説明

鞍乗型車両

【課題】走行風がライダーの脚に当たるのを極力防ぐことができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】前車輪6,16の間に配置されて、車輪16を駆動するエンジンEと、エンジンEの前方に配置され、エンジンEの冷却水を冷却するラジエータ38と、ラジエータ38よりも後方に前縁部47fが配置され、上下方向に延びる脚部風防体47とを備え、脚部風防体47は、前縁部47fから後方に向かうにつれて車幅方向外側に膨出し、ライダーの膝下部K近傍でかつ膝下部Kよりも前方に設けられる頂部47dで膨出量が最大となり、頂部47dから後方に向かうにつれて車幅方向内側に没入する外表面を有し、脚部風防体47の前縁部47fと頂部47dとの車幅方向範囲で、かつ脚部風防体47よりも前方で、前後方向に走行風Aが流れる開放空間Sが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動二輪車のような、少なくとも前後に車輪を有し、ライダーの両膝で車両を挟んだ状態で乗車する鞍乗型車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車のような車両では、走行風を取り入れてエンジンの発熱部を冷却するとともに、走行風がライダーの脚、特に膝部に当たるのを防ぐ風防部材が設けられている。特許文献1では、サイドパネルの前方にシュラウド(特許文献1の図3のシュラウド22)を設け、このシュラウドにより前方からの走行風を排風してライダーへの新鮮な空気(特許文献1の図3の矢印A)を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−162990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような導風構造では、シュラウドで集められた走行風をサイドパネルへ積極的に導くように構成されるので、サイドパネルに沿って後方へ進む走行風が回り込んでライダーの脚に衝突し、高速走行時の快適性が低くなってしまう。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、走行風がライダーの脚に当たるのを極力防ぐことができる鞍乗型車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる鞍乗型車両は、少なくとも前後に車輪を有し、ライダーの両膝で車両を挟んだ状態で乗車する鞍乗型車両であって、前記前後車輪の間に配置されて、前記車輪を駆動する駆動源と、前記駆動源の前方に配置されて、走行風を利用して冷却媒体を冷却する熱交換器と、前記熱交換器よりも後方に前縁部が配置され、上下方向に延びる脚部風防体とを備え、前記脚部風防体は、前縁部から後方に向かうにつれて車幅方向外側に膨出し、ライダーの膝下部よりも前方に設けられる頂部で膨出量が最大となり、頂部から後方に向かうにつれて車幅方向内側に没入する外表面を有し、前記脚部風防体の前縁部と頂部との車幅方向範囲で、かつ前記脚部風防体よりも前方で、前後方向に走行風が流れる開放空間が形成されている。ここで、「膝下部」とは、走行姿勢でのライダーの膝および膝よりも下の部分をいう。
【0007】
この構成によれば、開放空間を前後方向に流れた走行風は、脚部風防体に直接衝突し、ライダーの膝下部近傍でその前方に設けられた脚部風防体の頂部により車幅方向外側へ案内される。このように、膝下部の近傍かつ前方で走行風が車幅方向外側へ案内されるので、走行風の内側への回り込みを膝下部よりも後方へずらせることができるから、ライダーの膝下部に走行風が当たるのを抑制することができる。
【0008】
本発明において、正面視で前記脚部風防体の前縁部の少なくとも一部分が露出していることが好ましい。この構成によれば、ライダーの膝下部に向かう走行風が、脚部風防体の全体により車幅方向外側に案内されることになり、ライダーの膝下部に当たる走行風を一層効果的に抑制できる。
【0009】
本発明において、前記脚部風防体の前縁部が、前記駆動源の前端部よりも後方に配置されていることが好ましい。この構成によれば、脚部風防体の前後方向の寸法が小さくなるから、脚部風防体が膝下部の直前で走行風の流れる方向を急激に変化させることとなって、ライダーの膝下部に走行風が当たるのをさらに効果的に抑制することができるうえに、駆動源の少なくとも一部が側方へ露出するから放熱効果も大きくなる。
【0010】
本発明において、前記脚部風防体の頂部と前縁部は、互いにほぼ平行に延び、膝部近傍から下方に進むにつれて後方に延びていることが好ましい。この構成によれば、膝下部の全体に対して、その前方で走行風を車幅方向外側へ案内することができ、ライダーの膝下部に走行風が当たるのを一層緩和できる。
【0011】
本発明において、前記脚部風防体は一体物であるのが好ましい。このような脚部風防体は型成形により製造できる。この構成によれば、部品点数の増加を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の鞍乗型車両によれば、開放空間を前後方向に流れた走行風は、脚部風防体に直接衝突し、ライダーの膝下部近傍でその前方に設けられた脚部風防体の頂部から車幅方向外側へ案内される。このように、膝下部の近傍かつ前方で走行風が車幅方向外側へ案内されるので、走行風の内側への回り込みを膝下部よりも後方へずらせることができるから、ライダーの膝下部に走行風が当たるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る鞍乗型車両の一種である自動二輪車を示す側面図である。
【図2】同自動二輪車を示す正面図である。
【図3】同自動二輪車を示す平面図である。
【図4】同自動二輪車の脚部風防体を示す側面図である。
【図5】同自動二輪車の背面の右半分を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の鞍乗型車両の一種である自動二輪車の側面図である。自動二輪車は、前半部を構成するメインフレーム1と、メインフレーム1の後部に連結され、車体フレームFRの後半部を構成するリヤフレーム2とにより車体フレームFRが形成されている。メインフレーム1の前端のヘッドブロック3にフロントフォーク4が支持され、このフロントフォーク4の下端部に前輪6が支持され、上端部にハンドル8が取り付けられている。ハンドル8にはバックミラー9が支持されている。メインフレーム1の後ろ下がりに傾斜した後端部にスイングアームブラケット10が形成され、このスイングアームブラケット10にスイングアーム12の前端部がピボット軸14を介して揺動自在に支持されている。このスイングアーム12の後端部に後輪16が支持されている。
【0015】
前後車輪6,16の間で、メインフレーム1の中央部の下方位置には、駆動源であるエンジンEが前傾姿勢で搭載されており、このエンジンEにより、チェーンまたはベルトのような図示しない伝達部材を介して、後輪16を駆動する。エンジンEは、この実施形態では4気筒4サイクルの並列多気筒エンジンであり、クランクケース18と、クランクケース18から上方に突出したシリンダ20およびその上方のシリンダヘッド22からなるシリンダブロック24と、クランクケース18の後方の変速機ケース26とを有している。シリンダヘッド22は若干前傾しており、シリンダヘッド22の前面に接続された4本の排気管28が、エンジンEの下方の集合部30で集合され、この集合部30の下流端に接続された排気チャンバ32と後輪16の一側方に配置された排気マフラー34とが、接続管36により接続されている。排気管28は、側面視で外部に露出している。
【0016】
エンジンEの前方で前輪6の後方には、走行風Aを利用して冷却媒体を冷却する熱交換器の一種であるラジエータ38が配置されている。この実施形態では、冷却媒体はエンジンEを冷却する冷却水である。エンジンEの上方でハンドル8の後方において、メインフレーム1の上部に燃料タンク39が配置されている。車体前部に、ヘッドブロック3の前方を覆う樹脂製のアッパカウル40が装着され、アッパカウル40にヘッドランプユニット42が装着されている。メインフレーム1の前部には、左右一対のサイドカウル44が支持され、サイドカウル44の後方には、走行風Aがライダーの脚、具体的には、膝下部Kに当たるのを防ぐ左右一対の脚部風防体47がメインフレーム1に支持されている。
【0017】
ラジエータ38の側方は、脚部風防体47とは別体のラジエータカバー48により覆われ、エンジンEの下部および集合部30の側方がロワカウル50により覆われている。脚部風防体47の下部とラジエータカバー48の下部とは、連結バー49により連結されている。つまり、脚部風防体47はラジエータカバー48より後方に、前後方向の間隔(空間)を空けて配置されている。この空間からラジエータ38を冷却後の走行風Aが排出される。
【0018】
図2に示すように、ラジエータカバー48の外側面における上下方向中央部が、上下端部よりも車幅方向内側に凹んで、車体の側方を流れる走行風の案内面51を形成している。図1の燃料タンク39の後方において、リヤフレーム2の上部に、操縦者用シート52および同乗車用シート54が装着されている。操縦者用シート52の前後方向中央部とリヤフレーム2との間の隙間は、サイドカバー46により側方から覆われている。サイドカバー46は、脚部風防体47と一体形成してもよい。メインフレーム1の下部には、第1ステップブラケット53を介して、ライダー用ステップ55が取り付けられ、リヤフレーム2の下方にも、第2ステップブラケット57を介して、同乗車用ステップ59が取り付けられている。
【0019】
脚部風防体47は、ライダーの膝に走行風が当たるのを防止するよう車幅方向外側方へ膨出した前部58と、この前部58の後方でライダーの膝下部Kを収納する凹部60とを有している。この凹部60がライダーの脚により挟まれてライディング姿勢を保持するニーグリップ部を形成しており、前部58が風防部を形成している。このように、ニーグリップ部と風防部が一体に形成されているから、ライダーの脚に近い位置で走行風を車幅方向外側に案内できる。
【0020】
脚部風防体47は、側面視で、二点鎖線で示すライダーの脚Lの位置に沿うように上下方向に延び、かつ、前方上部を基部47cとして後方斜め下方に向かって二又状に延びており、上側の第1枝部47aの先端(後端)47aaがサイドカバー46まで延び、下側の第2枝部47bの先端(下端)47baがエンジンEの変速機ケース26の上面の上方近傍にまで延びている。つまり、ニーグリップ部(凹部)60の後端部47aaがピボット軸14の上方でピボット軸14より後方、より詳細には、メインフレーム1の後端よりも後方に位置している。脚部風防体47の上縁は、サイドカウル44の後半部の下部、燃料タンク39の下部および操縦者用シート52の前部の下部に接しており、メインフレーム1の一部分を外側方から覆っている。つまり、ニーグリップ部(凹部)60の前端部がサイドカウル44の下方に連なって配置されている。脚部風防体47は、黒色の着色樹脂で構成され、外表面がシボ加工されている。つまり、脚部風防体47は無塗装で、成形素材自体の色が外表面に現れる。
【0021】
脚部風防体47の外表面は、ほぼ上下方向に延びるとともに若干後ろ下がりに延びる前縁部47fから後方に向かうにつれて車幅方向外側に膨出し、ライダーの膝および膝下部の近傍でかつ膝および膝下部よりも前方に設けられた稜線からなる頂部47dで、図3に示すように、膨出量が最大となり、この頂部47dから後方に向かうにつれて車幅方向内側に滑らかに没入している。つまり、図1の前縁部47fから頂部47dまでの部分が風防部である前部58を構成し、頂部47dよりも後方の部分がニーグリップ部である凹部60を構成する。前部58の前後方向幅は、上下方向にわたってほぼ同じ寸法に形成され、これにより、上下部での膨出量、傾きをほぼ同じにすることができる。この膨出した前部58の下部はシリンダブロック24の後部のみを側方から覆っている。図2に示すように、正面視で脚部風防体47の前縁部47fの少なくとも一部が露出しており、したがって、脚部風防体47の前部58の外表面全体が正面視で露出する。
【0022】
図1の脚部風防体47の前部58は、サイドカウル44の下方に連なって配置され、脚部風防体47の前縁部47fは、ラジエータ38よりも後方に配置され、かつエンジンEの前端部、すなわちシリンダヘッド22の前端部22aよりも後方に配置されている。さらに、前縁部47fの一部は、ハンドル8のグリップ後端位置Bより後方に存在する。脚部風防体47の前縁部47fは、シリンダブロック24の後部のみを側方から覆っている。
【0023】
脚部風防体47の頂部47dは、前縁部47fとほぼ平行に延びている。具体的には、ライダーの脚Lに沿うように、上部である膝部近傍から下方に進むにつれて若干後方に傾斜して延びている。頂部47dは身長160〜190cmの標準的なライダーに対し、その膝下部Kの前縁よりも前方にd=10〜30cm前方に位置する。図2からも分かるとおり、この頂部47dにおいて脚部風防体47の膨出量が最大となっており、頂部47dの上部に膨出量のピーク点Pが形成されている。他方、図1に示す第1枝部47aの先端47aaと根元部47rとの中間付近に、脚部風防体47の外表面が最も車体内側に没入する最内側点Qが形成される。この最内側点Qは、側面視で、ライダーの脚Lにおける膝の裏側よりも若干太腿寄りに位置する部位である。
【0024】
ピーク点Pは、脚部風防体47の周囲の燃料タンク39、サイドカウル44、ラジエータカバー48およびエンジンEよりも車幅方向外側に位置している。また、ライダー用ステップ55よりも前方では、ハンドル8およびバックミラー9を除いて、すべての部品よりも車幅方向外側に位置している。これにより、転倒時に周囲の部品39,44,48、Eが損傷するのを防いでいる。これら周囲の部品が塗装品であるのに対し、上述のように、脚部風防体47自身は無塗装の着色樹脂で構成されているから、転倒時に破損しても、損傷箇所が目立たないうえに、交換費用も安くなる。また、脚部風防体47はアッパカウル40やサイドカウル44のようなフロントカウルとは別体に形成されているから、フロントカウルと一体に形成されているものに比べて安価に交換できる。
【0025】
図3に示す脚部風防体47の前縁部47fと頂部47dとの車幅方向範囲Rで、かつ脚部風防体47よりも前方に、前後方向に走行風Aが流れる開放空間Sが形成されている。つまり、脚部風防体47の前方には、走行風Aをガイドする部材が存在しない。したがって、走行風Aは脚部風防体47に直接当たる。
【0026】
図4の側面図に示すように、脚部風防体47は、基部47cの上縁部および第1枝部47aの後部の上縁部に複数の取付孔62が一体形成されており、この取付孔62に図示しないボルトを挿通し、図1のメインフレーム1に設けられたねじ孔(図示せず)に締め付けることで、脚部風防体47が車体に支持されている。
【0027】
背面図である図5から分かるとおり、脚部風防体47の第2枝部47bは、その下部の外表面が外側斜め後方を向く凹面を形成しており、これにより膝下部Kの内側に沿わせている。第1枝部47aの外表面にある最内側点Qのピーク点Pからの没入量eは、5〜30cmで、好ましくは15〜25cmである。
【0028】
上記構成において、図3に示すように、開放空間Sを前後方向に流れた走行風Aは脚部風防体47に直接衝突し、ライダーの膝下部近傍に設けられた脚部風防体47の頂部47dから車幅方向外側へ案内される。このように、膝下部Kの近傍かつ前方で走行風Aが車幅方向外側へ案内されるので、走行風Aの内側への回り込みA1を膝下部Kよりも後方へずらせることができる。したがって、ライダーの膝下部Kに走行風Aが当たるのを抑制することができる。また、ライダーの膝になるべく近い位置で走行風Aの向きを急変化させることで、頂部47dの車幅方向外側を流れる走行風Aについても、ライダーの膝の直前でさらに車幅方向外側へ押し出すことができ、ライダーに衝突する走行風Aを緩和できる。たとえば、前輪近くまで車体の車幅方向外側をカウルで覆うフルカウルタイプの鞍乗型車両では、走行風を車幅方向外側へ導く位置がライダーの脚部よりも前方に大きく離れた前輪近傍にあるので、車幅方向外側へ案内した走行風が、後方に進むにつれて再び車体側に近寄りやすい。
【0029】
図2に示すように、自動二輪車の走行中、ラジエータカバー48の内側でラジエータ38を通過した走行風A2だけでなく、ラジエータカバー48の外側の案内面51で案内された走行風Aが、脚部風防体47の前部58に衝突し、前部58にガイドされて車幅方向外側に導かれるから、図1のライダーの膝下部Kに走行風Aが当たるのを効果的に緩和することができる。
【0030】
図2に示すように、正面視で脚部風防体47の前縁部47fの少なくとも一部が露出しているので、図1に示すライダーの膝下部Kに向かう走行風Aが、脚部風防体47の前部(風防部)58の全体により車幅方向外側に案内されることになり、ライダーの膝下部Kに衝突する走行風Aを一層効果的に抑制できる。
【0031】
また、脚部風防体47の前縁部47fが、シリンダヘッド22の前端部22aよりも後方に配置されているので、脚部風防体47の前後方向の寸法が小さくなるから、脚部風防体47が膝下部Kの直前で、図3に示す走行風Aの流れる方向を急激に変化させることとなって、ライダーの膝下部Kに走行風Aが当たるのを緩和することができる。しかも、エンジンEの一部が、脚部風防体47に覆われることなく、側方へ露出するから、放熱効果も大きくなる。
【0032】
図4に示すように、脚部風防体47の頂部47dと前縁部47fの大部分は、互いにほぼ平行に延び、かつ、図1に示す膝部近傍から下方に進むにつれて後方に延びているので、膝下部Kの全体において、走行風Aを車幅方向外側へ案内することができ、ライダーの膝下部Kに走行風Aが当たるのを一層緩和できる。
【0033】
また、脚部風防体47を形成する前部(風防部)58と凹部(ニーグリップ部)60とは別体としてもよいが、前記実施形態では、風防部58とニーグリップ部60とを含む脚部風防体47の全体が型成形により一体形成されているので、部品点数の増加を抑制できる。別体とした場合は、自動二輪車の転倒等により脚部風防体47の頂部47dが損傷した際に、風防部58の交換だけで済み、安価にさらに交換できる。
【0034】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。例えば、本発明の鞍乗型車両は、少なくとも前後に車輪を有していればよく、三輪車、四輪バギー等であってもよい。また、良好な風防効果が得られるという点で、前輪とエンジンとの間にカウリングが形成されていない車両、例えばビキニカウルタイプ、ハーフカウルタイプ、ネキッドタイプの車両にも適用できる。上記実施形態では、駆動源としてエンジンEを用いているが、電動モータであってもよい。さらに、上記実施形態では、熱交換器としてエンジン冷却水のラジエータ38を用いているが、オイルクーラでもよく、その場合、冷却媒体はオイルとなる。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
6 前輪
16 後輪
22 シリンダヘッド
22a シリンダヘッドの前端部(エンジンの前端部)
38 ラジエータ(熱交換器)
46 サイドカバー
47 脚部風防体
47f 前縁部
47d 頂部
A 走行風
E エンジン(駆動源)
FR 車体フレーム
K 膝下部
S 開放空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後に車輪を有し、ライダーの両膝で車両を挟んだ状態で乗車する鞍乗型車両であって、
前記前後車輪の間に配置されて、前記車輪を駆動する駆動源と、
前記駆動源の前方に配置されて、走行風を利用して冷却媒体を冷却する熱交換器と、
前記熱交換器よりも後方に前縁部が配置され、上下方向に延びる脚部風防体と、
を備え、
前記脚部風防体は、前縁部から後方に向かうにつれて車幅方向外側に膨出し、ライダーの膝下部よりも前方に設けられる頂部で膨出量が最大となり、頂部から後方に向かうにつれて車幅方向内側に没入する外表面を有し、
前記脚部風防体の前縁部と頂部との車幅方向範囲で、かつ前記脚部風防体よりも前方で、前後方向に走行風が流れる開放空間が形成されている鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1において、正面視で前記脚部風防体の前縁部の少なくとも一部が露出している鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1または2において、前記脚部風防体の前縁部が、前記駆動源の前端部よりも後方に配置されている鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1,2または3において、前記脚部風防体の頂部と前縁部は、互いにほぼ平行に延び、膝位置近傍から下方に進むにつれて後方に延びている鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、前記脚部風防体は一体物である鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43547(P2013−43547A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182602(P2011−182602)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)