説明

食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ方法

本発明は、様々な食品のグリセミック指数値を決定するためのインビトロ法を提供する。本発明は、広く様々な食物成分および完成食品製品の両方のグリセミック指数を決定するための、正確で費用がかからないインビトロ法を提供する。この方法では、とりわけ、食品の消化されたサンプル中の、タンパク質含量と、脂肪含量と、グルコースの量と、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールからなる群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールの量の測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年6月23日に出願した米国特許出願第12/144,056号の継続出願であり、仮出願への変更が要請された2007年6月28日出願の米国特許出願第11/770,361号の利益を主張するものであり、これらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、様々な食品のグリセミック指数(GI)値を決定するためのインビトロ方法に関する。本発明は、広く様々な食物成分および完成食品製品の両方のグリセミック指数を決定するための、正確で安価なインビトロ方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
食品のグリセミック指数に対する関心は、近年、著しく増大しつつある。グリセミック指数は、人間が所与の食品を消化したときの食餌性炭水化物に対する相対的グリセミック応答の指標であり、食物を、炭水化物の放出および吸収速度に基づいてランク付けすることが可能である。実際に、グリセミック指数は、いわゆる「良性炭水化物」(即ち、比較的低いグリセミック指数を有する炭水化物)およびいわゆる「悪性炭水化物」(即ち、比較的高いグリセミック指数を有する炭水化物)の同定を可能にする。炭水化物に対する意識が高い消費者およびヘルスケア提供者は、食物の選択を助けるのに、グリセミック指数または関連する値を使用することができる。
【0004】
グリセミック指数は、食後の血糖値の変化に基づいて、炭水化物を0から100のスケールでランク付ける。高GIを有する食物は、素早く消化され吸収され、それによって、血糖値の著しい変動が生じると考えられる。低グリセミック指数値は、身体によるより遅い消化および吸収が原因で、血糖値およびインスリン値のより緩やかな上昇をもたらし、したがって平坦な変動をもたらすと考えられる。一般に、低グリセミック指数の食物は、55以下のグリセミック指数を有すると定義され、中程度のグリセミック指数の食物は、56から69のグリセミック指数を有すると定義され、高グリセミック指数の食物は、70以上のグリセミック指数を有すると定義される。
【0005】
高グリセミック指数の食物の消費は一般に、低グリセミック指数の食物の消費よりも、血糖値のより高くより急速な増加をもたらすように見える。血糖の急速な増加は、膵臓に、インスリンの分泌を増大するようにシグナルを送る。高グリセミック指数の食物の消費によって誘導された高インスリン値は、血糖値の急峻な低下(低血糖症)を引き起こす可能性があるのに対し、低グリセミック指数の食物の消費は、一般に、血糖のより低くより持続的な増加と、より低いインスリン要求量をもたらすと考えられる。低グリセミック食は、糖尿病(1型および2型)の人々において、グルコースおよび脂質の両レベルを改善することが報告されている。低グリセミック食は、食欲を制御し空腹を遅らせるのを助けるので、体重制御に利益をもたらすことも報告されている。低GI食は、インスリン値およびインスリン耐性を低下させる可能性もある。ハーバード大学公衆衛生学部による最近の研究は、2型糖尿病や冠状動脈性心臓病などの疾患の危険性が、食餌全体のグリセミック指数によって強く影響されると報告している。世界保健機関(WHO)および国連食糧農業機関は、冠状動脈心臓病や糖尿病、肥満症など最も一般的な飽食病を予防するために、先進国の人々の食餌を低グリセミック指数に基づいたものにすることを推奨している。このように消費者は、低グリセミック指数の食物の相対量が、高グリセミック指数の食物を犠牲にして増加するように、その食餌全体を変えることがしばしば推奨される。グリセミック指数値は、消費者およびヘルスケア提供者が食物を選択し、おそらくは一定の疾患の危険性を低下させるのを助けるのに使用することができる。
【0006】
所与の食品のグリセミック指数は、通常、食品を摂取したヒト対象群(通常、約6名以上の個人)の血糖値をモニタすることによって、インビボで決定され;食品の血糖応答を、固定期間中のグリセミック指数が分かっている対照物質の摂取によって刺激された場合と比較し、グリセミック指数を計算する。インビボグリセミック指数決定法は、一般に、この分野で「ゴールドスタンダード」と見なされる。現在受け入れられている試験プロトコルでは、炭水化物を10から50g含有する測定された試験食物の一部を、一晩絶食させた後の6名以上の健康な人々に与える。通常は指に針を刺して得られる血液サンプルを、食物消費前(時間0)と、食物消費直後の2時間にわたって15〜30分の間隔で採取し、血糖値について分析する。得られたデータ(典型的には、約7個のデータポイント)を使用して、試験食物を消費した後の2時間にわたる血糖応答曲線(即ち、時間に対してプロットした血糖値)を作成する。血糖曲線下の面積は、試験食物を食べた後の血糖値の上昇の合計に関係している。同様の試験を、やはり一晩絶食させた、ブドウ糖の同等の炭水化物部分(定義により、100のグリセミック指数を有する参照食物)または定義されたGI値を有する白パンを消費する同じ個人で実施し;2時間の血糖応答曲線を決定し、この曲線下の面積を、試験食物に関して行ったのと同じ手法で測定する。試験食物のグリセミック指数は、試験食物の曲線下の面積を、参照食物の曲線下の面積で割り、100を掛けることによって計算する。標準的な食物の使用は、対象の物理的および/またはその他の特徴の差に関する混同した影響を低減させるのに、ならびに試験サンプル(飲料決定の場合には標準的なグルコース水溶液、および固体食物の決定の場合には標準的な白パン)の物理的形態を一致させるのに重要である。約7個のデータポイント(2時間にわたる)のみを使用して血糖曲線を作成し、この曲線はこれらの限定されたデータポイントを滑らかに通ると考えられるので、採取された実際のデータポイント間でグルコースの発生が著しく増加しまたは減少した場合には、誤差が生じる可能性がある。
【0007】
すべての試験対象から得たグリセミック指数の平均が、食物のグリセミック指数として得られる。当然ながら決定の精度は、少なくとも部分的に、試験プロトコルに関する試験対象のコンプライアンスと、個々の対象の物理的および/またはその他の特徴が試験および参照の両方の食物決定に関して本質的に一定であり続けるという仮定の妥当性とに依存する。
【0008】
そのようなインビボグリセミック指数決定法は、一般にヒト対象を必要とし、それとともに費用がかかり時間もかかるので、インビトロ試験プロトコルの開発にかなりの関心が寄せられている。K.N.Englystおよび共同研究者による研究を基にしかつ図1に例示されている、あるインビトロ法では、血糖値を決定するために比色エンドポイントを使用して、消化酵素の混合物と共に行われる37℃での時限的インキュベーション中に、試験食物から放出されたグルコースの測定を行った(例えば、非特許文献1参照)。このインビトロ法は、より最近になって、放出されたグルコースの量を決定するために、HPLCエンドポイントを含むよう修正された(例えば、非特許文献2参照)(以下、「Englyst法」または「インビトロ Englyst法」と呼ぶ。)。
【0009】
Englyst法では、量が分かっている試験食物を刻む(そうでない場合には、破砕または破壊する)(一般に、約0.5gの炭水化物を含有するように)。刻まれたサンプルを、ペプシン(5g/l;タンパク質の加水分解が行われるように)およびグアーガム(5g/l;分析中に懸濁液の食物粒子を維持するのを助けるため)を含有する10mlの0.05M HCl中で、攪拌しながら37℃で30分間インキュベートする。この初期のインキュベーションの後、0.5M酢酸ナトリウムを使用して、サンプルをpH5.2に緩衝させる。次いで酵素混合物(特定量のパンクレアチン、アミログルコシダーゼ、およびインベルターゼを含有する)を緩衝済みサンプルに添加し、そのサンプルを、37℃の振盪水浴中に置く(時間=0)。小さなガラスボールをサンプルに含めて、メインのインキュベーション中にサンプルの物理構造を機械的に崩壊させ;添加したグアーガムは、このサンプルの粘度を安定させることによって、懸濁液中にサンプルを保持するのを助ける。正確に20分でメインのインキュベーションに入り、一定分量のサンプルを取り出し、攪拌しながら無水エタノールに添加して、加水分解を停止させ;このサンプルは、HPLCを使用してG20(即ち、20分後に放出されたグルコース;「素早く入手可能なグルコース」またはRAGとも呼ぶ。)を決定するのに使用する。サンプルの残りは、37℃浴中でさらに100分間維持し、その時間で、第2の一定分量のサンプルを取り出し、攪拌しながら無水エタノールに添加して、加水分解を停止させ;このサンプルは、HPLCを使用してG120(即ち、120分後に放出されたグルコース)を決定するのに使用する。次いでサンプルの残りは、追加の酵素を添加し次いで100℃までの温度に曝して完全な加水分解を強制的に行うことによって、図1に例示されるように処理し、それによって、サンプル中の全グルコースを決定する。
【0010】
インビボ試験法を使用してグリセミック指数が測定された食物を比較すると、Englyst法を使用して決定されたG20または素早く入手可能なグルコース値は、既知の食物のインビボグリセミック指数値と相関させることができる。そのような相関係数を使用することにより、Englyst法は、試験食物のグリセミック指数値を評価するのに使用することができる。
【0011】
しかし、インビトロ Englyst法は、特にインビボグリセミック指数法の提案者から、かなりの批判を浴びている。例えば、非特許文献3は、グリセミック指数値(即ち、素早く入手可能なグルコース値)を評価するのにEnglyst法を使用し、次いでその値を、約35から60の範囲内のグリセミック指数を有する食品(即ち、クッキー)のインビボ決定値と比較した。Garsetti at alの図2(および参照により本明細書に組み込まれている。)に示されるように、素早く入手可能なグルコース値(即ち、Englyst法によって決定された。)に対するインビボ決定グリセミック指数値の分布図は、R2値が0.25の分布図をもたらし、インビトロ法が予測値をほとんど持たないことを示している。
【0012】
非特許文献4は、Englyst インビトロ試験法によって決定したときに低グリセミック指数値(即ち、≦55)を有することが報告されている、市販の食物(1種の朝食用シリアルおよび2種のスナックバー)のインビボグリセミック指数値を決定した。Brand−Miller et al.によれば、3種の食品は、それぞれ75±3、68±5、および65±5という平均インビボグリセミック指数値(±sem)を有し、したがって、低グリセミック指数食品として分類することができなかった。これらの筆者は、「インビボ試験の困難な仕事は、食物のGI値を測定するのにもはや必要ではない」という仮定が、単に不正確でありかつ「食物標識の目的でGI値を生成するためにいかなるインビトロ法も使用しないよう強くアドバイスする。」と結論付けた。最後に筆者は、「標準的なインビボ法を使用した経験済みの実験室を用いるだけで、食物製造でGI試験を行うように促した。」。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Englyst et al., Brit. J. Nutr., 75, 327-337 (1996)
【非特許文献2】Englyst et al., Am. J. Clin. Nutr., 69, 448-454 (1999)
【非特許文献3】Garsetti et al., J. Am. Coll. Nutr., 24, 441-447 (2005)
【非特許文献4】Brand-Miller et al., Eur. J. Clin. Nutr., 58, 700-701 (2004)
【非特許文献5】Am. J. Clin. Nutr., 76, 5-56 (2002)
【非特許文献6】"International table of glycemic index and glycemic load values," Am. J. Clin. Nutr., 76, 5-56 (2002)
【非特許文献7】Livesy, Nutr. Res. Rev., 16(2), 163-91 (2003)
【非特許文献8】Jentjens et al., Eur. J. Appl. Physiol. 88, 459-465 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
明らかに、当技術分野では、食品のグリセミック指数値を決定するための、正確で精密な再現性あるインビトロ法が、依然として求められている。さらに、固体および液体の食品を含めた広く様々な食品に適用することができるような方法が、依然として求められている。本発明は、そのようなインビトロ試験法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、酵素による食品の模擬消化を使用して生成されたタンパク質、脂肪、および糖/糖アルコールのレベルからの、食品のグリセミック指数の改善された予測を可能にする、インビトロ分析法を提供する。現行のグリセミック指数決定法は、一般に、ヒト対象を必要とし、費用がかかりかつ時間がかかる。本発明の方法は、約15個までの食物サンプルのグリセミック指数を、1日でかつ1人の分析者によって、ヒト対象を使用する伝統的な方法に比べて著しく低いコストで決定することが可能である。本発明の方法を使用して決定されたグリセミック指数値は、ヒト対象を使用する伝統的な試験を使用して得られた結果に対し、非常に高い相関関係を示す。さらに、この本発明の方法は、固体の食品ならびに半固体の食品(例えば、ヨーグルトなど)および液体の食品(例えば、飲料など)を含めた広く様々な食品で使用することができる。
【0016】
本発明は、試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ法であって、
(1)試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)試験食物サンプルが得られるように、本質的に均質な微粉化された状態の試験食品を提供するステップ;
(3)消化されたサンプルが得られるように、固定期間中に、消化酵素の混合物で、標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の、本質的に均質な微粉化された状態にある試験食物サンプルを消化するステップ;
(4)酵素反応を停止させるため、固定期間の直後に、消化されたサンプルの全体を処理するステップ;
(5)ステップ(4)からの消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから、試験食品のグリセミック指数を計算し、但しこの較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有しているステップ
を含む方法を提供する。
【0017】
本発明は、試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ法であって、
(1)試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)試験食物サンプルが得られるように、本質的に均質な微粉化された状態の試験食品を提供し、但しこの試験食品は、本質的に液体窒素温度で摩砕されるステップ;
(3)消化されたサンプルが得られるように、固定期間中に、消化酵素の混合物で、標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の、本質的に均質な微粉化された状態にある試験食物サンプルを消化するステップ;
(4)酵素反応を停止させるため、固定期間の直後に、消化されたサンプルの全体を処理するステップ;
(5)ステップ(4)からの消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから、試験食品のグリセミック指数を計算し、但しこの較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有しているステップ
を含む方法も提供する。
【0018】
本発明のインビトロ法は、現在利用可能なインビトロ法に比べて著しく改善された正確さおよび精度で、固体、半固体、および液体の食品のグリセミック指数値を決定するのに使用することができる。確かに、本発明の方法によって得ることが可能な正確さおよび精度は、商業的に利用可能なインビボ法と同等であるが、時間およびコストの両方が著しく節約される。
【0019】
本発明の目的のため、「本質的に均質な微粉化された状態」は、食料品が脆性固体になるような、十分低い温度での食料品の摩砕と同等な、摩砕の程度を意味するものとする。一般に、約−40℃よりも低い温度、好ましくは約−78℃よりも低い温度、より好ましくは液体窒素を使用して得ることが可能な程度の温度(−196℃)は、周囲温度で固体または半固体であるほとんどの食料品を摩砕するのに十分である。周囲温度の固体材料は、そのような低温摩砕の前に破砕されまたは粗く摩砕されることも、一般に好ましい。ある好ましい実施形態では、特に周囲温度で固体または半固体の材料に関しては、摩砕は、液体窒素温度または液体窒素温度に近い温度まで液体窒素で冷却された摩砕ミルを使用して実現される。多くの場合、液体食品は本質的に均質でありかつ成分は担体に可溶であるので、液体食品はいかなる摩砕も必要としなくなるが、望むなら、そのような液体食品を、より低い温度で摩砕してもよい。半固体材料は、本質的に均質な微粉化された状態を得るために、そのような低温摩砕を必要としてもしなくてもよい。したがって例えば、プレーンヨーグルトはさらなる摩砕を必要としないのに対し、フルーツまたはその他の固体成分を内部に有するヨーグルトは、本質的に均質な微粉化された状態を得るために低温で摩砕されることが好ましい。必要とされる「均質な微粉化された状態」に関するその他の指針は、本明細書に含まれる実施例に見出すことができる。
【0020】
好ましくは、ステップ(4)から得た消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または同等の定量方法を使用して決定される。好ましくは、高速イオンクロマトグラフィー(HPIC)を使用して、酵素での処理中に放出される糖の量を決定する。より好ましくは、ステップ(4)から得た消化されたサンプル中のグルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの量は、高速イオンクロマトグラフィー(HPIC)を使用して決定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】グリセミック指数および関連する値を評価するための、従来技術のインビトロ法(即ち、Englyst法)を示すフローチャートである。
【図2】本発明のインビトロ法を示すフローチャートである。
【図3】実施例1に記述されるインビトロ法で得られた、混合標準(パネルA)および典型的な未知のサンプル(パネルB)の典型的なクロマトグラムを示す図である。
【図4】図4Aは、既知のインビボグリセミック指数値と、実施例2のデータに基づいたニューラルネット曲線当てはめ手順による、本発明の方法を使用して決定されたインビトログリセミック指数値との比較を示し;本発明の方法は、R2に関して0.97の値をもたらした。図4Bおよび4Cは、既知のインビボグリセミック指数値と、実施例2のデータを用いてEnglyst法で使用された計算技法を使用して得られるような(即ち、20分間の消化後のグルコース放出にのみ基づく)、素早く入手可能なグルコース(20分/100g食物で放出されるグルコースのグラム数として表される、RAG)との比較を示す。図4Bは、RAG/(入手可能な炭水化物%)に対してインビボ GIをプロットし;図4Cは、RGAに対してインビボ GIをプロットする。実施例2のデータセットに関してEnglyst計算技法を使用することにより、図4Bおよび4Cに示される分布図ではそれぞれ0.41および0.68のR2値が得られた。
【図5】図5Aは、既知のインビボグリセミック指数値と、実施例3のデータに基づいた多重線形回帰の曲線当てはめ手順による本発明の方法を使用して決定されたインビトログリセミック指数値との比較を示し;本発明の方法は、R2に関して0.94の値をもたらした。図5Bおよび5Cは、既知のインビボグリセミック指数値と、実施例3のデータを用いてEnglyst法で使用された計算技法を使用して得られるような(即ち、20分間の消化後のグルコース放出にのみ基づく)、素早く入手可能なグルコース(20分/100g食物で放出されるグルコースのグラム数として表される、RAG)との比較を示す。図5Bは、RAG/(入手可能な炭水化物%)に対してインビボ GIをプロットし;図5Cは、RGAに対してインビボ GIをプロットする。実施例3のデータセットに関してEnglyst計算技法を使用することにより、図5Bおよび5Cに示される分布図ではそれぞれ0.56および0.58のR2値が得られた。
【図6】既知のインビボグリセミック指数値と、実施例4のデータに基づいたニューラルネット曲線当てはめ手順による本発明の方法を使用して決定された、インビトログリセミック指数値との比較を示す図であり;本発明の方法は、R2に関して0.96の値をもたらした。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、酵素による食品の模擬消化を使用して、遊離したタンパク質、脂肪、および糖/糖アルコールのレベルからの食品のグリセミック指数の改善された予測を可能にする、インビトロ分析法を提供する。現行のグリセミック指数決定法は、一般にヒト対象を必要とし、コストがかかると共に時間もかかる。本発明の方法は、ヒト対象を使用する伝統的な方法の比べて著しく低いコストで、1人の分析者により1日で、約15個までの食物サンプルのグリセミック指数を決定することが可能である。さらに、ヒト対象のスクリーニングやインフォームドコンセントを得るなどの管理上の負担が、本発明では回避される。本発明の方法を使用して決定されたグリセミック指数値は、ヒト対象による伝統的な試験を使用して得られた結果に対し、非常に高い相関関係を示す。確かに、インビトロ法は、臨床的なインビボ法の結果よりも精密な結果をもたらすことができる。インビトロ法で使用される較正サンプルの数は、インビボ法を使用する1回の決定で使用される場合よりも大きいので(また、追加の較正サンプル(即ち、周知のインビボ GI値のサンプル)が内部に組み込まれるにつれ、増加し続けることができるので)、in virto GIの結果が得られるインビトロ法を較正するのに使用されるインビボデータは、任意の1回のインビボ試験で使用される場合よりもはるかに多くのヒト対象の血糖値結果に基づいている。さらに本発明の方法は、固体食品ならびに半固体食品(即ち、ヨーグルトなど)と液体食品(即ち、飲料など)を含めた広く様々な食品で使用することができる。
【0023】
本発明は、試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ法であって、
(1)試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)試験食物サンプルが得られるように、本質的に均質な微粉化された状態の試験食品を提供するステップ;
(3)消化されたサンプルが得られるように、固定期間中に、消化酵素の混合物で、標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の、本質的に均質な微粉化された状態にある試験食物サンプルを消化するステップ;
(4)酵素反応を停止させるため、固定期間の直後に、消化されたサンプルの全体を処理するステップ;
(5)ステップ(4)からの消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから、試験食品のグリセミック指数を計算し、但しこの較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有しているステップ
を含む方法を提供する。
【0024】
本発明は、試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ法であって、
(1)試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)試験食物サンプルが得られるように、本質的に均質な微粉化された状態の試験食品を提供し、但しこの試験食品は、本質的に液体窒素温度で摩砕されるステップ;
(3)消化されたサンプルが得られるように、固定期間中に、消化酵素の混合物で、標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の、本質的に均質な微粉化された状態にある試験食物サンプルを消化するステップ;
(4)酵素反応を停止させるため、固定期間の直後に、消化されたサンプルの全体を処理するステップ;
(5)ステップ(4)からの消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから、試験食品のグリセミック指数を計算し、但しこの較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有しているステップ
を含む方法も提供する。
【0025】
本発明のインビトロ法は、現在利用可能なインビトロ法に比べて著しく改善した正確さおよび精度で、固体、半固体、および液体食品のグリセミック指数値を決定するのに使用することができる。確かに、本発明の方法によって得ることが可能な正確さおよび精度は、商業的に利用可能なインビボ法と同等と思われるが、時間とコストの両方が著しく節約される。
【0026】
本発明の目的のため、「本質的に均質な微粉化された状態」は、食料品が脆性固体になるような、十分低い温度での食料品の摩砕と同等な、摩砕の程度を意味するものとする。一般に、約−40℃よりも低い温度、好ましくは約−78℃よりも低い温度、より好ましくは液体窒素を使用して得ることが可能な程度の温度(−196℃)は、周囲温度で固体または半固体であるほとんどの食料品を摩砕するのに十分である。周囲温度の固体材料は、そのような低温摩砕の前に破砕されまたは粗く摩砕されることも、一般に好ましい。ある好ましい実施形態では、特に周囲温度で固体または半固体の材料に関しては、摩砕は、液体窒素温度または液体窒素温度に近い温度まで液体窒素で冷却された摩砕ミルを使用して実現される。多くの場合、液体食品は本質的に均質でありかつ成分は担体に可溶であるので、液体食品はいかなる摩砕も必要としなくなるが、望むなら、そのような液体食品を、より低い温度で摩砕してもよい。半固体材料は、本質的に均質な微粉化された状態を得るために、そのような低温摩砕を必要としてもしなくてもよい。したがって例えば、プレーンヨーグルトはさらなる摩砕を必要としないのに対し、フルーツまたはその他の固体成分を内部に有するヨーグルトは、本質的に均質な微粉化された状態を得るために低温で摩砕されることが好ましい。必要とされる「均質な微粉化された状態」に関するその他の指針は、本明細書に含まれる実施例に見出すことができる。
【0027】
好ましくは、ステップ(4)から得た消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または同等の定量方法を使用して決定される。好ましくは、高速イオンクロマトグラフィー(HPIC)を使用して、酵素での処理中に放出される糖および/または糖アルコールの量を決定する。さらにより好ましくは、ステップ(4)から得た消化されたサンプル中のグルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの量は、高速イオンクロマトグラフィー(HPIC)を使用して決定される。当然ながら、特定の食物サンプルの場合、消化されたサンプルは、これらの糖または糖アルコールの1種または複数が本質的に0になるように決定することができる(即ち、特定の糖または糖アルコールは存在しなくてもよい)。その場合、特定の糖および/または糖アルコールに関連した1つまたは複数の用語は0になり(または0に近付く)、これらの糖および/または糖アルコールのGIへの寄与が最小限になる。
【0028】
現在、マルチトールは、食品で通常見られるレベルの血糖濃度に対して明らかな影響を及ぼすことが科学文献で示されている、唯一の糖アルコールのようである。適切なカラムを用いたHPICは、より多くの糖および糖アルコール(マルチトールだけではない)を測定することが可能であり、より多くの糖および糖アルコールは、そのように望む場合には分析および較正ステップに含めることができる。
【0029】
標準量の炭水化物を提供するのに十分な量の、本質的に均質な微粉化された状態にある試験食物サンプルは、消化されたサンプルが得られるように、固定期間中に、消化酵素の混合物と共に消化ステップで使用される。本発明の目的のため、消化ステップで使用される、本質的に均質な微粉化された状態にある試験食物サンプルの量は、「標準量」の利用可能な炭水化物を含有すべきである。この標準量の利用可能な炭水化物は、糖および糖アルコールの正確な測定を可能にするために、十分な糖および/または糖アルコールが消化ステップで得られるよう選択され;さらに、この標準量の利用可能な炭水化物によって、消化酵素は、そこに作用するように同様の量の基質を有することが可能になる。実施例1に例示される特定のプロトコルでは、一般に、標準量の利用可能な炭水化物が約0.2から約1gの範囲内に、より好ましくは約0.5gであるべきことが見出された。糖および糖アルコールの十分に正確な測定を得ることができる場合には、より高くまたはより低い量を使用することができる。当然ながら、標準量が選択されたら、その量は、すべての測定(方法を較正するのに、ならびに較正された後は未知のサンプルを較正するのに使用される場合を含む。)で使用されることが好ましい。この方法の目的で、利用可能な炭水化物の含量は、全炭水化物含量から食物繊維含量を差し引き、さらにマルチトール以外の糖アルコールの全含量を差し引いた値と定義される。マルチトール以外の追加の糖アルコールを分析および較正に含める場合、サンプル中のそのような糖アルコールの含量は、利用可能な炭水化物としても含めることが必要になる。
【0030】
同様に、消化ステップの固定期間は、内部で生成される糖および糖アルコールの正確な測定が可能になるように、十分な糖および/または糖アルコールが提供されるよう選択される。実施例1に示される特定のプロトコルでは、一般に、固定期間が約15から約25分の範囲内、より好ましくは約20分であるべきことが見出された。糖および糖アルコールの正確な測定が可能になるように、十分な量の糖および/糖アルコールが生成される場合には、より短くまたはより長い消化時間を使用することができる。当然ながら、固定時間が選択されたら、その値をすべての測定(方法を較正するのに、ならびに較正された後は未知のサンプルを較正するのに使用される場合を含む。)に使用すべきであり;言い換えれば、標準化された消化時間は、すべての較正および未知のサンプル測定の全体を通して使用されるべきである。一般に、選択された固定時間である約±10秒以内に、さらにより好ましくは約±5秒以内に、消化ステップが停止するよう努力すべきである。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態を示す。この方法は、周囲温度で固体、半固体、または液体であってもよい試験食物サンプルから開始する。上述のように、試験食品は、「本質的に均質な微粉化された状態」にすべきである。これは、周囲温度でほとんど固体または半固体の食物では、食料品が脆性固体になるように十分低い温度で食料品を摩砕することによって実現することができる。一般に、約−40℃よりも低い温度、好ましくは約−78℃よりも低い温度、より好ましくは液体窒素を使用して得ることが可能な程度の温度が、周囲温度で固体または半固体であるほとんどの食料品を摩砕するのに十分である。周囲温度で固体の材料を、そのような低温摩砕の前に破砕しまたは粗く摩砕することも、一般に好ましい。したがって図2に示されるように、試験食物サンプルは、好ましくはサンプルを単により小さな粒子に破砕するよう粗く摩砕し、次いで細かく摩砕して、本質的に均質な微粉化されたサンプルを得る。ある好ましい実施形態では、特に周囲温度で固体または半固体の材料の場合、微粉砕は、液体窒素温度または液体窒素温度に近い温度まで液体窒素で冷却された摩砕ミルを使用して実現される。多くの場合、液体食品は本質的に均質でありかつ成分は担体に可溶であるので、液体食品はいかなる摩砕も必要としなくなるが、望むなら、そのような液体食品を、より低い温度で摩砕してもよい。半固体材料は、本質的に均質な微粉化された状態を得るために、そのような低温摩砕を必要としてもしなくてもよい。したがって例えば、プレーンヨーグルトがさらなる摩砕を必要としないのに対し、フルーツまたはその他の固体成分を内部に有するヨーグルトは、本質的に均質な微粉化された状態を得るために低温で摩砕されることが好ましい。
【0032】
当業者なら、「本質的に均質な微粉化された状態」で得られる粒度範囲を指定することは必要でなくまた確かに難しくなることを、理解するであろう。この方法による分析に適したほとんどの食物サンプルは、十分な水分レベルを含有することになる。したがって、液体窒素温度で摩砕した場合であっても(固形分は、そのような温度での脆性によって、より容易に摩砕されることになる。)、粒子は、その含水量が原因で、周囲温度に戻るときに凝集する可能性がある。低温での摩砕で得ることが可能な均質性および微粉化された状態は、少なくとも1つには、それによって本発明の方法の正確さおよび精度が可能になったと思われる。したがってほとんどの場合、低温摩砕の使用は、均質な微粉化された混合物(特に、チョコレートチップクッキーやトレイルミックスなどの高い不均一度を有するサンプルと共に)を生成するのに最も適切な手段である。しかし、サンプルが物理的に障害のあるデンプン(無傷のまたは部分的に無傷の細胞壁によって保護された形の消化酵素など)を含有する場合、細胞構造の崩壊によって消化酵素に非常に接触しやすくなるデンプンをもたらし、その結果、誤って高いGI数をもたらす可能性があるので、粗い摩砕または破砕から消化へと直接進めることがより適切であると考えられる。したがって、ポテトチップなどのサンプルは、低温で摩砕されないことが好ましい。ポテトチップが低温で細かい粉末に摩砕された場合、得られる分析は、約70〜75のGI値をもたらす。ポテトチップが粗く摩砕されただけの場合は(ポテトチップは周囲温度で脆いので、容易に行われる。)、得られる分析は、文献の値(非特許文献5)は、平均値を54±3と報告している。)により一致している約55〜60のGI値をもたらす。したがって当業者なら、サンプル調製技法は、デンプンの消化を遅くする可能性があるような天然構造の過剰な崩壊をもたらすことなく、サンプルの不均一性を低減させた結果と理解するであろう。
【0033】
サンプルが、所望の均質な微粉化された状態になると、消化プロセスを模倣する酵素消化がなされる。ペプシンは、タンパク質の加水分解が開始されるように添加することが好ましい。次いで酵素の混合物を使用して、サンプル中に存在する炭水化物を消化し、それによって糖を生成し、サンプル中に存在し得る遊離糖および糖アルコールを可溶化する。標準(モデル係数を最初に決定する場合、次いで方法全体のチェックとしての両方)および未知の物質を決定する場合には、標準条件を使用することが重要である。これらの標準条件は変えてもよいが、一旦選択したら、方法の較正中およびその後の未知のサンプルの決定では、可能な限り厳密に維持すべきである。一般に、酵素の混合物は、炭水化物の本質的にすべてを糖に転換しかつあらゆる遊離糖または糖アルコールをサンプル中に可溶化するのに十分な量で、パンクレアチン、アミログルコシダーゼ(AMG)、およびインベルターゼを含有する。酵素混合物とのインキュベーションは、一般に、37℃で20分間実施され;この場合もやはり、インキュベーションで使用される正確な温度および時間は(酵素を作用させる限り)、較正プロセスおよび未知のサンプルの決定中に同じインキュベーション温度および消化時間(即ち、消化用の固定時間)を使用する場合ほど重要ではない。
【0034】
インキュベーションを所望の時間(即ち、標準時間20分±10秒)実施したら、酵素反応を即座に停止させる。好ましくは、エタノールを添加して酵素反応を即座に停止させる。サンプルは、好ましくは次に濾過することによって存在し得るあらゆる沈降物または粒子状物質を除去し、サンプルを収集する。インキュベーションの開始時からサンプルが収集されるまで(即ち、酵素反応が停止した後)、一体的なまたは完全なサンプルを維持することが重要である。即ち、この時間中に、サンプルの分離または分割は行われない(酵素反応を停止させた後の濾過を除く。)。この操作中のサンプルの物理的一体性を維持することによって、不均一混合物になり得るサンプリングに関連した誤差が回避される。したがって、例えばEnglyst法は、20分の消化後に一定分量を消化混合物から採取した場合、有意なサンプリング誤差が導入される可能性があるが、それは、その時間では、混合物が一般に懸濁液の形をとるからである。本発明の方法は、そのような問題を回避する。
【0035】
消化混合物から最終サンプルを得たら(好ましくは、残存するあらゆる固体材料を除去するために濾過した後)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または同様の定量方法を使用して、糖および糖アルコール含量を測定する。好ましくは、高速イオンクロマトグラフィー(HPIC)を使用するが、それはこの技法が一般に、糖、特にグルコースおよびガラクトースの優れた分離を行うからであり、また同じ分離で糖および糖アルコール(例えば、マルチトール)の両方の測定が可能になるからであり、さらに一般に、パルス式電気化学検出の高度な選択性によって干渉し難い傾向があるからである。適切な装置および操作条件を、実施例1に示す。この場合もやはり、当業者なら理解されるように、特定の装置および操作パラメータは、標準条件を決定し次いでその条件を始めから終わりまで維持する場合ほど重要ではない。好ましくは、消化されたサンプル中のグルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定する。さらにより好ましくは、消化されたサンプル中のグルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの量が決定される。上述のように、追加の糖および糖アルコールを、望むなら分析および較正ステップに含めることができる。
【0036】
さらに、試験食物サンプル用のタンパク質および脂肪含量を決定する。これらのパラメータは、標準のおよび従来の分析技法を使用して決定することができ、かつ/または試験食物サンプルの成分に基づいて計算することができる。グリセミック指数に関する予測値の決定は、例えば多重線形回帰(MLR)、部分最小二乗法(PLS)、またはニューラルネット曲線当てはめ手順などの多変量解析を使用して実施される。ニューラルネット曲線当てはめ手順は、実施例で生成されたデータに最良の当てはめをもたらすようであり、したがって一般に好ましい(図4Aの分布図参照)。消化混合物は、最終サンプル消化物中のグルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトール含量の定量値を生成するために、上述のHPIC手順を介して分析される。これらの値は、当初のサンプルの全タンパク質%および脂肪%と一緒になって、好ましくは適切な統計ソフトウェアプログラム(例えば、JMP統計ソフトウェア)に入力され、次いで適切な予測もしくは相関式または予測技法に基づいて、当初のサンプルのGI値を予測する。
【0037】
予測方程式または予測技法は、臨床またはインビボ GI値が知られている較正セットのデータから、導かれる。これを図2に示すが、破線の矢印は、予測方程式または予測技法のパラメータの決定を示すのに使用される。このデータは、上述および実施例1と同じ標準条件および手順を使用して決定される。実施例1で使用される較正セットは、食品と、臨床GI値が知られている一連の純粋な標準物質とを含む。実施例1で使用される較正標準は、19から100のGI値範囲に及び、較正でのその他の食物サンプルとまったく同じ手法で処理される。すべての較正サンプルおよび標準と、後のすべての未知のサンプルは、同じ標準条件および手順を使用して分析すべきである。適切なソフトウェアを使用して、臨床インビボ GI値と予測変数との間の相関関係に最もよく当てはまる方程式またはその他の関係を導き出すために、較正サンプルおよび標準からのデータを使用する。好ましくは、多変量解析技法(例えば、MLR、PLS、またはニューラルネット)を使用する。新たに利用可能な較正サンプルまたは標準からの別のインビボデータを、望むならモデルに組み込んで、方程式の予測変数または予測技法を更新し改善することができる。
【0038】
本明細書に記述される方法は、好ましくは、上記にて列挙されたすべての糖と、較正でのマルチトールを含む。しかし、生成されやすいサンプルが、成分の一部を含有していないことがわかった場合、これらのサンプルは、較正(例えば、マルチトール、ガラクトース)の範囲外のままとなり得る。同様に、食品に関連した追加のパラメータまたは測定値(例えば、有機酸含量およびβ−グルカン含量など)を含めることができる。消化されたサンプル中のスクロースの量は、インベルターゼが存在するあらゆるスクロースをグルコースおよびフルクトースに転換すると予測されるので、典型的には本質的に0であることがわかる。望むなら、スクロースの決定は、内部チェックとして使用することができる。したがって、この方法を適正に実施する場合、スクロースのレベルは本質的に0であるべきであり;かなりの量のスクロースが検出された場合には、分析が疑わしく、サンプルを繰り返すべきである。当然ながら、有効内部標準としてスクロースを使用するこの方法は、この方法のために選択された標準条件およびパラメータが確かに消化されたサンプル中にスクロースを本質的にもたらさない場合のみ、使用されるべきである。サンプルが、インベルターゼ活性を阻害し得る任意の物質を含有する場合、残存するスクロースを定量する能力は、その阻害作用をインビトロ GI値の計算で考慮に入れるに較正データセットを開発するのに役立てることができる。
【0039】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。他に指示しない限り、すべてのパーセンテージおよび比は、重量によるものである。本明細書に引用されるすべての文献を、参照により本明細書に組み込む。
【実施例1】
【0040】
この実施例は、方法の較正および未知のサンプルの決定の両方に関して本発明のインビトログリセミック指数決定を実施するための、詳細な分析プロトコルを提供する。特定の装置、試薬、および/または特定の手順および操作パラメータが提示されるすべての場合において、同等な装置、試薬、および/または特定の手順および操作パラメータを使用できることが理解されよう。
【0041】
装置:
1.温度制御式振盪水浴(約175ストローク/分が可能);
2.ボルテックスミキサ;
3.化学天秤(±0.0001gまで正確);
4.容量フラスコ、クラスA、100ml、1000ml;
5.ピペット、クラスA、1ml、2ml、5ml、6ml、10ml;
6.ガラスボール、6mm(Fischer#11−312−Dまたは同等物)
7.スクリュキャップを備えたガラスサンプルバイアル(40ml)(VWR#66014−389または同等物);
8.スクリュキャップを備えたプラスチック遠心管(50ml)(VWR#21008−730または同等物);
9.遠心分離機;
10.Spex CertiPrep 6850フリーザミルまたは同等物;
11.1Qt.広口Masonジャー;
12.濾過漏斗;
13.Whatman#4高速濾紙、12.5cmの円、または同等物;
14.リングスタンド;
15.Anotop 10 Plus 0.2ミクロン 10mm直径シリンジフィルタ;
16.HPIC装置、および以下の「HPIC手順」という標題のセクションに列挙される試薬;および
17.JMP統計ソフトウェア、バージョン5.1、SAS Institute、または同等物。
【0042】
試薬:
1.0.5N塩酸(HCl)(VWR#VW3201−0);
2.酢酸ナトリウム(NaAc)(Acros#42425−5000);
3.エチルアルコールUSP、190プルーフ−95%(95%EtOH)(Aaper Alcohol & Chemical Co.);
4.パン酵母のインベルターゼ、215U/mg固体(Sigma#1−9274);
5.アミログルコシダーゼ(AMG)、300U/ml(Novozymes#$ANG300L)(注記:0〜25℃で保存し、配達日から3カ月以内に使用すべきである。);
6.ブタ胃粘膜からのペプシン、439U/mg固体(Sigma#P−7000)
7.グアーガム(Sigma#G4129−250G);
8.ブタ膵臓からのパンクレアチン(Sigma#P−7545);
9.脱イオン水(H2O);および
10.液体窒素;および
11.無水グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ガラクトース、およびマルチトールの純粋な標準(最小99%純度、Sigma Aldrich Company、または同等物;使用しないときはデシケータ内で保存すべきである。)。
【0043】
溶液:
1.0.05N HCl溶液(脱イオン水で、100mlの0.5N HClを1000mlに希釈する。);
2.ペプシン/グアーガム溶液(2195U/mlペプシンおよび0.5%グアーガム(W/V)、0.05N HCl中)−0.5gのペプシンおよび0.5gのグアーガムを100mlの0.05N HClに溶解する;
3.インベルターゼ原液(510.7U/ml、H2O中)−100mgのインベルターゼを42.10mlのH2Oに溶解する;
4.0.5M酢酸ナトリウム溶液(H2O中0.5M NaAc)−4.10gの酢酸ナトリウムを100mlのH2Oに溶解する;
5.66%エチルアルコール溶液(66%EtOH)(V/V)−347mlのメチルアルコールを、1クォートのメーソンジャー内で153mlの脱イオン水と混合し、キャップする;これは、1つのサンプルに十分な溶液である;および
6.酵素溶液(1つのサンプルの処方−136mg/mlパンクレアチン、13.4U/ml AMGおよび25.43U/mlインベルターゼ);
i.1.0gのパンクレアチンを50mlの遠心管に計量する;
ii.6.67ml H2Oを添加し、10分間ボルテックス混合して完全に溶解する(多数のサンプルに使用される溶液を調製する場合には、攪拌棒またはガラスボールが必要となる場合がある。);
iii.2000rpmで10分間遠心分離する;および
iv.各試験サンプルごとに、6mlの上澄みを別の50mlの遠心管に移し、296μlのAMGおよび330μlのインベルターゼ原液を添加する。
【0044】
固体サンプルのサンプル調製:
【0045】
1.サンプルを、Waring Laboratoryミクロナイザ内に置き、サンプルが十分混合するまで摩砕する(一般に、30から60秒で十分である。)。
【0046】
2.次いでミクロナイザからの3オンス/100gサブサンプルを、Spex CertiPrep 6850フリーザ/ミル内で低温摩砕する。Spex CerttiPrep 6850フリーザ/ミルは、液体窒素によって冷却された衝撃摩砕機である。冷却によって脆くなったサンプルを、バイアルのエンドプラグに対して衝撃部材を打ち付けることによって粉砕する。サンプルは、摩砕バイアル(#6801)の高さの約3分の1から約2分の1の間を占めるべきである。
【0047】
3.6850フリーザ/ミルは、そのキーボードを使用してプログラムすることができる。制御モードおよび条件:サイクル1−摩砕時間1.5分;速度(衝撃頻度)秒当たり10サイクル;および予備冷却時間4分(即ち、摩砕開始前の時間)。
【0048】
4.摩砕サイクルの終わりに、バイアルの中身を適切な容器に空けて、キャップする。
【0049】
消化手順:
【0050】
1.50gの利用可能な炭水化物(利用可能炭水化物=全炭水化物から繊維を差し引き、さらにマルチトール以外に糖アルコールを差し引いたもの)と同等なサンプルの量を、40mlのガラススクリューキャップバイアルに計量し、5mlのH2O、10mlの新たに調製されたペプシン/グアーガム溶液、および5個のガラスボールを添加する。水0.5gからなるサンプルブランクも、サンプルの各バッチと共に実験にかける。
【0051】
2.キャップされたバイアルを激しくボルテックス混合し、37℃の振盪水浴(175ストローク/分)内に水平に置き;30分間振盪させて、ペプシンによりタンパク質を加水分解させる。
【0052】
3.5.0mlの0.5M NaAc(37℃に平衡)をバイアルに添加する。
【0053】
4.混合し、次いで5mlの酵素溶液を添加する。反転させることにより混合する。この消化混合物のpHは、約5であるべきである。
【0054】
5.すぐに、当初のサンプルを37℃の振盪水浴内に水平に置いて、酵素反応を継続させる。20分間振盪させる。サンプルバイアルを、20分(±10秒)後に振盪機から外す。
【0055】
6.すぐにバイアルの中身を、500mlの66%EtOHが入っているメーソンジャーに注いで、反応を停止させる。バイアルを、メーソンジャーからの数滴のEtOH溶液で濯ぎ、このメーソンジャーをキャップし、次いで反転させることによって1回混合する。すぐに、高速濾紙を通してメーソンジャーの中身の一部を40mlのスクリュキャップバイアルに濾過し、キャップし、HPIC分析に向けて蓄える。
【0056】
次いで消化されたサンプルを、以下に詳述するHPICによって、糖および糖アルコール含量に関して分析する:
【0057】
1.装置−:
高速性能ポンプ;
液体クロマトグラフィーモジュール;
パルス式電気化学検出器;
溶離剤脱気モジュール;および
Dionex Chromeleonクロマトグラフィーワークステーション
からなるDionexクロマトグラフィーシステム。
【0058】
2.試薬および標準
脱イオン水、18MΩ−cm抵抗;
水酸化ナトリウム溶液、50%w/w、低カーボネート;および
ガラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、およびマルチトールの純粋標準。
【0059】
3.条件:
カラム:CarboPacTM PA1分析(4×250mm)およびAminoTrapガード(4×50mm)カラム;
操作条件:圧力:1200〜1500psi;注入体積;10μL;
溶離剤:21mM水酸化ナトリウム(各カラムで最良の分離が実現するように調節することができる;注記:CarboPac PA1は、カラム面にカーボネートが蓄積されないように、各操作ごとに200mM NaOHで洗浄すべきである。);
流量:1mL/分;および
検出:パルス式電流測定、使い捨て可能な金の作用電極、よび標準炭水化物設定。
【0060】
4.溶液の調製:
a)溶離剤:NaOH溶液(50%w/w、低カーボネート)1.6725gを脱イオン水1.0L(18MΩ−cm抵抗)に希釈する;
b)カラム洗浄溶液:200mM NaOH:NaOH溶液(50%w/w、低カーボネート)16gを脱イオン水(18MΩ−cm抵抗)1.0Lに希釈する。
【0061】
5.標準の調製:
約6種の標準(即ち、ガラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、およびマルチトールの純粋な標準)のそれぞれの約0.1000gmを、100ml容量フラスコに正確に計量して、1000ppmの混合標準を脱イオン水(18MΩ−cm抵抗)で作製する。この溶液を希釈して、以下の作用標準を生成する:
a)1mlを、66mlのエチルアルコール(195プルーフ)を含む1000mlに希釈して、1ppm標準を作製する;
b)2mlを、6.6mlのエチルアルコール(195プルーフ)を含む100mlに希釈して、20ppm標準を作製する;
c)5mlを、6.6mlのエチルアルコール(195プルーフ)を含む100mlに希釈して、50ppm標準を作製する;および
d)10mlを、6.6mlのエチルアルコール(195プルーフ)を含む100mlに希釈して、100ppm標準を作製する。
【0062】
6.サンプルの調製および注入:
消化手順からの最終的な消化溶液を、脱イオン水で1:10に希釈し、次いで0.2ミクロンのAnotop 10 Plusシリンジフィルタに通してオートサンプラバイアルに濾過する。次いで溶液(10μl)のサンプルを、クロマトグラフに注入する。
【0063】
7.クロマトグラフィー勾配条件:
【0064】
【表1】

【0065】
8.電気化学的検出器パラメータ:Ag/AgCl参照電極と共にプリロード波形を使用:
【0066】
【表2】

【0067】
カラム貯留溶液:21mM水酸化ナトリウム(NaOH)
【0068】
9.糖およびマルチトールの定量的決定:
【0069】
混合標準1、20、50、および100ppmをHPICに注入し、クロマトグラフィーシステムに適したソフトウェアを使用して較正曲線を構成する。サンプル中の分析物の1種または複数の濃度が最高標準の濃度を超えた場合、較正曲線は、最も濃縮したサンプル中に見られるよりも高い濃度を有する標準を含むように拡張すべきである。次いでサンプルブランクまたは試験サンプルをHPICに注入し、ガラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、およびマルチトールの濃度を、ピーク面積を使用して較正曲線から計算する。較正曲線からの濃度に10を掛けて、上記ステップ6のサンプルおよびサンプルブランクの10倍希釈を形成し、最終的な消化物中の各分析物の%に関して報告する。
【0070】
サンプルブランク中の各分析物の濃度の値(%)を、各サンプル中の各分析物の濃度の値から差し引いて、ブランク補正サンプル濃度値(%)にする。
【0071】
混合標準(パネルA)と典型的な未知のまたは試験サンプル(パネルB)とのクロマトグラムの例を、図3に示す。
【0072】
計算:
【0073】
グリセミック指数の予測値の決定は、多重線形回帰(MLR)、部分最小二乗法(PLS)、またはニューラルネット曲線当てはめ手順を介して実現される。消化混合は、最終的なサンプル消化物中のグルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトール含量のブランク補正定量値を生成するために、上記HPIC手順を介して分析される。これらの値は、成分値からの分析または計算によって決定された当初サンプルの全タンパク質%および脂肪%と共に、JMP統計ソフトウェアスプレッドシートに入力され、次いで、使用される特定の曲線当てはめ技法に適切な予測方程式または予測技法に基づいて当初サンプルのGI値を予測する。
【0074】
予測方程式予測技法は、臨床インビボ GI値がわかっている較正セットに関するデータから導かれる。較正セットは、食品、および臨床GI値がわかっている一連の純粋標準を含む。実施例2の方法を較正するのに使用されるこれらの標準は、19から100のGI値範囲に及び、較正のその他の食物サンプルと厳密に同じ手法で処理される。これらのサンプルを分析した後、追加のサンプルおよび/または標準を較正セットに加え、インビボ GI値がこれらのサンプルおよび/または標準に関してわかっている場合には、モデルパラメータを再計算することができ;そのような付加は、較正セットを、GIを決定することができる食物サンプルの集合のより広範な典型例とすることによって、較正を強化すべきである。このように、予測方程式または予測技法は、新たに利用可能なまたは改善されたインビボデータを含むように更新することができる。すべての較正サンプルおよび標準は、上述の手順を介して事前に分析し、次いで、MLR、PLS、またはニューラルネット法を使用して、臨床GI値と予測変数との間の関係に最もよく当てはまるデータに方程式を当てはめるため、JMP統計ソフトウェアを使用した。
【0075】
本明細書に記述される方法は、較正でのすべての糖およびマルチトールを含む。しかし、生成されやすいサンプルが成分のいくつかを含有しないことがわかっている場合には、これらのサンプルは、較正の外に置くことができる(例えば、マルチトース、ガラクトース)。消化されたサンプル中のスクロースの量は、存在するあらゆるスクロースをグルコースおよびフルクトースに変換するインベルターゼの作用により、典型的には本質的に0であることがわかっている。しかし、サンプルがインベルターゼ活性阻害剤を含有する場合には、阻害作用がインビトロ GI値の計算で考慮される較正方程式の開発に、スクロースレベルを含む能力を役立てることができる。マルチトールは、食品に通常見られるレベルの血糖濃度に対して、目に見える効果を発揮することが科学文献に示されている唯一の糖のアルコールである。適切なカラムを用いるHPICは、より多くの糖および糖アルコール(マルチトールだけではない)を測定することが可能であるので、そのように望むなら、より多くの糖および糖アルコールを分析および較正ステップに含めることができる。
【0076】
未知のサンプルは、サンプル中のタンパク質%、サンプル中の脂肪%、および消化物中のグルコース%、消化物中のフルクトース%、消化物中のラクトース%、消化物中のスクロース%、消化物中のガラクトース%、および消化物中のマルチトール%のブランク補正濃度値を、後で自動的にGI値を予測する適切な統計ソフトウェアパッケージ(例えば、JMP統計ソフトウェア)に入力することによって、予測される。
【実施例2】
【0077】
多数の市販の食品およびその他の食物サンプルを、インビボおよびインビトロ試験プロトコルの両方を使用して試験した。ほとんど(合計で34のうち25)のインビボグリセミック指数値は、そのような試験を経験した周知の十分に尊重されている私的試験室によって実施された、インビボ試験を使用して決定され;そのようなインビボグリセミック指数値の残りは、科学文献から得た。これらの同じサンプルも、実施例1に記述される本発明のインビトロ法を使用して試験をした。次いでこれらのデータを使用することにより、JMP統計ソフトウェアで利用可能なMLR、PLS、およびニューラルネット法を使用して本明細書に記述されるインビトログリセミック指数試験のモデルパラメータを計算した。
【0078】
親出願の出願後、ペプシン/グアーガム溶液の調製に使用されるHCl溶液は、所望の0.05Nではなく0.5Nであることを発見した。ペプシン/グアーガム溶液は酵素消化溶液の調製に使用されるので、酵素消化中のpHは、所望の約5ではなく約1.1であった。このより低いpH値は、酵素消化反応に最適ではない。このように、pHが低すぎるので、サンプル中の脂肪およびタンパク質レベルに対して種々のレベルの様々な糖が放出された。しかし、すべてのサンプルを同じ手法で処理したので(即ち、消化中は同じpH)、予測されるグリセミック指数値の相対的な値は有効なままである。当然ながら、このデータ集合から導かれたモデルパラメータおよび/または係数は、酵素消化中のより低いpHが新たな未知のサンプルにも使用される場合にのみ使用することが適していると考えられる。以下の実施例3および4は、適正なHCl溶液を使用して実施され;したがって酵素消化反応は、より最適なpH条件下で実施された。
【0079】
以下のモデルパラメータは、MLR法を使用して得た:
【0080】
【表3】

【0081】
したがって、MLR法を使用してインビトログリセミック指数を推定するのに使用される方程式は:
GI=63.080214−0.974313タンパク質(%)−0.67442脂肪(%)+367.97478グルコース(%)−452.5341フルクトース(%)−191.8138ラクトース(%)−437.3615ガラクトース(%)−298.0102マルチトール(%)
になる。
このモデルに関連する統計的パラメータは、下記の通りである:
当てはめの概要:
【0082】
【表4】

【0083】
分散の分析:
【0084】
【表5】

【0085】
以下のモデルパラメータは、5個の潜在的変数を用いたPLS法を使用して得た:
【0086】
【表6】

【0087】
したがって、PLS法を使用してインビトログリセミック指数を推定するのに使用した方程式は:
GI=62.745005−0.986004タンパク質(%)−0.670993脂肪(%)+369.91833グルコース(%)−446.4468フルクトース(%)−195.07ラクトース(%)−425.7489ガラクトース(%)−291.9779マルチトール(%)
になる。
このモデルに関連する統計的パラメータは、下記の通りである:
当てはめの概要:
【0088】
【表7】

【0089】
以下のモデルパラメータの重みは、ニューラルネット法を使用して得た:
【0090】
【表8】

【0091】
ニューラルネット法は、単純な予測方程式をもたらさない。むしろ、この方法は、一連のパラメータの重み、およびネットワークトポロジーであって、適切なソフトウェアプログラム(この場合は、JMP統計ソフトウェア)を使用して予測される結果を得るのに後で使用することができるものを提供する。この方法を使用して得られた当てはめを、図5Aに図式的に例示する。このモデルに関連するパラメータは、下記の通りである:
【0092】
【表9】

【0093】
結果
【0094】
【表10】

【0095】
次いで得られたモデルパラメータを使用することにより、データ当てはめ法のそれぞれを使用してインビトログリセミック指数値を計算した。以下の市販の製品から得た結果を使用して、補正パラメータを計算した。データ当てはめ法のそれぞれを使用して決定された、結果的に得られたインビトログリセミック指数値を、インビボグリセミック指数値と比較する:
【0096】
【表11】

【0097】
【表12】

【0098】
曲線当てはめ手順としてニューラルネットを使用して得られたこのデータの分散図を、図4Aに示す。0.97というR2値が、この方法を使用して得られる。インビトロ法の標準偏差(合計で34個のサンプルに関する2回ずつの測定を基にする。)は、±1.08GI単位または±2.33相対%であった。したがってこの方法は、非常に高い精度をおよび高い予測値を有するように見える。
【実施例3】
【0099】
原出願の出願後、研究を継続し、追加のデータポイントを付加し、ある修正を方法に加えて、さらにより正確で精密なインビトロ法を提供した。上記実施例2で述べたように、実施例2の酵素消化ステップ中のpHは、低すぎた。酵素消化ステップでの適正なpH値は、約5であるべきであり;そのような修正以外は、サンプルを実施例2と同じ手法で処理した。したがって、実施例2で使用したサンプルのうち31個を戻して、より最適な酵素消化pHでデータを得た。さらに、34個の新しいサンプルを、実施例2から戻したサンプルに加えて、サンプルの総数を65にした。このインビトロ法(この一部継続出願日時点で最新である。)は、より最適なpH値で酵素消化されたサンプルに基づいており、かつ本明細書に示されている。当然ながら、当業者に理解されるように、この方法の正確さおよび精度も、較正サンプルおよび/または標準の追加のインビボデータが利用可能になるにつれて、かつ較正手順中のインビトロモデルに組み込まれるにつれて、さらになお高めやすくなる。
【0100】
以下のモデルパラメータは、MLR法を使用して得た。
【0101】
【表13】

【0102】
このように、MLR法および拡張データ集合を使用してインビトログリセミック指数を推定するのに使用される方程式は:
GI=26.779686−0.967251タンパク質(%)−0.385715脂肪(%)+611.60013グルコース(%)+301.95014ラクトース(%)+169.03383マルチトール(%)−18.16062[グルコース(%)−0.05718]×[タンパク質(%)−8.24967]
になる。
このモデルに関連する統計パラメータは、下記の通りである:
当てはめの概要:
【0103】
【表14】

【0104】
分散の分析
【0105】
【表15】

【0106】
以下のモデルパラメータは、5個の潜在的変数を用いたPLS法を使用して得た。
【0107】
【表16】

【0108】
したがって、PLS法を使用してインビトログリセミック指数を推定するのに使用される方程式は、
GI=26.264529−1.048186タンパク質(%)−0.248138脂肪(%)+621.7824グルコース(%)−52.7993フルクトース(%)+233.67679ラクトース(%)−61.21071ガラクトース(%)+84.689245マルチトール(%)
になる。
このモデルに関連する統計パラメータは、下記の通りである:
当てはめの概要:
【0109】
【表17】

【0110】
以下のモデルパラメータの重みは、ニューラルネット法を使用して得た:
【0111】
【表18】

【0112】
実施例2で述べたように、ニューラルネット法は、単純な予測方程式をもたらさない。むしろこの方法は、一連のパラメータの重み、およびネットワークトポロジーであって、後で適切なソフトウェアプログラム(この場合、JMP統計ソフトウェア)を使用して予測結果を得るのに使用することができるものを提供する。この方法を使用して得られた当てはめを、図4Aに図式的に示す。このモデルに関連したパラメータは、下記の通りであった:
【0113】
【表19】

【0114】
結果:
【0115】
【表20】

【0116】
次いで得られたモデルパラメータを使用することにより、実施例2のようなデータ当てはめ法のそれぞれを使用してインビトログリセミック指数値を計算することができる。実施例2の場合より約33種多い以下の製品から得た結果を使用して、各モデルごとの相関パラメータを計算した。拡張データ集合を用いるデータ当てはめモデルまたは方法のそれぞれを使用して決定された、結果的に得られるインビトログリセミック指数値を、インビボグリセミック指数値と比較する:
【0117】
【表21】

【0118】
【表22】

【0119】
【表23】

【0120】
【表24】

【0121】
MLR曲線当てはめ手順を使用して得られたこのデータの分布図を、図5Aに示す。0.94のR2値は、この方法を使用して得られる。インビトロ法に関する標準偏差(合計で65個のサンプルの2回ずつの測定に基づく。)は、±4GI単位または±6相対%であった。したがってこの方法は、非常に高い精度および高い予測値を有するように見える。
【0122】
次いでインビトロ法は、サンプルの調製および分析に関して本明細書に記述される方法を単に実施し、かつデータおよび較正データから決定された所望の予測方程式を使用することによって、未知の食品または食物成分に関するインビトロ GI値を計算するのに使用することができる。当然ながら、実施例2および3の比較によって実証されるように、較正結果および予測方程式データは、較正データ集合および未知のサンプルが分析される実際の条件(特に、酵素消化ステップに関して)に依存することになる。しかし、同じ手順をすべてのサンプルに使用する限り、分析手順の変化は、予測方程式が広く異なる場合であっても本発明の予測能力に著しい影響を及ぼさないと考えられる。これは、このインビトロ法の堅牢性を実証していると、本発明者らは考える。較正データ集合のサイズは、そのサンプルの数および/または使用されるインビボ GI値の正確さが増すにつれ、この方法の正確さおよび精度が増すと予測される。
【0123】
上述のように、Garsettiらは、インビトロ Englyst法に関してR2値が0.25の分布図を提供し、したがってこの方法は、予測値がほとんどないことを示している。さらに比較する目的で、実施例2および3からのデータに関してEnglyst法を使用した計算技法を使用して得られる(即ち、20分の消化後のグルコース放出にのみ基づく)、素早く入手可能なグルコース(20分/100g食物で放出されるグルコースのg数として表されるRAG)を、非特許文献1(図4B)および非特許文献2(図4C)参照)に記述されるようなインビトロ Englyst法(即ち、20分後のグルコース放出のみ使用)に記述される計算およびパラメータを使用して、それぞれインビボ GI値に相関させた。そのような分布図を、実施例2のデータを使用して図4Bおよび4Cに、実施例4のデータを使用して図5Bおよび5Cに示す。図4Bおよび5Bでは、インビボ GIを、実施例2および実施例3のデータに関するRAG/(入手可能な炭水化物%)に対してそれぞれプロットし;図4Cおよび5Cでは、インビボ GIを、実施例2および実施例3のデータに関するRAGに対してそれぞれプロットする。そのような計算を、実施例2のデ−タを使用して実施した場合、Englystらの方法のR2値は、図4Bおよび4Cにおいてそれぞれ約0.41および約0.68まで増加し;実施例3のデータを使用すると、Englystらの方法のR2値は、図5Bおよび5Cにおいてそれぞれ約0.56および約0.58に増加した。これらは、Garsettiらの分布図に比べて改善されたことを示しているが、この方法の予測値は、依然として不十分である。
【0124】
本発明者らは、本発明の方法では約0.94から約0.97のR2値(使用される特定の曲線当てはめ法と、データが作成される条件とに依存する。)によって実証されたように、初めて、広く様々な食品および/または食物成分に関するグリセミック指数値を正確におよび精密に決定するのに使用することができるインビトロ法が提供されたと考える。この方法は、現在推奨されているような非常に時間がかかりかつ費用もかかるヒト対象のインビボ試験の正確さに関して遜色がない、正確なグリセミック指数値を、容易に、素早く、かつ費用をかけずに得るのに使用することができる。さらに、この方法の正確さおよび精度は、較正サンプルおよび/または標準に関する追加のインビボデータが利用可能になるにつれ、かつ較正手順中にインビトロモデルに組み込まれるにつれ、さらになお増大する傾向がある。当技術分野におけるこの進歩は、人間の栄養におけるグリセミック指数および関連する値(例えば、グリセミック指数と、食物によって提供された炭水化物の量(単位;g)とを掛け合わせ、かつその総量を100で割ることによって決定されたグリセミック負荷値)の有用性を増大させるべきである。
【実施例4】
【0125】
実施例2で使用したサンプル(酵素反応ステップでは、最適にまで至らないpH値を使用する。)を、より最適なpH値を使用する実施例3に戻した。戻された実施例2のデータ集合のみ(即ち、実施例3で付加された追加のサンプルを除く。)に関する実施例3のデータを使用して、様々な曲線当てはめパラメータの新しい集合を作成した。この実施例−実施例2の34個のサンプルのうち、31個のサンプルに基づく−は、より最適なpH値で実験をしたサンプルを用いた実施例2のインビトロ分析を効果的に示す。これにより、各データ集合のサンプル数のみ変化する、実施例2および実施例3からの相関係数またはパラメータの、より直接的な比較が可能になる。
【0126】
この修正データ集合に関する以下のモデルパラメータは、MLR法を使用して得た:
【0127】
【表25】

【0128】
したがって、MLR法を使用したインビトログリセミック指数を推定するのに使用される方程式:
GI=30.502796−0.787639タンパク質(%)−0.515649脂肪(%)+573.03525グルコース(%)+275.61246ラクトース(%)+147.62386マルチトール(%)−20.39966[グルコース(%)−0.05091]×[タンパク質(%)−10.0429]。
このモデルに関連する統計パラメータは、下記の通りである:
当てはめの概要
【0129】
【表26】

【0130】
分散の分析:
【0131】
【表27】

【0132】
以下のモデルパラメータは、5個の潜在的変数を用いるPLS法を使用して得た:
【0133】
【表28】

【0134】
したがって、PLS法を使用してインビトログリセミック指数を推定するのに使用される方程式は、:
GI=48.443999−1.003763タンパク質(%)−0.492915脂肪(%)+443.60721グルコース(%)−265.4383フルクトース(%)−33.78516ラクトース(%)−277.1671ガラクトース(%)−142.2773マルチトール(%)
になる。
このモデルに関連する統計パラメータは、下記の通りである:
当てはめの概要
【0135】
【表29】

【0136】
以下のモデルパラメータの重みは、ニューラルネット法を使用して得た:
【0137】
【表30】

【0138】
実施例2および3に示されるように、ニューラルネット法は、単純な予測方程式を提供しない。むしろこの方法は、一連のパラメータの重みおよびネットワークトポロジーであって、適切なソフトウェアプログラム(この場合は、JMP統計ソフトウェア)を使用して予測結果を得るのに後で使用することができるものを提供する。このモデルに関連するパラメータは、下記の通りである:
【0139】
【表31】

【0140】
結果
【0141】
【表32】

【0142】
次いで得られたモデルパラメータは、データ当てはめ法のそれぞれを使用してインビトログリセミック指数値を計算するのに使用した。以下の市販の製品の結果を使用して、相関パラメータを計算した。データ当てはめ法のそれぞれを使用して決定された、結果的に得られるインビトログリセミック指数値を、インビボグリセミック指数値と比較する:
【0143】
【表33】

【0144】
【表34】

【0145】
ニューラルネット曲線当てはめ手順を使用して得られたこのデータの分布図を、図6に示す。R2値0.96は、この方法を使用して得られる。したがってこの場合も、この方法が非常に高い精度および高い予測値を有するように見える。異なるサンプル数に基づくがすべて同様の条件下で実験がなされる実施例3および4の結果は、一致する。
【0146】
これらの実施例(特に、実施例3および実施例4)で実証されるように、サンプル数が増加するにつれ、様々な曲線当てはめ手順で使用される様々な係数およびその他のパラメータの値は、データ集合に対する最良の当てはめが実現されるように絞り込まれると予測される。データ集合に付加された追加のサンプルは、食品の多様性を増大させ、かつ食品のより大きな集団をよりよく表すことが、予測される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ方法であって、
(1)前記試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)本質的に均質かつ微粉化された状態の試験食品を提供することにより、試験食物サンプルを提供するステップ;
(3)標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の本質的に均質かつ微粉化された状態の前記試験食物サンプルを、一定期間、消化酵素の混合物を用いて消化することにより、消化されたサンプルを提供するステップ;
(4)前記消化されたサンプルを、前記一定期間経過直後に、そのまま処理することにより、酵素反応を停止させるステップ;
(5)ステップ(4)からの前記消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールからなる群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、前記試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから、前記試験食品のグリセミック指数を計算するステップであって、前記較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、前記較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有するものであるステップ;
を含むことを特徴とするインビトロ方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載のインビトロ方法であって、ステップ(5)に列挙されたすべての糖および糖アルコールの量が決定され、それがステップ(6)のグリセミック指数の計算に使用されることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項3】
前記請求項1に記載のインビトロ方法であって、前記試験食品は、前記試験食品を約−40℃よりも低い温度で摩砕することによって、本質的に均質な微粉化された状態で得られることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項4】
前記請求項2に記載のインビトロ方法であって、前記試験食品は、前記試験食品を約−78℃以下の温度で摩砕することによって、本質的に均質な微粉化された状態で得られることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項5】
前記請求項1に記載のインビトロ方法であって、前記試験食品は、前記試験食品を液体窒素温度でまたは液体窒素温度付近の温度で摩砕することによって、本質的に均質な微粉化された状態で得られることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項6】
前記請求項2に記載のインビトロ方法であって、前記試験食品は、前記試験食品を液体窒素温度でまたは液体窒素温度付近の温度で摩砕することによって、本質的に均質な微粉化された状態で得られることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項7】
前記請求項1に記載のインビトロ方法であって、ステップ(4)の前記消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールからなる群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量は、高速イオンクロマトグラフィーを使用して決定されることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項8】
前記請求項2に記載のインビトロ方法であって、ステップ(4)の前記消化されたサンプル中の、グルコースと糖または糖アルコールとの量は、高速イオンクロマトグラフィーを使用して決定されることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項9】
前記請求項1に記載のインビトロ方法であって、前記試験食品は、前記試験食品を約−40℃よりも低い温度で摩砕することによって、本質的に均質な微粉化された状態で得られ、ステップ(4)の消化されたサンプル中のグルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールからなる群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量は、高速イオンクロマトグラフィーを使用して決定されることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項10】
前記請求項2に記載のインビトロ方法であって、前記試験食品は、前記試験食品を約−40℃よりも低い温度で摩砕することによって、本質的に均質な微粉化された状態で得られ、ステップ(4)の消化されたサンプル中のグルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの量は、高速イオンクロマトグラフィーを使用して決定されることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項11】
試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ方法であって、
(1)前記試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)前記試験食品を液体窒素温度でまたは液体窒素温度付近で摩砕することによって本質的かつ均質な微粉化された状態の試験食品を提供することにより、試験食物サンプルを提供するステップ;
(3)標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の本質的に均質かつ微粉化された状態の前記試験食物サンプルを、一定期間、消化酵素の混合物を用いて消化することにより、消化されたサンプルを提供するステップ;
(4)前記消化されたサンプルを、前記一定期間経過直後に、そのまま処理することにより、酵素反応を停止させるステップ;
(5)ステップ(4)からの前記消化されたサンプル中の、グルコースと、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの群から選択された少なくとも2種の糖または糖アルコールとの量を決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、前記試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから前記試験食品のグリセミック指数を計算するステップであって、前記較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、前記較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有するものであるステップ
を含むことを特徴とするインビトロ方法。
【請求項12】
前記請求項11に記載のインビトロ方法であって、前記多変量解析は、多重線形回帰、部分最小二乗法、およびニューラルネットからなる群から選択された曲線当てはめ手順を使用することを特徴とするインビトロ方法。
【請求項13】
前記請求項12に記載のインビトロ方法であって、前記曲線当てはめ手順は、多重線形回帰であることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項14】
前記請求項12に記載のインビトロ方法であって、前記曲線当てはめ手順は、部分最小二乗法であることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項15】
前記請求項12に記載のインビトロ方法であって、前記曲線当てはめ手順は、ニューラルネットであることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項16】
試験食品のグリセミック指数を決定するためのインビトロ方法であって、
(1)前記試験食品のタンパク質含量および脂肪含量を決定するステップ;
(2)前記試験食品を液体窒素温度または液体窒素近くの温度で摩砕して本質的に均質かつ微粉化された状態の試験食品を提供することにより、試験食物サンプルを提供するステップ;
(3)標準量の利用可能な炭水化物を提供するのに十分な量の本質的に均質かつ微粉化された状態の前記試験食物サンプルを、一定期間、消化酵素の混合物を用いて消化することにより、消化されたサンプルを提供するステップ;
(4)前記消化されたサンプルを、前記一定期間経過直後に、そのまま処理することにより、酵素反応を停止させるステップ;
(5)ステップ(4)からの前記消化されたサンプル中の、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、およびマルチトールの量を高速イオンクロマトグラフィーを使用して決定するステップ;および
(6)較正サンプルに関する較正データの多変量解析から導き出された予測方程式または予測技法を使用して、前記試験食品に関するステップ(1)および(5)で得られたデータから、前記試験食品のグリセミック指数を計算するステップであって、前記較正データは、ステップ(1)および(5)で決定された試験食品に関するデータと同じタイプのものでありかつ同じ手法で得られるものであり、前記較正サンプルは、既知のインビボグリセミック指数値を有するものであるステップ;
を含むことを特徴とするインビトロ方法。
【請求項17】
前記請求項16に記載のインビトロ方法であって、前記多変量解析は、多重線形回帰、部分最小二乗法、およびニューラルネットからなる群から選択された曲線当てはめ手順を使用することを特徴とするインビトロ方法。
【請求項18】
前記請求項16に記載のインビトロ方法であって、前記曲線当てはめ手順は、多重線形回帰であることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項19】
前記請求項16に記載のインビトロ方法であって、前記曲線当てはめ手順は、部分最小二乗法であることを特徴とするインビトロ方法。
【請求項20】
前記請求項16に記載のインビトロ方法であって、前記曲線当てはめ手順は、ニューラルネットであることを特徴とするインビトロ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−532001(P2010−532001A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515074(P2010−515074)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/068176
【国際公開番号】WO2009/006155
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508247877)クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー (53)