説明

顆粒組成物の製造方法

【課題】顆粒の酸化防止性付与組成物を提供する。
【解決手段】式(1)


(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは、ヘテロ原子、環状基、又はヘテロ原子と環状基とを含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表し、nは1〜4の整数を表す。)で表されるフェノール系化合物3重量部以上80重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを含む混合物を攪拌造粒して得られる顆粒凝集体を、前記バインダーの融点以下当該融点より10℃低い温度以上で、粒径5mm以下の顆粒を回収し得る分離機構(E)と解砕機構(D)とを備えた解砕機により解砕して顆粒を得る工程を含む顆粒組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顆粒組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン等の樹脂には、その熱劣化、酸化劣化を防止するために、フェノール系酸化防止性付与化合物を含有する酸化防止性付与組成物が配合される。このような酸化防止性付与組成物は一般に粉末組成物であるため、粉塵飛散性がしばしば課題となっており、粉末組成物に代わり顆粒組成物が提供されるようになってきた。
従来、顆粒の酸化防止性付与組成物の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載の顆粒群の製造方法等が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−161997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顆粒の酸化防止性付与組成物を攪拌造粒法により製造する場合には、顆粒同士が凝集した顆粒凝集体が得られることがあり、所望の顆粒を得ることが容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は、
[1]式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは、ヘテロ原子、環状基、又はヘテロ原子と環状基とを含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
で表されるフェノール系化合物3重量部以上80重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを含む混合物を攪拌造粒して得られる顆粒凝集体を、前記バインダーの融点以下当該融点より10℃低い温度以上で、粒径5mm以下の顆粒を回収し得る分離機構と解砕機構とを備えた解砕機により解砕して顆粒を得る工程を含む顆粒組成物の製造方法;
[2]バインダーの融点が40℃以上90℃以下である[1]記載の製造方法;
[3]分離機構が、開口部を有するスクリーンである[1]又は[2]記載の製造方法;
[4]解砕機構が、往復運動又は回転運動するプレートによって顆粒凝集体を顆粒に解砕し得る接触型剪断機構である[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法;
[5]フェノール系化合物が、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリチル エステル、及び、ビス{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸}トリエチレングリコリル エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である[1]〜[4]のいずれか記載の製造方法;
[6]バインダーが、式(2)
(R2−Y−S−C24CO)−Z (2)
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−CCO−を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。)
で表されるイオウ系化合物である[1]〜[5]のいずれか記載の製造方法;
[7]バインダーが、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル又は3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である[1]〜[6]のいずれか記載の製造方法;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、顆粒組成物を製造する場合において、所望の好ましい顆粒を得ることが可能となった。また、顆粒組成物を攪拌造粒法により製造する際に生じる顆粒凝集体による衝撃・接触負荷に基づく各種製造装置における障害・破損等を軽減するという副次効果も得ることが出来る。尚、当該副次効果は、各種製造装置の修理・交換を不要とし、結果的に製造効率向上に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例及び比較例で用いた攪拌造粒機の概略図
【図2】実施例及び比較例で用いた解砕機の概略図
【符号の説明】
【0009】
(A)攪拌翼
(B)チョッパー
(C)ジャケット
(D)ローター
(E)スクリーン
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、酸化防止性を付与し得るフェノール系化合物とバインダーとを含む顆粒状の酸化防止性付与組成物の製造方法であり、
フェノール系化合物が式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは、ヘテロ原子、環状基、又はヘテロ原子と環状基とを含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
で表されるフェノール系化合物であり、
フェノール系化合物3重量部以上80重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを含む混合物を攪拌造粒して得られる顆粒凝集体を、前記バインダーの融点以下かつ当該融点より10℃低い温度以上で、粒径5mm以下の顆粒を回収可能とする分離機構と解砕機構とを備えた解砕機により解砕して顆粒を得る工程を含む製造方法である。
【0011】
フェノール系化合物は、式(1)で表されるフェノール系化合物である。
式(1)中のRは、炭素数1〜8のアルキル基を表す。当該炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等を挙げることができる。好ましくは、メチル基、t−ブチル基が挙げられる。
式(1)中のXは、ヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表す。当該ヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基としては、例えば、トリエチレングリコールの残基、ペンタエリスリトールの残基、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンの残基等を挙げることができる。好ましくは、ペンタエリスリトールの残基、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンの残基が挙げられる。ここで、アルコール残基とは、アルコールのOHからHを除いた基をいう。
式(1)中のnは、1〜4の整数を表す。好ましくは、2又は4である。
【0012】
フェノール系化合物としては、具体的には、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(融点110〜130℃)、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリチル エステル(融点:110〜130℃)、及び、ビス{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸}トリエチレングリコリル エステル(融点76〜79℃)等を挙げることができる。
【0013】
バインダーとしては、例えば、融点が40℃以上90℃以下、好ましくは、40℃以上60℃以下である化合物を挙げることができる。ここで融点とは、JIS K 0064により測定された温度をいう。
【0014】
代表的なバインダーとしては、例えば、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、式(2)
(R2−Y−S−C24CO)−Z (2)
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−CCO−基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。)
で表されるイオウ系化合物等が挙げられる。ここで式(2)中のRは、炭素数12〜18のアルキル基を表す。当該炭素数12〜18のアルキル基としては、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等を挙げることができる。好ましくは、ラウリル基、ミリスチル基、ステアリル基が挙げられる。
式(2)中のYは、単結合又は−CCO−基を表す。
式(2)中のZは、炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。アルコール残基とは、アルコールのOHからHを除いた基をいう。
当該炭素数5〜18のm価のアルコール残基としては、例えば、ラウリルアルコール残基、ミリスチルアルコール残基、パルミチルアルコール残基、ステアリルアルコール残基、ペンタエリスリチルアルコール残基等を挙げることができる。好ましくは、ラウリルアルコール残基、ミリスチルアルコール残基、ステアリルアルコール残基、ペンタエリスリチルアルコール残基が挙げられる。
【0015】
バインダーとしては、具体的には、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル(融点40〜42℃)、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル(融点49〜54℃)、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステル(融点65〜67℃)、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチル エステル(融点約46℃)等を挙げることができる。
【0016】
本発明の製造方法により顆粒組成物を製造するには、まずフェノール系化合物3重量部以上80重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを含む混合物が攪拌造粒される。好ましくは、フェノール系化合物3重量部以上50重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを、より好ましくは、フェノール系化合物3重量部以上50重量部以下と、バインダー20重量部以上30重量部以下とを含む混合物を攪拌造粒する。
また、混合物に含まれるフェノール系化合物とバインダーとの配合割合としては、通常、4:1から1:5、好ましくは、2:1から1:4である。
【0017】
尚、前記混合物は、本発明の効果を有する限りにおいて、中和剤、リン系酸化防止性付与化合物、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、金属石鹸、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤、充填剤、核剤、滑剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、本フェノール系化合物以外のフェノール系酸化防止性付与化合物等の添加剤を一種以上含んでいてもよい。
かかる添加剤の使用量は、フェノール系化合物とバインダーとを含む前記混合物の全重量に対して、好ましくは3〜77重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは25〜65重量%である。
代表的な添加剤としては、以下の添加剤を例示することができる。
【0018】
<中和剤>
合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等の中和剤;
<リン系酸化防止性付与化合物>
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(融点183〜187℃)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト(融点160〜180℃)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト(融点237〜238℃)、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト(融点221〜230℃)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン ジホスフォナイト(融点75℃)、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(融点115℃)、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン ジホスフォナイト(融点75〜90℃)、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル,(6−メチル)フェニル]エチル ホスファイト(融点89〜92℃)等のリン系酸化防止剤;
【0019】
<ヒンダードアミン系光安定剤>
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(融点81〜86℃)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](融点100〜135℃)等のヒンダードアミン系光安定剤;
【0020】
<紫外線吸収剤>
2−ヒドロキシ−4−n−オクチロキシ ベンゾフェノン(融点45℃以上)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ペンチル フェノール(融点77℃以上)、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル−]−5−(オクチロキシ)フェノール(融点87〜89℃)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(融点127℃)、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(融点137℃)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(融点192℃)等の紫外線吸収剤;
【0021】
<金属石鹸>
カルシウムステアレートのような脂肪酸金属塩等の金属石鹸;
【0022】
<帯電防止剤>
4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、ベタイン型の両性界面活性剤、リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、
硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、
多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤、
カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等の帯電防止剤;
【0023】
<アンチブロッキング剤>
アルミニウムシリケート、合成シリカ、天然シリカ、ゼオライト、カオリンや珪藻土等の無機アンチブロッキング剤、又は、ポリメチルメタアクリル酸架橋物等の有機アンチブロッキング剤;
【0024】
<顔料>
カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ−ピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料やベンズイミダゾロン系顔料等の顔料;
【0025】
<難燃剤>
デカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム等の難燃剤;
【0026】
<充填剤>
炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライト、金属粉、金属酸化物等の充填剤;
【0027】
<核剤>
α−ナフタレンスルホン酸のNa塩、α−ナフタレンスルホン酸のMg塩、α−ナフタレンスルホン酸のCa塩、α−ナフタレンスルホン酸のAl塩、8−アミノナフタレンスルホン酸のNa塩、ベンゼンスルホン酸のNa塩、ベンゼンスルホン酸のMg塩、ベンゼンスルホン酸のCa塩、ベンゼンスルホン酸のAl塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸のCa塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸のMg塩、m−キシレンスルホン酸のCa塩、m−キシレンスルホン酸のMg塩、安息香酸(融点122℃)、p−イソプロピル安息香酸、o−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、モノフェニル酢酸(融点77℃)、ジフェニル酢酸、ジフェニル酢酸のLi塩、Al塩、Na塩、ジフェニル酢酸のNa塩、ジフェニル酢酸のMg塩、ジフェニル酢酸のCa塩、ジフェニル酢酸のBa塩、ジフェニル酢酸のAl塩、フェニルジメチル酢酸、フェニルジメチル酢酸のLi塩、フェニルジメチル酢酸のNa塩、フェニルジメチル酢酸のMg塩、フェニルジメチル酢酸のCa塩、フェニルジメチル酢酸のBa塩、フタル酸のMg塩、琥珀酸(融点185℃)、琥珀酸のLi塩、琥珀酸のNa塩、琥珀酸のMg塩、琥珀酸のCa塩、琥珀酸のBa塩、グルタール酸(融点95〜99℃)、グルタール酸のLi塩、グルタール酸のNa塩、グルタール酸のMg塩、グルタール酸のCa塩、グルタール酸のBa塩、アジピン酸(融点151〜153℃)、スベリン酸、スベリン酸のLi塩、スベリン酸のNa塩、スベリン酸のMg塩、スベリン酸のCa塩、スベリン酸のBa塩、セバシン酸、セバシン酸のLi塩、セバシン酸のNa塩、セバシン酸のMg塩、セバシン酸のCa塩、セバシン酸のAl塩、ジフェニルホスフィン酸(融点193〜196℃)、ジフェニルホスフィン酸のLi塩、ジフェニルホスフィン酸のNa塩、ジフェニルホスフィン酸のK塩、ジフェニルホスフィン酸のCa塩、ジフェニルホスフィン酸のMg塩、ジフェニルホスフィン酸のAl塩、4,4’−ジクロロジフェニルホスフィン酸のLi塩、4,4’−ジメチルジフェニルホスフィン酸のNa塩、ジナフチルホスフィン酸、ジナフチルホスフィン酸のLi塩、ジナフチルホスフィン酸のNa塩、ジナフチルホスフィン酸のMg塩、ジナフチルホスフィン酸のCa塩、ジナフチルホスフィン酸のAl塩等の核剤;
【0028】
<本フェノール系化合物以外のフェノール系酸化防止性付与化合物>
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート(融点:130℃以上)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート(融点:119℃)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(融点240〜245℃)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(融点218〜223℃)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン(融点159〜162℃)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)(融点128℃以上)、4,4’−ブチリデンビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)(融点209℃以上)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)(融点160℃以上)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(融点50〜55℃)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(融点69℃(凝固点)、2,2−チオ−ジエチレン−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点63℃以上)等のフェノール系酸化防止性付与化合物;
等を挙げることができる。
【0029】
本発明の製造方法により顆粒組成物を製造するには、前述のように、まずフェノール系化合物3重量部以上80重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを含む混合物が攪拌造粒される。
攪拌造粒の工程で使用される攪拌造粒機としては、通常、攪拌槽の内部に撹拌翼を有し、当該撹拌翼と攪拌槽の内壁面との間に、通常、30mm以下、好ましくは、0.1mm以上5mm以下程度のクリアランスを有する内部撹拌型造粒機等を挙げることができる。
代表的な攪拌造粒機としては、例えば、ハイスピードミキサー(攪拌転動造粒機)、ヘンシェルミキサー(高速攪拌造粒機)バーティカルグラニュレーター、ファーママトリックス、スーパーミキサー、GRAL−グラル、シュギミキサー、ハイスピーダー、ニュースピードニーダ等の竪型ミキサーや、レディゲミキサー、スパルタンリューザー、ピンミキサー等の横型ミキサー等を挙げることができる。好ましくは、ハイスピードミキサーが挙げられる。
【0030】
攪拌造粒機が攪拌槽の内部に有する攪拌翼の翼端は、適宜、形状を設計すればよいが、例えば、ハイスピードミキサーの場合には、中心部に向かって傾斜(例えば、10°〜50°の傾斜角)が付けられており、混合物が中心部に掬い上げられ、底部と壁面との隅に混合物が滞留しないような形状を好ましいものとして挙げることができる。
攪拌造粒機が攪拌槽の内部に有する攪拌翼の翼先端速度は、形状によっても異なるが、例えば、2m/s以上40m/s以下を挙げることができる。好ましくは、4m/s以上10m/s以下が挙げられる。また、攪拌造粒機が攪拌槽の槽壁にチョッパーを有する場合、チョッパーの翼先端速度は、形状によっても異なるが、例えば、2m/s以上40m/s以下を挙げることができる。好ましくは、5m/s以上30m/s以下が挙げられる。
【0031】
攪拌造粒機が具備する攪拌槽の内部に供給される、フェノール系化合物とバインダーとを含む混合物となる原料の容量は、適宜変更可能であるが、例えば、ハイスピードミキサーの場合には、当該攪拌槽の全容量に対して、30%以上60%以下の容積を占めるようにすればよい。
攪拌造粒機が具備する攪拌槽の内部に、フェノール系化合物とバインダーとを含む混合物となる原料を供給する際には、例えば、フェノール系化合物とバインダーとを含む混合物となる原料の各々を予めミキサー、ブレンダー等の混合機で混合しておき、この混合物を前記攪拌造粒機に供給してもよいが、当該原料の各々を同時に又は順に前記攪拌造粒機に供給することが好ましい。
【0032】
フェノール系化合物とバインダーとを含む混合物を攪拌造粒する際の温度設定としては、例えば、バインダーの融点より10℃低い温度以上且つバインダーの融点より20℃高い温度以下の範囲等を挙げることができる。好ましくは、バインダーの融点より10℃低い温度以上且つバインダーの融点より10℃高い温度以下の範囲等が挙げられる。前記温度設定は、例えば、攪拌造粒機が有する加熱手段を利用すればよく、具体的には、攪拌造粒機のジャケット等に熱媒を通して昇温する方法等を挙げることができる。
【0033】
本発明の製造方法では、フェノール系化合物とバインダーとを含む混合物が攪拌造粒されてなる顆粒凝集体を、前記バインダーの融点以下かつ当該融点より10℃低い温度以上で、粒径5mm以下の顆粒を回収可能とする分離機構と解砕機構とを備えた解砕機により解砕して顆粒を得る工程を含む。
【0034】
解砕機が備える分離機構は、粒径5mm以下の顆粒を回収可能であればよい。代表的な分離機構としては、例えば、前記所望の粒径を回収可能とする開口を有するスクリーン等を挙げることができる。尚、ここで「備える」とは、(1)前記分離機構が一体として解砕機本体内に含まれることにより、前記分離機構を解砕機が内的に有しており、解砕機が内蔵する解砕機構により顆粒凝集体を解砕する工程と平行的に又は引き続き連続的に、前記分離機構による顆粒凝集体と顆粒とを分離する工程が進行するような存在態様のみを意味するだけではなく、(2)前記分離機構が解砕機本体外に付加的に設置されることにより、前記分離機構を解砕機が外的に有しており、解砕機が内蔵する解砕機構により顆粒凝集体を解砕する工程の後に続き不連続的に、前記分離機構による顆粒凝集体と顆粒とを分離する工程が進行するような存在態様をも含む。また「開口」とは、スクリーンが有する目又は目開き(顆粒の通過部)等を意味するものである。
【0035】
解砕機が備える解砕機構としては、例えば、往復運動又は回転運動するプレートによって顆粒凝集体を顆粒に解砕し得る接触型剪断機構等を挙げることができる。
このような解砕機により顆粒凝集体を解砕する際の温度設定は、バインダーの融点以下であり、バインダーの融点より10℃低い温度以上の範囲である。前記温度設定は、例えば、解砕機が有する加熱又は冷却手段を利用すればよく、具体的には、解砕機のジャケット等に熱媒を通して温度を調整する方法等を挙げることができる。
【0036】
本発明製造方法で使用し得る解砕機(尚、一般的には、解し機、破砕機等と呼ばれることもある。)としては、例えば、オシュレーター(深江パウテック社製)、フレーククラッシャー(ホソカワミクロン社製)、ディスインテグレータ(ホソカワミクロン社製)、パワーミル(不二パウダル社製)、クイックミル(セイシン社製)、フェザミル(ホソカワミクロン社製)、カッターミル(槇野産業社製、増幸産業社製、三庄インダストリー社製)、ベックスミル(ホソカワミクロン社製)等を挙げることができる。好ましくは、オシュレーター、フレーククラッシャーが挙げられる。
【0037】
代表的な解砕機としてオシュレーターについて更に詳しく説明する。本願の実施例(具体的には、前記所望の顆粒径を目的にする場合)に使用されたオシュレーターは、ローターとスクリーンとを備え、当該ローターと当該スクリーンとの間に、通常、10mm以下、好ましくは、1mm以上5mm以下程度のクリアランスを有する。前記ローターが往復運動することによって顆粒凝集体を解砕して顆粒を得る。ローターの往復運動速度としては、例えば、先端速度として0.1m/s以上1m/s以下、30往復/分以上300往復/分以下等を挙げることができる。
【0038】
このようにして得られた顆粒は、実質的に5mm以下の粒径を有しており、そのまま製品としてもよい。尚、前記所望の粒径のみをより精度良く有する製品に仕上げる場合には、必要に応じて、得られた顆粒に含まれる微粉を、例えば、目開きが0.1mm〜2mm程度の篩を使用して取り除く工程を追加すればよい。
取り除かれた微粉は、再び、本発明の製造方法の原料として用いてもよい。
【0039】
本発明の製造方法により製造された顆粒組成物は、例えば、ポリオレフィン等の樹脂に配合されて用いられる。本発明の顆粒組成物と樹脂との配合割合としては、例えば、樹脂100重量部に対して5重量部以下となる顆粒組成物を配合するような割合を挙げることができ、具体的には、0.005重量部以上5重量部以下、好ましくは0.01重量部以上2重量部以下、より好ましくは0.01重量部以上1重量部以下等の配合割合が挙げられる。
【0040】
本発明の顆粒組成物と樹脂とが配合されてなる樹脂組成物では、樹脂が熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂としては、市販されている樹脂であれば特に限定されないが、例えば、エチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、メチルペンテンポリマー、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン類(ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)等のポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、特殊アクリルゴム−アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等)、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等が挙げられ、成形加工性の良さから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン類が好ましい。
【0041】
ここで、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィンを意味し、具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。
【0042】
本発明において熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、ポリプロピレン系樹脂は1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0043】
α−オレフィンとしては、例えば、炭素原子数4〜12のα−オレフィンが挙げられ例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが挙げられる。
【0044】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
【0045】
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
【0046】
プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられ、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分等が挙げられる。尚、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分におけるエチレン及び/又は炭素原子数4〜12のα−オレフィンの含有量は、例えば、0.01〜20重量%である。
【0047】
また、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体等が挙げられる。
【0048】
また本発明において熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又は炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体が用いられ、さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又は炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体が用いられる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
【0050】
<材料>
実施例では以下の原料を使用した。
成分A(フェノール系酸化防止剤(1)):3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン「スミライザーGA−80(登録商標)」(住友化学製)
成分B(バインダー):3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル「スミライザーTPM(登録商標)」(住友化学製)(融点:51℃)
成分C:ステアリン酸カルシウム(品川化工製)
成分D:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト「イルガフォス168(登録商標)」(チバスペシャルティケミカルズ製)
成分E:安息香酸ナトリウム
成分F:微粉タルク「ミクロンホワイト5000S(登録商標)」(林化成製)
成分G:ハイドロタルサイト「DHT-4C」(協和化学製)
【0051】
(実施例1)
100L容ハイスピードミキサー(深江パウテック製:型番FS−100)に、成分A1.3kg(8.9重量部)、成分B4.0kg(26.8重量部)、並びに、成分D(35.7重量部)、成分E(25.0重量部)及び成分G(3.6重量部)、からなる原料(合計15kg)を投入した。
ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する攪拌槽を昇温し、次いで、ハイスピードミキサーの攪拌槽の内部に有する攪拌翼の回転数を165rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として10m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約20分間運転した。
このようにして前記原料からなる混合物が攪拌造粒されてなる顆粒凝集体13.8kg(攪拌造粒終了時点での顆粒凝集体の温度41℃)を得た。
このようにして得られた顆粒凝集体を、前記温度程度を維持しながら、目開き4mmサイズの開口を有するスクリーンを備えたオシュレーター(深江パウテック製:型番MF−3)に投入した。
オシュレーターのローターと前記スクリーンとの間のクリアランスが、1mm以上5mm以下であることを確認した後、次いで前記ローターを昇温し、更に前記温度程度(約41℃程度)を維持しながら、前記ローターの往復運動速度を先端速度として0.37m/s、110往復/分に設定した後、この状態を維持しながらオシュレーターを約1分40秒間運転した。
このようにして前記顆粒凝集体をオシュレーターにより解砕して顆粒(粒径4mm以下、収率:100%、処理能力:8.3kg/分)を得た。
因みに収率の算出方法は、
収率 =(オシュレーターにより解砕して得られた顆粒の重量)/
(オシュレーターに投入した顆粒凝集体の重量) × 100
処理能力の算出方法は、
処理能力 =(オシュレーターに投入した顆粒凝集体の重量)/
(処理に要した時間)
である。
尚、顆粒凝集体による衝撃・接触負荷に基づく各種製造装置(具体的には、オシュレーターのスクリーンにおける変形、オシュレーターの往復若しくは回転運動するプレートにおける変形)における障害・破損等は発生せず、各種製造装置の修理・交換を不要とし、結果的に製造効率向上に繋がった。
【0052】
(実施例2)
成分A1.6kg(10.7重量部)、成分B4.1kg(27.7重量部)、並びに、成分C(18.3重量部)、成分D(39.7重量部)及び成分F(3.7重量部)、からなる原料(合計15kg)を投入した。
ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する攪拌槽を昇温し、次いで、ハイスピードミキサーの攪拌槽の内部に有する攪拌翼の回転数を165rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として10m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約1分20秒間運転した。
このようにして前記原料からなる混合物が攪拌造粒されてなる顆粒凝集体12.9kg(攪拌造粒終了時点での顆粒凝集体の温度41℃)を得た。
このようにして得られた顆粒凝集体の温度を、約40℃程度に維持しながら、目開き4mmサイズの開口を有するスクリーンを備えたオシュレーター(深江パウテック製:型番MF−3)に投入した。
オシュレーターのローターと前記スクリーンとの間のクリアランスが、1mm以上5mm以下であることを確認した後、次いで前記ローターを昇温し、更に前記品温を維持しながら、前記ローターの往復運動速度を先端速度として0.37m/s、110往復/分に設定した後、この状態を維持しながらオシュレーターを約1分20秒間運転した。
このようにして前記顆粒凝集体をオシュレーターにより解砕して顆粒(4mm以下の顆粒径、収率:98.5%、処理能力:9.7kg/分)を得た。
尚、顆粒凝集体による衝撃・接触負荷に基づく各種製造装置(具体的には、オシュレーターのスクリーンにおける変形、オシュレーターの往復若しくは回転運動するプレートにおける変形)における障害・破損等は発生せず、各種製造装置の修理・交換を不要とし、結果的に製造効率向上に繋がった。
【0053】
(実施例3)
2500L容ハイスピードミキサー(深江パウテック製:型番FS−GC−2500J)に、成分A30kg(8.8重量部)、成分B90kg(26.9重量部)、並びに、成分D(35.8重量部)、成分E(24.9重量部)及び成分G(3.6重量部)からなる原料(合計336kg)を投入した。
ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する攪拌槽を昇温し、次いで、ハイスピードミキサーの攪拌槽の内部に有する攪拌翼の回転数を61rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として24m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約50分間運転した。
このようにして前記原料からなる混合物が攪拌造粒されてなる顆粒凝集体333kg(攪拌造粒終了時点での品温48℃)を得た。
このようにして得られた顆粒凝集体を、前記品温を維持しながら、目開き4mmサイズの開口を有するスクリーンを備えたオシュレーター(深江パウテック製:型番MF−6)に投入した。
オシュレーターのローターと前記スクリーンとの間のクリアランスが、1mm以上5mm以下であることを確認した後、次いで前記ローターを昇温し、更に前記品温を維持しながら、前記ローターの往復運動速度を先端速度として0.37m/s、110往復/分に設定した後、この状態を維持しながらオシュレーターを約40分間運転した。
このようにして前記顆粒凝集体をオシュレーターにより解砕して顆粒(4mm以下の顆粒径、収率:99.4%、処理能力:8.3kg/分)を得た。
尚、顆粒凝集体による衝撃・接触負荷に基づく各種製造装置(具体的には、オシュレーターのスクリーンにおける変形、オシュレーターの往復若しくは回転運動するプレートにおける変形)における障害・破損等は発生せず、各種製造装置の修理・交換を不要とし、結果的に製造効率向上に繋がった。
【0054】
(比較例1)
100L容ハイスピードミキサー(深江パウテック製:型番FS−100)に、成分A1.3kg(8.9重量部)、成分B4.0kg(26.8重量部)、並びに、成分D(37.5重量部)、成分E(25.0重量部)及び成分G(3.6重量部)、からなる原料(合計15kg)を投入した。
ハイスピードミキサーのジャケットに50℃の温水を通水することにより、ハイスピードミキサーが具備する攪拌槽を昇温し、次いで、ハイスピードミキサーの攪拌槽の内部に有する攪拌翼の回転数を165rpm(翼先端速度として6m/s)、チョッパーの回転数を1500rpm(翼先端速度として10m/s)に設定した後、この状態を維持しながらハイスピードミキサーを約20分間運転した。
このようにして前記原料からなる混合物が攪拌造粒されてなる顆粒凝集体13.6kg(攪拌造粒終了時点での品温42℃)を得た。
このようにして得られた顆粒凝集体を静置し、室温(30℃)まで冷却した。冷却後、これを目開き4mmサイズの開口を有するスクリーンを備えたオシュレーター(深江パウテック製:型番MF−3)に投入した。
オシュレーターのローターと前記スクリーンとの間のクリアランスが、1mm以上5mm以下であることを確認した後、次いで前記ローターを昇温することなく、更に前記品温以下の温度を維持しながら、前記ローターの往復運動速度を先端速度として0.37m/s、110往復/分に設定した後、この状態を維持しながらオシュレーターを運転したがその処理に3分を要した。
このようにして前記顆粒凝集体をオシュレーターにより解砕して顆粒(4mm以下の顆粒径)を得たが、一方で解砕されないまま又は得られた顆粒が凝集して再発生した顆粒凝集体も多く存在しており、その収率は99.5%であったが、その処理能力は4.5kg/分と低いものであった。
尚、顆粒凝集体による衝撃・接触負荷に基づく各種製造装置(具体的には、オシュレーターのスクリーンにおける変形、オシュレーターの往復若しくは回転運動するプレートにおける変形)における障害・破損等が発生しており、各種製造装置の修理・交換を要し、結果的に製造効率が低下した。
【0055】
(比較例2)
実施例1と同様にして得た顆粒凝集体を55℃に加熱し、当該温度を維持しながら、オシュレーターに投入した。当該温度を維持すること以外は、実施例1と同様の条件でオシュレーターを運転したところ、バインダーである成分Bが溶融したため、オシュレーター内で更に大きな凝集物となり、顆粒として回収することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、所望の顆粒を得ることが可能となった。また、顆粒組成物を攪拌造粒法により製造する際に生じる顆粒凝集体による衝撃・接触負荷に基づく各種製造装置における障害・破損等を軽減するという副次効果が得られ、各種製造装置の修理・交換が不要となり、製造効率向上を実現し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは、ヘテロ原子、環状基、又はヘテロ原子と環状基とを含んでいてもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
で表されるフェノール系化合物3重量部以上80重量部以下と、バインダー20重量部以上50重量部以下とを含む混合物を攪拌造粒して得られる顆粒凝集体を、前記バインダーの融点以下当該融点より10℃低い温度以上で、粒径5mm以下の顆粒を回収し得る分離機構と解砕機構とを備えた解砕機により解砕して顆粒を得る工程を含む顆粒組成物の製造方法。
【請求項2】
バインダーの融点が40℃以上90℃以下である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
分離機構が、開口部を有するスクリーンである請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
解砕機構が、往復運動又は回転運動するプレートによって顆粒凝集体を顆粒に解砕し得る接触型剪断機構である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
フェノール系化合物が、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリチル エステル、及び、ビス{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸}トリエチレングリコリル エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】
バインダーが、式(2)
(R2−Y−S−C24CO)−Z (2)
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−CCO−を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。)
で表されるイオウ系化合物である請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
バインダーが、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−ドデシル エステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシル エステル又は3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシル エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜6のいずれか記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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