説明

領収データ管理システム、印刷装置、領収データ管理装置、領収データ管理方法および領収データ管理プログラム

【課題】領収書の領収データを容易に管理することができる領収データ管理システム、印刷装置、領収データ管理装置、領収データ管理方法および領収データ管理プログラムを提供すること。
【解決手段】領収書に記録すべき領収データRDに対応するバーコードBCを生成し、領収データRDおよびバーコードBCをレシート用紙に印刷するレジスター装置と、印刷されたレシートRを読み取って、読取画像データを生成する読取装置と、読取画像データに含まれるバーコードに基づいて領収データを復元し、復元した領収データを登録して会計処理に用いる会計管理装置と、を備える。領収データおよびバーコードが同じレシートRに印刷されるので、登録するつもりのないレシートRの領収データRDを登録してしまうことが少なくなり、ユーザーにとっては領収データの管理がし易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
領収書の領収データを管理する領収データ管理システム、印刷装置、領収データ管理装置、領収データ管理方法および領収データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の購入時に、購入した商品の品目、価格、合計金額など、領収書に記録すべき領収データを磁気カードに記録して、商品を購入したユーザーは自宅などに設置されたコンピュータのカードリーダに磁気カードを読み取らせ、読み取った領収データを会計処理ソフトウェアなどにより管理することによって、領収書のデータを手入力することなく、領収データを管理することができる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−84293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常、商品の購入時には領収書が発行されるので、特許文献1に記載のように磁気カードに領収データを記録させた場合、領収データを記録した複数の媒体が、別々に存在することになる。このため、領収データの管理がかえって複雑になってしまうという課題がある。
【0005】
例えば、磁気カードに領収データを記録する装置が設置されていない店舗を含む複数の店舗で買い物をした場合、磁気カードには全ての領収データが記録されないので、一部の領収データはユーザーが会計処理ソフトウェアに手入力する必要が生じる。このとき、磁気カードに記録された領収データは直接目視して確認することができないため、ユーザーは、磁気カードに記録されたデータを会計処理ソフトウェア上で確認しながら、磁気カードに記録されていない領収書を各店舗で受け取った領収書から探し出してキーボードなどから手入力する、という煩雑な手間を要することになっていた。また、磁気カードに記録された領収データとレシートとの対応を誤って、1つの領収データを2重に登録してしまう可能性もある。
【0006】
さらに、領収データを磁気カードに記録する装置、および磁気カードを読み取る装置をシステムに導入する必要があるので、システムの構成が複雑になってしまうという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]領収書に記録すべき領収データに対応するバーコードを生成し、前記領収データおよび前記バーコードを領収書印刷用の用紙に印刷する印刷装置と、セットされた前記用紙を読み取って、読取画像データを生成する読取装置と、前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて前記領収データを復元し、前記復元した領収データを管理する領収データ管理装置と、を備えることを特徴とする領収データ管理システム。
【0009】
この構成によれば、領収書に記録すべき領収データおよび領収データに対応するバーコードが領収書印刷用の用紙に印刷される。そして、印刷された用紙は読取装置に読み取られて、領収データ管理装置によって読取画像データから領収データが復元されることにより、領収データの管理が行われる。領収データおよびバーコードが同じ用紙に印刷されるようになっているので、システムのユーザーは、印刷装置により印刷された用紙を読取装置にセットして行う領収データの管理を容易に行うことができるようになる。
【0010】
また、領収データを磁気カードに記録する装置および磁気カードの領収データを読み取る装置が含まれていないため、特許文献1に記載のシステムに比べて、簡易なシステム構成で領収データを管理することができる。
【0011】
[適用例2]上記領収データ管理システムにおいて、前記領収データは、購入された商品ごとのデータを含み、前記印刷装置は、前記領収データに含まれる商品ごとに、会計処理の対象に入れるか否かの指示を記入するための記入欄を、前記領収データおよび前記バーコードとともに印刷し、前記領収データ管理装置は、前記読取画像データに含まれる記入欄の指示に基づいて、前記領収データのうち、会計処理の対象とされた商品を対象として会計処理を行うことを特徴とする領収データ管理システム。
【0012】
この構成によれば、領収書に印刷された記入欄に記入された指示に従って、会計処理の対象とされた商品について会計処理が行われるようになるので、ユーザーは、領収書の記入欄に指示を記入することによって会計処理の対象とする商品を任意に選択することが可能であり、領収データを管理する上での利便性が向上する。
【0013】
[適用例3]領収書に記録すべき領収データを生成する領収データ生成手段と、前記領収データに対応するバーコードを生成するバーコード生成手段と、前記領収データおよび前記バーコードを領収書印刷用の用紙に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【0014】
この構成によれば、領収データおよびバーコードが同じ用紙に印刷されるので、領収データの管理を容易に行うことが可能である。
【0015】
[適用例4]領収書に記録すべき領収データ、および前記領収データに対応するバーコードが印刷された用紙の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて、前記領収データを復元する領収データ復元手段と、前記復元された領収データを管理する領収データ管理手段と、を備えることを特徴とする領収データ管理装置。
【0016】
この構成によれば、領収データおよびバーコードが印刷された用紙の読取画像データにより領収データが管理されるので、ユーザーは領収データの管理を容易に行うことができる。
【0017】
[適用例5]上記領収データ管理装置において、記憶部をさらに備え、前記領収データ管理手段は、前記復元された領収データを前記記憶部に登録することにより、前記領収データを管理することを特徴とする領収データ管理装置。
【0018】
この構成によれば、復元された領収データが記憶部に記憶されるので、領収データの管理をより確実に行うことができる。
【0019】
[適用例6]上記領収データ管理装置において、前記領収データ管理手段は、前記復元された領収データに対応付けて、前記読取画像データを前記記憶部に登録することを特徴とする領収データ管理装置。
【0020】
この構成によれば、復元された領収データとともに記憶された領収書の読取画像データにより、管理される領収データの証拠性を高めることができる。
【0021】
[適用例7]上記領収データ管理装置において、保証された時刻情報を取得する時刻情報取得手段、をさらに備え、前記領収データ管理手段は、前記復元された領収データに対応付けて、前記時刻情報を前記記憶部に登録することを特徴とする領収データ管理装置。
【0022】
この構成によれば、領収データとともに記憶される保証された時刻情報により、管理される領収データの証拠性を高めることができる。
【0023】
[適用例8]上記領収データ管理装置において、前記領収データ管理手段は、管理対象とするデータを暗号化し、暗号化したデータ形式で前記記憶部に登録することを特徴とする領収データ管理装置。
【0024】
この構成によれば、記憶部に記憶されるデータが暗号化されるので、記憶されたデータの漏洩などに関するセキュリティレベルを高めることができる。
【0025】
[適用例9]上記領収データ管理装置において、前記記憶部に登録された領収データに基づいて、会計処理を行う会計手段を、さらに備えることを特徴とする領収データ管理装置。
【0026】
この構成によれば、領収データおよびバーコードが印刷された用紙に基づく会計処理が行われるので、領収データの収支などの会計管理を容易に行うことが可能になる。
【0027】
[適用例10]領収書に記録すべき領収データに対応するバーコードを生成し、前記領収データおよび前記バーコードを領収書印刷用の用紙に印刷するステップと、前記印刷された用紙を読み取って、読取画像データを生成するステップと、前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて前記領収データを復元し、前記復元した領収データを管理するステップと、を備えることを特徴とする領収データ管理方法。
【0028】
このようにすれば、領収データおよびバーコードが同じ用紙に印刷されるので、ユーザーは領収データの管理を容易に行うことができる。
【0029】
[適用例11]領収データを管理するための領収データ管理プログラムであって、コンピュータを、領収書に記録すべき領収データ、および前記領収データに対応するバーコードが印刷された用紙の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて、前記領収データを復元する領収データ復元手段と、前記復元された領収データを管理する領収データ管理手段、として機能させることを特徴とする領収データ管理プログラム。
【0030】
この構成によれば、領収データおよびバーコードが同じ用紙に印刷されるので、ユーザーは領収データの管理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る一実施例について図面を参照して説明する。図1に、本実施例に係る会計管理システム(領収データ管理システム)の構成を示す。図1に示すように、会計管理システム1は、商品を販売する店舗などに設置されたレジスター装置(印刷装置)2と、ユーザーの自宅などに設置された、スキャナ3aやデジタルカメラ3bなどの読取装置3および会計管理装置(領収データ管理装置)4と、を備えている。また、会計管理装置4は、保証された時刻を示すタイムスタンプデータを管理するタイムスタンプサーバ5とネットワークを通じて通信可能になっている。以下、会計管理システム1の各構成について説明する。
【0032】
まず、レジスター装置2の構成について説明する。図2に示すように、レジスター装置2は、商品に貼付された商品ラベルのバーコードを読み取るバーコードリーダ20と、領収書印刷用のレシート用紙がセットされたプリント機構21と、これらの構成の動作を制御するコントローラ22と、を備えている。
【0033】
コントローラ22は、CPU23と、ROM24と、RAM25と、ネットワークI/F26と、バーコードリーダI/F27と、プリントI/F28と、を有している。ネットワークI/F26はネットワークとのインターフェイス部分であり、商品データベース(図示なし)がネットワーク接続されている。コントローラ22は、ネットワークI/F26を介することにより商品データベースに商品情報などを問い合わせることが可能に構成されている。バーコードリーダI/F27は、バーコードリーダ20とのインターフェイス部分である。プリントI/F28はプリント機構21とのインターフェイス部分であり、コントローラ22は、プリントI/F28を介することによりプリント機構21を制御可能に構成されている。
【0034】
また、ROM24には、レジスター装置の動作を制御するための制御プログラムが予め記録されている。CPU23は、ROM24から制御プログラムを読み出して実行することにより、領収データ生成部(領収データ生成手段)100と、バーコード生成部(バーコード生成手段)110と、レシート印刷データ生成部(印刷手段)120、として機能する。次に、これらの機能構成について説明する。
【0035】
領収データ生成部100は、バーコードリーダ20によって読み取られたバーコードに対応する商品データをネットワークI/F26を介して商品データベースから取得して、商品データからレシートに記録すべき領収データを生成する処理を行う。なお、商品データには、購入された商品名や、商品の単価などの情報が含まれる。領収データ生成部100が生成する領収データには、購入された商品名や、購入された商品ごとの個数や、商品ごとの単価や、合計売買金額や、購入店舗の名称などの情報が含まれる。
【0036】
バーコード生成部110は、領収データ生成部100により生成された領収データをコード化することにより、2次元バーコードを生成する。
【0037】
レシート印刷データ生成部120は、領収データおよび2次元バーコードを表すレシート印刷データを生成し、レシート印刷データをプリント機構21に出力することにより、レシート用紙に領収データおよび2次元バーコードを印刷させる。これにより、図3に例として示すように、商品を購入した店舗名、商品名、購入個数、単価、合計金額などの領収データRD、および領収データRDに対応するバーコードBCが1枚のレシート用紙に印刷された、レシート(領収書)Rが発行される。
【0038】
また、レシートRには、後述する会計処理の対象とする商品を選択するための記入欄ESが印刷され、記入欄ESには、領収データRDに含まれる各商品の商品名に対する所定の位置にチェックボックスが配置されている。商品を購入したユーザーは、会計処理の対象として所望する商品については、その商品名のチェックボックスに所定の印を記入することにより、会計処理の対象とする商品を任意に選択できるようになっている。
【0039】
次に、会計管理装置4の構成について説明する。会計管理装置4は、具体的には汎用のパーソナルコンピュータなどであり、図4に示すように、CPU40と、ROM41と、RAM42と、ハードディスク(以下、「HD」という)43と、入力I/F44と、ディスプレイI/F45と、ネットワークI/F46と、を備えている。
【0040】
入力I/F44は、外部の入力機器とのインターフェイス部分であり、読取装置3やマウスやキーボードなどの入力装置6が接続されている。ディスプレイI/F45は、外部の表示機器とのインターフェイス部分であり、ディスプレイ装置7などの表示機器が接続されている。ネットワークI/F46はネットワークとのインターフェイス部分であり、会計管理装置4は、このネットワークI/F46を介してタイムスタンプサーバ5と通信可能になっている。
【0041】
HD43には、会計処理プログラムAPが予め記憶されるとともに、領収データRDを管理するためのデータベース(記憶部)DBが構築されている。なお、この会計処理プログラムAPは、記録媒体に記録された形態で会計管理装置4に供給され、HD43に記録されたものである。記録媒体の例としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROMなどの光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード、携帯型ハードディスクなど、コンピュータ読み取り可能な種々の記録媒体が挙げられる。もっとも、会計管理装置4が、電気通信回線を介してサーバから会計処理プログラムAPをダウンロードすることにより、HD43にプログラムを記録する構成としてもよい。
【0042】
CPU40がHD43から会計処理プログラムAPを読み出して実行することにより、読取画像データ取得部(読取画像データ取得手段)200、領収データ復元部(領収データ復元手段)210、タイムスタンプデータ取得部(時刻情報取得手段)220、領収データ管理部(領収データ管理手段)230、および会計処理部(会計手段)240を有する会計処理アプリケーションが機能する。次に、これらの機能構成について説明する。
【0043】
読取画像データ取得部200は、読取装置3からレシートRの読取画像データを受け取るようにして、読取画像データを取得する。具体的には、商品を購入したユーザーがスキャナ3aの原稿台にセットしたレシートRを読み取るよう、スキャナ3aに読み取り指示を出して、レシートの読取画像データをスキャナ3aから受け取る処理や、デジタルカメラ3bからレシートRの読取画像データを受け取る処理を行う。
【0044】
タイムスタンプデータ取得部220は、ネットワークI/F46を介してタイムスタンプサーバ5からタイムスタンプデータを取得する。
【0045】
領収データ復元部210は、レシートRの読取画像データから2次元バーコード部分の画像を抽出して、抽出したバーコードBCを復号することにより、領収データRDを復元する。
【0046】
領収データ管理部230は、領収データ復元部210により復元された領収データRDを、データベースDBに登録することにより、領収データRDを管理する処理を行う。具体的には、領収データ管理部230は、レシートRの記入欄ESに記入される印の有無により会計処理の対象とするか否かを判断して、会計処理の対象とする商品を示す会計計上フラグを生成する処理、タイムスタンプデータ、レシートの読取画像データ、領収データRD、会計計上フラグに対して共通鍵による暗号化処理などを行う。そして、図5に示すように、暗号化されたタイムスタンプデータTS、レシートの読取画像データSD、領収データRD、会計計上フラグF、および暗号化に使用した暗号化鍵CKを含む領収ファイルRFを生成して、データベースDBに登録する処理を行う。
【0047】
会計処理部240は、データベースDBに登録された領収ファイルRFを用いて、収支計算などの会計処理を行う。また、会計処理部240は、マウスやキーボードによるユーザーからの入力操作に従って、会計処理の結果をディスプレイ装置7に表示させる機能や、会計処理により作成された帳簿をプリンタ(図示なし)に出力させる機能や、データベースDBに登録された領収ファイルRFの内容、特に、タイムスタンプデータTSやレシートの読取画像データSDをディスプレイ装置7に表示させる機能を備えている。
【0048】
以上に説明したように、会計管理システム1では、ユーザーが、商品の購入時に受け取るレシートRを、読取装置3に読み取らせることにより、レシートRに記録された領収データRDが会計管理装置4のデータベースDBに登録されて、購入した商品についての会計処理が行われるようになっている。次に、会計管理システム1において領収データRDを管理する処理の流れについて、フローチャートに従って詳細に説明する。
【0049】
まず、図6のフローチャートに従って、商品の購入時に、レジスター装置2が行う処理について説明する。図6の処理を開始すると、レジスター装置2のCPU23は、バーコードリーダ20により読み取った商品ラベルのバーコードBCを復号して商品コードを取得し(ステップS100)、ネットワークI/F26を介して商品データベースに商品コードに対応する商品データを問い合わせることにより、該当する商品の商品データを取得する(ステップS110)。
【0050】
次に、CPU23は、商品入力を終了するか否かを判断する(ステップS120)、商品入力が終了していない場合(ステップS120:No)、ステップS100に戻って、バーコードリーダ20によって読み取られる次の商品について処理を行う。
【0051】
タッチパネルなどから精算する旨の指示が入力されると、購入する全商品についてバーコードBCの読み取りを終え、商品入力が終了したと判断して(ステップS120:Yes)、CPU23は、取得した商品データから領収データRDを生成し(ステップS130)、領収データRDに対応するバーコードBCを生成する(ステップS140)。
【0052】
次に、CPU23は、領収データRDおよびバーコードBCを表すレシート印刷データを生成し、プリントI/F28を介してレシート印刷データをプリント機構21に出力することにより、プリント機構21にレシートRを印刷させる(ステップS150)。このとき、レシート印刷データには記入欄ESのデータも含まれ、レシートRには、領収データRDの商品名に対応する位置に記入欄ESが印刷される(図3参照)。レシートRが印刷されると、図6の処理を終了する。
【0053】
なお、ステップS100〜S130はCPU23が領収データ生成部100として行う処理、ステップS140はCPU23がバーコード生成部110として行う処理、ステップS150はCPU23がレシート印刷データ生成部120として行う処理、に対応する。
【0054】
レジスター装置2によって印刷されたレシートRは、読取装置3および会計管理装置4がある自宅に持ち帰られる。ユーザーが、持ち帰ったレシートRをスキャナ3aの原稿台にセットするか、またはデジタルカメラ3bによって撮影可能な位置にレシートRをセットした状態で、会計処理アプリケーションに対して、領収データRDの登録を指示する旨の操作入力を行うと、図7のフローチャートに示した処理が開始される。
【0055】
図7の処理を開始すると、会計管理装置4のCPU40は、セットされたレシートRを読取装置3に読み取らせ(ステップS200)、読み取ったレシートの読取画像データSDを入力I/F44を介して読取装置3から取得する(ステップS210)。
【0056】
次に、CPU40は、ネットワークI/F46を介してタイムスタンプサーバ5と通信して、タイムスタンプデータTSを取得する(ステップS220)。
【0057】
次に、CPU40は、読取画像データSDに含まれるバーコードBCの画像から領収データRDを復元する(ステップS230)。また、このとき、読取画像データSDに含まれる記入欄ESに記入された印の有無に応じて、領収データRDの商品ごとに、会計の対象とするか否かを示す会計計上フラグFを設定する。
【0058】
次に、CPU40は、読取画像データSDに対して圧縮処理を行って、データ量を低減させる(ステップS240)。
【0059】
次に、CPU40は、タイムスタンプデータTS、圧縮された読取画像データSD、領収データRD、会計計上フラグFを暗号化し、暗号化された各データおよび暗号化鍵CKを含む所定のデータ形式の領収ファイルRFを生成し、領収ファイルRFをデータベースDBに登録する(ステップS250)。領収ファイルRFを登録すると、領収データRDがデータベースDBにより管理されるようになって、図7の処理を終了する。
【0060】
なお、ステップS200およびS210はCPU40が読取画像データ取得部200として行う処理、ステップS230はCPU40が領収データ復元部210として行う処理、ステップS220はCPU40がタイムスタンプデータ取得部220として行う処理、ステップS240およびS250はCPU40が領収データ管理部230として行う処理、に対応する。
【0061】
次に、会計処理の流れについて、図8のフローチャートに従って説明する。会計処理アプリケーションに対して、例えば、領収ファイルRFの内容を確認する旨の指示や、データベースDBに登録された領収データRDに対して会計計算を行う旨を指示する操作が入力されると、図8の処理が開始される。
【0062】
図8の処理を開始すると、まず、CPU40は、データベースDBから領収ファイルRFを読み出し(ステップS300)、読み出した領収ファイルRFを用いて指示された会計処理を行う(ステップS310)。新たに登録された領収ファイルRFにより会計計算を行う旨の指示を受けていた場合、データベースDBから領収ファイルRFを読み出して、会計計算を行う。また、指定された領収ファイルRFのタイムスタンプデータTSや、レシートRを確認する旨の指示を受けていた場合、領収ファイルRFを読み出して、タイムスタンプデータTSや読取画像データSDのレシート画像をディスプレイ装置7に表示させたり、プリンタ(図示なし)に印刷させたりする処理を行う。
【0063】
ステップS310の会計処理を行うと、会計計算の結果など必要な情報をHD43に保存して(ステップS320)、図8の処理を終了する。
【0064】
なお、ステップS300〜S320はCPU40が会計処理部240として行う処理に対応する。
【0065】
以上に説明したように、会計管理システム1では、レジスター装置2により、領収データRDおよび領収データRDに対応するバーコードBCがレシートRに印刷される。ユーザーが、レシートRを読取装置3にセットして、レシートRを読み取らせることにより会計管理装置4による領収データRDの管理、および会計処理が行われるようになっている。本会計管理システム1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0066】
(1)領収データRDおよびバーコードBCが1つのレシートRに記録されるようになっているので、ユーザーにとって領収データRDの管理が容易になる。例えば、ユーザーは、レシートRの領収データRDを目視で確認して、レシートごとに登録するか否かの意思確認を容易に行うことができる。そして、ユーザーが、登録すると確認したレシートRを読取装置3にセットすることにより、バーコードBCの領収データRDを会計管理装置4に登録させることができるので、登録する意図のないレシートRの領収データRDを誤って登録してしまうことが少なくなる。すなわち、領収データRDおよびバーコードBCが1つのレシートRに一元化されているので、領収データRDの誤登録や誤登録による2重登録を防ぐことができる。また、バーコードBCが印刷されたレシートRについて、領収データRDをキーボードなどに手入力する必要がないので、ユーザーにとって領収データRDの管理に要する手間が少なくなって便利である。さらに、複数のレシートのうちにバーコードBCが印刷されていないレシートRが含まれていた場合であっても、ユーザーは、バーコードBCの有無を目視で確認して、バーコードBCが印刷されたレシートRは読取装置に読み取らせ、バーコードBCが印刷されていないレシートRは手入力など他の方法で入力するようにして、容易に対応することができるので、領収データRDの管理上大変便利である。
【0067】
(2)バーコードBCから領収データRDを復元するようにしたので、読取画像データにOCR処理を施して、レシートRに印刷された領収データRDを取得する場合に比べると、領収データRDの誤認識が少なくなり、領収データRDの管理を正確に行うことができる。
【0068】
(3)レジスター装置2に備わるプリント機構21でバーコードBCを印刷し、スキャナ3aやデジタルカメラ3bなどの汎用の読取装置3でバーコードBCを読み取るようにしている。特許文献1に記載の技術に比べると、磁気カードにデータを書き込む装置や、磁気カードに記録されたデータを読み出す装置などの専用装置をシステムに備える必要がなくなるので、簡易なシステムで領収データRDを管理できる。
【0069】
(4)レシートRに印刷された記入欄ESに記入される指示に従って、会計処理の対象となる商品が決められるので、ユーザーは、レシートRの記入欄ESに指示を記入することにより、会計対象とする商品を任意に選択することができる。したがって、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0070】
(5)領収データRDと同じ領収ファイルRFに、レシートRの読取画像データが登録されるので、登録された領収データRDについて会計上の証拠性を高めることができ、会計処理アプリケーションとしての有用性が高まる。
【0071】
(6)領収データRDと同じ領収ファイルRFに、保証された時刻のタイムスタンプデータTSが登録されるので、登録された領収データRDについて会計上の証拠性を高めることができ、会計処理アプリケーションとしての有用性が高まる。
【0072】
(7)領収ファイルRFにおけるタイムスタンプデータTS、領収データRDおよび読取画像データSDは暗号化された状態で登録されているので、データの漏洩などによるデータの不正取得を防ぐことができ、システムのセキュリティレベルが向上する。
【0073】
以上、領収データ管理システムの一実施例について説明したが、この形態に限られることなく、以下の変形例としてもよい。
【0074】
(変形例1)上記実施例では、会計処理アプリケーションにより領収データRDを管理する場合について説明したが、領収データRDを管理して家計簿処理を行う家計簿アプリケーションや、領収データRDの管理のみを行うデータ管理アプリケーションとしてもよい。
【0075】
(変形例2)領収書としては、商品を購入したときに受け取るレシートに限られることなく、金融機関の自動支払機などで発行される伝票や給与明細書などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】会計管理システムの概略構成を示した図。
【図2】レジスター装置の構成を示した図。
【図3】レシートの一例を示した図。
【図4】会計管理装置の構成を示した図。
【図5】領収ファイルのデータ構造を示した図。
【図6】レシートを印刷する処理の流れを示したフローチャート。
【図7】レシートの領収データを登録する処理の流れを示したフローチャート。
【図8】会計処理の流れを示したフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
1…領収データ管理システムとしての会計管理システム、2…印刷装置としてのレジスター装置、3…読取装置、4…領収データ管理装置としての会計管理装置、5…タイムスタンプサーバ、100…領収データ生成手段としての領収データ生成部、110…バーコード生成手段としてのバーコード生成部、120…印刷手段としてのレシート印刷データ生成部、200…読取画像データ取得手段としての読取画像データ取得部、210…領収データ復元手段としての領収データ復元部、220…時刻情報取得手段としてのタイムスタンプデータ取得部、230…領収データ管理手段としての領収データ管理部、240…会計手段としての会計処理部、R…レシート、DB…記憶部としてのデータベース、RD…領収データ、BC…バーコード、RF…領収ファイル、TS…時刻情報としてのタイムスタンプデータ、SD…読取画像データ、F…会計計上フラグ、CK…暗号化鍵。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
領収書に記録すべき領収データに対応するバーコードを生成し、前記領収データおよび前記バーコードを領収書印刷用の用紙に印刷する印刷装置と、
セットされた前記用紙を読み取って、読取画像データを生成する読取装置と、
前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて前記領収データを復元し、前記復元した領収データを管理する領収データ管理装置と、を備えることを特徴とする領収データ管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の領収データ管理システムにおいて、
前記領収データは、購入された商品ごとのデータを含み、
前記印刷装置は、前記領収データに含まれる商品ごとに、会計処理の対象に入れるか否かの指示を記入するための記入欄を、前記領収データおよび前記バーコードとともに印刷し、
前記領収データ管理装置は、前記読取画像データに含まれる記入欄の指示に基づいて、前記領収データのうち、会計処理の対象とされた商品を対象として会計処理を行うことを特徴とする領収データ管理システム。
【請求項3】
領収書に記録すべき領収データを生成する領収データ生成手段と、
前記領収データに対応するバーコードを生成するバーコード生成手段と、
前記領収データおよび前記バーコードを領収書印刷用の用紙に印刷する印刷手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
領収書に記録すべき領収データ、および前記領収データに対応するバーコードが印刷された用紙の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、
前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて、前記領収データを復元する領収データ復元手段と、
前記復元された領収データを管理する領収データ管理手段と、を備えることを特徴とする領収データ管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の領収データ管理装置において、
記憶部をさらに備え、
前記領収データ管理手段は、前記復元された領収データを前記記憶部に登録することにより、前記領収データを管理することを特徴とする領収データ管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の領収データ管理装置において、
前記領収データ管理手段は、前記復元された領収データに対応付けて、前記読取画像データを前記記憶部に登録することを特徴とする領収データ管理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の領収データ管理装置において、
保証された時刻情報を取得する時刻情報取得手段、をさらに備え、
前記領収データ管理手段は、前記復元された領収データに対応付けて、前記時刻情報を前記記憶部に登録することを特徴とする領収データ管理装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか一項に記載の領収データ管理装置において、
前記領収データ管理手段は、管理対象とするデータを暗号化し、暗号化したデータ形式で前記記憶部に登録することを特徴とする領収データ管理装置。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれか一項に記載の領収データ管理装置において、
前記記憶部に登録された領収データに基づいて、会計処理を行う会計手段を、さらに備えることを特徴とする領収データ管理装置。
【請求項10】
領収書に記録すべき領収データに対応するバーコードを生成し、前記領収データおよび前記バーコードを領収書印刷用の用紙に印刷するステップと、
前記印刷された用紙を読み取って、読取画像データを生成するステップと、
前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて前記領収データを復元し、前記復元した領収データを管理するステップと、を備えることを特徴とする領収データ管理方法。
【請求項11】
領収データを管理するための領収データ管理プログラムであって、
コンピュータを、
領収書に記録すべき領収データ、および前記領収データに対応するバーコードが印刷された用紙の読取画像データを取得する読取画像データ取得手段と、
前記読取画像データに含まれるバーコードに基づいて、前記領収データを復元する領収データ復元手段と、
前記復元された領収データを管理する領収データ管理手段、として機能させることを特徴とする領収データ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−93318(P2009−93318A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261664(P2007−261664)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】