説明

靴用除菌器

【課題】除菌剤として気体化するヨウ素を含んだ薬剤を使用する場合にも、気体化したヨ
ウ素が靴内の一部分のみに偏在して付着することがなく、靴の内部全体に亘って拡散し、
靴の内部の一部分のみを極端に変色させることなく靴の内部全体の除菌を行なうことがで
きる靴用除菌器の提供を課題とする。
【解決手段】通気性を有する薬剤袋30内にはヨウ素含有の薬剤が封入されている。この
薬剤袋30は、収納器10の底板部11上の支持体16によって支持される。放散孔15
を有する底板部11の下面には、柄部20の先端部を係止する柄部先端収納部17と突起
部18とが、下方に向かって突設されている。収納器10の本体12を覆う蓋体13にも
放散孔14が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用していない状態の靴の内部に載置することによって、その靴の内部の除
菌を行なう靴用除菌器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用していない状態の靴の内部に載置することによって、その靴の内部の除菌や消臭を
行なう器具は、既に多く提案されている。
【0003】
図7は、このような器具の一例の構成を示したものである。図7に示した器具は、脱臭
剤や乾燥剤などの薬剤が封入されている袋体70を収納する2つの器具本体71と、この
2つの器具本体71を連結する連結部材72によって構成されている。器具本体71の上
部側には網状部73が形成され、下部側には網状部74が形成されており、また袋体70
は通気性を有する材料で構成されているので、袋体70内の薬剤は、靴などの履き物80
内の空気に作用して、脱臭などの薬効を生じさせることができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】登録実用新案第3034418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような器具に使用する薬剤として、本願出願人は、殺菌作用が大きいヨウ素に着目
し、長期間に亘って所定量のヨウ素を安定的に昇華させることができるヨウ素結合・担持
体を開発して既に提案している。(特願2006−204861)。
【0005】
しかしながら、このような昇華や気化などにより気体化したヨウ素を用いて靴の内部の
除菌を行なう場合、以下のような問題が生じてしまう。
【0006】
ヨウ素分子(分子量約254)は空気(平均分子量28.8)に比して著しく重いため
に、図7に示したような従来の器具を使用した場合には、気体化したヨウ素の大部分が器
具本体71の下部側の網目を通って沈下し、器具本体71の下部が接触している履き物8
0の底の表面にすぐ付着してしまう。即ち、気体化したヨウ素が、器具本体71の下部側
の網状部74が接触している履き物80の底の一部分にのみ偏在して付着してしまう。従
って、気体化したヨウ素が履き物80の内部全体に亘って効率よく拡散せず、さらに、器
具本体71が置かれている靴底の部分が付着したヨウ素によって著しく変色してしまうと
いう問題が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明は、通気性材料からなる袋体にヨウ素含有の薬剤
が封入されている薬剤袋を収納した状態で対象となる靴の内部に載置される収納部と、該
収納部に配設された柄部とからなる靴用除菌器であって、前記薬剤袋を収納する収納部は
、底板部を有する本体と、該本体を覆う蓋体とによって構成され、前記本体の底板部と前
記蓋体とには、気体化した前記薬剤袋内のヨウ素が通過可能な複数個の放散孔が形成され
、 前記収納部の前記底板部の下面には、前記収納部が載置される靴の靴底に対して前記
収納部の前記底面部を離隔的に支持するスペース部材が下方に向かって突設されているこ
とを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記底板部の上面には、前記薬剤袋を前記底板部に対して離隔的に支持する支
持体が上方に向かって突設されていてもよく、さらに、前記底板部の下面には、前記柄部
の先端部を摺動自在に収納し且つ所定位置において前記先端部と着脱自在に係合する柄部
先端収納部が配設され、当該柄部先端収納部が前記スペース部材の一部を構成していても
よい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、除菌剤として気体化するヨウ素を含んだ薬剤を使用する場合にも、気
体化したヨウ素が靴内の一部分のみに偏在して付着することがなく、靴の内部全体に亘っ
て拡散するので、靴の内部の一部分のみを極端に変色させることなく靴の内部全体の除菌
を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1の構成を示す斜視図でる。本実施例1は、ヨウ素を含有する
薬剤を収納する収納部10と、この収納部10に係止されている柄部20とから構成され
ている。
【0012】
図2は、収納部10の構成を示す分解斜視図であり、図3(a)は図1のA−A断面図
、図3(b)は図1のB−B断面図である。
【0013】
図2に示すように、収納部10は、ヨウ素含有の薬剤が通気性材料からなる袋体に封入
されている薬剤袋30を収納するものであり、底板部11を有する本体12と、この本体
12を覆う蓋体13とによって構成されている。蓋体13には気体化したヨウ素が通過可
能な複数の放散孔14が形成されており、本体12の底板部11にも複数の放散孔15が
形成されている。
【0014】
本体12の底板部11の上面には、薬剤袋30を支持する複数個の支持体16が上方に
向かって突設されている。この複数の支持体16によって薬剤袋30は底板部11の上面
から離隔した状態で支持される。
【0015】
17は、柄部20の先端部を摺動自在に収納する柄部先端収納部であり、18は突起部
である。
【0016】
この柄部先端収納部17は、図3(a),(b)に示したように、本体12の底板部1
1の下面に下方に向かって突設されており、この柄部先端収納部17の下端部に突起部1
8が下方に向かって突設されている。
【0017】
底板部11の下面に突設されている柄部先端収納部17および突起部18によって、底
板部11の下面が靴底から離隔した状態で、本実施例1の収納部10は靴の内部に載置さ
れる。すなわち、この柄部先端収納部17および突起部18は靴底と底板部11との間に
、空間を形成するスペース部材として作用する。なお、本実施例1を靴の内部に載置した
状態においては、図3(a)に示した状態から柄部20の重さにより柄部20が下がり、
収納部10は突起部18を支点として回転してその先端部が上に移動する。従って、柄部
20とは反対側に位置している収納部10の先端部には突起部18が設けられていないが
、その先端部の下側には充分な空間が確保される。
【0018】
ここで、本実施例1においては、図4(a),(b)に示したように、柄部20の先端
部を摺動自在に収納する柄部先端収納部17の所定位置に係合口17a,17bが形成さ
れている。また、柄部20の先端部には、係合口17aまたは係合口17bと着脱自在に
係合可能な係合部20aが形成されている。
【0019】
この係合部20aを係合口17aまたは17bに適宜係合させることによって、柄部2
0を収納部10に係止することができる。即ち、図5に示したように、本実施例1によれ
ば、柄部20の長さを除菌する靴の形状に応じて適宜変えることができる。
【0020】
以上のように構成された本実施例1を使用する場合には、先ず、図6に示したように、
対象となる靴40の形状に応じて柄部20の長さを調節し、その柄部20を手に持って、
収納部10が靴40の「つま先」部分に位置するように収納部10を靴40の内部に載置
する。
【0021】
このように設置された本実施例1の作用について図3を用いて説明する。
【0022】
図3(a),(b)に示したように、薬剤袋30は、支持体16によって、底板部11
の上面に接触しない状態で支持されているために、薬剤袋30内のヨウ素は気体化して、
先ず、収納部10の内部に拡散する。
【0023】
収納部10の内部に拡散したヨウ素は蓋体13の放散孔14や底板部11の放散孔15
を通過して靴40の内部に放散される。このとき、本実施例1においては、柄部先端収納
部17および突起部18によって底板部11の下面と靴底の表面との間に空間が形成され
ているので、底板部11の放散孔15を通過したヨウ素が直ちに靴底の表面に付着するこ
とがなく、この空間内で拡散されて周囲に広がっていく。
【0024】
従って、本実施例1によれば、ヨウ素を含有する除菌剤を使用した場合でも、気体化し
たヨウ素を極端に偏在させることなく靴の内部に拡散させることができるので、本実施例
1が載置された部分の靴底が他の部分に比して極端に変色することはない。
【0025】
なお、以上説明した本実施例1においては、柄部20の長さが調節可能となるように構
成されているが、一定の長さの柄部の一端側を収納部10に固定するという構成としても
、本発明の作用・効果に影響はない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の内部構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図5】本発明の実施例1の構成の説明図である。
【図6】本発明の実施例1の使用方法の説明図である。
【図7】従来の靴用除菌器の構成図である。
【符号の説明】
【0027】
10 収納部
11 底板部
12 本体
13 蓋体
14,15 放散孔
16 支持体
17 柄部先端収納部
17a,17b 係合口
18 突起部
20 柄部
20a 係合部
30 薬剤袋
40 靴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性材料からなる袋体にヨウ素含有の薬剤が封入されている薬剤袋を収納した状態で
対象となる靴の内部に載置される収納部と、該収納部に配設された柄部とからなる靴用除
菌器であって、
前記薬剤袋を収納する収納部は、底板部を有する本体と、該本体を覆う蓋体とによって
構成され、
前記本体の底板部と前記蓋体とには、気体化した前記薬剤袋内のヨウ素が通過可能な複
数個の放散孔が形成され、
前記収納部の前記底板部の下面には、前記収納部が載置される靴の靴底に対して前記収
納部の前記底面部を離隔的に支持するスペース部材が下方に向かって突設されていること
を特徴とする靴用除菌器。
【請求項2】
前記底板部の上面には、前記薬剤袋を前記底板部に対して離隔的に支持する支持体が上
方に向かって突設されていることを特徴とする請求項1に記載の靴用除菌器。
【請求項3】
前記底板部の下面には、前記柄部の先端部を摺動自在に収納し且つ所定位置において前
記先端部と着脱自在に係合する柄部先端収納部が配設され、当該柄部先端収納部が前記ス
ペース部材の一部を構成していることを特徴とする請求項1または2に記載の靴用除菌器


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−136514(P2008−136514A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322718(P2006−322718)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(599044803)アルピコ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】