説明

顕微鏡カバー、顕微鏡および顕微鏡カバー収容箱

【課題】暗視野観察や蛍光観察を行う際にも、顕微鏡周辺の環境を暗くする必要がない顕微鏡カバー、顕微鏡カバーを収容可能な顕微鏡、および顕微鏡カバー収容箱を提供する。
【解決手段】 本発明の顕微鏡カバー10は、開口部11を有する袋状をなし、顕微鏡100に装着した際、接眼レンズ8を露出させる接眼レンズ穴14を有し、光非透過性のシート状材料からなるカバー本体部13と、カバー本体部13に取り付けられ、接眼レンズ穴14を開閉自在に被覆する蓋15と、顕微鏡100と着脱可能に係合するカバーホック18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡保管時に使用する顕微鏡カバー、該顕微鏡カバーを収容可能な顕微鏡、および顕微鏡カバー収容箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡を用いた観察を行う場合には、観察の終了後、接眼レンズなどの光学系に埃が付かないように、顕微鏡本体にカバーをかけて保管している。保管用のロッカーが別に存在する場合には、顕微鏡を保管用ロッカーまで移動させて保管を行っている。また、顕微鏡の保管に木箱を使用する場合は、観察場所まで木箱に収容したまま運搬し、木箱から顕微鏡を出して観察を行った後、再び木箱に収容して、保管用ロッカーまで搬送し、保管している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−311280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保管時に使用するカバーは、顕微鏡使用時には不要となるため、置き場所に困る。また、カバーをかけた状態で、顕微鏡を保管用ロッカーに搬送する場合、かけたカバーにより内部の顕微鏡が見えないため、顕微鏡の持ってはいけない部分をつかんで破損してしまったり、顕微鏡の観察精度を悪化させてしまうおそれがあった。
【0005】
また、保管に木箱を使用する場合にも、顕微鏡使用時の木箱の置き場の問題に加え、木箱自体が大きく重いため、持ち運びが大変であり、搬送の際に木箱を体にぶつけて怪我をするおそれもある。
【0006】
一方、顕微鏡観察において、暗視野観察や蛍光観察を行う際、標本からの反射光が微弱である場合は、観察光が周囲からの光に影響を受けないよう、部屋全体を暗くしたり、暗室に顕微鏡を持ち込んで観察を行う必要があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送が容易で、顕微鏡観察時のカバーの置き場所を確保する必要がなく、さらに、暗視野観察や蛍光観察を行う際にも、顕微鏡周辺の環境を暗くする必要がない顕微鏡カバー、顕微鏡カバーを収容可能な顕微鏡、および顕微鏡カバー収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の顕微鏡カバーは、開口部を有する袋状の顕微鏡カバーであって、顕微鏡に装着した際、前記顕微鏡の接眼レンズを露出させる穴部を有し、光非透過性のシート状材料からなるカバー本体部と、前記カバー本体部に取り付けられ、前記穴部を開閉自在に被覆する蓋部と、前記顕微鏡と着脱可能に係合する係合手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の顕微鏡カバーは、上記発明において、前記穴部は、前記接眼レンズと略同一径であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の顕微鏡カバーは、上記発明において、前記蓋部を開いた状態で前記接眼レンズを露出させたまま前記蓋部を固定する蓋保持部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の顕微鏡カバーは、上記発明において、前記係合手段は前記開口部近傍に形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の顕微鏡カバーは、上記発明において、前記係合手段は前記カバー本体部の中間部に形成され、前記カバー本体部は、前記係合手段が形成された前記中間部から前記開口部にかけて少なくとも1箇所以上のスリットが形成されたカバー開閉部と、前記カバー開閉部を上部に折り上げたまま前記カバー開閉部を固定するカバー開閉保持部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の顕微鏡カバーは、上記発明において、前記カバー上部に形成された運搬用保持部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の顕微鏡は、上記のいずれか一つに記載の顕微鏡カバーを装着する顕微鏡であって、前記顕微鏡本体背面に形成され、前記顕微鏡カバーを折りたたんで収容する収容部と、前記収容部に取り付けられる開閉可能な蓋部と、前記蓋部の内側に形成された前記顕微鏡カバーを固定する接合部と、前記顕微鏡カバーと着脱可能な係合手段と、備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の顕微鏡収容箱は、上記のいずれか一つに記載の顕微鏡カバーを収容する顕微鏡カバー収容箱であって、前記顕微鏡カバーを折りたたんで収容する、内部が空洞の矩形状の収容部と、前記収容部に取り付けられる開閉可能な蓋部と、前記蓋部の内側に形成された前記顕微鏡カバーを固定する接合部と、前記蓋部の反対側に形成され、顕微鏡本体に着脱可能に係合される係合手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる顕微鏡カバー、顕微鏡および顕微鏡カバー収容箱は、検鏡者の要求に応じて、顕微鏡カバーを顕微鏡に着脱可能とし、該顕微鏡カバーを顕微鏡に装着しない場合も、該顕微鏡カバーを収容可能とすることにより、顕微鏡観察時のカバーの置き場所を確保する必要がなく、搬送が容易で、さらに、暗視野観察や蛍光観察を行う際にも、部屋の明るさ等の顕微鏡周辺の環境を整える必要がなく、作業効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる顕微鏡カバーの収容部を備えた顕微鏡の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の顕微鏡カバーを顕微鏡に装着した場合の外観の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1の顕微鏡カバーの一部拡大図である。
【図4】図4は、図1の顕微鏡カバーを顕微鏡に装着し、観察を行う場合の外観の一例を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施の形態2にかかる顕微鏡カバーの概略構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5の顕微鏡カバーを顕微鏡に装着した場合の外観の一例を示す斜視図である。
【図7】図7は、実施の形態3にかかる顕微鏡カバーを顕微鏡に装着した場合の外観の一例を示す斜視図である。
【図8】図8は、実施の形態4にかかる顕微鏡カバー収容箱を顕微鏡に取り付ける一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる顕微鏡カバーの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、顕微鏡カバーを収容する収容部を備えた顕微鏡の概略構成を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡カバーを顕微鏡に装着した場合の外観の一例を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる顕微鏡カバーの一部拡大図である。図4は、顕微鏡カバーを顕微鏡に装着し、観察を行う場合の外観の一例を示す斜視図である。
【0020】
図1に示す顕微鏡100は、標本1が載置されるステージ2と、ステージ2を支持するとともにレボルバ3を介して対物レンズ4を保持する顕微鏡本体5と、顕微鏡本体5を支持するベース部6と、顕微鏡本体5の上部に載置された鏡筒7と、対象標本1の標本像を目視観察するための接眼レンズ8と、を備える。
【0021】
また、顕微鏡100は、顕微鏡本体5の背面側に、顕微鏡カバー10を収容する収容部20を備える。収容部20には、開閉可能な開閉蓋21が取り付けられ、開閉蓋21の内側には顕微鏡カバー10を固定する接合部22が形成されている。
【0022】
顕微鏡カバー10は、顕微鏡100の保管の際、顕微鏡100に装着して接眼レンズ8などの光学系への埃の付着を防止する。顕微鏡カバー10は、開口部11と、閉じた端部12とを有する袋状をなし、開口部11を介して顕微鏡カバー10を顕微鏡100にかぶせて装着する。顕微鏡カバー10は、顕微鏡100に装着した際、顕微鏡100の接眼レンズ8を露出させる穴部14を有し、光非透過性のシート状材料からなるカバー本体部13と、接眼レンズ穴14を開閉自在に被覆するシート状の蓋15と、顕微鏡100と着脱可能に係合する係合部であるカバーホック18と、を備える。
【0023】
カバー本体部13は、光非透過性の材料からなる。このような材料として、例えば、黒色の布や、可撓性を有するプラスチック材料に金属蒸着膜を形成したシート、または光非透過染料などを混合して形成された可撓性のプラスチックシートなどを使用できる。黒色の布が、入手容易性等の観点で好ましい。接眼レンズ穴14は、接眼レンズ8と略同一径とすることが、防塵や遮光の点で好ましい。本実施の形態1では、接眼レンズ穴14を接眼レンズ8にあわせて2ケ所形成しているが、単眼鏡筒の場合は、接眼レンズ穴14を1個形成すればよい。
【0024】
接眼レンズ穴14の上部には、カバー本体部13と同一の材質で形成されたシート状の蓋15が形成される。蓋15の上端部は、蓋固定部16によりカバー本体部13に固定されている。蓋15の下端部には、カバー本体部13に形成された蓋係合部24と着脱可能に係合する蓋係合部23が設けられる。また、蓋15の上方には、蓋15を開いて接眼レンズ8を露出する際、接眼レンズ8の露出を保持するよう蓋15を着脱可能に係合する蓋保持部17が設けられる。蓋係合部23と蓋係合部24との係合を解除して、蓋15を引き上げて蓋係合部23と蓋保持部17とを係合させることにより、蓋15を開いたままの状態で固定して、接眼レンズ穴14を介して接眼レンズ8を露出させる。蓋係合部23、蓋係合部24および蓋保持部17は、面ファスナーなどで形成され、例えば、蓋係合部23をフック状に起毛したファスナーとし、蓋係合部24および蓋保持部17をループ状に起毛したファスナーとすることで着脱可能となる。蓋係合部23をループ、蓋係合部24および蓋保持部17をフックとしてもよい。あるいは、マグネットシートなども使用できる。
【0025】
カバー本体部13の開口部11近傍には、顕微鏡100と係合する係合手段としてのカバーホック18が形成される。本実施の形態1では、開口部11近傍に略均等な間隔をおいて、カバーホック18a、18b、18c、および18dが、計4個設けられている。また、顕微鏡100のベース部6には、カバーホック18a、18b、18c、および18dと着脱可能に係合するベースホック19a、19b、19c、および19dが形成され、カバーホック18a、18b、18c、および18dと、ベースホック19a、19b、19c、および19dとを、それぞれ係合して、顕微鏡カバー10を顕微鏡100に装着する。
【0026】
次に、顕微鏡カバー10を使用した顕微鏡観察について説明する。
【0027】
まず、顕微鏡カバー10が収容部20に収納されている場合は、開閉蓋21を開けて、収容部20から顕微鏡カバー10を引き出し、接眼レンズ穴14に接眼レンズ8を通すようにして、顕微鏡カバー10を顕微鏡100にかぶせる。接眼レンズ穴14を覆う蓋15は、その下端部で係合している蓋係合部23と蓋係合部24との係合を解除し、蓋15を引き上げて蓋係合部23を蓋保持部17に係合させる。
【0028】
その後、カバーホック18a、18b、18c、および18dと、ベースホック19a、19b、19c、および19dとを、それぞれ係合する。このようにして、顕微鏡カバー10を顕微鏡100に装着することにより、標本1を観察する際、光非透過性の顕微鏡カバー10が周囲の光を遮断するため、標本1上には顕微鏡100の光源から照射される光のみが照らされ、暗室で観察するのと同様の効果を得ることができる。
【0029】
一方、顕微鏡カバー10を顕微鏡100にかぶせた状態で保管され、かかる状態の顕微鏡100で顕微鏡観察を行う場合は、すでに顕微鏡カバー10が顕微鏡にかぶせられているため、接眼レンズ穴14を覆う蓋15の係合を解除し、蓋15を引き上げて蓋係合部23を蓋保持部17に係合させた後、接眼レンズ穴14に接眼レンズ8を通して、接眼レンズを顕微鏡カバー10外部に露出させた後、カバーホック18とベースホック19とを係合して、顕微鏡観察を行えばよい。
【0030】
本実施の形態1では、カバーホック18とベースホック19とを係合することにより顕微鏡カバー10の下部が固定されるため、顕微鏡カバー10のめくりあがりを防止するともに、顕微鏡カバー10と顕微鏡100との隙間が減少し、より完全な暗室効果を保持することができる。
【0031】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかる顕微鏡カバーは、顕微鏡カバーの中間部から開口部にかけてスリットを有し、該スリットが形成された顕微鏡カバーの下半部を折り曲げて二つ折り状態で顕微鏡に固定し、顕微鏡のステージより下の部分を露出させる点で実施の形態1と異なる。
【0032】
図5は、実施の形態2にかかる顕微鏡カバーの概略構成を示す斜視図である。図6は、図5の顕微鏡カバーを顕微鏡に装着した場合の外観の一例を示す斜視図である。
【0033】
顕微鏡カバー10Aは、開口部11と端部12との中間部に、係合部としてのカバーホック28a、28b、28c、および28dが形成されている。一方、顕微鏡カバー10Aが装着される顕微鏡100Aには、ステージ2Aの下部および顕微鏡本体5Aのステージ2Aと同じ面位置に、ベースホック29a、29b、29c、および29dが形成される。顕微鏡カバー10Aのカバーホック28a、28b、28c、および28dが形成される位置は、顕微鏡100Aに形成されたベースホック29a、29b、29c、および29dとの係合が容易に行える位置に形成されるものとする。
【0034】
また、顕微鏡カバー10Aには、カバーホック28a、28b、28c、および28dが形成される位置から開口部11にかけて、スリット25aおよび25bが設けられている。スリット25aおよび25bが設けられたカバー開閉部26aおよび26bは、顕微鏡カバー10Aの端部12方向に折り曲げて使用される。スリット25aおよび25bを設けることにより、カバー開閉部26aおよび26bの上方向への折り曲げを容易に行える。
【0035】
カバー開閉部26aおよび26bには、開口部11近傍にカバー開閉保持部27aおよび27bがそれぞれ2つ設けられている。カバー開閉保持部27aおよび27bは、カバー開閉部26aおよび26bを折り曲げた際の、上方両端に設けられる。また、カバー本体部13Aの中間部にカバー開閉保持部30aおよび30bがそれぞれ2つ設けられる。カバー開閉部26aおよび26bを上方向へ折り曲げた後、カバー開閉保持部27aおよび27bを、カバー開閉保持部30aおよび30bにそれぞれ係合して、カバー開閉部26aおよび26bを折り曲げたままカバー開閉部26aおよび26bを固定する。また、カバー開閉部26aには、スリット25aおよび25b近傍に、カバー開閉保持部27cがそれぞれ2つ設けられる。カバー開閉部26bには、スリット25aおよび25b近傍に、カバー開閉保持部27dがそれぞれ2つ設けられ、カバー開閉保持部27cとカバー開閉保持部27dとをそれぞれ係合させることができる。各カバー開閉保持部は、面ファスナーやマグネットシートなどにより形成すればよい。
【0036】
本実施の形態2にかかる顕微鏡カバー10Aは、カバー開閉部26を折り曲げたまま固定できるものであればよく、カバー開閉部およびカバー開閉保持部の数、形状は限定されるものではない。
【0037】
次に、顕微鏡カバー10Aを使用した顕微鏡観察について説明する。
【0038】
まず、顕微鏡カバー10Aが収容部20に収納されている場合は、収容部20から顕微鏡カバー10Aを引き出し、接眼レンズ穴14に接眼レンズ8を通すようにして、顕微鏡カバー10を顕微鏡100にかぶせた後、蓋15を引き上げて蓋係合部23を蓋保持部17に係合させて、接眼レンズ8を露出させる。
【0039】
カバー開閉部26aを上方に折り曲げ、カバー開閉保持部27aをカバー開閉保持部30aに係合させる。続いて、カバー開閉部26bを上方に折り曲げ、カバー開閉保持部27bを、カバー開閉保持部30bに係合させるとともに、カバー開閉部26aと26bのスリット25aおよび25b側の端部を重ね合わせるようにして、カバー開閉保持部27cとカバー開閉保持部27dとを係合させる。
【0040】
カバーホック28a、28b、28cおよび28dと、ベースホック29a、29b、29c、および29dとを、それぞれ係合する。このようにして、顕微鏡カバー10Aを顕微鏡100Aに装着することにより、標本1を観察する際、光非透過性の顕微鏡カバー10Aが周囲の光を遮断するため、標本1上には顕微鏡100Aの光源から照射される光のみが照らされ、暗室で観察するのと同様の効果を得ることができる。
【0041】
さらに本実施の形態2では、顕微鏡100Aは顕微鏡カバー10Aによりステージ2Aから上方のみを覆い、照準ハンドル等が設置されるステージ2A下方は顕微鏡カバー10Aで覆われていない。したがって、暗室効果を保ちながら、顕微鏡の操作も通常通り行うことができる。また、保管時には、カバー開閉保持部27cとカバー開閉保持部27dとをそれぞれ係合させた状態で、カバー開閉部26aおよび26bを下げれば、実施の形態1と同様の防塵効果を奏することも可能となる。
【0042】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3にかかる顕微鏡カバーは、カバー本体部13Bの上部に運搬用保持部が形成されている。図7は、実施の形態3にかかる顕微鏡カバーを顕微鏡に装着した場合の外観の一例を示す斜視図である。
【0043】
本発明の実施の形態3にかかる顕微鏡カバー10Bは、顕微鏡100Bに顕微鏡カバー10Bを装着したまま、顕微鏡100Bを運搬する際の取っ手となる運搬用保持部31と、顕微鏡100Bの運搬の際、顕微鏡100Bと顕微鏡カバー10Bとを固定支持するための固定用穴部32と、を備える。
【0044】
顕微鏡100Bは、ベース部6前方に顕微鏡カバー10Bの固定用穴部32と係合させる支柱33を有する。支柱33を固定用穴部32に通すことにより、顕微鏡カバー10Bと顕微鏡100Bとを固定する。また、顕微鏡カバー10Bは、開閉蓋21内の接合部22で顕微鏡100Bと固定されている。顕微鏡カバー10Bは、顕微鏡100Bの後方で接合部22とに、前方で支柱33とにそれぞれ固定支持されているため、運搬の際、顕微鏡100Bを落とすことはない。なお、運搬時には、カバーホック18と、ベースホック19とは結合されていても、結合されていなくてもよい。
【0045】
実施の形態3では、顕微鏡カバー10Bと顕微鏡100Bとを顕微鏡100Bの前後2ケ所で固定支持し、顕微鏡カバー10B上部に設けた運搬用保持部31を把持して顕微鏡100Bを運搬できる。そのため、顕微鏡100Bを抱えて運ぶ際、運搬時に本来持ってはいけない部分を支持することによる、顕微鏡の観察精度の悪化や破損を防止することができる。また、顕微鏡100Bでの観察の際、カバーホック18とベースホック19とを係合することにより顕微鏡カバー10B下部が固定され、顕微鏡カバー10Bのめくりあがりを防止するともに、顕微鏡カバー10Bと顕微鏡100Bとの隙間が減少し、より完全な暗室効果を保持することができるという効果を奏する。
【0046】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4にかかる顕微鏡カバー収容箱は、実施の形態1の顕微鏡カバー10を内部に収容する内部空洞の矩形体状の箱であり、顕微鏡に着脱可能に固定できる。図8は、実施の形態4にかかる運搬用保持部を顕微鏡に取り付ける一例を示す斜視図である。
【0047】
顕微鏡カバー収容箱40は、顕微鏡カバー10を折りたたんで収容する、内部が空洞の矩形体状の収容部41と、収容部41に取り付けられ、内部を開閉自在に被覆する開閉蓋42と、開閉蓋42の内側に配置された顕微鏡カバー10を固定する接合部43と、収容部41の開閉蓋42が形成される面と反対側の面に形成され、顕微鏡本体5Cに着脱可能に係合される係合凸部44と、を備える。係合凸部44は、図8に示すように、鉤型形状を示す。本実施の形態では、係合凸部44を3ケ所設けているが、後述する顕微鏡本体部5Cの係合凹部45との係合により固定支持できれば、いくつ設けていてもよい。
【0048】
顕微鏡100Cは、顕微鏡本体部5Cの背面側に顕微鏡カバー収容箱40の係合凸部44を収容して係合する穴状の係合凹部45(図示しない)が形成される。係合凸部44と係合凹部45は、任意に着脱可能である。なお、顕微鏡100Cと顕微鏡カバー収容箱40との固定は、鉤型の係合凸部44と穴状の係合凹部45との係合の他、ゴムバンドやベルト等を使用してもよく、あるいはネジ等により固定してもよい。
【0049】
本実施の形態にかかる顕微鏡カバー収容箱40は、顕微鏡100Cの保管時または観察の際に暗室効果が必要な場合にのみ顕微鏡100Cに係合して、顕微鏡カバー10を顕微鏡100Cに装着することができ、不要な場合は取り外すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる顕微鏡カバー、顕微鏡、顕微鏡カバー収容手段および顕微鏡観察方法は、暗視野観察や蛍光観察機能を備える顕微鏡に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 標本
2 ステージ
3 レボルバ
4 対物レンズ
5 顕微鏡本体
6 ベース部
7 鏡筒
8 接眼レンズ
10 顕微鏡カバー
11 開口部
12 端部
13 カバー本体部
14 接眼レンズ穴
15 蓋
16 蓋固定部
17 蓋保持部
18 カバーホック
19 ベースホック
20 収容部
21、42 開閉蓋
22、43 接合部
23、24 蓋係合部
25 スリット
26 カバー開閉部
27、30 カバー開閉保持部
31 運搬用保持部
40 運搬用保持部
41 収容部
44 係合凸部
100 顕微鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する袋状の顕微鏡カバーであって、
顕微鏡に装着した際、前記顕微鏡の接眼レンズを露出させる穴部を有し、光非透過性のシート状材料からなるカバー本体部と、
前記カバー本体部に取り付けられ、前記穴部を開閉自在に被覆する蓋部と、
前記顕微鏡と着脱可能に係合する係合手段と、
を備えることを特徴とする顕微鏡カバー。
【請求項2】
前記穴部は、前記接眼レンズと略同一径であることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡カバー。
【請求項3】
前記蓋部を開いた状態で前記接眼レンズを露出させたまま前記蓋部を固定する蓋保持部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡カバー。
【請求項4】
前記係合手段は前記開口部近傍に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の顕微鏡カバー。
【請求項5】
前記係合手段は前記カバー本体部の中間部に形成され、
前記カバー本体部は、
前記係合手段が形成された前記中間部から前記開口部にかけて少なくとも1箇所以上のスリットが形成されたカバー開閉部と、
前記カバー開閉部を上部に折り上げたまま前記カバー開閉部を固定するカバー開閉保持部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の顕微鏡カバー。
【請求項6】
前記カバー上部に形成された運搬用保持部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかひとつに記載の顕微鏡カバー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の顕微鏡カバーを装着する顕微鏡であって、
前記顕微鏡本体背面に形成され、前記顕微鏡カバーを折りたたんで収容する収容部と、
前記収容部に取り付けられる開閉可能な蓋部と、
前記蓋部の内側に形成された前記顕微鏡カバーを固定する接合部と、
前記顕微鏡カバーと着脱可能な係合手段と、
を備えることを特徴とする顕微鏡。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の顕微鏡カバーを収容する顕微鏡カバー収容箱であって、
前記顕微鏡カバーを折りたたんで収容する、内部が空洞の矩形状の収容部と、
前記収容部に取り付けられる開閉可能な蓋部と、
前記蓋部の内側に形成された前記顕微鏡カバーを固定する接合部と、
前記蓋部の反対側に形成され、顕微鏡本体に着脱可能に係合される係合手段と、
を備えることを特徴とする顕微鏡カバー収容箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−123203(P2012−123203A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273965(P2010−273965)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】