配され、後半部53にはアウトソール19の周縁部上にウエルトが配されていない靴を製作することができる。
その結果、このように、前半部52と後半部53とを異なる製法により靴を製作することにより、前半部52と後半部53とで趣の異なったデザインの靴を製作することができる。
【0075】
また、図20及び図21に示すように、縫合部27,32及び飾り縫い部31,33,35を形成する斜めに平行なステッチが現れる「傾斜縫い」55、又は、円環状のステッチが連続する「チェーン縫い」56等を行うことも可能である。
このようなステッチがアウトソールの周縁部に形成された場合には、上記実施の形態に係る靴とは異なった、よりファッション性の高いデザインの靴を製作することが可能であり、靴のデザインの多様性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、アッパー、インソール、ミッドソール及びアウトソールを有する全ての靴に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る靴を示す一実施の形態を示す一部断面斜視図であって、アッパー、インソール及びミッドソールが一本の糸により縫合されている場合を示す。
【図2】本発明に係る靴を示す一実施の形態を示す部断面斜視図であって、アッパー及びインソールを二本の糸により仮縫いした状態を示す。
【図3】本発明に係る靴を示す一実施の形態を示す部断面斜視図であって、インソールの断面を示す。
【図4】本発明に係る靴に係る一実施の形態を示す斜視図であって、仮縫いにより縫合されたアッパー及びインソール内に木型を挿入してアッパーの「型出し」を行う状態を示す図である。
【図5】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面斜視図であって、仮縫いし「型出し」がされたアッパー及びインソールにミッドソールを接合するミッドソール接合工程を示す図である。
【図6】本発明に係る靴に係る一実施の形態を示す部分断面図であって、「型出し」がされたアッパー及びインソールにミッドソールを接合するミッドソール接合工程を示す図である。
【図7】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面図であって、「型出し」がされたアッパー及びインソールにミッドソールを固定するミッドソール固定工程を示す図である。
【図8】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面図であって、ミッドソールが固定された後、アッパー及びインソールの周縁部を切除する切除工程を示す図である。
【図9】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面図であって、切除工程の後、アウトソールを接合するアウトソール接合工程を示す図である。
【図10】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、型出し工程及び仮縫い工程を示す図である。
【図11】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、ミッドソール固定工程を示す図である。
【図12】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、切除工程を示す図である。
【図13】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、アウトソール固定工程を示す図である。
【図14】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、型出し工程及び仮縫い工程を示す図である。
【図15】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、ミッドソール固定工程を示す図である。
【図16】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、切除工程を示す図である。
【図17】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、アウトソール接合工程を示す図である。
【図18】本発明に係る他の実施の形態を示す部分断面図であって、アウトソール縫合工程を示す図である。
【図19】本発明に係る靴の他の実施の形態を示す斜視図であって、前半部を従来の靴の製造方法により作成すると共に、後半部を本発明に係る靴の製造方法を使用して作成した場合を示す図である。
【図20】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示し、傾斜縫いを施した場合を示す図である。
【図21】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示し、チェーン縫いを施した場合を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 靴
11 周縁部
11a 周縁
11b 裏面側
12 周縁部
12a 周縁
12b 表面側
13 アッパー
13a 裏面側
14 インソール
15 ミッドソール
15a 周縁
16 周縁部
18 糸
19 アウトソール
20 縫合部
21 スポンジ材(クッション材)
22 表側材
23 裏側材
24 第一仮止め部
25 第二仮止め部
26 木型
27 外方部位
28 糸
29 糸
30 靴
31 飾り縫い部
32 縫合部
33 飾り縫い部
34 靴
35 飾り縫い部
36 革製アウトソール
37 縫合部
38 外方部位
39 外方部位
40 アウトソール周縁部
41 糸
42 糸
50 靴
51 靴.
52 前半部
53 後半部
54 ウエルト
55 傾斜縫い
56 チェーン縫い
A 仮止め工程
B 型出し工程
C ミッドソール接合工程
D ミッドソール固定工程
E 切除工程
F アウトソール接合工程
G 飾り縫い工程
H ミッドソール固定工程
I 切除工程
J アウトソール固定工程
K 第二の飾り縫い工程
L アウトソール接合工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴及びその製造方法に関し、特に、曲がりやすく履き心地のよい靴及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、代表的な靴の製造方法として、いわゆるグッドイヤーウェルト製法が存在する。
【0003】
この製法は、インソール底部に予め、リブを接着により取り付け、上記リブに、アッパーの周縁部と、ウエルトとを「つまみ縫い」すると共に、コバの上に配したウエルトとアウトソールとを出し糸により「出し縫い」するものである。上記グッドイヤーウェルト製法は、堅牢で、履き心地が良い靴を製造することができる。
【0004】
また、ウエルトの出し縫いの出し糸のみを解けば、アッパーにダメージを与えることなく、アウトソールを交換することができることから、長期間にわたって使用できる靴を製造することができる。
【0005】
しかしながら、上記グッドイヤーウェルト製法により製造した靴は、上記アッパー及びウエルトをリブに「つまみ縫い」することから、このリブが靴の長さ方向に形成されていると共に、これらのアッパー及びウエルトを縫い付け固定するためには所定の強度を有するインソールを使用する必要がある。
加えて、上記靴周縁部全域にウエルト及びリブが設けられていることから、靴の剛性は非常に高いものであるが、一方で、いわゆる「反り」が悪く、使用者は靴に足を馴染ませるのに時間がかかり、購入後、長期間にわたって足の窮屈さを我慢しなければならない、という不具合が存していた。
【0006】
また、グッドイヤーウェルト製法においては、アウトソールの周縁全域にウエルトが固定されることから靴全体が重くなり、装用時には足が疲れやすい、という不具合をも有していた。
【0007】
また、この製法は、釣り込み作業を行いながらアッパーに底付けしなければならず、製造工程が複雑で製造作業が煩雑であり、製造コストが高くなるという不具合も有していた。
【0008】
また、別の代表的な靴の製造方法として、セメント製法が存在する。この製法は、アッパーと、インソールと、アウトソールをすべて接着により固定するもので、コバや、ウエルトに底付けのための縫着工程が不要で、上記グッドイヤーウェルト製法に比べ、工程が非常に簡単であり、大量生産に適し、製造コストを低減することができる。
【0009】
また、構造が簡単で、上記グッドイヤーウエルト製法により製造した靴に比べ、軽く、反りの良い靴を製造することができる。
【0010】
しかしながら、上記セメント製法にあっては、アッパーに底付けする場合に、やはり釣り込み作業が必要であると共に、この製法により製造した靴は、上記グッドイヤーウェルト製法により製造した靴のような重厚感に欠け、又、アッパーとインソールを接合した部分の接着剤が劣化して剥がれやすい、という不具合があった。
【0011】
さらに、従来より、ノルベージェ製法という製法も存在する。この製法にあっては、アッパー及びインソールを袋状にした後、木型を介して「吊込み作業」を行い、その後、ミッドソールを貼り付けてからアッパーとインソールとをミシンにより仮留めし、その後、仮縫いした部位において手縫いを施すことによりミッドソールとアッパーとを縫合するものである。
【0012】
しかしながら、このノルベージェ製法にあっても、インソール及びアウトソールに硬い革が使用されていると共に、吊り込み作業を行ってから靴の製作を行うため、アッパーが柔軟性を持つことができず、その結果、靴が非常に硬くなり、特に製品購入時には、靴の前後方向においても曲がりにくいことから、購入当初は足になじみにくく歩きにくいものであり、グッドイヤーウェルト製法の場合と同様の不具合が存していた。
【0013】
このような観点から、本件特許出願人は、硬いインソールを使用せず柔軟なインソールを使用し、履き心地を向上させ、かつ、釣りこみ作業を省略しうる靴の製造方法を出願している(特許文献1参照)。
【0014】
この技術においては、アウトソールの周縁部上にウエルトを配置して出し縫い糸でアウトソールに固定し、かつ、ウエルトを介してアウトソールを掬い縫いでアッパー、インナーソール及びミッドソールに縫着するものである。
【0015】
この従来の靴の製造方法にあっては、柔軟なインソールが使用されることから、グッドイヤーウェルト製法の靴に比して足にはなじみ易く、また、釣りこみ作業が不要となることから製作工数を低減することは可能である。
【0016】
しかしながら、アウトソールの全周にウエルトが固定されることから、靴を装用した場合に前後方向においてやはり折れにくいことから装用感が硬く、履きなれるまでなお時間を要した。
また、ウエルトをアウトソールの周縁上に固定することからデザイン上も制約があった。さらに、必ずウエルトを固定するように構成されていたため、部品点数も多く、製作工数も嵩む、という不具合も存していた。
【0017】
【特許文献1】特開平9−193260号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで本発明の課題は、購入時から靴が足になじみやすく足に負担をかけることが無く、製作時にはデザインの多様性に富むと共に製作工数を低減して製作コストを低減することができる靴及び靴の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明に係る靴は、互いに周縁部が接合されると共に木型により型出しされたアッパー及びインソールが、周縁部が外方を向くようにしてミッドソールの周縁部に縫合され、上記アッパー及びインソールの周縁はミッドソールの周縁よりも内方に位置し、ミッドソールの周縁部は上方に露出していることを特徴とする。
【0020】
従って、本発明に係る靴にあっては、従来のグッドイヤーウエルト製法とは異なり、アッパー及びインソールの周縁が外方を向くようにして、リブ及びウエルトを介することなくミッドソールに縫合されている。また、プラットノルベージェ製法等における場合のように「吊り込み」作業を行うことなく靴を製作する。
【0021】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記アッパー、インソール及びミッドソールは、一本の糸により互いに縫合されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明にあっては、上記ミッドソールにはアウトソールが接着により固定されていることを特徴とする。この場合のアウトソールはゴム製である。
請求項4記載の発明にあっては、上記ミッドソールにはアウトソールが縫着されて固定されていることを特徴とする。この場合のアウトソールは革製である。
【0022】
請求項5記載の発明にあっては、上記インソールにはクッション材が内装されていることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明にあっては、柔軟に形成されたインソールにアッパーを接合し、インソール及びアッパーの周縁部を縫合して仮止めする仮止め工程と、仮止めされたアッパー及びインソール内に木型を挿入してアッパーの型出しを行う型出し工程と、上記型出しされたアッパーが仮止めされているインソール裏面にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合するミッドソール接合工程と、上記アッパー及びインソールをミッドソールに対して縫合固定するミッドソール固定工程と、上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程と、上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接合するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする。
【0023】
従って、従来のような「吊り込み作業」は行われず、また、ミッドソール周縁部にウエルトが固定される工程も存在しない。
また、請求項7記載の発明にあっては、上記仮止め工程においては、ミシンによりアッパー及びインソールの外縁部を仮止めして第一仮止め部を形成すると共に、上記第一仮止め部の内方においてさらにミシンにより仮止めを行い第二仮止め部を形成することを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明にあっては、上記ミッドソール固定工程においては、上記アッパー及びインソールに形成された第二仮止め部上を手縫いで縫合してアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定することを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明にあっては、上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程とを有することを特徴とする。
【0026】
請求項10記載の発明にあっては、上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程と、上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部を飾り縫いする第二の飾り縫い工程と、上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接着するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする。
【0027】
請求項11記載の発明にあっては、上記切除工程の後、上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部において、手縫いにより上記ミッドソール裏面側に配置された革製のアウトソールを縫合固定するアウトソール縫合工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1記載の本発明にあっては、従来のグッドイヤーウエルト製法とは異なり、リブ及びウエルトを介することなくアッパー及びインソールがミッドソールに縫合されることから、装用時には「反り」が良好な靴が提供される。従って、使用者は購入当初から良好な履き心地を得ることができる。
【0029】
また、上記靴のソール周縁部全域にウエルトが設けられていないことから靴全体の重量を低減し、軽量な靴を提供できる。さらに、リブ及びウエルトが不要となることから、靴の構成部品点数を低減することができると共に製作工数を低減することができる。
【0030】
また、ウエルトをアウトソールの周縁上に固定する必要がないことからデザイン上の制約もなく、靴のデザインの自由度を持たせることができる。
【0031】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の発明に効果に加えて、1本の糸によりアッパー、インソール及びミッドソールが縫合されることから、例えば、アウトソールが接着剤によりミッドソールに固定されたような場合には、アウトソールのコバ上には1本の糸のみが視認されることとなり、靴のソール周縁部のデザインを非常にシンプルに形成することができる。
【0032】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1記載の発明の効果に加えて、アウトソールを容易に接合することができる靴を提供することができる。
請求項4記載の発明にあっては、請求項1記載の発明の効果に加えて、経年時にアウトソールが磨り減った場合には、アウトソールを交換できる靴を提供することができる。
【0033】
請求項5記載の発明にあっては、請求項1〜4記載の効果に加えて、インソールが柔軟に形成されていることから、歩行、走行した際のクッション性に富む靴を提供することができる。
【0034】
請求項6〜8記載の発明にあっては、従来のグッドイヤー・ウエルト製法とは異なり、リブ及びウエルトを介する工程はないことから、部品点数を低減することができると共に製作工数を低減することができる。また、リブ及びウエルトを介する工程はなく、アッパー及びインソールがミッドソールに縫合されることから、「反り」が良好な靴が提供される。従って、使用者は購入当初から良好な履き心地を得ることができる。
【0035】
また、上記靴周縁部全域にウエルトが設けられていないことから靴全体の重量を低減し、軽量な靴を提供できる。
さらに、従来とは異なり、また、ウエルトをアウトソールの周縁上に固定する必要がないことからデザイン上の制約もなく、デザインの自由度を持たせることができる。
【0036】
請求項9記載の発明にあっては、請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、靴のソール周縁部全域において2本の糸が外方から見えるデザイン性に富む靴を提供することができる。
【0037】
請求項10記載の発明にあっては、請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、アウトソールを容易に接合することができる靴の製造方法を提供することができる。
請求項11記載の発明にあっては、請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、靴のソール周縁部全域において3本の糸が外方から見えるよりデザイン性に富む靴を提供することができる。
【0038】
また、請求項11記載の発明にあっては、同様に請求項6〜8記載の発明の効果に加えて、経年次に、アウトソールが磨り減った場合にはアウトソールを容易に交換できる靴を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る靴10は、図1に示すように、互いに周縁部11,12が接合されると共に木型により型出しされたアッパー13及びインソール14が、上記周縁部11,12が外方を向くようにしてミッドソール15の周縁部16に縫合され、上記アッパー13及びインソール14の周縁11a,12aはミッドソール15の周縁15aよりも内方に位置し、ミッドソール15の周縁部16が上方に露出している。上記インソール14にはクッション材21が内装されている。
【0040】
そして、本実施の形態に係る靴10は、上記アッパー13、インソール14
及びミッドソール15は、一本の糸18により互いに縫合されている。上記ミッドソール15にはアウトソール19が接着により固定されている。
以下、このような本実施の形態に係る靴10の製造する際の製造工程に関し説明する。
【0041】
本実施の形態に係る靴10の製造工程は、図2〜9に示すように、柔軟に形成されたインソール14にアッパー13を接合し、インソール14及びアッパー13の周縁部11a,12aを縫合して仮止めする仮止め工程Aと、仮止めされたアッパー13及びインソール14内に木型26を挿入してアッパー13の型出しを行う型出し工程Bと、上記型出しされたアッパー13が仮止めされているインソール14の裏面にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合するミッドソール接合工程Cと、上記アッパー13及びインソール14をミッドソール15に対して縫合固定するミッドソール固定工程Dと、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位20よりも外方部位を切除する切除工程Eと、上記ミッドソール15の裏面側にアウトソール19を接合するアウトソール接合工程Fとを有する。以下、各工程を分説する。
【0042】
〔仮止め工程A〕
図2に示すように、先ず、柔軟に形成されたインソール14にアッパー13を接合し、インソール14及びアッパー13の周縁部11a,12aを縫合して仮止めする仮止め工程Aが行われる。、
本実施の形態に係るインソール14にあっては、内部にクッション材21が収納されている。即ち、図3に示すように、本実施の形態に係るインソール14は、表側材22は革製であって裏側材23はキャンバス地で形成され、これらの表側材22と裏側材23とが、内部に上記クッション材としてのスポンジ材21をサンドイッチにした状態で表側材22と裏側材23の周縁部が接着されて形成されている。また、上記スポンジ材21はインソール14の長さ方向全体に亘って配設されている。
【0043】
上記キャンバス地からなる裏側材23は表側材22が使用により経年変化により伸びることを防止するために貼着されている。
そして、本実施の形態にあっては、図2に示すように、上記インソール14の表面側12bとアッパー13の裏面側13aとを接合させ、周縁部11,12を仮止めする。
【0044】
この仮止めは、アッパー13の周縁11a及びインソール14の周縁12aの夫々の端部を全域に亘ってミシンにより縫合して第一仮止めを行う。
次に、この第一仮止めにより形成された第一仮止め部24のやや内方において同様にミシンにより縫合して第二仮止めを行い第二仮止め部25を形成する。従って、上記第一仮止め部24及び第二仮止め部25により、インソール14及びアッパー13との仮止めが行われる。
【0045】
〔型出し工程B〕
次に、図4に示すように、仮止めされたアッパー13及びインソール14内に木型18を挿入してアッパー13の型出しを行う型出し工程Bが行われる。
この型出し工程Bにあっては、上記仮止め工程Aにおいて、仮止めされることにより、袋状となっているアッパー13及びインソール14内に木型(ラスト)26を挿入して、アッパー13の型出しを行う。
従って、本実施の形態に係る靴10の製造工程にあっては、従来行われている、いわゆる「吊り込み」工程は行われない。
【0046】
〔ミッドソール接合工程C〕
次に、図5及び図6に示すように、ミッドソール接合工程Cが行われる。
即ち、図5に示すように、上記型出しされたアッパー13が仮止めされているインソール14の裏面にミッドソール15を配置して、その後、図6に示すように、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15の表面側に接合する。
【0047】
この場合、互いに接合されたアッパー13及インソール14を、その周縁11a,12aが上記ミッドソール15の周縁15aから所定間隔内方へ離間し、かつアッパー13及びインソール14の周縁11a,12aが外方へ向いた状態で配置する。
【0048】
この場合、上記アッパー13及びインソール14は、上記その周縁部11a,12aが、上記ミッドソール15の周縁15aよりも内方に配置される。従って、上記ミッドソール15の周縁部16は上方に露出された状態となる。
【0049】
〔ミッドソール固定工程D〕
次に、図7に示すように、上記アッパー13及びインソール14をミッドソール15に対して縫合固定するミッドソール固定工程Dが行われる。
このミッドソール固定工程15においては、上記第二仮止め部25上において、上記第二仮止め部25と同様の縫い目において、手縫で一本の糸18によりアッパー13及びインソール14をミッドソール15に最終的に縫合する。従って、これにより手縫いによる縫合部20が形成される。
【0050】
〔切除工程E〕
次に、切除工程Eを行う。図8に示すように、切除工程Eにおいては、上記ミッドソール固定工程Dにおいて、ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、アッパー13及びインソール14のミッドソール15への縫合部20から外方の部位27を切除する作業を行う。
【0051】
即ち、上記手縫いにより縫合した第二仮止め部25から周縁部に向け、上記第一仮止め部24を含め、アッパー13の周縁部11及び、インソール14の周縁部12を、適宜、カッターにより全周に亘って切除する。
これにより、上記切除部分においてミッドソール15の周縁部16が表出することとなる。
【0052】
〔アウトソール接合工程F〕
次に、図9に示すように、アウトソール接合工程Fを行う。
上記ミッドソール15の裏面側にアウトソール19を接合するアウトソール接合工程Fを行う。
【0053】
即ち、本工程においては、アウトソール19がゴム製の場合には、アウトソール19を、接着剤を介して、ミッドソール15の裏面側に接着固定する。この後、ミッドソール15及びアウトソール19の周縁部40を削り取り仕上げる。
【0054】
以上の工程を経ることにより、本実施の形態に係る靴10が制作される。
本実施の形態に係る靴10にあっては、アッパー13及びインソール14とミッドソール15との接合部位において一本の糸18により縫合され、一本の糸18による縫合部20が上記接合部位全周に亘って外方から見える靴10が製作される。
【0055】
図10〜図13は、本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す。
上記型出し工程Bの後に、上記仮止め工程Aにおいてアッパー13及びインソール14に形成された第二仮止め部25において手縫いにより飾り縫い部31を形成する飾り縫い工程Gと、上記アッパー13が飾り縫いされたインソール14の裏面側にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合し、上記飾り縫い部31の外方において手縫いによりアッパー13及びインソー14ルをミッドソール15に縫合固定するミッドソール固定工程Hと、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位よりも外方部位38を切除する切除工程Iとを有する。
【0056】
本実施の形態にあっては、アッパー13及びインソール14とミッドソール15との接合部位において2本の糸28,29によりアッパー13及びインソール14がミッドソール15に対して縫合されている靴30が製作される。本実施の形態に係る靴30の製作工程を説明する。
【0057】
前提として、仮止め工程A及び型出し工程Bに関しては、前期実施の形態にかかる靴10と同様である。その後、本実施の形態に係る靴30を製作する場合にあっては、以下の工程を経る。
【0058】
〔飾り縫い工程G〕
図10に示すように、本工程にあっては、アッパー13及びインソール14を仮止めして袋状にし、木型26を袋状のアッパー13及びインソール14内に収納して型出市を行う上記型出し工程Bの後に、上記仮止め工程Aにおいてアッパー13及びインソール14に形成された第二仮止め部25において糸28を介して手縫いにより飾り縫い部31を形成する。
【0059】
この飾り縫い部31はアッパー13及びインソール14を糸28により、第一仮止め部24及び第二仮止め部25によりアッパー13及びインソール14は固定されているにもかかわらず、更にアッパー13及びインソール14を形式的に縫合するものである。
【0060】
この飾り縫い部31はアッパー13、インソール14及びミッドソール15の周縁部において飾りとして機能するものであり、いわゆる「空縫い」である。
【0061】
〔ミッドソール固定工程H〕
次に、ミッドソール固定工程Hを行う。図11に示すように、本工程においては、上記アッパー13が飾り縫いされたインソール14の裏面側にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合し、上記飾り縫い部31の外方において手縫いによりアッパー13及びインソール14をミッドソール15に縫合固定するものである。
【0062】
即ち、前期実施の形態にかかる靴10を製作する場合と同様に、互いに仮縫いされ、かつ本実施の形態にあっては飾り縫いされたアッパー13及びインソール14を、周縁11a及び12aが外方を向いた状態でミッドソール15の表面側に配設する。
【0063】
その後、上記飾り縫い部31の外方の近傍部位において、上記飾り縫い部31に沿って並行して手縫いを行い、縫合部32を形成し、仮縫いされたアッパー13及びインソール14をミッドソール15に縫合固定する。
これにより、上記飾り縫い部31の側方に近接して手縫いによる縫合部32がアッパー13及びインソール14とアウトソール19の全周に亘って形成される。
【0064】
〔切除工程I〕
次に、図12に示すように、前期実施の形態における場合と同様に切除工程Iを行う。この切除工程Iにあっては、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位よりも外方部位38を切除する。
ここで、「アッパー13及びインソール14のミッドソール15への縫合部位」とは、上記第縫合部32の意であり、上記第縫合部32から外方に位置する外方部位38をカッター等で切除する。
【0065】
〔アウトソール接合工程J〕
最後に、図13に示すように、上記実施の形態におけるアウトソール接合工程Fと同様に、ミッドソール15の裏面側においてアウトソール19を接合させ、接着剤により固定して、アウトソール19の周縁部40を切削して仕上げを行うことにより完成する。
本実施の形態に係る製造工程にあっては、飾り縫い部31の糸28及び縫合部32の糸29の2本の糸28,29が外部から見られる靴30が製作される。従って、本実施の形態に係る製造方法により製作された靴30にあっては、靴の全周縁部に亘って、2本の糸28,29が外部から視認され、上記実施の形態にかかる靴10に比して、デザイン性に優れた靴を製作することができる。
【0066】
図14〜図18は、本発明に係る第三の実施の形態を示す。
本実施の形態にかかる靴34の製造方法にあっては、図10〜17に示すように、上記型出し工程Bの後に、上記仮止め工程Aにおいてアッパー13及びインソール14に形成された第二仮止め部25において手縫いにより飾り縫い部31を形成する飾り縫い工程Gと、上記アッパー13が飾り縫いされたインソール14の裏面側にミッドソール15を配置して、上記アッパー13及びインソール14の周縁部11,12を外方へ向けた状態でミッドソール15に接合し、上記飾り縫い部31の外方において手縫いによりアッパー13及びインソール14をミッドソール15に縫合固定するミッドソール固定工程Hと、上記ミッドソール15に縫合固定されたアッパー13及びインソール14の周縁部11,12において、ミッドソール15への縫合部位32よりも外方部位39を切除する切除工程Iと、上記切除工程Iにより露出したミッドソール15の周縁部32を飾り縫いする第二の飾り縫い工程Kと、上記ミッドソール裏面側にアウトソール19を接着するアウトソール接合工程Lとを有する。
【0067】
本実施の形態に係る靴34を製造する工程にあっては、前期第二の実施の形態に係る靴30を製造する工程の、仮止め工程Aから切除工程Iまでは同様である。相違点は、図17に示す、ミッドソール固定工程Kの後にミッドソール15の周縁部16に糸41により飾り縫いを施し、飾り縫い部35を形成する点のみである。
【0068】
即ち、本実施の形態にかかる靴の製造方法にあっては、上記糸41による飾り縫い部35はいわゆるミッドソール15上の「空縫い」であり、実質的に他の部材をミッドソール15に固定するものではない。
この後、上記アウトソール19の接合工程Kにおいて、アウトソール19をミッドソール15の裏面側に固定し、接着剤を介してミッドソール15に接合固定するものである。その後、ミッドソール15及びアウトソール19の周縁部の周囲を削り取り仕上げを行うことにより完成する。
【0069】
本実施の形態に係る靴34においては、アウトソール19及びミッドソール15の接合部位の周縁部において、3本の糸28,29,41による縫合部位31,32,35が外部から見えることから、さらにデザイン的にアッピールの大きな靴を提供することができる。
また、図18はこの第三の実施の形態の他の更に他の実施の形態を示す。本実施の形態に係る靴50の製造方法にあっては、アウトソール接合工程Lにおいて、革製のアウトソール19をミッドソール15に対して縫合固定する。
【0070】
〔アウトソール縫合工程L〕
この場合、上記アウトソールが革製の場合には、上記切除工程Iの後、上記切除工程Iにより露出したミッドソール15の周縁部16において、手縫いにより上記ミッドソール15の裏面側に配置された革製のアウトソール36を縫合固定するアウトソール縫合工程Lを行う。
【0071】
本実施の形態にあっては、上記第二の実施の形態における場合とは異なり、飾り縫い工程Kはなく、上記ミッドソール15の周縁部16において糸42によりアウトソール19をミッドソール15に固定し、その結果、上記ミッドソール15の周縁部16においてアウトソール19との縫合部37が形成される。
その後、アウトソール36の周縁部40を削り取り仕上げを行うことにより完成する。
【0072】
本実施の形態に係る靴の製造方法にあっては、上記第三の実施の形態に係る靴の製造方法の効果に加えて、革製のアウトソール36は上記縫合部37によりミッドソール15に縫合されていることから、経年時にアウトソール36が磨り減った場合には、上記縫合部37を解くことにより、アウトソールを容易に交換することができる。
【0073】
前期実施の形態にあっては、靴10,30,34,50の全体が本発明に係る靴の製造方法により製作されている場合を例に説明したが、上記実施の形態に限定されず、図19に示すように、例えば、靴51の前半部52の周縁部を従来の、本件特許出願人が提出した特許出願に係るグッドイヤー・ウエルト製法により作成し、後半部53の周縁部を本発明に係る製法により製作することも可能である。
【0074】
このように、前半部52をグッドイヤーウエルト製法により製作し後半部53を本発明に係る製法により製作した場合には、前半部にはアウトソール19の周縁部上にウエルト54が配され、後半部53にはアウトソール19の周縁部上にウエルトが配されていない靴を製作することができる。
その結果、このように、前半部52と後半部53とを異なる製法により靴を製作することにより、前半部52と後半部53とで趣の異なったデザインの靴を製作することができる。
【0075】
また、図20及び図21に示すように、縫合部27,32及び飾り縫い部31,33,35を形成する斜めに平行なステッチが現れる「傾斜縫い」55、又は、円環状のステッチが連続する「チェーン縫い」56等を行うことも可能である。
このようなステッチがアウトソールの周縁部に形成された場合には、上記実施の形態に係る靴とは異なった、よりファッション性の高いデザインの靴を製作することが可能であり、靴のデザインの多様性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、アッパー、インソール、ミッドソール及びアウトソールを有する全ての靴に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る靴を示す一実施の形態を示す一部断面斜視図であって、アッパー、インソール及びミッドソールが一本の糸により縫合されている場合を示す。
【図2】本発明に係る靴を示す一実施の形態を示す部断面斜視図であって、アッパー及びインソールを二本の糸により仮縫いした状態を示す。
【図3】本発明に係る靴を示す一実施の形態を示す部断面斜視図であって、インソールの断面を示す。
【図4】本発明に係る靴に係る一実施の形態を示す斜視図であって、仮縫いにより縫合されたアッパー及びインソール内に木型を挿入してアッパーの「型出し」を行う状態を示す図である。
【図5】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面斜視図であって、仮縫いし「型出し」がされたアッパー及びインソールにミッドソールを接合するミッドソール接合工程を示す図である。
【図6】本発明に係る靴に係る一実施の形態を示す部分断面図であって、「型出し」がされたアッパー及びインソールにミッドソールを接合するミッドソール接合工程を示す図である。
【図7】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面図であって、「型出し」がされたアッパー及びインソールにミッドソールを固定するミッドソール固定工程を示す図である。
【図8】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面図であって、ミッドソールが固定された後、アッパー及びインソールの周縁部を切除する切除工程を示す図である。
【図9】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示す部分断面図であって、切除工程の後、アウトソールを接合するアウトソール接合工程を示す図である。
【図10】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、型出し工程及び仮縫い工程を示す図である。
【図11】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、ミッドソール固定工程を示す図である。
【図12】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、切除工程を示す図である。
【図13】本発明に係る靴の製造方法の第二実施の形態を示す部分断面図であって、アウトソール固定工程を示す図である。
【図14】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、型出し工程及び仮縫い工程を示す図である。
【図15】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、ミッドソール固定工程を示す図である。
【図16】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、切除工程を示す図である。
【図17】本発明に係る第三の実施の形態を示す部分断面図であって、アウトソール接合工程を示す図である。
【図18】本発明に係る他の実施の形態を示す部分断面図であって、アウトソール縫合工程を示す図である。
【図19】本発明に係る靴の他の実施の形態を示す斜視図であって、前半部を従来の靴の製造方法により作成すると共に、後半部を本発明に係る靴の製造方法を使用して作成した場合を示す図である。
【図20】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示し、傾斜縫いを施した場合を示す図である。
【図21】本発明に係る靴の製造方法の一実施の形態を示し、チェーン縫いを施した場合を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 靴
11 周縁部
11a 周縁
11b 裏面側
12 周縁部
12a 周縁
12b 表面側
13 アッパー
13a 裏面側
14 インソール
15 ミッドソール
15a 周縁
16 周縁部
18 糸
19 アウトソール
20 縫合部
21 スポンジ材(クッション材)
22 表側材
23 裏側材
24 第一仮止め部
25 第二仮止め部
26 木型
27 外方部位
28 糸
29 糸
30 靴
31 飾り縫い部
32 縫合部
33 飾り縫い部
34 靴
35 飾り縫い部
36 革製アウトソール
37 縫合部
38 外方部位
39 外方部位
40 アウトソール周縁部
41 糸
42 糸
50 靴
51 靴.
52 前半部
53 後半部
54 ウエルト
55 傾斜縫い
56 チェーン縫い
A 仮止め工程
B 型出し工程
C ミッドソール接合工程
D ミッドソール固定工程
E 切除工程
F アウトソール接合工程
G 飾り縫い工程
H ミッドソール固定工程
I 切除工程
J アウトソール固定工程
K 第二の飾り縫い工程
L アウトソール接合工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに周縁部が接合されると共に木型により型出しされたアッパー及びインソールが、上記周縁部が外方を向くようにしてミッドソールの周縁部に縫合され、上記アッパー及びインソールの周縁はミッドソールの周縁よりも内方に位置し、ミッドソールの周縁部は上方に露出していることを特徴とする靴。
【請求項2】
上記アッパー、インソール及びミッドソールは、一本の糸により互いに縫合されていることを特徴とする請求項1記載の靴。
【請求項3】
上記ミッドソールにはアウトソールが接着により固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の靴。
【請求項4】
上記ミッドソールにはアウトソールが縫着されて固定されていることを特徴とする請求項1〜3記載の靴。
【請求項5】
上記インソールにはクッション材が内装されていることを特徴とする請求項1〜4記載の靴。
【請求項6】
柔軟に形成されたインソールにアッパーを接合し、インソール及びアッパーの周縁部を縫合して仮止めする仮止め工程と、
仮止めされたアッパー及びインソール内に木型を挿入してアッパーの型出しを行う型出し工程と、
上記型出しされたアッパーが仮止めされているインソール裏面にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合するミッドソール接合工程と、
上記アッパー及びインソールをミッドソールに対して縫合固定するミッドソール固定工程と、
上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程と、
上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接合するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする靴の製造方法。
【請求項7】
上記仮止め工程においては、ミシンによりアッパー及びインソールの外縁部を仮止めして第一仮止め部を形成すると共に、上記第一仮止め部の内方においてさらにミシンにより仮止めを行い第二仮止め部を形成することを特徴とする請求項6記載の靴の製造方法。
【請求項8】
上記ミッドソール固定工程においては、上記アッパー及びインソールに形成された第二仮止め部上を手縫いにより縫合してアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定することを特徴とする請求項7記載の靴の製造方法。
【請求項9】
上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、
上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、
上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程とを有する請求項6記載の靴の製造方法。
【請求項10】
上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、
上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、
上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程とを有し、
さらに上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部を飾り縫いする第二の飾り縫い工程と、上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接着するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする請求項6記載の靴の製造方法。
【請求項11】
上記切除工程の後、上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部において、手縫いにより上記ミッドソール裏面側に配置された革製のアウトソールを縫合固定するアウトソール縫合工程を有することを特徴とする請求項10記載の靴の製造方法。
【請求項1】
互いに周縁部が接合されると共に木型により型出しされたアッパー及びインソールが、上記周縁部が外方を向くようにしてミッドソールの周縁部に縫合され、上記アッパー及びインソールの周縁はミッドソールの周縁よりも内方に位置し、ミッドソールの周縁部は上方に露出していることを特徴とする靴。
【請求項2】
上記アッパー、インソール及びミッドソールは、一本の糸により互いに縫合されていることを特徴とする請求項1記載の靴。
【請求項3】
上記ミッドソールにはアウトソールが接着により固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の靴。
【請求項4】
上記ミッドソールにはアウトソールが縫着されて固定されていることを特徴とする請求項1〜3記載の靴。
【請求項5】
上記インソールにはクッション材が内装されていることを特徴とする請求項1〜4記載の靴。
【請求項6】
柔軟に形成されたインソールにアッパーを接合し、インソール及びアッパーの周縁部を縫合して仮止めする仮止め工程と、
仮止めされたアッパー及びインソール内に木型を挿入してアッパーの型出しを行う型出し工程と、
上記型出しされたアッパーが仮止めされているインソール裏面にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合するミッドソール接合工程と、
上記アッパー及びインソールをミッドソールに対して縫合固定するミッドソール固定工程と、
上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程と、
上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接合するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする靴の製造方法。
【請求項7】
上記仮止め工程においては、ミシンによりアッパー及びインソールの外縁部を仮止めして第一仮止め部を形成すると共に、上記第一仮止め部の内方においてさらにミシンにより仮止めを行い第二仮止め部を形成することを特徴とする請求項6記載の靴の製造方法。
【請求項8】
上記ミッドソール固定工程においては、上記アッパー及びインソールに形成された第二仮止め部上を手縫いにより縫合してアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定することを特徴とする請求項7記載の靴の製造方法。
【請求項9】
上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、
上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、
上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程とを有する請求項6記載の靴の製造方法。
【請求項10】
上記型出し工程の後に、上記仮止め工程においてアッパー及びインソールに形成された第二仮止め部において手縫いにより飾り縫い部を形成する飾り縫い工程と、
上記アッパーが飾り縫いされたインソールの裏面側にミッドソールを配置して、上記アッパー及びインソールの周縁部を外方へ向けた状態でミッドソールに接合し、上記飾り縫い部の外方において手縫いによりアッパー及びインソールをミッドソールに縫合固定するミッドソール固定工程と、
上記ミッドソールに縫合固定されたアッパー及びインソールの周縁部において、ミッドソールへの縫合部位よりも外方部位を切除する切除工程とを有し、
さらに上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部を飾り縫いする第二の飾り縫い工程と、上記ミッドソール裏面側にアウトソールを接着するアウトソール接合工程とを有することを特徴とする請求項6記載の靴の製造方法。
【請求項11】
上記切除工程の後、上記切除工程により露出したミッドソールの周縁部において、手縫いにより上記ミッドソール裏面側に配置された革製のアウトソールを縫合固定するアウトソール縫合工程を有することを特徴とする請求項10記載の靴の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−149811(P2006−149811A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346866(P2004−346866)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(596007762)
【出願人】(596007784)株式会社トレーディングポスト (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(596007762)
【出願人】(596007784)株式会社トレーディングポスト (1)
【Fターム(参考)】
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