音声処理装置
【課題】新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供すること。
【解決手段】例えば、リスナーに対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、一般的な音声処理装置では、全てのスピーカに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカから出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データのN個の係数とN個の位置情報とに基づいて、N個のスピーカ(1−1〜1−N)のうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカとして、リスナーに対してレフト側、センター側に配置されたスピーカ(この場合、Mは2)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をレフト側、センター側のスピーカから出力する。このように、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)をN個のチャンネルからM個のチャンネルに変更することができる。
【解決手段】例えば、リスナーに対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、一般的な音声処理装置では、全てのスピーカに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカから出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データのN個の係数とN個の位置情報とに基づいて、N個のスピーカ(1−1〜1−N)のうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカとして、リスナーに対してレフト側、センター側に配置されたスピーカ(この場合、Mは2)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をレフト側、センター側のスピーカから出力する。このように、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)をN個のチャンネルからM個のチャンネルに変更することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラウンド方式に適用される音声処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画館や家庭にN.1チャンネルサラウンド方式が普及されている。
【0003】
例えば、映画館では、客席(リスナー)の前後左右を取り囲むようにN個のスピーカが設置される。この場合、Nは数十程度となる。また、映画館では、N個のスピーカに加えて、サブウーファと呼ばれる低音専用スピーカも設置される。サブウーファは、砲撃音、恐竜の足音など限定された音域に使われるため、1チャンネル満たないものとして0.1チャンネルとして数えられる。リスナーは、このようなスピーカから出力される音声(音)により、迫力に満ちた音声を体感することができる。
【0004】
例えば、家庭用では、ユーザ(リスナー)の前後左右を取り囲むようにN個のスピーカが設置される。映画館のような大規模なサラウンド方式を家庭に設置することは困難であるため、Nは、例えば5〜7程度となる。Nが5である場合、5個のスピーカは、それぞれ、リスナーの左前方、前方、右前方、左後方、右後方(レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側)に配置される。
【0005】
図1は、一般的な音声処理装置の構成を示している。図2は、一般的な音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【0006】
音声処理装置は、図1に示されるように、N個のスピーカ101−1〜101−Nと、音源102と、追加音源103と、係数データ入力部104と、追加音声加工部105と、音声重畳部106とを具備している。
【0007】
N個のスピーカ101−1〜101−Nは、図2に示されるように、リスナー100を囲うように部屋に配置されている。N個のスピーカ101−1〜101−Nは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される。
【0008】
音源102は、音声を出力する。追加音源103は、追加音声を出力する。
【0009】
音声処理装置には係数データが与えられ、係数データ入力部104は、その係数データを入力する。係数データは、N個の係数を含んでいる。N個の係数は、それぞれ、N個のスピーカ101−1〜101−Nから追加音声を出力するときの音量を表している。
【0010】
追加音声加工部105は、追加音声にN個の係数を乗じてそれぞれN個の調整追加音声を生成する。
【0011】
音声重畳部106は、音声にN個の調整追加音声を重畳してそれぞれN個の重畳音声を生成し、N個のスピーカ101−1〜101−NからそれぞれN個の重畳音声を出力する。
【0012】
上述の音声処理装置の他に、音声を重畳する技術について紹介する。
【0013】
特開平11−215078号公報には、音声情報を入力し、それを任意に組み合わせて出力できるミキサが開示されている。ミキサは、複数の入力チャンネルを備えた入力チャンネル装置と、マトリックス状の複数のバス・セレクト・スイッチを備えたバス・セレクト・スイッチ装置と、複数の出力チャンネルを備えた出力チャンネル装置とを備えている。複数の入力チャンネルのうちの第1入力チャンネル(入力チャンネル1)に入力される第1音声と、第3入力チャンネル(入力チャンネル3)に入力される第2音声とをミックスし、その重畳音声を複数の出力チャンネルのうちの第2出力チャンネル(出力チャンネル2)から出力する場合を例に挙げる。この場合、複数のバス・セレクト・スイッチのうちの1行目2列目のバス・セレクト・スイッチ(バス・セレクト・スイッチi12)と3行目2列目のバス・セレクト・スイッチ(バス・セレクト・スイッチi32)とをオンにすることにより、第1音声と第2音声とを重畳している。上記の公報に記載された技術では入力と出力の間にバス・セレクト・スイッチを備える必要がある。これは、回路の増大、シーケンスの増大を招くという課題がある。
【0014】
【特許文献1】特開平11−215078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の音声処理装置では、全てのスピーカ101−1〜101−Nに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ101−1〜101−Nから出力している。例えば、リスナー100に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。この場合でも、音声に追加音声を重畳した重畳音声が全てのスピーカ101−1〜101−Nから出力される。このような技術に対して、更に改良する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0017】
本発明の音声処理装置は、
リスナー(100)を囲うように部屋に配置されたN個(Nは5以上の整数)のスピーカ(1−1〜1−N)と、
音声を出力する音源(2)と、
追加音声を出力する追加音源(3)と、
前記N個のスピーカ(1−1〜1−N)の位置をそれぞれ表すN個の位置情報と、前記N個のスピーカ(1−1〜1−N)から前記追加音声を出力するときのN個の音量をそれぞれ表すN個の係数とを入力する係数データ入力部(4)と、
前記N個の位置情報と前記N個の係数とに基づいて、前記N個のスピーカ(1−1〜1−N)のうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから前記追加音声を出力するときのM個の音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する係数データ解析部(10)と、
前記追加音声に前記M個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する追加音声加工部(5)と、
前記音声に前記M個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声を出力し、(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声を出力する音声重畳部(6)と
を具備する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の音声処理装置では、新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供することができる。
【0019】
例えば、リスナー(100)に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、前述した一般的な音声処理装置では、全てのスピーカ(101−1〜101−N)に対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ(101−1〜101−N)から出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データのN個の係数(ベクトルの大きさ(V1〜VN))とN個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、N個のスピーカ(1−1〜1−N)のうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカとして、リスナー(100)に対してレフト側、センター側に配置されたスピーカ(この場合、Mは2)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をレフト側、センター側のスピーカから出力し、音声をレフト側、センター側のスピーカ以外のスピーカから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)をN個のチャンネルからM個のチャンネルに変更することができる。
【0020】
Nが5であり、スピーカ(1−1〜1−5)が、それぞれ、リスナー(100)に対して、レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側に配置されるスピーカ(1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SR)であるものとする。本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさ(VL、VC、VR、VSL、VSR))と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいてスピーカ(1−L、1−C)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をスピーカ(1−L、1−C)から出力し、音声をスピーカ(1−R、1−SL、1−SR)から出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)を全てのチャンネルから2個のチャンネルに変更することができる。
【0021】
また、本発明の音声処理装置では、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。例えばリスナー(100)に対してレフトとセンターとの方向から第1追加音声が聴こえるようにし、サラウンドレフトとサラウンドライトとの方向から第2追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさ(VL、VC、VR、VSL、VSR))と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、スピーカ(1−L、1−C)と、スピーカ(1−SL、1−SR)とを選択し、音声に第1追加音声を重畳した第1重畳音声をスピーカ(1−L、1−C)から出力し、音声に第2追加音声を重畳した第2重畳音声をスピーカ(1−SL、1−SR)から出力し、音声をスピーカ(1−R)から出力する。このように、本発明の音声処理装置では、選択的に追加音声を出力するため、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明の音声処理装置について詳細に説明する。
【0023】
[構成]
図3は、本発明の音声処理装置の構成を示している。図4は、本発明の音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【0024】
本発明の音声処理装置は、図3に示されるように、N個のスピーカ1−1〜1−Nと、音源2と、追加音源3と、制御装置7とを具備している。制御装置7は、係数データ入力部4と、追加音声加工部5と、音声重畳部6と、係数データ解析部10とを具備している。
【0025】
制御装置7は、ハードウェア(例示;回路)、ソフトウェア(例示;コンピュータプログラム)により実現される。制御装置7が音声処理用コンピュータであり、係数データ入力部4と追加音声加工部5と音声重畳部6と係数データ解析部10がコンピュータプログラムである場合、音声処理用コンピュータ7は、更に、上記のコンピュータプログラムを格納する格納部と、格納部に格納されたコンピュータプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを具備している。
【0026】
N個のスピーカ1−1〜1−Nは、図4に示されるように、リスナー100を囲うように部屋に配置されている。N個のスピーカ1−1〜1−Nは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される。
【0027】
係数データ解析部10は、N個のスピーカ1−1〜1−Nが配置された位置を認識している。例えば、係数データ解析部10は、N個のスピーカ1−1〜1−Nが配置された位置を表すN個の位置情報が格納された記憶部を備えている。N個のスピーカ1−1〜1−Nが配置される位置は、N.1チャンネルサラウンド方式における規格により決められている。
【0028】
例えば、リスナー100は、N個のスピーカ1−1〜1−Nの位置を変更する場合がある。この場合、リスナー100は、変更した位置を表すN個の変更位置情報を係数データ解析部10の記憶部に格納する。このN個の変更位置情報は上記のN個の位置情報として使用される。
【0029】
[動作]
図5は、本発明の音声処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、音源2は、音声を出力し、追加音源3は、追加音声を出力する(ステップS1;音声発生処理)。
【0031】
本発明の音声処理装置には係数データが与えられ、係数データ入力部4は、その係数データを入力する。係数データは、N個の位置情報と、N個の係数とを含んでいる。N個の位置情報は、それぞれ、N個のスピーカ1−1〜1−Nの位置を表している。N個の係数は、それぞれ、N個のスピーカ1−1〜1−Nから追加音声を出力するときの音量を表している(ステップS2;係数データ入力処理)。
【0032】
係数データ解析部10は、N個の位置情報とN個の係数とに基づいて、N個のスピーカ1−1〜1−NのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する(ステップS3;係数データ解析処理)。
【0033】
追加音声加工部5は、追加音声にM個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する(ステップS4;追加音声加工処理)。
【0034】
音声重畳部6は、音声にM個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、M個のスピーカからそれぞれM個の重畳音声を出力する。また、音声重畳部6は、(N−M)個のスピーカからそれぞれ音声を出力する(ステップS5;音声出力処理)。
【0035】
上記の音声発生処理(ステップS1)について説明する。
【0036】
音声発生処理(ステップS1)において、図3に示されるように、音源2は、N個のスピーカ1−1〜1−Nに対応する音声として、音声X1〜XNを出力する。追加音源3は、追加音声Aを出力する。
【0037】
上記の係数データ入力処理(ステップS2)について説明する。
【0038】
係数データ入力部4は、以下に示す係数データを入力する。係数データは、リスナー100にとって、どのチャンネルのスピーカ(位置、この場合、どの方向)から、どの音量(係数)で聞こえるか、という情報を有している。図4に示されるように、係数データは、N個のベクトルにより表される。この場合、リスナー100は、N個のベクトルの開始点であるものとする。係数データのN個の係数は、それぞれN個のベクトルの大きさV1〜VNであるものとする。係数データのN個の位置情報が表す位置は、それぞれN個のベクトルの向きであるものとする。
【0039】
上記の係数データ解析処理(ステップS3)について説明する。
【0040】
N個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとする。その仮想音源ベクトルの終点を仮想追加音源とし、仮想追加音源は点音源であると仮定する。また、N個のベクトルと仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1〜θNとする。この場合、係数データ解析部10は、
|V|=|V1|×cos(θ1)+…+|VN|×cos(θN)
により、仮想音源ベクトルの大きさVを算出する。これにより、係数データ解析部10は、N個のスピーカ1−1〜1−Nの中から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)に近い順にM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカを選択する。
【0041】
N個のベクトルのうちの、M個のスピーカに対応するM個のベクトルと仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1’〜θM’とする。また、M個の調整係数をそれぞれG1’〜GM’とする。この場合、係数データ解析部10は、
G1’=|V|×cos(θ1’)、…、GM’=|V|×cos(θM’)
により、M個の調整係数G1’〜GM’を算出する。
【0042】
上記の追加音声加工処理(ステップS4)について説明する。
【0043】
追加音声をAとする。この場合、追加音声加工部5は、
A1’=A×G1’、…、AM’=A×GM’
により、M個の調整追加音声A1’〜AM’を算出する。
【0044】
上記の音声出力処理(ステップS5)について説明する。
【0045】
音声がX1〜XNであるものとする。ここで、音声X1〜XNのうちの、M個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1’〜XM’とする。また、(N−M)個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1”〜X(N−M)”とする。この場合、音声重畳部6は、
XA1’=X1’+A1’、…、XAM’=XM’+AM’
により、M個の重畳音声XA1’〜XAM’を算出する。
【0046】
音声重畳部6は、M個のスピーカからそれぞれM個の重畳音声XA1’〜XAM’を出力する。また、音声重畳部6は、(N−M)個のスピーカからそれぞれ音声X1”〜X(N−M)”を出力する。
【0047】
本発明の音声処理装置では、新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供することができる。例えば、リスナー100に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、前述した一般的な音声処理装置では、全てのスピーカ101−1〜101−Nに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ101−1〜101−Nから出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データのN個の係数(ベクトルの大きさV1〜VN)とN個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、N個のスピーカ1−1〜1−NのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカとして、リスナー100に対してレフト側、センター側に配置されたスピーカ(この場合、Mは2)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をレフト側、センター側のスピーカから出力し、音声をレフト側、センター側のスピーカ以外のスピーカから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)をN個のチャンネルからM個のチャンネルに変更することができる。これについて具体的に説明する。
【0048】
[具体例]
本発明の音声処理装置の動作について、図6〜図9を用いて具体的に説明する。
【0049】
図6〜図9に示されるように、Nを5とする。即ち、本発明の音声処理装置は、5.1チャンネルサラウンド方式に適用され、5個のスピーカ1−1〜1−5は、リスナー100を囲うように部屋に配置されている。
【0050】
この場合、図7に示されるように、スピーカ1−1〜1−5を、それぞれ、リスナー100に対して、レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側に配置されるスピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRと称する。
【0051】
音声発生処理(ステップS1)において、図6に示されるように、音源2は、スピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRに対応する音声X1〜X5として、音声XL、XC、XR、XSL、XSRを出力する。追加音源3は、追加音声Aを出力する。
【0052】
係数データ入力処理(ステップS2)において、係数データ入力部4は、5個の位置情報(方向)と5個の係数とを含む係数データを入力する。図7に示されるように、係数データのN個の係数は、それぞれ、5個のベクトルの大きさV1〜V5として、大きさVL、VC、VR、VSL、VSRであるものとする。係数データの5個の位置情報は、それぞれ5個のベクトルの向きとして、レフト、センター、ライト、サラウンドレフト、サラウンドライトを表す情報であるものとする。この場合、リスナー100は、5個のベクトルの開始点であるものとする。
【0053】
係数データ解析処理(ステップS3)において、5個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとする。その仮想音源ベクトルの終点を仮想追加音源とし、仮想追加音源は点音源であると仮定する。また、5個のベクトルと仮想音源ベクトルとのなす角θ1〜θ5をそれぞれθL、θC、θR、θSL、θSRとする。
【0054】
また、ベクトルの大きさVSLは0であるものとする。この場合、5個のベクトル(VL、VC、VR、VSL、VSR)のうちの、大きさVSLを表すベクトルを除く4個のベクトル(VL、VC、VR、VSR)について、係数データ解析処理(ステップS3)が実行される。
【0055】
そこで、係数データ解析部10は、図8に示されるように、
|V|=|VL|×cos(θL)+|VC|×cos(θC)+|VR|×cos(θR)+|VSR|×cos(θSR)
により、仮想音源ベクトルの大きさVを算出する。
【0056】
係数データ解析部10は、スピーカ1−L、1−C、1−R、1−SRの中から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)に近い順にM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカを選択する。図9に示されるように、Mが2であるものとする。この場合、仮想追加音源に近いスピーカは、スピーカ1−L、1−Cである。
【0057】
上記のように、Mが2である場合、4個のベクトル(VL、VC、VR、VSR)のうちの、2個のスピーカ1−L、1−Cに対応する2個のベクトル(VL、VC)と仮想音源ベクトルとのなす角θ1’、θ2’は、それぞれθL、θCである。また、2個の調整係数G1’、G2’をそれぞれGL’、GC’とする。この場合、係数データ解析部10は、
GL’=|V|×cos(θL)、GC’=|V|×cos(θC)
により、2個の調整係数GL’、GC’を算出する。
【0058】
追加音声加工処理(ステップS4)において、追加音声加工部5は、図6に示されるように、
AL’=A×GL’、AC’=A×GC’
により、2個の調整追加音声AL’、AC’を算出する。
【0059】
音声出力処理(ステップS5)において、音声XL、XC、XR、XSL、XSRのうちの、M個のスピーカ1−L、1−Cに対応する音声X1’、X2’は、それぞれ、音声XL、XCである。また、(N−M)個のスピーカ1−R、1−SL、1−SRに対応する音声X1”〜X(N−M)”は、それぞれ、音声XR、XSL、XSRである。この場合、音声重畳部6は、図6に示されるように、
XAL’=XL+AL’、XAC’=XC+AC’
により、M個の重畳音声XAL’、XAC’を算出する。
【0060】
音声重畳部6は、スピーカ1−L、1−Cからそれぞれ重畳音声XAL’、XAC’を出力する。また、音声重畳部6は、スピーカ1−R、1−SL、1−SRからそれぞれ音声XR、XSL、XSRを出力する。
【0061】
なお、係数データ解析処理(ステップS3)において、係数データ解析部10は、スピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRの中から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)に近い順にM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカを選択しているが、これに限定されない。仮想音源ベクトルの始点(リスナー100)から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)までの距離が、所定距離よりも短い場合、仮想追加音源は点音源ではない可能性がある。この場合に限り(更にMが2である場合)、係数データ解析部10は、仮想追加音源から最も近いスピーカと、仮想追加音源から最も遠いスピーカとを選択する。
【0062】
例えば、仮想音源ベクトルの大きさVである|V|が所定値以下であり、5個のベクトルの大きさVL、VC、VR、VSL、VSRの合計(|VL|+|VC|+|VR|+|VSR|)が所定値よりも大きい場合、仮想追加音源から最も近いスピーカと、仮想追加音源から最も遠いスピーカとを選択する。仮想追加音源から最も近いスピーカをスピーカ1−Cとし、仮想追加音源から最も遠いスピーカをスピーカ1−SLとした場合、係数データ解析部10は、スピーカ1−C、1−SLに対して、
GC’=|V|×cos(θC)、GSL’=|V|×cos(θSL)
により、2個の調整係数GC’、GSL’を算出する。この場合、追加音声加工処理(ステップS4)において、追加音声加工部5は、
AC’=A×GC’、ASL’=A×GSL’
により、2個の調整追加音声AC’、ASL’を算出する。音声出力処理(ステップS5)において、音声重畳部6は、
XAC’=XC×AC’、XASL’=XSL×ASL’
により、M個の重畳音声XAC’、XASL’を算出し、スピーカ1−C、1−SLからそれぞれ重畳音声XAC’、XASL’を出力する。また、音声重畳部6は、スピーカ1−L、1−R、1−SRからそれぞれ音声XL、XR、XSRを出力する。
【0063】
[効果]
本発明の音声処理装置では、新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供することができる。
【0064】
上述のように、Nが5であり、スピーカ1−1〜1−5が、それぞれ、リスナー100に対して、レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側に配置されるスピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRであるものとする。そこで、リスナー100に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、前述した一般的な音声処理装置では、全てのスピーカ101−1〜101−Nに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRから出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさVL、VC、VR、VSL、VSR)と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいてスピーカ1−L、1−Cを選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をスピーカ1−L、1−Cから出力し、音声をスピーカ1−R、1−SL、1−SRから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)を全てのチャンネルから2個のチャンネルに変更することができる。
【0065】
また、本発明の音声処理装置では、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。例えばリスナー100に対してレフトとセンターとの方向から第1追加音声が聴こえるようにし、サラウンドレフトとサラウンドライトとの方向から第2追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさVL、VC、VR、VSL、VSR)と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、スピーカ1−L、1−Cと、スピーカ1−SL、1−SRとを選択し、音声に第1追加音声を重畳した第1重畳音声をスピーカ1−L、1−Cから出力し、音声に第2追加音声を重畳した第2重畳音声をスピーカ1−SL、1−SRから出力し、音声をスピーカ1−Rから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、選択的に追加音声を出力するため、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、一般的な音声処理装置の構成を示している。
【図2】図2は、一般的な音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【図3】図3は、本発明の音声処理装置の構成を示している。
【図4】図4は、本発明の音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【図5】図5は、本発明の音声処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置を示している。
【図7】図7は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置の動作を説明するための図である。
【図8】図8は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置の動作を説明するための図である。
【図9】図9は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
1−1〜1−N スピーカ、
2 音源、
3 追加音源、
4 係数データ入力部、
5 追加音声加工部、
6 音声重畳部、
7 制御装置、
10 係数データ解析部、
101−1〜101−N スピーカ、
102 音源、
103 追加音源、
104 係数データ入力部、
105 追加音声加工部、
106 音声重畳部、
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラウンド方式に適用される音声処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画館や家庭にN.1チャンネルサラウンド方式が普及されている。
【0003】
例えば、映画館では、客席(リスナー)の前後左右を取り囲むようにN個のスピーカが設置される。この場合、Nは数十程度となる。また、映画館では、N個のスピーカに加えて、サブウーファと呼ばれる低音専用スピーカも設置される。サブウーファは、砲撃音、恐竜の足音など限定された音域に使われるため、1チャンネル満たないものとして0.1チャンネルとして数えられる。リスナーは、このようなスピーカから出力される音声(音)により、迫力に満ちた音声を体感することができる。
【0004】
例えば、家庭用では、ユーザ(リスナー)の前後左右を取り囲むようにN個のスピーカが設置される。映画館のような大規模なサラウンド方式を家庭に設置することは困難であるため、Nは、例えば5〜7程度となる。Nが5である場合、5個のスピーカは、それぞれ、リスナーの左前方、前方、右前方、左後方、右後方(レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側)に配置される。
【0005】
図1は、一般的な音声処理装置の構成を示している。図2は、一般的な音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【0006】
音声処理装置は、図1に示されるように、N個のスピーカ101−1〜101−Nと、音源102と、追加音源103と、係数データ入力部104と、追加音声加工部105と、音声重畳部106とを具備している。
【0007】
N個のスピーカ101−1〜101−Nは、図2に示されるように、リスナー100を囲うように部屋に配置されている。N個のスピーカ101−1〜101−Nは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される。
【0008】
音源102は、音声を出力する。追加音源103は、追加音声を出力する。
【0009】
音声処理装置には係数データが与えられ、係数データ入力部104は、その係数データを入力する。係数データは、N個の係数を含んでいる。N個の係数は、それぞれ、N個のスピーカ101−1〜101−Nから追加音声を出力するときの音量を表している。
【0010】
追加音声加工部105は、追加音声にN個の係数を乗じてそれぞれN個の調整追加音声を生成する。
【0011】
音声重畳部106は、音声にN個の調整追加音声を重畳してそれぞれN個の重畳音声を生成し、N個のスピーカ101−1〜101−NからそれぞれN個の重畳音声を出力する。
【0012】
上述の音声処理装置の他に、音声を重畳する技術について紹介する。
【0013】
特開平11−215078号公報には、音声情報を入力し、それを任意に組み合わせて出力できるミキサが開示されている。ミキサは、複数の入力チャンネルを備えた入力チャンネル装置と、マトリックス状の複数のバス・セレクト・スイッチを備えたバス・セレクト・スイッチ装置と、複数の出力チャンネルを備えた出力チャンネル装置とを備えている。複数の入力チャンネルのうちの第1入力チャンネル(入力チャンネル1)に入力される第1音声と、第3入力チャンネル(入力チャンネル3)に入力される第2音声とをミックスし、その重畳音声を複数の出力チャンネルのうちの第2出力チャンネル(出力チャンネル2)から出力する場合を例に挙げる。この場合、複数のバス・セレクト・スイッチのうちの1行目2列目のバス・セレクト・スイッチ(バス・セレクト・スイッチi12)と3行目2列目のバス・セレクト・スイッチ(バス・セレクト・スイッチi32)とをオンにすることにより、第1音声と第2音声とを重畳している。上記の公報に記載された技術では入力と出力の間にバス・セレクト・スイッチを備える必要がある。これは、回路の増大、シーケンスの増大を招くという課題がある。
【0014】
【特許文献1】特開平11−215078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の音声処理装置では、全てのスピーカ101−1〜101−Nに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ101−1〜101−Nから出力している。例えば、リスナー100に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。この場合でも、音声に追加音声を重畳した重畳音声が全てのスピーカ101−1〜101−Nから出力される。このような技術に対して、更に改良する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0017】
本発明の音声処理装置は、
リスナー(100)を囲うように部屋に配置されたN個(Nは5以上の整数)のスピーカ(1−1〜1−N)と、
音声を出力する音源(2)と、
追加音声を出力する追加音源(3)と、
前記N個のスピーカ(1−1〜1−N)の位置をそれぞれ表すN個の位置情報と、前記N個のスピーカ(1−1〜1−N)から前記追加音声を出力するときのN個の音量をそれぞれ表すN個の係数とを入力する係数データ入力部(4)と、
前記N個の位置情報と前記N個の係数とに基づいて、前記N個のスピーカ(1−1〜1−N)のうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから前記追加音声を出力するときのM個の音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する係数データ解析部(10)と、
前記追加音声に前記M個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する追加音声加工部(5)と、
前記音声に前記M個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声を出力し、(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声を出力する音声重畳部(6)と
を具備する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の音声処理装置では、新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供することができる。
【0019】
例えば、リスナー(100)に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、前述した一般的な音声処理装置では、全てのスピーカ(101−1〜101−N)に対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ(101−1〜101−N)から出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データのN個の係数(ベクトルの大きさ(V1〜VN))とN個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、N個のスピーカ(1−1〜1−N)のうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカとして、リスナー(100)に対してレフト側、センター側に配置されたスピーカ(この場合、Mは2)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をレフト側、センター側のスピーカから出力し、音声をレフト側、センター側のスピーカ以外のスピーカから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)をN個のチャンネルからM個のチャンネルに変更することができる。
【0020】
Nが5であり、スピーカ(1−1〜1−5)が、それぞれ、リスナー(100)に対して、レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側に配置されるスピーカ(1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SR)であるものとする。本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさ(VL、VC、VR、VSL、VSR))と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいてスピーカ(1−L、1−C)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をスピーカ(1−L、1−C)から出力し、音声をスピーカ(1−R、1−SL、1−SR)から出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)を全てのチャンネルから2個のチャンネルに変更することができる。
【0021】
また、本発明の音声処理装置では、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。例えばリスナー(100)に対してレフトとセンターとの方向から第1追加音声が聴こえるようにし、サラウンドレフトとサラウンドライトとの方向から第2追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさ(VL、VC、VR、VSL、VSR))と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、スピーカ(1−L、1−C)と、スピーカ(1−SL、1−SR)とを選択し、音声に第1追加音声を重畳した第1重畳音声をスピーカ(1−L、1−C)から出力し、音声に第2追加音声を重畳した第2重畳音声をスピーカ(1−SL、1−SR)から出力し、音声をスピーカ(1−R)から出力する。このように、本発明の音声処理装置では、選択的に追加音声を出力するため、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明の音声処理装置について詳細に説明する。
【0023】
[構成]
図3は、本発明の音声処理装置の構成を示している。図4は、本発明の音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【0024】
本発明の音声処理装置は、図3に示されるように、N個のスピーカ1−1〜1−Nと、音源2と、追加音源3と、制御装置7とを具備している。制御装置7は、係数データ入力部4と、追加音声加工部5と、音声重畳部6と、係数データ解析部10とを具備している。
【0025】
制御装置7は、ハードウェア(例示;回路)、ソフトウェア(例示;コンピュータプログラム)により実現される。制御装置7が音声処理用コンピュータであり、係数データ入力部4と追加音声加工部5と音声重畳部6と係数データ解析部10がコンピュータプログラムである場合、音声処理用コンピュータ7は、更に、上記のコンピュータプログラムを格納する格納部と、格納部に格納されたコンピュータプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを具備している。
【0026】
N個のスピーカ1−1〜1−Nは、図4に示されるように、リスナー100を囲うように部屋に配置されている。N個のスピーカ1−1〜1−Nは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される。
【0027】
係数データ解析部10は、N個のスピーカ1−1〜1−Nが配置された位置を認識している。例えば、係数データ解析部10は、N個のスピーカ1−1〜1−Nが配置された位置を表すN個の位置情報が格納された記憶部を備えている。N個のスピーカ1−1〜1−Nが配置される位置は、N.1チャンネルサラウンド方式における規格により決められている。
【0028】
例えば、リスナー100は、N個のスピーカ1−1〜1−Nの位置を変更する場合がある。この場合、リスナー100は、変更した位置を表すN個の変更位置情報を係数データ解析部10の記憶部に格納する。このN個の変更位置情報は上記のN個の位置情報として使用される。
【0029】
[動作]
図5は、本発明の音声処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、音源2は、音声を出力し、追加音源3は、追加音声を出力する(ステップS1;音声発生処理)。
【0031】
本発明の音声処理装置には係数データが与えられ、係数データ入力部4は、その係数データを入力する。係数データは、N個の位置情報と、N個の係数とを含んでいる。N個の位置情報は、それぞれ、N個のスピーカ1−1〜1−Nの位置を表している。N個の係数は、それぞれ、N個のスピーカ1−1〜1−Nから追加音声を出力するときの音量を表している(ステップS2;係数データ入力処理)。
【0032】
係数データ解析部10は、N個の位置情報とN個の係数とに基づいて、N個のスピーカ1−1〜1−NのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する(ステップS3;係数データ解析処理)。
【0033】
追加音声加工部5は、追加音声にM個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する(ステップS4;追加音声加工処理)。
【0034】
音声重畳部6は、音声にM個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、M個のスピーカからそれぞれM個の重畳音声を出力する。また、音声重畳部6は、(N−M)個のスピーカからそれぞれ音声を出力する(ステップS5;音声出力処理)。
【0035】
上記の音声発生処理(ステップS1)について説明する。
【0036】
音声発生処理(ステップS1)において、図3に示されるように、音源2は、N個のスピーカ1−1〜1−Nに対応する音声として、音声X1〜XNを出力する。追加音源3は、追加音声Aを出力する。
【0037】
上記の係数データ入力処理(ステップS2)について説明する。
【0038】
係数データ入力部4は、以下に示す係数データを入力する。係数データは、リスナー100にとって、どのチャンネルのスピーカ(位置、この場合、どの方向)から、どの音量(係数)で聞こえるか、という情報を有している。図4に示されるように、係数データは、N個のベクトルにより表される。この場合、リスナー100は、N個のベクトルの開始点であるものとする。係数データのN個の係数は、それぞれN個のベクトルの大きさV1〜VNであるものとする。係数データのN個の位置情報が表す位置は、それぞれN個のベクトルの向きであるものとする。
【0039】
上記の係数データ解析処理(ステップS3)について説明する。
【0040】
N個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとする。その仮想音源ベクトルの終点を仮想追加音源とし、仮想追加音源は点音源であると仮定する。また、N個のベクトルと仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1〜θNとする。この場合、係数データ解析部10は、
|V|=|V1|×cos(θ1)+…+|VN|×cos(θN)
により、仮想音源ベクトルの大きさVを算出する。これにより、係数データ解析部10は、N個のスピーカ1−1〜1−Nの中から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)に近い順にM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカを選択する。
【0041】
N個のベクトルのうちの、M個のスピーカに対応するM個のベクトルと仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1’〜θM’とする。また、M個の調整係数をそれぞれG1’〜GM’とする。この場合、係数データ解析部10は、
G1’=|V|×cos(θ1’)、…、GM’=|V|×cos(θM’)
により、M個の調整係数G1’〜GM’を算出する。
【0042】
上記の追加音声加工処理(ステップS4)について説明する。
【0043】
追加音声をAとする。この場合、追加音声加工部5は、
A1’=A×G1’、…、AM’=A×GM’
により、M個の調整追加音声A1’〜AM’を算出する。
【0044】
上記の音声出力処理(ステップS5)について説明する。
【0045】
音声がX1〜XNであるものとする。ここで、音声X1〜XNのうちの、M個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1’〜XM’とする。また、(N−M)個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1”〜X(N−M)”とする。この場合、音声重畳部6は、
XA1’=X1’+A1’、…、XAM’=XM’+AM’
により、M個の重畳音声XA1’〜XAM’を算出する。
【0046】
音声重畳部6は、M個のスピーカからそれぞれM個の重畳音声XA1’〜XAM’を出力する。また、音声重畳部6は、(N−M)個のスピーカからそれぞれ音声X1”〜X(N−M)”を出力する。
【0047】
本発明の音声処理装置では、新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供することができる。例えば、リスナー100に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、前述した一般的な音声処理装置では、全てのスピーカ101−1〜101−Nに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ101−1〜101−Nから出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データのN個の係数(ベクトルの大きさV1〜VN)とN個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、N個のスピーカ1−1〜1−NのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカとして、リスナー100に対してレフト側、センター側に配置されたスピーカ(この場合、Mは2)を選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をレフト側、センター側のスピーカから出力し、音声をレフト側、センター側のスピーカ以外のスピーカから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)をN個のチャンネルからM個のチャンネルに変更することができる。これについて具体的に説明する。
【0048】
[具体例]
本発明の音声処理装置の動作について、図6〜図9を用いて具体的に説明する。
【0049】
図6〜図9に示されるように、Nを5とする。即ち、本発明の音声処理装置は、5.1チャンネルサラウンド方式に適用され、5個のスピーカ1−1〜1−5は、リスナー100を囲うように部屋に配置されている。
【0050】
この場合、図7に示されるように、スピーカ1−1〜1−5を、それぞれ、リスナー100に対して、レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側に配置されるスピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRと称する。
【0051】
音声発生処理(ステップS1)において、図6に示されるように、音源2は、スピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRに対応する音声X1〜X5として、音声XL、XC、XR、XSL、XSRを出力する。追加音源3は、追加音声Aを出力する。
【0052】
係数データ入力処理(ステップS2)において、係数データ入力部4は、5個の位置情報(方向)と5個の係数とを含む係数データを入力する。図7に示されるように、係数データのN個の係数は、それぞれ、5個のベクトルの大きさV1〜V5として、大きさVL、VC、VR、VSL、VSRであるものとする。係数データの5個の位置情報は、それぞれ5個のベクトルの向きとして、レフト、センター、ライト、サラウンドレフト、サラウンドライトを表す情報であるものとする。この場合、リスナー100は、5個のベクトルの開始点であるものとする。
【0053】
係数データ解析処理(ステップS3)において、5個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとする。その仮想音源ベクトルの終点を仮想追加音源とし、仮想追加音源は点音源であると仮定する。また、5個のベクトルと仮想音源ベクトルとのなす角θ1〜θ5をそれぞれθL、θC、θR、θSL、θSRとする。
【0054】
また、ベクトルの大きさVSLは0であるものとする。この場合、5個のベクトル(VL、VC、VR、VSL、VSR)のうちの、大きさVSLを表すベクトルを除く4個のベクトル(VL、VC、VR、VSR)について、係数データ解析処理(ステップS3)が実行される。
【0055】
そこで、係数データ解析部10は、図8に示されるように、
|V|=|VL|×cos(θL)+|VC|×cos(θC)+|VR|×cos(θR)+|VSR|×cos(θSR)
により、仮想音源ベクトルの大きさVを算出する。
【0056】
係数データ解析部10は、スピーカ1−L、1−C、1−R、1−SRの中から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)に近い順にM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカを選択する。図9に示されるように、Mが2であるものとする。この場合、仮想追加音源に近いスピーカは、スピーカ1−L、1−Cである。
【0057】
上記のように、Mが2である場合、4個のベクトル(VL、VC、VR、VSR)のうちの、2個のスピーカ1−L、1−Cに対応する2個のベクトル(VL、VC)と仮想音源ベクトルとのなす角θ1’、θ2’は、それぞれθL、θCである。また、2個の調整係数G1’、G2’をそれぞれGL’、GC’とする。この場合、係数データ解析部10は、
GL’=|V|×cos(θL)、GC’=|V|×cos(θC)
により、2個の調整係数GL’、GC’を算出する。
【0058】
追加音声加工処理(ステップS4)において、追加音声加工部5は、図6に示されるように、
AL’=A×GL’、AC’=A×GC’
により、2個の調整追加音声AL’、AC’を算出する。
【0059】
音声出力処理(ステップS5)において、音声XL、XC、XR、XSL、XSRのうちの、M個のスピーカ1−L、1−Cに対応する音声X1’、X2’は、それぞれ、音声XL、XCである。また、(N−M)個のスピーカ1−R、1−SL、1−SRに対応する音声X1”〜X(N−M)”は、それぞれ、音声XR、XSL、XSRである。この場合、音声重畳部6は、図6に示されるように、
XAL’=XL+AL’、XAC’=XC+AC’
により、M個の重畳音声XAL’、XAC’を算出する。
【0060】
音声重畳部6は、スピーカ1−L、1−Cからそれぞれ重畳音声XAL’、XAC’を出力する。また、音声重畳部6は、スピーカ1−R、1−SL、1−SRからそれぞれ音声XR、XSL、XSRを出力する。
【0061】
なお、係数データ解析処理(ステップS3)において、係数データ解析部10は、スピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRの中から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)に近い順にM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカを選択しているが、これに限定されない。仮想音源ベクトルの始点(リスナー100)から、仮想音源ベクトルの終点(仮想追加音源)までの距離が、所定距離よりも短い場合、仮想追加音源は点音源ではない可能性がある。この場合に限り(更にMが2である場合)、係数データ解析部10は、仮想追加音源から最も近いスピーカと、仮想追加音源から最も遠いスピーカとを選択する。
【0062】
例えば、仮想音源ベクトルの大きさVである|V|が所定値以下であり、5個のベクトルの大きさVL、VC、VR、VSL、VSRの合計(|VL|+|VC|+|VR|+|VSR|)が所定値よりも大きい場合、仮想追加音源から最も近いスピーカと、仮想追加音源から最も遠いスピーカとを選択する。仮想追加音源から最も近いスピーカをスピーカ1−Cとし、仮想追加音源から最も遠いスピーカをスピーカ1−SLとした場合、係数データ解析部10は、スピーカ1−C、1−SLに対して、
GC’=|V|×cos(θC)、GSL’=|V|×cos(θSL)
により、2個の調整係数GC’、GSL’を算出する。この場合、追加音声加工処理(ステップS4)において、追加音声加工部5は、
AC’=A×GC’、ASL’=A×GSL’
により、2個の調整追加音声AC’、ASL’を算出する。音声出力処理(ステップS5)において、音声重畳部6は、
XAC’=XC×AC’、XASL’=XSL×ASL’
により、M個の重畳音声XAC’、XASL’を算出し、スピーカ1−C、1−SLからそれぞれ重畳音声XAC’、XASL’を出力する。また、音声重畳部6は、スピーカ1−L、1−R、1−SRからそれぞれ音声XL、XR、XSRを出力する。
【0063】
[効果]
本発明の音声処理装置では、新しいN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を提供することができる。
【0064】
上述のように、Nが5であり、スピーカ1−1〜1−5が、それぞれ、リスナー100に対して、レフト側、センター側、ライト側、サラウンドレフト側、サラウンドライト側に配置されるスピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRであるものとする。そこで、リスナー100に対してレフトとセンターとの方向から追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、前述した一般的な音声処理装置では、全てのスピーカ101−1〜101−Nに対して音声に追加音声を重畳し、重畳音声を全てのスピーカ1−L、1−C、1−R、1−SL、1−SRから出力している。一方、本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさVL、VC、VR、VSL、VSR)と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいてスピーカ1−L、1−Cを選択し、音声に追加音声を重畳した重畳音声をスピーカ1−L、1−Cから出力し、音声をスピーカ1−R、1−SL、1−SRから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、追加音声を出力するチャンネル(スピーカ)を全てのチャンネルから2個のチャンネルに変更することができる。
【0065】
また、本発明の音声処理装置では、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。例えばリスナー100に対してレフトとセンターとの方向から第1追加音声が聴こえるようにし、サラウンドレフトとサラウンドライトとの方向から第2追加音声が聴こえるようにしたい場合がある。このような場合、本発明の音声処理装置では、係数データの5個の係数(ベクトルの大きさVL、VC、VR、VSL、VSR)と5個の位置情報(ベクトルの向き)とに基づいて、スピーカ1−L、1−Cと、スピーカ1−SL、1−SRとを選択し、音声に第1追加音声を重畳した第1重畳音声をスピーカ1−L、1−Cから出力し、音声に第2追加音声を重畳した第2重畳音声をスピーカ1−SL、1−SRから出力し、音声をスピーカ1−Rから出力する。このように、本発明の音声処理装置では、選択的に追加音声を出力するため、チャンネル(スピーカ)を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、一般的な音声処理装置の構成を示している。
【図2】図2は、一般的な音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【図3】図3は、本発明の音声処理装置の構成を示している。
【図4】図4は、本発明の音声処理装置が適用されるN.1チャンネルサラウンド方式(Nは5以上の整数)を示している。
【図5】図5は、本発明の音声処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置を示している。
【図7】図7は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置の動作を説明するための図である。
【図8】図8は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置の動作を説明するための図である。
【図9】図9は、5.1チャンネルサラウンド方式が適用された本発明の音声処理装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
1−1〜1−N スピーカ、
2 音源、
3 追加音源、
4 係数データ入力部、
5 追加音声加工部、
6 音声重畳部、
7 制御装置、
10 係数データ解析部、
101−1〜101−N スピーカ、
102 音源、
103 追加音源、
104 係数データ入力部、
105 追加音声加工部、
106 音声重畳部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リスナーを囲うように部屋に配置されたN個(Nは5以上の整数)のスピーカと、
音声を出力する音源と、
追加音声を出力する追加音源と、
前記N個のスピーカが配置された位置をそれぞれ表すN個の位置情報と、前記N個のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すN個の係数とを入力する係数データ入力部と、
前記N個の位置情報と前記N個の係数とに基づいて、前記N個のスピーカのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する係数データ解析部と、
前記追加音声に前記M個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する追加音声加工部と、
前記音声に前記M個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声を出力し、(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声を出力する音声重畳部と
を具備する音声処理装置。
【請求項2】
前記係数データ解析部は、
前記N個の係数をそれぞれN個のベクトルの大きさV1〜VNとし、前記N個の位置情報が表す位置をそれぞれ前記N個のベクトルの向きとし、前記リスナーを前記N個のベクトルの開始点とし、前記N個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとし、前記N個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1〜θNとしたとき、
|V|=|V1|×cos(θ1)+…+|VN|×cos(θN)
により、前記仮想音源ベクトルの大きさVを算出し、
前記N個のスピーカの中から、前記仮想音源ベクトルの終点に近い順に前記M個のスピーカを選択し、
前記N個のベクトルのうちの、前記M個のスピーカに対応するM個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1’〜θM’とし、前記M個の調整係数をそれぞれG1’〜GM’としたとき、
G1’=|V|×cos(θ1’)、…、GM’=|V|×cos(θM’)
により、前記M個の調整係数G1’〜GM’を算出する
請求項1に記載の音声処理装置。
【請求項3】
前記追加音声加工部は、
前記追加音声をAとしたとき、
A1’=A×G1’、…、AM’=A×GM’
により、前記M個の調整追加音声A1’〜AM’を算出し、
前記音声重畳部は、
前記音声をX1〜XNとし、前記音声X1〜XNのうちの、前記M個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1’〜XM’とし、前記(N−M)個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1”〜X(N−M)”としたとき、
XA1’=X1’+A1’、…、XAM’=XM’+AM’
により、前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を算出し、
前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を出力し、
前記(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声X1”〜X(N−M)”を出力する
請求項2に記載の音声処理装置。
【請求項4】
前記N個のスピーカは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される
請求項1〜3のいずれかに記載の音声処理装置。
【請求項5】
リスナーを囲うように部屋に配置されたN個(Nは5以上の整数)のスピーカと、音声を出力する音源と、追加音声を出力する追加音源とに接続された音声処理用制御装置であって、
前記N個のスピーカが配置された位置をそれぞれ表すN個の位置情報と、前記N個のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すN個の係数とを入力する係数データ入力部と、
前記N個の位置情報と前記N個の係数とに基づいて、前記N個のスピーカのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する係数データ解析部と、
前記追加音声に前記M個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する追加音声加工部と、
前記音声に前記M個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声を出力し、(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声を出力する音声重畳部と
を具備する音声処理用制御装置。
【請求項6】
前記係数データ解析部は、
前記N個の係数をそれぞれN個のベクトルの大きさV1〜VNとし、前記N個の位置情報が表す位置をそれぞれ前記N個のベクトルの向きとし、前記リスナーを前記N個のベクトルの開始点とし、前記N個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとし、前記N個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1〜θNとしたとき、
|V|=|V1|×cos(θ1)+…+|VN|×cos(θN)
により、前記仮想音源ベクトルの大きさVを算出し、
前記N個のスピーカの中から、前記仮想音源ベクトルの終点に近い順に前記M個のスピーカを選択し、
前記N個のベクトルのうちの、前記M個のスピーカに対応するM個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1’〜θM’とし、前記M個の調整係数をそれぞれG1’〜GM’としたとき、
G1’=|V|×cos(θ1’)、…、GM’=|V|×cos(θM’)
により、前記M個の調整係数G1’〜GM’を算出する
請求項5に記載の音声処理用制御装置。
【請求項7】
前記追加音声加工部は、
前記追加音声をAとしたとき、
A1’=A×G1’、…、AM’=A×GM’
により、前記M個の調整追加音声A1’〜AM’を算出し、
前記音声重畳部は、
前記音声をX1〜XNとし、前記音声X1〜XNのうちの、前記M個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1’〜XM’とし、前記(N−M)個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1”〜X(N−M)”としたとき、
XA1’=X1’+A1’、…、XAM’=XM’+AM’
により、前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を算出し、
前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を出力し、
前記(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声X1”〜X(N−M)”を出力する
請求項6に記載の音声処理用制御装置。
【請求項8】
前記N個のスピーカは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される
請求項5〜7のいずれかに記載の音声処理用制御装置。
【請求項1】
リスナーを囲うように部屋に配置されたN個(Nは5以上の整数)のスピーカと、
音声を出力する音源と、
追加音声を出力する追加音源と、
前記N個のスピーカが配置された位置をそれぞれ表すN個の位置情報と、前記N個のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すN個の係数とを入力する係数データ入力部と、
前記N個の位置情報と前記N個の係数とに基づいて、前記N個のスピーカのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する係数データ解析部と、
前記追加音声に前記M個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する追加音声加工部と、
前記音声に前記M個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声を出力し、(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声を出力する音声重畳部と
を具備する音声処理装置。
【請求項2】
前記係数データ解析部は、
前記N個の係数をそれぞれN個のベクトルの大きさV1〜VNとし、前記N個の位置情報が表す位置をそれぞれ前記N個のベクトルの向きとし、前記リスナーを前記N個のベクトルの開始点とし、前記N個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとし、前記N個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1〜θNとしたとき、
|V|=|V1|×cos(θ1)+…+|VN|×cos(θN)
により、前記仮想音源ベクトルの大きさVを算出し、
前記N個のスピーカの中から、前記仮想音源ベクトルの終点に近い順に前記M個のスピーカを選択し、
前記N個のベクトルのうちの、前記M個のスピーカに対応するM個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1’〜θM’とし、前記M個の調整係数をそれぞれG1’〜GM’としたとき、
G1’=|V|×cos(θ1’)、…、GM’=|V|×cos(θM’)
により、前記M個の調整係数G1’〜GM’を算出する
請求項1に記載の音声処理装置。
【請求項3】
前記追加音声加工部は、
前記追加音声をAとしたとき、
A1’=A×G1’、…、AM’=A×GM’
により、前記M個の調整追加音声A1’〜AM’を算出し、
前記音声重畳部は、
前記音声をX1〜XNとし、前記音声X1〜XNのうちの、前記M個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1’〜XM’とし、前記(N−M)個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1”〜X(N−M)”としたとき、
XA1’=X1’+A1’、…、XAM’=XM’+AM’
により、前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を算出し、
前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を出力し、
前記(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声X1”〜X(N−M)”を出力する
請求項2に記載の音声処理装置。
【請求項4】
前記N個のスピーカは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される
請求項1〜3のいずれかに記載の音声処理装置。
【請求項5】
リスナーを囲うように部屋に配置されたN個(Nは5以上の整数)のスピーカと、音声を出力する音源と、追加音声を出力する追加音源とに接続された音声処理用制御装置であって、
前記N個のスピーカが配置された位置をそれぞれ表すN個の位置情報と、前記N個のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すN個の係数とを入力する係数データ入力部と、
前記N個の位置情報と前記N個の係数とに基づいて、前記N個のスピーカのうちのM個(Mは2≦M<Nを満たす整数)のスピーカから前記追加音声を出力するときの音量をそれぞれ表すM個の調整係数を生成する係数データ解析部と、
前記追加音声に前記M個の調整係数を乗じてそれぞれM個の調整追加音声を生成する追加音声加工部と、
前記音声に前記M個の調整追加音声を重畳してそれぞれM個の重畳音声を生成し、前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声を出力し、(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声を出力する音声重畳部と
を具備する音声処理用制御装置。
【請求項6】
前記係数データ解析部は、
前記N個の係数をそれぞれN個のベクトルの大きさV1〜VNとし、前記N個の位置情報が表す位置をそれぞれ前記N個のベクトルの向きとし、前記リスナーを前記N個のベクトルの開始点とし、前記N個のベクトルとその向きにより決定されるベクトルを仮想音源ベクトルとし、前記N個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1〜θNとしたとき、
|V|=|V1|×cos(θ1)+…+|VN|×cos(θN)
により、前記仮想音源ベクトルの大きさVを算出し、
前記N個のスピーカの中から、前記仮想音源ベクトルの終点に近い順に前記M個のスピーカを選択し、
前記N個のベクトルのうちの、前記M個のスピーカに対応するM個のベクトルと前記仮想音源ベクトルとのなす角をそれぞれθ1’〜θM’とし、前記M個の調整係数をそれぞれG1’〜GM’としたとき、
G1’=|V|×cos(θ1’)、…、GM’=|V|×cos(θM’)
により、前記M個の調整係数G1’〜GM’を算出する
請求項5に記載の音声処理用制御装置。
【請求項7】
前記追加音声加工部は、
前記追加音声をAとしたとき、
A1’=A×G1’、…、AM’=A×GM’
により、前記M個の調整追加音声A1’〜AM’を算出し、
前記音声重畳部は、
前記音声をX1〜XNとし、前記音声X1〜XNのうちの、前記M個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1’〜XM’とし、前記(N−M)個のスピーカに対応する音声をそれぞれX1”〜X(N−M)”としたとき、
XA1’=X1’+A1’、…、XAM’=XM’+AM’
により、前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を算出し、
前記M個のスピーカからそれぞれ前記M個の重畳音声XA1’〜XAM’を出力し、
前記(N−M)個のスピーカからそれぞれ前記音声X1”〜X(N−M)”を出力する
請求項6に記載の音声処理用制御装置。
【請求項8】
前記N個のスピーカは、N.1チャンネルサラウンド方式に基づいて配置される
請求項5〜7のいずれかに記載の音声処理用制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−301200(P2008−301200A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145323(P2007−145323)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
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