説明

風呂垢取り器

【課題】
浮遊式の小型簡易構造で小電力でありながら大きな吸水力をもつと共に、風呂垢取り器が湯槽の湯槽内の場所を選ばず吸水することにより、安定して効率的に湯の表面に浮いた湯垢等を除去して濾過した湯垢等が湯槽に逆流することのないようにした風呂垢取り器を提供する。
【解決手段】
浮子8と浮体ベース7と浮体カバー6を設けた浮体部1を備える。浮体部1の浮体ベース7に電池10と動力モーター9の回転軸を下向き垂直に備える。回転軸にシャフト14を接続させて、シャフト14に複数の羽根を持つスクリュー15を備える。提灯の様な形状の槽中間部18内部で複数の羽根を持つスクリュー15を回転させて渦巻きを発生させる。湯面26の喫水と同レベルに設けた渦巻槽4の開口部20を設けた流入部17から湯を取り込み、渦巻きの力でフィルター部5に吐出させて濾過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の湯面に浮かべて湯面に浮遊している湯垢等の不純物を取り除くのに使用される風呂垢取り器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湯垢等は湯面に浮いてから沈下するものであるから、湯面に浮いている間に除去できれば効率的であるが、従来の風呂垢取り器では種々の課題を残したままであるので、製品化したものが市場に出回っていない。
【0003】
特許文献1の特開2008−86730号公報に記載された風呂垢取り器は、円筒状の吸水排水体にモーターと回転羽根で、風呂垢取り器の一側方にある吸水口から入った湯の水面を掻き上げて、水面より高位置にある排水口から濾過室に流し込み、濾過室の底面及び側面から排水する構造となっているため、風呂垢取り器の吸水口が浴槽内の壁面に位置した時は湯垢等を除去する効率が低下する。また回転羽根が円筒状の囲まれた中で回転しているので、吸水口付近の湯面が乱されるため、風呂垢取り器から湯垢が離れ遠ざかっていくものもあり効率が低下する。
【0004】
特許文献2の特開2003−47569号公報に記載された風呂クリーナーは、浮子体の外周部に浮子体の中心に対して対称形に設けられた吸水口と、浮子体に設けられた電動ポンプと、電動ポンプで吸水した水を排水する排水口と、吸水口にフィルターを備えたものであるが、吸水口の前面にフィルターを備えているため、フィルターに湯垢等が付着することにより吸水力が低下するので効率的でなく、また装置が何等かの理由で停止すれば、収集した湯垢等が湯槽に解放されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−86730号公報
【特許文献2】特開2003−47569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献いずれも浴槽内の湯垢等を効率的に除去できるものではなった。
【0007】
そこで本発明の目的は、簡易構造で湯の吸い込み速度を高め、湯垢等が浮遊している湯面付近の湯のみを吸い込むようにし、フィルターを常に効率的、且つ効果的に機能させ、湯槽内の位置を選ばず安定して迅速に湯垢等を収集して除去し、収集した湯垢等が逆流して湯面に戻ることの無い構成を備えた風呂垢取り器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の発明は、浮体部は浮力を受けるための浮子と、浮子の上側に設けられた円盤型の浮体ベースと、浮体ベースの上に設けられたモーター支持部材及び電池ケースと、モーター支持部材及び電池ケース上側を覆う外表面が曲面に形成された浮体カバーから構成されている。また、動力発生装置は浮体ベースの上に設けられたモーター支持部材に回転軸を下向きに着脱自在に固定して設けられたモーターと、電池ケースに着脱自在に設けられた電池と起動スイッチから構成されている。そして、渦巻槽は浮子の下側に着脱自在に固定して設けられた渦巻槽取り付け具と、浮体ベースの下側で天端を喫水と同レベルに設けられた湯を流し込む流入部と、流入部から流入した湯に渦巻をつくる構成で設けられた槽中間部と、槽中間部の湯を排出させる吐出部から構成されている。それから、渦巻発生装置は渦巻槽の中空内部に設けられて、モーターの回転軸に一端を着脱自在に接続させて垂直に設けられたシャフトと、渦巻槽の内部で渦巻を発生させるようシャフトの一端から他端にかけて設けられた複数の羽根を持つスクリューと、シャフトの他端を支持して吐出部に着脱自在に固定して設けられたシャフト受けから構成されている。さらに、濾過部は吐出部に接続して設けられた湯垢等を濾過収集するフィルターと、フィルターを吐出部に着脱自在に接続させるフィルター取り付け具と、フィルターに設けられた逆流防止フィルムから構成されたことを特徴としている。
【0009】
第2の発明は、浮子は浮体ベースの中心に対して等角度の間隔に4つ設けられ、浮子と浮子の間に形成された空間の角度幅は浮子の角度間隔の2分の1に設定されたことにより、浮子と浮子の間の空間が流入部へ湯を導く導水路となるよう構成している。また、モーター支持材はモーターの回転軸が浮体ベースの中心にくるよう設けられ、電池ケースは重心が浮体ベースの中心に近付くようモーターに左右対称で近接して設けられた構成をしている。そして、浮体カバーと浮体ベースに囲まれた内部にある動力発生装置を防水保護する浮体カバーは、浮体ベースに水密かつ着脱自在に嵌合するように構成されたことを特徴としている。
【0010】
第3の発明は、浮体ベースの下側に設けられた渦巻槽上部の流入部は中空円筒体で天端に溝形の開口部を設けられた構成とした。そして、槽中間部は中空のビア樽の様な形状で、槽中間部の中程から流入部に向かって内径が細くなるように絞込むと共に、槽中間部の中程から吐出部に向かっては、内径が細くなるように絞込んだ構成をしている。それから、渦巻槽の下部に設けられた吐出部は中空円筒体に形成されて、シャフト受け接続部が設けられた構成をしていることを特徴としている。
【0011】
第4の発明は、半透明の袋状に形成したフィルターは外部から目視できるように構成されている。また、袋状のフィルターの内表面の中間部に設けられた逆流防止フィルムは、2枚の長方形をした逆流防止フィルムが互いに向かい合い重なるように、上部をフィルターに貼り付けて設けられた構成をしていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る風呂垢取り器の第1発明は、浴槽に浮遊して浴槽内の位置を選ばずに湯垢等の混ざった湯を吸水することができ、小電力で渦巻きを発生させて強い吸水力を備えることにより、湯面に浮いた湯垢を効率的に収集することができる。また、本垢取り器は構造も簡単であり部品も少ないので小型軽量にできる。それにより、入浴中も邪魔にならず入浴時に浮いた垢を浮遊している間に除去できて、風呂全体の汚れを防ぐことができる。
【0013】
モーターの回転軸を下向きに設けたので、渦巻発生装置のシャフトに直接接続されているため機械的エネルギーの損失を少なくできる。また、渦巻の慣性力が働くので消費電力が少なくなる。そして、モーター支持部材とモーターが着脱自在に構成され、また電池ケースと電池が着脱自在に構成され、モーターとシャフトが着脱自在に構成されたことにより、モーターの交換及び電池の交換が容易にできる。
【0014】
シャフト受けを設けたことにより、シャフトの芯振れを防止して安定した回転を発生させることができる。また、渦巻槽取り付け具及びシャフト受けが着脱自在に設けられたことにより、渦巻槽内部と渦巻発生装置を目視することができるので、渦巻槽内部と渦巻発生装置の掃除及び手入れ補修が容易にできる。
【0015】
フィルター取り付け具を設けたことにより、吐出部に着脱自在にフィルターを取り付けることができるので、フィルターの交換を容易にすることができる。
【0016】
本発明に係る風呂垢取り器の第2発明は、浮体部の浮体ベースを円盤形にして、浮体部の中心に重心が近づくようにモーター支持部材及び電池ケースを設けたので浮体の安定が良いので転覆し難い。また、浮体カバーが着脱自在に設けられたことによりモーター及び電池の交換が容易にできる。そして、浮体ベース下部の四方に浮子を設けたことにより、浮子と浮子の間の空間が渦巻槽の流入部への導水路となり、四方から風呂湯を吸水することができるので、湯槽内の位置を選ばず安定して吸水することができる。
【0017】
本発明に係る風呂垢取り器の第3発明は、流入部の天端に溝型の開口部を設けたことにより、湯の表面張力に左右されず均等に流入部に設けた開口部で風呂湯を取り込むことができるので、安定して湯の表面に浮く湯垢等を除去することができる。また、槽中間部の中程から流入部に向かって内径が細くなるように絞込んだ構成にしたことにより、渦巻きが流入部から飛び出すのを防止できることで、流入部に接近してきた湯垢等が飛び出した湯の力で流入部から離れていくことは無い。そして、槽中間部の中程から吐出部に向かっては、内径が細くなるように絞込んだ構成にしたことにより、吐出するための水流をつくることができるので、逆流防止フィルム及びフィルターを開かせてフィルターの濾過収集位置まで湯を流入させることができる。それから、吐出部にシャフト受け接続部が設けられたことによりシャフト受けの着脱が自在にできる。
【0018】
本発明に係る風呂垢取り器の第4発明は、フィルターが外部から目視できるので、フィルターに湯垢が溜まるとフィルターの汚れを直ちに確認することができ、フィルターを交換すべき時期が分かるので、フィルターの目詰り発生による湯の吸い込み能力低下を防止できると共に衛生的にも良い。また、フィルターはフィルター取り付け具で吐出部に容易に着脱ができるので、フィルターが汚れると直ぐに取り換えることができる。そして、フィルターは袋状に形成されて、逆流防止フィルムが設けられたことにより、渦巻発生装置が回転している時は渦巻流の流圧が、逆流防止フィルム及びフィルターに作用する水圧を上回り逆流防止フィルム及びフィルターは開いた状態になるが、渦巻発生装置が停止した時は逆流防止フィルム及びフィルターに作用する水圧により逆流防止フィルムは閉じた状態になり、フィルターは濾過収集した湯垢等を挟み込んで濾過収集した湯垢等を閉じ込めることができる。これにより、フィルターで濾過収集した湯垢等が湯槽に逆流して戻ることは無い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る風呂垢取り器のA−A横断面図(渦巻発生装置駆動時)である。
【図2】上同の風呂垢取り器のB−B水平断面図である。
【図3】上同の風呂垢取り器の下側からの斜視図である。
【図4】上同の風呂垢取り器のC−C縦断面図(渦巻発生装置駆動時)である。
【図5】上同の風呂垢取り器のフィルター部の縦断面図(渦巻発生装置停止時)である。
【図6】上同の風呂垢取り器の渦巻槽部の斜視図である。
【図7】本発明の第2施形態に係る風呂垢取り器の螺旋スクリューと押し出し槽の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の風呂垢取り器の構成について、以下に説明する。
【0021】
図1は本発明の風呂垢取り器を示すもので、1は浮体部で浮子8と浮体ベース7とモーター支持部材11と電池ケース13と浮体カバー6を備える。2は動力発生装置でモーター9と電池10と起動スイッチ12を備える。3は渦巻発生装置でシャフト14と複数の羽根を持つスクリュー15とシャフト受け16を備える。4は渦巻槽で流入部17と槽中間部18と吐出部19と渦巻槽取り付け具21を備える。5は濾過部でフィルター23とフィルター取り付け具24と逆流防止フィルム25を備えて構成する。
【0022】
浮体カバー6と浮体ベース7は水密かつ着脱自在に嵌合している構成で、モーター支持部材11に設けられたモーター9及び電池ケース13に設けられた電池10を保護している。モーター支持部材11とモーター9が着脱自在に構成され、また電池ケース13と電池10が着脱自在に構成されたことにより、モーター9及び電池10の交換が容易な構造になっている。浮体ベース7は円盤型で、浮体カバー6の外表面が曲面で構成され、角が無いので浴槽を傷つけることが少ない。なお、浮体カバー6と浮体ベース7を一体としてもよい。その時はモーター9と電池10を着脱するための防水性のある着脱蓋を別途設けることになる。
【0023】
渦巻発生装置3は渦巻槽4の中空内部に設けられ、モーター9の回転軸にシャフト14の一端を着脱自在に接続させ、シャフト14の一端から他端にかけて複数の羽根を持つスクリュー15が設けられ、図3に示すように他端にシャフト受け16が設けられて、吐出部19に着脱自在に接続する構成をしている。シャフト14が垂直に設けられ、複数の羽根を持つスクリュー15が右回転することにより深い渦心を持つ渦巻きができる。深い渦心を作ることにより強い吸引を生むことができる。シャフト受け16を設けたことによりシャフト14の芯振れを防止して安定した回転を生むことができる。
【0024】
渦巻槽4は、上端に流入部17が設けられた中空の円筒体で構成され天端に溝型の開口部20が設けられて湯を四方から取り込むことができる。流入部17の下部に設けられたビア樽の様な形状の槽中間部18は深い渦心を持つ渦巻を作るように構成されている。槽中間部18下部に設けられた吐出部19はシャフト受け接続部22が設けられている。槽中間部18の中程から流入口にかけては、渦巻きが流入部17から飛び出さないように、流入部に向かって内径が細くなるように絞り込まれている。また、中間部から吐出部19に向かっては、湯がフィルター23に流出するための水流をつくるため、内径が細くなるように絞り込んだ構成をしている。吐出部19はシャフト受け16が着脱自在な接続ができるシャフト受け接続部を設けている。渦巻槽取り付け具21は浮子8の下側に着脱自在に設けている。これにより、渦巻槽4の内部及び渦巻発生装置3が目視できるので、掃除及び手入れ補修が容易にできる。なお、渦巻槽4に流入する湯を調整する湯面26と流入部17との喫水位の調整はカウンターウエイトによるのが望ましい。
【0025】
濾過部5のフィルター23は、吐出部19に容易に着脱ができる。フィルター取り付け具24はスプールバンド方式等で設けられている。フィルター23が半透明で外部から目視できるので、収集した湯垢等28が溜まると汚れ具合が目視でき、交換すべき時期がわかり、直ぐにフィルター23の交換ができるので、フィルター23の目詰まり防止及び衛生的にも良い。
【0026】
フィルター23は半透明で長方形の袋状に形成され、上部の内面は滑らかにして湯垢等が付着し難く設け、下部の内面を毛羽立った粗面に設ける。これにより、湯垢等がフィルター23の下部に流動し易くし、濾過収集した湯垢等が毛羽立った粗面に捕捉されるので、フィルター23から外部に収集した湯垢が放出するのを防止している。また、安価で湯垢等の濾過率も良い紅茶のティーバッグ等に使用されているPET(ポリエチレンフタラート)等の不織布を使用することで、湯垢等を効率的に濾過収集できる。また、フィルター23が袋状形態をしているため、渦巻流がフィルター23に流入しない時は水圧により袋が閉じて濾過し収集した湯垢等28を挟み込んでしまう。
【0027】
フィルター23には、濾過された湯垢等が逆流して湯槽に逆戻りしないようにフィルター23の内表面に2枚の長方形をした逆流防止フィルム25を互いに向かい合い重なるように貼り付けた構成をしている。なお、逆流防止フィルム25はフィルター23にボンド等で接着し、表面が滑らかで密着性のあるPP(ポリプロピレン)等の安価な材料を使用すればよい。
【0028】
浮体部1の浮体ベース7は円盤形状をしている。これは浮かんだ時に安定度を良くするためであり、4つの浮子8は浮体ベース7の中心に対して等角度(90度)ごとに浮体ベース7の下側に固定して設けられている。なお、実施例では浮子8を4つにしているが、浮子8を浮体部1が安定する3つ以上を等角度に設ければ良い。
【0029】
図2に示すように、動力発生装置2のモーター9と電池10は、浮体部1の浮体ベース7に設ける時の配置は、浮体部1の安定を保つため浮体ベース7の中心にモーター9を据える。また、電池10はモーター9に左右対称で設けて浮体部1の重心が浮体部1の中心にくるように電池ケース13とモーター支持部材11を浮体ベース7に設けている。そのため湯槽に浮かべても安定が良く、転覆に対する復元力を持っている。
【0030】
図3に示すように、4つの浮子8は、浮体ベース7中心に対して等角度(90度)の間隔で設けられ、浮子8と浮子8間に形成される空間の角度幅は等角度間隔の2分の1(45度)を設けて、浮体ベース7下側に固定し設けられた浮子8と浮子8の間の空間が、流入部17への導水路27となるよう構成されたにより、四方から吸水することができる。なお、実施例では等角度間隔の2分の1(45度)としたが、浮子8の形状により浮子8と浮子8の間に形成される空間の角度幅は大きくすることができる。
【0031】
図4に示すように、濾過部5のフィルター23は、渦巻発生装置3が作動時には渦巻きの水流によってフィルター23は開いているが、図5に示すように停止した時には逆流防止フィルム25の張力と水圧が働き、逆流防止弁の役割をしてフィルター23は閉じているので収集した湯垢等28が袋状のフィルター23によって挟み込まれた状態になっているので、収集した湯垢等28が逆流して流入部17から湯槽に放出することはない。
【0032】
図6に示すように、渦巻槽4の流入部17には天端の四方に溝型の開口部20を設けているので、湯面26の表面張力に左右されず均等に天端に設けた開口部20から湯を流入させることができるので、湯槽の場所を選ばずに安定して湯を吸水することができる。なお、実施例では開口部20が四角形の溝型で構成しているが、逆三角形または円弧状の溝型にしてもよい。
【0033】
吐出部19にはシャフト受け16が接続するシャフト受け接続部22が設けられているので、シャフト受け16の着脱を自在にすることができる。
【0034】
第1の実施形態は、ビア樽の様な形状の槽中間部18を設けた渦巻槽4と複数の羽根を持つスクリュー15により、渦巻槽4内で発生した渦巻の力で湯面26の湯を流入部17から取り込んでいたが、図7に示すように第2の実施形態では、槽中間部18を中空円筒体に形成した押し出し槽30と螺旋スクリュー29を設けて湯面26の湯を流入部17から取り込むものである。
【0035】
この風呂垢取り器で浴槽内の湯垢を除去する場合は、風呂垢取り器を湯面26に浮かべる。風呂垢取り器を湯面26に浮かべると浮体部1、動力発生装置2、渦巻発生装置3及び渦巻槽4の重心が浮体部1の中心に近づけた配置になっているので、風呂垢取り器は湯面に安定して浮かび、直ぐに渦巻槽4の下端に設けられた吐出部19から湯が流れ込み渦巻槽4は湯で満たされた状態になる。この状態で動力発生装置3の起動スイッチ12をONするとモーター9が回転して、渦巻槽4の中空内部に設けられた渦巻発生装置3のシャフト14に伝達し、シャフト14に設けられた複数の羽根を持つスクリュー15が回転して、渦巻流が発生する。渦巻流が発生すると渦巻槽4内部に満たされていた湯の水位が下がり、流入部17付近の湯面26と渦巻槽4内部の水位に落差ができる。これにより、流入部17から流れ落ちるように湯面26付近の湯が渦巻槽4に流入する。この流入するエネルギーによって風呂垢取り器周辺の湯面26の湯を流入部17に引き込む流れが発生して、湯面26付近に存在する湯垢等も流入部17に引き込むことができる。そして、渦巻槽4で発生した渦巻流が吐出部19から排出する水流となり濾過部5に湯を排出する。この排出された水流の圧力で濾過部5の逆流防止フィルター25及びフィルター23が開いてフィルター23の下部で湯垢等を濾過収集し、湯はフィルター23を通過して湯槽に戻る。なお、図示しないタイマーに設定された所定の時間経過後に作動を停止するようになっている。
【0036】
種々実験と試作品の結果によると、動力発生装置2は1.5Vの単三型電池10により工作用1.5Vのモーター9が回転し、渦巻発生装置3は直径2mmのシャフト14に直径20mmから25mmで複数(2枚から5枚)の羽根を持つスクリュー15を設けられて渦巻槽4の槽中間部18で複数の羽根を持つスクリュー15が回転すると、渦巻が発生して浴槽内の湯面と同レベルであった渦巻槽4内部の湯面は低下し、流入部17の天端に設けた開口部20から槽中間部18に渦を巻いて落下するように流入することを確認した。また、電池10については浮体の安定と電池寿命を考慮して単三型電池2本を並列つなぎとしたが、もう少し小型化するのであれば単4型を2本にしても良い。そして、電池10は環境にも優しく経済的な充電池を設けることが好ましい。なお、本湯垢取り器は1.5V用のモーター9を使用しているが、1.2Vの充電池でも実用上支障の無い回転を得ることを実験で確認している。また、モーターを3.0Vを使用すれば1.5Vのモーターを使用する時に比べて強い吸水力が得られるので、浄化装置の設置していない観賞用の池等でのSS除去にも使用することができる。なお、実験は市販の工作用モーターを使用したが、より効果的な渦巻きを発生させるには1.5V用のモーターでも回転数が少なく、トルクの大きなものを使用するのが良い。
【符号の説明】
【0037】
1 浮体部
2 動力発生装置
3 渦巻発生装置
4 渦巻槽
5 濾過部
6 浮体カバー
7 浮体ベース
8 浮子
9 モーター
10 電池
11 モーター支持部材
12 起動スイッチ
13 電池ケース
14 シャフト
15 複数の羽根を持つスクリュー
16 シャフト受け
17 流入部
18 槽中間部
19 吐出部
20 開口部
21 渦巻槽取り付け具
22 シャフト受け接続部
23 フィルター
24 フィルター取り付け具
25 逆流防止フィルム
26 湯面
27 導水路
28 収集した湯垢等
29 螺旋スクリュー
30 押し出し槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮力を受けるための浮子と、前記浮子の上側に設けられた円盤型の浮体ベースと、前記浮体ベースの上に設けられたモーター支持部材及び電池ケースと前記モーター支持部材及び前記電池ケースの上側を覆う外表面が曲面に形成された浮体カバーからなる浮体部と、前記モーター支持部材に回転軸を下向きにして着脱自在に固定されて設けられたモーター、前記電池ケースに着脱自在に設けられた電池、及び起動スイッチからなる動力発生装置と、前記浮子の下側に着脱自在に固定して設けられた渦巻槽取り付け具、天端を喫水と同レベルに設けられた湯を流し込む流入部、前記流入部から流入した湯に渦巻をつくる構成で設けられた槽中間部、及び前記槽中間部に流入した湯をフィルターに排出させる吐出部からなる渦巻槽と、前記渦巻槽の中空内部に設けられ前記モーターの回転軸に一端を着脱自在に接続されて垂直に設けられたシャフト、前記シャフトに設けられた複数の羽根を持つスクリュー、及び前記シャフトの他端を支持し前記吐出部に着脱自在に設けられたシャフト受けからなる渦巻発生装置と、前記吐出部に設けられ湯垢等を濾過収集するフィルター、前記吐出部に前記フィルターを着脱自在に接続させるフィルター取り付け具、及び前記フィルターに設けられた逆流防止フィルムからなる濾過部と、を備えたことを特徴とする風呂垢取り器。
【請求項2】
前記浮子は、前記浮体ベースの中心に対して等角度の間隔に4つ設けられ、浮子と浮子の間に形成された空間の角度幅は、前記浮子の角度間隔の2分の1に設定され、浮子と浮子の間の空間が、前記流入部への導水路となるように構成され、前記モーター支持部材は前記モーターの回転軸が前記浮体ベースの中心になるよう設けられ、前記電池ケースは重心が前記浮体ベースの中心に近付くよう前記モーターに左右対称で近接して設けられ、前記浮体カバーと前記浮体ベースは水密かつ着脱自在に嵌合するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の風呂垢取り器。
【請求項3】
前記流入部は中空円筒体で、天端に溝形の開口部が設けられ、前記槽中間部は中空のビア樽の様な形状で、前記槽中間部の中程から前記流入部に向かって内径が細くなるように絞り込むと共に、前記槽中間部の中程から前記吐出部に向かって内径が細くなるように絞り込まれ、前記吐出部は中空円筒体で前記シャフト受けと接続するためのシャフト受け接続部が設けられていることを特徴とする請求項1及び2記載の風呂垢取り器。
【請求項4】
前記フィルターは半透明の袋状に形成され、外部から目視できるよう構成され、前記フィルターの内表面の中間部に、互いに向かい合い重なるように、2枚の逆流防止フィルムの上部を前記フィルターに貼り付けたことを特徴とする請求項1記載の風呂垢取り器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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