説明

鞍乗り型車両の風防装置

【課題】フロントフォークを用いずにウインドシールドの取付け及び取外しを可能にする。
【解決手段】車体前部のヘッドパイプに操向可能に支持されるトップブリッジ及びボトムブリッジと、トップブリッジに連結される操向ハンドルと、この操向ハンドルの前方に着脱可能に設けるウインドシールド21と、このウインドシールド21に取り付けたウインドシールドステイ30と、ウインドシールドステイ30をフロントサスペンションの上側に固定する締付具56と、ウインドシールドステイ30をボトムブリッジに位置決めするグロメット67及び連結部66とを備えるから、ウインドシールド21を取り外しても、下部のボトムブリッジの連結部66のみが車両側に残るだけであり、外観意匠性を確保できる。また、ウインドシールド21とフロントフォークカバーを同時に装着することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の風防装置に係り、特にウインドシールドを工具なしで取り外し可能な鞍乗り型車両の風防装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のウインドシールドを取り外し可能とした風防装置として、自動二輪車の側部にブッシュを設け、このブッシュに係合するソケットをウインドシールドのブラケットに設けた二輪車用ウインドシールド組立体(例えば特許文献1)が提案されている。
【0003】
また、操向装置にウインドシールドを着脱可能にしたものとして、前輪を下端部で軸支する円筒状のロアケースならびに該ロアケースに嵌合される円筒状のアッパケースをそれぞれ有して伸縮可能に構成されるとともに前輪の両側に配置される一対のフォーク脚と、一対のアッパケースの上部間を相互に連結するトップブリッジと、該トップブリッジよりも下方で両アッパケース間を相互に連結するボトムブリッジとを備えるフロントフォークが、車体フレームの前端のヘッドパイプで操向可能に支承され、操向ハンドルがフロントフォークの上端部に連結される自動二輪車において、操向ハンドルよりも前方に配置されるウインドスクリーンを支持する部品取付け具が、フロントフォークのアッパケースにクランプにより着脱可能に取付けられた前部配置部品取付け構造(例えば特許文献2)が提案され、また、フロントフォークにクランプを用いてウインドシールドを着脱自在に取り付ける着脱式ウインドシールド(例えば特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−268365号公報
【特許文献2】特開2002−274465号公報
【特許文献3】米国特許第6736441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、ウインドシールドを取り付けるために予め車両側にブッシュなどの取付手段を設ける必要があるから、ウインドシールドを外した際に車両側に取付手段が露出し、外観意匠性を損なう面がある。
【0006】
また、上記特許文献2及び3では、フロントフォークのフォークパイプにクランプを取り付けるため、フォークパイプに外装するフロントフォークカバーを装着した仕様に追加することができない。また、一般にフォークパイプは一定の外径で真っ直ぐ伸びる外観意匠が好ましいのに対して、フォークカバーを装着しない仕様では、フォークパイプにクランプを取付けるだけで外観意匠性に悪影響がある。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、フロントフォークを用いずにウインドシールドの取付け及び取外しができる鞍乗り型車両の風防装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に関わる発明は、前輪と、この前輪を支承する左右一対のフロントフォークと、これら左右のフロントフォークを連結して車体前部のヘッドパイプに操向可能に支持されるトップブリッジ及びボトムブリッジとを有するフロントサスペンションと、前記トップブリッジに連結される操向ハンドルと、この操向ハンドルの前方に着脱可能に設けるウインドシールドと、このウインドシールドに取り付けたウインドシールドステイとを備えた鞍乗り型車両の風防装置において、前記ウインドシールドステイを前記フロントサスペンションの上面に固定する固定手段を備える。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記ウインドシールドステイを前記ボトムブリッジに位置決めする倒れ防止手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記固定手段は、前記フロントフォークの上端に設けた雌螺子部と、この雌螺子部に螺合され前記ウインドシールドステイを前記フロントフォークの上端に固定する締付具とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は前記固定手段は、前記倒れ防止手段は、前記ボトムブリッジに突設した連結部と、前記ウインドシールドステイに設けられ前記連結部を挿入する連結受部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の鞍乗り型車両の風防装置によれば、ウインドシールドステイをフロントサスペンションの上面に固定することにより、ウインドシールドの取付け及び取外しを行うことができる。そして、そのフロントサスペンションの上面は運転者から見える箇所であるから、ウインドシールドステイの取付け及び取外し作業を容易に行うことができる。また、ウインドシールドとフォークカバーを同時に装着することもできる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の鞍乗り型車両の風防装置によれば、ウインドシールドステイをボトムブリッジに位置決めすると共にフロントサスペンションの上面に固定することにより、ウインドシールドの取付け及び取外しを行うことができ、ウインドシールドを取り外しても、下部のボトムブリッジの倒れ防止部材のみが車両側に残るだけであり、外観意匠性を確保できる。また、ウインドシールドが走行風により前方から荷重を受けても、倒れ防止手段により倒れることがない。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の鞍乗り型車両の風防装置によれば、締付具を操作してウインドシールドステイの固定と固定解除を簡便に行うことができる。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の鞍乗り型車両の風防装置によれば、連結受部に連結部を挿入するだけで、ウインドシールドステイを簡単にボトムブリッジに位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1を示す風防装置の要部の分解斜視図である。
【図2】同上、ウインドシールドを取付けた状態の要部の斜視図である。
【図3】同上、ウインドシールドを取外した状態の要部の斜視図である。
【図4】同上、ウインドシールドを取付けた状態の要部の斜視図である。
【図5】同上、フロントステイとアッパステイの連結箇所の断面図である。
【図6】同上、フロントステイとトップブリッジの固定手段周りの断面図である。
【図7】同上、フロントステイとボトムブリッジの位置決め手段周りの断面図である。
【図8】同上、フロントステイとトップブリッジの固定手段周りの一部を断面にした斜視図である。
【図9】本発明の実施例2を示すフロントステイとボトムブリッジの位置決め手段周りの断面図である。
【図10】同上、図9のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の鞍乗り型車両の風防装置造の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1〜図8に示すように、自動二輪車などの鞍乗り型車両の風防装置1は、鞍乗り型車両(以下、車両という)2の前部に設けられ、前記車両2の車体フレーム(図示せず)の前端にはヘッドパイプ3が設けられ、このヘッドパイプ3にはフロントサスペンション(前懸架装置)4が操向可能に支承され、このフロントサスペンション4の下端に前輪5が軸支され、前記フロントサスペンション4の上端には操向ハンドル6が連結される。
【0019】
図2に示すように、前記フロントサスペンション4は、前輪5を下端部で軸支する円筒状のボトムケース11並びに該ボトムケース11に嵌合される円筒状のフォークパイプ12をそれぞれ有して伸縮可能に構成されると共に前輪5の両側に配置される一対のフロントフォーク13,13と、一対のフォークパイプ12,12の上部間を相互に連結するトップブリッジ14と、このトップブリッジ14よりも下方で前記両フォークパイプ12,12間を相互に連結するボトムブリッジ15とを備えており、それらトップブリッジ14及びボトムブリッジ15間に設けられるステアリング軸16が車体フレームのヘッドパイプ3で回動可能に支承される。また、この例では、前記フォークパイプ12にフォークカバー17を外装している。尚、図2等では、フォークカバー17は途中から下は図示省略している。
【0020】
図2及び図4に示すように、前記操向ハンドル6よりも前方には透明なウインドシールド21が配置される。このウインドシールド21の中央下部には、フロントサスペンション4におけるボトムブリッジ15に設けられたランプブラケット22で支持されるヘッドランプ7を臨ませる切欠き開口部23が設けられ、この切欠き開口部23は下部が開口している。また、ウインドシールド21の前面側で前記切欠き開口部23の両側方および上方にはガーニッシュ24が配置され、このガーニッシュ24は、前記切欠き開口部23の上部に横設した横設部25と、この横設部25から垂設され前記切欠き開口部23の左右に設ける垂設部26,26とを一体に備え、この垂設部26には上下に透孔26A,26Aが穿設されている。また、前記ウインドシールド21の背面側には、前記ガーニッシュ24との間にウインドシールド21を挟むウインドシールドステイ30が配置され、ガーニッシュ24、ウインドシールド21及びウインドステイ30は共締めされる。
【0021】
前記ウインドシールドステイ30は、前側のフロントステイ31と後側のアッパーステイ41とを有する。前記フロントステイ31は、左右の取付板32,32を横杆33により連結し、この横杆33の中央には、前記ヘッドランプ7の上部に対応して凸状湾曲部33Aが形成されている。また、前記取付板32の前部には、上下に折曲げ片34,34を設け、これら折曲げ片34,34に透孔34A,34Aを穿設している。そして、前記ガーニッシュ24の透孔26A,ウインドシールド21の透孔21A及びフロントステイ31の透孔34Aにボルト37を挿通し、このボルト37にナット37Aを螺合することにより、ガーニッシュ24、ウインドシールド21及びフロントステイ31を共締めしている。
【0022】
また、前記フロントステイ31には、前記ボトムブリッジ15に固定する連結杆35,35が左右に設けられ、これら連結杆35,35はL字形をなし、その連結杆35の先端を前記取付板32に固定し、その連結杆35の縦杆部35Tは取付板32の下方に延設され、その縦杆部35Tの下端に、ボトムブリッジ15に着脱可能に固定する板状の固定部36を設け、この固定部36には透孔36Aが穿設されている。
【0023】
前記フロントステイ31には、前記アッパーステイ41が連結され、このアッパーステイ41は丸棒などからなる横杆42と、この横杆42の左右両端に設けられ前記フロントステイ31に連結する連結部43,43とを備え、前記横杆42の左右には、トップブリッジ14に着脱可能に固定する板状の固定部44を設け、この固定部44は略へ字状に形成され、その後部に透孔44Aが穿設されている。
【0024】
また、前記取付板32の上部には、前記連結部43を連結する切欠き孔32Aが形成され、この切欠き孔32Aは後部が開口している。さらに、図5に示すように、前記連結部43は、前記横杆42の端面に下穴42Aを形成し、この下穴42Aに雌螺子部42Bを形成し、前記横杆42の前記端面に鍔部45Aを有する筒部45を配置すると共に、この筒部45を挿入した弾性グロメット46を配置し、ワッシャ47及び前記筒部45に遊挿したボルト48を、横杆42内の雌螺子部42Bに螺合してなる。そして、前記切欠き孔32Aの後部から前記グロメット46の筒部46Aを圧入することにより、フロントステイ31にアッパーステイ41を連結することができる。一方、ウインドシールド21に後方からの力が加わり、この力が所定以上となると、前記切欠き孔32Aから前記グロメット46が抜け、車両2からウインドシールド21が外れる。尚、前記ボルト48はワッシャ47に当接する鍔部47Aを有し、また、グロメット46は、筒部46Aの両端に鍔部46B,46Bが設けられており、これら鍔部46B,46Bにより、切欠き孔32A周りの取付板32部分を挟む。
【0025】
図4に示すように、前記トップブリッジ14の左右には、前記アッパーステイ41を連結する連結受部50,50が設けられ、図6に示すように、それら連結受部50,50は前記固定部44,44の透孔44A,44Aに対応して前記フロントサスペンション4のフロントフォーク13の上端に設けられている。具体的には、前記連結受部50は、フォークパイプ12の上端に螺着するトップボルト51を備え、このトップボルト51は、フォークパイプ12の雌螺子部12Aに螺合する雄螺子体52と、この雄螺子体52の上面中央に設けられた工具係合部たる六角穴53と、この六角穴53の下部に設けられた雌螺子筒部54とを備え、前記雄螺子体52を前記フォークパイプ12の雌螺子部12Aに螺合して固定され、さらに、雄螺子体52の上部外周にはフォークパイプ12の内面との気密性を保持する部材であるOリング55が設けられている。
【0026】
前記連結受部50には、締付具56により前記アッパーステイ41が連結される。前記締付具56は、鍔部57Aを有する雄螺子部57と、前記鍔部57Aの外面を覆うように該鍔部57Aに一体に設けたアルミ製の摘み部58とを備える。この摘み部58の外径は前記フォークパイプ12より大径に形成され、金属製の鍔部57Aが露出することなく、合成樹脂製の摘み部58が現れるため、外観意匠性にも優れる。そして、摘み部58を使って前記雄螺子部57を前記透孔44Aに挿通すると共に前記雌螺子筒部54の雌螺子部54Aに螺着することにより、トップブリッジ14の上面14Jにアッパーステイ41の固定部44が締付固定され、逆に、締付具56を外すことにより、アッパーステイ41の固定を解除することができる。このように前記トップブリッジ14の雌螺子部54Aと前記締付具56とにより、ウインドシールドステイ30の上部をトップブリッジ14の上面14Jに固定する固定手段59を構成している。
【0027】
前記ボトムブリッジ15の左右には、前記フロントステイ31を連結する連結ボス部60,60が設けられ、図7に示すように、それら連結ボス部60,60は、前記固定部36,36の透孔36A,36Aに対応して、前記ボトムブリッジ15の上面15Jに突設されている。具体的には、連結ボス部60は、ボトムブリッジ15の上面15Jに螺着するボルト61と、このボルト61を挿通する筒体62と、この筒体62の下端に一体に設けた鍔部62Aと、ワッシャ63とを備え、前記ボルト61の頭部61Aは円柱形状をなし、その頭部61Aの上面に工具係合部たる六角穴61Bを有し、前記頭部61Aと筒体62の外径は略同一である。前記ヘッドランプ7にはランプブラケット22が固定され、このランプブラケット22には、前記ボトムブリッジ15に固定する固定部65が設けられ、この固定部65には前記ボルト61を挿通する透孔65Aが設けられている。
【0028】
そして、前記筒体62,ワッシャ63及び透孔65Aにボルト61を挿通し、このボルト61をボトムブリッジ15の雌螺子部15Aに螺着し、同時にランプブラケット22をボトムブリッジ15に固定し、前記頭部61Aと筒体62により前記フロントステイ31の固定部36を連結する連結部66を構成している。
【0029】
これに対して、前記フロントステイ31の固定部36には、前記透孔36Aに連結受部たる弾性グロメット67の筒部67Aを挿入し、この筒部67Aの両端に位置する鍔部67B,67Bにより固定部36を挟んでいる。そして、グロメット67の筒部67Aに連結部66を挿入することにより、ボトムブリッジ15にウインドシールステイ31の固定部36を位置固定する。このように前記ボトムブリッジ15の上面15Jに突設した連結部66と前記グロメット67とにより倒れ防止手段69を構成している。
【0030】
このようにして、ウインドシールドステイ30のフロントステイ31の下部側のグロメット67に、連結部66を挿入して車両に位置決め固定し、ウインドシールドステイ30の上部側を、締付具56の締付により車両に固定するため、工具を必要とせず、ウインドシールド21の取付を簡便に行うことができる。
【0031】
このように本実施例では、請求項1に対応して、前輪5と、この前輪5を支承する左右一対のフロントフォーク13,13と、これら左右のフロントフォーク13,13を連結して車体前部のヘッドパイプ3に操向可能に支持されるトップブリッジ14及びボトムブリッジ15とを有するフロントサスペンション4と、トップブリッジ14に連結される操向ハンドル6と、この操向ハンドル6の前方に着脱可能に設けるウインドシールド21と、このウインドシールド21に取り付けたウインドシールドステイ30とを備えた鞍乗り型車両の風防装置において、ウインドシールドステイ30をフロントサスペンション4の上面であるトップブリッジ14の上面14Jに固定する固定手段59を備えるから、ウインドシールドステイ30をフロントサスペンション4の上面に固定することにより、ウインドシールド21の取付け及び取外しを行うことができる。そして、そのフロントサスペンション4の上面は運転者から見える箇所であるから、ウインドシールドステイ30の取付け及び取外し作業を容易に行うことができる。また、ウインドシールド21とフロントフォークカバーを同時に装着することもできる。
【0032】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、ウインドシールドステイ30をボトムブリッジ15に位置決めする倒れ防止手段69を備えるから、ウインドシールドステイ30をボトムブリッジ15に位置決めすると共にフロントサスペンション4の上面に固定することにより、ウインドシールド21の取付け及び取外しを行うことができ、ウインドシールド21を取り外しても、下部のボトムブリッジ15の倒れ防止部材のみが車両側に残るだけであり、外観意匠性を確保できる。また、ウインドシールド21が走行風により前方から荷重を受けても、倒れ防止手段69により倒れることがない。
【0033】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、固定手段59は、フロントフォーク13の上端に設けた雌螺子部54Aと、この雌螺子部54Aに螺合されウインドシールドステイ30をフロントフォーク13の上端に固定する締付具56とを備えるから、締付具56を操作してウインドシールドステイ30の固定と固定解除を簡便に行うことができる。
【0034】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、倒れ防止手段69は、ボトムブリッジ15に突設した連結部66と、ウインドシールドステイ30に設けられ連結部66を挿入する連結受部たるグロメット67とを備えるから、グロメット67に連結部66を挿入するだけで、ウインドシールドステイ30を簡単にボトムブリッジ15に位置決めすることができる。
【0035】
また、実施例上の効果として、前記締付具56は、鍔部57Aの外面を覆うように該鍔部57Aに一体に設けた合成樹脂製の摘み部58を有するから、ウインドシールド21の取付け状態及び取外し状態でも、外観意匠性に優れる。また、連結部66を構成するボルト61は、ランプブラケット22を固定を兼用するものであるから、利便性が高く、さらに、フロントステイ31の下部に設けたグロメット67に、ボトムブリッジ15の連結部66を挿入することにより、ボトムブリッジ15とウインドシールドステイ30の位置決めを簡便に行うことができる。また、縦方向のフロンステイ31と前後方向のアッパーステイ41と組み合わせてウインドシールドステイ30を構成したから、操向ハンドル6とウインドシールド21との比較的狭い空間にウインドシールドステイ30を配置することができる。また、連結受部たるグロメット67は弾性を備えるから、連結部との連結状態で振動などを吸収することができる。さらに、固定手段59はフロントサスペンション4のフォークパイプ12の上端を利用しており、具体的には、フォークパイプ12の上端にトップボルト51を螺合してウインドシールドステイ30の固定構造を得ることができる。
【実施例2】
【0036】
以下、本発明の実施例2を添付図面を参照して説明する。尚、上記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図9〜図10は倒れ防止手段69の変形例を示し、前記ボルト61と筒体62を用いずに、連結部66を構成するボス部71を備えたボルト72を用い、このボルト72は前記雌螺子部15Aに螺合する雄螺子部73を下部に有し、この雄螺子部73の上に工具が係合する頭部74を設け、図10に示すように、その頭部74は円柱の両側面を切り欠いた平坦部74A,74Aを有し、前記頭部74の上に該頭部74より外形が大きな鍔部75を設け、この頭部74の上に円柱形の前記ボス部71が突設されている。
【0037】
そして、前記ボス部71を前記グロメット67に挿入することによりボトムブリッジ15の上面にウインドシールドステイ30の下部を位置決めすることができる。
【0038】
このように本実施例においても上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0039】
また、この例では、1つのボルト72により連結部66をボトムブリッジ15に設けることができる。
【0040】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、ウインドシールドの形状は適宜選定可能である。また、実施例では、倒れ防止手段により位置決めするウインドシールドステイを例示したが、例えば小型のウインドシールドの場合は、倒れ防止手段を用いずに固定手段のみを用いてウインドシールドステイをフロントフォークの上端に着脱可能に取付けてもよく、この場合、アッパーステイをウインドシールドに直接取り付け、そのアッパーステイをフロントフォークの上端に固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 風防装置
2 車両
3 ヘッドパイプ
4 フロントサスペンション
5 前輪
6 操向ハンドル
7 ヘッドランプ
13 フロントフォーク
14 トップブリッジ
14J 上面
15 ボトムブリッジ
15J 上面
21 ウインドシールド
30 ウインドシールドステイ
31 フロントステイ
41 アッパーステイ
50 連結受部
54A 雌螺子部
56 締付具
59 固定手段
66 連結部
67 グロメット(連結受部)
69 位置決め手段
75 ボス部(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と、
この前輪を支承する左右一対のフロントフォークと、これら左右のフロントフォークを連結して車体前部のヘッドパイプに操向可能に支持されるトップブリッジ及びボトムブリッジとを有するフロントサスペンションと、
前記トップブリッジに連結される操向ハンドルと、
この操向ハンドルの前方に着脱可能に設けるウインドシールドと、
このウインドシールドに取り付けたウインドシールドステイと、
を備えた鞍乗り型車両の風防装置において、前記ウインドシールドステイを前記フロントサスペンションの上面に固定する固定手段を備えることを特徴とする鞍乗り型車両の風防装置。
【請求項2】
前記ウインドシールドステイを前記ボトムブリッジに位置決めする倒れ防止手段を備えることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の風防装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記フロントフォークの上端に設けた雌螺子部と、この雌螺子部に螺合され前記ウインドシールドステイを前記フロントフォークの上端に固定する締付具とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の鞍乗り型車両の風防装置。
【請求項4】
前記倒れ防止手段は、前記ボトムブリッジに突設した連結部と、前記ウインドシールドステイに設けられ前記連結部を挿入する連結受部とを備えることを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両の風防装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210845(P2012−210845A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76609(P2011−76609)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)