説明

領域抽出方法

【目的】 カラー画像や連続階調画像の中から所望の領域を抽出する方法において、画像切り抜きの際のオペレータの入力負担を軽減すると共に、対象領域を高速かつ正確に抽出できるようにする。
【構成】 記憶手段に記憶された原画像を表示手段に表示し、表示中の輪郭部を包含するようにポインティング手段によって外枠領域を帯状に指示入力し(ステップS10,S11)、外枠領域内の原画像の画素について色空間内での隣接画素との差分を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とする部分画像を前記原画像中の抽出領域とする(ステップS12〜S17)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー画像や連続階調画像の中から所望の領域を抽出する方法に関し、特に、オペレータの指示の負担を軽減すると共に、領域抽出処理での演算時間を低減するのに好適な領域抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、計算機で制御されるディジタル画像処理装置により複数の静止画像を部分的に貼り合わせて合成画像を作成したり、或いは、画面上の必要な部分だけを選んで所望の位置へ移動して編集したりする処理において、処理の対象となる画像領域を抽出する方法としては、例えば、次のような方法がある。
■オペレータが、タブレットなどの座標入力装置を用いて対象領域の輪郭をなぞって指定し、その輪郭内の領域を抽出する方法。この場合、輪郭の細かな形状を正確に入力できるように、対象領域を部分的に拡大し、タブレットのペンでなぞりやすくして輪郭を入力することも行なわれている。
■オペレータが、切り取りたい箇所の近傍をポインティングデバイスを用いて指定し、指定された近傍の平面領域に2次元演算処理をして輪郭を検出し、検出され輪郭内の領域を抽出する方法。
【0003】後者の方法としては、例えば、オペレータがポインティングデバイスを用いて対象領域の輪郭線を粗くなぞりながら粗輪郭線を指定し、その粗輪郭線内の原画像画素についてエッジ強度を求めて輪郭を検出する方法が知られている。具体例としては、粗輪郭線内の原画像画素について求めたエッジ強度を参照して、予め設定された閾値以下のエッジ強度を削除対象として削除対象の画素がなくなるまで中心線抽出処理を適用し、上記閾値を大きくしながら、最終的に線幅1画素の細線化結果が得られるまで、粗輪郭線に対する中心線抽出処理を繰返して適用し、得られた細線化結果を輪郭線とする部分画像を原画像中の抽出領域とするようにした方法が挙げられる(特開平5−233810号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記■の方法では、オペレータが直接切り取りラインを指定するため、操作上の負担が大きく、時間もかかり、また、正確さにも欠けるという欠点がある。一方、上記■の方法では、注目する2次元画像が次々に移動し、その各々について微分、2値化等の演算処理が必要になるため、処理速度の点で劣るという欠点がある。
【0005】本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、画像切り抜きの際のオペレータの入力負担を軽減すると共に、対象領域を高速かつ正確に抽出することができる領域抽出方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、カラー画像の画像データを記憶する記憶手段と、前記カラー画像を表示する表示手段と、前記表示されたカラー画像の中の任意の座標を指示、入力するポインティング手段とを備えた画像処理装置の領域抽出方法に関するもので、本発明の上記目的は、前記記憶手段に記憶された原画像を前記表示手段に表示し、表示中の輪郭部を包含するように前記ポインティング手段によって外枠領域を帯状に指示入力し、前記外枠領域内の原画像の画素について色空間内での隣接画素との差分を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とする部分画像を前記原画像中の抽出領域とすることによって達成される。
【0007】また、連続階調画像の画像データを記憶する記憶手段と、前記連続階調画像を表示する表示手段と、前記表示された連続階調画像の中の任意の座標を指示、入力するポインティング手段とを備えた画像処理装置の領域抽出方法においては、前記記憶手段に記憶された原画像を前記表示手段に表示し、表示中の輪郭部を包含するように前記ポインティング手段によって外枠領域を帯状に指示入力し、前記外枠領域内の原画像の画素について隣接画素との濃度の差分を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とする部分画像を前記原画像中の抽出領域とすることによって達成される。
【0008】
【作用】本発明にあっては、表示中の輪郭部を包含するように外枠領域をポインティング手段で帯状に指示入力するだけで、抽出領域の輪郭線が自動認識される。また、そのときの指示は、主要なポイントを示すことにより帯状の線が自動的に表示されるので、オペレータが輪郭をなぞる必要がない。また、輪郭線の検出は、外枠領域内の原画像の画素について隣接画素との特徴値の差分を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とするようにしているので、簡単な演算で輪郭を検出できる。その際、外枠領域を十字パターン状に走査して差分を計算することで、更に高速化が図れる。また、最大差分を示す画素が検出できない場合には、外枠領域の中心線を輪郭線とすることで、背景との差が不明瞭な部分についても2次元フィルタ等の演算処理を行なう必要がなくなり、オペレータが意図した輪郭を簡単な演算で認識できる。
【0009】
【実施例】本発明の前提となる画像処理システムを図に示して説明する。図1は画像処理システムの全体構成の一例を示しており、複数台の編集用ワークステーション10がEthernetを介して相互に接続されていると共に、その中の1台のワークステーション10には比較的低画質のゲラ印刷を行なうゲラプリンタ20が接続されている。Ethernetには更に、データサーバ及びレコーダサーバ機能を有するサーバ用のワークステーション30が接続されており、サーバ用ワークステーション30には、プリント用の割付台紙を読取って入力するための台紙入力機40が入力コントローラ40Aを介して接続されると共に、絵柄、文字、図形等のカラー画像又はモノクロ画像をカラー分解して読取って入力する複数のカラースキャナ50、50が複数の入力コントローラ50A、50Aを介して接続されている。更にサーバ用ワークステーション30には、伸長、網伏せ、マージ(線画と連続階調(モノトーン)画像の)、バッファリングの機能を有して同期をとる出力同期用バッファ70を介して高画質画像を出力するフィルムプリンタ60が接続されている。
【0010】図1は、複数台の編集用ワークステーション10と1台のサーバ用ワークステーション30とをシステム的に結合した例であるが、図2のように1台の編集/サーバワークステーション30Aでスタンドアローン構成とすることも可能である。又、各ワークステーションには、更に外部より他の情報(例えばLAN(Local Area Network)の情報、他のコンピュータシステムからの情報等)を取込んで処理する機能が具備されている。尚、図1及び図2の構成例において、出力同期用バッファ70はサーバ用ワークステーション30とフイルムプリンタ60との間に介挿されているが、フイルムプリンタ60内に内蔵させることも可能である。
【0011】編集用ワークステーション10とサーバ用ワークステーション30とはシステム構成により種々の形態を取り得るが、ここでは便宜上同一ハード構成の例を図3にその詳細を示して説明する。ワークステーション30(又は10)は全体の制御を行なうCPU301と、必要な情報を格納するハードディスク302とを有すると共に、表示手段としてのCRT303と、入力操作手段としてのキーボード304及びマウス305、ディジタイザ306、トラックボール、ジョイスティック等のポインティング手段とを有し、記憶手段としてのフロッピーディスク(FD)307を装填できるようになっている。
【0012】図4は、図1のシステム全体の構成をブロック図で示しており、台紙入力機40で読取られた台紙情報KS(1ビット)は入力コントローラ40Aを経てワークステーション30に送られるようになっており、複数のカラースキャナ50、50で読取られた4色のCMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Black)のカラー情報CL1、CL2(=32ビット;又はKのモノカラー情報=8ビット)は入力コントローラ50A、50Aを経てワークステーション30に送られる。入力コントローラ40A(50A)は、高画質処理のための高密度データ処理と表示等のための粗密度データ処理とを同時に並行処理するようになっており、全体的に高速化を実現すると共に、効率的なデータ処理を実現している。入力コントローラ40A、50Aは同一構成であり、間引き部401はフィードバック的に繰返して間引きを行ない、例えば1/2、1/3、…、1/6、1/nのように整数比で入力データKS(CL1、CL2)を間引くが、高画質出力のために必要な高密度データに対しては当然間引きは実行されない。又、入力コントローラ40A(50A)ではデータの間引きと共にデータ圧縮が圧縮部402で実行され、間引き及び圧縮されたデータはバッファ(図示せず)に一時保存されるようになっている。
【0013】入力コントローラ40A(50A)に一時保存されたデータ(1ビット(線画情報),8ビット(モノカラー),32ビット(フルカラー))は入力情報INSとしてサーバ用ワークステーション30に入力され、外部システムに接続された他のパソコン等からの外部情報EXSもサーバ用ワークステーション30に入力される。サーバ用ワークステーション30は各入力情報のフォーマットを変換して画像登録するためスキャンサーバ320を有し、更に出力ジョブの管理を実行するレコーダサーバ310を具備しており、レコーダサーバ310からの割付け情報(企画に従って文字、図、表、写真等の配置、大きさ等を指定するための情報)PSDがラスタイメージ処理部(PSRIP)312に入力される。又、サーバ用ワークステーション30は画像データを記憶するデータディスク311を具備しており、データディスク311から読出された画像データIGSが画像差し換え部(Open PrePress Interface)313に入力される。画像差し換え部313で差し換えられた画像データIGSAはラスタイメージ処理部312に入力され、ラスタイメージ処理部312でラスタイメージ化されると共に画像データの内の絵柄等は網点化され、必要な場合にはデータ圧縮されたラスタデータRDが出力同期用バッファ70に入力される。出力同期用バッファ70はフィルムプリンタ60の印刷速度にデータ出力を同期させると共に、データ圧縮されたデータに対しては必要な伸長を行なって,更にはマージや網伏せを行ってフィルムプリンタ60に伝送する。
【0014】図5はサーバ用ワークステーション30の詳細なソフトウェア構成を示しており、入力情報INS及び外部情報EXSはスキャンサーバ320内のフォーマット変換部321に入力され、フォーマット変換されたデータは表示画像作成部322で表示用の画像(表示画像)を作成され、更にアイコン用の画像(アイコン画像)を作成されると共に、画像登録部324において画像の登録処理が行なわれる。スキャンサーバ320から出力される表示画像及びアイコン画像の登録データSSDはデータベースマネージャ330に入力されてデータ格納されるが、画像データIGはデータディスク311へ入力され、割付けデータ(PostScript Data)PSは出力ジョブの管理を行なうレコーダサーバ310に入力される。データベースマネージャ330には、各ページの面付けを行なうための大貼りモジュール340と、線画前処理(ノイズ除去、回転等)、連続階調画像のレタッチや切抜き処理等を行なう画像処理モジュール350と、台紙配置、画像配置、図形生成、網伏せ等の画像データの集版を行なう集版モジュール360と、出力ジョブ管理やデータ管理等を行なうデータ管理モジュール370と、カラー編集、ハッチング編集や地絞登録等を行なう操作データ制御モジュール380とがソフトウェア的に接続されている。
【0015】ここで、データベースマネージャ330の処理動作を図6のフローチャートを参照して説明すると、スキャンサーバ320より伝送されて来る台紙や部品画像等の登録データSSDが入力されると(ステップS1)、データベースマネージャ330を経由して画像データIGとしてデータディスク311に格納される(ステップS2)。データ修正時、データベースマネージャ330はデータディスク311より画像データを読出し、画像処理モジュール350でレタッチ(色、階調、キズ等を修正する目的で行なう修正作業)、ゴミ取り、切抜き等を行ない、データベースマネージャ330を経由してデータディスク311に格納する(ステップS3)。次にデータベースマネージャ330は集版処理(台紙を配置し、台紙に沿って各部品を配置、文字加工を行なうことによって、文字、図形、画像等の部品を指示されたレイアウト通りに合成する)を行なうが(ステップS4)、先ずデータベースマネージャ330はデータディスク311より画像データIGを読出し、集版モジュール360で集版作業を行なった後、データベースマネージャ330を経由してデータディスク311に処理済データを格納する。そして、更にデータディスク311より画像データIGを読出し、大貼りモジュール340を用いて面付けの指示、作業を行ない、面付けデータをデータベースマネージャ330を経由してデータディスク311に格納して面付けを行ない(ステップS5)、次にデータディスク311よりデータベースマネージャ330にデータを取出してレコーダサーバ310で出力処理を行なう(ステップS6)。
【0016】図7は、入力データの対象(2値データ、割付け情報、ビットマップデータ、連続階調画像)と工程(入力、集版/編集、出力)との関係を、オペレータが意識するデータ、機能の流れとして示しており、線画、台紙等の2値データは台紙入力機40又はカラースキャナ50で読取られて、ゴミ取り、レタッチ、回転、拡大/縮小の処理を施されて画像編集データとなり、PostScript情報はRIP(Raster Image Processor;PostScript等のページ記述言語で表現されたデータを展開し、ビットマップデータ等に変換する)で処理されて画像編集データとなる。又、ビットマップデータはフィルタでフォーマット変換されて画像編集データとなり、連続階調画像はカラースキャナ50で読取られて、又は直接入力されてレタッチ、切抜き、画像処理を施されて画像編集データとなる。データ管理情報としてのキーワード、画像名、ジョブ名も画像編集データに取り込まれる。画像編集データは台紙加工(閉領域自動認識)、作図、オブジェクト編集、合成、変形、回転、網伏せ/属性変更、レイアウト、写真はめ込み等の処理を施されると共に、ヒストリー画像表示変更、分散編集、データ保存を実行される。上記各処理の後、分版、特色版、トラッピングを行ない、更にページ単位の面付けを行なって集版/編集を終了する。「特色版」は、通常のCMYK以外のインクで印刷するための版のことであり、例えば(1)2色刷りの際における墨と金赤の「金赤」、(2)金色、銀色用、(3)写真の中の女性の口紅の色を彩かに表現する際、口紅の部分だけ別の版にして通常のCMYKにプラスして重ねてインクを載せる、等に使用する。又、「トラッピング」は、具体的には毛抜き合せで配置する際、印刷のずれによる白抜けの防止のために少しずつ重ねておくことをいう。サーバ用ワークステーション30で集版/編集処理されたデータは、ゲラプリンタ20でのゲラ出力、PDL(Page Description Language;例えばPostScript)出力、又はフィルムプリンタ60でのフィルム出力で出力される。
【0017】このような構成において、本発明の領域抽出方法を図8のフローチャートに従って説明する。ここで、編集用ワークステーション10のCRT303には、図9に示すような編集対象画像G1,G2が表示されており、集版作業として、その中の画像G1を切り取る場合を仮定して以下説明する。また、ポインティング手段(キーボード304、マウス305、ディジタイザ306、トラックボール、ジョイスティック等)としては、マウス305を用いた例で説明する。なお、本発明に関わる処理は、図5に示した集版モデュール360で行なわれる。
【0018】オペレータは、先ず、領域抽出に係るパラメータの設定を行なう。領域抽出に係るパラメータとしては、後述する“観測巾”や“観測解像度(閾値,滑らかさ)”があり、これらの設定値を変更したい場合は、画面上に表示されている機能選択メニューの中の“オプション”メニュー(図示せず)をマウス305で指示する。“オプション”メニューの指示により画面上の所定部に入力用ウインドが開き、図13に示すように、入力用ウインド6に各パラメータの基準値が表示される。ここで、入力用ウインド6に示される“長さ”とは、切り取りたい画像G1の輪郭部1を指示するための“帯状の折れ線2の巾W(= 観測巾)”のことで、“しきい値”とは、切り取りたいライン1のエッジ強度に関する閾値のことである。また、“なめらか”とは、エッジ点の検出間隔(後述する観測領域7のシフツ間隔)に関する値のことで、滑らかさの設定値を大きくすれば、より細い間隔でエッジ点が検出されるようになっている。オペレータは、これらの観測巾と観測解像度を、切り取りたい画像の形状や色合い等に応じて任意に設定する。なお、入力用ウインド6内の“取消”を押すと基準値(或いは最新の設定値)が再表示され、“OK”を押すとウインドウが閉じ、表示されている設定値が、集版モデュール360内のCT境界処理部へ渡される。オペレータが観測巾と観測解像度を設定しなかった場合には、予め設定されている基準値にて領域抽出処理が行なわれる(ステップS10)。
【0019】領域抽出に係るパラメータの設定が終わると、オペレータは、マウス305を用いて、画面上に表示されている機能選択メニューの中の“CT画像境界認識アイコン”(図示せず)を押す。そして、図9の画像G1の輪郭部(切り取りたいライン)1を包含するように、マウス305を用いて外枠領域を帯状に指示入力する。ここで、切り取りたいライン1の指示は、図9に示すように、ポイントP1,P2,…,Pnというように、切り取りたいライン1の外側の主要ポイントを指示する。各ポイントが指示されると、画面上には、同図に示すように、各ポイントP1,P2,…,Pnを結ぶ外郭折れ線2aと、その外郭折れ線2aに対して一定巾W(オペレータが設定した値、或いは基準値)を持った内郭折れ線2bとから成る帯状の折れ線2(以下、概郭折れ線と呼ぶ)が表示される。ここで、ポイントの位置を訂正したい場合やポイントを追加したい場合は、それらの指示を行ない、切り取りたいライン1の指示が終了したら、マウス305をダブルクリックする(ステップS11)。
【0020】この操作により抽出領域の自動認識処理が開始される。集版モデュール360内のCT境界処理部では、外枠領域内のカラー画像G1の画素について色空間内での隣接画素との差分(モノクロ画像の場合は、連続階調画像における隣接画素との濃度の差分)を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とする部分画像を、原画像中の抽出領域とする。図を用いて詳細に説明すると、CT境界処理部では、先ず、ステップS10で設定された観測巾Wに応じて、図10に示すような観測用クロスバッファ3をメモリ上に用意する。そして、観測用クロスバッファ3に対応する観測領域7(図9参照)の中心が概郭折れ線2の中心に来るように設定し、観測開始地点での観測領域7の座標値を算出する(ステップS12)。そして、観測領域7内のピクセル値を観測用バッファ3にセットする(ステップS13)。その際、概郭折れ線2の傾斜角度がX軸に対して45度より大きいか否かを判定し、概郭折れ線2の傾きが45度未満の場合は、図11(A)に示すように、観測用バッファ3のY軸方向のバッファ内で、隣接し合う画素値の隔たりが最大となる座標値(図中のEa)をエッジ点として検出する。また、概郭折れ線2の傾きが45度以上の場合は、同図(B)に示すように、観測用バッファ3のX軸方向のバッファ内で、隣接し合う画素値の隔たりが最大となる座標値をエッジ点(図中のEb)として検出する。
【0021】ここで、隣接し合う画素値の距離をdとすると、隣接距離dは、カラー画像の場合は下記の数1で算出され、連続階調画像の場合は数2で算出される。但し、背景(例えば、図9の画像G2)との差が不明瞭で、最大差分を示す画素が検出できない場合、すなわち算出した最大差分が“しきい値”に満たない場合には、図11(C)に示すように、隣接し合う画素の中心(図中のEc)をエッジ点とする。すなわち、局所領域内にエッジ候補点が存在しない場合は、オペレータが指示入力した概郭折れ線の中心をエッジ点とすることによってエッジが検出できなくても領域の境界を設定できる。これにより、2次元フィルタ等の演算処理が不要になる(ステップS14)。
【0022】
【数1】


但し、r1,g1,b1、r2,g3,b3は、隣接し合う画素のそれぞれの赤(R),緑(G),青(B)成分の値
【数2】


但し、t1,t2は、隣接し合う画素のそれぞれの濃度値
【0023】観測領域7におけるエッジ点を検出したら、観測終了地点までのエッジ点検出処理が終了したか否かを判断し(ステップS15)、終了していないのであれば、観測領域7の座標値を次の観測地点にシフトしてステップS12に戻り(ステップS16)、エッジ点検出処理を繰り返す。このように、概郭折れ線2の中心線に沿って観測領域7を走行させながら観測用クロスバッファ3に画素値をセットして、最大差分を示す画素をエッジ点としてを順次検出する。なお、そのときの走行間隔は、ステップS1で設定した“滑らかさ”の値に基づいて決定される。ステップS15において、観測開始地点から終了地点までのエッジ点検出処理が終了したのであれば、集版モデュール360内のCT境界処理部では、図12に示すように、得られたエッジ点(e1,e2,……)を最小二乗法等の公知の技術により近似曲線で連結し、連結されたエッジライン4を輪郭線とする部分画像を抽出領域5とし、領域抽出処理を終了する。
【0024】なお、上述した実施例においては、ワークステーションを構成要素とする画像処理システムにおける領域抽出方法を例として説明したが、本発明方法は、当然のことながら、パーソナルコンピュータやワードプロセッサー等にも適用可能である。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明の領域抽出方法によれば、不特定のカラー画像(又は連続階調画像)における任意の領域を大まかに指定するだけで抽出できるので、オペレータの入力負担を大幅に軽減することができる。また、抽出領域の輪郭線を検出するための演算処理が極めて簡便であるので、高速度で領域抽出処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前提となる画像処理システムのハードウェア構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の前提となる画像処理システムのハードウェア構成の別の例を示すシステム構成図である。
【図3】編集/サーバワークステーションのハードウェア構成の一例を示すブロック図である
【図4】図1のシステム全体の構成例を示すブロック図である。
【図5】サーバ用ワークステーションの詳細なソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】編集作業全体の流れを示すフローチャートである。
【図7】入力対象データとソフトウェア工程との関係を示す図である。
【図8】本発明の領域抽出方法の概略を示すフローチャートである。
【図9】本発明方法を説明するための第1の図である。
【図10】本発明方法を説明するための第2の図である。
【図11】本発明方法を説明するための第3の図である。
【図12】本発明方法を説明するための第4の図である。
【図13】本発明方法を説明するための第5の図である。
【符号の説明】
1 切り取りたいライン
2 概郭折れ線
2a 外郭折れ線
2b 内郭折れ線
3 観測用クロスバッファ
4 抽出領域の輪郭線
5 抽出領域
6 入力ウインドウ
7 観測領域
10,30,30A ワークステーション
302 ハードディスク
303 CRT
304 キーボード
305 マウス
306 ディジタイザ
307 フロッピーディスク
311 データディスク
360 集版モジュール360

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カラー画像の画像データを記憶する記憶手段と、前記カラー画像を表示する表示手段と、前記表示されたカラー画像の中の任意の座標を指示、入力するポインティング手段とを備えた画像処理装置の領域抽出方法において、前記記憶手段に記憶された原画像を前記表示手段に表示し、表示中の輪郭部を包含するように前記ポインティング手段によって外枠領域を帯状に指示入力し、前記外枠領域内の原画像の画素について色空間内での隣接画素との差分を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とする部分画像を前記原画像中の抽出領域とするようにしたことを特徴とする領域抽出方法。
【請求項2】 連続階調画像の画像データを記憶する記憶手段と、前記連続階調画像を表示する表示手段と、前記表示された連続階調画像の中の任意の座標を指示、入力するポインティング手段とを備えた画像処理装置の領域抽出方法において、前記記憶手段に記憶された原画像を前記表示手段に表示し、表示中の輪郭部を包含するように前記ポインティング手段によって外枠領域を帯状に指示入力し、前記外枠領域内の原画像の画素について隣接画素との濃度の差分を求め、最大差分を示す画素を結んで輪郭線とする部分画像を前記原画像中の抽出領域とするようにしたことを特徴とする領域抽出方法。
【請求項3】 前記外枠領域を十字パターン状に走査して前記差分を計算するようにした請求項1又は請求項2に記載の領域抽出方法。
【請求項4】 前記最大差分を示す画素が検出できない場合には、前記外枠領域の中心線を輪郭線とするようにした請求項3に記載の領域抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【図4】
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【図11】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平8−77336
【公開日】平成8年(1996)3月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−236025
【出願日】平成6年(1994)9月6日
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)