説明

頭髪部密閉用具、およびそれを利用した洗髪方法、頭部治療方法、頭部燻蒸方法

【課題】 被災地などといった非日常的な環境下でも、周囲に泡や洗浄廃液などを飛散、漏出せずに簡便に洗髪可能としたり、洗髪以外の医療行為や燻蒸、アロマテラピーなどといった頭髪部のケアが時と所に左右されずに実施可能な新たな頭髪部密閉用具およびその使用方法を提供する。
【解決手段】 人体頭部適宜範囲の頭皮との間に流体流動用空間層3を確保可能なドーム状であり、その下端縁全周には、伸縮性を維持して密着状装着、可能な環状装着部2を一体的に組み込んでキャップ本体10とし、該キャップ本体10の複数適所に連通、閉鎖可能なバルブ機構5を備え、各バルブ機構5を介する流体Fの注入または排出を可能とする各流体操作用パイプPの、選択的且つ着脱自在な連結を可能とするパイプ接続部4を夫々形成してなる頭髪部密閉用具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体頭部の洗浄、乾燥、燻蒸、冷却のような理容術、美容術、医療処置、保健管理などに関連するものであり、頭皮および頭髪用の洗浄・燻蒸・冷却用具を製造、利用する分野は勿論のこと、その輸送、保管、展示、販売、組み立て、装着、使用などに必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
我が国は、地質学的にみれば、ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの異なる4枚の地殻プレートに周囲を囲まれ、世界的に見ても地震の多発地域であって、阪神淡路大震災や新潟県中越沖地震などに留まらず、今後も高い確率で大地震が発生するとの予測が各地でなされており、全国何れの地域においても、これまでの様々な経験に基づく震災対策が求められている。
【0003】
これまでの震災経験によって、被災直後は、緊急を要する救助活動や食料の供給が最優先に行われるが、避難所生活が始まって数日後にはいくらか平静を取り戻して暖かい食事を希望する人々が増加し、概ね1週間後には避難や救助活動で汚れた衣類を交換したいと希望する人や、入浴したいと希望する人々の数が大幅に増加するという傾向があることが解っており、各家庭のボイラーや給湯設備自体が大きく損傷している上、入浴に欠かせない水道やガスなどのライフラインの復旧には1ヶ月以上を要することが多く、衛生的な環境を確保できずに多くの被災者が疲労やストレスなどを増幅させてしまう原因となっていた。
特に、身体に障害をもつ人や寝たきりの高齢者など、椅子や車椅子に座ったまま、あるいは布団やベッドから起き上がることのできない人々にとっては、健常者より遙かに大きな負担を強いられることとなってしまい、こうした人々を含め、通常の入浴が不可能な状態に陥った人々について、その洗髪をはじめとする頭髪部のケアが簡単且つ効率的に実施し得るようにする用具の開発が待望視されている。
【0004】
(従来の技術)
そうした事情を打開しようと、例えば、後記する特許文献1(1)に掲載されている発明のように、漏水受け皿を有する枕体と頭髪部被覆袋とを備え、該頭髪部被覆袋の内面の適所に洗髪用ブラシ、噴水口、排水口および洗剤注入口を設け、前記噴水口は導水ホースを介して給水タンクに接続可能であり、排水口は排水ホースを介して集水タンクに接続可能とし、ベッドに寝かせた被洗髪者の頭の下に液受け皿を有する枕体を挿入し、頭髪部被覆袋で頭髪部を包み、ベッド脇に立てたスタンドに吊下した給水タンクより、該頭髪部被覆袋中に洗髪用温水を供給しながら洗髪できると共に、ベッド下の床面に準備した集水タンクに排水されるようにしてなる「介護用洗髪装置」や、同特許文献1(2)に示されている「洗髪用帽子」考案に見られるとおりの、中心に頭部挿入穴が形成されたリング状の水受樋部と、頭部挿入穴の周囲に設けられた水止バンドとを有し、水受樋部の前方部に映像が映し出せるスクリーン板を設け、幼児等が洗髪の際に頭部に装着すると、頭部を洗髪した洗浄液等は水受樋部によって顔の方に回り込まずにリング状の水受樋部を通って後方に流れ落ち、顔や耳が洗浄液等に濡れることがなく、しかもスクリーン板に映し出される映像を見ながら機嫌よく洗髪できるようにしてなるものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているような介護用の洗髪装置などは、頭髪部被覆袋の頭部装着用の開口部に、頭髪部への被覆や脱却をスムーズに行えるよう切り込み部が形成されているが、この切れ込み部からは、洗髪や濯ぎ中に漏水してしまう虞があり、これを防止する上でも横たわった姿勢の被洗髪者の頭の下に液受け皿を有する枕体を挿入しなければならず、仰臥位となった被洗髪者専用のものといわざるを得ず、着座姿勢の人などには使用できないという欠点を有し、また、後者の特許文献1(2)に代表されるような幼児向け洗髪用の帽子などは、直立姿勢や着座姿勢などのように、背筋を直立させた姿勢でのみ正常に洗髪することができるが、入浴中の使用を目的としているため、頭部回りを1周しているリング状水受樋部の上部が開放しており、洗髪中の泡や洗浄水などが周囲に飛沫し易く、頭部を僅かに傾けただけでも排水が周囲に溢れてしまい、密集する避難所内で衣類を着たま使用するようなことには全く不向きである上、例えばベッドや布団に寝ているような姿勢や、リクライニングシートの背凭れを傾けて着座しているような姿勢の被洗髪者には当然使用することができないという致命的な欠点があった。
【特許文献1】(1)特開平8−112327号公報 (2)特開平10−245709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある洗髪用帽子類を含む頭髪部のケア用となる用具は、何れも被災地などのライフラインが寸断されてボイラーや給湯器などが作動しないようなときにも、個々人が必要に応じて簡便に装着して何とか洗髪だけはできなくはないにしても、それらの中で介護専用に提供されているものでは、被洗髪者が仰臥姿勢を取らなければ使用不可能であったり、入浴専用のものとしての従来品では、洗髪に伴う泡や洗浄廃液などが周囲に飛散し易く、地震時などといった災害対策用品としての機能が不十分なものでしかなく、ライフラインが途絶された避難所内のような非常事態に遭遇している場所で、しかも対象者の健康状態や怪我の状態などに応じて生ずる仰臥姿勢、直立姿勢、着座姿勢など様々な状況においても、支障なく簡便に使用できる実用的な頭髪部のためのケア用品が欠けていることを痛感してきた。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、特にライフラインが寸断された被災地のような緊急な状況下であり、しかも被洗髪者の状態に関わらず簡便且つ経済的に洗髪をはじめとする各種頭髪部のケアができる上、周囲に泡や洗浄廃液などといった各種流体を飛散、漏出させずに使用可能であり、しかも洗髪以外の医療行為や燻蒸、アロマテラピーなどといった広範囲に亘る利用も可能となる新たな用具、およびその使用技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の頭髪部密閉用具、およびそれを利用した新規な洗髪方法をはじめ、頭部治療方法、頭部燻蒸方法を完成、実用化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成の詳細を説示することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の頭髪部密閉用具は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲して頭皮との間に流体流動用空間層の確保が可能なドーム状とする気密性素材からなり、その下端縁全周には、適度の伸縮性を維持したまま頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着が操作可能となるようにした環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体にすると共に、該キャップ本体の頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所には、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備え、且つ該バルブ機構を介しての流体の注入または排出を果たす流体操作用パイプの、選択的に着脱自在をする連結が可能となるようにしたパイプ接続部を夫々形成してなるものとした構成を要旨とする頭髪部密閉用具である。
【0009】
この基本的な構成からなる頭髪部密閉用具を、より具体的なものとして示すと、頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲して頭皮との間に流体流動用空間層の確保が可能なドーム状とする気密性素材からなり、その下端縁全周には、適度の伸縮性を維持したまま頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着可能となるようにした、中空無端状の伸縮性チューブ製で、その他周壁適所にはポンプ接続用の空気バルブを設けてなる環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体にすると共に、該キャップ本体の頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所には、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備え、且つ該バルブ機構を介しての流体の注入または排出を果たす流体操作用パイプの、選択的に着脱自在をする連結が可能となるようにしたパイプ接続部を夫々形成してなるものとした構成からなる頭髪部密閉用具となる。
【0010】
これを換言すると、髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲して頭皮との間に流体流動用空間層の確保が可能なドーム状とする気密性素材からなり、その下端縁全周には、適度の伸縮性を維持したまま頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着可能となるようにした、柔軟性ある肉厚帯製であって、その他がわとなる適所には面ファスナー製の緊締バンドを装着してなる環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体にすると共に、該キャップ本体の頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所には、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備え、且つ該バルブ機構を介しての流体の注入または排出を果たす流体操作用パイプの、選択的に着脱自在をする連結が可能となるようにしたパイプ接続部を夫々形成してなるものとした頭髪部密閉用具となる。
【0011】
(関連する発明)
上記した頭髪部密閉用具に関連し、この発明には、それを用いた洗髪方法も包含している。
即ち、この発明の上記した頭髪部密閉用具を、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に吸水用となる流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排水用となる流体操作用パイプを接続した後、吸水用の流体操作用パイプから頭部を覆う流体流動用空間層中に適宜温度調節された温水を強制的に供給し、必要に応じて温水中に洗剤類を添加したり、気密性素材越しにマッサージを加えるなどして洗髪した後、これら流体流動用空間層中の汚れた温水を排出用の流体操作用パイプから排水すると共に、吸水用の流体操作用パイプから清浄温水を連続的に供給して濯ぎ洗いを行った上、必要に応じて吸水用または排水用の何れか一方の流体操作用パイプから同流体流動用空間層中を通じて他方の流体操作用パイプに抜けるよう所定圧の乾燥用気体を供給、排出して頭髪を強制乾燥するようにした構成からなる洗髪方法である。
【0012】
これをより具体的に示すと、この発明の頭髪部密閉用具を、それによって形成される流体流動用空間層中に洗剤類を含む洗浄液類を充填した脆弱容器を収容するようにし、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に吸水用とする流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排水用とする流体操作用パイプを接続した後、該吸水用流体操作用パイプから、頭部を覆う流体流動用空間層中に適宜温度調節された温水を強制的に供給すると共に、当該脆弱容器に外力を加えて破裂させて温水中に洗浄液類を添加した上、必要に応じて気密性素材越しにマッサージを加えるなどして洗髪した後、流体流動用空間層中の汚れた温水を排水用流体操作用パイプから排水するようにしながら、吸水用流体操作用パイプから流体流動用空間層中に清浄な温水を連続的に供給、濯ぎ洗いを行った上、必要に応じて吸水用または排水用の何れか一方の流体操作用パイプから同流体流動用空間層中を通じて他方の流体操作用パイプに抜けるよう所定圧の乾燥用気体を供給、排出して頭髪を強制乾燥するようにした洗髪方法となる。
【0013】
また、この発明には、前記した頭髪部密閉用具を使用して実施する頭部治療方法を包含しており、この頭髪部密閉用具を、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に供給用とする流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排出用とする流体操作用パイプを接続した後、供給用の流体操作用パイプから頭部を覆う流体流動用空間層中に体温調節可能な適宜温度に調節された冷却流体または加温流体の何れか一方を強制的に供給し、流体流動用空間層中の流体を、排出用の流体操作用パイプから排出するようにしながら、供給用の流体操作用パイプを通じて冷却流体または加温流体を連続的に供給して頭部を集中的に冷却または加温可能とするようにした構成を要旨とする頭部治療方法がそれである。
【0014】
さらに、この発明には、前記したこの発明の頭髪部密閉用具を、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に供給用とする流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排出用とする流体操作用パイプを接続した後、供給用の流体操作用パイプから頭部を覆う流体流動用空間層中に燻蒸成分を伴う気体を強制的に供給し、同流体流動用空間層中の流体を、排出用の流体操作用パイプから排気するようにしながら、一定時間に亘って充填または循環するようにした構成による頭部燻蒸方法が包含される。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、この発明の頭髪部密閉用具によれば、従来型の介護専用のものでは、被洗髪者が仰臥位姿勢を取らなければ使用不可能であり、また、入浴専用のものは、洗髪に伴う泡や洗浄廃液などが周囲に飛散し易く、被洗髪者が頭部を僅かに傾けただけで洗浄水が周囲に漏出、飛散してしまうなど、地震などといった災害対策用品としての機能が不十分であったが、上記のとおり構成を有していて、人体頭部適宜範囲の頭皮との間に流体流動用空間層を確保可能なドーム状であり、その下端縁全周には、伸縮性を維持して密着状装着、可能な環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体とし、該キャップ本体の複数適所に連通、閉鎖可能なバルブ機構を備え、各バルブ機構を介する流体の注入または排出を可能とする各流体操作用パイプの、選択的且つ着脱自在な連結を可能とするパイプ接続部を夫々形成してなるものとし、ライフラインが途絶した避難所内のように、大勢が密集して生活しなければならないような不便な場所であっても周囲に迷惑をかけず、仰臥姿勢、直立姿勢、着座姿勢など、被災者の健康状態や怪我の状態などに起因した様々な姿勢であっても、支障なく人体頭部の洗浄、乾燥、燻蒸、冷却のような理容術や美容術、あるいは医療処置、保健管理などといった様々な用途に幅広く利用できるものになるという秀れた特徴が得られるものである。
【0016】
加えて、この発明の頭髪部密閉用具は、キャップ本体の被装着者の頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに対応する下端縁全周に添って、中空無端状の伸縮性チューブ製であって、該伸縮性チューブの外周壁適所に、ポンプ接続用且つ開閉操作可能な空気バルブを設けると共に、各種空気ポンプを着脱自在に設けてなる環状装着部を一体的に組み込んでなるものでは、空気ポンプを適宜操作して被装着者の希望する締め付け具合に自由に調節することが可能となり、被装着者に違和感や苦痛を与えることなく、より高い柔軟性を確保したまま均等且つ適度に締め付け、流体流動用空間層中に供給した液体や気体などの各種流体の漏水を一段と確実に防止することができるものとなる。
【0017】
また、環状装着部が高い柔軟性を有する肉厚帯製であって、該肉厚帯の外がわとなる適所に、面ファスナーからなる緊締バンドを装着した環状密着機構を有するものとし、面ファスナーによる頭部周りの調節寸法幅をより広く確保できるようにしたものとすることが可能となり、大人から子供まで幅広く対応できる頭髪部密閉用具を提供可能とし、避難所生活のような物資の供給が不足しがちな場所でも、一段と利用がってが良くなるものとすることでき、さらに、パイプ接続部に流体操作用パイプ接続用の接続筒部を内蔵し、該接続筒部内壁に、流体操作用パイプ用接続孔を穿孔した伸縮素材製の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化してなるものとした頭髪部密閉用具は、流体操作用パイプの接続および離脱作業性を、より簡単且つ確実に行えるようにすると共に、該パイプ接続部と流体操作用パイプとの接続部分からの流体漏出を、一層確実に防止することができる。
【0018】
そして、パイプ接続部の接続筒部内に弾性摩擦管を内蔵した上、該接続筒部の内端寄り内壁に弾性嵌着環が、離脱不能に装着された頭髪部密閉用具では、弾性嵌着環が流体操作用パイプの接続端外周に強固に嵌着するものとなり、弾性摩擦管のみを内蔵したものに比較し、より確実な接続状態を得ることが可能となり、不用意な脱抜による流体の漏出をより確実に防止でき、しかも流体操作用パイプの離脱も、引き抜き操作のみで簡単に行うことができ、また、パイプ接続部の接続筒部内に弾性摩擦管を内蔵した上、該接続筒部の内端寄り内壁に雌ネジ部を形成し、流体操作用パイプの接続端外周壁に雄ネジ部を形成した頭髪部密閉用具では、その螺着構造によって流体操作用パイプが一段と強固に連結されるものとなって、不用意な離脱をより確実に防止することができるという効果が得られることになる。
【0019】
さらに、当該パイプ接続部の底面か、または接続筒部内端かの何れか一方に通気性防水膜を張着してなるものとした頭髪部密閉用具では、流体流動用空間層中に液体および気体の混合流体を注入した場合などに、液体を流体流動用空間層中に留めて気体のみを外部に排気するものとなり、頭髪洗浄や乾燥、冷却、燻蒸、その他の気体注入および流体流動用空間層内の流体中に気体を供給、混合する作業などを大幅に効率化できる上、当該頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出状となるパイプ接続部、接続筒部の内端に一個または複数個の破裂用突起を突設してなるものとした頭髪部密閉用具では、被装着者の頭部に被着するときに流体流動用空間層中に、洗剤類を含む洗浄液などを充填した脆弱容器を収容した場合に、パイプ接続部を介して外力を加え、破裂用突起が脆弱容器を破裂させるよう操作可能となり、密閉状態に装着した頭髪部密閉用具内、流体流動用空間層中に流体操作用パイプを介さずして洗浄液などの注入が可能となり、洗髪作業や頭部洗浄作業、その他の様々な作業を大幅に効率化することができる上、流体操作用パイプの着脱操作を要さずして、こうした添加剤などの注入を簡単且つ確実にできるものとすることができ、更にまた、パイプ接続部を頭部被着状態で流体流動用空間層中に臨み開口する凹欠面壁状に形成し、その内部に塊状体の外側配置部分が収容されると共に、その余となる内側配置部分が、頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出するよう突出した温浴効果体が、弾性挟着機構を介して着脱自在に嵌着された頭髪部密閉用具では、温浴効果体が、頭皮や頭髪に温浴効果をもたらし、洗浄作用や血行促進、発毛促進、怪我の治癒、皮膚病の改善、リラクゼーション効果などの様々な効用をもたらすものとなる。
【0020】
加えて、パイプ接続部を、内部に接続筒部を設けた凹欠面壁状に形成し、その内部に接続筒部に嵌着可能な接続穴を穿設した塊状体の一部を嵌合状に収容すると共に、その余となる部分が、頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出するよう突出した、連続発泡状の通気、透液可能な多孔質球体が、着脱自在に装着されたものとしてなる頭髪部密閉用具では、パイプ接続部に接続した流体操作用パイプから気体または液体、もしくはそれらの混合流体を強制的に供給すると、多孔質球体を通じて流体流動用空間層中に供給される気体または流体が細かく分散され、細かな泡や柔らかな水流を発生して洗浄、乾燥などの効果を一段と高め、頭皮や頭髪への秀れたマッサージ効果も得ることができるという特徴が得られるものとなる。
【0021】
そして、この発明の頭髪部密閉用具を用いた洗髪方法によれば、従前までの頭部被着型の洗髪用具では、災害避難所のような大勢の人々が互いの家族同士、密集して生活しなければならない過酷な環境下で使用すると、洗浄液の漏水や周囲への飛散が起こる可能性が高く、実質的には殆ど使用不可能なものであり、しかも直立姿勢から仰臥姿勢まで対応することは不可能であったが、当該頭髪部密閉用具を人体頭部に被着し、環状装着部を密閉状態に緊締するようになることから、頭部を覆う密閉状の流体流動用空間層を形成し、適宜選択した各パイプ接続部夫々に各流体操作用パイプを接続し、吸水用となる流体操作用パイプから該流体流動用空間層中に温水を強制的に供給可能とし、必要に応じて洗剤類を添加したり、気密性素材越しにマッサージを加えるようにするなどして洗髪し、洗浄液の漏出や周囲への飛沫を確実に防止でき、避難所のような密集した環境下にあっても衛生的且つ快適に洗髪することができるものとなる上、健常者から罹病して寝たきりになっている人までと、どのような状況下の人であっても柔軟に対応でき、幅広い人々に使用可能という秀れた効果を発揮できる。
【0022】
そして、洗髪によって汚れた当該流体流動用空間層中の温水を排出用として接続した流体操作用パイプから排水し、この排水状態を維持したまま、吸水用の流体操作用パイプから清浄な温水を連続的に供給して濯ぎ洗いを行うことで洗髪工程と同様、この濯ぎ洗い工程でもあらゆる姿勢で漏水や周囲への飛散を確実に防止することができ、その後、何れかの流体操作用パイプから、流体流動用空間層中を通じて他方の流体操作用パイプに抜けるよう所定圧の乾燥用気体を供給、排出するようにして頭髪を強制乾燥することにより、頭髪が完全に乾燥してから頭髪部密閉用具を外せばよく、周囲に濯ぎ液が溢れたり飛散したりするのを確実に防止でき、しかも密閉された流体流動用空間層中に乾燥用気体を供給、排気することにより、乾燥効率を高め、短時間の中に乾燥工程を終えることができ、冬期などにも風邪など引かないよう予防して、被装着者への負担を大幅に軽減することができるという特徴を発揮する。
【0023】
また、この発明の頭髪部密閉用具に洗浄液類を充填した脆弱容器を併用して行う洗髪方法によれば、流体流動用空間層中に洗剤類を含む洗浄液類を充填した脆弱容器を収容する形で被装着者の頭部に装着した頭髪部密閉用具に各流体操作用パイプを接続し、吸水用とする該流体操作用パイプから温水を強制的に供給しながら、当該脆弱容器に外力を加えて破裂させ、温水中に洗浄液類を添加して気密性素材越しにマッサージを加えるなどして洗髪するよう設定し、洗浄液類注入のために流体操作用パイプを着脱する必要を無くし、流体流動用空間層が密閉されたまま、洗髪から濯ぎ洗い工程、および必要に応じて行う乾燥工程までを実施することが可能となり、一連の洗髪作業の効率を格段に高めることができるようになるという秀れた効果が得られる。
【0024】
さらに、この発明の頭髪部密閉用具を用いた頭部治療方法によれば、当該頭髪部密閉用具を人体頭部に被着し、頭部を覆うよう形成された流体流動用空間層中に体温調節可能な適宜温度に調節された冷却流体または加温流体の何れか一方を強制的に供給、排出するよう設定し、例えば被災による怪我、または病気などで頭部を冷却しなければならない場合や、体温が低下して加温しなければならない場合など、物資が不足する被災地であっても有効且つ簡便、迅速な医療行為あるいは看護行為を行うことが可能となり、救助活動にも応用でき、そして、この発明の頭髪部密閉用具を用いた頭部燻蒸方法によれば、被装着者の頭部に被着した頭髪部密閉用具、流体流動用空間層中に燻蒸成分を伴う気体を強制的に供給、排気すれば、頭皮の炎症などの治療や避難生活中に発生してしまった頭しらみの駆除など医学的処置に絶大な効果を発揮する上、頭髪のトリートメントのような美容、理容や、アロマエッセンスを用いた芳香療法など、被災によるストレスなどを解消することにも大いに役立つものとなるという秀れた特徴を発揮するものとなる。。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
キャップ本体は、人体頭部をドーム状に包囲し、頭皮との間に流体流動用空間層を確保可能として防水状態を確保しつつ、洗浄液や乾燥用の気体、冷却液、加温液、燻蒸ガスその他の流体を頭皮および頭髪に添う層状に封じ込め、洗髪、乾燥、揮発洗浄、冷却、加温、燻蒸などの様々な処置を可能とする機能を果たし、気密性素材からなり、人体頭部の頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着の操作を可能とする環状装着部が一体的に組み込まれており、頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所に、夫々流体操作用パイプ用のバルブ機構を有するパイプ接続部を形成したものとしなければならず、ドーム状の金属製や硬質プラスチック製のものとして被装着者の頭部を覆うよう形成したものとすることも可能だが、後述する実施例に示すように、洗浄や乾燥、その他の何れかの作業を行う作業者の両手で、気密性素材越しに被装着者の頭部の略全体を直接的にマッサージできる程度に、全体または一部が柔軟性素材からなるものとするのが望ましい。
【0026】
環状装着部は、被装着者の頭部に被着した当該頭髪部密閉用具、キャップ本体の下端縁全周であって頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに確実に密着するよう装着操作可能とすると共に、容易に弛緩してキャップ本体の頭部への脱着操作を簡単なものにするという機能を果たし、適切な構造によってキャップ本体の下端縁全周を、頭部周りに添って緊張、弛緩操作可能であって流体流動用空間層中の流体が漏出せず、しかも頭部周りを強く締め付け過ぎないものとしなければならず、後述する実施例に示すように、中空無端状の伸縮性チューブ製で、該伸縮性チューブの外周壁適所に、ポンプ接続用且つ開閉操作可能な空気バルブを設け、各種空気ポンプを着脱自在に形成されたものとすることが可能である外、頭部周りに当接して密着状装着が操作可能となるよう、高い柔軟性を有する肉厚帯製であって、該肉厚帯の外がわとなる適所に、面ファスナーによる緊締バンドを装着してなるものとすることができる。
【0027】
流体流動用空間層は、当該キャップ本体の被装着者の頭皮外がわに層状に確保された所定厚さの空洞状の領域であり、この領域には、キャップ本体に接続された流体操作用パイプを通じて各種流体が供給、排出されるよう設定する機能を有し、頭皮や頭髪を処理するに十分且つ適切な量の流体を充填可能なものとしなければならず、キャップ本体の全体が硬質な素材や伸縮性のない素材からなる場合、その容積は装着の間、略一定に保たれるが、キャップ本体に伸縮性がある場合には、その容積が或る程度変化するものとなり、必要に応じて脆弱容器などを収容するよう設定された場合などには、脆弱容器を収容可能とするよう十分に余裕のある容積に設定されたものとしなければならない。
【0028】
パイプ接続部は、キャップ本体複数適所の夫々に各種流体操作用パイプを着脱自在且つ密閉状に接続可能とし、各流体操作用パイプが取り外された場合には、接続部分を密閉操作または自動密閉可能とする機能を果たし、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備えたものとしなければならず、キャップ本体の気密性素材肉厚中に埋設状に設けられたものや、気密性素材の一部を外がわに膨出させて、その膨出部分内がわに内蔵するよう設けたものとすることなどが可能であり、後述する実施例に示すように、複数個設けられたパイプ接続部の中、少なくとも1個が流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、該接続筒部内壁には、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製、肉厚筒状の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化してなるものとすることができ、また、少なくとも1個のパイプ接続部が、流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、該接続筒部内壁には、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製、肉厚筒状の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化し、該接続筒部の内端寄り内壁に、接続対象のパイプ外径より僅かに小径の弾性嵌着環が、離脱不能に装着されたものなどとすることが可能である。
【0029】
さらに、複数個設けられたパイプ接続部の中、少なくとも1個のパイプ接続部は、流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、該接続筒部内壁には、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製、肉厚筒状の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化し、該接続筒部の内端寄り内壁に、ナット状雌ネジ部を形成する一方、流体操作用パイプの接続端外周壁に該雌ネジ部に螺着可能な雄ネジ部を形成してなるものとすることが可能であり、また、少なくとも1個のパイプ接続部は、頭部被着状態で流体流動用空間層に対応する底面の全体か、または、接続筒部内端かの何れか一方に通気性防水膜を張着してなるものとすることができ、あるいは、少なくとも1個のパイプ接続部は、流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、その接続筒部の頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出状となる内端に一個または複数個の破裂用突起を、突設してなるものとすることが可能であって、少なくとも1個のパイプ接続部が、頭部被着状態で流体流動用空間層中に臨み開口する凹欠面壁状に形成し、その内部に塊状体の外側配置部分が収容されると共に、その余となる内側配置部分が、頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出するよう突出した温浴効果体が、弾性挟着機構を介して着脱自在に嵌着されたものとすることができる外、少なくとも1個のバルブ機構が、内部に接続筒部を設けた凹欠面壁状に形成し、その内部に接続筒部に嵌着可能な接続穴を穿設した塊状体の一部を嵌合状に収容すると共に、その余となる部分が、頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出するよう突出した、連続発泡状の通気、透液可能な多孔質球体が、着脱自在に装着されたものとすることが可能である。
【0030】
バルブ機構は、キャップ本体の複数適所の夫々に配された各パイプ接続部に各流体操作用パイプを、それらの内部を流通する流体が外部に漏出しないよう、気密状および液密状に接続可能として流体流動用空間層と各流体操作用パイプとの間を流体が流動自在な状態に接続可能とすると共に、流体操作用パイプが未接続の場合には、気密状および液密状に閉鎖、密閉可能とするという機能を果たし、キャップ本体の気密性素材肉厚中に埋設状に設けられたパイプ接続部に内蔵されたものや、気密性素材の一部を外がわに膨出させ、その膨出部分内がわに内蔵するよう設けたパイプ接続部に内蔵されたものとすることなどが可能であり、より具体的には、接続筒部に密閉状に嵌着可能であって、外部から脱着可能なキャップ型や、接続筒部内壁に雌ネジを刻設し、外部から密閉状に螺合可能としたボルト型、パイプ接続部にコイルスプリングを内蔵した弁を有し、流体操作用パイプを押し込むと弁が自動的に開放し、抜き取ると弁が自動的に密閉閉鎖するものとした自動開閉弁型のものなどとすることができる。
【0031】
接続筒部は、パイプ接続部に流体操作用パイプが着脱自在に接続可能にすると共に、流体操作用パイプが離脱されたときには、流体流動用空間層と外部との間を密閉、閉鎖するバルブ機構を一体的に保持可能とする機能を果たすもので、パイプ接続部を貫通し、流体流動用空間層と外部と連通する管路を形成し、同管路内に付属する各種部品を設けたものとしなければならず、より具体的には、後述する実施例に示すように、管路内壁には、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製、肉厚筒状の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化したものや、同管路の内端寄り内壁に、接続対象のパイプ外径より僅かに小径の弾性嵌着環が、離脱不能に装着されたもの、または、同管路の内端寄り内壁にナット状雌ネジ部を刻設したもの、あるいは、管路内端に通気性防水膜を張着してなるも、もしくは、管路内端に一個または複数個の破裂用突起を突設したものなどとすることができる。
【0032】
弾性摩擦管は、パイプ接続部の接続筒部中に差し込まれた流体操作用パイプの端部を容易に脱抜しないよう確りと密着、保持し、流体の漏出を防ぐ状態に接続可能とすると共に、強く引き抜けば簡単に流体操作用パイプを離脱できるようにする機能を果たし、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製の肉厚筒状であり、当該接続筒部内壁に密着状に固着されたものとしなければならず、例えば独立発泡樹脂製のスポンジや軟質合成樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムまたは天然ゴムなどからなるものとすることができる。
【0033】
接続筒部内の弾性嵌着環は、パイプ接続部の接続筒部中に差し込まれた流体操作用パイプの端部外周に、弾性的に嵌合して該接続筒部と流体操作用パイプの端部とを嵌脱自在且つ強固に連結可能とするものであり、該接続筒部の内端寄り内壁に、接続対象のパイプ外径より僅かに小径の環状体として離脱不能に装着されたものとしなければならず、例えば一部が分断されたC字型環状バネや、一部が重なり合う螺旋型環状体または弦巻型環状バネ、あるいは、天然ゴム製もしくは軟質樹脂製などの伸縮性素材製環状体などからなるものとすることができ、少なくともその他周縁と接続筒部内壁との間を密閉状態となるようにするか、または、後述する実施例に示すように、それが配された接続筒部内端寄りの箇所よりも外側端寄りとなる内壁に弾性摩擦管の外周壁を密着するよう内蔵してなるものとするのが望ましく、合成樹脂製または金属製の環状体からなり、該接続筒部の内壁に同心状に配されたものとし、同接続筒部内壁の上下がわ夫々に、中心に向けて突設された複数の規制用凸部を突設し、上下動可能範囲を規制したものとすることが可能である。
【0034】
接続筒部内の雌ネジ部は、パイプ接続部の接続筒部中に差し込まれた流体操作用パイプの端部を螺合、接続可能とするものであり、流体操作用パイプ接続端の外周壁に刻設した雄ネジ部をパイプ接続部に密閉状に螺合可能とするものとしなければならず、十分な強度と密閉度とをもって接続可能なものとすべきであり、また、接続筒部内端の破裂用突起は、流体流動用空間層中に収容された脆弱容器を、キャップ本体外からの操作によって容易に破裂させる操作を可能とする機能を果たし、脆弱容器を容易に破裂出来る程度の硬さを有する突起状のものとすべきであるが、万が一頭髪などに接触しても傷付かない形状に留めなければならず、先端を円弧状や僅かに丸めるなどして頭髪や頭皮を痛めないよう配慮した形状、寸法に設定すべきである。
【0035】
通気性防水膜は、パイプ接続部の流体流動用空間層に臨む開口部が液体を通過せず、実質的に気体だけを供給、排気できるようにする機能を果たし、界面活性剤などを含む液体であっても防水状態を保持可能な性能を有する通気性繊維を用いたものとするのが望ましく、パイプ接続部の底面全体か、または接続筒部の内端かの何れかに張設したものとすることができる。
【0036】
温浴効果体は、パイプ接続部の流体流動用空間層に臨む箇所から、温浴効果を発して被装着者の頭部や頭皮、頭髪に働きかけるものであり、パイプ接続部適所に着脱自在に設けられたものとすべきであり、遠赤外線、育成波などを発する物質塊やゲルマニウム、ラジウムなどの鉱物、備長炭や竹炭などの炭化物質、重曹、岩塩、湯の素、湯の花などの入浴剤類の塊状体か、または、それらが添加、浸透された塊状のものかの何れか、または適宜組み合わせに依るものとすることが可能である。
【0037】
弾性挟着機構は、パイプ接続部の流体流動用空間層に臨む箇所に温浴効果体を着脱自在に装着可能とする機能を果たすものであって、後述する実施例に示すような、パイプ接続部の流体流動用空間層に臨む箇所の周縁付近に添って温浴効果体を弾性的に嵌合状保持可能とする複数のバネ製保持片からなるものとすることができ、例えば各バネ製保持片の先端が温浴効果体の対応箇所に形成された嵌合部分に嵌着可能な嵌合構造を有するものとすることができる。
【0038】
多孔質球体は、パイプ接続部を通じて流体流動用空間層中に供給される流体を細かく分散して供給するようにして、気体を伴う液体を供給すると微細な泡状流体を放出可能とし、気体のみを供給すると流体流動用空間層中の液体に微細な泡を発生するようにすることができ、また、気体を均等に分散、供給可能とするものであり、パイプ接続部と同等程度の体積を有するか、または、パイプ接続部の流体流動用空間層に臨む面積と略同程度の面積を有するかの何れかに設定されたものとすべきであり、球体の外、立方体や直方体、柱状体、錐状体、多面体などのあらゆる立体形状に置き換え設定可能であり、天然または人口的に焼成された軽石製、あるいは多孔質セラミックス製、多孔質ガラス製などの外、多孔質発泡樹脂製のものなどとすることができ、必要に応じてパイプ接続部の接続筒部に嵌着可能な接続穴を穿設し、パイプ接続部に嵌合状に組み合わせ、装着可能としたものとすることができる。
【0039】
流体操作用パイプは、タンクその他の流体供給源や排水先などをキャップ本体の適所に連結し、実質的にそれらタンク類などとキャップ本体内の流体流動用空間層とを気密状および液密状に接続可能とする機能を果たすものであり、硬質なパイプからなるものとすることができるが、柔軟な素材からなり、利用者が自由に姿勢変更したりできるものとするのが良く、必要に応じて接続端に雄ネジ部を一体成型、または別部品を組み込むなどして形成したり、着脱操作用のノブやクリップなどを一体化、または組み込まれたものとすることができる。
【0040】
流体は、人体頭部、頭皮、頭髪に良く馴染んで美容的、理容的、衛生的、医学的、精神的、または、それら総合的な様々な作用を与えることが可能な流動物質としての機能を果たし、液体、ゲル、気液混合体、泡、気粉混合体、気体、煙、粉体、粒状体、または、それらの混合体などとすることができ、より具体的には、水、冷水、湯、洗浄液、シャンプー液、リンス液、トリートメント液、消毒液、揮発液、冷涼液薬、マッサージ用液薬、育毛用薬液、染髪用薬液、パーマ用薬液、香油、香料、抽出液類、空気、酸素、加湿空気、湯気、霧、粉末薬、粒状薬、燻煙、香煙、その他の薬品類、漢方薬、ハーブなどの芳香成分など、あらゆるものの中から適宜選択あるいは組み合わせたものとすることが可能である。
【0041】
脆弱容器は、キャップ本体の装着によって頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲し、頭皮との間に形成される流体流動用空間層中に、予め薬剤などを封入した容器を収容しておき、流体流動用空間層中に流体を供給する前後、または流体を供給しながら、キャップ本体外から外力を加える形で開封操作し、封入された薬剤などを流体中に放出、混合可能とする機能を果たすものであり、キャップ本体の気密性素材越しに開封操作容易なものとしなければならず、人体頭部に直接接触しても支障のない程度に柔軟な素材からなるものとすべきであり、より具体的には、キャップ本体外型から容易に破裂操作可能な、ポリプロピレンやポリエチレンなどの軟質合成樹脂製の密閉袋や、軟質な天然ゴムや合成ゴム製の密閉袋などとするのが望ましい。
【0042】
上記したこの発明の頭髪部密閉用具を使用する洗髪方法は、この頭髪部密閉用具で頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲し、頭皮との間に密閉状に確保した流体流動用空間層中に、適温の湯や水などを適宜給排水しながら共に、洗浄剤などを用いて頭髪および頭皮を洗浄してから濯ぎ洗いした後、必要に応じて温風などを供給して強制乾燥させるようにするものであるが、洗浄と濯ぎ洗いとを交互に複数回繰り返すように作業を進めたり、洗浄、濯ぎ洗い後に、リンスやトリートメント、染色などの作業を行うようにすることが可能であり、また、乾燥用の温風に香料や燻煙を添加したり、乾燥処理後に、清涼剤や育毛剤などを霧化するなどして流体流動用空間層中に散布するよう作業を進めることが可能である。
なお、この洗髪方法の前後もしくは途中に、下記するこの発明の頭部治療方法や頭部燻蒸方法を併用、実施することも勿論可能である。
【0043】
この発明における頭部治療方法は、外傷や病気の治療に、この発明の頭髪部密閉用具を用いて頭部を冷却または加温するものであり、頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲し、頭皮との間に密閉状に確保した流体流動用空間層中に、治療に適切な温度に設定した流体を注入、または循環して冷却または加温するようにすべきであり、容態を身ながら必要に応じて冷却温度や加温温度を適宜調節しながら治療を行うようにするのが望ましく、加温から冷却へ、または冷却から加温へ途中変更することも可能である外、加温と冷却とを交互に実施するようにすることも可能である。
【0044】
また、この頭部燻蒸方法は、この発明の頭髪部密閉用具で頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲し、頭皮との間に密閉状に確保した流体流動用空間層中に、燻煙を供給するようにして頭髪、頭皮の殺菌、消毒、消臭、殺虫治療やトリートメント、または、着香によるストレスの解消やリラクゼーション、リフレッシュなどを目的とした処置を施すものであり、流体流動用空間層中に、各種燻煙剤や各種燻香からの煙、またはアロマキャンドル、香油、などの各種アロマ剤によって発生させたガス、あるいは、植物性のオイルを無水エタノールや蒸留水などに割って揮発性の香料とし、適温の湯気や気化ガスを伴って供給するよう設定することなどが可能であり、必要に応じてこの発明の頭髪部密閉用具を用いた洗髪の前後何れか、または、洗髪、乾燥作業後か乾燥と同時にかの何れか一方の段階に、この頭部燻蒸方法を施すようにすることも可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0045】
図1の頭髪部密閉用具の斜視図、図2の伸縮性チューブ部分の断面図、図3の頭髪部密閉用具装着状態の側面図、図7の弾性摩擦管を内蔵したパイプ接続部の断面図、図8のパイプ接続部に接続したペットボトルから延びる流体操作用パイプの側面図、および図9の流体操作用パイプが組み込まれたペットボトルの側面図に示す事例は、人体頭部適宜範囲の頭皮との間に流体流動用空間層3を確保可能なドーム状であり、その下端縁全周には、伸縮性があって密着状装着の可能な環状装着部2を一体的に組み込んでキャップ本体10とし、該キャップ本体10の複数適所に連通、閉鎖可能なバルブ機構5を備え、各バルブ機構5を介する流体Fの注入または排出を可能とする各流体操作用パイプPの、選択的且つ着脱自在な連結を可能とするパイプ接続部4を夫々形成してなるものとした、この発明の頭髪部密閉用具における代表的な一実施例を示すものである。
【0046】
図1ないし図3の各図からも明確に把握できるとおり、この発明の頭髪部密閉用具1は、軟質な天然ゴム製または合成ゴム製、軟質合成樹脂製、軟質な独立発泡樹脂製など何れかの気密性素材からなり、人体頭部の頭髪生え際辺りから上位となる範囲を包囲可能であると共に、頭皮との間に所定厚みの流体流動用空間層3を確保可能なドーム状に成型されたものとするか、または裁断、熔着あるいは裁断、接着するなどしてドーム状に形成したキャップ本体10を有し、該キャップ本体10には、その頭髪生え際辺りに相当する開口周縁に添って同キャップ本体10と同一素材製で中空無端状の伸縮性チューブ20製であって、その他周壁適所に手押し型空気ポンプ22接続用、且つ開閉操作可能な空気バルブ21を設けた環状装着部2を一体化してある。
【0047】
当該キャップ本体10の頭頂周辺と同環状装着部2近傍との各2箇所ずつ、合計4箇所には、夫々半球面壁形状に突出し、各中央1箇所に円形貫通孔を穿孔した膨出部12,12,……を一体的に膨出形成すると共に、各膨出部12,12,……内側壁には、夫々図7中に示すような合成樹脂製の半球型壁体であり、同膨出部12の貫通孔に一致する中央付近からパイプ形状をなして貫通する接続筒部6を縦設、一体化したパイプ接続部4が、その他周壁に接着剤または両面粘着剤あるいは両面粘着テープなどの粘着層40を介在し、密着固定状に嵌合、装着されたものとし、該接続筒部6の外端開口には流体操作用パイプP誘導用の漏斗状の面取り41がなされ、内端開口には流体操作用パイプPの先端差込量を制限可能な規制用内フランジ66を一体成型し、同接続筒部6の内壁には、流体操作用パイプP外径より小径の接続孔61を穿孔した、軟質な天然ゴム製または合成ゴム製、軟質合成樹脂製、軟質な独立発泡樹脂製の何れかの伸縮気密性素材製で肉厚筒状の弾性摩擦管60の外周壁を密着するよう同心状に内臓し、熔着または接着などによって強固に一体化したものとした上、図1中に示すように、各パイプ接続部4,4,……には、夫々先端を抜け留め用に太く設定し、外端に操作用の摘みを形成したバルブ栓体50を嵌入、装着して防水状態を確保可能なものとしている。
【0048】
また、それら何れか適宜選択したパイプ接続部4に吸水用として一端を接続する流体操作用パイプPは、軟質または硬質の樹脂製パイプからなり、図8および図9中に示すように、その他端をペットボトルBのキャップBCに貫通、一体化したものとし、該キャップBCには外気取り込み用となる吸水量調節管が、外端を開閉操作することによって給水量を調節可能とするよう、内端が同ペットボトルB内底面付近に達する位置まで延伸するよう設定された吸水調節管Aを貫通したものとしている。
【実施例2】
【0049】
図4の一部に変更を加えた頭髪部密閉用具の斜視図、図5の緊締バンド部分の断面図、および図6の一部に変更を加えた頭髪部密閉用具装着状態の側面図は、前記実施例1の項に記載した、この発明の頭髪部密閉用具1の環状装着部2を面ファスナーによる緊締バンド24に置き換えたものを示しており、該環状装着部2は、キャップ本体10の頭髪生え際辺りに相当する開口周縁外壁に添って、図5中に示すように、軟質エラストマーゲル状物質製や軟質ポリウレタン樹脂製または軟質シリコン樹脂製の超軟質性肉厚帯23を接着または熔着などによって貼着した上、該肉厚帯23の外周壁適所には、面ファスナーによる緊締バンド24が頭周りの締め付け具合を調節自在とするよう装着、一体化されたものとしてある。
【実施例3】
【0050】
前述の実施例1および実施例2の各パイプ接続部4は、夫々図10の弾性嵌着環を有するパイプ接続部の断面図、図11の雌ネジ部を刻設したパイプ接続部の断面図、図12のバルブ機構の断面図、図13通気性防水膜を張設したパイプ接続部の断面図、図14の破裂用突起を突設したパイプ接続部の断面図、図15の温浴効果体を組み込んだパイプ接続部の断面図、および、図16の多孔質球体を組み込んだパイプ接続部の断面図の何れかに示すものに変更可能である。
【0051】
図10のパイプ接続部4は、その接続筒部6外端よりの内壁に流体操作用パイプP外径より小径の接続孔61を穿孔した独立発泡型軟質合成樹脂製であって、肉厚筒状の弾性摩擦管60の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化し、同接続筒部6の内端寄り内がわに、流体操作用パイプP外径より僅かに小径に設定された、耐食性で弾性変形可能なステンレス製C字型バネである弾性嵌着環62が、接続筒部6内壁の規制用内フランジ66寄りの箇所と、弾性摩擦管60内端寄りの箇所との夫々から複数個、接続筒部6の中心に向けて突設された規制用凸部63,63,……に内外端がわ夫々から離脱不能に規制された状態に装着してなるものとしてある。
【0052】
図11に示すパイプ接続部4は、接続筒部6外端よりの内壁に弾性摩擦管60の外周壁を密着状に内臓、一体化し、同接続筒部6の内端寄り内壁に、雌ネジ部64を刻設したものであり、該雌ネジ部64には、接続端寄りとなる適所に回転操作用ノブKを一体的に設けた流体操作用パイプPの接続端外壁に形成した雄ネジ部Sを螺合、接続可能である外、図12中に示すように、先端に雄ネジ部Sを刻設してあるバルブ栓体50を螺合して密閉することが可能である。
【0053】
図13のパイプ接続部4は、接続筒部6の内端が、半球面壁形状の開口縁よりも外端よりの配置とするよう設定されたものであって、短縮された弾性摩擦管60と弾性嵌着環62とが内蔵されたものとし、該半球面壁形状の開口縁には、その範囲を全閉するよう通気性防水膜7を液密状に密閉、張着したものとし、また、図14のパイプ接続部4は、その半球面壁形状の開口縁よりも奥がわ(外端より)配置となるよう設定した接続筒部6の内端周縁に沿って、流体流動用空間層3に向けた複数の破裂用突起65,65,……を突設、一体化してなるものである。
【0054】
図15に示すパイプ接続部4は、接続筒部(6)を設けず、密閉状態を確保するよう頂部に貫通孔のない半球面壁形状体に形成し、外周縁の均衡する3箇所以上、例えば4箇所夫々に、耐食性と弾性とを有するステンレス製板バネからなり、当該半球面壁開口縁よりも僅かに中心寄りに折曲した各先端に、緩衝用の球体を設けた保持片(80,80,……)を垂下状に一体化して弾性挟着機構80とし、ゲルマニウム鉱石や育成波光線を放出する鉱物、あるいは備長炭、竹炭、またはそれらを焼成してなるセラミックスなどといった温浴効果が得られる素材を適宜成型または研削するなどして製造した温浴効果体8が、着脱自在に嵌合装着されてなるものとしている。
【0055】
図16のパイプ接続部4は、内壁に弾性摩擦管60を貼着した接続筒部6を有し、該パイプ接続部4の半球状内壁内に組み込み可能な外径に設定すると共に、該接続筒部6を差し込み状に嵌合可能な有底接続穴90を未貫通状に穿設した球体であって、軽石製や硬質または軟質な連続発泡樹脂製、あるいは多孔質セラミックス製などの多孔質球体9を、着脱自在に嵌合装着したものとしてある。
【0056】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の頭髪部密閉用具1は、大地震や洪水などに被災して避難所生活を送ることを余儀なくされた人々に代表されるような非日常的な環境下での生活の中で、衛生面と不自由さからくるストレスの軽減化とから、せめて洗髪だけでもと願ったとき、図17の大量のペットボトルの斜視図、図18の着座姿勢の人に利用される頭髪部密閉用具の斜視図、および、図19の手押し型空気ポンプ装着状態にある頭髪部密閉用具の側面図に示すように、この発明の頭髪部密閉用具1を用意しておくようにすれば、大掛かりな入浴施設や給湯施設などを準備することなく、簡易で確実な洗髪方法を何処ででも実施可能となり、さらに、その場面に引き続いてか、あるいは独立した行為として、この発明が包含する頭部治療方法および頭部燻蒸方法についても、必要なタイミングで適切に実施可能となる。
以下においては、この発明の頭髪部密閉用具1を用いた洗髪方法に従い、その作用について示して行くこととする。
【0057】
図17中に示すよう複数本のペットボトルB,B,……を37〜45℃に加熱し、必要な本数を配布して準備し、洗髪を受ける人は、椅子や車椅子などの腰掛けたままの姿勢で、頭髪生え際辺りから上位となる頭部に、図1中に示す頭髪部密閉用具1を被着し、図2、図3および図19中に示すよう環状装着部2(伸縮性チューブ20)の空気バルブ21に、手押し型空気ポンプ22を接続して圧縮空気を送り込み、水密状態を確保できると共に、頭部を締め付け過ぎない適度な緊張状態に締め付け、調整した後、該手押し型空気ポンプ22を取り外し、空気バルブ21を閉鎖状態に保持した上、図1中に示す頭頂付近の1箇所と、環状装着部2付近の1箇所との夫々のバルブ栓体50,50のみを取り外し、その他のバルブ栓体50,50は密着状態のまま装着したものとして置く一方、バルブ栓体50を抜き外した頭頂付近のパイプ接続部4には、図9に示すように、加温済みペットボトルBから通常のキャップを取り外し、キャップBCに貫通してボトル底部付近に達する吸水調節管A、およびキャップBCに貫通した基端が同キャップBC内に留まる流体操作用パイプPが夫々接続されたキャップBCに交換した後、加温済みペットボトルBから延びる流体操作用パイプPの先端を、図3、図7、図8および図18中に示すよう、パイプ接続部4接続筒部6の弾性摩擦管60の接続孔61に液密状態に嵌合接続し、且つ、環状装着部2付近のパイプ接続部4には、排水用の流体操作用パイプDPの一端を液密状態に接続するよう装着作業を行う。
それら吸排水用の各流体操作用パイプP,DPの接続端は、夫々図7中に示すよう差し込んだ接続筒部6,6の各規制用内フランジ66,66に緩衝し、人体頭髪および頭皮に直接接触しないよう装着深さを規制し得るものにしてある。
【0058】
図18に示すように、接続したペットボトルBを頭頂部よりも高く保持すると、ペットボトルB内の湯は自重によって流体操作用パイプPを通り、キャップ本体10と頭皮との間に形成された流体流動用空間層3中に自動的に注入されていくに十分な量の湯が供給された後、給湯を停止したいときには、図8中に示すよう吸水調節管Aの外部露出端を指などで抑え、ペットボトルB中への空気の流入を閉鎖して流体流動用空間層3への給湯を停止でき、再度給湯を開始したいときには、吸水調節管Aの外部露出端を開放して再開することが可能であり、また、排水用の流体操作用パイプDPからは自然に排水されるが、途中のバルブを開閉して湯量を調節することが可能である。
【0059】
注入した湯を頭髪全体に行き渡らせてから、キャップ本体10の気密性素材越しにマッサージを加えてよく馴染ませた後、流体操作用パイプPを外して開放したパイプ接続部4から適量のシャンプーを注入し、バルブ栓体50で閉鎖して気密性素材越しにマッサージするようにして十分に洗髪する。
濯ぎ洗いをするには、頭頂部付近のバルブ栓体50を抜き外し、そのパイプ接続部4にペットボトルBの流体操作用パイプPを再度接続してから、ペットボトルBを頭上に移動させ、吸水調節管Aを開閉して流入量を調節しながら、マッサージを加えるようにして十分に濯ぎ洗いを行い、この間、排水用の流体操作用パイプDPから自然に排水されるよう途中のバルブを開放しておく。
この排水用の流体操作用パイプDPからの排水は、図19中に示すよう洗面器やバケツなどの器に受けるか、または、直接流し台や側溝、その他の排水施設に放流することとなり、また、リンスやトリートメントを行う場合も、前述の洗髪作業と略同様の工程で行うことが可能である。
【0060】
濯ぎを終えた後は、給排水用の各流体操作用パイプP,DPの双方、ならびに他の全てのバルブ栓体50,50も取り外し、何れか1箇所か2箇所のパイプ接続部4に、図示しないエアコンプレッサーまたはその他の温風供給機などに繋がれた流体操作用パイプP,Pを接続し、乾燥した空気または温風を強制的に供給、排気するようにして頭髪全体を十分に乾燥させてから、空気バルブ21を開けて伸縮性チューブ20を弛緩させ、環状装着部2を緩めてから人体頭部より頭髪部密閉用具1を取り外し、適宜整髪して洗髪作業を終えることとなる。
【0061】
(実施例2の作用)
図4に示すこの発明の頭髪部密閉用具1は、図6中に示すように、頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲するよう装着し、図4中の環状装着部2緊締バンド24に適度の緊張を与えるよう巻き付けて面ファスナーを接着し、締め付けるよう固定するものであり、図5中に示すように、当該緊締バンド24とキャップ本体10の下端縁全周縁11との間に介在している超軟質性肉厚帯23が、締め付け力を分散、緩和して被装着者に不快感を与えることなく、密着状に締め付けるものとなる。
【0062】
この頭髪部密閉用具1は、この発明の洗髪方法、頭部治療方法および頭部燻蒸方法の何れにも使用可能であり、その中の頭部治療方法に使用する場合には、図6中に示すように、頭髪部密閉用具1を対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着し、環状装着部2の緊締バンド24を密閉状態に適度の強さで緊締させると共に、適宜選択したパイプ接続部4に供給用とする流体操作用パイプPを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部4に排出用とする排水用の流体操作用パイプDPを接続した後、供給用の流体操作用パイプPから頭部を覆う流体流動用空間層3中に体温より僅かに低温の冷却水Fを、図8および図9に示すペットボトルBを冷蔵したものとして準備、接続し、図18および図19に示すよう強制的に供給し、流体流動用空間層3中の体温で温められた(頭部の熱を吸収した)水Fを、排出用の流体操作用パイプDPから排出するようにしながら、供給用の流体操作用パイプPを通じて冷却水Fを連続的に供給して頭部を集中的に冷却するようにすることとなる。
【0063】
(実施例3の作用)
図10のパイプ接続部4は、流体操作用パイプPを接続筒部6弾性摩擦管60の接続孔61に圧入し、さらに、奥がわに配置された弾性嵌着環62に嵌合するよう装着することにより、液密状態を確保した接続が可能であり、しかも図7中の弾性摩擦管60だけを有するパイプ接続部4に比較し、より一段と強固且つ確実な接続が可能となる。
【0064】
図11のパイプ接続部4は、流体操作用パイプPを接続筒部6弾性摩擦管60の接続孔61に圧入し、さらに、奥がわ内壁面に刻設された雌ネジ部64に同流体操作用パイプPの接続端外壁に形成された雄ネジ部Sを螺合、接続することにより、さらに強固で確実な液密状態の接続が可能となり、回転操作用ノブKが流体操作用パイプPの回転操作を簡単且つ効率的なものとし、流体操作用パイプPを取り外したパイプ接続部4に、図12中に示すように、先端に雄ネジを刻設したバルブ栓体50を螺合、装着するようにして、バルブ栓体50の不用意な脱落を確実に防ぎ、より高い密閉状態を確保するものとなる。
【0065】
図13のパイプ接続部4は、通気性防水膜7の装着によって水密性を確保する場合には、バルブ栓体50が不要(気密性を確保する場合は必要)となり、流体流動用空間層3中に液体が注入されている状態であっても、液体の逆流を抑えながら流体操作用パイプPを通じて流体流動用空間層3中に気体を注入することが可能となり、前記実施例1または実施例2の何れか一方記載の頭髪部密閉用具1に、このパイプ接続部4が少なくとも1個設けられたものを用いると、この発明の頭部燻蒸方法を、より簡単に行うことが可能となる。
【0066】
例えば、図18や図19などに示すように、頭髪部密閉用具1を装着して頭髪の洗浄を終えた後、該パイプ接続部4を通じて燻煙を伴う温風を供給すると、流体流動用空間層3中に残存する濯ぎ水などが通気性防水膜7によって堰き止められて水の逆流を防止すると共に、湯気となった水分は通気性防水膜7を通じて外部に放出され、周囲への水の飛散を確実に防止するものとなり、しかも燻煙によって殺菌、消臭、殺虫、芳香などが可能となり、理容や美容への使用に留まらず、医学的治療からアロマテラピーなど幅広く利用可能である。
【0067】
図14のパイプ接続部4は、接続筒部6の内端周縁に突設した破裂用突起65,65,……を利用して、さらに効率的な洗髪、頭部殺菌、消毒、殺虫、消臭、着香、染色、その他様々な処置を自由に行うことが可能になると共に、各破裂用突起65,65,……は、半球型面壁形状のパイプ接続部4内に収まるよう寸法設定してあり、被装着者の頭皮に直接的に接触することがない。
例えば、図20の脆弱容器を収容した頭髪部密閉用具の装着状態の正面図、および、図21の脆弱容器を収容した頭髪部密閉用具要部の断面図に示すように、頭髪部密閉用具1を装着するときに、流体流動用空間層3内にシャンプーおよびリンス成分と蒸留水とが混合された適量の洗浄液が収容されたゴム風船型パックまたは軟質樹脂フィルム製パックである脆弱容器Cを収容してから、環状装着部2を適度の緊張状態に締め付けて密閉状態を確保した後、任意のパイプ接続部4を通じて適温の湯を注入しながら軽くマッサージを行い、頭髪に湯が馴染んできた後に、図21中の矢印に示すよう該パイプ接続部4に外力を加え、図14中に示すとおり、接続筒部6内端の破裂用突起65,65,……を脆弱容器Cに押し付けるよう操作し、破裂させて同脆弱容器Cに封入しておいたシャンプーおよびリンス成分を流体流動用空間層3中に拡散させるようにして洗髪作業を進めることが可能となり、特にゴム風船型パックからなる同脆弱容器Cを用いたときには、破片が非常に柔軟な上、破裂後に小さく縮小してしまうので、その後の洗髪、濯ぎ、乾燥作業などの障害にならない。
【0068】
図15に示すパイプ接続部4は、その半球面壁形状の開口より各保持片80,80,……の弾性把持力に抗して球形状の温浴効果体8を圧入状に装着すると、各保持片80,80,……が該温浴効果体8を弾性的に保持して回転自在且つ簡易的に固定することが可能であり、この温浴効果体8は、流体流動用空間層3中の気体や液体などの流体、および被着者の頭髪、頭皮などにゲルマニウム鉱石や育成波光線を放出する物質などの素材から発せられる温浴効果を与えることとなり、また、同温浴効果体8は、その表面を滑らかに研削されたものとし、各保持片80,80,……の先端に緩衝用の球体を設けてあり、頭髪や頭皮に接触したときに適度の指圧効果をもたらし、決して傷付けたりしないようにしてある。
【0069】
図16のパイプ接続部4は、その接続筒部6に嵌合、装着した多孔質球体9を通じて気体や液体、またはそれらの混合物などの流体を流体流動用空間層3中に供給すると、多孔質球体9を通過、分散した流体が微粒子化されて一段と滑らかな流動性を得るようになり、流体を濾過、清浄化する機能を発揮すると共に、洗浄力の強化やマッサージのような血行促進作用などを得ることが可能となる。
【0070】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の頭髪部密閉用具1は、図1ないし図3中に示すように、その環状装着部2伸縮性チューブ20に手押し型空気ポンプ22からの圧縮空気を注入して適度に緊張させることができ、手押し型空気ポンプ22を抜き去った後も空気バルブ21を閉鎖して緊張状態に保ち、液密状態を確保して洗髪などを行うことができ、使用後には空気バルブ21を開放して減圧、弛緩してから、頭部より簡単に離脱することができるという秀れた特徴を有するものであり、温水の供給源として大量のペットボトルB,B,……を利用することにより、タンク車などを必要とせずに被災地にも安全且つ軽快に輸送することが可能となり、金属製容器などがあれば、焚き火などでも簡単に加熱することができ、しかも吸水調節管Aおよび流体操作用パイプPを接続したキャップBCを装着することでキャップ本体10のパイプ接続部4に簡単、確実に接続可能となり、給湯量の調節も自在で最小限の湯量で十分に洗髪および濯ぎ洗いを行うことができるという秀れた効果を奏する。
【0071】
(実施例2の効果)
図4に示す頭髪部密閉用具1は、そのキャップ本体10の環状装着部2と緊締バンド24との間に超軟質性肉厚帯23を介在するものとし、緊締バンド24による頭部の締め付け力を均質に分散、緩和して締め付けによる不快感を軽減すると共に、液密状態を簡便に確保できるという効果が得られ、加えて、実施例1と同様に、該頭髪部密閉用具1を冷水を用いた頭部治療方法に利用することにより、被災地にあっても効果的な頭部冷却処置を迅速且つ簡便に、しかも衛生的に実施できるという特段の効果を奏するものとすることができる。
【0072】
(実施例3の効果)
図10のパイプ接続部4によると、図7に示したパイプ接続部4の場合と同様、流体操作用パイプPの接続端がわを接続筒部6に押し込む操作だけで、同接続筒部6内端がわに内蔵された弾性嵌着環62に嵌着し、図7に示したパイプ接続部4よりも一段と強い接続、保持力を得ることができ、しかも、離脱する場合にも、流体操作用パイプPを引き抜くだけで弾性嵌着環62から簡便に離脱されるという秀れた作業性を得ることができる。
また、図11に示すパイプ接続部4は、流体操作用パイプPの接続端を接続筒部6に差し込み、回転操作用ノブKを回転操作すれば、簡単に雄ネジ部Sを雌ネジ部64に螺合接続することができ、簡単な操作でより一段と強力な接続を可能とし、図12に示すようなネジ型のバルブ栓体50も利用可能となり、より一層気密性、水密性および耐圧能力の高い頭髪部密閉用具1を提供することができる。
【0073】
図13のパイプ接続部4は、その通気性防水膜7によって流体流動用空間層3を液密状態に確保したまま、外部から気体を吸排気できるようにしてジャグジーのような気泡を発生させたり、水分の逆流を阻止しながら温風や冷風、燻煙などを供給することが可能となり、様々な用途の拡大を実現可能とするものであり、特に、この発明の頭部燻蒸方法に用い、周囲への水の飛散を確実に防止しながら、燻煙による殺菌、消臭、殺虫、芳香などの様々な医学的治療やアロマテラピーなどに役立てることができるものとなり、頭部、頭髪の治療や避難生活のストレスなどに対処する新たな手段を提供することができ、また、図14のパイプ接続部4は、図20および図21に示すように、キャップ本体10の気密性素材越しに外部から操作するようにし、流体流動用空間層3内に収容した脆弱容器Cを簡便に破裂させ、同脆弱容器Cに封入されたシャンプーなどの薬剤類を流体流動用空間層3内に拡散させることができ、煩わしい薬剤類の注入作業を簡単、確実且つ迅速に行えるようになるという利点が得られる。
【0074】
そして、図15に示すパイプ接続部4の例に依るものは、これに装着するようにした温浴効果体8が、装着者の頭皮、頭髪に温浴効果を与えて血行促進や殺菌、消臭などの洗浄作用など様々な効果を得ることができる上、その球形状により指圧効果が得られる外、各保持片80,80,……が脱着を容易なものとし、利用者のニーズに応じた異なる鉱石や金属などからなる温浴効果体8と簡便且つ随時の交換、使用ができ、更にまた、図16に取り上げているパイプ接続部4に依れば、装着した多孔質球体9を通じて様々な流体を微粒子状に拡散、供給することができると共に、濾過、浄化機能を発揮して清浄で衛生的な気体や液体または気液混合流体などを流体流動用空間層3中に供給することができ、しかもジャグジーのような柔らかなジョット噴流や微少気泡を大量に供給して頭皮、頭髪のマッサージおよび血行促進作用を発揮し、頭部の洗浄や治療、ストレスの解消など幅広く役立つものとなるという効果が発揮される。
【0075】
(結 び)
叙述の如く、この発明の頭髪部密閉用具、およびそれを利用した洗髪方法、頭部治療方法、頭部燻蒸方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの介護専用のものや一般家庭向けの頭部洗浄具類に比較し、健常者や障害者、罹病者といった被装着者の状態やその姿勢、即ち直立姿勢、着座姿勢などにも拘わらず使用可能で、しかも軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、避難所のような非日常的な生活を余儀なくされる環境下でも簡単且つ衛生的に利用可能となることから、従前までであればライフラインが復旧するまで諦めざるを得なかった洗髪やそれ以外の医学的処置やストレス解消法などといった頭部のケアを何時、何処でも実施可能とすることから、特に大規模災害などの非常事態への備えを担わなければならない地方自治体や、災害対策品の商品を取り扱う消防、医療関連業界は固よりのこと、頭髪部のケアを必要とする一般家庭などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図面は、この発明の頭髪部密閉用具、およびそれを利用した洗髪方法、頭部治療方法、頭部燻蒸方法の技術的思想を具現化してなるものの代表的な幾つかの実施例を示している。
【図1】頭髪部密閉用具を示す斜視図である。
【図2】環状装着部の伸縮性チューブを示す断面図である。
【図3】頭髪部密閉用具の被着状態を示す側面図である。
【図4】一部に変更を加えた頭髪部密閉用具を示す斜視図である。
【図5】環状装着部の緊締バンドを示す断面図である。
【図6】一部に変更を加えた頭髪部密閉用具の被着状態を示す側面図である。
【図7】パイプ接続部を示す断面図である。
【図8】タンクとして利用中のペットボトルを示す断面図である。
【図9】タンクに利用可能なペットボトルを示す断面図である。
【図10】弾性嵌着環を有するパイプ接続部を示す断面図である。
【図11】ネジ結合可能なパイプ接続部を示す断面図である。
【図12】ネジ結合可能なバルブ栓体を示す断面図である。
【図13】通気性防水膜を有するパイプ接続部を示す断面図である。
【図14】破裂用突起を有するパイプ接続部を示す断面図である。
【図15】温浴効果体を組み込んだパイプ接続部を示す断面図である。
【図16】多孔質球体を組み込んだパイプ接続部を示す断面図である。
【図17】被災地で大量に準備したペットボトル群を示す斜視図である。
【図18】着座姿勢の人に利用される頭髪部密閉用具を示す斜視図である。
【図19】手押し型空気ポンプが装着された頭髪部密閉用具を示す側面図である。
【図20】脆弱容器を収容して被着した頭髪部密閉用具を示す正面図である。
【図21】脆弱容器の破裂操作を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 頭髪部密閉用具
10 同 キャップ本体
11 同 下端縁全周縁
12 同 膨出部
2 環状装着部
20 同 伸縮性チューブ
21 同 空気バルブ
22 同 手押し型空気ポンプ
23 同 肉厚帯
24 同 緊締バンド
3 流体流動用空間層
4 パイプ接続部
40 同 粘着層
41 同 漏斗状の面取り
5 バルブ機構
50 同 バルブ栓体
6 接続筒部
60 同 弾性摩擦管
61 同 接続孔
62 同 弾性嵌着環
63 同 規制用凸部
64 同 雌ネジ部
65 同 破裂用突起
66 同 規制用内フランジ
7 通気性防水膜
8 温浴効果体
80 同 バネ製保持片(弾性挟着機構)
9 多孔質球体
90 同 接続穴
P 流体操作用パイプ
B ペットボトル
A 同 吸水調節管
BC 同 キャップ
K 同 回転操作用ノブ
S 同 雄ネジ部
DP 排水用の流体操作用パイプ
F 流体
C 脆弱容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲して頭皮との間に流体流動用空間層の確保が可能なドーム状とする気密性素材からなり、その下端縁全周には、適度の伸縮性を維持したまま頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着が操作可能となるようにした環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体にすると共に、該キャップ本体の頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所には、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備え、且つ該バルブ機構を介しての流体の注入または排出を果たす流体操作用パイプの、選択的に着脱自在をする連結が可能となるようにしたパイプ接続部を夫々形成してなるものとしたことを特徴とする頭髪部密閉用具。
【請求項2】
頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲して頭皮との間に流体流動用空間層の確保が可能なドーム状とする気密性素材からなり、その下端縁全周には、適度の伸縮性を維持したまま頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着可能となるようにした、中空無端状の伸縮性チューブ製で、その他周壁適所にはポンプ接続用の空気バルブを設けてなる環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体にすると共に、該キャップ本体の頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所には、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備え、且つ該バルブ機構を介しての流体の注入または排出を果たす流体操作用パイプの、選択的に着脱自在をする連結が可能となるようにしたパイプ接続部を夫々形成してなるものとしたことを特徴とする頭髪部密閉用具。
【請求項3】
頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部を包囲して頭皮との間に流体流動用空間層の確保が可能なドーム状とする気密性素材からなり、その下端縁全周には、適度の伸縮性を維持したまま頭髪生え際辺りに相当する頭部周りに当接して密着状装着可能となるようにした、柔軟性ある肉厚帯製であって、その他がわとなる適所には面ファスナー製の緊締バンドを装着してなる環状装着部を一体的に組み込んでキャップ本体にすると共に、該キャップ本体の頭頂および/またはその周辺と同環状装着部近傍との適所には、当該キャップ本体内に確保する流体流動用空間層と同キャップ本体外とを選択的に連通または閉鎖可能なバルブ機構を備え、且つ該バルブ機構を介しての流体の注入または排出を果たす流体操作用パイプの、選択的に着脱自在をする連結が可能となるようにしたパイプ接続部を夫々形成してなるものとしたことを特徴とする頭髪部密閉用具。
【請求項4】
少なくとも1個のパイプ接続部は、流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、該接続筒部内壁には、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製で肉厚筒状の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の頭髪部密閉用具。
【請求項5】
少なくとも1個のパイプ接続部は、流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、該接続筒部内壁には、流体操作用パイプ外径より小径の接続孔を穿孔した伸縮素材製で肉厚筒状の弾性摩擦管の外周壁を密着するよう同心状に内臓、一体化し、該接続筒部の内端寄り内壁に、雄ネジ部を刻設した栓体か、または、接続端外周壁に雄ネジ部を設けた流体操作用パイプかの何れか一方を選択的に螺合可能なナット状雌ネジ部を形成してバルブ機構としてなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の頭髪部密閉用具。
【請求項6】
少なくとも1個のパイプ接続部は、流体操作用パイプ接続用の接続筒部を有し、その接続筒部の頭部被着状態で流体流動用空間層中に露出状となる内端に一個または複数個の破裂用突起を突設してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の頭髪部密閉用具。
【請求項7】
請求項1ないし6何れか一項記載の頭髪部密閉用具を、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に吸水用となる流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排水用となる流体操作用パイプを接続した後、吸水用の流体操作用パイプから頭部を覆う流体流動用空間層中に適宜温度調節された温水を強制的に供給し、必要に応じて温水中に洗剤類を添加したり、気密性素材越しにマッサージを加えるなどして洗髪した後、これら流体流動用空間層中の汚れた温水を排出用の流体操作用パイプから排水すると共に、吸水用の流体操作用パイプから清浄温水を連続的に供給して濯ぎ洗いを行った上、必要に応じて吸水用または排水用の何れか一方の流体操作用パイプから同流体流動用空間層中を通じて他方の流体操作用パイプに抜けるよう所定圧の乾燥用気体を供給、排出して頭髪を強制乾燥するようにしたことを特徴とする洗髪方法。
【請求項8】
請求項1ないし6何れか一項記載の頭髪部密閉用具を、それによって形成される流体流動用空間層中に洗剤類を含む洗浄液類を充填した脆弱容器を収容するようにし、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に吸水用とする流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排水用とする流体操作用パイプを接続した後、該吸水用流体操作用パイプから、頭部を覆う流体流動用空間層中に適宜温度調節された温水を強制的に供給すると共に、当該脆弱容器に外力を加えて破裂させて温水中に洗浄液類を添加した上、必要に応じて気密性素材越しにマッサージを加えるなどして洗髪した後、流体流動用空間層中の汚れた温水を排水用流体操作用パイプから排水するようにしながら、吸水用流体操作用パイプから流体流動用空間層中に清浄な温水を連続的に供給、濯ぎ洗いを行った上、必要に応じて吸水用または排水用の何れか一方の流体操作用パイプから同流体流動用空間層中を通じて他方の流体操作用パイプに抜けるよう所定圧の乾燥用気体を供給、排出して頭髪を強制乾燥するようにしたことを特徴とする洗髪方法。
【請求項9】
請求項1ないし6何れか一項記載の頭髪部密閉用具を、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に供給用とする流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排出用とする流体操作用パイプを接続した後、供給用の流体操作用パイプから頭部を覆う流体流動用空間層中に体温調節可能な適宜温度に調節された冷却流体または加温流体の何れか一方を強制的に供給し、流体流動用空間層中の流体を、排出用の流体操作用パイプから排出するようにしながら、供給用の流体操作用パイプを通じて冷却流体または加温流体を連続的に供給して頭部を集中的に冷却または加温可能とするようにしたことを特徴とする頭部治療方法。
【請求項10】
請求項1ないし6何れか一項記載の頭髪部密閉用具を、対象者の頭髪生え際辺りから上位となる人体頭部に被着して環状装着部を密閉状態に緊締すると共に、適宜選択したパイプ接続部に供給用とする流体操作用パイプを接続する一方、これとは別に選択したパイプ接続部に排出用とする流体操作用パイプを接続した後、供給用の流体操作用パイプから頭部を覆う流体流動用空間層中に燻蒸成分を伴う気体を強制的に供給し、同流体流動用空間層中の流体を、排出用の流体操作用パイプから排気するようにしながら、一定時間に亘って充填または循環するようにしたことを特徴とする頭部燻蒸方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−213724(P2009−213724A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61900(P2008−61900)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(508074619)
【Fターム(参考)】