説明

音波歯磨き器

【課題】 歯に付着している歯垢や黄ばみ成分等は、歯に強固に固着しているので、ブラシ部で研磨するだけでは容易に除去することができない。
【解決手段】 歯磨き器本体1の先側に設けた頭体2を振動発生体5により高速微振動させるようにした音波歯磨き器において、頭体2の先部に、クッション性のある材料25中にフラーレンからなる炭素分子26を練り込んで構成した磨き部23を設けている。そして、この音波歯磨き器を使用すると、フラーレン26の作用で口腔内に活性酸素を生成でき、その活性酸素により歯の表面を漂白できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、先部の磨き部を高速微振動させることで歯磨きを行えるようにした音波歯磨き器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音波歯ブラシ又は超音波歯ブラシと称される高速微振動式の歯磨き器が多数出回っている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の音波歯ブラシ(又は超音波歯ブラシ)は、先部に設けたブラシ部を歯に接触させながら高速微振動させることで、歯に付着している汚れを掻き落とすことができるものであり、基本的には研磨型歯ブラシに属するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−57534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した研磨型の音波歯ブラシでは、次のような欠点があった。
【0006】
まず、研磨型歯ブラシは、ブラシ部を歯にこすり付けることで歯に付着している汚れを掻き落とすものであるので、歯磨き時にブラシ部で歯や歯茎を痛めることがある。
【0007】
又、歯に付着している歯垢や黄ばみ成分等は、歯に強固に固着しているので、ブラシ部で研磨するだけでは容易に除去することができなかった。
【0008】
そこで、本願発明は、ブラシ部による研磨で汚れを除去するのではなく、歯に強固に固着している汚れ(歯垢や黄ばみ成分等)を化学変化によってきれいに除去し得るようにした音波歯磨き器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、先部の磨き部を高速微振動させることで歯磨きを行えるようにした音波歯磨き器を対象にしている。
【0010】
そして、本願発明の音波歯磨き器は、歯磨き器本体の先側に設けた頭体を振動発生体により高速微振動させるようにしたものであって、該頭体の先部に、クッション性のある材料中にフラーレンからなる炭素分子を練り込んで構成した磨き部を設けていることを特徴としている。
【0011】
頭体を高速微振動させるための振動発生体としては、振動モータや超音波素子が使用できる。
【0012】
磨き部の母材となるクッション性材料としては、例えばシリコンゴムが採用できる。そして、このクッション性材料(シリコンゴム)は、歯に接触させるのに適度の硬さに調整したものを使用する。
【0013】
フラーレンは、60個以上の炭素原子が球状あるいはチューブ状に強く結合した構造のもので、多くの特性が発見されており、近年幅広い分野で研究・開発が進められている物質である。尚、フラーレンの中で、多数の炭素原子がチューブ状に結合した構造のものをカーボンナノチューブと称している。
【0014】
そして、本件出願に係わる研究者の研究で、このフラーレンの特性の1つに、活性酸素を発生させるための触媒としての機能があることを発見し、そのフラーレンのもつ活性酸素発生機能を歯磨き器に応用して本願に至ったものである。
【0015】
上記したフラーレンによる活性酸素発生のメカニズムは、次のようなものである。即ち、微小な水泡がはじける(破裂する)ときに発生する弱い光(光エネルギー)によりフラーレンが活性化され、その活性化されたフラーレンが触媒となって活性酸素を発生させるものである。
【0016】
本願の音波歯磨き器では、その磨き部として、上記クッション性材料中にフラーレン(炭素分子)を適量練り込んたものを使用しているが、この磨き部の表面には無数のフラーレンが露出している。
【0017】
本願の音波歯磨き器では、歯磨き時に口腔内で磨き部を水分に接触させた状態で振動発生体により該磨き部を高速微振動させると、水分に対して音波が発生して磨き部の表面付近で無数の微小水泡が発生する。そして、この微小水泡は順次はじける(破裂する)が、その破裂時に弱い光が出てその光エネルギーによりフラーレンが活性化され、続いてその活性化されたフラーレンが活性酸素生成の触媒となって、口腔内に活性酸素を発生させるようになる。
【0018】
活性酸素は、近くの汚れ成分の分子から電子を奪い取って酸化・漂白させる機能を有している。従って、口腔内で活性酸素が発生すると、歯に付着している黄ばみ成分を漂白する作用がある。
【0019】
尚、歯に接触する磨き部は、クッション性材料で形成されているので、該磨き部を歯(又は歯茎)に当てて高速微振動させても、該磨き部で歯や歯茎を痛めることはない。
【発明の効果】
【0020】
このように、本願発明の音波歯磨き器では、磨き部としてクッション性材料中にフラーレン(炭素分子)を練り込んだものを使用し、該磨き部を口腔内で高速微振動させることで、上記のように口腔内の水分に対して音波を発生し→微小水泡を発生させ→微小水泡が破裂し(光エネルギーが発生)→フラーレンが活性化し(活性酸素生成の触媒となる)→口腔内で活性酸素が発生する、という各作用が発生する。
【0021】
従って、本願の音波歯磨き器を使用すれば、磨き部を口腔内で高速微振動させることで、口腔内に活性酸素を発生させることができるので、その活性酸素により歯に付着している黄ばみ成分を酸化・漂白することができ、単なる歯磨き操作のみで白い歯を現出させることができるという効果がある。
【実施例】
【0022】
図1〜図3を参照して本願実施例の音波歯磨き器を説明すると、図1〜図2には第1実施例が示され、図3には第2実施例が示されている。
【0023】
図1〜図2に示す第1実施例の音波歯磨き器は、歯磨き器本体1と、該歯磨き器本体1の先側に着脱自在に取付けられる頭体2とで構成されている。
【0024】
歯磨き器本体1は、柄部となるケース体11内に電池3と制御基盤4と振動発生体5とを収容している一方、ケース体11の先端部に棒状の突出部12を固定状態で取付けている。
【0025】
電池3は、充電可能なものが好ましいが、使い捨ての乾電池でもよい。又、他の実施例では、電池3に替えて商業電源(AC100V)を使用してもよい。
【0026】
振動発生体5は、この実施例では振動モータが使用されている。尚、他の実施例では、振動発生体5として振動モータに替えて超音波発生器と超音波素子を用いてもよい。
【0027】
頭体2は、ケース体11の突出部12に外嵌合される筒状部21の先端部に頭部台22を形成し、該頭部台22の片面に磨き部23を設けて構成されている。この頭体2は、ケース体突出部12に対して着脱自在に装着できるもので、図1に鎖線図示(符号2′)するように突出部12から取り外せば、該突出部12に別の頭体(例えばブラシ付き頭体やスクレイパー頭体)を付け替えることができる。
【0028】
磨き部23は、図2に拡大図示するように、クッション性材料25中にフラーレンからなる炭素分子26を所定量練り込んで構成したものである。
【0029】
この実施例では、クッション性材料25としてシリコンゴムを採用している。そして、このクッション性材料(シリコンゴム)25は、歯に接触させるのに適度の硬さに調整したものを使用する。
【0030】
フラーレン(炭素分子)26は、60個以上の炭素原子が球状あるいはチューブ状に強く結合した構造のものである。尚、フラーレンの中で、多数の炭素原子がチューブ状に結合した構造のものをカーボンナノチューブと称している。
【0031】
そして、この第1実施例では、磨き部23として、クッション性材料25中に所定量のフラーレン26を均一に練り込んだものを使用している。この磨き部23には、小間隔をもって細径の突起24,24・・が多数形成されている。尚、フラーレン26は、各図においてドットで表している。
【0032】
このように、クッション性材料25中にフラーレン26を練り込んだ磨き部23では、磨き部23の表面(各突起24,24・・の表面)に無数のフラーレン26が露出するようになる。
【0033】
ところで、磨き部23は、予めクッション性材料25中にフラーレン26を均一に練り込んだものを使用すると製作(成形)が容易であるが、このフラーレン26は非常に高価な物質である。又、このフラーレン26は、磨き部23の表面に露出しているものだけしか機能しないので、磨き部23の内方までフラーレン26を混入させると材料費が非常に高価になる。
【0034】
そこで、該磨き部23は、図3の第2実施例のように形成できる。即ち、図3の磨き部23では、その内方側の大部分の体積部分をクッション性材料(シリコンゴム)25Aのみで成形している一方、そのクッション性材料25Aのみの部分の表面に、クッション性材料25とフラーレン26とを混合したものを所定小厚さだけ被覆している。この図3の磨き部23の場合は、機能を低下させることなく高価なフラーレン26を極力少なくできる。
【0035】
フラーレン26は、その特性の1つに、上記のように活性酸素を生成させる触媒としての機能がある。即ち、フラーレン26による活性酸素生成のメカニズムは、微小な水泡がはじける(破裂する)ときに発生する弱い光(光エネルギー)によりフラーレン26が活性化され、その活性化されたフラーレン26が触媒となって活性酸素を生成させるものである。
【0036】
この実施例の音波歯磨き器は、次のような機能がある。尚、この音波歯磨き器を使用する際には、口腔内に水分が必要であり、予め磨き部23にジェル(練り歯磨き)や水を付着させておくとよい。
【0037】
そして、磨き部23の突起面を歯9に当てた状態で振動モータ5を作動させると、磨き部23が高速微振動し、その高速微振動による音波で水分を高速振動させることにより磨き部23と歯9との間で無数の微小水泡Bを発生させるようになる。この微小水泡Bは順次はじける(破裂する)が、微小水泡Bが破裂したときに該微小水泡Bから弱い光が出てその光エネルギーにより、磨き部23の表面に露出しているフラーレン26が活性化される。すると、その活性化されたフラーレン26が活性酸素生成の触媒となって、口腔内に活性酸素を発生させるようになる。
【0038】
この活性酸素は、近くの汚れ成分の分子から電子を奪い取って酸化・漂白させる機能を有しており、口腔内で活性酸素が発生すると、歯9に付着している黄ばみ成分を漂白する作用が生じる。
【0039】
従って、この音波歯磨き器を使用すると、通常の歯磨き操作のみ(磨き部23を歯9に当てて振動モータ5を作動させるだけ)で、きれいな(白い)歯を現出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本願第1実施例の音波歯磨き器の一部を断面とした側面図である。
【図2】図1の音波歯磨き器の一部(磨き部)拡大断面図である。
【図3】本願第2実施例の音波歯磨き器の一部(磨き部)拡大断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1は歯磨き器本体、2は頭体、5は振動発生体(振動モータ)、23は磨き部、25はクッション性材料(シリコンゴム)、26はフラーレン(炭素分子)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯磨き器本体(1)の先側に設けた頭体(2)を振動発生体(5)により高速微振動させるようにした音波歯磨き器であって、
前記頭体(2)の先部に、クッション性のある材料(25)中にフラーレンからなる炭素分子(26)を練り込んで構成した磨き部(23)を設けている、
ことを特徴とする音波歯磨き器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−93149(P2008−93149A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277596(P2006−277596)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(593183595)株式会社ジャパンギャルズ (6)
【Fターム(参考)】