説明

頭部装着型補聴器

【課題】高出力まで十分対応でき、使用者が運動など大きな動きをしたり頭部に汗をかいても安定した装着状態を維持でき、これにより使用者への負担を無くして安心感を与えることができるとともに、装着/取り外しも容易であり、さらに外観上、補聴器としての存在感を無くすことができ、デザイン設計の自由度も高く、使いやすい頭部装着型補聴器を提供せんとする。
【解決手段】マイクロホン、制御部、電源部及び骨伝導ドライバを備え、使用者が頭部に装着する他の頭部装着具の構成部位に取り付けて使用されるクリップ式の補聴器であり、構成部位の頭部側となる内側の面に当接する骨伝導スピーカ部10と、構成部位90の外側の面に当接する外側押さえ部11と、骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11とを連結する連結部12とより構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斬新な装着形態により外観上、補聴器としての存在感を無くすことができ、デザイン設計の自由度も高く、頭部に安定した状態に装着されて使用者への負担を無くすと同時に安心感を与えることができ、装着/取り外しも容易な耳掛け型の補聴器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部装着型補聴器としては、耳穴型と耳掛け型の補聴器が広く知られている。耳穴型は、外耳孔に装着するものでありサイズが制限されることから、高出力が出ないという課題がある。これに対し、高出力まで対応できる耳掛け型としては、側面視が円弧状の曲面である上下面を有する補聴器本体と、その筐体前端部から外耳孔まで延びる音道フックとよりなり、補聴器本体を使用者の耳介と側頭部との間の耳の付け根部分の上に載せて使用するものが種々提供されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。このような従来の耳掛け型補聴器では、内蔵の音響スピーカの出力音をフックを通じて先端部に導いて外耳孔に出力する構造や、音響スピーカを有するイヤホンをフックの先端部に設けて外耳孔に挿着する構造の2種類のものが提供されている。また、フック先端部に、骨伝導ドライバを内蔵したイヤホンを設けた耳掛け型補聴器も提案されている(特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−261296号公報
【特許文献2】特開平1−300800号公報
【特許文献3】特開平10−23599号公報
【特許文献4】特開2007−312372号公報
【特許文献5】特開2010−192975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような耳掛け型補聴器は、耳介と頭の間に装着される補聴器本体がそれ自体ホールド性が低く不安定であり、外耳孔から延びるフックによって補聴器本体の頭部後方へのズレ落ちを防止する構造とされている。したがって、例えば使用者が運動をするなどして動きが大きくなると補聴器本体も前後、とくに後方へ動いてしまい、フックを通じて外耳孔への引っ張りが生じて使用者の負担になるという課題もあった。特に夏場や使用者が運動などして頭部から汗が流れると補聴器本体に付着し、ホールド性がさらに低下してすべり落ちやすくなる。
【0005】
また、耳に装着する際には、補聴器本体を耳の上に仮置きしてフック又はイヤホンを耳に入れ、再度、補聴器本体をフックを引っ張らない位置に調整する作業が必要であり、また取り外す際も、補聴器本体が先に落ちてしまわないように手で保持しながらフック又はイヤホンを外耳孔から外す必要があり、煩雑且つ慣れが必要なものであった。また、このような耳掛け型補聴器は、耳介と頭の間に装着される補聴器本体の前方から外耳孔に延びるフックが存在するため、補聴器本体が髪で隠れたとしても当該フックが外からみえてしまう。このように耳に装着される機器が見えると、外観上、どうしても補聴器としての存在感が目立ってしまう。さらに、眼鏡やサングラスとともに使用することができないという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、高出力まで十分対応でき、使用者が運動など大きな動きをしたり頭部に汗をかいても安定した装着状態を維持でき、これにより使用者への負担を無くして安心感を与えることができるとともに、装着/取り外しも容易であり、さらに外観上、補聴器としての存在感を無くすことができ、デザイン設計の自由度も高く、使いやすい頭部装着型補聴器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、マイクロホン、制御部、電源部及び骨伝導ドライバを備え、使用者が頭部に装着する他の頭部装着具の構成部位に取り付けて使用される頭部装着型補聴器であって、少なくとも前記骨伝導ドライバを内蔵し、前記構成部位の頭部側となる内側の面に当接する骨伝導スピーカ部と、前記構成部位の外側の面に当接する外側押さえ部と、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部とを連結する連結部とより構成してなり、前記頭部装着具に対し、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挿入して挟み込んだ状態に取り付けられることを特徴とする頭部装着型補聴器を構成した。
【0008】
ここで、前記連結部が、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部とを弾性変形可能に連結してなり、前記頭部装着具に対し、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挿入することで生じる弾性復元力により、当該骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挟み込んだ状態に取り付けられることが好ましい。
【0009】
また、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部と連結部とを、互いに内部連通した機器収納空間を有する一体成形された合成樹脂製ケースより構成することが好ましい。
【0010】
更に、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部を、いずれも側面視の外形輪郭が略一致する形状の中空板状のケースより構成し、これらを互いに平行に対面させたものが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上にしてなる本願発明に係る頭部装着型補聴器によれば、使用者が頭部に装着する他の頭部装着具の構成部位、例えばヘルメットのベルトなどに取り付けて使用でき、骨伝導スピーカ部から頭部に直接骨導音として振動出力されるので、サイズの制限もとくになく高出力にも十分設計対応できるとともに、耳に装着される従来の耳掛け型補聴器とは装着形態がまったく異なり、斬新な形態となり、デザイン設計の自由度も高く、外観上、補聴器に見えないことから補聴器としての存在感をまったく無くすることができる。また防水性を付与して入浴や水泳にも対応可能な商品を提供することもできる。
【0012】
また、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記他の頭部装着部の構成部位、例えば上記ヘルメットのベルト部を挿入し、これを挟み込んだ状態に取り付けられることから、耳の付け根や外耳孔への圧迫感や負担はまったく無く開放的であり、眼鏡やサングラスと同時に使用することが可能であるとともに、当該ベルトに対して安定した姿勢で保持され、したがって使用者が大きな動きをしたり汗をかいても何ら影響なく、使用者に対し安心感と軽快感を与えることができる。また、骨伝導スピーカ部が上記構成部位と頭部の間に挟み込まれることになるので、該骨伝導スピーカ部からの振動出力を確実且つクリアな骨導音として頭蓋骨に伝達することができる。
【0013】
このような本発明の頭部装着型補聴器は、装着場所が特定されず、したがって使用者は自由に他の頭部装着部の種類に応じて、その構成部位を選択して補聴器を取り付けることができ、しかも上記のとおり骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に構成部位を挿入して挟み込んだ状態に取り付けるクリップ式とされているので、装着/取り外し/位置調節とも容易に行うことができ、使い勝手のよいものとなり、例えばポケット等に引っ掛けて容易に且つ紛失することなく持ち運び、保管することもできる。
【0014】
また、連結部が、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部とを弾性変形可能に連結してなり、前記頭部装着具に対し、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挿入することで生じる弾性復元力により、当該骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挟み込んだ状態に取り付けられる構造としたので、装着/取り外し/位置調節は片手で極めて容易に行うことができるとともに、構成部位に対して上記弾性復元力により強固に保持される。
【0015】
また、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部と連結部とを、互いに内部連通した機器収納空間を有する一体成形された合成樹脂製ケースより構成したので、製造コストを低減できるとともに内部機器を各ケースに振り分けて重量バランスをとることができ、構成部位への取り付け状態を安定化させることができる。またデザイン的にも優れたものとすることができる。
【0016】
また、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部を、いずれも側面視の外形輪郭が略一致する形状の中空板状のケースより構成し、これらを互いに平行に対面させてなるので、デザイン的に目立たずにすっきりしたものとすることができるとともに、重量バランスもより優れたものとなり、構成部位への取り付け状態をより安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る頭部装着型補聴器の使用状態を示す説明図。
【図2】同じく頭部装着型補聴器を示す斜視図。
【図3】(a)は同じく頭部装着型補聴器の外側押さえ部側からみた側面図、(b)は骨伝導スピーカ部側から見た側面図。
【図4】同じく頭部装着型補聴器の平面図。
【図5】同じく頭部装着型補聴器の内部構造を示す断面図。
【図6】(a)〜(b)は同じく頭部装着型補聴器の他の使用状態を示す説明図。
【図7】(a)は本発明の第2実施形態に係る頭部装着型補聴器を示す斜視図、(b)は同じく断面図。
【図8】(a)は本発明の第3実施形態に係る頭部装着型補聴器を示す斜視図、(b)は同じく断面図。
【図9】本発明の第4実施形態に係る頭部装着型補聴器を示す断面図。
【図10】(a)は本発明の第5実施形態に係る頭部装着型補聴器を示す斜視図、(b)は同じく断面図。
【図11】(a)は本発明の第6実施形態に係る頭部装着型補聴器を示す斜視図、(b)は同じく断面図。
【図12】(a)は本発明の第7実施形態に係る頭部装着型補聴器を示す斜視図、(b)は同じく断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1〜図6は、本発明に係る頭部装着型補聴器の第1実施形態、図7は第2実施形態、図8は第3実施形態、図9は第4実施形態、図10は第5実施形態、図11は第6実施形態、図12は第7実施形態を示し、図中符号1、1A〜1Fは頭部装着型補聴器、10は骨伝導スピーカ部、11は外側押さえ部、12は連結部、30は内側ケース部、31は外側ケース部、32は連結ケース部をそれぞれ示している。
【0020】
まず、図1〜図6に基づき第1実施形態を説明する。
【0021】
本実施形態の頭部装着型補聴器1は、マイクロホン、制御部、電源部及び骨伝導ドライバを備え、図1に示すように、使用者が頭部に装着する他の頭部装着具9(本例ではヘルメット)の構成部位90(本例ではベルト)に取り付けて使用されるクリップ式の補聴器であり、従来にないまったく斬新な形態の補聴器である。より具体的には、頭部装着型補聴器1は、図2〜図5にも示すように、構成部位90の頭部側となる内側の面に当接する骨伝導スピーカ部10と、構成部位90の外側の面に当接する外側押さえ部11と、骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11とを連結する連結部12とより構成されている。
【0022】
そして、頭部装着具9に対し、骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11との間に構成部位90を挿入して挟み込んだ状態に取り付けられ、構成部位90と使用者の頭部との間に挟み込まれて頭部に当接した状態となる骨伝導スピーカ部10には骨伝導ドライバ23が内蔵され、該骨伝導スピーカから振動出力して頭部の頭蓋骨に骨導音を発生させる。したがって、とくに伝音性難聴や混合性難聴に大変優位な商品となる。また従来の補聴器と異なりクリップ式であるため、頭部装着具9の構成部位90に対して使用者が好みの位置に簡単に取り付けることができ、より聞こえのよい箇所に適宜調節することも容易となる。
【0023】
骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11とは、連結部12を介して弾性変形可能に連結されており、その間に頭部装着具9の構成部位90を挿入することで骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11が外側に弾性的に拡がり、その弾性復元力により構成部位90を挟み込んだ状態に取り付けられる。ただし、本発明はこのような構成とせずに、あるいはこのような構成としたうえで更に、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部の一方又は双方の対面する内面に、弾性変形する部材を設けて挟み込むように構成してもよい。
【0024】
また、連結部12にバネを設けて骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11が互いに近接する方向に弾性付勢した構造とすることも好ましく、更には、当該連結部12が骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11を互いに遠ざかった位置(広がった位置)と近接した位置(狭まった位置)との二位置切り替え式の構造とすることも好ましい例である。
【0025】
骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11は、いずれも側面視の外形輪郭が略一致する形状の中空板状の内側ケース部30と外側ケース部31より構成されており、これらが互いに平行に対面し且つ端部の位置で連結部12を介して一体化されている。より具体的には、骨伝導スピーカ部10を構成する扁平な中空板状の内側ケース部30、外側押さえ部11を構成する同じく扁平な中空板状の外側ケース部31及び連結部12を構成する連結ケース部32を備え、これらケース部は連結ケース部32内の空間を通じて互いに内部連通した機器収納空間を形成し、これらケース部30、31、32は電池取替え用の蓋体31a等を除いて全体(特に上記構成部位90に当接する内側のベースとなる部分)が合成樹脂を用いて略コ字状に一体成形されている。
【0026】
外側押さえ部11を構成する外側ケース部31の内部には、外部の音声を集音するマイクロホン21、集音した音声信号等を一定ゲインで増幅させるアンプやA/Dコンバータ等を有してROMに格納されている制御プログラムに基づき各回路を制御する制御部22、電源(ボタン電池24)が設けられている。また、骨伝導スピーカ部10を構成する内側ケース部30の内部には、前記制御部22からの増幅された出力電気信号を機械的振動に変換する骨伝導ドライバ23が設けられている。また、連結部12を構成する連結ケース部32の内部には、音量レベルや電源オン/オフを制御するための操作ボタンからなる操作部25が設けられている。各機器の配置は一例であり、その他の配置も勿論可能である。
【0027】
マイクロホン21は、従来から公知のものが採用でき、空気中を伝播する外部音を受信して電気信号に変換するものである。これにより使用者の音声を含む周囲の音声が入力される。マイクロホン21は、頭部装着具9の構成部位90の内側ではなく、本例のように構成部位90の外側に位置する外側押さえ部11に設けられており、これにより周囲の音声をより確実に捉えることができる。制御部22の処理は、基本的には従来からのデジタル補聴器における補聴処理と同様にすることができる。電源は、ボタン電池24の例を示したがこれに限定されない。充電式の場合は充電用のアダプタを設けたり、充電回路を設けて非接触充電方式を採用してもよい。
【0028】
また骨伝導ドライバ23は、従来から知られている電磁型、動電型、静電型、圧電型など様々なものを用いることができ、例えば、ヨークの中央磁極にボイスコイルを装着し、ヨークの両側の短尺辺側端部上にマグネットを配置し、マグネット配置軸上の各マグネットの外側に振動板固定部を配置してなる従来から公知の骨伝導ドライバを採用することができる。本例では内側ケース部30の頭部に当接する側の側壁の内面に接触配置され、当該骨伝導ドライバ23から頭部に向けて効率よく振動出力するように構成されている。
【0029】
なお、内側ケース部30の頭部に当接する側の側壁は、骨伝導ドライバ23が位置する部位が膨出した形状に構成され、他の部位に比べて優先的に頭部に圧接されるように構成され、これにより骨伝導ドライバ23の振動が頭部に確実に伝達されるようにされている。本例では、さらにこの膨出部分の外面に軟質のエラストマー等からなる軟質層30bを設けて長時間頭部に圧接しても使用者の負担にならないように配慮されている。
【0030】
操作部25は、使用者が操作する音量等の操作ボタンが連結ケース部32の外面に設けられる。ただし、手元のリモコン装置のスイッチで操作部による操作を行うようにしてもよい。この場合、補聴器本体の制御部と、別途設けたリモコン装置にそれぞれ近距離無線通信ユニットを設けて操作部による操作内容に係る制御信号を送受信するように構成すればよい。本例では連結ケース部32に設けたが外側ケース部31に設けることも好ましい。
【0031】
これら各ケース部30、31、32の素材は、特に限定されず、合成樹脂、金属など適宜な素材を用いることができ、例えばポリカーボンからなる基体の外表面に熱可塑性エラストマー層を設けたものも強度があり軽量化できる点で好ましい。本例では外側押さえ部11を構成する外側ケース部31に電池交換用の蓋体31aを設けており、この蓋体31aを異なるものに交換(着せ替え)するだけで容易にデザイン変更できるように構成されている。したがって、補聴器というよりアクセサリー感覚で使用でき、老若男女幅広いニーズに対応することが可能となり、結果的に末永く使えるものとすることができる。
【0032】
本発明の頭部装着型補聴器1は、使用者が頭部に装着する種々の頭部装着具の構成部位に取り付けて使用することができ、本例のようなヘルメットのベルト以外に、例えば、図6(a)の示すような帽子や水泳キャップなどの開口端部を構成部位90として取り付けて使用することや、図6(b)のようなカチューシャやカチューム等の帯状の布、ゴム等のヘアーバンドなどの部分に取り付けることもでき、また、図6(c)のようなメガネ、ゴーグル等のツルやバンド部を構成部位90として取り付けて使用することもできる。
【0033】
また、図7に示す第2実施形態の頭部装着型補聴器1Aは、骨伝導スピーカ部10を外側押さえ部11に比べて小さく構成したものである。これにより外側押さえ部11の外側ケース部31により大きな電源を設けて出力を高めることも可能となる。また図8に示す第3実施形態の頭部装着型補聴器1Bは、反対に骨伝導スピーカ部10を外側押さえ部11に比べて大きく構成したものである。これにより構成部位90の外側から見える外側押さえ部11が目立たないようすることができる。このように、骨伝導スピーカ部10と外側押さえ部11の大きさは異なるように構成できる。ただし、構成部位90を挟持した使用状態での安定性という観点からは、略同じ外形輪郭を有することで互いの重量を対向する部位で挟持しあい、これにより構成部位90に全体を安定保持させることができる第1実施形態のものが好ましい。
【0034】
また、図9に示す第4実施形態の頭部装着型補聴器1Cは、第2実施形態と同様、骨伝導スピーカ部10を外側押さえ部11に比べて小さく構成するとともに、該骨伝導スピーカ部10が外側押さえ部11の略中央付近で対面するように、連結部を外側押さえ部11の端部ではなく途中部に設けたものである。これにより比較的重量が重くなる外側押さえ部11を安定した姿勢に保持することができる。つまり第2実施形態の場合、骨伝導スピーカ部10が対面しない外側押さえ部11の先端付近が不安定になり、内部機器の配置によっては補聴器全体がずれてしまう虞も生じるが、本例では外側押さえ部11をその中央部付近で骨伝導スピーカ部10により構成部位90に対する挟持力が作用するので、補聴器全体も安定した姿勢に保持されるのである。
【0035】
また、図10に示す第5実施形態の頭部装着型補聴器1Dは、外側押さえ部11を構成する外側ケース部31がマイクロホン21を収納しうる程度の小さいサイズに構成されるとともに、該外側ケース部31から骨伝導スピーカ部10の内側ケース部30と略平行に該内側ケース部30の外形縁部に沿って湾曲した金属製等の硬質の線状部材40で構成されている。これにより構成部位90の外側からみえる部分が当該線状部材40と小さいサイズの外側ケース部31のみとなり、使用状態でシンプルで目立たない構成とすることができる。図11に示す第6実施形態の頭部装着型補聴器1Eは、さらにマイクロホン21を外側押さえ部11ではなく骨伝導スピーカ部10に設け、外側ケース部31を省略し、硬質の線状部材40だけで連結部12および外側押さえ部11を構成したものである。これにより、上記第5実施形態に比べて更に目立たない構成とすることができる。
【0036】
図12に示す第7実施形態の頭部装着型補聴器1Fは、上記した第4実施形態と同様、内側ケース部30を比較的小さく設定するとともに、外側ケース部31の端部から内側ケース部30の端部に向けて屈曲した中空の線状部材41を設けて、該線状部材41により外側ケース部31と内側ケース部30を連結したものである。これにより互いに平行な線状部材41と外側ケース部31との間にも構成部位90を挟持させることができるため、第4実施形態に比べて構成部位90を深く挟持し、補聴器全体を安定した姿勢に取り付けることができる。尚、線状部材41の内部には、内側ケース部30内の機器(骨伝導ドライバ23)と外側ケース部31内の機器(制御部22)との間の配線等が配置される。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1、1A〜1F 頭部装着型補聴器
9 頭部装着具
10 骨伝導スピーカ部
11 外側押さえ部
12 連結部
21 マイクロホン
22 制御部
23 骨伝導ドライバ
24 ボタン電池
25 操作部
30 内側ケース部
30b 軟質層
31 外側ケース部
31a 蓋体
32 連結ケース部
40、41 線状部材
90 構成部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホン、制御部、電源部及び骨伝導ドライバを備え、使用者が頭部に装着する他の頭部装着具の構成部位に取り付けて使用される頭部装着型補聴器であって、
少なくとも前記骨伝導ドライバを内蔵し、前記構成部位の頭部側となる内側の面に当接する骨伝導スピーカ部と、
前記構成部位の外側の面に当接する外側押さえ部と、
前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部とを連結する連結部とより構成してなり、
前記頭部装着具に対し、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挿入して挟み込んだ状態に取り付けられることを特徴とする頭部装着型補聴器。
【請求項2】
前記連結部が、骨伝導スピーカ部と外側押さえ部とを弾性変形可能に連結してなり、前記頭部装着具に対し、前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挿入することで生じる弾性復元力により、当該骨伝導スピーカ部と外側押さえ部との間に前記構成部位を挟み込んだ状態に取り付けられる請求項1記載の頭部装着型補聴器。
【請求項3】
前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部と連結部とを、互いに内部連通した機器収納空間を有する一体成形された合成樹脂製ケースより構成してなる請求項1又は2記載の頭部装着型補聴器。
【請求項4】
前記骨伝導スピーカ部と外側押さえ部を、いずれも側面視の外形輪郭が略一致する形状の中空板状のケースより構成し、これらを互いに平行に対面させてなる請求項1〜3の何れか1項に記載の頭部装着型補聴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−115801(P2013−115801A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263284(P2011−263284)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(305057109)ゴールデンダンス株式会社 (6)