説明

【課題】階段を安全に降段できる靴の提供。
【解決手段】靴の全長の20%から35%の長さに相当する靴先のアッパー部分の全部又は一部を、蛍光色にて塗色し、更に、前記蛍光色としたアッパー部分において、靴先から25%から30%の間の部分にて、全長方向と略垂直な方向に、前記蛍光色とは別色で塗色した略帯状部分を構成することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,階段の降段時の足の踏み外しを防ぎ、安全に降段できる靴に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社においては、電力需要家における月々の消費電力量を把握のために、検針員を各営業拠点に配置し、需要家に設置した電力量計を検針させている。現在、高電圧以上で受電している一部の大口需要家を除き、大部分の需要家に設置した電力量計は検針員が検針しているが、需要家における電力量計の設置箇所は多様であり、検針員は検針のために屋内外の階段の昇降も頻繁にこなさなければならない。
【0003】
一方、電力会社としては、社員に対してはもとより、当然、検針員に対しても、業務上の安全配慮をしているが、検針員の災害発生状況を鑑みるに、転倒やつまづき災害の発生が多く、特に、階段での災害が、最近、増加傾向にある。
【0004】
また、階段での災害は、階段に高低差があることから、必然的に転落等を伴い、重傷に至る場合が多く、何らかの物的な対策が望まれていた。しかし、物的な対策を施すといっても、階段に対策を施すことは不可能であり、対策は検針員の身に着けるものに絞られるが、発明者は靴に着目して安全対策を施すこととした。
【0005】
一方、靴への安全対策については、靴に発光機能を付け、夜間に後方から接近する車両等に注意喚起する先行技術はあるが(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)、階段の降段時に転倒等の安全対策として、靴を履く者自身からの視認性に着目した先行技術は無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−337205号公報
【特許文献2】実開平7−102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、階段の降段時に、履く者に注意喚起する靴の開発が重要な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、発明者は、この課題を解決すべく、次の構成の靴を発明した。
つまり、靴全長の20%から35%の長さに相当する靴先のアッパー部分の全部又は一部を、蛍光色にて塗色し又は蛍光色の材若しくは蓄光材にて構成し、更に、前記蛍光色等としたアッパー部分において、靴先から靴全長の25%から30%の間の部分にて、靴の全長方向と略垂直な方向に、幅を任意とする略帯状部分を構成するとともに、当該略帯状部分を前記蛍光色とは別色で塗色し又は別色の材若しくは蓄光材で構成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、階段の降段時に、本発明に係る靴を履く者の視線が、靴先の蛍光色等を施した部分に集中し、かつ、蛍光色等とは別色の略帯状部分を階段の踏み面の先端に位置するように足運びすることで、踵を含む足の裏の大部分を踏み面に置くことができ、安定に且つ安全に降段することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る靴(一実施例)の外観図である。
【図2】蛍光色に塗色したアッパー部分と略帯状部分の位置を説明する図面である。
【図3】本発明に係る靴(一実施例)の略帯状部分を、階段の踏み面の先端に位置するようにした際の外観図である。
【図4】本発明に係る靴(一実施例)を適用した靴で階段を降段している場合の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面も参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の具体例の一部であり、本発明の技術思想としての範囲を限定するものではない。
【0012】
(実施例の説明)
図1は、本発明に係る靴1の構成を示すものである(例示しているのはスニーカーの場合である)。
靴1の先端(つま先)のアッパー部分2(このアッパー部分2の周りの補強材3を含めてもよい)を蛍光色に塗色する。この蛍光色は目立つ黄色などが好適である。図1では、先端のアッパー部分2の一部しか塗色していないが、勿論、全部を塗色してもよい。
以上では塗色で蛍光色としたが、靴1の構成材として、所要部分を蛍光色のものを用いてもよい(つまり、先端のアッパー部分2の部材を予め蛍光色として製造し、それを用いてもよい)。また、この部分を蓄光材で構成してもよい。
【0013】
そして、この蛍光色に塗色した先端のアッパー部2にて、略帯状に蛍光色とは別色で塗色する。この略帯状部分4の色は、蛍光色と強いコントラストを生じさせるものであることが望ましい(例えば、蛍光色が黄色の場合には赤色にするなど)。また、これについても、前記先端のアッパー部2と同様に、靴1の構成部材としてもよい(構成部材を蓄光材としてもよい)。
【0014】
ここで、蛍光色に塗色した先端のアッパー部分2と略帯状部分4の靴1の全体での位置を図2を基にして説明する。
前記先端のアッパー部分2は、靴先端の方の部分で靴全長の20%から35%の長さとする。前記略帯状部分4は、前記先端のアッパー部分2において、靴先から靴全長の25%から30%の間の部分にて、靴1の全長方向と略垂直な方向に塗色し、その幅は、前記の靴先から靴全長の25%から30%の間の蛍光色に塗色した部分に収まるようにする。
(発明の効果の説明)
【0015】
階段の降段において、人間は、通常、自分の足元に視線を送る。そのため、本発明に係る靴1を履いた者は、靴1の外面で最も目立つ蛍光色に塗色した先端のアッパー部2に視線が向く。そして、図3に示すように、靴1を履いた足を階段の踏み面5に置くにあたって、前記略帯状部分4を階段の踏み面の先端6に重ねるように足運びするように意識が働く。
そして、図4に示すように、足の踵を含む大部分を踏み面5に置くことができ、安定に且つ安全に降段することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 靴
2 先端のアッパー部
4 略帯状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段を安全に降段できる靴であり、
前記靴の全長の20%から35%の長さに相当する靴先端のアッパー部分の全部又は一部を、蛍光色にて塗色し又は蛍光色の材若しくは蓄光材にて構成し、
更に、前記蛍光色等とした靴先端のアッパー部分において、靴先端から靴の全長の25%から30%の間の部分にて、前記靴の全長方向と略垂直な方向に、幅を任意とする略帯状部分を構成するとともに、当該略帯状部分を前記蛍光色とは別色で塗色し又は別色の材若しくは蓄光材で構成すること、
を特徴とする靴。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−120831(P2011−120831A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283031(P2009−283031)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】