説明

顧客情報通報システム

【目的】 重要顧客来店時、店員に当該顧客に関する情報を通知できる顧客情報通報システムを提供する。
【構成】 取引装置E1では、顧客識別情報入力手段M1が顧客識別情報を入力し顧客識別情報送出手段M2が制御装置E2に送出する。制御装置E2では、顧客識別情報受信手段M3が前述の顧客識別情報を受信すると、この情報に基づいて顧客情報取出手段M4が予め顧客情報記憶手段M5に記憶されている顧客情報を検索して取り出す。次に、取り出された顧客情報に基づいて重要顧客判定手段M6が重要顧客であると判定すると、重要顧客情報生成手段M7は前述の顧客情報に基づいて重要顧客情報を生成し、重要顧客情報送出手段M8が端末装置E3に送出する。端末装置E3では、重要顧客情報受信手段M9が前述の重要顧客情報を受信し、この情報に基づいて重要顧客情報出力手段M10が所定の出力を行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金融機関等の店舗に来店した顧客の情報を当該店舗に所属する店員に対し通知するシステムに関し、特に、重要顧客来店の事実及び当該顧客に関する情報を通知するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、金融機関の営業店に、現金支払取引等の取引を行うため顧客が来店した場合、当該顧客と店員との間の応対関係について考察すると次の通りである。
【0003】即ち、第1としては、取引を行なう際に、店員と顧客とが何等かの意味で面談を行なう機会があるケースである。例えば現金支払取引の場合には、顧客が支払依頼票に所定事項を記載し、窓口の店員に提出する。そして受け取った店員もしくは他の専任者等が窓口装置等の操作者が記載された取引情報を入力することにより取引を行い、取引が成立すると窓口の店員が支払金額に相当する現金を顧客に渡すことになる。従って、上述の場合には支払依頼票及び現金の授受に際し、店員は顧客との間で面談を行なう機会がある。
【0004】他の1つは、顧客自身で取引を行なってしまい、店員と顧客との面談機会がないケースである。現金支払取引を例にとると、営業店内に設置されている現金自動支払機等を利用して取引を行なう場合である。この場合には、顧客自身が上述した支払依頼票に記載する内容に相当する情報を入力すると現金自動支払機等から自動的に現金が放出されるので、基本的には店員と顧客との間で面談の機会はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、顧客自身が直接自動取引装置を操作して取引を行なってしまう場合には、原則として顧客と店員との間で面談の機会がないので、当該顧客が重要顧客であっても、店員はこの事実に気づかないかもしくは気づくのに遅れる可能性がある。このような事態が発生すると、重要顧客への適切な応対を欠き、セールスチャンスを失い、営業店の業績低迷につながり、最悪の場合には重要顧客からの信頼を喪失し取引解除を招くことも懸念される。最近の金融機関においては、省力化推進のため自動取引装置を多く設置する傾向にあるため上述した懸念も増大傾向にある。また、来店顧客が多く、ロビー担当者等の店員も繁忙である等の理由で、重要顧客来店の際に、重要顧客であることの認識及び当該重要顧客の応対担当者や取引状況を常に把握しておくことは困難になっている。
【0006】本発明は上述した事情を考慮して創作されたものであり、重要顧客来店時、特に自動取引装置等を利用して顧客自身で取引を行なう場合に、店員に対し、重要顧客が来店したことを早期に通知すると共に適切な応対を可能とするための当該重要顧客に関する情報を通知することができる顧客情報通報システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明においては以下のようにした。即ち、顧客が利用する取引装置及び店員が利用する端末装置とが同一の店舗内に存在し、前記取引装置からの情報に基づいて前記顧客に関する情報を前記端末装置に通報する顧客情報通報システムにおいて、前記取引装置は、顧客識別情報を入力する顧客識別情報入力手段と、前記顧客識別情報入力手段により入力された顧客識別情報を制御装置に送出する顧客識別情報送出手段とを備え、前記制御装置は、前記顧客識別情報と対応づけて顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段と、前記顧客識別情報送出手段により送出された顧客識別情報を受信する顧客識別情報受信手段と、前記顧客識別情報受信手段により受信された顧客識別情報に基づいて、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客情報を検索して前記顧客識別情報に対応する顧客情報を取り出す顧客情報取出手段と、前記顧客情報取出手段により取り出された顧客情報に基づいて、重要顧客であるか否かを判定する重要顧客判定手段と、前記重要顧客判定手段により重要顧客であると判定された場合、前記顧客情報に基づいて重要顧客情報を生成する重要顧客情報生成手段と、前記重要顧客情報生成手段により生成された重要顧客情報を前記端末装置に送出する重要顧客情報送出手段とを備え、前記端末装置は、前記重要顧客情報送出手段により送出された重要顧客情報を受信する重要顧客情報受信手段と、前記重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて所定の出力を行なう重要顧客情報出力手段とを備えることとしたものである。
【0008】また、前記端末装置には、設置型の第1の端末装置と携帯型の第2の端末装置との2種類が存在し、前記第1の端末装置は、前記重要顧客情報送出手段により送出された重要顧客情報を受信する重要顧客情報受信手段と、前記重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて所定の出力を行なう重要顧客情報出力手段と、前記重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて告知情報を作成し、前記第2の端末装置に送出する告知情報送出手段とを備え、前記第2の端末装置は、前記告知情報送出手段により送出された告知情報を受信する告知情報受信手段と、前記告知情報受信手段により受信された告知情報に基づいて、所定の告知を行なう告知手段とを備えることとしたものである。
【0009】
【作用】本発明によれば、以上の構成の顧客情報通報システムは、取引装置においては顧客識別情報入力手段が顧客識別情報を入力すると、顧客識別情報送出手段が顧客識別情報入力手段により入力された顧客識別情報を制御装置に送出する。制御装置においては、予め顧客情報記憶手段が顧客識別情報と対応づけて顧客情報を記憶しておく。そして、顧客識別情報受信手段が、取引装置の顧客識別情報送出手段により送出された顧客識別情報を受信すると、この顧客識別情報に基づいて顧客情報取出手段が顧客情報記憶手段に記憶されている顧客情報を検索して顧客識別情報に対応する顧客情報を取り出す。次に、顧客情報取出手段により取り出された顧客情報に基づいて、重要顧客判定手段が重要顧客であるか否かを判定する。重要顧客判定手段が重要顧客であると判定すると、重要顧客情報生成手段は取り出された顧客情報に基づいて重要顧客情報を生成する。その後、重要顧客情報送出手段は重要顧客情報生成手段により生成された重要顧客情報を端末装置に送出する。端末装置においては、重要顧客情報受信手段が制御装置の重要顧客情報送出手段により送出された重要顧客情報を受信すると、この重要顧客情報に基づいて重要顧客情報出力手段が所定の出力を行なうこととしたものである。
【0010】また、端末装置には、設置型の第1の端末装置と携帯型の第2の端末装置との2種類を用意し、第1の端末装置においては、重要顧客情報受信手段が、制御装置の重要顧客情報送出手段により送出された重要顧客情報を受信すると、この重要顧客情報に基づいて重要顧客情報出力手段が所定の出力を行なう。また、告知情報送出手段は、重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて告知情報を作成し、第2の端末装置に送出する。第2の端末装置においては、告知情報受信手段が、第1の端末装置の告知情報送出手段により送出された告知情報を受信すると、この告知情報に基づいて告知手段が所定の告知を行なうこととしたものである。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の概念図、図2はシステム構成例、図3は自動取引装置のハードウェア構成図、図4はロビー端末装置のハードウェア構成図、図5は端末制御装置のハードウェア構成図、図6は担当者端末装置のハードウェア構成図、図7は処理概要のフローチャート、図8は自動取引装置における処理のフローチャート、図9は端末制御装置における処理のフローチャート、図10はロビー端末装置における処理のフローチャート、図11は担当者端末装置における処理のフローチャート、図12は重要顧客ファイル内情報例である。
【0012】図3は本発明が適用される自動取引装置のハードウェア構成例である。1は銀行の各営業店等に設置されている自動取引装置である。3は自動取引装置1と同一の営業店に設置されている端末制御装置(以下、「TC」という)であり、自動取引装置1と接続されている。また、自動取引装置1は、プロセッサ101、メモリ102、フロッピーディスク装置103、通信制御部104、ディスク(以下、「DK」という)制御部105、DK106、キーボード107、表示部108、印字部109、カード読取部110、現金処理部111及びタイマ112等により構成されている。
【0013】図4は本発明が適用されるロビー端末装置2のハードウェア構成例である。3は前述したTCであり、ロビー端末装置2と接続されている。また、ロビー端末装置2は前述の自動取引装置1と同一の営業店内のロビーに設置されており、プロセッサ201、メモリ202、フロッピーディスク装置203、通信制御部204、ディスク制御部205、DK206、入力部207、表示部208、印字部209、カード読取部210、無線通信制御部211及びタイマ212等により構成されている。また、ロビー端末装置2は無線にて、営業店の担当者が携帯している担当者端末装置4と接続されている。
【0014】図5は本発明が適用されるTC3のハードウェア構成例である。TC3は、プロセッサ301、メモリ302、通信制御部303、通信制御部304、ディスク制御部305、DK306、入出力部307、回線制御部308及びタイマ309等により構成されており、また回線制御部308と回線5を介し、ホストコンピュータ(以下、「HOST」という)6と接続されている。
【0015】図6は本発明が適用される担当者端末装置4のハードウェア構成例である。担当者端末装置4は、プロセッサ401、メモリ402、無線通信制御部403、入出力部404、ブザー405及びタイマ406等により構成されている。
【0016】本実施例においては金融機関の営業店に設置されている自動取引装置1を利用して現金支払取引等を行なうシステムに本発明を適用したこととして説明する。また、本発明において重要顧客とは、何等かの意味で一般顧客とは差別化した取扱を行ないたい顧客を意味するものであり、例えば優良顧客の場合のみならず不良顧客を意味する場合もある。
【0017】本発明の適用が上述した取引やシステムに限定されるものではない。即ち、金融機関における業務のみでなく種々の商品販売や劇場等における予約受付等において、通常の顧客と差別化を図ることが必要な業務に用いられるすべてのシステム等に適用できる。
【0018】なお、本実施例において、「店舗内」という用語は、店舗の内部のみに限定することなく、店舗外の近辺等、当該店舗に所属する店員が当該店舗内と同様に即座にその場所に赴くことができる範囲を含んだ意味に使用している。
【0019】本発明の概要を主に図7を用いて説明する。重要顧客7が来店し、当該店舗内に設置されている自動取引装置1にて取引を開始する。当該店舗に所属するロビー担当者8にとって、この時点ではまだ当該顧客7が重要顧客であるとは判明していない。顧客7が持参した磁気カードを自動取引装置1に挿入すると、自動取引装置1はこの磁気カードに記録されている口座番号を読み取る(ステップS101)。次に、自動取引装置1は顧客7の暗証番号、支払金額等取引情報の入力を促すので、顧客7はこの取引情報を入力する(ステップS102)。
【0020】入力が完了すると自動取引装置1はこの取引情報をTC3に送信するので、TC3は送信された取引情報内の口座番号を基に重要顧客ファイルを検索し、前述の口座番号が重要顧客ファイル内に設定されているかどうかを判定する(ステップS103、ステップ104)。重要顧客ファイル内に設定されており、必要に応じ、さらに前述の取引情報や取引履歴情報等も考慮して、当該顧客7は重要顧客であると判定すると次の処理を行なう。
【0021】即ち、まずTC3は、ロビー担当者8が保有している担当者端末装置4に対して無線にて、重要顧客7の来店やロビー端末装置2の操作指示等をロビー担当者8に通知するための動作を指示するので、担当者端末装置4はこの指示に基づいてブザ鳴動やランプ点滅等を行なう(ステップS105)。また、上述の処理と合わせてTC3は自動取引装置1に対し、当該顧客7は重要顧客であるので、例えば「担当者がすぐ参りますのでそのままお待ち願います」というような趣旨の文言の表示を指示するので、自動取引装置1はこの旨の表示を行なう(ステップS106)。
【0022】さらに、TC3はロビー端末装置2に対し、当該顧客7は重要顧客であること及び必要に応じ当該顧客7が操作している自動取引装置1の装置番号、当該顧客7の氏名、重要と判断した理由、重要度、その他取引履歴情報等、ロビー担当者8にとって当該重要顧客7との応対に際して必要とする情報を送出するのでロビー端末装置2はこれを受信し、まずこの情報を受信したことを表示する(ステップS107)。次に、当該重要顧客7担当のロビー担当者8以外に、前述の情報が漏洩するのを防止するため、ロビー担当者IDの入力を促し(ステップS108)、前述の情報に付加されてTC3から送出されたロビー担当者IDと一致していることを確認後、受信した前述の情報を表示する(ステップS109)。
【0023】従って、重要顧客7は自動取引装置1に表示された文言を見て自動取引装置1の所でロビー担当者8が来るのを待つことになる。一方、当該重要顧客7との応対をすべきロビー担当者8は、自身が保有している担当者端末装置4により重要顧客7との応対をすべきことが通知され、さらに、ロビー端末装置2には、処置すべき具体的内容即ち当該重要顧客7との応対をなすべきこと及び応対上必要とする当該重要顧客7に関する情報が示される。以上により、ロビー担当者8は当該重要顧客7に関する情報を入手後、当該重要顧客7が操作している自動取引装置1の所へ直ちに赴いて所定の応対を行なう。
【0024】ステップS104において、重要顧客でないと判定するとTC3はHOST6と連携し、預金残高等に基づいて支払可能であるかどうかを確認し支払可能であれば残高更新等の処理を行なって処理結果を自動取引装置1に送信するので、自動取引装置1はこの処理結果に基づいて現金の放出等の支払処理を行なう等、所定の通常の取引処理を行なう(ステップS110)。
【0025】次に、実施例の処理の詳細を主に図8乃至図11を用いて説明する。始めに、図8を説明する。この処理は重要顧客等の顧客7が自動取引装置1にて操作を行なう時の処理である。顧客7が例えば支払取引を行なおうとして営業店に出向き、この店舗内に設置されている自動取引装置1の所に行き、持参している磁気カードを自動取引装置1に設けられた図示しないカード挿入口に挿入する。プロセッサ101はカード読取部110により前述の磁気カードに記録されている口座番号を含む情報を読み取ってメモリ102に記憶する(ステップS201)。次に、顧客7が支払取引を選択した旨の情報を入力部107から入力し、さらに暗証番号及び支払金額を入力部107から入力するので、プロセッサ101はこれらの情報をメモリ102に記憶する(ステップS202乃至S204)。
【0026】続いて、プロセッサ101は、メモリ102に記憶している前述の口座番号、暗証番号、支払金額及びその他必要な情報を基に電文を組み立てて(ステップS205)、通信制御部104を介しTC3に送信する(ステップS206)。この送信された電文を基にTC3は後述する図9に示す処理を行なって電文を作成し、自動取引装置1に送信してくるので、プロセッサ101は通信制御部104を介しこの電文を受信する(ステップS207)。
【0027】次に、プロセッサ101はこの受信した電文に設定されている情報に基づいて重要顧客であり特別な処理を行なう必要があるかどうかを判定する(ステップS208)。必要があると判定すると電文内に設定されている指示に基づいて、例えば「担当者がすぐ参りますのでそのままお待ち願います」というような趣旨の文言を表示部108に表示する(ステップS209)。その後、ステップS210の支払処理に移る。なお、当該重要顧客7に対しては支払を別途応接室等で行なうため、支払処理は行なわないように構成しても良い。
【0028】ステップS208において、重要顧客でないと判定すると通常の支払処理を行なう。即ち、ステップS207にて受信した電文内の情報に基づいて、支払可能かどうか判定し、支払可能であると判定すると、ステップS204にて入力された支払金額に相当する現金を現金処理部111にて計数し放出して顧客7が入手できるようにすると共に取引内容を印字部109にてレシートに印字し、このレシート及び挿入されている磁気カードを顧客7に返却するような処理を行なう(ステップS210)。
【0029】なお、本実施例においては取引に必要とするすべての情報が顧客7により入力された時点でTC3に電文を送出している。しかしこれに限らず、重要顧客かどうかをなるべく早い時点で判定するために、ステップS201における顧客の口座番号を読み取った時点等、顧客を特定するための情報を入手した時点で電文(この場合には、取引のための電文ではなく、重要顧客であるかどうかを判定するための依頼電文)をTC3に送信し、この結果を受信してステップS208及びステップS209と同様な処理を行なうように構成しても良い。
【0030】次に図9を説明する。この処理は顧客7が自動取引装置1にて操作を行なった際の情報に基づいてTC3にて行なう処理である。前述したように、図8に示すステップS206にて自動取引装置1がTC3に電文を送信してくるので、プロセッサ301は通信制御部304を介しこの電文を受信する(ステップS301)。この電文内には口座番号(前述したように、顧客7が持参した磁気カード内に記録されている)が設定されているのでこれを取り出し(ステップS302)、この口座番号を検索キーとしてDK306に予め記憶している重要顧客ファイルを検索する。即ち、重要顧客ファイル内の口座番号を順次取り出して、一致する口座番号を有する重要顧客情報を検索する(ステップS303)。
【0031】検索の結果、前述の口座番号が重要顧客ファイルに無い場合(ステップS304)には当該顧客7は重要顧客ではないと認識しステップS308に移行する。
【0032】口座番号が存在する場合には、勿論、存在することをもって重要顧客であると判定し、直ちにステップS306に移行しても良いのであるが、さらに、前述の受信した電文及び/又は当該口座番号に対応する例えば図12に示す重要顧客情報に基づいて重要顧客かどうかを判定する(ステップS305)。この目的は、一律に重要顧客かどうかを判定するのではなく、当該顧客7が現時点で行なっている取引内容等を加味して、重要顧客として扱うかどうかを判定したいためである。例えば、たとえ重要顧客であっても、低額金額の支払の際には重要顧客でないとみなす方が、顧客及び営業店双方にとって煩わしさを回避できる等の理由でかえって有利であることもある。
【0033】判定方法としては、ステップS301にて受信した電文内に設定されている各種情報、即ち、当該顧客7が取引を行なっている装置番号、取引科目(支払、入金、為替振込等)、取引金額等を総合的に勘案して判定したり、当該顧客7に対応する重要顧客情報例えば取引履歴等を加味して判定したりする。具体的には例えば、ロビー内設置の自動取引装置1(装置番号により判定する)による取引であってかつ入金であれば金額にかかわらず常に重要顧客と判定したり、支払であれば所定の金額以上の場合に重要顧客と判定したり、支払でも入金でもなければ取引履歴及びタイマ309が示す日時等を基に前回と今回との取引間隔が所定期間以上の場合に重要顧客と判定したりする。勿論、この例のみに限定されない。
【0034】重要顧客でないと判定すると、ステップS308に移行する。
【0035】重要顧客であると判定すると、重要顧客が来店している旨及び当該顧客7が現在実行中の取引に関する情報並びに重要顧客ファイルから取り出した当該顧客7の重要顧客情報の全部もしくは一部の情報を基に電文を作成し(ステップS306)、ロビー端末装置2に送信する(ステップS307)。
【0036】ステップS308においては、自動取引装置1から受信した電文を基に、必要に応じ重要顧客であるか否かの情報を付けて電文を組み立てて(ステップS308)、HOST6に取引電文として送信する(ステップS309)。この送信された電文を基にHOST6は、所定の取引処理例えば顧客の残高を更新する等の処理を行って電文を作成し、TC3に送信してくるので、プロセッサ301は回線制御部308を介しこの電文を受信する(ステップS310)。
【0037】次に、この電文内に設定されたHOST6による重要顧客としての登録指示あるいはTC3独自の判断で(例えば取引金額や残高等をある基準値と比較して判断することによる)、当該顧客7を新規に重要顧客として登録するかまたは登録済であれば当該取引を取引履歴として追加するかどうかを判定し、必要であると判定すると重要顧客ファイルに新規もしくは追加等の登録処理を行なう(ステップS311、ステップS312)。
【0038】その後、HOST6から受信した電文を基に、重要顧客であればさらに顧客7に対するお願い文言等、出力指示する情報を追加して電文を組み立てて(ステップS313)、自動取引装置1に送出する(ステップS314)。自動取引装置1はこの電文を受信し、図8に示すステップS207以降の処理を行なう。
【0039】なお、上述の実施例においては、重要顧客ファイルはTC3が有していることとして説明した。しかしDK306の容量もしくは当該ファイル情報内容によっては、HOST6のみにもしくはTC3と(さらには必要に応じ自動取引装置1等とも合わせて)分担して重要顧客ファイルを持つように構成することが有利な場合もある。このように構成しても上述の処理は若干の変更で適用可能である。例えばステップS303における重要顧客ファイルの検索処理を説明すれば次の通りである。即ち、当該ファイルがHOST6にある場合には検索を依頼する電文をTC3が生成してHOST6に送出し、HOST6は、この電文に基づいてファイルを検索しその結果を電文に組み立ててTC3に送信する。そして、TC3はこの電文を受信後、この電文内に設定されている検索結果を使用するように構成すれば良い。
【0040】次に図10のロビー端末装置2における処理を説明する。前述したように、図9に示すステップS307にてTC3がロビー端末装置2に電文を送信してくるので、プロセッサ201は通信制御部204を介しこの電文を受信しメモリ202に記憶する(ステップS401)。この電文内にはロビー担当者IDが設定されているのでこれを取り出し(ステップS302)、このロビー担当者IDと共に電文を受信したことを示す情報を担当者端末装置4に無線通信制御部211を介し無線にて送信する(ステップS402)。勿論持ち運び上あまり支障が無ければ有線でも良い。
【0041】次に、TC3から重要顧客情報を受信した旨をロビー担当者8に通知するため表示部208に表示する(ステップS403)。この表示をロビー担当者8が見て、ロビー端末装置2の所に来て当該ロビー担当者8に割り当てられているIDを入力部207より入力する(ステップS404)。プロセッサ201が、前述の電文内に設定されているロビー担当者IDまたはあらかじめ自ロビー端末装置2に記憶しているIDとステップS404にて入力されたIDとが一致していることを確認すると、前述の電文に基づいて所定の形式に編集し(ステップS405)表示部208に表示する(ステップS406)。IDにより操作者を確認する目的は、重要顧客情報であるので当該重要顧客7の担当者本人以外の他人には見せたくないためである。運用上、担当者以外には見られないことが明らかである場合や見られても差し支えない情報を表示する場合等には本処理を省略しても良い。
【0042】ロビー担当者が表示内容を見て確認が終了した旨の操作をすると共に必要に応じ用紙に印字すべき指示を合わせて行なうと(ステップS407)、印字部209にて印字を行ない(ステップS408)、表示部208の表示を消去する(ステップS409)。なお、表示と印字の順序及び表示無しで印字のみとする等出力の態様は本実施例に限定されない。
【0043】次に、図11の担当者端末装置4における処理を説明する。ロビー端末装置2から無線により着信情報、即ちロビー端末装置2が電文を受信した旨の情報を受信すると(ステップS501)、着信情報内に設定されている装置番号に基づいて自担当者端末装置4宛の情報かどうかを判定する(ステップS502)。自装置宛でないと判定すると、何も行なわず、当該情報を無視する。自装置宛であると判定すると、自装置を携帯しているロビー担当者8に対し着信情報を受信した旨を告知するためブザー405にてブザ鳴動を行なう。ブザ鳴動に代えてまたはこれと共に入出力部404に設けられているランプの点灯もしくは点滅、その他表示部への表示等を行なっても良い(ステップS503)。
【0044】また、容易に持ち運べるようにする目的で装置構成を極力簡単にするため、ステップS502の判定は省略し常にブザ鳴動を行ないかつこれのみを行ない、ロビー担当者8の具体的対応内容についてはロビー端末装置2に出力するように構成しても良い。この構成の観点は、ロビー端末装置2との機能分担にも依存するが、本装置は携帯型のためなるべく軽量、小型にし必要最小限度の情報伝達を行なえれば良いようにすることである。
【0045】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば以下の効果が期待できる。即ち、取引装置にて、顧客により顧客識別情報が入力されると制御装置に送出する。制御装置は、顧客識別情報を受信すると、この情報を基に予め記憶している顧客情報を検索し、対応する顧客情報を取り出して重要顧客であるか否かを判定する。重要顧客であると判定すると、顧客情報に基づいて重要顧客情報を生成し、端末装置に送出する。端末装置は、この情報を受信し所定の出力を行なう。従って、重要顧客が来店し取引装置にて顧客識別情報を入力すると、制御装置は重要顧客情報を端末装置に送出し、端末装置はこの情報を出力するので、ロビー担当者等の店員は端末装置に出力された情報を基に、重要顧客が来店したことを早期に把握できると共に当該重要顧客に対する挨拶やセールス活動等適切な応対が可能となる。
【0046】また、さらに前述の端末装置として、設置型の第1の端末装置と携帯型の第2の端末装置との2種類を用意し、第1の端末装置は、制御装置から重要顧客情報を受信すると、この情報に基づいて所定の出力を行なうと共に告知情報を作成し第2の端末装置に送出する。第2の端末装置は、告知情報を受信すると所定の告知を行なう。従って、上述した効果に加え、第2の端末装置を携帯しているロビー担当者等の店員は、直ちにその場にて対応すべき事象が発生したことを知ることができ利便性が向上し、重要顧客にとっても早期にサービスを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】システム構成例である。
【図3】自動取引装置のハードウェア構成図である。
【図4】ロビー端末装置のハードウェア構成図である。
【図5】端末制御装置のハードウェア構成図である。
【図6】担当者端末装置のハードウェア構成図である。
【図7】処理概要のフローチャートである。
【図8】自動取引装置における処理のフローチャートである。
【図9】端末制御装置における処理のフローチャートである。
【図10】ロビー端末装置における処理のフローチャートである。
【図11】担当者端末装置における処理のフローチャートである。
【図12】重要顧客ファイル内情報例である。
【符号の説明】
1 自動取引装置
2 ロビー端末装置
3 端末制御装置
4 担当者端末装置
101、201、301、401 プロセッサ
102、202、302、402 メモリ
104、204、304 通信制御部
106、206、306 ディスク(DK)
107、207 入力部
108、208 表示部
109、209 印字部
110、210 カード読取部
111 現金処理部
112、212、309 タイマ
211、403 無線通信制御部
404 入出力部
405 ブザー
E1 取引装置
E2 制御装置
E3 端末装置
M1 顧客識別情報入力手段
M2 顧客識別情報送出手段
M3 顧客識別情報受信手段
M4 顧客情報取出手段
M5 顧客情報記憶手段
M6 重要顧客判定手段
M7 重要顧客情報生成手段
M8 重要顧客情報送出手段
M9 重要顧客情報受信手段
M10 重要顧客情報出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 顧客が利用する取引装置及び店員が利用する端末装置とが同一の店舗内に存在し、前記取引装置からの情報に基づいて前記顧客に関する情報を前記端末装置に通報する顧客情報通報システムにおいて、前記取引装置は、顧客識別情報を入力する顧客識別情報入力手段と、前記顧客識別情報入力手段により入力された顧客識別情報を制御装置に送出する顧客識別情報送出手段とを備え、前記制御装置は、前記顧客識別情報と対応付けて顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段と、前記顧客識別情報送出手段により送出された顧客識別情報を受信する顧客識別情報受信手段と、前記顧客識別情報受信手段により受信された顧客識別情報に基づいて、前記顧客情報記憶手段に記憶されている顧客情報を検索して前記顧客識別情報に対応する顧客情報を取り出す顧客情報取出手段と、前記顧客情報取出手段により取り出された顧客情報に基づいて、重要顧客であるか否かを判定する重要顧客判定手段と、前記重要顧客判定手段により重要顧客であると判定された場合、前記顧客情報に基づいて重要顧客情報を生成する重要顧客情報生成手段と、前記重要顧客情報生成手段により生成された重要顧客情報を前記端末装置に送出する重要顧客情報送出手段とを備え、前記端末装置は、前記重要顧客情報送出手段により送出された重要顧客情報を受信する重要顧客情報受信手段と、前記重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて所定の出力を行なう重要顧客情報出力手段とを備えることを特徴とする顧客情報通報システム。
【請求項2】 前記端末装置には、設置型の第1の端末装置と携帯型の第2の端末装置との2種類が存在し、前記第1の端末装置は、前記重要顧客情報送出手段により送出された重要顧客情報を受信する重要顧客情報受信手段と、前記重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて所定の出力を行なう重要顧客情報出力手段と、前記重要顧客情報受信手段により受信された重要顧客情報に基づいて告知情報を作成し、前記第2の端末装置に送出する告知情報送出手段とを備え、前記第2の端末装置は、前記告知情報送出手段により送出された告知情報を受信する告知情報受信手段と、前記告知情報受信手段により受信された告知情報に基づいて、所定の告知を行なう告知手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の顧客情報通報システム。

【図1】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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