説明

音声再生装置

【課題】この発明は、音声出力端子の数を増加させることなく、多チャンネルの音声信号を全て出力することを可能とし、ユーザにとっての取り扱いを便利にし得るようにした音声再生装置を提供することを目的としている。
【解決手段】記録媒体(12)からそこに記録されたデジタル信号を読み取る手段(13)と、読み取ったデジタル信号からメイン音声信号とそれ以外の音声信号とを分離する手段(14)と、分離されたメイン音声信号の全チャンネルを外部に出力する第1のインターフェース手段(18)と、分離されたメイン音声信号以外の音声信号を外部に出力する第2のインターフェース手段(22)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばHD(high definition)DVD(digital versatile disk)プレーヤのような光ディスク再生装置等に使用される音声再生装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、首記の如き光ディスク再生装置は、光ディスクを再生して得られた映像信号及び音声信号を外部に出力するための映像出力端子及び音声出力端子を備えており、音声再生機能を備えた例えばAV(audio video)アンプ等を音声出力端子に接続することによって、音声の再生が行なわれるようになっている。
【0003】
ところで、現在、HD DVDでは、最大で7.1チャンネルの音声信号が記録可能となっている。また、HD DVD advanced contentsの場合は、7.1チャンネルのメイン(主)音声信号に加えて、それぞれ2チャンネルのサブ(副)・エフェクト(効果)音声信号を同時に出力することが可能となっている。
【0004】
このように光ディスクから得られる音声信号のチャンネル数が増大している現状において、光ディスク再生装置では、その音声出力端子の数をむやみに増加させることを防止するために、複数のチャンネルの音声信号をミクシングして音声出力端子から出力させるようにしている。
【0005】
このため、現状では、光ディスク再生装置の音声出力端子に、多チャンネルの音声信号を再生する機能を備えた高性能なAVアンプ等を接続し、光ディスクから得られた複数のチャンネルの音声信号をそれぞれ独立に再生して高音質な音声再生を行なうといった使い方が不可能になっている。
【0006】
特許文献1には、光ディスク再生装置において、光ディスクから取得した複数チャンネルの音声信号をミクシングし、そのミクシングされた音声信号に符号化処理を施して外部に出力させることにより、音声復号化機能を有するAVアンプ等を接続することができるようにした構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−197391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、音声出力端子の数を増加させることなく、多チャンネルの音声信号を全て出力することを可能とし、ユーザにとっての取り扱いを便利にし得るようにした音声再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る音声再生装置は、記録媒体からそこに記録されたデジタル信号を読み取る読み取り手段と、読み取り手段で読み取られたデジタル信号からメイン音声信号とそれ以外の音声信号とを分離する分離手段と、分離手段で分離されたメイン音声信号の全チャンネルを外部に出力する第1のインターフェース手段と、分離手段で分離されたメイン音声信号以外の音声信号を外部に出力する第2のインターフェース手段とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
上記した発明によれば、メイン音声信号の全チャンネルを外部に出力する第1のインターフェース手段と、メイン音声信号以外の音声信号を外部に出力する第2のインターフェース手段とを備えるようにしたので、音声出力端子の数を増加させることなく、多チャンネルの音声信号を全て出力することを可能とし、ユーザにとっての取り扱いを便利にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する音声再生装置として光ディスク再生装置11の一例を示している。この光ディスク再生装置11は、例えばHD DVD等の光ディスク12が着脱可能なディスクドライブ部13を有している。
【0011】
このディスクドライブ部13は、装着された光ディスク12から、その記録されたデジタル信号を読み取り、DSP(digital signal processor)部14に出力している。このDSP部14は、入力されたデジタル信号に所定のデジタル信号処理を施し、映像信号とメイン音声信号とサブ・エフェクト音声信号とを分離する。
【0012】
そして、DSP部14で分離された映像信号は、映像信号処理部15に供給されてデコード処理等の所定の映像信号処理が施された後、映像出力端子16を介して外部に導出される。この映像出力端子16には、例えば液晶モニタ等の図示しない映像表示装置が接続され、その出力映像信号に基づいて映像表示が行なわれるようになっている。
【0013】
また、上記DSP部14で分離されたメイン音声信号は、メインデコーダ部17に供給される。このメインデコーダ部17は、入力されたメイン音声信号に所定のデコード処理を施して、最大で7.1チャンネルのPCM(pulse code modulation)信号に変換し、HDMI(high definition multimedia interface)送信部18に出力している。
【0014】
このHDMI送信部18は、PCM化されたメイン音声信号に対してHDMI規格に準拠した変換処理を施し、音声出力端子19を介して外部に出力している。すなわち、HDMI送信部18は、音声出力端子19を介して最大で7.1チャンネルのメイン音声信号を外部出力することが可能となっている。
【0015】
さらに、上記DSP部14で分離されたサブ・エフェクト音声信号は、サブ・エフェクトデコーダ部20に供給される。このサブ・エフェクトデコーダ部20は、入力されたサブ・エフェクト音声信号に所定のデコード処理を施して、サブ(2チャンネル)・エフェクト(2チャンネル)のPCM信号に変換し、ミクサ部21に出力している。
【0016】
このミクサ部21は、それぞれPCM化されたサブ(2チャンネル)・エフェクト(2チャンネル)の音声信号を混合して、2チャンネルのサブ・エフェクト音声信号を生成し、DIT(digital interface transmitter)部22に出力している。このDIT部22は、入力されたサブ・エフェクト音声信号に対して、IEC(international electrotechnical commission)60958/61937に基づく光インターフェース規格に準拠した変換処理を施し、音声出力端子23を介して外部に出力している。すなわち、DIT部22は、音声出力端子23を介して2チャンネルのサブ・エフェクト音声信号を外部出力することが可能となっている。
【0017】
ここで、この光ディスク再生装置11は、上記した各種の再生動作を含むその全ての動作を制御部24によって統括的に制御されている。この制御部24は、CPU(Central Processing Unit)等を内蔵しており、操作部25から、または、リモートコントローラ26から受光部27を介して受信した操作情報に基づいて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0018】
この場合、制御部24は、メモリ部28を利用している。このメモリ部28は、主として、そのCPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPUに作業エリアを提供するRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを備えている。
【0019】
図2は、上記光ディスク再生装置11の音声出力端子19,23に接続されて音声再生を行なうAVアンプ29の一例を示している。すなわち、上記光ディスク再生装置11の音声出力端子19から出力されるメイン音声信号は、音声入力端子30を介してHDMI受信部31で受信された後、音声信号処理部32に供給される。
【0020】
また、上記光ディスク再生装置11の音声出力端子23から出力されるサブ・エフェクト音声信号は、音声入力端子33を介してDIR(digital interface receiver)部34で受信された後、上記音声信号処理部32に供給される。
【0021】
この音声信号処理部32は、例えば、混合部(mixer)、サンプリングレート変換部(sampling rate converter)、音声遅延制御部(delay manager)、音声チャンネルセッティング部(bass manager)等を備え、ユーザの要求により、メイン音声信号及びサブ・エフェクト音声信号に対して、チャンネル相互間または信号相互間での混合、サンプリングレートの変換、遅延制御、チャンネルセッティング等の各種信号処理を施すことが可能である。
【0022】
そして、この音声信号処理部32で所定の信号処理の施された音声信号は、D/A(digital/analog)変換部35でアナログの音声信号に変換され、増幅部36でゲイン調整された後、スピーカ37によって奏鳴され、ここに、光ディスク再生装置11で再生された音声信号がAVアンプ29によって音声再生されることになる。
【0023】
上記した実施の形態によれば、光ディスク再生装置11は、その音声出力端子19から最大で7.1チャンネルのメイン音声信号を外部出力することが可能であり、その音声出力端子23から2チャンネルのサブ・エフェクト音声信号を外部出力することが可能となっている。つまり、2つの音声出力端子19,23だけを用いて、光ディスク12から得られる全チャンネルの音声信号を、混合することなく全て出力することが可能となっている。
【0024】
このため、AVアンプ29として、7.1チャンネルのメイン音声信号をそれぞれ再生する機能と、2チャンネルのサブ・エフェクト音声信号をサブ(2チャンネル)・エフェクト(2チャンネル)の音声信号に戻してそれぞれ再生する機能とを有するものを使用すれば、光ディスクから得られる全てのチャンネル(11.1チャンネル)の音声信号をそれぞれ独立に再生して、高音質な音声再生を実現することができる。
【0025】
また、AVアンプ29で、メイン音声信号とサブ・エフェクト音声信号とを混合して、既存の5.1チャンネルの音声出力を行なうことも可能である。要するに、AVアンプ29の性能次第で、光ディスク12から得られる全チャンネルの音声信号を、任意の形態で再生することができるようになり、ユーザにとっての取り扱いの自由度を向上させることができる。
【0026】
図3は、上記光ディスク再生装置11の変形例を示している。図3において、図1と同一部分には同一符号を付して説明すると、サブ・エフェクトデコーダ部20でPCM化されたそれぞれサブ(2チャンネル)・エフェクト(2チャンネル)の音声信号を、ミクサ部21で混合せず、HDMI送信部38でHDMI規格に準拠した変換処理を施し、そのままのチャンネル数で音声出力端子23から外部に出力するようにしている。すなわち、光ディスク再生装置11が、HDMI規格に準拠した2つの音声出力端子19,23を備えた例を示している。
【0027】
図4は、図3に示した光ディスク再生装置11の音声出力端子19,23に接続されて音声出力を行なうAVアンプ29の一例を示している。図4において、図2と同一部分には同一符号を付して説明すると、上記光ディスク再生装置11の音声出力端子23から出力されるサブ・エフェクト音声信号を、音声入力端子33を介してHDMI受信部39で受信し、音声信号処理部32に供給するようにしたものである。
【0028】
図3及び図4に示した変形例によっても、光ディスク再生装置11が、2つの音声出力端子19,23だけで、光ディスク12から得られる全チャンネルの音声信号を出力することが可能であり、AVアンプ29の性能次第で、光ディスク12から得られる全チャンネルの音声信号を、任意の形態で再生することができるようになる。
【0029】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、光ディスク再生装置の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態における光ディスク再生装置に接続されるAVアンプの一例を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態における光ディスク再生装置の変形例を説明するために示すブロック構成図。
【図4】同実施の形態における光ディスク再生装置の変形例に接続されるAVアンプの一例を説明するために示すブロック構成図。
【符号の説明】
【0031】
11…光ディスク再生装置、12…光ディスク、13…ディスクドライブ部、14…DSP部、15…映像信号処理部、16…映像出力端子、17…メインデコーダ部、18…HDMI送信部、19…音声出力端子、20…サブ・エフェクトデコーダ部、21…ミクサ部、22…DIT部、23…音声出力端子、24…制御部、25…操作部、26…リモートコントローラ、27…受光部、28…メモリ部、29…AVアンプ、30…音声入力端子、31…HDMI受信部、32…音声信号処理部、33…音声入力端子、34…DIR部、35…D/A変換部、36…増幅部、37…スピーカ、38…HDMI送信部、39…HDMI受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体からそこに記録されたデジタル信号を読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段で読み取られたデジタル信号からメイン音声信号とそれ以外の音声信号とを分離する分離手段と、
前記分離手段で分離されたメイン音声信号の全チャンネルを外部に出力する第1のインターフェース手段と、
前記分離手段で分離されたメイン音声信号以外の音声信号を外部に出力する第2のインターフェース手段とを具備することを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
前記第2のインターフェース手段は、前記分離手段で分離されたメイン音声信号以外の音声信号を混合して外部に出力することを特徴とする請求項1記載の音声再生装置。
【請求項3】
前記第2のインターフェース手段は、前記分離手段で分離されたメイン音声信号以外の音声信号の全チャンネルをそれぞれ外部に出力することを特徴とする請求項1記載の音声再生装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のインターフェース手段は、HDMI規格及びデジタルオーディオインターフェース規格のいずれかに準拠したものであることを特徴とする請求項1記載の音声再生装置。
【請求項5】
前記記録媒体はHD DVDであり、前記メイン音声信号以外の音声信号は、サブ・エフェクト音声信号であることを特徴とする請求項1記載の音声再生装置。
【請求項6】
記録媒体からそこに記録されたデジタル信号を読み取る読み取り手段と、前記読み取り手段で読み取られたデジタル信号からメイン音声信号とそれ以外の音声信号とを分離する分離手段と、前記分離手段で分離されたメイン音声信号の全チャンネルを外部に出力する第1のインターフェース手段と、前記分離手段で分離されたメイン音声信号以外の音声信号を外部に出力する第2のインターフェース手段とを備えた第1の音声再生装置と、
前記第1のインターフェース手段を介して出力されるメイン音声信号を受信する第1の受信手段と、前記第2のインターフェース手段を介して出力される音声信号を受信する第2の受信手段と、前記第1及び第2の受信手段で受信された各音声信号に所定の信号処理を施して音声再生する処理手段とを備えた第2の音声再生装置とを具備することを特徴とする音声再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−160179(P2008−160179A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343141(P2006−343141)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】