説明

音声モニタ装置

【課題】主装置から送信された音声とアラーム音とをそれぞれ明確に聞き取ることが可能な音声モニタ装置を提供する。
【解決手段】移動機20のスピーカ25からアラーム音が出力される際に、アラームパターンのアラーム出力期間cにおいて主装置10から送信された音声のスピーカ25からの出力を規制し、アラームパターンのアラーム停止期間dにおいて主装置10から送信された音声のスピーカ25からの出力の規制を解除している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば保護者や介護者等の監視者が、監視者とは別室に滞在している乳幼児や被介護者等の被監視者を音声で監視するための音声モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の音声モニタ装置としては、被監視者の近傍に設置され、被監視者の音声が入力されるマイクロフォンが設けられた主装置と、監視者によって携帯可能に設けられ、音声を出力するスピーカが設けられた移動機と、を備えたものが知られている。この音声モニタ装置は、主装置のマイクロフォンに入力された被監視者の音声を、無線通信によって移動機に送信して移動機のスピーカから出力することにより、監視者が被監視者を音声によって監視するものが知られている。
【0003】
前記音声モニタ装置に関連するものとしての無線通話装置では、所定の時間が経過した時または所定の時刻になった時を監視者に対して報知するため、設定時間が経過した時または設定時刻にスピーカからアラーム音を出力するアラーム機能が移動機に設けられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−32097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記音声モニタ装置にアラーム機能を付与した場合には、主装置から送信された音声を移動機のスピーカから出力させている最中に、アラーム音を出力する時間になると、主装置から送信された音声と同時にアラーム音とをスピーカから出力させている。主装置から送信された音声と同時にアラーム音とをスピーカから出力させると、音声とアラーム音が互いに干渉しあうことで、主装置から送信された音声およびアラーム音のそれぞれが監視者にとって聞き取りにくくなる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題を解決することを課題の一例とするものであり、これらの課題を解決することができる音声モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る音声モニタ装置は、被監視者の音声が入力されるマイクロフォンが設けられた主装置と、前記マイクロフォンに入力された音声を出力するスピーカが設けられた移動機と、を備えた音声モニタ装置において、所定の条件が成立した時に、前記スピーカからアラーム音が鳴動する期間であるアラーム鳴動期間と前記アラーム音の鳴動を停止する期間であるアラーム停止期間とから構成される所定のアラームパターンをスピーカから出力させるアラーム出力手段を備え、前記主装置の前記マイクロフォンから入力される音声は、アラーム鳴動期間中は前記スピーカから出力されず、前記アラーム停止期間中は前記スピーカから出力されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態を示す音声モニタ装置の概略構成図である。
【図2】制御系を示すブロック図である。
【図3】アラームの出力および音声の出力に関するタイミングチャートである。
【図4】アラーム制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至図4は、本発明の一実施形態を示すものである。
本実施形態の音声モニタ装置は、保護者や介護者等の監視者が、保護者や介護者とは別室に滞在している乳幼児や被介護者等の被監視者を音声で監視するものである。
【0010】
この音声モニタ装置は、図1に示すように、被監視者の滞在している室内に設置される主装置10と、監視者が持ち運び可能な移動機20と、からなる。
【0011】
主装置10は、図1および図2に示すように、主装置10の制御を行うための主制御部11と、制御プログロラムやデータを記憶するROMおよび主制御部11の作業用の記憶領域であるRAMからなるメモリ12と、移動機20側に通信信号を送信すると共に移動機20側からの通信信号を受信するための無線通信部13と、被監視者の音声が入力されるマイクロフォン14と、移動機20側からの音声信号を出力するためのスピーカ15と、所定の操作を行うための押ボタン式の操作部16と、を有している。
【0012】
移動機20は、図1および図2に示すように、移動機20の制御を行うための主制御部21と、制御プログロラムやデータを記憶するROMおよび主制御部21の作業用の記憶領域であるRAMからなるメモリ22と、主装置10側に通信信号を送信すると共に主装置10側からの通信信号を受信するための無線通信部23と、被監視者の音声が入力されるマイクロフォン24と、主装置10側からの音声信号を出力するためのスピーカ25と、所定の操作および設定を行うための押ボタン式の操作部26(操作ボタン26a,26b,26c,26d)と、現在の時刻や設定状態等の情報を表示するための表示部27と、を有している。移動機20では、操作ボタン26a,26b,26c,26dの押下操作の時間によって短押しおよび長押しの異なる2種類の操作が可能である。
【0013】
移動機20は、設定された時刻に所定のアラーム音をスピーカ25から出力するアラーム機能を備えている。アラーム音の出力を開始する時刻は、操作部26の操作によって設定される。スピーカ25から出力されるアラーム音は、図3に示すように、所定周波数(例えば、1.5kHz)の音の出力を所定時間a,b毎(例えば、130ms)にオンオフするものである。また、アラーム音は、アラーム音をスピーカから出力する期間であるアラーム鳴動期間としてのアラーム出力期間c(例えば、1170ms)と、アラーム音の出力が停止される期間であるアラーム停止期間d(例えば、38300ms)と、からなるアラームパターンが構成されている。アラーム音としては、アラーム出力期間cとアラーム停止期間dとからなるアラームパターンが所定時間(例えば60s)繰り返しスピーカ25から出力される。
【0014】
以上のように構成された音声モニタ装置では、移動機20の操作ボタン26aを長押しすると、監視モードとなる。監視モードでは、主装置10のマイクロフォン14に入力された音声が移動機20のスピーカ25から出力され、主装置10の周囲が音声で監視可能となる。このとき、移動機20側の音声は、主装置10のスピーカ15から出力されることはない。
【0015】
また、監視モードにおいて操作ボタン26cを押すと、主装置10側の音声が移動機20のスピーカ25から出力されるとともに、移動機20側の音声が主装置10のスピーカ15から出力される相互通話モードとなる。相互通話モードでは、監視者と被監視者との間で会話が可能となる。
【0016】
また、移動機20において、監視者による操作部26の所定の操作によってアラーム出力開始時刻を設定すると、電源の状態やモードの状態にかかわらず、設定時刻に移動機20のスピーカ25からアラーム音が出力される。電源がオンの状態でアラーム音が出力される場合には、図3に示すように、アラームパターンのアラーム出力期間cにおける移動機20側の音声のスピーカ15からの出力および主装置10側の音声のスピーカ25からの出力をそれぞれ規制する。また、アラーム停止期間dにおいては、移動機20側の音声のスピーカ15からの出力および主装置10側の音声のスピーカ25からの出力の規制を解除する。
【0017】
移動機20の主制御部21は、アラーム音の出力に関して、図4のアラーム制御処理を行う。
【0018】
(ステップS1)
ステップS1において、主制御部21は、現在の時刻が設定時刻から所定時間(例えば、60s)内か否かを判定する。現在の時刻が設定時刻から所定時間内と判定した場合にはステップS2に処理を移し、現在の時刻が設定時刻から所定時間内と判定しなかった場合にはアラーム制御処理を終了する。
【0019】
(ステップS2)
ステップS1において、現在の時刻が設定時刻から所定時間内と判定した場合に、ステップS2において主制御部21は、アラーム音をスピーカ25から出力し、ステップS3に処理を移す。
【0020】
(ステップS3)
ステップS3において主制御部21は、操作ボタン26aが短押しされたか否かを判定する。操作ボタン26aが短押しされたと判定した場合にはステップS5に処理を移し、操作ボタン26aが短押しされたと判定しなかった場合にはステップS4に処理を移す。
【0021】
(ステップS4)
ステップS3において、操作ボタン26aが短押しされたと判定しなかった場合に、ステップS4において主制御部21は、設定時刻から所定時間(例えば、60s)が経過したか否かを判定する。設定時刻から所定時間が経過したと判定した場合にはステップS5に処理を移し、設定時刻から所定時間が経過したと判定しなかった場合にはステップS3に処理を戻し、アラーム音出力を継続させる。
【0022】
(ステップS5)
ステップS3において、操作ボタン26aが短押しされたと判定した場合、または、ステップS4において、設定時刻から所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS5において主制御部21は、アラーム音の出力を停止してアラーム制御処理を終了する。
【0023】
このように、本実施形態の音声モニタ装置によれば、移動機20のスピーカ25からアラーム音が出力される際に、アラームパターンのアラーム出力期間cにおいて主装置10から送信された音声のスピーカ25からの出力を規制し、アラームパターンのアラーム停止期間dにおいて主装置10から送信された音声のスピーカ25からの出力の規制を解除している。これにより、主装置10から送信された音声とアラーム音が互いに干渉することを防止することができるので、監視者が主装置10から送信された音声とアラーム音とをそれぞれ明確に聞き取ることが可能となる。
【0024】
また、移動機20のマイクロフォン24に入力された音声を、無線通信によって主装置10に送信して主装置10のスピーカ15から出力するようにしている。これにより、監視者側から被監視者側に話しかけることが可能となり、監視者と被監視者との間で会話が可能となる。
【0025】
また、移動機20側の音声の主装置10送信または送信の停止を切換えるようにしている。これにより、監視者と被監視者との間で会話が可能となるとともに、移動機20側で生じる騒音が主装置10側から出力されることはない。
【0026】
また、スピーカ25からアラーム音が出力される際に、アラームパターンのアラーム出力期間cにおいて移動機20から送信された音声のスピーカ15からの出力を規制し、アラームパターンのアラーム停止期間dにおいて移動機20から送信された音声のスピーカ15からの出力の規制を解除している。これにより、相互通話モードにおいて、移動機20のスピーカ15から出力されるアラーム音が主装置10のスピーカ15から出力されることはなく、アラーム音によって被監視者が不快に感じることはない。
【0027】
尚、前記実施形態では、アラーム開始時刻を設定可能に設け、設定時刻となったときにアラーム音を出力するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、設定した時間が経過したときにアラーム音を出力するようにしてもよい。また、複数の時刻や時間を同時に設定可能とし、それぞれの時刻や時間の経過時にアラーム音を出力するようにしてもよい。
【0028】
また、前記実施形態では、アラーム音として、アラーム出力期間cとアラーム停止期間dとからなるアラームパターンを繰り返しスピーカ25から出力するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、アラーム音の出力を継続する時間に対応する1つのアラームパターンを予め設定するようにしてもよい。
【0029】
また、前記実施形態では、主装置10側の音声とアラーム音をそれぞれスピーカ25から出力するようにしたものを示したが、移動機20に複数のスピーカを設け、主装置10側の音声とアラーム音を別々のスピーカから出力するようにしてもよい。
【0030】
また、前記実施形態では、一種類のアラーム音がスピーカ25から出力するようにしたものを示したが、複数種類のアラーム音を設定し、それぞれスピーカ25から出力するようにしてもよい。また、アラームパターンのアラーム出力期間とアラーム停止期間は同じ時間である必要はなく、それぞれ異なる時間に設定してもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 主装置
11 主制御部
13 無線通信部
14 マイクロフォン
15 スピーカ
20 移動機
21 主制御部
23 無線通信部
24 マイクロフォン
25 スピーカ
26 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視者の音声が入力されるマイクロフォンが設けられた主装置と、前記マイクロフォンに入力された音声を出力するスピーカが設けられた移動機と、を備えた音声モニタ装置において、
所定の条件が成立した時に、前記スピーカからアラーム音が鳴動する期間であるアラーム鳴動期間と前記アラーム音の鳴動を停止する期間であるアラーム停止期間とから構成される所定のアラームパターンをスピーカから出力させるアラーム出力手段を備え、
前記主装置の前記マイクロフォンから入力される音声は、アラーム鳴動期間中は前記スピーカから出力されず、前記アラーム停止期間中は前記スピーカから出力される
ことを特徴とする音声モニタ装置。
【請求項2】
アラーム出力手段によってアラームパターンをスピーカから出力する際に、前記アラーム鳴動期間において前記マイクロフォンに入力された音声のスピーカからの出力を規制するとともに、アラーム停止期間において前記マイクロフォンに入力された音声のスピーカからの出力の規制を解除する出力規制手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の音声モニタ装置。
【請求項3】
移動機には、監視者の音声が入力される移動機側マイクロフォンが設けられ、
主装置には、音声を出力する主装置側スピーカが設けられ、
移動機側マイクロフォンに入力された音声を、主装置側スピーカから出力可能に構成した
ことを特徴とする請求項1または2に記載の音声モニタ装置。
【請求項4】
移動機側の音声の主装置への送信または送信の停止を切り換える送信切換手段を備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の音声モニタ装置。
【請求項5】
出力規制手段は、アラーム出力手段によってアラームパターンをスピーカから出力する際に、アラーム鳴動期間において移動機から送信された音声の主装置側スピーカからの出力を規制するとともに、アラーム停止期間において移動機から送信された音声の主装置側スピーカからの出力の規制を解除する
ことを特徴とする請求項3または4記載の音声モニタ装置。
【請求項6】
前記移動機側マイクロフォンから入力される音声は、前記アラーム鳴動期間中は前記主装置側スピーカから出力されず、前記アラーム停止期間中は前記主装置側スピーカから出力される
ことを特徴とする請求項4に記載の音声モニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−253521(P2012−253521A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123740(P2011−123740)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000111878)パイオニアコミュニケーションズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】