説明

靴取付け用ローラー装置

【課題】両車輪保持部の接続強度を高めた靴取付け用ローラー装置を提供する。
【解決手段】左右の車輪保持部12,13を接近離間自在に案内するガイド機構15と、靴の幅に合わせて左右の車輪保持部12,13を互いに固定する係止機構16を備え、前記係止機構16は、前記ガイド機構15の前後位置で、左右一方の車輪保持部12,13からそれぞれ他方に伸び、幅方向に所定ピッチで形成されて上面が開口された調整穴22を有するロッド部材21,21と、載置部11の上面で、固定端部26が左右の車輪保持部12,13側に上下揺動自在に支持され、遊端部27に調整穴22,22にそれぞれ嵌め合わせ可能な前後一対の固定ピン28が突設されたレバー式のストッパー25と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に取り付けることにより、靴をローラースケートのように利用できる靴取付け用ローラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
靴取付け用ローラー装置は、スニーカー等の靴の底部に取り付けることにより、普通の靴を用いてローラースケートのような滑走を可能なものである。
【0003】
特許文献1に開示されている靴取り付け用ローラー装置は、靴を載せる載置部と、載置部の両側に接続され、車輪を回転自在に保持する左右一対の車輪保持部を備えている。一対の車輪保持部間の載置部に靴を載せるが、靴を載せる幅は、載置部を伸縮して車輪保持部を接近離間させ、調整することができる。この載置部は、左の車輪保持部から突出されて先端面が開口された箱状体と、右の車輪保持部から突出されて前記箱状体にスライド自在に嵌合されるガイド板とからなり、左右の車輪保持部を接近離間可能なガイド機構と、このガイド機構をロックする係止機構とを備えている。
【0004】
前記係止機構は、左の車輪保持部の箱状体の上面にヒンジを介して上下方向に揺動自在に支持されて右の車輪保持部側に伸び、遊端部に固定ピンが下方に突設された揺動板と、ガイド板にスライド方向に一定ピッチで形成され、前記固定ピンが箱状体上面に形成された透孔を介して嵌合可能な複数の調整穴を具備している。したがって、複数の調整穴の中から最適な調整穴を選択し、前記揺動板を下方に押さえ、固定ピンを透孔から選択した調整穴に嵌め込むことにより、左右の車輪保持部を固定し、両車輪保持部の幅を決定することができる。靴を載せる幅が狭すぎたり、広すぎたりするときは、固定ピンを嵌め込む調整穴を変えれば、適宜、靴を載せる幅を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3157614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の靴取付け用ローラー装置は、ガイド板に形成された調整穴に、固定ピンを嵌め込んでガイド機構をロックしているのみであるため、左右の車輪保持部間の接続強度が弱いという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点を解決して、左右の車輪保持部間の接続強度を高めた靴取付け用ローラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため請求項1に係る発明は、靴を載せる載置部の両側に、幅方向の軸心周りに回転自在なローラーを有する左右の車輪保持部を備えた靴取付け用ローラー装置であって、左右の前記車輪保持部を接近離間自在に案内するガイド機構と、靴の幅に合わせて左右の前記車輪保持部を互いに固定する係止機構を備え、前記係止機構は、前記ガイド機構の前後位置で、左右一方の前記車輪保持部からそれぞれ他方に伸び、幅方向に所定ピッチで形成されて上面が開口された調整穴を有する前後一対の調整部と、前記載置部の上面で、固定端部が左右他方の前記車輪保持部側に回動自在に支持されて、遊端部に前記調整穴にそれぞれ嵌め合わせ可能な前後一対の固定ピンが突設されたレバー式のストッパーと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、前記ガイド機構は、左右一方の前記車輪保持部から他方に伸びるスライド体と、左右他方の前記車輪保持部から他方に伸び前記スライド体が挿脱自在なガイド孔を有する筒体とを有し、前記調整部は、左右一方の前記車輪保持部から前記スライド体の前後位置に所定間隔をあけて他方に伸びるロッド部材からなることを特徴とする。
【0009】
また請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、前記ガイド機構は、左右一方の前記車輪保持部から他方に伸びるスライド体と、左右他方の前記車輪保持部から他方に伸び前記スライド体が挿脱自在なガイド孔を有する筒体とを有し、前記調整部は、前記筒体の前後部に筒体と一体に形成されたことを特徴とする。
【0010】
また請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に係る発明であって、前記ストッパーは、遊端部に、前記調整部から前後外側にそれぞれ突出する出っ張り部を有することを特徴とする。
【0011】
また請求項5に係る発明は、靴を載せる載置部の両側に、幅方向の軸心周りに回転自在なローラーを有する左右の車輪保持部を備えた靴取付け用ローラー装置であって、左右の前記車輪保持部の間に、前記載置部の前部で靴の甲部に係止される甲ベルトと、靴の踵部に係止される踵ベルトとを具備し、前記甲ベルトに、一端部が左右一方の前記車輪保持部の前部上側に形成されたベルト孔に連結されて弾性を有するバンド部と、当該バンド部の他端部に取り付けられたフック部とを設け、左右他方の前記車輪保持部の前部上側に、前記フック部が着脱自在なフック係止部を設け、前記フック部は、前記バンド部の長さ方向に伸びる軸部と、当該軸部の先端部に形成しれたヘッド部からなり、前記フック係止部は、前記外側に開口されて前記軸部をはめる溝部と、当該溝部の下方に開口されて前記ヘッド部を収納するヘッド収納部からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載の靴取付け用ローラー装置によれば、ストッパーの前後に設けられた2つの固定ピンを、対応する調整穴にそれぞれ嵌め合わせることにより、ガイド機構がしっかりロックされるため、左右の車輪保持部間の接続強度を高めることができる。
【0013】
また本発明に係る請求項5記載の靴取付け用ローラー装置によれば、甲ベルトのフック部をフック係止部に対して掛け、外しを行うだけで、靴に対する着脱を容易に迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る実施例1の靴取付け用ローラー装置を示す斜視図である。
【図2】同靴取付け用ローラー装置を示す斜視図である。
【図3】同靴取付け用ローラー装置を靴に取り付けた状態を示す側面図である。
【図4】同靴取付け用ローラー装置の平面図である。
【図5】図4に関する図であり、(a)は図4におけるA−A’断面図であり、(b)は図4におけるB−B’断面図である。
【図6】図4におけるC−C’断面図である。
【図7】同靴取付け用ローラー装置のフック係止部を下方から見た斜視図である。
【図8】本発明に係る実施例2の靴取付け用ローラー装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施例1について説明する。
図1〜図4などに示すように、靴取付け用ローラー装置10は、靴61を載せる載置部11を有しており、当該載置部11の両側に、靴61の幅方向の軸心周りに回転自在なローラー14,14を有する左右の車輪保持部12,13を備えている。
【0016】
前記載置部11は、ガイド機構15と、係止機構16を備えている。ガイド機構15は、載置部11を幅方向に伸縮可能とし、左右の車輪保持部12,13を接近離間自在に案内する。
また前記係止機構16は、ガイド機構15をロックし、左右の車輪保持部12,13間の幅を調整および固定することができる。
【0017】
前記ガイド機構15は、右の車輪保持部13から対向して突設された板状の角筒体(筒体)18、およびこの角筒体18のガイド孔18a(図6)にスライドして挿脱自在に嵌め合わされる左の車輪保持部12から突設された板状のスライド体19から構成されている。もちろん、この角筒体18を複数の円筒体と、これら円筒体のガイド孔にスライド自在に嵌め合わされる複数の円柱ロッド状のスライド体とで構成することもできる。
この角筒体18は、先端面にガイド孔18aの開口部を有し、この開口部から前記スライド体19が角筒体18内に挿入される。
前記係止機構16は、前記スライド体19の前後位置に所定間隔をあけて、左の車輪保持部12から内側に伸びる前後一対のロッド部材21,21(調整部の一例)と、前記各角筒体18の上面に設けられるストッパー25を備えている。
前記一対のロッド部材21,21は、それぞれ、上面が開口された複数の調整穴22が幅方向に所定ピッチで形成されている。
【0018】
また前記ストッパー25は、図2,図5(a)などに示すように、平面視がT字形に形成された薄板状のレバー式で、固定端部26が、右の車輪保持部13側で角筒体18の上面に前後方向の支持ピン(ヒンジ)26aを介して回動自在に支持され、上下揺動自在に構成されている。そして、ストッパー25の遊端部27には、両側に、前後一対の調整穴22,22にそれぞれ嵌め合わせ可能な固定ピン28,28が下向きに突設されている。
【0019】
上記構成において、前記ストッパー25を起こして外すときは、前記一対の固定ピン28,28が調整穴22,22から抜き出され、ストッパー25が解除状態とされる。一方、前記ストッパー25を倒したときは、前後一対の固定ピン28,28が、いずれかの一対の調整穴22,22にそれぞれ嵌め合わされ、ストッパー25が作用状態とされる。このように、ストッパー25を作用状態としたとき、ストッパー25の前後に設けられた2つの固定ピン28,28が、対応する調整穴22,22にそれぞれ嵌め合わせることにより、前記ガイド機構15がしっかりロックされるため、左右の車輪保持部12,13間の接続強度を高めることができる。
【0020】
また、ストッパー25を倒した時に、角筒体18とストッパー25の上面が面一となるように、前記角筒体18の上面にストッパー25がぴったり収まる凹部31が設けられている。上面を面一とすることにより、靴61が載置部11に安定して載るため使用感がよくなり、またストッパー25がぴったり収まる凹部31とすることにより、凹部31の壁面によりストッパー25の前後左右の動きが規制され、使用時のガタつきが防止される。
【0021】
しかし、ストッパー25が凹部31にぴったり収まると、ストッパー25を起立させて解除しにくくなるおそれがあるが、この実施例1では、ストッパー25は、遊端部27に、調整部である各ロッド部材21,21よりも前後外側にそれぞれ突出する一対の出っ張り部29,29を有している。これにより、指で一対の出っ張り部29,29を挟み込んで、ストッパー25を持ち上げることにより、一対の固定ピン28,28を調整穴22,22から簡単に抜き出すことができる。
上記構造により、特許文献1に記載されているような従来技術に比べて、指にかかる負荷を小さくでき、安全かつ簡単にストッパー25を外すことができる。なお、ここで、出っ張り部29,29は、前後に指を引っ掛けることができればよく、ロッド部材21,21のストッパー25の下部に、ストッパー25に指を引っ掛けるための凹部や隙間を形成して、出っ張り部を突出状態としてもよい。
【0022】
ところで、この靴取付け用ローラー装置10は、載置部11に靴61を固定するために、左右の車輪保持部12,13の間に、載置部11の前部で靴61の甲部63に係止される甲ベルト56と、靴62の踵部64に係止される踵ベルト55とを具備している。そして、甲ベルト56には、基端部が右の車輪保持部13の前部上側の上覆部46に形成されたベルト孔47に連結されて弾性を有するバンド部60と、このバンド部60の先端部に取り付けられたフック部57とが設けられている。
前記左の車輪保持部12は、外側にローラー14を回転自在に保持する壁体35と、前記壁体35の上部からローラー14の上方を覆うように伸びる上覆部36と、前記壁体35の前後端から前記ローラー14の前後外周を囲む車輪ガード34と、前記壁体35の後方から内側に湾曲して伸びる踵規制部40とから構成されている。
【0023】
そして、前記上覆部36には、左の車輪保持部12の前部上側に、フック部57を引っ掛けるためのフック係止部37が設けられている。このフック係止部37は、左方の外側が開口される軸溝部38と、下方が開口されたヘッド収納部39とを備え、ヘッド収納部39の外側に下方に伸びるフック抜け防止部39aが設けられている。また前記踵規制部40には、踵ベルト55のバンド部を通すための踵ベルト孔41が設けられている。なお、強度を向上させるため、図5(a),図6に示すように、L字型の補強金具32が前記壁体35から前記スライド体19にわたって埋設されている。
【0024】
また前記右の車輪保持部13は、外側にローラー14を回転自在に保持する壁体45と、前記壁体45の上部から、ローラー14の上方を覆うように伸びる上覆部46と、前記壁体45の前後端から前記ローラー14の右方を覆うように伸びる車輪ガード44と、前記壁体35の後方から内側に湾曲して伸びる踵規制部40とから構成されている。
前記上覆部46には、右の車輪保持部13における前部上側に、甲ベルト56のバンド部60の一端部を掛け通すための甲ベルト孔47が設けられている。
【0025】
前記踵ベルト55は、基端部が右の踵ベルト孔50に固定されたバンド部と、このバンド部に取り付けられた面ファスナー(図示せず)から構成され、右の踵ベルト孔50から左踵ベルト孔41にかけ通して折り返し、面ファスナーを接着してバンド部の長さを調整する。
また前記甲ベルト56のフック部57は、バンド部60の他端部に結合されてバンド部60の長さ方向に伸びる軸部59と、当該軸部59の先端部に形成したヘッド部58とから構成されている。
この軸部59の外径は、フック係止部37の軸溝部38に嵌合離脱自在な外径とされており、またヘッド部58の寸法は、ヘッド収納部39に収まる寸法とされている。
したがって、甲ベルト56は、甲ベルト孔47にバンド部60をかけ通して、載置部11の幅より短くなるように一端を固定しておき、バンド部60を引っ張り、軸部59を軸溝部38に嵌め込み、ヘッド部58をヘッド収納部39に嵌め込むことにより、フック部57をフック係止部37に引っ掛けてワンタッチで固定することができる。
【0026】
以下に、靴61に対する靴取り付け用ローラー装置10の取り付け方について説明する。
使用者は、最初に、載置部11の幅調整を行う。まず角筒体18に、スライド体19を挿入して角筒体18内でスライド体19を適宜移動させる。そして、ストッパー25を倒して、前後一対の固定ピン28,28を、幅方向のいずれかの前後一対の調整穴22,22に嵌め合わせて、ストッパー25を固定状態とする。そして、載置部11に靴61を載せてみて、載置部11の幅が靴61の幅に適合するかを確認する。載置部11の幅が靴61の幅に対して広すぎたり狭過ぎたりする場合には、前後の出っ張り部29,29を指で挟んでストッパー25を起こして、ストッパー25を解除状態とする。再び、角筒体18内でスライド体19を適宜移動させて左右の車輪保持部12,13を適正位置に調整した後に、ストッパー25を倒し、前後一対の固定ピン28,28を、最適な前後一対の調整穴22,22に嵌め合わせ直して、ストッパー25を固定状態とする。これにより、使用者は、載置部11の幅調整を完了する。
【0027】
続いて、使用者は、踵ベルト55と甲ベルト56により、靴61を靴取付け用ローラー装置10に固定する。まず、右の踵ベルト孔50に連結された踵ベルト55のバンド部を踵ベルト孔41にかけ通し、バンド部を左右の踵規制部40,49に靴61の踵部64を沿わせて踵部64の位置を決めし、さらに踵ベルト55を締め付けてから面ファスナーを固定する。
そして、踵ベルト55の取り付けが完了すると、次に、甲ベルト56を取り付ける。甲ベルト孔47に甲ベルト56のバンド部60をかけ通し、バンド部60を引っ張って、フック部57をフック係止部37に引っ掛け、甲ベルト56を固定する。
【0028】
このとき、図7に示すように、甲ベルト56のバンド部60を引っ張って伸ばし、フック部57の軸部59を、フック係止部37の軸溝部38に外側から嵌め込み、この状態から、フック部57のヘッド部58を、フック係止部37のヘッド収納部39に収納する。これにより、甲ベルト56は、バンド部60の張力により、ヘッド部58がヘッド収納部39の内面に引っ掛かって、図3に示すように、靴61の甲部63をしっかり固定できる。さらに、フック係止部37は、ヘッド収納部39の外側に下方に伸びるフック抜け防止部39aが設けられているため、多少の振動があっても、フック抜け防止部39aにより、フック部57がヘッド収納部39から抜けることが防止される。
このように、靴61に対する靴取り付け用ローラー装置10の取付けが完了すると、図3に示すように、使用者は、靴61の爪先部62を持ち上げることにより、左右のローラー14,14を転がして、ローラースケートのような走行を楽しむことが可能となる。
【0029】
さて、一旦休憩してから、再度使用を再開する場合など、使用者は、靴取り付け用ローラー装置10を一旦靴61から取り外して、載置部11の幅を変えることなく、靴61に取り付けて使用したい場合がある。このような場合、使用者は、甲ベルト56のバンド部60を引っ張ってフック部57をフック係止部37から外すことにより、靴取付け用ローラー装置10を簡単に靴61から取り外すことができる。
具体的には、甲ベルト56のバンド部60を幅方向に引っ張って伸ばし、フック部57のヘッド部58を、フック係止部37のヘッド収納部39より下方にずらし、フック部57を外側に移動させて、フック部57の軸部59を、フック係止部37の軸溝部38よりも外側に移動させる。これにより、甲ベルト56を外すことができる。
このように、使用者は、甲ベルト56のフック部57を、フック係止部37に対して掛け、外しを行うだけで、靴61に対して靴取付け用ローラー装置10の着脱を、簡単に迅速に行うことができる。
【0030】
特許文献1記載の従来技術においては、左右の車輪保持部の上覆部にベルト孔を設けて、左右のベルト孔に甲ベルトを掛け通す方式であったため、ベルト孔に甲ベルトを通す手間が煩雑となり、靴に対する取付け、取り外しに時間がかかっていたところ、上記のように、甲ベルト56を、フック部57と弾性を有するバンド部60を有するものとし、バンド部60を引っ張って、フック部57をフック係止部37に対して、掛け、外しを行うだけで、靴61に対する靴取付け用ローラー装置10の着脱を簡単かつ迅速に、ワンタッチで行うことができる。
【0031】
次に本発明に係る実施例2を、図8を参照して説明する。先の実施例1と同一部材、左右対称部材には、同一の記号を付し、説明を省略する。
先の実施例1では、角筒体18を有する右の車輪保持体13にストッパー25を、スライド体19を有する左の車輪保持体12に調整孔22が形成されたロッド部材21をそれぞれ設けたが、この実施例2では、左の車輪保持体12側にあるスライド体19’の上面に固定端部26が回動自在とされるストッパー25を設け、右の車輪保持体13側に筒体と前後一対の調整部を一体に設けたガイド調整部材18’を設けたものである。このガイド調整部材18’には、ガイド孔18aの両側に前後一対の調整穴22,22が複数設けられている。ストッパー25の遊端部27の両側の前後一対の固定ピン28,28を、前後一対の調整穴22,22に対して嵌め合わせ、抜き取りを行うことにより、先の実施例1と同様の作用効果を奏することができる。加えて、この実施例2では、調整部を筒体の前後部に筒体と一体に形成できる為、部材を削減して調整部の強度を増大することができ、コストダウンを図ることができる。
【0032】
なお、上記各実施例1,2では、左右の脚で同じ靴取り付け用ローラー装置10を取り付けることを想定しているが、靴取り付け用ローラー装置10を左脚用と右脚用とで対称な構造としても、同様の作用効果を奏することができる。
また例えば、左の車輪保持部12にフック係止部37を設け、右の車輪保持部13に甲ベルト孔47を設けていたが、逆にしても勿論よく、すなわち、右の車輪保持部13にフック係止部37を設け、左の車輪保持部12に甲ベルト孔47を設けることもできる。
さらに例えば、フック部57をT字形状として図1等に図示しているが、フック係止部37によって引っ掛け保持できるのであれば、フック部57の形状は問わない。またフック部57の形状に合わせて、フック係止部37の形状も変更されることが好ましい。
さらにまた例えば、前後一対の調整穴22,22を幅方向に一定間隔を空けて4対設けた場合を図1などに図示しているが、もちろん、前後一対の調整穴22,22を幅方向に2対、3対、あるいは5対以上設けてもよい。
また例えば、各調整穴22は、それぞれ、非貫通のものとして図5(b)などに図示しているが、各調整穴22は、ロッド部材21あるいはガイド調整部材18’を貫通するものであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 靴取付け用ローラー装置
11 載置部
12,13 車輪保持部
14 ローラー
15 ガイド機構
16 係止機構
18 角筒体(筒体)
18’ ガイド調整部材(筒体、調整部)
18a ガイド孔
19,19’ スライド体
21 ロッド部材(調整部)
22 調整穴
25 ストッパー
26 固定端部
26a 支持ピン
27 遊端部
28 固定ピン
29 出っ張り部
31 凹部
35,45 壁体
36,46 上覆部
37 フック係止部
38 軸溝部
39 ヘッド収納部
39a フック抜け防止部
47 甲ベルト孔
56 甲ベルト
57 フック部
58 ヘッド部
59 軸部
60 バンド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴を載せる載置部の両側に、幅方向の軸心周りに回転自在なローラーを有する左右の車輪保持部を備えた靴取付け用ローラー装置であって、
左右の前記車輪保持部を接近離間自在に案内するガイド機構と、
靴の幅に合わせて左右の前記車輪保持部を互いに固定する係止機構を備え、
前記係止機構は、
前記ガイド機構の前後位置で、左右一方の前記車輪保持部からそれぞれ他方に伸び、幅方向に所定ピッチで形成されて上面が開口された調整穴を有する前後一対の調整部と、
前記載置部の上面で、固定端部が左右他方の前記車輪保持部側に回動自在に支持されて、遊端部に前記調整穴にそれぞれ嵌め合わせ可能な前後一対の固定ピンが突設されたレバー式のストッパーと、を備えたこと
を特徴とする靴取付け用ローラー装置。
【請求項2】
前記ガイド機構は、左右一方の前記車輪保持部から他方に伸びるスライド体と、左右他方の前記車輪保持部から他方に伸び前記スライド体が挿脱自在なガイド孔を有する筒体とを有し、
前記調整部は、左右一方の前記車輪保持部から前記スライド体の前後位置に所定間隔をあけて他方に伸びるロッド部材からなること
を特徴とする請求項1記載の靴取付け用ローラー装置。
【請求項3】
前記ガイド機構は、左右一方の前記車輪保持部から他方に伸びるスライド体と、左右他方の前記車輪保持部から他方に伸び前記スライド体が挿脱自在なガイド孔を有する筒体とを有し、
前記調整部は、前記筒体の前後部に筒体と一体に形成されたこと
を特徴とする請求項1記載の靴取付け用ローラー装置。
【請求項4】
前記ストッパーは、遊端部に、前記調整部から前後外側にそれぞれ突出する出っ張り部を有すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の靴取付け用ローラー装置。
【請求項5】
靴を載せる載置部の両側に、幅方向の軸心周りに回転自在なローラーを有する左右の車輪保持部を備えた靴取付け用ローラー装置であって、
左右の前記車輪保持部の間に、前記載置部の前部で靴の甲部に係止される甲ベルトと、靴の踵部に係止される踵ベルトとを具備し、
前記甲ベルトに、一端部が左右一方の前記車輪保持部の前部上側に形成されたベルト孔に連結されて弾性を有するバンド部と、当該バンド部の他端部に取り付けられたフック部とを設け、
左右他方の前記車輪保持部の前部上側に、前記フック部が着脱自在なフック係止部を設け、
前記フック部は、前記バンド部の長さ方向に伸びる軸部と、当該軸部の先端部に形成しれたヘッド部からなり、
前記フック係止部は、前記外側に開口されて前記軸部をはめる溝部と、当該溝部の下方に開口されて前記ヘッド部を収納するヘッド収納部からなること
を特徴とする靴取付け用ローラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−239656(P2012−239656A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112948(P2011−112948)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(500514579)ジェイディジャパン株式会社 (20)