説明

靴及び靴製造方法

【課題】インソール4を持つアッパー1に内部ソール10及びアウトソール8をモールド成型によって一体に結合した靴を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本方法は、突出リブ33によって形成されたウェッジ状凹所32が踵領域に設けられた靴型30を提供する工程と、踵領域に穴7が設けられたインソール4を持つアッパー1を靴型30に設置する工程と、アッパー1及びインソール4を設置した靴型30の下部分を型34に配置する工程と、靴型30と型34とによって形成された閉鎖した型キャビティにプラスチック材料を注入する工程と、注入した材料を硬化させ、これによって、靴型30のリブ33が、内部ソール10とアッパー1の内面との間に対応する溝12を形成する、工程と、アッパー1を、モールド成型によって結合されたソール8、10とともに、靴型30から取り外す工程と、溝12の形状と実質的に対応する形状の別に形成したインサート13を提供する工程と、インサートを溝12に配置する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴を製造するための方法であって、該靴が、
インソールを備えたアッパーと、
靴の少なくとも踵領域に設けられた、いわゆるヒールウェッジを形成する内部ソールと、インソール上及びインソールと隣接したアッパーの周囲下領域上にモールド成形されたアウトソールと、を含み、内部ソール及びアウトソールは、プラスチック材料で一体的にモールド成形されており、靴を製造するための前記方法は、
a.下面を持つ靴型を提供する工程であって、下面は、少なくとも踵領域にウェッジ状凹所を備えており、該ウェッジ状凹所は、横方向及び後方が略U字形状の突出リブによって画定されている、工程と、
b.少なくとも一つの通穴が踵領域に設けられたインソールを持つアッパーを靴型に設置する工程と、
c.開放位置と型閉鎖位置との間で互いに横方向に移動自在の二つの型半部を含むソール型を提供する工程と、
d.アッパー及びインソールが設置された靴型の下部分を、開放位置にある型内に配置する工程と、
e.型を閉じ、アッパー及びインソールが設置された靴型と型半部との間に閉鎖キャビティを形成する工程と、
f.プラスチック材料を閉鎖型キャビティに注入し、これによって、インソールの通穴を介して連結されたキャビティ及び靴型の凹所を、注入した材料で充填する工程と、
g.注入した材料を硬化させ、これによって、靴型のリブが、内部ソールのヒールウェッジとアッパーの内面との間に対応する溝を形成する工程と、
h.型を開放し、アッパーを、モールド成形された内部ソール及びアウトソールとともに靴型から取り外す工程とを含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外観上の目的のため、外から見たときに踵領域でのソールの高さが低いソールがモールド成形された靴を製造するのが望ましい。ソールの高さが低いというのは、外から見たときに特に踵領域が低いソールを意味する。一般的には、これは、従来の靴型によってアウトソールをアッパー上にモールド成形し、次いで別に製造した内部ソール又はいわゆるヒールウェッジを靴の内部に配置することによって行われてきた。この内部ソールは、足の踵領域と足のつま先(forefoot)領域との間に所望の高さの差を提供する。この方法では、随意に強化した硬質プラスチックから形成された従来の靴型を使用できるが、内部ソールを別に製造してこれを靴の中に置くのでは、製造費用が上昇する。
【0003】
しかしながら、英国特許第GB2027581号から、内部ソールをアウトソールと一体にモールド成形することが知られている。
【特許文献1】英国特許第GB2027581号
【0004】
更に、ソールの高さが低い、即ちローソールの靴を提供するため、アウトソールをアッパーの内部ソールと一体にモールド成形するために上述の種類の方法を使用することが知られている。上記知られている方法では、内部ソールを形成するためのウェッジ(楔)状凹所を形成するリブが非常に薄い靴型を使用した。これにより、内部ソールをアッパーの内面にできるだけぴったりと当接させることができる。しかしながら、非常に薄い突出したリブを使用するためには、ソール型の閉鎖圧力が加わったときにリブが変形しないように、靴型を鋼や硬質アルミニウム等の硬質材料で製造しなければならない。しかしながら、靴型を硬質材料で製造するには、靴型をプラスチック材料で製造するよりもかなり高い費用がかかる。この理由により、金属製靴型の使用は、靴の製造費用を大幅に上昇させる。更に、実際には、靴型の薄い突出したリブの変形を完全になくすのは困難であることがわかっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、非金属製靴型を使用できるようにし、及びかくして靴型及び製造された靴の両方の製造費用を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による方法は、
j.支持部分と、溝の形状と実質的に対応する形状を備えたリブ部分とを持つ別に形成したインサートを提供する工程と、
k.インサートを、そのリブ部分が溝に受け入れられるように靴の中に配置する工程とを含む、ことを特徴とする方法である。
【0007】
靴型のリブによって形成された溝にインサートが配置されるため、前記リブは、原理的にはどのような厚さであってもよく、こうした厚さには、非金属材料、例えばプラスチック材料、随意には高密度ポリエチレン(HDPE)等の強化プラスチックで靴型を形成できるような厚さが含まれる。これにより、靴型の製造費用が大幅に減少し、インサートを別に製造するにも拘わらず、本発明による方法で、靴の製造費用が全体として減少する。これと同時に、別に形成したインサートを使用することにより、使用者の所望に従って様々な形状の靴型を使用できるため、使用者は様々な利点を得ることができる。更に、インサートに対し、アウトソール及び内部ソールに使用された材料と異なる硬さの材料を使用できる。最後に、インサートを内部ソール及びアウトソールと異なる色にすることによって視覚的効果を得ることもできる。
【0008】
インサートのリブ部分は、インサートを交換可能にするため、溝に取り外し自在に受け入れられてもよい。しかしながら、インサートのリブ部分は、例えば接着によって、取り外すことができないように溝に受け入れられていてもよい。
【0009】
インサートを溝に取り外すことができるように保持するために、更に、内部ソールの側面に面するインサートのリブ部分の側面と、内部ソールの側面とに、協働する係合手段が設けられていてもよい。その結果、インサートは所定の場所に保持され、且つその交換が可能である。
【0010】
更に、インサートの支持部分の上面は、インサートと内部ソールとの間に不快な移行部が形成されないように、内部ソールの上面と実質的に面一とすることができる。しかしながら、インサートを、その支持部分の高さが内部ソールの上面よりも高いレベルにあるように形成し、その後、この高さの差を、内部ソールに接着した中敷(sock)によってなくすこともできる。
【0011】
更に、踵領域に横方向支持を提供するように、リブ部分から遠ざかる方向に向いた、インサートの支持部分は、アッパーの内面に向かって上方及び外方に傾斜した上面を、少なくとも踵領域に備えていてもよい。
【0012】
更に、少なくとも踵領域において、リブ部分から遠ざかる方向に向いた、インサートの支持部分は、アッパーの内面に沿って、この内面と当接した状態で上方に延びる周囲ビードを備えていてもよい。その結果、足に対して強力な側方支持が提供される。
【0013】
更に、内方方向において、インサートの支持部分は、リブ部分を越えて延びており、内部ソールの上面と重なり且つ当接するプレート状領域を形成してもよい。
【0014】
最後に、インサートの支持部分に、ソックを、例えば接着又は縫製によって取り付けてもよい。
【0015】
本発明は、靴であって、
外面及び内面を持つアッパーと、
アッパーに連結されており、外面及び内面を持ち、少なくとも一つの通穴が踵領域に設けられたインソールと、
インソールの外面上に、及びインソールと隣接したアッパーの外面の周囲下領域上にモールド成形された、プラスチック材料製のアウトソールと、
少なくとも靴の踵領域に設けられた内部ソールであって、いわゆるヒールウェッジをインソールの内面に形成する、内部ソールとを含み、
アウトソール及び内部ソールは一体的にモールド成形され、これによって、プラスチック材料は、インソールの少なくとも一つの穴を通って延び、
平面図で見たときに実質的にU字形状である溝が、ヒールウェッジとアッパーの内面との間に形成され、溝は、内部ソールの側面とアッパーの内面との間を延びる、靴に関する。
【0016】
内部ソールの側面とアッパーの内面との間の溝が非常に狭い、上述の種類の靴が知られている。これは、製造費用に悪影響を及ぼし、上文中に言及した製造上の問題点をもたらす。
【0017】
かくして、本発明の目的は、公知の靴の欠点を緩和し、公知の靴に関し、使用者に様々な利点を提供する靴を提供することである。
【0018】
本発明によれば、溝の形状と実質的に対応する形状を持ち、溝に受け入れられるU字形状のリブ部分と、該リブ部分から遠ざかる方向に向いた支持部分とを含む、別に形成したインサートを備えている、ことを特徴とする靴が提供される。
【0019】
その結果、上述のように、製造上の利点、経済的利点、並びに使用者に関する様々な利点が得られる。
【0020】
インサートのリブ部分を溝に取り外し自在に受け入れられるように形成することにより、様々な形状のインサート又は様々な硬さのインサートを同じ靴に配置でき、例えば使用者の要求に応じて適合させることができる。
【0021】
更に、インサートを溝に取り外し自在に保持するため、内部ソールの側面に面するインサートのリブ部分の側面と、内部ソールの側面とに、協働する係合手段を設けてもよい。
【0022】
更に、インサートの支持部分の上面は、インサートの上面と実質的に面一であってもよい。
【0023】
更に、少なくとも踵領域において、リブ部分から遠ざかる方向に向いたインサートの支持部分は、アッパーの内面に向かって上方及び外方に傾斜した上面を備えていてもよい。
【0024】
更に、少なくとも踵領域において、リブ部分から遠ざかる方向に向いたインサートの支持部分は、アッパーの内面に沿って、この内面と当接した状態で上方に延びる周囲ビードを備えていてもよい。
【0025】
更に、内方に向かう方向において、インサートの支持部分は、リブ部分を越えて延び、内部ソールの上面と重なり且つこれと当接するプレート状領域を形成してもよい。
【0026】
更に、ソックがインサートの支持部分に、例えば接着又は縫製によって取り付けられていてもよい。
【0027】
最後に、インサートは、アウトソール及び内部ソールのプラスチック材料とは硬さが異なるプラスチック材料で形成されていてもよい。
【0028】
アウトソール及び内部ソールを一体成形するのに適当な材料を提供することは、当業者には明らかであるということに着目すべきである。適当なプラスチック材料の例には、熱可塑性又は熱硬化性のポリウレタン(PU)、及びPVCが含まれる。当業者に明らかな複数のプラスチック材料をインサートに使用でき、これには、上述の材料及びEVAが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0030】
図1に示す本発明による靴の実施例は、内面2及び外面3を持つアッパー1を含む。インソール4が例えば縫製によりアッパーに連結されている。インソール4は、内面5及び外面6を有する。多くの通穴7がインソール4の踵領域に設けられている。
【0031】
靴は、更に、例えばPU等の、好ましくは発泡材料でできた、弾性の材料からなるアウトソール8を含む。アウトソール8は、インソールの外面6上に、及びインソール4と隣接したアッパー1の外面3の周囲下領域9上にモールド成形される。靴は、更に、靴の踵領域からつま先(forefoot)領域まで延びる内部ソール10を含む。この内部ソール10は、足の踵領域をつま先に関して持ち上げるのに役立つのと同時に足の土踏まずを支持するヒールウェッジ、又は単にウェッジと表示される。内部ソール10は、インソール4の内面5上にモールド成形され、更に、アウトソールと一体的にモールド成形され、これによってプラスチック材料がインソール4の穴7を通って延びる。
【0032】
平面図で見ると、内部ソール10の側面11とアッパー1の内面2との間に略U字形状の溝12が形成される。この溝は、インソール4の内面5によって下方部分が画定される。溝12の深さは、内部ソール10の輪郭に従って変化し、及びかくしてつま先領域内のインソール4が終端する領域では深さが実質的にない。即ち、ここに滑らかに移行する。
【0033】
例えば発泡プラスチック等の弾性プラスチック材料から形成されたインサート13のリブ部分14が溝12内に配置される。平面図では、インサート13のリブ部分14はU字形状であり、溝12と実質的に同じ形状である。インサート13には、更に、リブ部分14から遠ざかる方向に向いた支持部分15が設けられており、この支持部分の上面16が内部ソール10の上面17に滑らかに移行する。図1では、インサート13は、断面が略楔形状であり、これによって溝内に確実に保持される。
【0034】
図2に示す靴は、中敷(sock)18が設けられていることだけが、図1に示す靴と異なっている。中敷18は、靴のソール内側領域全体に亘って延びている。即ち、インサート13、内部ソール10、及びつま先領域のインソール4を覆っている。中敷18は、取り外し自在に配置されていてもよいが、インサート13が靴から中敷18とともに取り外されるように、例えば接着や縫製によってインサート13の上面16に取り付けられていてもよい。
【0035】
図3は、図2に示す靴の変形例の踵領域の縦断面図である。図3に示す変形例の靴は、インサート13が溝に更に確実に保持されるようにする協働係合手段が、内部ソール10の側面11と、この内部ソール10の側面11に面するインサート13の側面19とに設けられているということだけが、図2に示す靴と異なっている。この場合、係合手段は、内部ソール10の側面11に設けられた突出部20として形成されており、この突出部が、インサート13の側面19に設けられた凹所21と係合する。係合手段は、逆の態様で配置されていてもよいし、複数の別々の突出部及び対応する数の別々の凹所として形成されていてもよい。
【0036】
図1乃至図3は、更に、アウトソール8がアッパーの外面3で内部ソール10の上面17の高さよりも上に延びていないようにすることによって、踵領域を外側から見たとき、冒頭に言及した踵が低い外観が得られることを示す。
【0037】
図4に示す、本発明による靴の実施例は、インサート23の設計だけが、図1及び図2に示す靴と異なっている。インサート23のリブ部分24は、図1及び図2に示すインサート13のリブ部分14と対応する。しかしながら、インサート23の支持部分25は、足の横方向支持を提供するように、アッパーの内面に沿って上方に延びる周囲ビードとして形成されている。更にインサート23の支持部分25は、内方に向かう方向において、リブ部分24を越えて延び、内部ソール10の上面17と重なり且つ当接するプレート状領域を形成する。
【0038】
次に、本発明による靴製造方法を図5乃至図8を参照して説明する。本発明による方法を実施するため、下面31を持つ靴型30を使用する(図5及び図6参照)。ウェッジ状(楔状)の凹所32が下面31に設けられている。凹所32は、横方向及び後方が、靴型30の下面31に向かう方向で見たときに略U字形状である突出リブ33によって画定されている。突出リブ33によって形成されたウェッジ状凹所32の形状は、内部ソール10の形状と実質的に対応する。凹所は、続いて行われる成形プロセスで内部ソール10を形成する。同様に、靴型30の突出リブ33の形状は、靴の溝12の形状と実質的に対応する。
【0039】
踵領域に一つ又はそれ以上の通穴7が設けられたインソール4を備えたアッパー1が靴型30に配置される。通穴7は、靴型30のウェッジ状の凹所32が設けられた領域に配置される。
【0040】
本方法を実施するため、図7及び図8に示す型34を使用できる。この型34は、開放位置(図7参照)と閉鎖位置(図8参照)との間で横方向に移動自在の二つの型半部35、36を含む。型34は、更に、図7に示す型の開放位置と図8に示す型の閉鎖位置との間で垂直方向に移動自在の下側部品即ち下側ピストン37を含む。図8に示す、型34の閉鎖位置では、型の部品35、36、37は、靴型30に配置されたインソール4を備えたアッパー1にモールド成形されるべきアウトソール8の外形と対応するキャビティを形成する。
【0041】
アウトソール8及び内部ソール10のモールド成形を行うため、アッパー1及びインソール4が配された靴型30の下部分を、図7に示す開放位置にある型に入れる。次いで、型半部35及び36を図8に示す閉鎖位置まで移動させる。これによって、縁部部分38、39がアッパー1の周囲領域に沿ってアッパー1に密封をなして当接する。その結果、型部品35、36及び37の間に閉鎖キャビティが形成される。
【0042】
次いで、ソール成型用液体材料を、型半部35、36の閉鎖面41、42に設けられた入口溝40a及び40bによって形成された入口40を介して、キャビティに注入する。閉鎖面41、42は、その閉鎖位置において、型の長さ方向閉鎖平面を形成する。
【0043】
成形材料の注入後、下部品37が図8に示す位置まで上方に移動される。これが、型の閉鎖位置である。この閉鎖位置で、型部品35、36及び37が靴型30と共に、アウトソール8及び内部ソール10の形状と対応する形状の閉鎖キャビティ43を形成する。
【0044】
発泡プラスチック、例えばポリウレタンを成形材料として使用する本例では、前記材料が膨張し、キャビティ43を満たし、且つ、インソール4の通穴7を介して靴型30の凹所32に流入する。その結果、成形材料は、硬化後、インソールの外面及び内面に、及びアッパー1の下部分に、しっかりとモールド成形される。
【0045】
射出成形材料が硬化したとき、型が開放され、アウトソール8及びその上にモールド成形された内部ソール10とともに靴型30が型から取り出される。次いで、内部ソール10及びアウトソール8が設けられたアッパー1が靴型30から取り外される。
【0046】
次いで、別に形成したインサート、例えば図1に示すインサート13が提供される。このインサートは、上文中に説明した成形プロセスで靴型30の突出リブ33によって形成された溝12の形状と実質的に対応する形状の支持部分15及びリブ部分14を有する。
【0047】
次いで、インサートが、そのリブ部分が溝に受け入れられるように靴の中に配置される。その後、例えば図2に示す中敷18が靴の中に配置されてもよい。
【0048】
型34の設計に関し、使用される成形材料に応じて、垂直方向に移動自在の下部品37を使用しなくてもよいということに着目されるべきである。かくして、互いに横方向に移動自在の二つの型半部だけを含む型によってソールをモールド成型することもでき、これによって、図8に破線で示す型半部の実施例が得られる。この実施例では、移動自在の型半部は、これらの型半部の閉鎖位置でキャビティ43の下側を形成する下部品を備えている。当然のことながら、型のこの実施例では、入口は、キャビティ43内に開放するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による靴の一部の長さ方向中央断面図及び斜視図である。
【図2】ソックが設けられた図1に示す靴の縦断面図である。
【図3】図2に示す靴の変形例の踵領域の断面図である。
【図4】本発明による靴の一実施例の長さ方向中央断面図及び斜視図である。
【図5】図1、図2、及び図4に示す靴を本発明による方法で製造する上で使用するための靴型の、下方に傾けた斜視図である。
【図6】図5に示す靴型の縦断面図である。
【図7】本発明による方法を実施するための型の、開放状態での踵領域の縦断面図である。
【図8】図7と対応する型の、閉鎖状態での踵領域の縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴を製造するための方法であって、前記靴が、
インソール(4)を備えたアッパー(1)と、
前記靴の少なくとも踵領域に設けられた、いわゆるヒールウェッジを形成する内部ソール(10)と、
前記インソール(4)上及び前記インソール(4)と隣接した前記アッパー(1)の周囲下領域(9)上にモールド成形されたアウトソール(8)と、を含み、前記内部ソール(10)及び前記アウトソール(8)が、プラスチック材料で一体的にモールド成形されている、靴を製造するための方法であって、
該靴を製造するための方法は、
a.下面(31)を持つ靴型(30)を提供する工程であって、前記下面(31)は、少なくとも踵領域にウェッジ状凹所(32)を備えており、該ウェッジ状凹所(32)は、横方向及び後方が略U字形状の突出リブによって画定されている、工程と、
b.少なくとも一つの通穴(7)が設けられたインソール(4)を持つアッパー(1)を前記靴型(30)に設置する工程と、
c.開放位置と型閉鎖位置との間で互いに横方向に移動自在の二つの型半部(35、36)を含むソール型(34)を提供する工程と、
d.前記アッパー(1)及び前記インソール(4)が設置された前記靴型(30)の下部分を、前記開放位置にある前記型内に配置する工程と、
e.前記型を閉じ、前記アッパー(1)及び前記インソール(4)が設置された前記靴型(30)と前記型半部との間に閉鎖キャビティを形成する工程と、
f.プラスチック材料を前記閉鎖型キャビティに注入し、これによって、前記インソール(4)の前記通穴(7)を介して連結された前記キャビティ及び前記靴型の前記凹所(32)を、注入した材料で充填する工程と、
g.前記注入した材料を硬化させ、これによって、前記靴型(30)の前記リブ(33)が、前記内部ソールと前記アッパー(1)の内面との間に対応する溝(12)を形成する工程と、
h.前記型を開放し、前記アッパー(1)を、モールド成形されたソール(8、10)とともに前記靴型(30)から取り外す工程と、
を含む、方法において、
j.支持部分(15;25)と、前記溝(12)の形状と実質的に対応する形状を備えたリブ部分(14;24)とを持つ、別に形成したインサート(13;23)を提供する工程と、
k.前記インサート(13;23)を、そのリブ部分が前記溝(12)に受け入れられるように前記靴の中に配置する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記インサート(13;23)の前記リブ部分(14;24)は、前記溝(12)に取り外し自在に受け入れられる、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記内部ソール(10)の側面に面する前記インサート(13)の前記リブ部分(14)の側面(19)と、前記内部ソールの前記側面とに、協働する係合手段(20、21)が設けられている、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の方法において、
前記インサート(13)の前記支持部分(15)の上面(16)は、前記内部ソール(10)の上面(17)と実質的に面一である、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記リブ部分(14;24)から遠ざかる方向に向いた、前記インサート(13;23)の前記支持部分(15;25)は、前記アッパー(1)の前記内面に向かって上方及び外方に傾斜した上面を、少なくとも踵領域に備えている、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の方法において、
少なくとも踵領域において、前記リブ部分から遠ざかる方向に向いた、前記インサート(23)の前記支持部分は、前記アッパー(1)の前記内面に沿って、この内面と当接した状態で上方に延びる周囲ビードを備えている、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の方法において、
内方にむかう方向において、前記インサート(23)の前記支持部分(25)は、前記リブ部分(24)を越えて延び、前記内部ソール(10)の前記上面(17)と重なり且つ当接するプレート状領域(26)を形成する、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記インサート(13)の前記支持部分(15)に、中敷(18)が、例えば接着又は縫製によって取り付けられている、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記インサート(13;23)は、前記アウトソール(8)及び前記内部ソール(10)のプラスチック材料と異なる硬さのプラスチック材料で形成されている、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
靴であって、
外面(3)及び内面(2)を持つアッパー(1)と、
前記アッパーに連結されており、外面(6)及び内面(5)を持ち、少なくとも一つの通穴(7)が踵領域に設けられたインソール(4)と、
前記インソール(4)の前記外面(6)上に、及び前記インソール(4)と隣接した前記アッパー(1)の前記外面(3)の周囲下領域(9)上にモールド成形された、プラスチック材料製のアウトソール(8)と、
少なくとも前記靴の踵領域に設けられた内部ソールであって、いわゆるヒールウェッジを前記インソール(4)の前記内面(5)に形成する、内部ソール(10)と、
を含み、
前記アウトソール及び前記内部ソールは一体的にモールド成形され、これによって、前記プラスチック材料は、前記インソール(4)の少なくとも一つの穴を通って延び、
平面図で見たときに略U字形状である溝が、前記ヒールウェッジ(10)と前記アッパー(1)の前記内面との間に設けられ、前記溝は、前記内部ソール(10)の側面と前記アッパーの前記内面(2)との間を延びる、靴において、
前記溝の形状と実質的に対応する形状を持ち、前記溝(12)に受け入れられるU字形状リブ部分(14;24)と、該リブ部分から遠ざかる方向に向いた支持部分(15;25)とを含む、別に形成したインサート(13;23)を備えている、ことを特徴とする靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−518698(P2008−518698A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539460(P2007−539460)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000712
【国際公開番号】WO2006/048024
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(501192510)エコ スコ アクティーゼルスカブ (1)
【Fターム(参考)】