説明

顕微鏡系およびこれを用いた方法

本発明は、多光子顕微鏡において用いられる光学系およびその方法を提供する。本光学系は、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する。前記パルスマニピュレータ機構は、イニシャル分布を有する入力パルスの光路に設けられ、入射する前記入力パルスの光成分の軌跡に作用し、これら光成分が異なる光路に沿って前記結像レンズ機構の光軸に向かうよう構成されている時間的パルスマニピュレータユニットを有し、前記時間的光マニピュレータユニットは、前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられることにより、結像面における入力パルス分布の復帰を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に光学技術の分野に属し、顕微鏡法又は材料加工技術において用いられる多光子法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ走査顕微鏡法および共焦点又は多光子による顕微鏡法では、オプティカルセクショニングが可能である。
【0003】
米国特許第3,013,467号明細書により開示されている共焦点顕微鏡は、検出系前方の共焦点ピンホールによる顕微鏡試料のオプティカルセクショニング、すなわち、焦点外(out-of-focus)散乱の除去を利用している。
【0004】
共焦点顕微鏡法の分野は、画像の収集を目的として、試料の逐点(point-by-point)照射の概念および機械走査(すなわち、光ビームおよび/又は試料の変位)に依存している。このため、結像は時間を要する処理であり、現在の市場にある系においては一般的に、機械走査装置の限界速度である1セクション当たり数十ミリ秒に限定されている。共焦点法のこの固有の限定は、高速時間分解画像を得るための共焦点法の利用を著しく限定するものである。
【0005】
多光子顕微鏡は、オプティカルセクショニングを行うための別の機構を提供する。ここでは、照射強度を測定して得た信号の非線形依存性により、焦点外散乱を除去する必要が実質的になくなる。多光子加工の中でも最も一般的な二光子励起蛍光法(TPEF)は、照射光のピーク強度が高くないと効果が得られず、すなわち、焦点スポットでのみ効果的である(Denk, W., Strickler, J. H., Webb, W. W., Two-photon laser scanning fluorescence microscopy, Science 248, 73-76 (1990))。非線形加工を行うには高エネルギー密度が必要となるため、多光子顕微鏡では短パルスレーザが必要となる。しかしながら、画像を収集するには試料又はレーザビームの走査のいずれかが必要で、結局は画像フレームレートが有する同様の限定に帰着することになる。
【0006】
共焦点顕微鏡および多光子顕微鏡の両方における画像収集速度を上げるために、複数の方法が開発されている。これらの方法のほとんどは、多点照射および単一空間軸で走査を行う。一般的な例として以下がある。単一軸走査および線照射(Sheppard, C. J. R., Mao, X. Q., Confocal microscopes with slit apertures, J. Mod. Optics 35, 1169-1185 (1988); Brakenhoff, G. J., Squier, J., Norris, T., Bliton, A. C., Wade, M. H., Athey, B., Real-time two-photon confocal microscopy using a femtosecond, amplified, Ti:Sapphire system, J. Microscopy 181, 253-259 (1995))、およびパターンディスクの回転(共焦点顕微鏡法)(Egger, M. D., Petran, New reflected-light microscope for viewing unstained brain and ganglion cells, Science 157, 305-307 (1967))、又は、小レンズアレイ(多光子顕微鏡法)(Buist, A. H., Muller, M., Squier, J., Brakenhoff, G. J., Real-time two-photon absorption microscopy using multipoint excitation, J. Microscopy 192, 217-226 (1998); Bewersdorf, J., Pick, R., Hell, S. W., Multifocal multiphoton microscopy, Opt. Lett. 23, 655-657 (1998))。これら以外には、色多重化(chromatic multiplexing)が用いられている(Tearney, G. J., Webb, R. H., Bouma, B. E., Spectrally encoded confocal microscopy, Opt. Lett. 23, 1152-1154 (1998))。しかしながら、これまでのところ、フレームレートはビデオレート結像を著しく下回るまで低減されていない。
【0007】
顕微鏡における回転型マイクロレンズアレイの使用は、Minoru Kobayasky et alの"Second-harmonic-generation microscope with a microlens array scanner" Optics letters, Vol. 27, No.15, August 1, 2002でも開示されている。この技術によると、マイクロレンズアレイは、平行入力レーザビームの光路に設けられ、レーザビームを複数の小ビームに分裂させるものであり、分裂した小ビームは再度平行にされ、水浸対物レンズに入射する。この方法では試料を照射する焦点が複数用いられている。各焦点スポットが隣接するスポットから適時分離されることで、隣接する焦点界同士が干渉して三次元分解における劣化を招くのを防ぐ。マイクロレンズアレイディスクが回転すると、試料上の各焦点スポットが同時に走査される。
【0008】
L. Saconi et al.の "Multiphoton multifocal microscopy exploiting a diffractive optical element" Optics letters, Vol. 28, No. 20, October 15, 2003において開示されているさらに別の技術は、ガルボスキャナーと直列した小型偏向光学素子を用いて、複数点が整然と並んだ偏向率の高い格子を作製し、焦点強度における均一度を高くするものである。ここでは、ガルボスキャナ上の格子でピボット動作が可能となるよう、複数対の望遠レンズが用いられている。
【0009】
米国特許第6,020,591号明細書は、平面波照射を行う二光子蛍光顕微鏡を開示している。この技術は、二光子蛍光顕微鏡において、レーザビームの横走査による効果を得るために部位を移動する必要を無くし、これと同時に三次元画像を作成することを目的としている。この顕微鏡は、それぞれパルスの波長がλ2およびλ3の二本のレーザビームを用い、これらが時間的かつ空間的に重複するとき、蛍光を二光子発光させる。パルス波長がλ2およびλ3の二本のビームは、試料内の交差角度θで合波され、重複する度に線形領域内での多光子吸収を引き起こす。これらのパルスが互いを通過すると、重複した線形領域が移動し、その重複期間で蛍光含有試料片が二光子吸収により励起される。横走査は、二本のビームにおける相対的なパルスの遅延を調整することにより、部位を移動させることなく効果をもたらす。交差角θが0に設定された場合、すなわち、2本のビームが同じ軸に沿った方向にある場合、2本のビームのパルスはパンケーキ状の容積部分を作り、パルスが反対方向に移動しながら空間的かつ時間的に重複すると二光子励起が起こる。二光子電荷結合素子(CCD)アレイなどの二次元検出器は、横走査を行うことなく試料の二次元的部位を一度に検出するために用いることができる。三次元画像は、2つのパルス間の時間遅延を調整し、2つのパルスの交差点で作られた「パンケーキ状」容積部分の位置を変更して作製することが可能である。
【0010】
従来のレーザ走査顕微鏡法は、共焦点顕微鏡法であれ多光子顕微鏡法であれオプティカルセクショニングが可能だが、走査処理を行うために数十ミリ秒という長い画像取得時間を要する(Wilson, T., Confocal Microscopy, Academic press, London (1990))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当該技術においては、新たな照射構成およびその操作方法を提供することにより、多光子顕微鏡法での試料の結像を容易にすることが必要とされている。
【0012】
本発明の照射技術並びにこれを用いた結像方法は、測定、検査および材料加工技術にも容易に適用できると理解すべきであり、ここでの「材料加工」という用語は、材料の光学特性(例えば、屈折率)に変化をもたらす加工に言及している。
【0013】
本発明の主な概念は、試料(すなわち、顕微鏡の焦点面)上の機械走査(すなわち、試料と照射光ビームとの間の相対変位)を無くすか、又は、少なくともこの必要を大きく減らすことを目的としている。本発明は、顕微鏡で用いる結像レンズ機構の回折限界点よりも数オーダー大きい試料上の領域を照射することを可能にする。これは、入力光パルスに時空的パルス整形を行うことにより、走査することなくフルフレーム深度分解能画像を得て達成される。
【0014】
上述したように、多光子レーザ走査顕微鏡において、深度分解能は焦点面で高強度を得るために超短パルスを空間的に集束して実現する。信号の強度上の非線形依存性により、結果的には焦点外信号の除外が良好に行われる。
【0015】
これとは反対に、本発明の技術は、照射パルスの時間的集束によるもので、これを1本の空間軸に沿った空間的集束と組み合わせて行う。この時間的集束は、試料を伝搬しながら圧縮され、試料の外に再度広がる前に焦点面で最短幅(および最高ピーク強度)に達するパルス励起界に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、非常に簡易な装備と標準的な構成要素によりフルフレーム深度分解能顕微鏡法が可能である。本発明の光学系は、結像レンズ機構の前方焦点面で顕微鏡の光軸に対して垂直に伸びる面を形成し、この面の異なる点に入射する入力短パルスの光成分が異なる光路に沿って方向付けられるよう、これら光成分の軌跡に影響を与えるパターンが形成されている時間的パルスマニピュレータを含むパルスマニピュレータアレイを用いている。これには散乱面又は薄散乱板が用いられる。パターンは、光軸に向けた指向性散乱のためなどに形成されることが望ましい。
【0017】
入力パルスが散乱面と作用することで、散乱面とレンズ機構との間の光路でのパルス幅は、どの点においてもイニシャル入力パルスのパルス幅よりも長くなるが、これは、前記散乱面からこの点に至る軌跡の長さが、光線により相違することによる。パルス幅がイニシャル値に復帰するのは結像面に限られる(フェルマーの原理による)。よって、散乱面を用いると、試料における目的のフルフレーム、すなわち、前記レンズ機構の回折限界点よりもオーダーの大きい領域を励起する弱焦点の励起ビームが得られる。
【0018】
光路の違いをさらに大きくするためには、入力ビームが特定の非ゼロ入射角度(傾斜構造)で散乱面に入射するよう、入射光学系を構成することが望ましい。この場合、焦点面は可動照射線により照射される。
【0019】
上述したように、本発明の技術は、照射パルスの時間的集束と1本の軸(Y軸)に沿った空間的集束との両方を用いることができる。この場合、散乱面がY軸に沿って伸び、時間的集束を行うことを考慮すると、Y軸に沿った空間的集束は、線画像を作成するアナモフィックレンズ機構(例えば、円筒レンズ)を介して散乱面にビームを向けながら、入力パルスをこの面に沿って配置(走査)して行われる。結果的に試料は線照射されるが、深度分解能は、高速走査法(例えば、マイクロレンズアレイ)により得られる深度分解能と同様となる。
【0020】
このため、本発明の一つの広い態様によれば、多光子顕微鏡又は試料の光学的加工において用いられる光学系が提供されており、この光学系は、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有し、パルスマニピュレータ機構は、イニシャル分布を有する入力パルスの光路に設けられ、入射する入力パルスの光成分の軌跡に作用し、これら光成分が異なる光路に沿って結像レンズ機構の光軸に向かうよう構成されている時間的パルスマニピュレータユニットを有し、この時間的パルス光マニピュレータユニットは、結像レンズ機構の前焦点面に設けられることにより、結像面における入力パルス分布の復帰を可能にする。
【0021】
本発明の別の広い態様によれば、多光子顕微鏡で用いられる光学系が提供されており、光散乱面が特定のイニシャル分布を有する単一パルスの光路に設けられることにより、前記面の下流点で入力パルス幅に作用し、またその前焦点面において結像レンズ機構の光軸に垂直に配置されることにより、結像レンズ機構の回折限界点よりもオーダーの大きい領域を照射する、イニシャル分布を有する照射パルスを結像面に形成する。
【0022】
本発明のさらに別の広い態様によれば、試料の多光子照射において用いられる光学系が提供されており、この光学系は、結像レンズ機構と、結像レンズ機構の光軸に垂直な結像レンズ機構の前焦点面に設けられる光散乱面とを有し、この光散乱面は、単一入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータとして機能する。
【0023】
本発明のさらに別の広い態様によれば、試料の多光子照射において用いられる光学系が提供されており、この光学系は、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有し、パルスマニピュレータ機構は、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って伸びる、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータと、この時間的パルスマニピュレータに向けて伝搬する入力パルスの光路に設けられ、第1の軸に沿って伸びる1本の線形に入力パルスを集束するよう構成されている空間的パルスマニピュレータとを有する。
【0024】
また、別の多光子顕微鏡が提供されており、この多光子顕微鏡は、所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とこの結像レンズ機構の光軸に垂直な結像レンズ機構の前焦点面に設けられた光散乱面とを有する光学系とからなり、これにより光散乱面は、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータとして機能する。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、多光子顕微鏡が提供されており、この多光子顕微鏡は、所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなり、パルスマニピュレータ機構は、結像レンズ機構の前焦点面に、この結像レンズ機構の光軸に垂直に配置されている時間的パルスマニピュレータを有し、時間的パルスマニピュレータは、その下流点でパルス幅を増大するために、入力パルスの光成分の軌跡に作用するよう構成されていることにより、イニシャルパルスの分布に復帰した分布を有し、結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい断面積を有する照射パルスを結像面に形成する。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、多光子顕微鏡が提供されており、この多光子顕微鏡は、所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなり、パルスマニピュレータ機構は、結像レンズ機構の前焦点面に結像レンズ機構の光軸に垂直に配置され、イニシャル入力パルスが特定の非ゼロ入射角度で入射するようイニシャル入力パルスに対して配向された時間的パルスマニピュレータユニットを有し、時間的パルスマニピュレータユニットは、入力パルスの光成分の軌跡に作用するよう構成されていることにより、時間的パルスマニピュレータの下流点でパルス幅に作用し、イニシャルパルスの分布に復帰した分布を有し、結像面に沿って移動する照射パルスを結像面に形成することにより、結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい領域を照射する。
【0027】
本発明はまた、所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなり、パルスマニピュレータ機構は、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、この結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って伸びる、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータと、時間的パルスマニピュレータに向かって伝搬する入力パルスの光路に設けられ、第1の軸に沿って伸びる1本の線形に入力パルスを集束するよう構成されている空間的パルスマニピュレータとを有する。
【0028】
本発明のさらに別の広い態様によれば、材料の光学特性に変化をもたらす多光子材料加工系が提供されており、この系は、所定のイニシャル分布および所定の強度を有する短パルスを生成可能な光源体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなり、パルスマニピュレータ機構は、イニシャル分布を有する単一入力パルスの光路に設けられ、入射する入力パルスの光成分が異なる光路に沿って結像レンズ機構の光軸に向かうよう、これら光成分の軌跡に作用するよう構成されている時間的パルスマニピュレータユニットを有し、この時間的パルス光マニピュレータユニットは、結像レンズ機構の前焦点面に設けられることにより、結像面における入力パルス分布の復帰を可能にする。
【0029】
本発明のさらに別の広い態様によれば、材料の光学特性に変化をもたらす多光子材料加工系が提供されており、この系は、所定のイニシャル分布および所定の強度を有する短パルスを生成可能な光源体と、結像レンズ機構と、この結像レンズ機構の光軸に垂直な結像レンズ機構の前焦点面に設けられる光散乱面とを有する光学系とからなり、これにより光散乱面は、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータとして機能する。
【0030】
本発明のさらに別の広い態様によれば、材料の光学特性に変化をもたらす多光子材料加工系が提供されており、この多光子材料加工系は、所定のイニシャル分布および所定の強度を有する短パルスを生成可能な光源体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなり、パルスマニピュレータ機構は、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、この結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って伸びる、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータと、この時間的パルスマニピュレータに向けて伝搬する入力パルスの光路に設けられ、第1の軸に沿って伸びる1本の線形に入力パルスを集束するよう構成されている空間的パルスマニピュレータとを有する。
【0031】
本発明のさらに別の広い態様によれば、多光子顕微鏡による試料の結像方法が提供されており、この方法は、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直に伸びる散乱面に、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを入射することにより、試料に向けたパルス伝搬を基準にして前記面の下流点でパルス幅に作用する工程と、結像面におけるイニシャルパルス幅の復帰を可能にすることにより、単一入力パルスで結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい結像面の領域を照射する工程とを有する。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、多光子放射による試料の照射方法が提供されており、この方法は、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを、結像レンズ機構の前焦点面に結像レンズ機構の光軸に垂直に設けられた散乱面に、特定の非ゼロ入射角度で入射することにより、試料の結像面での入力パルスの時間的集束に作用する工程を有する。
【0033】
本発明の別の広い態様によれば、多光子放射による試料の照射方法が提供されており、この方法は、所定のイニシャル幅を有する入力パルスを生成する工程と、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って延びる光散乱面を、1本の線に整形された単一入力パルスにより走査する工程と、パルスが結像レンズ機構を伝搬することにより、試料の結像面での入力パルスの時間的集束を有効にし、かつ、第1の軸に沿った結像面での入力パルスの空間的集束を有効にする工程とを有する。
【0034】
本発明の別の広い態様によれば、多光子顕微鏡による試料の結像方法が提供されており、この方法は、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直に沿って延びる光散乱面に、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを通過させることにより、試料に向けたパルス伝搬を基準にして前記面の下流点でパルス幅に作用する工程と、結像面におけるイニシャルパルス幅の復帰を可能にすることにより、結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい結像面の領域を照射する工程とを有する。
【0035】
本発明の別の広い態様によれば、多光子顕微鏡による試料の結像方法が提供されており、この方法は、結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直に伸びる散乱面に、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを入射することにより、試料に向けたパルス伝搬を基準にして前記面の下流点でパルス幅に作用する工程と、結像面におけるイニシャルパルス幅の復帰を可能にすることにより、単一入力パルスで結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい結像面の領域を照射する工程とを有する。
【0036】
本発明の別の広い態様によれば、試料の多光子材料加工において用いられる方法が提供されており、この方法は、所定のイニシャルパルス幅および所定の強度を有する入力パルスを生成する工程と、結像レンズ機構の前焦点面に前記結像レンズ機構の光軸に垂直に設けられた散乱面に、単一入力パルスを入射することにより、結像レンズ機構の回折限界点より極めてオーダーの大きい、パルスが集束する照射領域に沿って、試料の結像面における入力パルスの時間的集束を有効にする工程を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は、多光子顕微鏡法(例えば、TPEF顕微鏡)又は材料加工(例えば、パターン形成)など、放射ビームを試料に沿って走査する必要なく(すなわち、焦点面に沿った励起光ビームと試料との間の相対変位を必要としない)深度分解結像を行うものである。言い換えれば、本発明は、非走査光学系(例えば、顕微鏡)により試料の結像/加工を行うものである。このため、本発明の技術は、単一入力光パルスの(空間的集束よりも)時間的集束を利用するもので、また1本の空間軸に沿った空間的集束をも利用し得る。
【0038】
本発明を理解し実際の実施方法を確認するために、好適な実施形態を、限定されない例のみ用い、添付の図面を参照して説明する。
【0039】
図1Aおよび図1Bを参照すると、標準的な多光子顕微鏡法の技法と比較した非走査深度分解能による顕微鏡法の原理の概要図が示されている。ここでは、X軸が試料に沿って延びる横軸(すなわち、顕微鏡の対物レンズ機構の光軸に垂直な軸)であり、Z軸が試料を通る軸(すなわち、顕微鏡の光軸に平行な軸)である。
【0040】
標準的な多光子技法(図1A)では、超短パルスが空間的に集束され、対物レンズ機構の焦点で高いピーク強度を生成する。試料を伝搬する際のパルスの時間的分布(すなわち、パルス幅)はほぼ変化することなく維持されるが、これは、顕微鏡試料における材料の分散が原因となる広がりが僅かなためである。
【0041】
本発明にかかる非走査技法(図1B)では、照射(励起)ビームは弱く集束され、試料において対象となるフルフレーム、すなわち、対物レンズの回折限界点よりも極めて大きい領域を励起する。深度分解能はパルスの時間的分布を制御することで得られ、パルスは試料を伝搬しながら圧縮され、焦点面でそのピーク強度に達し、試料の外に伝搬する際に再度広がる。深度分解多光子信号は、照射されたフレーム全体から結像体により収集することができる。
【0042】
本発明の技術は、励起パルス分布を時間的に操作可能にするよう構成されている光学系を利用している。図2は、本発明により構成され、かつ操作される非走査光学装置(顕微鏡)10の概要をブロック図で示している。本実施例において、前記装置10は結像系(TPEF顕微鏡)として構成されているが、本発明の原理は、材料加工(例えば、パターン形成)にも適用できると理解すべきである。
【0043】
前記顕微鏡10は、光源体12と、本発明により構成されている光学系16といった主構成部を含み、本実施例における顕微鏡(概ね結像)系構成には検出部14も含まれる(点線で図示)。検出部14は、画像画素の配列(例えば、CCD)として構成されていてもよく、増幅光検出部又は非増幅光検出部として、あるいは、ゲート型光検出部又は非ゲート型光検出部として構成されていてもよい。
【0044】
光源並びに検出部は、光学系16を格納するハウジング15と同一のハウジングに収容されていてもよく、収容されていなくてもよいと理解すべきである。例えば、光源および/又は検出部は、ハウジング15の外側に設けられていてもよく、さらに、光は導光手段(自由空間又は光ファイバのいずれかに存在)を介して、試料Sに向けて導かれ、および/又は試料Sから引き離される。
【0045】
光学系16は、時間的パルスマニピュレータユニット20とレンズ機構23とを含み、また本実施例は、照射(励起)光B1と試料からの応答光B2(励起光)とを空間的に分離する光分離体(ダイクロイックビームスプリッタ)24(点線で図示)を含む。前記ビームスプリッタ24は、前記レンズ機構(図示)の下流に設けられる必要はないが、その構成は、以下でさらに例示するように、レンズ機構が複数のレンズで構成され、ビームスプリッタがこれらのレンズの間に位置する構成が可能である。レンズ機構23は光学系16の光軸を限定し、焦点機構として構成され、さらには。所望の画像倍率が得られるよう構成されていてもよい。このため、レンズ機構23は少なくとも対物レンズ体(1つ又は複数のレンズからなる)を有する。
【0046】
時間的パルスマニピュレータ20は、レンズ機構23の前焦点面に設けられ、光軸にほぼ垂直な軸に沿って延びる。時間的パルスマニピュレータ20は、前記マニピュレータの長手方向の異なる点に入射する入射光の光成分の軌跡に作用するよう構成されている。このため、パルスマニピュレータ20は、前記入力光を適切に散乱させるパターンに面を限定するよう構成されている。
【0047】
光源体12は、光B1の短パルスを生成可能である。これに関連して、以下に留意すべきである。非線形効果を最大限に得るには、一般に短パルスが有効である。しかしながら、パルスが短すぎる(20fsより短いパルス幅)と材料拡散を著しくし、その帯域幅が線幅でのTPEF吸収を超え得ることもあるため避けるのが望ましい。一方、長すぎるパルス(パルス幅が100fsより大きい)を用いると、高倍率および時間的パルス光マニピュレータからの散乱をかすめ入射にする必要があり、複雑さが増すことになる。
【0048】
短入力パルスB1は、光伝搬の異なる軌跡(異なる光路)に沿って、結像レンズ機構23に向かう入力光を散乱する散乱体20に入射する。結像レンズ機構23は、試料S内に位置する結像面IPに散乱体20を結像する。試料の応答光B2は、ダイクロイックミラー24によりCCD14に入射される。
【0049】
図3を参照して、散乱体20の効果をより詳細に説明する。このような散乱体20には散乱面20Aを備えた板が可能である。前記板20は、光反射性又は光透過性のいずれであってもよい。このため、光源体12(又は導光体ならば、例えばミラーを含む)は、前記板が透明の場合、前記板20を介して、また反射板の場合(図示なし)、面20Aに入力光B1を直接入射するよう適切に配向される。
【0050】
散乱体20は、光軸OAに対して指向的散乱を行うよう構成されていることが望ましい。例えば、このような指向的散乱体20には回折格子の形状が可能である。格子を用いることには、光軸OAへの回折を最大限にする設計が可能になるという利点がある。本発明の目的において、回折格子は、入力ビームを空間的に別々の光成分に分離させるために一般的に用いられる多配列格子ではなく、単一配列格子である点に留意することが重要である。
【0051】
短入力パルスB1は散乱体20に入射する。さらに離れた点Pでは、光線が散乱体の異なる位置から点Pに至るまでの軌跡の長さに違いがあるため、パルス幅がより長くなる。パルス幅は結像面IP(レンズ機構23の焦点面)においてのみイニシャル値に復帰するが、これは、例えば光の射線が1点から別の点へと進行して作る経路(屈折および反射を含む)は、これに要する時間が最小となる経路となるとするフェルマーの原理(又は、最短時間の原理)に従う。特に、パルス幅τの短パルスが前記散乱板20を照射すると、前記板の各点がこの光を複数方向に散乱し、結像面IPの各点もまたτの幅で照射されることになるが、これも対象物の1点から生じる光線はすべて同じ光路長で移動し、同時に像に到達するためである(フェルマーの原理による)。しかしながら、散乱板20又は結像面IPのいずれかからいくらか離間した位置にある別の点は、この点に至るまでに光線が異なる軌跡をたどることから、より長く照射される。特定の点と散乱体との間の距離が長いほど、この点に対する照射時間は長くなる。従って、光学系の焦点面以外に位置する点(焦点面の前方又は後方)は照射される時間が延びる。このことは、時間的集束を行うための必要条件である。パルスが広がる速度は、開口数の大きいレンズのほうが早いことは明らかなため、このようなレンズは時間的集束の深度が浅い。
【0052】
したがって、本発明の技術は、励起パルス分布の時間的マニピュレーションを可能にするよう構成されている光学系を用いている。この点で、前記系は、レンズ機構の前焦点面に設けられた散乱面(例えば、薄散乱板)を単に用いている。
【0053】
入力(励起)ビームは、散乱面全体を同時に照射する必要はない点に留意すべきである。実際に、ビームに傾斜を付けること、すなわち、一定の非ゼロ入射角度で散乱面に入力ビームを入射させることが有益である。これにより、概して僅かなミクロンだけ延びた照射パルスは、前記散乱面を走査する(その後、像は試料面を走査する)。この傾斜構造は、点に至る光線の光路長の違いを大きくするため、時間的集束の深度を浅くする効果を有する。この構造は、パルス自体の移動により数ピコ秒でフルフレームが走査されるという点以外は、線形走査顕微鏡法に類似している。偏向による効果の観点では、正確な分析により、最適な系では時間的集束の深度が空間的集束の深度と同一になることが示されている(Martinez, O. E., 3000 times grating compressor with positive group-velocity dispersion - application to fiber compensation in 1.3-1.6μm region, IEEE J.
Quantum Electronics 23, 59-64 (1987))。入力パルスを一定の非ゼロ入射角度で散乱面に配向すると、対物レンズ機構(結像面)の焦点面が、X軸に沿って延びる可動照射線により照射される(散乱面はY軸に沿って伸び、光軸OAはZ軸とする)。
【0054】
図4Aを参照すると、本発明により組み立ておよび操作が行われる実験的TPEF顕微鏡体100の概略図が示されている。ここで、光源体12は、75MHzの繰り返し率で10fsパルスB1を生成するチタンサファイアレーザ共振器12Aと、入力パルスを直径約1.2cmのガウス形状に空間的に拡張させるビーム拡張器12B(アクロマートX3望遠鏡)とを有する。このように拡張されたパルスは、パルスの中心波長が顕微鏡100の光軸OAに向けて偏向するよう光パルスB1を一定の非ゼロ入射角度で前記面20Aに照射する配向にしたミラー17を介して、300 l/mmの単一配列格子20の反射パターン面20A(散乱体)に入射される。前記散乱面20Aは光軸OAに垂直に配置される。光学系16はさらに、レンズ機構23とダイクロイックビームスプリッタ24とを有する。レンズ機構23は20cmのダイクロイックレンズ23Bと、拡大率が約125に相当するX100 NA=1.4fluar対物レンズ(Zeiss製)23Aとを有する高拡大望遠鏡系からなる。レンズ23Aおよび23Bは、それぞれの焦点長がf2およびf1であり、距離(f1+f2)をもって相互に離間している。波長選択型ビームスプリッタ(ダイクロイックミラー)24は前記レンズ23Aと23Bとの間に設けられる。散乱面(格子)20は、レンズ23Bの前焦点面に設けられる。望遠鏡体は対物レンズを第2レンズとして用いているため、蛍光結像は落射式検出(epi-detected)構成で行うことが可能であることに留意すべきである。視野は格子の点寸法および望遠鏡の倍率の両方により決まる。この望遠鏡体は対物面(試料面)に直径約100μmの視野を作成した。各パルスの総照射エネルギー量は約0.4nJであり、ピクセル当たりオーダー0.01pJのエネルギーに相当する(これは破損限界の評定値より約2倍低い(Hopt, A., Neher, E., Highly nonlinear photodamage in two-photon fluorescence microscopy, Biophys. J. 80, 2029-2036 (2001)))。この実験体では、結像プラットフォーム(imaging platform)にツァイス(Zeiss)製の倒立顕微鏡が使用されている。検出部14は、光電子増倍管および冷却強化CCD(特に図示なし)を有する。落射検出(epi-detected)蛍光体は、検出部の前方に位置し、励起光のスペクトル領域を除去するダイクロイックミラー24およびフィルター(図示なし)を介して、光電子増倍管で測定されるか、又はCCDに結像される。
【0055】
前記対物レンズの色収差および材料分散の両方を補正するために、散乱面20Aと対物レンズ23Aとの距離を(f1+f2)(20cmの長さを数ミリ移動)よりも僅かに離し、前記対物レンズの可視焦点面での多光子TPEFを可能にする。これにより、深度分解能が若干減少するだけで、確実に横方向の分解能を最大限に得られる。
【0056】
本発明の別の実施形態によると、1本の空間軸(Y軸)に沿ったパルスの空間的集束と組み合わせた入力パルスの時間的集束が可能となる。このことは、光源12A(例えば、レーザ)と、これに選択的にビーム拡張器12Bを組み合わせてなる光源体12と、本発明により構成される光学系216とを有する光学的加工装置200を示す図4Bの概略図で例示されている。ここでは、光学系216は、レンズ機構23の前焦点面に位置する時間的パルスマニピュレータ(散乱体)20と、さらに空間的パルスマニピュレータ30とにより形成されるパルスマニピュレータユニット220を有する。後者の空間的パルスマニピュレータは、ミラー17およびレンズ機構19を含む。前記ミラー17は、入力光パルスB1を一定の非ゼロ入射角度(上述のとおり)で面20Aに照射するよう配向可能である。本実施例において、ミラー17は、面20Aに沿って光パルスB1を変位(走査)させるよう回転可能である。アナモフィックレンズ機構(例えば、円筒型レンズ)として構成されているレンズ機構19は、ミラー17からの反射光の光路に設けられ、前記格子溝に垂直な線を照射するように配向される。空間的パルスマニピュレータ30は、X軸に沿った線結像を行うよう操作可能である。これにより、試料は線照射されることになるが、高速走査法により得られる深度分解と同様に高い深度分解能を有する。
【0057】
図5は、図4Aの非走査TPEF顕微鏡100の深度分解能で得た実験結果を示している。この実験において、試料は、0.9μmの二光子蛍光染料(クマリン515)がポリマーマトリックス状にガラススライドにスピンコートされたものである。前記0.9μm厚にスピンコートされた蛍光層からの全蛍光信号は、対物焦点面に対するZ軸に沿った層の位置の関数として測定される。蛍光体は約104μm2の領域から収集され、光電子
増倍管で測定される。CCDにより検出された照射領域の画像は、励起パルスのガウス形状が起因する信号強度の測定結果を正規化するために用いられる。FWHMの測定結果は約4.5μmであり、線走査TPEF顕微鏡法で得られる結果と比較可能である(Brakenhoff, G. J., Squier, J., Norris, T., Bliton, A. C., Wade, M. H., Athey, B., Real-time two-photon confocal microscopy using a femtosecond, amplified, Ti:Sapphire system, J. Microscopy 181, 253-259 (1995))。深度応答における非対称性は、上述のとおり、格子20の位置が第1の望遠鏡レンズ23Bの焦点から若干ずれることに起因する。励起パルスの幅が大きいため、色収差は焦点深度曲線(オーダー1μm)にスミアリングを生じさせる。
【0058】
図6Aから図6Iは、吸収帯の中心を400nmとしたDNA用の蛍光溝結合プローブDAPIで染色した、ショウジョウバエの卵室の非走査による深度分解能画像を示している。これらの画像(光学的断面部)は順に、卵室の下部(図6A)から卵室の上部(図6H)となる。各画像の領域は約140x140μmである。これらの画像は、CCD増幅画像を30秒間(各画像の結合時間)結合して得た画像を5μmで分割したものである。各画像からは倍増ノイズが取り除かれ、ガウスビーム分布を帯びたビーム強度における空間的な変化に応じて修正される。
【0059】
各卵室は、15個の比較的大きな保育細胞と、複数の小さな胞細胞が形成する被覆層で囲まれた1個の卵母細胞とからなる。対物レンズの開口数で決まる画像の横分解能はオーダー0.25μmである。被覆領域は全体で約104μm2であり、これは約100,000の有効画素に相当する。胞細胞は上部および下部の両方で観察され、その核は直径が約3μmである。中央の画像(図6B、E、H)は、寸法がオーダー10μmの保育細胞の中核と、これを包囲する複数の胞細胞を示している。図6Cではさらに小さな卵室が観察されている。図6Iの画像は、前記格子を簡易ミラーに置き換えて撮像したものであるため、パルスはいたるところで短いままである。結果的にこれが非深度分解能画像となり、図6Fの比較画像となる。卵室全体には、強烈な焦点外背景が示されている。フレーム毎に比較的長い結合時間を要することは、より増幅したパルスを用いることで対処できる。実際に、マルチパス増幅系の1μJのパルスを1KHzの繰り返し率で用いると、1秒をはるかに下回る結合時間で同様の画質を有する画像を得ることができる。100μJのパルスは、数ピコ秒続くサブパルスのバーストに分割できるため、1ナノ秒未満での照射を行うシングルショット深度分解能画像に用いることができる。
【0060】
最大値の信号を測定するためには、焦点面でのピーク強度をできるだけ高くしつつ、これを生物試料の損傷限界値以下に保つ必要がある[Brakenhoff, G. J., Squier, J., Norris, T., Bliton, A. C., Wade, M. H., Athey, B., Real-time two-photon confocal microscopy using a femtosecond, amplified, Ti:Sapphire system, J. Microscopy 181, 253-259 (1995)]。拡張型キャビティレーザのように繰り返し周波数が低い系(小さいMHzで操作される)[Cho, S. H., Bouma, B. E., Ippen, E. P., Fujimoto, J. G., Low-repetition-rate high-peak-power Kerr-lens mode-locked Ti:Al2O3 laser with a multiple-pass cavity, Opt. Lett. 24, 417-419 (1999)]、又は、繰り返し周波数の高い増幅器(一般的に数百KHzで操作される)[Norris, T. B., Femtosecond pulse amplification at 250KHz with a Ti:Sapphire regenerative amplifier and application to continuum generation, Opt. Lett. 17, 1009-1011 (1992)]が、この領域での機能に適している。上述した実験から推定すると、約50nJのパルスを10MHzで出力する30fs拡張型空洞発振器(市販されている系)を用いることで、ビデオレート非走査フルフレームTPEF顕微鏡法は容易に実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
深度分解能顕微鏡法は、数十年に亘り事実上はレーザ走査顕微鏡法と同義であった。本発明の技術は、極めて単純な構成体と標準的な部品を用いたフルフレーム深度分解能顕微鏡法(又は材料加工)を提供するものである。本発明は様々な用途に有益に用いることができる。例えば、非走査体は、CCD増幅器をゲート制御するだけで、フルフレームビデオレートでの蛍光寿命画像を可能にする。本発明の単発深度分解能顕微鏡法によれば、ナノ秒の領域に至る極めて速い動作を捕らえることが可能である。非走査体はまた、例えば構造化照射といった線形光学技術の利用も可能にし、例えば、構造化照射顕微鏡法(Gustaffson, M. G. L., Surpassing the lateral resolution limit by a factor of two using structured illumination microscopy, J. Microscopy 198, 82-87 (2000))、多光子結像の適用における空間的分解能の向上を導くものである。本発明の技術はTPEF顕微鏡法に限定されず、二次高調波(Peleg, G., Lewis, A., Bouevitch, O., Loew, L., Parnas, D., Linial, M., Gigantic optical non-linearity's from nanoparticle-enhanced molecular probes with potential for selectively imaging the structure and physiology of nanometric regions in cellular systems, Bioimaging 4, 215 (1996))、三次高調波(Barad, Y., Eisenberg, H, Horowitz, M., Silberberg, Y., Nonlinear scanning laser microscopy by third harmonic generation, Appl. Phys. Lett. 70, 922-924 (1997); Muller, M., Squier, J., Wilson, K. R., Brakenhoff, G. J., 3D microscopy of transparent objects using third harmonic generation, J. Microscopy 191, 266-274 (1998))、又はコヒーレント反ストークスラマン散乱(Duncan, M. D., Reintjes, J, Manuccia, T. J., Scanning coherent anti-Stokes Raman microscope, Opt. Lett. 7, 350-352 (1982); Zumbusch, A., Holtom, G. R., Xie, X. S., Three-dimensional vibrational imaging by coherent anti-Stokes Raman scattering, Phys. Rev. Lett. 82, 4142-4145 (1999))のような多光子加工法にも実用的に用いることが可能である。
【0062】
さらに、上記に示したように、本発明は結像系に限定されず、例えば、フェムト秒放射による透明基板の深度分解能の同期修正といった材料加工に用いることもできる。材料加工には例えば、導波管、又は多導波管構成を形成するなど、媒体にパターンを作成する目的にも可能である。一般的に材料加工は、例えば、媒体の選択的位置を局部的に変更するなど、媒体の屈折指数に変化をもたらすことを基本としている。このため、例えば情報キャリアへの記録を目的とした、上述と同様の照射強度の高い操作が可能な光学的構成体が用いられる(例、"Three-dimensional optical storage inside transparent materials", E. N. Glezer et al., Opt. Lett., 21, 2023-2025 (1996)に記述)。
【0063】
当業者ならば、様々な修正および変更を、添付の請求項の記載および定義の範囲内で、これまで述べたような本発明の実施形態に適用できることを容易に認識できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1Aおよび図1Bは、本発明(図1B)の非走査深度分解能による照射技術の原理を、標準的な多光子顕微鏡法(図1A)における原理と比較して示した図である。
【図2】図2は、顕微鏡法又は材料加工に用いられる本発明による非走査光学系の構成の概略図である。
【図3】図3は、図2の系で用いられる時間的パルスマニピュレータの効果を示す概略図である。
【図4】図4Aは、本発明の非走査TPEF顕微鏡の一実施例を示す。図4Bは、時間的集束の原理を利用した本発明の光学系(例えば、顕微鏡)の別の実施例を示す。
【図5】図5は、図4Aの顕微鏡で得られた実験結果を示す図である。
【図6】図6A〜図6Hは、吸収帯の中心を400nmとしたDNA用の蛍光溝結合プローブDAPIで染色した、ショウジョウバエの卵室の非走査による深度分解能画像を例示する。また図6Iは、図6Fの図と比較するための非深度分解能TPEF画像を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多光子顕微鏡において用いられる光学系であって、
結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有し、
前記パルスマニピュレータ機構は、イニシャル分布を有する入力パルスの光路に設けられ、入射する入力パルスの光成分の軌跡に作用し、これら光成分が異なる光路に沿って前記結像レンズ機構の光軸に向かうよう構成されている時間的パルスマニピュレータユニットを有し、前記時間的パルス光マニピュレータユニットは、前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられることにより、結像面における入力パルス分布の復帰を可能にすることを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記時間的パルスマニピュレータユニットは、前記結像レンズ機構の前記光軸に垂直に伸びる散乱面を限定するよう構成されており、前記散乱面は前記入力パルスの光成分の軌跡に作用することにより、前記面の下流点で単一入力パルスの幅に作用する請求項1記載の光学系。
【請求項3】
前記時間的パルスマニピュレータユニットは、前記結像レンズ機構の前記光軸に垂直に延びるパターン面を限定するよう構成されている請求項1記載の光学系。
【請求項4】
前記パターン面は光散乱面である請求項3記載の光学系。
【請求項5】
前記パターン面は板状構造を有する請求項3記載の光学系。
【請求項6】
前記板状構造は、前記入力パルスのスペクトル領域に亘って実質的に透明であり、前記光学系は、前記板の対面を前記入力パルスに露出させるよう構成されている請求項5記載の光学系。
【請求項7】
前記パターン面は反射性であり、前記光学系は前記パターン面を前記入力パルスに直接露出させるよう構成されている請求項3記載の光学系。
【請求項8】
前記パターン面は、この面に入射する光に対し実質的に指向性散乱を行い、前記入力パルスの前記散乱した光成分を、前記結像レンズ機構の前記光軸に実質的に向けるよう構成されている請求項3記載の光学系。
【請求項9】
前記パターン面は、回折格子構造を有する面である請求項3記載の光学系。
【請求項10】
前記回折格子は、単一回折オーダーを限定するよう構成されている請求項9記載の光学系。
【請求項11】
前記入力パルスが前記時間的パルスマニピュレータユニットに直入射することを可能にするよう構成されている請求項1記載の光学系。
【請求項12】
前記時間的パルスマニピュレータユニットへの前記入力パルスの特定の非ゼロ入射角度での入射を可能にするよう構成されている請求項1記載の光学系。
【請求項13】
前記パルスマニピュレータ機構は、空間的パルスマニピュレータユニットを有する請求項1記載の光学系。
【請求項14】
前記空間的パルスマニピュレータユニットは、前記時間的パルスマニピュレータに向けて伝搬する入力パルスの光路に設けられ、前記時間的パルスマニピュレータに平行な第1の軸に沿って延びる1本の線形に前記入力パルスを集束するよう構成されている請求項13記載の光学系。
【請求項15】
前記パルスマニピュレータ機構は、空間的パルスマニピュレータユニットを有する請求項12記載の光学系。
【請求項16】
前記空間的パルスマニピュレータユニットは、前記光学面に垂直な第1の軸に沿って延びる時間的パルスマニピュレータユニットの散乱面に向けて伝搬する入力パルスの光路に設けられている請求項15記載の光学系。
【請求項17】
前記空間的パルスマニピュレータユニットは、前記パターン面に沿って前記入力パルスを変位しつつ、前記入力パルスを空間的に整形し線画像を作製するよう構成されている請求項16記載の光学系。
【請求項18】
前記空間的パルスマニピュレータユニットは、スキャナとアナモフィック光学系とを有する構成、又は回転ミラーと円筒形レンズとを有する構成のいずれかを有する請求項17記載の光学系。
【請求項19】
前記時間的パルスマニピュレータユニットは、前記入力パルスの時間的集束を行うよう構成されており、空間的パルスマニピュレータユニットは、1本の空間軸に沿って前記入力パルスの空間的集束を行うよう構成されている請求項16記載の光学系。
【請求項20】
前記結像レンズ機構は、高拡大望遠鏡系としての構成を有する請求項1記載の光学系。
【請求項21】
前記結像レンズ機構は、アクロマートレンズと、入力パルスが前記光学系を伝搬する方向を基準にして前記アクロマートレンズの下流に位置する対物レンズとを有する請求項20記載の光学系。
【請求項22】
結像レンズ機構と光散乱面とを有する多光子顕微鏡において用いられる光学系であって、
前記光散乱面が特定のイニシャル分布を有する単一パルスの光路に設けられることにより、前記面の下流点で入力パルス幅に作用し、またその前焦点面において前記結像レンズ機構の光軸に垂直に配置されることにより、前記結像レンズ機構の回折限界点よりもオーダーの大きい領域を照射する、前記イニシャル分布を有する照射パルスを結像面に形成することを特徴とする光学系。
【請求項23】
試料の多光子照射において用いられる光学系であって、
前記光学系は、結像レンズ機構と、前記結像レンズ機構の光軸に垂直な前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられる光散乱面とを有し、前記光散乱面は、単一入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータとして機能することを特徴とする光学系。
【請求項24】
試料の多光子照射において用いられる光学系であって、
結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有し、
前記パルスマニピュレータ機構は、前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、前記結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って伸びる、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータと、前記時間的パルスマニピュレータに向けて伝搬する入力パルスの光路に設けられ、前記第1の軸に沿って伸びる1本の線形に前記入力パルスを集束するよう構成されている空間的パルスマニピュレータとを有することを特徴とする光学系。
【請求項25】
所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構と、前記結像レンズ機構の光軸に垂直な前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられる光散乱面とを有する光学系とからなり、これにより前記光散乱面は、前記入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータとして機能することを特徴とする多光子顕微鏡。
【請求項26】
所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなる多光子顕微鏡であって、
前記パルスマニピュレータ機構は、前記結像レンズ機構の前焦点面に、前記結像レンズ機構の光軸に垂直に配置されている時間的パルスマニピュレータを有し、
前記時間的パルスマニピュレータは、その下流点でパルス幅を増大するために、前記入力パルスの光成分の軌跡に作用するよう構成されていることにより、イニシャルパルスの分布に復帰した分布を有し、前記結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい断面積を有する照射パルスを結像面に形成することを特徴とする多光子顕微鏡。
【請求項27】
所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなる多光子顕微鏡であって、
前記パルスマニピュレータ機構は、結像レンズ機構の前焦点面に、前記結像レンズ機構の光軸に垂直に配置され、前記イニシャル入力パルスが特定の非ゼロ入射角度で入射するよう前記イニシャル入力パルスに対して配向された前記時間的パルスマニピュレータユニットを有し、前記時間的パルスマニピュレータユニットは、前記入力パルスの光成分の軌跡に作用するよう構成されていることにより、前記時間的パルスマニピュレータの下流点でパルス幅に作用し、イニシャルパルスの分布に復帰した分布を有し、前記結像面に沿って移動する照射パルスを前記結像面に形成することにより、前記結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい領域を照射することを特徴とする多光子顕微鏡。
【請求項28】
所定のイニシャル分布を有する短パルスを生成可能な光源体と、光検出体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなる多光子顕微鏡であって、
前記パルスマニピュレータ機構は、前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、前記結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って伸びる、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータと、前記時間的パルスマニピュレータに向かって伝搬する入力パルスの光路に設けられ、前記第1の軸に沿って伸びる1本の線形に前記入力パルスを集束するよう構成されている空間的パルスマニピュレータとを有することを特徴とする多光子顕微鏡。
【請求項29】
所定のイニシャル分布および所定の強度を有する短パルスを生成可能な光源体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなる、材料の光学特性に変化をもたらす多光子材料加工系であって、
前記パルスマニピュレータ機構は、イニシャル分布を有する単一入力パルスの光路に設けられ、入射する入力パルスの光成分が異なる光路に沿って前記結像レンズ機構の光軸に向かうよう、これら光成分の軌跡に作用するよう構成されている時間的パルスマニピュレータユニットを有し、前記時間的パルス光マニピュレータユニットは、前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられることにより、結像面における入力パルス分布の復帰を可能にすることを特徴とする多光子材料加工系。
【請求項30】
所定のイニシャル分布および所定の強度を有する短パルスを生成可能な光源体と、結像レンズ機構と、前記結像レンズ機構の光軸に垂直な結像レンズ機構の前焦点面に設けられる光散乱面とを有する光学系とからなる、材料の光学特性に変化をもたらす多光子材料加工系であって、
これにより前記光散乱面は、前記入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータとして機能することを特徴とする多光子材料加工系。
【請求項31】
所定のイニシャル分布および所定の強度を有する短パルスを生成可能な光源体と、結像レンズ機構とパルスマニピュレータ機構とを有する光学系とからなる、材料の光学特性に変化をもたらす多光子材料加工系であって、
前記パルスマニピュレータ機構は、前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、前記結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って伸びる、入力パルスの時間的集束を可能にする時間的パルスマニピュレータと、前記時間的パルスマニピュレータに向けて伝搬する入力パルスの光路に設けられ、前記第1の軸に沿って伸びる1本の線形に前記入力パルスを集束するよう構成されている空間的パルスマニピュレータとを有することを特徴とする多光子材料加工系。
【請求項32】
多光子顕微鏡による試料の結像方法であって、
結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直に伸びる散乱面に、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを入射することにより、前記試料に向けたパルス伝搬を基準にして前記面の下流点でパルス幅に作用する工程と、結像面におけるイニシャルパルス幅の復帰を可能にすることにより、前記単一入力パルスで前記結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい結像面の領域を照射する工程とを有することを特徴とする結像方法。
【請求項33】
多光子放射による試料の照射方法であって、
所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを、結像レンズ機構の前焦点面に前記結像レンズ機構の光軸に垂直に設けられた散乱面に、特定の非ゼロ入射角度で入射することにより、試料の結像面での入力パルスの時間的集束に作用する工程を有することを特徴とする照射方法。
【請求項34】
多光子放射による試料の照射方法であって、
所定のイニシャル幅を有する入力パルスを生成する工程と、
結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直な第1の軸に沿って延びる光散乱を、1本の線に整形された単一入力パルスにより走査する工程と、
パルスが前記結像レンズ機構を伝搬することにより、試料の結像面での入力パルスの時間的集束を有効にし、かつ、前記第1の軸に沿った結像面での入力パルスの空間的集束を有効にする工程とを有することを特徴とする照射方法。
【請求項35】
多光子顕微鏡による試料の結像方法であって、
結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、結像レンズ機構の光軸に垂直に沿って延びる光散乱面に、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを通過させることにより、前記試料に向けたパルス伝搬を基準にして前記面の下流点でパルス幅に作用する工程と、
結像面におけるイニシャルパルス幅の復帰を可能にすることにより、前記結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい結像面の領域を照射する工程とを有することを特徴とする結像方法。
【請求項36】
多光子顕微鏡による試料の結像方法であって、
前記結像レンズ機構の前焦点面に設けられ、前記結像レンズ機構の光軸に垂直に伸びる散乱面に、所定のイニシャル幅を有する単一入力パルスを入射することにより、試料に向けたパルス伝搬を基準にして前記面の下流点でパルス幅に作用する工程と、
結像面におけるイニシャルパルス幅の復帰を可能にすることにより、単一入力パルスで結像レンズ機構の回折限界点より極めて大きい結像面の領域を照射する工程とを有することを特徴とする結像方法。
【請求項37】
試料の多光子材料加工法であって、
所定のイニシャルパルス幅および所定の強度を有する入力パルスを生成する工程と、
前記結像レンズ機構の前焦点面に前記結像レンズ機構の光軸に垂直に設けられた散乱面に、単一入力パルスを通過させることにより、前記結像レンズ機構の回折限界点より極めてオーダーの大きい、パルスが集束する照射領域に沿って、試料の結像面における入力パルスの時間的集束を有効にする工程を有することを特徴とする多光子材料加工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−513810(P2008−513810A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530851(P2007−530851)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000976
【国際公開番号】WO2006/030430
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500018608)イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (35)
【Fターム(参考)】