説明

靴用インナーパッド

【課題】甲被内側の側面に着脱自在に装着して靴のフィッティングをする。
【解決手段】甲被A1内側の側面A2に着脱可能に装着される靴用インナーパッド1であって、クッション性を有するパッド本体2と、パッド本体2の一端面20に設けられ、側面A2に掛脱自在に掛合する複数の掛合体30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甲被の内側の側面に着脱可能な機能を有する靴用インナーパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
靴用インナーパッドは、靴内に挿入することにより、靴のフィッティングが行えるものが知られている。下記特許文献1に記載のものは、甲の高さを調整する底パッドと、足の幅を調整する横パッドを備えてなるものであり、靴内に挿入することで装着できるようになっている。また、必要に応じて中底に底パッドを接着することにより、靴用インナーパッドを靴内に固着することもできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の靴用インナーパッドによると、底パッドによって甲の高さを調整し、横パッドによって足幅を調整することができるため、より正確に靴のフィッティングを行うことができる。また、接着せずに挿入するようにしておくことによって、他の靴にも使用することができる。しかしながら、このような靴用インナーパッドは、中底を高くしてしまうため、各種競技用シューズに使用する場合に、逆に靴のバランスを崩してしまうという問題がある。
【0005】
また、このような競技用シューズには、通常の靴よりも大きな力が加わるため、靴用インナーパッドを靴内でずれないように固着する必要がある。しかしながら、100%の力を発揮するには、靴用インナーパッドの位置を現在の足の状況や使用する靴の形状によって合わせることが必要であるため、靴用インナーパッドを固着するとその後の調整を行うことができないという問題がある。
【0006】
更に、このような靴用インナーパッドをスケート場等で貸し出されるレンタル靴に使用する場合、返却時には、靴用インナーパッドを取外す必要があるため、靴に固着することはできない。すなわち、スケーティング中に靴内で靴用インナーパッドがずれたときには、その度に靴を脱いで靴用インナーパッドの再調整を行う必要があるし、この調整を行わないと、靴内で足がずれて、スケーティングがうまくできなかったり足にマメができてしまったり等が生じるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、甲被内側の側面に装着して靴のフィッティングができるようにすること、甲被内側の側面に着脱可能に装着できるようにすること、甲被内側の側面に装着して靴のフィッティングをすることで、靴のバランスの崩れを防止できるようにすること、甲被内側の側面に着脱可能に装着することで、靴内での靴用インナーパッドのずれを防止できるようにするとともに、靴用インナーパッドを他の靴にも使用できるようにすること、靴用インナーパッドのずれを防止することで、足のホールド性能の低下を防止できるようにするとともに、靴着用後の靴用インナーパッドの再調整を不要にできるようにすること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明による靴用インナーパッドは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0009】
甲被内側の側面に着脱可能に装着される靴用インナーパッドであって、クッション性を有するパッド本体と、該パッド本体の一端面に設けられ、前記側面に掛脱自在に掛合する複数の掛合体と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
甲被内側の側面に着脱可能に装着される靴用インナーパッドであって、前記側面の範囲内に装着可能な形状のクッション性を有するパッド本体と、該パッド本体の一端面に設けられ、前記側面に掛脱自在に掛合する複数の掛合体と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クッション性を有するパッド本体に備えられた掛合体が、甲被内側の側面に掛脱自在に掛合するようにしているので、甲被内側の側面に装着して靴のフィッティングができるとともに、甲被内側の側面に着脱可能に装着できる。しかも、甲被内側の側面に装着して靴のフィッティングをすることで、靴のバランスの崩れを防止できる。更に、甲被内側の側面に着脱可能に装着することで、靴内での靴用インナーパッドのずれを防止できるとともに、靴用インナーパッドを他の靴にも使用できる。また、靴用インナーパッドのずれを防止することで、足のホールド性能の低下を防止できるとともに、靴着用後の靴用インナーパッドの再調整を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】靴用インナーパッドの第1実施形態を示す構成図。
【図2】靴用インナーパッドの装着状態を示す構成図。
【図3】靴用インナーパッドの第2実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のパッド本体は、クッション性を有するものであればよく、その素材として、例えば、クロロプレン系発泡ゴム材、シリコン系発泡ゴム材、エチレンプロピレン系発泡ゴム材、エチレンプロピレンジエン系発泡ゴム材、ウレタン系発泡樹脂材等が挙げられる。
【0014】
また、本発明の掛合体は、パッド本体の全域又は一部に固着された雄側の面状ファスナであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の靴用インナーパッドは、表面にサイズ変更用の切取り線を有していることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明に係る靴用インナーパッド(以下「パッド」という)1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、パッド1を使用する靴Aとしてアイススケート靴を例示する。図1は、パッド1の第1実施形態を示す構成図であり、図1(a)は表面図、図1(b)は裏面図、図1(c)は、図1(a)の(c)−(c)線に沿う部分拡大断面図で
ある。
【0017】
パッド1は、パッド本体2と、パッド本体2の一端面20側に接着された面状ファスナ3と、パッド本体2の他端面21側に接着されたカバーシート4とから構成されたものであり、靴Aの甲被A1内側の側面A2の範囲内に装着可能な形状となるように裁断形成されている。このパッド1は、靴Aの甲被A1内側の側面A2の範囲に合わせて裁断することにより、最大サイズの靴Aから最小サイズの靴Aまで対応できるフリーサイズのものである。また、このパッド1は靴Aの内側用と外側用があり、夫々、この靴Aの内側と外側に適合した形状に形成されている。
【0018】
尚、本実施形態のパッド1は、靴Aの外側用のものを例示する。また、本実施形態でいうパッド本体2の一端面20とは、側面A2に対向する面であり、以下では、表面20という。また、パッド本体2の他端面21とは、靴A内の足(図示せず)に対向する面であり、以下では、裏面21という。また、本実施形態でいう甲被A1内側の側面A2とは、靴Aのつま先部A3及びかかと部A4並びに底部A5を除いた部位である。
【0019】
パッド本体2は、クロロプレン系発泡ゴム材等からなるものであり、側面A2の凹凸形状及び足(図示せず)の凹凸形状に沿うように変形する柔軟性を備えている。具体的には、最大サイズとする靴Aの側面A2の大きさよりも大きくなるように形成されている。
【0020】
面状ファスナ3は、多数の掛合体30を有する雄側のものであり、パッド本体2の表面20に、この表面20の中央部を除く全域に接着されている。具体的には、面状ファスナ3の外周縁31がパッド本体2の外周縁22と適合しており、面状ファスナ3の内周縁32が最小サイズとする靴Aの側面A2の大きさより小さくなるように形成されている。
【0021】
カバーシート4は、伸縮性及び柔軟性を有する薄い布地であり、カバーシート4の外周縁41がパッド本体2の外周縁22と適合するように、パッド本体2の裏面21の全域に接着されている。このカバーシート4は、良好な履き心地の確保、パッド本体2の保護、パッド1の装飾等を行うためのものであり、足を直接パッド本体2に触れないようにすることで良好な履き心地を確保するとともに、パッド本体2の磨耗の抑制をすることができ、着色や模様を施すことで良好なデザイン性を確保することができる。このカバーシート4の素材は、ジャージ、ニット等、伸縮性を有する薄い布地であればよい。
【0022】
このカバーシート4の表面には、サイズ変更用の切り取り線42〜45が設けられている。この切り取り線42〜45の形状は、パッド1の上端側から先端側へ亘る形状と相似形であり、靴Aのサイズに対応する切り取り線42〜45に沿って裁断することによって、パッド1を目的の形状及び大きさにするようになっている。また、切り取り線42が最小サイズの靴Aに対応しており、この切り取り線42で細断した場合に、パッド本体2の表面に面状ファスナ3が残るようになっている。
【0023】
尚、本実施形態では、切り取り線42〜45を5mmごとの間隔で設けた形態で例示しているが、本発明は、このような形態に限定するものではない。例えば、切り取り線42〜45の本数を増減してもよいし(図示せず)、切り取り線42〜45の間隔を狭くして、パッド1の大きさの微調整を行えるようにしてもよい(図示せず)。更に、男性用、女性用、子供用の切り取り線42〜45を一枚のパッド1のカバーシート4に設けて、一枚のパッド1で男性、女性、子供が使用できるようにしてもよい(図示せず)。
【0024】
図2は、パッド1の装着状態を示す概略構成図である。パッド1を装着する靴Aは、側面A2に良好な履き心地を確保するためのクッション材A20を配したものである。このクッション材A20はスポンジ材A21の表面に起毛布地A22を接着してなるものであり、この起毛布地A22の起毛部分に面状ファスナ3の掛合体30が掛合することにより、パッド1が側面A2に装着されるようになっている。パッド1の取外しは、パッド1を側面から剥がすように引っ張って、起毛部分に対する掛合体30の掛合を外すことにより行うことができる。
【0025】
起毛布地A22を有するクッション材については、履き心地の確保及び保温ということから、通常、例示したアイススケート靴に配されているものである。また、クッション材A20は、起毛布地A22に換えて網目の細かい網状体(図示せず)が配されているものもあり、このようなクッション材A21においても前述の網状体の網目に掛合体30を掛合させることができる。すなわち、本実施形態のパッド1は、掛合体30を掛合させることができる部材(起毛布地A22、網目の細かい網状体等)を有したクッション材A21が配された靴Aであれば、靴Aの種類にかかわらず装着することができる。このようなクッション材A21が配されている靴Aとしては、例えば、ランニングシューズ、ウォーキングシューズ、ビジネスシューズ等が挙げられる。
【0026】
本実施形態のパッド1によると、甲被A1内側の側面A2の形状及び大きさに適合させて裁断することで、側面にA2に最適な状態で着脱自在、且つ定位置に、ずれが生じないように装着することができる。したがって、フィッティング後の靴Aのバランスの崩れを防止できるとともに、靴A着用後のパッド1の再調整を不要にでき、且つ足のホールド性能の低下を防止でき、しかも、一つのパッド1で様々な靴Aのフィッティングをすることができる。
【0027】
図3は、パッド1の第2実施形態を示す構成図である。尚、第1実施形態のパッド1と重複する部位についての説明は、同符号を付すことにより省略する。
【0028】
本実施形態のパッド1は、方形状に形成されたものであり、使用者がパッド1を任意の形状及び大きさに裁断して側面A2に装着できるようにしたものである。このパッド1の面状ファスナ3は、パッド本体2の全域に接着されており、どの部分を裁断しても面状ファスナ3が残るようになっている。
【0029】
本実施形態のパッド1によると、第1実施形態のパッド1と同様の作用効果を有し、更に、靴Aごとに異なる甲被A1内側の側面A2の形状及び大きさに裁断することができるとともに、側面A2の所望部分に装着する場合に、この所望部分の形状・大きさに切断することで対応することができる。
【0030】
尚、本実施形態のパッド1には、切り取り線42〜45が設けられていないもので例示しているが、このようなパッド1にも、切り取り線42〜45を設けてもよい(図示せず)。また、方形状に限定するものではない。また、本実施形態のパッド1の形状は、方形に限定するものではない。
【0031】
次に、第1実施形態及び第2実施形態のパッド1の製造方法の一例を説明する(図示せず)。尚、パッド1の製造方法は、例示する製造方法に限定するものではない。まず、シート状に形成したパッド本体2の表面20に面状ファスナ3を接着固定するとともに、パッド本体2の裏面21にシート状のカバーシート4を接着してパッド部材を形成する。形成されたパッド部材を、第1実施形態及び第2実施形態に示す形状になるように裁断することでパッド1を製造することができる。
【0032】
第1実施形態のパッド1を製造する場合、面状ファスナ3を貼り付け形態は、図1(a)に示すようにパッド本体2の中央部を除く部分に貼り付ける形態とする。このような面状ファスナ3を貼り付け形態により、図1(a)に示すパッド1を製造することができる。また、切り取り線42〜45は、あらかじめカバーシート4に印刷等で設けることが好ましい。また、パッド1の製造方法は、定型状とするパッド本体2に面状ファスナ3及びカバーシート4を貼り付けて所定形状に裁断する製造方法としてもよいし(図示せず)、長尺状、且つロール状にしたパッド本体2、面状ファスナ3、カバーシート4を引き出しながら連続するように貼り付けて長尺状のパッド部材を製造し、このパッド部材を所定形状に裁断する製造方法としてもよい(図示せず)。また、パッド部材を所定形状に裁断する方法として、所定の形状に形成された裁断刃で型抜き状に裁断する方法(図示せず)やカッターなどで所定の形状に沿って裁断する方法(図示せず)が挙げられる。
【0033】
尚、本発明は、例示した実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1:パッド(靴用インナーパッド)
2:パッド本体
3:面状ファスナ
20:表面(一端面)
30:掛合体
42:切り取り線
43:切り取り線
44:切り取り線
45:切り取り線
A:靴
A1:甲被
A2:側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲被内側の側面に着脱可能に装着される靴用インナーパッドであって、クッション性を有するパッド本体と、該パッド本体の一端面に設けられ、前記側面に掛脱自在に掛合する複数の掛合体と、を備えていることを特徴とする靴用インナーパッド。
【請求項2】
甲被内側の側面に着脱可能に装着される靴用インナーパッドであって、前記側面の範囲内に装着可能な形状のクッション性を有するパッド本体と、該パッド本体の一端面に設けられ、前記側面に掛脱自在に掛合する複数の掛合体と、を備えていることを特徴とする靴用インナーパッド。
【請求項3】
前記掛合体は、前記パッド本体の全域又は一部に固着された雄側の面状ファスナであることを特徴とする請求項1又は2記載の靴用インナーパッド。
【請求項4】
前記靴用インナーパッドは、他端面にサイズ変更用の切り取り線を有していることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の靴用インナーパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−224093(P2011−224093A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95399(P2010−95399)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(503344816)株式会社ぎゃくし (1)
【Fターム(参考)】