説明

音量調整システムおよび音量調整方法

【課題】ユーザの周囲の騒音やテレビジョン受信機とリモコン間の距離に合わせて音量を自動調節することが可能な音量調整システム及び音量調整方法を提供する。
【解決手段】リモコンとテレビジョン受信機からなる音量調節システムであって、リモコンは、ユーザIDを検知する指紋センサと、リモコン周囲音を検知する第2周囲音センサと、リモコンとテレビジョン受信機間の距離を検知する赤外線センサと、リモコン周囲音、距離及びユーザIDをユーザ視聴情報として送信する送信部と、を備え、テレビジョン受信機は、ユーザ視聴情報を受信する受信部と、テレビジョン受信機周囲音を検知する第1周囲音センサと、ユーザ視聴情報及びテレビジョン受信機周囲音に応じて、出力すべき音量を計算する第1制御部と、計算された出力すべき音量応じて音量を調整する音量制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量調整システムおよび音量調整方法に関し、更に詳しくは、ユーザの周囲の騒音やテレビジョン受信機とリモコン間の距離に合わせて音量を自動調節することが可能な音量調整システム及び音量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン受信機の機能は多方面にわたって進化している。その機能は、過去はユーザが任意に自分の好みに合わせて調節するものが多かったが、近年においてはユーザの好みをあらかじめ予測して、自動的に調節してくれるものが多い。例えば、テレビジョン受信機本体に付けられた照度センサからの測定値を基に、画面の明るさを自動的に調節する機能や、過去の視聴番組履歴からユーザの好みを自動的に計算し、おすすめ番組を提供する機能等がその一例として挙げられる。また、テレビジョン受信機本体に周囲音センサを設けることで、起動時の初期音量を周囲音の大きさに応じて設定する機能を実現した装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−007370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の特許文献1記載の装置では、周囲音のみを音量調整の判断材料としている。ユーザは各々の聴感があるため、同じ周囲音であっても、設定する音量が異なる。そのため、上記従来の特許文献1記載の装置では、周囲音のみで音量を自動調整しても、ユーザがユーザ自身の聴感に合わせて再度音量を調整することが起きやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる音量調整システムは、リモコンとテレビジョン受信機からなる音量調節システムであって、リモコンは、ユーザIDを検知する指紋センサと、リモコンの周囲音を検知する第2の周囲音センサと、リモコンとテレビジョン受信機間の距離を検知する赤外線センサと、第2の周囲音センサが検知した周囲音、赤外線センサが検知した距離及び指紋センサが検知したユーザIDをユーザ視聴情報として送信する送信部と、を備え、テレビジョン受信機は、ユーザ視聴情報を受信する受信部と、テレビジョン受信機の周囲音を検知する第1の周囲音センサと、受信部が受信したユーザ視聴情報及び第1の周囲センサが検知した周囲音に応じて、出力すべき音量を計算する第1の制御部と、第1の制御部が計算した出力すべき音量応じて、音量を調整する音量制御部と、を具備することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項2にかかる音量調整システムは、本発明の請求項1にかかる音量調整システムの構成において、リモコンは、チャンネル変更や入力機器選択のリモコン操作が行なわれた場合に、ユーザ視聴情報を送信部に送信させる第2の制御部と、を更に備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項3にかかる音量調整システムは、本発明の請求項1にかかる音量調整システムの構成において、テレビジョン受信機は、過去のユーザ視聴情報と出力音量とを対応付けたユーザ音量調整情報を記憶する記憶部と、を更に備え、第1の制御部は、受信部が受信したユーザ視聴情報に含まれるリモコンの周囲音が、記憶部が記憶した過去のユーザ視聴情報に含まれるリモコンの周囲音の所定範囲内に含まれ、かつ、第1の周囲音センサが検知した周囲音が、記憶部が記憶した過去のユーザ視聴情報に含まれるテレビジョン受信機の周囲音の所定範囲内に含まれると判断した場合は、記憶部が記憶したユーザ音量調整情報に含まれる出力音量を出力すべき音量として音量制御部に出力する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4にかかる音量調整方法は、リモコンとテレビジョン受信機からなる音量調節システムにおける音量調整方法であって、リモコンは、リモコンの周囲音を検知するステップと、リモコンとテレビジョン受信機間の距離を検知するステップと、指紋センサによってユーザIDを認識するステップと、検知したリモコンの周囲音、検知した距離及び認識されたユーザIDをユーザ視聴情報として送信するステップと、を有し、テレビジョン受信機は、ユーザ視聴情報を受信するステップと、テレビジョン受信機の周囲音を検知するステップと、受信したユーザ視聴情報及び検知したテレビジョン受信機の周囲音に応じて、出力すべき音量を計算するステップと、計算した出力すべき音量に応じて、音量を調整するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの周囲の騒音、テレビジョン受信機とリモコン間の距離及びユーザ自身の聴感に合わせて音量を自動調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における音量調整システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるユーザ視聴情報送信処理を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1におけるユーザ視聴情報取得処理及び音量調節処理を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1におけるメモリ403に記憶されたユーザ音量調整情報の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る音量調節システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態における音量調節システム100は、テレビジョン受信機400と、リモコン200から構成されており、テレビジョン受信機400の第1の周囲音センサ401が検知した周囲音、リモコン200の第2の周囲音センサ201が検知した周囲音、リモコン200の赤外線センサ204が検知したテレビジョン受信機400とリモコン200間距離及びリモコン200の指紋センサ205が検知したユーザIDからなるユーザ視聴情報300に応じて、テレビジョン受信機400が出力する音量の自動調節を行う。
【0013】
テレビジョン受信機400は、テレビジョン受信機400が設置された場所において所定範囲内の周囲音を検知する第1の周囲音センサ401と、リモコン200からの情報としてユーザ視聴情報300を受信する受信部402と、過去のユーザ視聴情報と調整音量値をユーザ音量調整情報として保持するメモリ(記憶部)403と、第1の周囲音センサ401が検知した現在の第1の周囲音の値及び受信部402が受信したユーザ視聴情報300に応じて適切な音量を計算する第1の制御部404と、第1の制御部404が計算した音量に応じて出力する音量を調節する音量制御部405から構成される。
【0014】
リモコン200は、リモコン200が位置する場所において所定範囲の周囲音を検知する第2の周囲音センサ201と、テレビジョン受信機400とリモコン200間距離を検知する赤外線センサ204と、ユーザIDを検知する指紋センサ205と、第2の周囲音センサ201、赤外線センサ204及び指紋センサ205が検知した値をユーザ視聴情報300としてテレビジョン受信機400の受信部402へ送信する送信部202と、ユーザのリモコン操作を監視する第2の制御部203から構成される。ここで、第2の周囲音センサ201、赤外線センサ204及び指紋センサ205は、第2の制御部203において、リモコン操作としてチャンネル変更や入力機器変更等の画面を切り替える操作がなされたと判断される度にあるいはリモコン操作が行われたと判断される度に、情報を取得し、第2の制御部203は、取得した情報をユーザ視聴情報300としてリモコン操作情報とともに送信部202へ出力する。
【0015】
ここで、本実施の形態にかかる音量調節システムの音量調節処理について、図2、図3、図4を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1にかかる音量調節システムの周囲音情報送信処理を示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1にかかる音量調節システムの周囲音情報取得処理及び音量調節処理を示すフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態1にかかるメモリ403に記憶されたユーザ音量調整情報の例を示す図である。
【0016】
まず、図2を用いてリモコン200における周囲音情報送信処理について説明する。リモコン200では、常にユーザのリモコン操作を待っている状態とし、ユーザがリモコン操作を行うたびに、ユーザ視聴情報送信処理を実行する。リモコン200の第2の制御部203において、リモコン操作がチャンネル変更や入力機器切り替え等の画面を変更する操作であると判断した場合(ステップS201で「Yes」)、第2の制御部203は第2の周囲音センサ201に周囲音の値を取得させる(ステップS202)。次に赤外線センサ204にテレビジョン受信機400とリモコン200の間距離を取得させる(ステップS203)。さらに指紋センサ205にユーザIDを取得させる(ステップS204)。そして、送信部202は、第2の周囲音センサ201が取得した周囲音及び赤外線センサ204が取得したテレビジョン受信機400とリモコン200間距離及び指紋センサ205が取得したユーザIDの値を送信信号に変換し(ステップS205)、変換後にユーザ視聴情報300としてテレビジョン受信機400の受信部402へ送信する(ステップS206)。一方、第2の制御部203において、リモコン操作がチャンネル変更や入力機器切り替え等の画面を変更する操作でないと判断した場合は(ステップS201で「No」)、第2の制御部203はリモコン操作情報のみを送信部202を介してテレビジョン受信機400の受信部402に送信させる。
【0017】
次に、図3を用いてテレビジョン受信機400における周囲音情報取得処理及び音量調節処理について説明する。テレビジョン受信機400では、受信部402がリモコン200からリモコン信号を受信した場合(ステップS301で「Yes」)、第1の制御部404は、受信したリモコン信号にユーザ視聴情報300が含まれているかどうかの判定を行う(ステップS302)。ユーザ視聴情報300が含まれていないと判定した場合は(ステップS302で「No」)、受信したリモコン操作情報に基づいて通常のリモコン処理を実行する(ステップS309)。ユーザ視聴情報300が含まれていると判定した場合(ステップS302で「Yes」)、第1の周囲音センサ401に対してテレビジョン受信機400の周囲音を取得させる(ステップS303)。
【0018】
上記処理後、第1の制御部404は、メモリ403からユーザ音量調整情報に含まれる過去のユーザ視聴情報を検索する(ステップS304)。過去のユーザ視聴情報と少なくとも、リモコンの周囲音、テレビジョン受信機の周囲音が所定の誤差範囲内(例えば、プラスマイナス1dB)で一致する場合(ステップS305で「Yes」)、それに応じた音量に設定する(ステップS308)。過去のユーザ視聴情報は図4のように整理されてメモリ403に記憶されている。過去のユーザ視聴情報と所定の誤差範囲内で一致しない場合は(ステップS305で「No」)、音量を変更せずに(ステップS306)、その時のユーザIDと音量等をメモリ403に記録する(ステップS307)。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、テレビジョン受信機をはじめ、リモコンで操作可能な全てのAV機器において有用である。
【符号の説明】
【0020】
100 音量調節システム
200 リモコン
201 第2の周囲音センサ
202 送信部
203 第2の制御部
204 赤外線センサ
205 指紋センサ
300 ユーザ視聴情報
400 テレビジョン受信機
401 第1の周囲音センサ
402 受信部
403 メモリ
404 第1の制御部
405 音量制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコンとテレビジョン受信機からなる音量調節システムであって、
前記リモコンは、
ユーザIDを検知する指紋センサと、
前記リモコンの周囲音を検知する第2の周囲音センサと、
前記リモコンと前記テレビジョン受信機間の距離を検知する赤外線センサと、
前記第2の周囲音センサが検知した周囲音、前記赤外線センサが検知した距離及び前記指紋センサが検知したユーザIDをユーザ視聴情報として送信する送信部と、を備え、
前記テレビジョン受信機は、
前記ユーザ視聴情報を受信する受信部と、
前記テレビジョン受信機の周囲音を検知する第1の周囲音センサと、
前記受信部が受信した前記ユーザ視聴情報及び前記第1の周囲センサが検知した周囲音に応じて、出力すべき音量を計算する第1の制御部と、
前記第1の制御部が計算した前記出力すべき音量応じて、音量を調整する音量制御部と、を具備することを特徴とする音量調整システム。
【請求項2】
前記リモコンは、チャンネル変更や入力機器選択のリモコン操作が行なわれた場合に、前記ユーザ視聴情報を前記送信部に送信させる第2の制御部と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の音量調整システム。
【請求項3】
前記テレビジョン受信機は、過去のユーザ視聴情報と出力音量とを対応付けたユーザ音量調整情報を記憶する記憶部と、を更に備え、
前記第1の制御部は、前記受信部が受信した前記ユーザ視聴情報に含まれるリモコンの周囲音が、前記記憶部が記憶した前記過去のユーザ視聴情報に含まれるリモコンの周囲音の所定範囲内に含まれ、かつ、前記第1の周囲音センサが検知した周囲音が、前記記憶部が記憶した前記過去のユーザ視聴情報に含まれるテレビジョン受信機の周囲音の所定範囲内に含まれると判断した場合は、前記記憶部が記憶した前記ユーザ音量調整情報に含まれる出力音量を前記出力すべき音量として前記音量制御部に出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の音量調整システム。
【請求項4】
リモコンとテレビジョン受信機からなる音量調節システムにおける音量調整方法であって、
前記リモコンは、
前記リモコンの周囲音を検知するステップと、
前記リモコンと前記テレビジョン受信機間の距離を検知するステップと、
指紋センサによってユーザIDを認識するステップと、
検知した前記リモコンの周囲音、検知した前記距離及び認識されたユーザIDをユーザ視聴情報として送信するステップと、を有し、
前記テレビジョン受信機は、
前記ユーザ視聴情報を受信するステップと、
前記テレビジョン受信機の周囲音を検知するステップと、
受信した前記ユーザ視聴情報及び検知した前記テレビジョン受信機の周囲音に応じて、出力すべき音量を計算するステップと、
計算した前記出力すべき音量に応じて、音量を調整するステップと、を有することを特徴とする音量調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−5208(P2013−5208A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133977(P2011−133977)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】