説明

風呂蓋

【課題】優れた曲げ強度を有しかつ薄く軽量性に優れた風呂蓋を提供する。
【解決手段】 複数本の中空棒状体(10)が平行状に配置され、隣接する中空棒状体(10)が軟質合成樹脂製連結用部材(20)によって連結されてなる風呂蓋(1)において、少なくとも一部の中空棒状体(10)は、高さ方向に分割された上面部材(11)と下面部材(12)とがこれらの間に中空空間を形成した状態で組付けられた複合中空棒状体であり、かつ上面部材(11)または下面部材(12)のいずれか一方がアルミニウムからなり、他方が硬質合成樹脂からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風呂蓋、特に、蛇腹状に折り畳まれるいわゆる折り畳み式風呂蓋あるいは巻き込むようにして丸められるいわゆるシャッター式風呂蓋に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽上面を覆う風呂蓋としては、硬質合成樹脂製の長尺の中空棒状体が複数本平行状に配置され、隣り合う中空棒状体同士が側縁で軟質合成樹脂製連結片によって連結一体化されたものが公知である。即ち、シャッター式風呂蓋と呼ばれるものでは、幅の狭い中空棒状体を用いて巻き込んでおくことができ、折り畳み式風呂蓋と呼ばれるものでは、幅の広い中空棒状体を用いて、隣接する中空棒状体の上面同士と下面同士を交互に重ねて蛇腹状に折り畳むことが可能となるものである。
【0003】
ところで、風呂蓋には、使用者の安全を十分に確保するために、優れた曲げ強度を有していることが要請されており、SG規格においても風呂蓋の曲げたわみ量に関し基準が定められている。
【0004】
従来の風呂蓋では、曲げ強度を向上させるために、中空棒状体を厚くするするとともに、中空棒状体の中空空間内に補強壁を設けた構成、あるいは中空棒状体の構成壁の肉厚を大きくする構成等が採用されていた(特許文献1,2,3,4参照)。
【特許文献1】特開2001−309863号公報
【特許文献2】特開2001−238808号公報
【特許文献3】特開2000−093337号公報
【特許文献4】特開平11−089736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の風呂蓋は重くかつ厚いものであり、取り扱い易さに欠けるものであった。また、巻き込み時や折り畳み時にも嵩張るために、浴室内での取り扱いはもとより、商品搬送時や展示時にも不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、優れた曲げ強度を有しかつ薄く軽量性に優れた風呂蓋を提供することを目的とする。
【0007】
即ち、本発明の風呂蓋は下記〔1〕〜〔6〕に記載の構成を有する。
【0008】
〔1〕複数本の中空棒状体が平行状に配置され、隣接する中空棒状体が軟質合成樹脂製連結用部材によって連結されてなる風呂蓋において、
少なくとも一部の中空棒状体は、高さ方向に分割された上面部材と下面部材とがこれらの間に中空空間を形成した状態で組付けられた複合中空棒状体であり、かつ上面部材または下面部材のいずれか一方がアルミニウムからなり、他方が硬質合成樹脂からなることを特徴とする風呂蓋。
【0009】
〔2〕前記上面部材がアルミニウムからなり、前記下面部材が硬質合成樹脂からなる〔1〕に記載の風呂蓋。
【0010】
〔3〕前記上面部材および下面部材は押出形材である〔1〕または〔2〕に記載の風呂蓋。
【0011】
〔4〕前記上面部材の両側縁に、長さ方向に沿って溝部または凸条が設けられる一方、前記下面部材の両側縁に、前記上面部材の溝部または凸条に対応する凸条または溝部が設けられ、前記上面部材と下面部材とが前記溝部と凸条の嵌合によって組み付けられている〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の風呂蓋。
【0012】
〔5〕前記中空棒状体の中空空間内に、該中空空間を幅方向に仕切る補強壁が設けられている〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の風呂蓋。
【0013】
〔6〕 前記中空棒状体の両端面に、下面に滑り止め部材が設けられた閉塞用キャップが装着されている〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の風呂蓋。
【発明の効果】
【0014】
〔1〕の発明にかかる風呂蓋では、アルミニウムを用いることによって優れた曲げ強度を有し、ひいては薄く軽量化される。
【0015】
〔2〕の発明にかかる風呂蓋では、斬新な外観を得ることができる。
【0016】
〔3〕の発明にかかる風呂蓋では、上面部材および下面部材と効率良く製作することができる。
【0017】
〔4〕の発明にかかる風呂蓋では、上面部材と下面部材の組付け作業が簡単である。
【0018】
〔5〕の発明にかかる風呂蓋では、強度が向上され、ひいては薄くして軽量化を図ることができる。
【0019】
〔6〕の発明にかかる風呂蓋では、滑り止めが必要な部分に対して効率良く滑り止め効果を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明に係る風呂蓋の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1および図2に示されるように、風呂蓋(1)は、複数の扁平状中空棒状体(10)が帯状の連結用部材(20)で連結され、各中空棒状体(10)の両端面に閉塞用キャップ(30)が装着されたものである。この風呂蓋(1)は、中空棒状体(10)が蛇腹状に折り畳まれる、所謂折り畳み式風呂蓋である。
【0022】
中空棒状体(10)は、高さ方向において上面部材(11)と下面部材(12)とに分割され、これらの間に中空空間を形成した状態で組付けられた複合中空棒状体である。
【0023】
上面部材(11)はアルミニウム製押出形材からなり、上面板(13)の両側縁には、下面に開口部を有し下面部材(12)が係合される第1溝部(14)、および外方側に開口部を有し連結用部材(20)が係合される第2溝部(15)が設けられている。これらの溝部(14)(15)の断面形状はほぼ円形であって、溝の深さ方向において中間部の溝幅が最大となり開口部幅が狭くなっている。
【0024】
下面部材(12)は、ポリプロピレン等の硬質合成樹脂製押出形材からなり、下面板(16)の両側縁から上面部材(11)方向に延出されて前記第1溝部(14)に係合される凸条(17)が設けられるとともに、下面板(16)上に複数の補強壁(18)が突設されている。前記凸条は(17)は、先端に前記第1溝部(14)の形状に対応する断面円形の膨大部(17a)を有している。
【0025】
そして、前記上面部材(11)の第1溝部(14)の端部に下面部材(12)の凸条(17)の該膨大部(17a)を嵌め入れてスライドさせると、第1溝部(14)と凸条(17)とが上下方向に抜け止め状態となって係合される。このように組付けられた中空棒状体(10)では、前記補強壁(18)の先端面が上面板(13)に当接して扁平な中空空間が幅方向に分割される。
【0026】
連結用部材(20)は軟質合成樹脂製押出形材からなり、自在に曲げ可能な帯状部(21)の両端に前記上面部材(11)の第2溝部(15)の形状に対応する断面円形の膨大部(22)(22)が形成されてなる。そして、前記膨大部(22)を前記第2溝部(15)端部に嵌め入れてスライドさせることにより、左右方向に抜け止め状態に係合される。
【0027】
キャップ(30)は、硬質合成樹脂成型品からなり、キャップ本体(31)が前記中空棒状体(10)の第2溝部(15)を含む開放端面と同じ形状に形成され、該開放端面を完全に覆いうるものとなされている。従って、このキャップ(30)が、中空棒状体(10)の端面に嵌合されると、第2溝部(15)に嵌合された連結用部材(10)の膨大部(22)の端部が閉塞されることになり、長さ方向においても連結用部材(20)の抜け止めがなされる。
【0028】
前記キャップ本体(31)の内面の上下両端部には、中空棒状体(10)の上面板(13)の内面または下面板(16)の内面に当接する複数本の嵌合用脚部(32)が突設されている。また、前記キャップ本体(31)の外面下縁には、中空棒状体(10)の下面に当接し、前記嵌合用脚部(32)と協働して下面板(16)を挟着する延長板部(33)が延設されている。該延長板部(33)は、その長さが前記嵌合用脚部(32)の長さよりも大に設定されるとともに、下面にシート状滑り止め部材(34)が設けられている。図中、(35)はキャップ本体(31)に穿設された水抜き孔である。前記キャップ(30)は、中空棒状体(10)に対して接着ないしは高周波による熱溶着により接合されている。
【0029】
前記キャップ(30)は例えば射出成形によって製作され、前記滑り止め部材(34)とその他の部分(キャップ本体、嵌合用脚部、延長板部)とをいわゆるダブルインジェクションにより二色成形することにより同一工程で製作することができる。また、滑り止め部材(34)の材料として軟質ポリプロピレン樹脂、熱可塑性エラストマー等が好適に用いられ、その他の部分の材料としてポリプロピレン等の硬質樹脂が好適に用いられる。
浴槽である。
【0030】
上述した風呂蓋(1)によれば、中空棒状体(10)のアルミニウム製の上面部材(11)による強度と補強壁(18)とによって高い曲げ強度が得られ、薄く(中空棒状体の高さを低く)しても所要の曲げ強度を確保することができる。そして、薄くしたことで軽量となり折り畳み時の嵩も小さくなる。また、上面部材(11)にアルミニウムを用いることによって、樹脂製で幅の狭い連結部材(20)とアルミニウム製で幅の広い上面部材(11)とが交互に配置されることない、斬新な外観を呈する風呂蓋となる。なお、アルミニウムと硬質合成樹脂とを上下逆に用いたものも本発明に含まれる。また、補強壁(18)の有無も任意に選択することができるが、補強壁(18)で曲げ強度を確保することによって上面板(11)および下面板(12)を薄肉化できるため、風呂蓋全体として軽量化を図ることができる。
【0031】
また、上面部材(11)と下面部材(12)の組付け構造として溝部(14)と凸条(17)の嵌合構造を採用することにより、組付け作業を簡単に行うことができる。しかも、上面部材(11)および下面部材(12)として押出形材を用いれば、押出時に溝部(14)および凸条(17)、さらに補強壁(18)の成形を行うことができ、効率良く上面部材(11)および下面部材(12)を製作することができる。なお、上面部材と下面部材とで溝部と凸部を逆転させても良く、また一方の部材の左右の側縁に溝部と凸条とを設け、他方の部材にこれらに係合する凸条と溝部とを設けても良い。さらに、上面部材と下面部材の組付け構造や結合方法は上述した嵌合構造に限定されない。
【0032】
さらに、前記キャップ(30)の下面に滑り止め部材(34)を設けることによって、浴槽上縁に接して滑り止めが必要な部分に対して効率良く滑り止め効果を付与することができる。
【0033】
本発明の風呂蓋は、上述した折り畳み式風呂蓋にも限定されない。例えば、図3に示すように、中空棒状体(40)(41)の幅を小さくするとともに連結本数を増やすことによって、中空棒状体(40)(41)を一方方向に巻き込むシャッター式風呂蓋(2)とすることができる。また、中空棒状体の幅が小さい場合は、必ずしも全ての中空棒状部材にアルミニウムを用いた複合中空棒状体を用いずとも所要の曲げ強度を確保することができる。図示例のシャッター式風呂蓋(2)は、アルミニウム製上面板(42)と硬質合成樹脂製下面板(43)とを組付けた複合中空棒状体(40)と全体が硬質合成樹脂からなる樹脂製中空棒状体(41)とを交互に配置し、これらを軟質合成樹脂製連結用部材(20)を用いて連結したものである。また、高い曲げ強度が要求される浴槽中央部に複合中空棒状体(40)を連続配置するとともに、両端部に樹脂製中空棒状体(41)を配置するといった配置も自由に選択できる。
【0034】
勿論、上述した折り畳み式風呂蓋(1)においても、所要の曲げ強度を確保できる限り、アルミニウムを用いた複合中空棒状体と硬質合成樹脂製中空棒状体とを併用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる風呂蓋の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1の風呂蓋の要部分解斜視図である。
【図3】本発明にかかる風呂蓋の他の実施形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1,2…風呂蓋
10,40…中空棒状体(複合中空棒状体)
11…上面部材(アルミニウム製)
12…下面部材(硬質合成樹脂製)
14…第1溝部(溝部)
17…凸条
20…軟質合成樹脂製連結用部材
30…キャップ
34…滑り止め部材
41…中空棒状体(樹脂製中空棒状体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の中空棒状体が平行状に配置され、隣接する中空棒状体が軟質合成樹脂製連結用部材によって連結されてなる風呂蓋において、
少なくとも一部の中空棒状体は、高さ方向に分割された上面部材と下面部材とがこれらの間に中空空間を形成した状態で組付けられた複合中空棒状体であり、かつ上面部材または下面部材のいずれか一方がアルミニウムからなり、他方が硬質合成樹脂からなることを特徴とする風呂蓋。
【請求項2】
前記上面部材がアルミニウムからなり、前記下面部材が硬質合成樹脂からなる請求項1に記載の風呂蓋。
【請求項3】
前記上面部材および下面部材は押出形材である請求項1または2に記載の風呂蓋。
【請求項4】
前記上面部材の両側縁に、長さ方向に沿って溝部または凸条が設けられる一方、前記下面部材の両側縁に、前記上面部材の溝部または凸条に対応する凸条または溝部が設けられ、前記上面部材と下面部材とが前記溝部と凸条の嵌合によって組み付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の風呂蓋。
【請求項5】
前記中空棒状体の中空空間内に、該中空空間を幅方向に仕切る補強壁が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の風呂蓋。
【請求項6】
前記中空棒状体の両端面に、下面に滑り止め部材が設けられた閉塞用キャップが装着されている請求項1〜5のいずれかに記載の風呂蓋。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−43032(P2006−43032A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226533(P2004−226533)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(390029919)株式会社オーエ (24)
【Fターム(参考)】