説明

頭髪用バックミラー

【課題】頭髪の染色時等に用いるバックミラーを不使用時に保管スペースをとらないようにする。
【解決手段】顔の正面側を除いて、後頭部を囲む背面側、頭頂部を囲む上面側、頭部の左右両側を囲む側面側を平面状または円弧状に囲むミラー本体を備え、該ミラー本体を折り畳めるようにヒンジ部を介して複数に分割して構成していることを特徴とする頭髪用バックミラーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頭髪用バックミラーに関し、詳しくは、家庭で頭髪の染色(所謂、ヘヤーカラーダイ)をする場合に、正面側のミラーで後頭部および頭頂部を見ながら頭髪染色する場合、後頭部や頭頂部に部分的に「かつら」や「付け毛」をする場合、さらに、後頭部のヘアーメイクや髪飾りを取り付ける場合にも利用できるバックミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の頭髪染色用バックミラーを本出願人は特許第4166547号公報を提供している。該バックミラーは図14に示すように、ミラー本体100を後頭部および頭頂部を囲む円弧形状とし、該ミラー本体100に支持体110を備え、支持体110を肩にかける背負い型あるいは自立型としている。
【0003】
前記バックミラーは、頭部にバックミラーを被って、正面側のミラーで後頭部および頭頂部を映しながら自分で頭髪の染色が手軽にできる利点を有する。
しかしながら、頭部に被って後頭部をすべて覆う形状としているため、不使用時にスペースをとる問題があり、その点で改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4166547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題を解決するものであり、不使用時にスペースを取らないようにし、かつ、使用時にも見たい箇所だけ見ることができるようにし、使用時にもスペースをとらないように、かつ、前記特許文献1のバックミラーを種々の点で改良することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、顔の正面側を除いて、後頭部を囲む背面側、頭頂部を囲む上面側、頭部の左右両側を囲む側面側を平面状または円弧状に囲むミラー本体を備え、該ミラー本体を折り畳めるようにヒンジ部を介して複数に分割して構成していることを特徴とする頭髪用バックミラーを提供している。
【0007】
前記ミラー本体は、それぞれ平面材からなる背面板、上面板、左右の側面板からなる四面鏡に分割し、前記背面板の上端縁に前記上面板、該背面板の左右両側縁に前記側面板をヒンジ部で連結し、前記上面板および側面板を背面板に重ねて折り畳みできるようにしている。
【0008】
前記左右の両側面板の上部は外縁は上下直線方向に延長し、上端から前記上面板と前記ヒンジ部の上端に向けて傾斜した三角形状の上部突出部を設け、
前記上面板に背面板と同一幅の左右両側にヒンジ部を介して上面左右両側部を設け、該上面左右両側部は、前記背面板とのヒンジ部の左右両端から上端に向けて傾斜した三角形状とし、該上面左右両側部を前記左右の両側面板の上部突出部の上端に載置し、
前記ミラー本体は背面、側面及び上面に隙間なく連続する構成としてもよい。
【0009】
さらに、前記上面板および上面左右両側部の先端側には大きな曲率の円弧部を設け、かつ、上面左右両側部の外側端と前記左右の両側面板の上部突出部の上端面との間に凹凸部からなる係合部を設けていることが好ましい。
該構成とすると、上面板および上面左右両側部を両側面板部で下方よりしっかりと保持でき、上面板の傾斜姿勢を安定させることが出来ると共に、使用者にも安心感を与えることができる。
さらに、前記上面板および上面左右両側部の先端側には大きな曲率の円弧部を設けているため、頭部に沿った形状とすることができる。
【0010】
または、前記ミラー本体は円弧形状とし、頭頂部の中央前端を支点として径方向に放射状に分割し、これら分割材の支点部を支軸で連結し、重ね合わせて折り畳めるようにしてもよい。
【0011】
本発明の頭髪用バックミラーは頭部の後頭部および頭頂部を見るための専用のミラーであるため、通常の三面鏡より小型である。かつ、本発明は前記のように、背面板、上面部および左右側面板に分割した場合は四面鏡となり、三面鏡に対して頭頂部を映すことができる上面部を備えていることを特徴としている。
このように、本発明は、特許文献1の前記問題点を解決するために、折り畳み式とし、不使用時には保管スペースを取らないようにしている。
【0012】
前記ミラー本体に一体的に固定した支持材または該ミラー本体に着脱自在に支持材を取り付け、該支持材は背負い型、自立型、壁面等への固定型としている。
即ち、特許文献1と同様に、該支持材を背負い型あるいは自立型としても良いし、壁面等へ固定できるようにしてもよい。
【0013】
支持材を着脱自在に取り付ける場合、前記背面板の下端または背面より前記支持材の取り付け部を突設し、または支持材の取付穴を設けている。
例えば、背面板の下端または背面よりネジ筒を突設し、あるいはネジ穴を設ける一方、支持材の先端に設けたネジをネジ筒にねじ込み、またはネジをネジ穴にねじ込んで支持材を取り付けることができるようにしている。
【0014】
具体的には、支持材は特許文献1と同様に、背面板の下端より突出させた一対の脚部と、これら脚部の下端に連結していると共に横方向に延在する横軸部を備えたものとし、該横軸部の両側に布製等の肩掛け材を取り付けた背負い型としてもよい。
さらに、前記支持材は左右の肩取付部の間に後方へ突出した連結部を備え、該連結部に前記背面板から突設した支軸を取り付け、前記肩取付部には肩峰に被せるクリップを設け、該クリップの内面に弾性体からなる腕通し用の円環部の上半周部の外面に固着している。
【0015】
前記支持材は他部材への取付型とした場合、背面板から蛇腹管を支軸とて突設し、該支軸の下端に設けた球状軸部を支持材に設けた球面軸受で支持で、該支持材に取り付けたクリップで前記他部材に着脱自在に取り付ける構成としている。
また、前記支持材を背面板の背面から突出するように取り付け、該支持材の先端に磁石、吸盤、フック等を取り付けて、壁等に固定してもよい。
例えば、浴室に取り付けた鏡の前で頭髪を染色する場合、鏡と対向位置の浴室のタイル壁面の吸盤を用いて固定することができる。また、金属材の表面に磁石を磁着して取り付けてもよい。さらに、フックを取り付けて壁に吊り下げてもよい。このように吸盤、磁石、フックを用いると、簡単に取り外すこともできると共に取付位置を変えることができる利点がある。
さらに、背面板から脚部を延長して設け、床から起立する自立型としてもよい。
【0016】
前記ミラー本体は樹脂板、金属板または木板からなる別体の固定板の表面にガラス鏡を固定しても良い。また、特許文献1と同様に、樹脂板の表面に鏡面メッキ層を設けて形成としてもよい。其の際、樹脂製の本体部の表面に直接メッキを施しても良いし、鏡面メッキ層を設けたフィルムを本体部の表面に接着剤で固着してもよい。
【0017】
前記ヒンジ部を介して連結した背面板、上面板、左右の両側面板は、前記上面板および左右の両側面板を背面板に対して一定角度で回転して傾斜保持する手段、または段階的に回転して所要角度で回転して傾斜保持する手段を備えていることが好ましい。
【0018】
前記背面板と上面板、背面板と左右両側面板の間に設ける前記ヒンジ部は、例えば、ヒンジ結合する一方の前記固定板または樹脂板に軸受部を設けると共に、他方の固定板または樹脂板に前記軸受部に回転自在に支承される回転軸部を設けた形状とし、
または、背面板、上面板および左右両側面板の樹脂板を一体成形して、前記ヒンジ部を薄肉ヒンジ部で形成してもよい。
【0019】
前記軸受部と回転軸部とを嵌合したヒンジ部では、軸受部に周方向に間隔をあけて凹部を設ける一方、該凹部に嵌合する凸部を回転軸部に設けておくと、所要の回転角度で停止し、背面板に対して上面板及び左右両側面板を所要角度で停止して、上面板および左右両側面板の傾斜角度を変えることができる。また、上面板のみ背面板から開いて傾斜させることもでき、左右両側面板のいずれか一方だけを開くこともできる。
【0020】
前記樹脂板を一体成形して薄肉ヒンジ部を設ける場合は、該薄肉ヒンジ部の一端側から係止片を突設し、該係止片部の間隔をあけて凹部を設け、薄肉ヒンジ部の他端に設けた凸部に前記凹部を選択して嵌合することで、開き傾斜角度を変えることができる。
【0021】
前記ミラー本体に加熱手段と送風手段の少なくとも一方を付設してもよい。
例えば、前記樹脂板の内部に熱線を埋設し、所要温度で加熱できる構成としてもよい。前記熱線に接続した電池収容部を設けても良いし、熱線に接続したプラグを設け、コンセントに差し込んでもよい。
このように、ミラー本体に加熱手段を付設すると、頭髪染色時に染色液を迅速に乾燥でき、染色時間を短時間とすることができる。
【0022】
また、前記ミラー本体の背面板の背面にブロアを付設し、該ブロアからの送風を正面側に吹き出す開口を設けてもよい。
該吹き出し用の開口は前記ヒンジ部で背面板、上面板、左右両面部を連結する場合は、該ヒンジ部を設けた部分に隙間ができるため、該隙間を利用しても良いし、上面板や左右両面部の端部に吹き出し口を設けてもよい。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、本発明の頭髪用バックミラーは折り畳み式としているため、不使用時に保管スペースをとらない利点を有する。
また、必要な箇所、例えば、頭頂部を見たい場合には上面板を開いて傾斜させていることができ、使用時にも場所を取らない等の種々の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一実施形態のバックミラーを示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)のC−C線断面図である。
【図2】折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図3】ヒンジ結合部を示し、(A)は一部断面正面図、(B)は部分拡大断面図である。
【図4】ミラー本体と支持材との連結部を示す図面である。
【図5】選択的に用いる他の支持材との連結部を示す図面である。
【図6】使用状態を示す図面である。
【図7】第一実施形態の第1変形例を示す断面図である。
【図8】第一実施形態の第2変形例を示し、(A)は断面図、(B)は一部拡大図である。
【図9】第二実施形態を示し、(A)はミラー本体を開いた状態の正面図、(B)は側面図、(C)は部分的斜視図である。
【図10】ミラー本体の側面板および上面板を傾斜させた状態の斜視図である。
【図11】第三実施形態を示す要部斜視図である。
【図12】第四実施形態を示し、(A)は断面図、(B)は側面図である。
【図13】第五実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は部分断面図である。
【図14】従来例を示す図面である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6に第一実施形態を示す。
図1に示すように、頭髪用バックミラーのミラー本体1は、後頭部、頭頂部および両側部を囲むことができる背面板2、上面板3および左右両側の側面板4、5を備えている。背面板2の上端に上面板3をヒンジ部6で連結し、背面板2の左右両側にヒンジ部7、8で側面板4、5を連結している。図1はヒンジ部6、7、8を支点として上面板3、左右の側面板4、5を開いた状態を示す。
前記背面板2は後頭部用のミラー、上面板3は頭頂部用のミラー、左右の側面板4、5はそれぞれ頭部の左右側面用のミラーとしている。
【0026】
ミラー本体1は背面板2に対して上面板3、左右の側面板4、5を開いた状態で、頭部との間にブラシを持った手がスムーズに入れる程度の空間をあけるようにしている。よって、頭部よりも一回り大きく、かつ、後頭側部分2aの下端は左右の肩より若干上方に位置する寸法設定としている。
【0027】
前記背面板2、上面板3、左右の側面板4、5はそれぞれ平板形状とし、それぞれ樹脂板2a〜5aの表面に鏡面メッキ層2b〜5bを設けた形状としている。
背面板2は幅より長さが若干大きな矩形状としている。上面板3は背面板2と同一幅とし、長さは背面板2の1/2〜1/3程度としている、左右の側面板4、5は背面板2の長さと同一とし、幅は背面板2の1/2としている。
【0028】
前記大きさとすることで、図2に示すように、背面板2、上面板3、左右の側面板4、5をヒンジ部6、7、8を支点として背面板2の正面側に左右の側面板4、5を折り畳み、さらに、その正面側の上側部に上面板3を折り畳んだ状態となる。よって、折り畳んだ状態の全面積は、背面板2の面積の矩形状となる。
【0029】
前記ヒンジ部6は、図3(A)に示すように、背面板2の上端の左右両端に軸穴を設けた軸受部10を突設する一方、上面板3の下端に前記軸受部10に軸穴回転自在に嵌合する回転軸部11を突設している。
かつ、図3(B)に示すように、前記軸受部10の90度範囲に周方向に間隔をあけて4つの凹部10aを設ける一方、回転軸部11には凹部10a−1〜10a−5のいずれかに嵌合する1つの凸部11aを設けている。凸部11aが凹部10a−1に嵌合すると、上面板3が背面板2に重なる閉鎖位置とし、10a−3で背面板2に対して前方へ直角向きに突出する位置、10a−4、10a−5は上向き傾斜して停止する位置、10a−2は下向き傾斜した停止する位置としている。
なお、凹部の個数および周方向間隔は限定されず、さらに、無段階で傾斜位置を決めて停止できるようにしてもよい。
背面板2と左右の側面板4、5との間のヒンジ部7、8は前記ヒンジ部6と同様な構成とし、背面板2に重なって閉じると共に、所要角度で側方に開くようにしている。
【0030】
さらに、前記背面板2の下端に、図1および図4に示すように、支持材15を着脱自在に取り付ける一対のネジ筒14を突設している。支持材15は横軸15aから一対の縦軸15bを突出させ、該縦軸15bの先端ネジ棒15cを設けている。該ネジ棒15cを前記ネジ筒14にネジ込むことによりミラー本体1に連結できるようにしている。前記縦軸15bは首の左右両側に位置する間隔をあけ、横軸15aは肩幅程度の長さとしている。横軸15aの左右両端には、肩紐通し用のバネ性を持たせたフック部15d、15eを突設し、これらフック部15d、15eに円環形状とした布製の上記肩掛け材18を通している。
さらに、長尺な脚部の先端にネジ軸を設け、脚部を連結して自立させてもよい。
【0031】
また、図5に示すように、背面板2の背面側にもネジ筒17を突設し、該ネジ筒17に、吸盤19に連結したネジ棒21、磁石20と連結したネジ棒21、フック22と連結したネジ棒21を選択して、ネジ軸17にネジ込んで連結可能としている。
吸盤18を背面板2から突設すると、浴室のタイル壁面に吸着して固定することができる。また、磁石20を取り付けると金属製の壁面や家具に固定できる。さらにフック22を取り付けると壁面に固定した棒材に吊り下げることができる。
【0032】
前記頭髪用バックミラーは図6に示すように、バックミラーで後頭部H1および頭頂部H2を正面側のミラーMに映すことができるため、片手でブラシBを持ち、他方の手で染色液の容器Cを持って頭髪染色を行うことができる。
図示のように、背負い型とする場合、背負った状態でバックミラーと頭部との間にブラシを持った手でスムーズに入る空間ができる。このように、背負い型とすると使用時にはスペースを取らないと共に、不要時には折り畳むことができ、保管にもスペースを取らない。
【0033】
また、ミラー本体1は背面板2に対して上面板3、左右の側面板4、5をそれぞれヒンジ部6、7、8を支点として独立して開閉できるため、頭頂部だけを映したい時は上面板3だけを開いて映すことができる。かつ、開いた上面板3、側面板4、5の傾斜角度を変えることができ、映したい部分を簡単に確実かつ簡単に見ることができる。
【0034】
このように、本発明に係わる頭髪用バックミラーを用いると、従来は手探りで行っていた後頭部および頭頂部の頭髪染色を正面側のミラーを見ながら行うことができ、後頭部および頭頂部の染色すべき部分あるいは全体を漏れ無く確実に染色することができる。
特に、背負い型とした場合、洗面所でミラーを見ながら立った姿勢でもバックミラーを使用することができ、かつ、両手が空くために、家庭において自分で頭髪染色を簡単かつ確実に行うことができる。
このように、家庭で簡単かつ確実に頭髪染色を行うことができるため、根元部分が伸びてきても、また、染色部分が脱色しても、其の都度、美容院で頭髪染色をしてもらう必要がなくなり、時間と費用とをカットできる利点がある。
【0035】
さらに、頭髪を染色する場合に限らず、頭頂部や後頭部に部分的にかつらや付け毛をする場合、後頭部の頭髪に装飾品を付ける場合、ヘヤーメイクをする場合、頭髪用バックミラーを見ながら行うことができる。さらに、育毛剤を付けている場合には、単に頭頂部や後頭部の頭髪の状態を見たい場合にも利用できる。
【0036】
図7、図8に第一実施形態の変形例を示す。
図7の第1変形例では、背面板2、上面板3、左右の側面板4、5は鏡面としてガラスの鏡30を用い、別体の樹脂板、金属板または木板からなる固定板31の表面に鏡30を接着剤で固定している。このようにガラスの鏡30を用いても薄い鏡を用いれば重量を軽減でき、かつ、背負い型とせずに自立型、固定型とした場合は鏡の重量が重くなっても、問題はない。
【0037】
図8(A)(B)に示す第2変形例では、背面板2、上面板3および左右の側面板4、5を一体成形した樹脂板35で形成し、背面板2と上面板3の境界、背面板2と左右の両側面板4、5の境界に樹脂板35に薄肉ヒンジ部36を設けている。該樹脂板35に前記のように鏡面メッキ、鏡面フィルム、またはガラス鏡を設けている。
前記薄肉ヒンジ36では、一端側から係止片37を突設し、該係止片37に間隔をあけて係止穴37aを設ける一方、他端側に係止穴37aに嵌合する凸部38を設けている。前記上面板3、側面板4、5を背面板2より開いて、凸部38を係止片37の係止穴に挿入すると、上面板3、側面板4、5を独立して所要角度で開くことができる。
【0038】
図9、図10に第二実施形態を示す。
第二実施形態では、前記左右の側面板4、5の上部は外縁は上下直線方向に延長し、上端から上面板3とヒンジ部6の上端に向けて傾斜した三角形状の上部突出部4a、5aを設けている。
前記上面板3は背面板2と同一幅の左右両側にヒンジ部3a、3bを介して上面左右両側部3d、3eを設け、該上面左右両側部3d、3eは、前記ヒンジ部6の左右両端から上端に向けて傾斜した三角形状としている。
【0039】
前記上面板3および上面左右両側部3d、3eの先端は曲率の大きな円弧としている。
かつ、上面左右両側部3d、3eの外側端に凹部3f、3fを設ける一方、前記左右の両側面板4、5の上部突出部4a、5aの上端面に凸部4b、5bを設けて凹凸嵌合できるようにしている。
【0040】
前記左右の側面板4、5の上部突出部4a、5aの傾斜角度α1と、上面板3の上面左右両側部3d、3eの傾斜角度α2とは、α2>α1として傾斜角度を変えている。
上面板3の上面左右両側部3d、3eは上面板3との間のヒンジ部3a、3bを支点として上面左右両側部3d、3eを下向きに屈曲させ、側面板4、5の上部突出部4a、5aの上端に乗せている。該側面板4、5の開き角度を変えると、上面左右両側部3d、3eの下向き傾斜角度も変わることになる。
また、前記のように、上部突出部4a、5aの上端面に設けた凸部4b、5bを上面左右両側部3d、3eの外側端の凹部3f、3fに嵌合すると、両側面板4、5の開き角度および上面板3および上面左右両側部3d、3eの傾斜角度が一定となる。
【0041】
このように、第二実施形態のバックミラーでは、両側面板4、5と上面板3との間を隙間なく連続でき、バックミラーで全周を覆うことができると共に、上面板3を前傾姿勢で安定保持することができる。
【0042】
該第二実施形態のバックミラーは背負い型とし、背面板3の下部から後方下向き傾斜した支軸60を突設している。一方、支持材61は左右の肩取付部61a、61bの間に後方へ円弧状またはコ字状に突出した連結部61cを備えた形状とし、該連結部61cに背面板3から突設した支軸60を取り付けている。
左右の肩取付部61a、61bには肩峰に被せる下向き円弧状のクリップ63、63を設け、該クリップ63、63の内面をゴムからなる腕通し用の円環材64、64の上半周部の外面に固着している。
【0043】
前記した背負い型とすると、バックミラーは使用者の後頭部に大きな隙間をあけて取り付けることができる。かつ、洗面台の前に立って毛染めを行う場合、バックミラーを取り付ける部材を探す必要はなく、使い勝手がよくなる。
【0044】
図11に第三実施形態を示す。
第三実施形態では、支持材70は他部材への取付型としている。
背面板3から蛇腹管からなる支軸71を突設し、該支軸71の下端に設けた球状軸部を支持材70に設けた球面軸受で回転自在に連結した軸受部分72で支持している。支持材70にはクリップ73を設け、椅子等の他部材75に着脱自在に取り付ける構成としている。
なお、支軸71は蛇腹管に伸縮管を連続して設け、他部材75の配置位置と使用者の位置と間の距離に応じて伸縮できるようにしてもよい。
【0045】
図12(A)(B)に第四実施形態を示す。
第四実施形態では、加熱および送風手段を付設している。
図12(A)に示すように、前記背面板2、上面板3、左右の側面板4、5の樹脂板に熱線40を埋設している。該熱線40と接続したコード41の先端にプラグ42を設けて電源のコンセントと接続できるようにしている。これにより、ミラー本体1を所要温度で加熱でき、該ミラー本体1の加熱により頭髪に熱を与えて、染料を早期に乾燥することができる。なお、背面板2にだけ熱線を埋設してもよい。
【0046】
さらに、図12(B)に示すように、背面板2の背部にモータ付きブロア45を付設し、該モータと接続した電線を前記熱線40と接続した電線をコード41内に配線して電源と接続できるようにしている。
ブロア45の送風吹き出し口は前記ヒンジ部6〜8の隙間から頭部に送風を当てることができる。また、上面板3、側面板4、5の先端に内部側に向けて吹き出す送風口を設けてもよい。
なお、加熱手段および送風手段は前記に限定されず、ヒータを付設して、ブロアからの風をヒータで加熱して熱風を頭部に当てるようにしても良い。
【0047】
図13(A)(B)に第五実施形態を示す。
第五実施形態はミラー本体1を前記特許文献1と同様な円弧形状としている。
前記円弧形状のミラー本体1を頭頂部に被せる部分の中央前端を支点とし、該支点から径方向に放射状に3枚に分割している。この3分割した中央部50と左右両側面板51、52は前記支点に当たる部分に貫通穴50a〜52aを設け、支軸55を通して回転自在に連結している。
【0048】
該構成とすることで、中央部50を挟んで左側面板51を内周側、右側面板側52を外周側に重ねて折り畳めると共に、使用時には、中央部50の両側に左右の側面板51、52を配置することができる。
前記中央部50の下端に第一実施形態と同様にネジ筒14を設けている点は同様である。第三実施形態の他の構成は前記第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を越えない範囲の種々の形態を含む。例えば、背面板、上面板および左右の側面板をそれぞれ矩形状とせずに、上面板の両側をテーパ形状と、側面板の上端縁や下端縁をテーパ形状としてもよい。かつ、円弧形状とした場合に4分割して重ねた状態の面積を小さくしてもよい。さらに、ヒンジ部にコイルバネを設けても良いし、上面板、左右面部を開いた状態で一定位置に固定できるようにしてもよい。また、背負い式の場合、横軸は両肩にのせるため湾曲させてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ミラー本体
2 背面板
3 上面板
4、5 側面板
6〜8 ヒンジ部
14 ネジ筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔の正面側を除いて、後頭部を囲む背面側、頭頂部を囲む上面側、頭部の左右両側を囲む側面側を平面状または円弧状に囲むミラー本体を備え、該ミラー本体を折り畳めるようにヒンジ部を介して複数に分割して構成していることを特徴とする頭髪用バックミラー。
【請求項2】
前記ミラー本体は、それぞれ平面材からなる背面板、上面板、左右の側面板からなる四面鏡に分割し、前記背面板の上端縁に前記上面板、該背面板の左右両側縁に前記側面板をヒンジ部で連結し、前記上面板および側面板を背面板に重ねて折り畳みできるようにしている請求項1に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項3】
前記左右の両側面板の上部は外縁は上下直線方向に延長し、上端から前記上面板と前記ヒンジ部の上端に向けて傾斜した三角形状の上部突出部を設け、
前記上面板に背面板と同一幅の左右両側にヒンジ部を介して上面左右両側部を設け、該上面左右両側部は、前記背面板とのヒンジ部の左右両端から上端に向けて傾斜した三角形状とし、該上面左右両側部を前記左右の両側面板の上部突出部の上端に載置し、
前記ミラー本体は背面、側面及び上面に隙間なく連続する請求項1または請求項2に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項4】
前記上面板および上面左右両側部の先端側には大きな曲率の円弧部を設け、かつ、上面左右両側部の外側端と前記左右の両側面板の上部突出部の上端面との間に凹凸部からなる係合部を設けている請求項3に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項5】
前記ミラー本体は円弧形状とし、頭頂部の中央前端を支点として径方向に放射状に分割し、これら分割材の支点部をヒンジ部の支軸で連結し、重ね合わせて折り畳めるようにしている請求項1に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項6】
前記ミラー本体に一体的に固定した支持材または該ミラー本体に着脱自在に支持材を取り付け、該支持材は背負い型、自立型、他部材への取付型としている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項7】
前記ヒンジ部を介して連結した背面板、上面板、左右の両側面板は、前記上面板および左右の両側面板を背面板に対して一定角度で回転して傾斜保持する手段、または段階的に回転して所要角度で回転して傾斜保持する手段を備えている請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項8】
前記ミラー本体は樹脂板、金属板または木板からなる別体の固定板の表面にガラス鏡を固定し、または樹脂板の表面に鏡面メッキ層を設けて形成としている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項9】
前記支持材は背負い型とし、左右の肩取付部の間に後方へ突出した連結部を備え、該連結部に前記背面板から突設した支軸を取り付け、前記肩取付部には肩峰に被せるクリップを設け、該クリップの内面を弾性体からなる腕通し用の円環部の上半周部の外面に固着している請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の頭髪用バックミラー。
【請求項10】
前記支持材は他部材への取付型とし、背面板から蛇腹管を支軸とて突設し、該支軸の下端に設けた球状軸部を支持材に設けた球面軸受で支持し、該支持材に取り付けたクリップで前記他部材に着脱自在に取り付ける構成としている請求項6乃至請求項8のいずれか1項の記載の頭髪用バックミラー。
【請求項11】
前記ミラー本体に加熱手段、送風手段の少なくとも一方を付設している請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の頭髪用バックミラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−57889(P2010−57889A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33122(P2009−33122)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(504313424)
【Fターム(参考)】